エンタープライズ エピソードガイド
第5話「予期せぬ侵入者」
Unexpected
イントロダクション
シャワーを浴びているアーチャー。 ふいに音が響いた。と同時に、水滴が空中に浮遊していく。 アーチャーの身体も浮き上がってしまう。水を止め、手を伸ばして通信機のスイッチを入れた。「…アーチャーよりブリッジ。」 リード:『こちら、リード大尉。』 「一体何事なんだ。」 説明するリード。「Eデッキの重力調整機能に、軽いトラブル発生。何か影響ありましたか?」 身体を支えるアーチャー。「ああ、いやいや大丈夫だ。で? 復旧はいつ頃になりそうだ。」 リード:『タッカー少佐によると、すぐ直ると。』 笑うアーチャー。その瞬間、水と同時に床に叩きつけられた。 アーチャー:「直った!」 |
本編
スープを汲んでいるトゥポル。 フロックス:「たまには冒険しなきゃ。」 トゥポル:「プロミーク・スープ※1はヴァルカンでは伝統的朝食です。」 「ああ、だが地球の船に乗ったらブルーベリー・パンケーキも試すべきだ。ほら、一口どうぞ?」 差し出すフロックス。 避けるトゥポル。「地球料理を試食する機会はありましたが、口に合いませんでした。」 フロックス:「すぐには無理だが、君らの消化器官は順応性がある。」 「私は慣れ親しんだ物を食べたいんです。」 「…古いことわざがあるでしょ? フェレビア※2ではフェレビア人に習えってね、フフン。」 「臭いを嗅ぐだけでもたまらないのに、口に入れるなんて言語道断です。」 カップを置き、食堂備え付けのコンピューター※3に触れるトゥポル。「水、炭酸入り。」 「それは冒険だ。」 出てきた液体は、黒くドロドロしていた。 フロックスを見るトゥポル。 作業中のタッカーに報告する機関部員※4。「Cデッキから、室温が 12度に低下という報告が。アルマック少尉※5が対処していますが。」 タッカー:「急いでくれよ? リレーが冷えすぎると、こっちにも影響が出てくるぞ。」 呼びかけに応える。「機関室?」 クルー:『少佐、右舷ナセルにパワーの変動を感知しました。』 「できるだけすぐ対処しよう。」 『了解。』 アーチャーが機関室に入った。「状況は?」 タッカー:「プラズマの排出と関係あるってことはわかりました。何かが原因で流れが滞り、システムが不調になってるようです。ビリー※6に船尾マニフォルドを浄化しろと言ってくれ。」 機関部員:「了解。」 アーチャー:「やはりワープを、解除すべきだろうか。」 「もうちょっとお待ちを。原因はすぐわかります。」 だが室内で爆発が起こり、火が噴き出してきた。 アーチャーも携帯消火器を使う。消し終わると、アーチャーはタッカーを見上げた。 タッカー:「タッカーよりブリッジ。少尉、すぐにワープを解除してくれ。」 操縦するメイウェザー。「インパルスエンジンへ。」 トゥポルはスコープを見ている。「少佐、不調の原因が判明しました。」 状況図を指すトゥポル。「何かが航跡パターンを歪めてます。」 タッカー:「ああ、プラズマ排気が船の間近で揺らめいている。」 リード:「排気口の EM残留物では?」 「いや、チェック済みだ。」 アーチャー:「…マルコム。プラズマ排気に点火したら、ナセルにどんな影響が出るだろうか。」 リード:「は?」 「損傷は?」 「全艦を装甲状態にすれば安全です。推力を 2分の1 に落としてですが。」 「インパルス推力を 2分の1 に。」 メイウェザー:「了解。」 「A-4 を映せ。」 操作するサトウ。スクリーンにワープナセル付近が表示される。 アーチャー:「船尾センサー、全て記録。」 トゥポル:「船体装甲は。」 リード:「どちらのナセルも最大です。」 「80メートル真後ろ方向に点火スタンバイ。」 アーチャー:「発射。」 プラズマに火がついた。 アーチャー:「プレイバックだ。ゆっくり?」 様子が再現される。「点火時まで戻って、一時停止。コマ送りで? そこだ。」 船の影が見えた。 タッカー:「ただ乗り船を見つけましたね?」 トゥポル:「ある種の、ステルス技術を使っていると思われます。」 サトウ:「いつからいたんでしょう?」 アーチャー:「こっちのシステムがおかしくなるほど長くだ。我々に感知されたと気づいただろう。呼びかけの周波数を開けろ。」 「画像通信は、機能不全を起こしてます。音声の交信なら。翻訳機稼働。」 「こちら、宇宙船エンタープライズ※7のジョナサン・アーチャー船長だ。場所は言わなくてもわかるねえ。君たちの船が、我々のシステムを妨害している。最低でも 10キロ離れてから、是非応答して欲しい。」 異星人の応答が返った。『…カイヤ ラカラ ロイズ カッティー。カイヤ ラカラ ロイズ カッティー。』 サトウが翻訳機を調整していく。『カイヤ ラカラ ロイは、ありません。カイヤ ラカラに従います。攻撃の意図はありません。そちらの要求に従います。攻撃の意図はありません。』 リード:「船が離れていく。」 アーチャー:「こちらも攻撃の意図はないが、事情を説明していただきたい。」 異星人:『システムの不調を誘発して申し訳ありません。エンジンが不調に陥りました。テラファジックコイル※8を充電するため、そちらのプラズマ排気を利用し、ワープフィールドを共有させていただきました。』 トゥポル:「彼らのワープリアクターは停止状態です。」 アーチャー:「このままでは御協力できません。とにかくステルス装置を解除し、姿を見せていただけませんか。」 船の姿があらわになった。 ハイポスプレーを使うフロックス。「それじゃあ、ミラジン※9を打っておきましょう。40ミリグラム。これで、減圧処理の時間が半減する…はずです。」 タッカー:「まだ 3時間ある。お薦めの本は?」 笑うアーチャー。 トゥポル:「彼らの推進システムについて説明します。」 アーチャー:「ああ…」 タッカー:「今夜は戻らなくていいんですか?」 「せっかく 3時間もかけて減圧するんだ。作業が終わるまでがんばってこい。」 フロックス:「食事の好みを知らせておいたよ。」 トゥポル:「タンパク質と炭水化物の合成技術を自慢すると思いますが、どんな味の物かはわかりません。その辺は、上手く対処を。」 タッカー:「異星人の船に 3日間か?」 また注射するフロックス。 アーチャー:「紳士的に振る舞えよ?」 シャトルポッドは異星人船にドッキングした。 メイウェザー:「ドッキング成功。」 タッカー:「準備 OK。」 「画像通信が使えないのが残念です。どんな異星人か見たかった。」 「ブラインドデートだと思えばいいさ。タッカーよりエンタープライズ。」 アーチャー:『アーチャーだ。』 「行ってきます。」 『念のため、回線はつなぎっぱなしにな?』 ドアを開け、上るタッカー。 荷物を渡すメイウェザー。「どうぞ。」 タッカー:「ちゃんと迎えに来てくれよな?」 笑うメイウェザー。「さあ、忙しい身ですからねえ。」 相手の船に入るタッカー。 メイウェザー:「お気をつけて。」 ドアを閉める。 シャトルはエンタープライズへ戻った。 狭い部屋が明るくなった。 タッカー:「ハロー?」 音がしたかと思うと、床から白い気体が吹き出してくる。 タッカー:「おい…」 咳き込む。 コンピューター:『普段の呼吸回数を維持して下さい。』 「…胸が苦しいんだ!」 『いつもの呼吸を維持していただければ、苦しさは収まります。』 部屋の中は気体でいっぱいになった。 |
※1: plomeek broth 前話 "Strange New World" 「風が呼んだエイリアン」でも。トゥポルも "broth" と言っていますね ※2: Fellebia (Fellebians) ※3: わざわざカップを置いていることから、原始的なフードレプリケーターだと思われます (飲み物専用?)。ENT第3話 "Fight or Flight" 「死のファースト・コンタクト」ではプロテイン再合成のポテトが登場。TOS 期にはレプリケーターは存在しないとされていますが、似たようなフードスロットは描写されていました ※4: 乗組員 Crewman (John Cragen ゲーム "Voyager: Elite Force" で声の出演) ※5: Ensign Almack ※6: Billy 吹き替えでは訳出されておらず、単に「船尾マニフォルドを、浄化しろ」 ※7: 吹き替えでは「エンタープライズ号」 ※8: teraphasic coil ※9: Mirazine |
エンタープライズ。 トゥポルの通信。『またタッカー少佐から呼び出しです。心配性ですね?』 アーチャー:「つないでくれ。」 タッカー:『何分経ちましたあ?』 気体の音が聞こえる。 「さっきから 5分経っただけだぞ? 呼吸はどうだ。」 まだ同じ部屋にいるタッカー。「少し楽ですが、透明な空気の方がいいです。」 作戦室のアーチャー。「最後の30分間で、空気は完全に綺麗になるそうだ。」 タッカーは白い気体の中で話す。「もう 1週間もここにいる気分です。」 アーチャー:『まだ 45分しか経ってないぞ。辛抱しろ。』 アーチャーは回線を切り、皿を差し出した。「はい。」 待っているポートス。「いい子だなあ。さあ、おあがりー?」 コンピューター画面で点滅する色。 タッカー:「ブルー 1回。グリーン 3回。イエロー 2回。オレンジ 5回。イエロー 3回。」 だんだんスピードが上がる。「レッド 4、3、2…おいおい! 速すぎる、俺は機械じゃない。」 ドアが開いた。 中には異星人たちがいる。 船長のトレナル※10が話しかけた。「純化作業が、強いストレスにならないと、よろしいのですが。」 声が響く。 意識がもうろうとするタッカー。「ブルー 3回、イエロー 6回、オレンジ 4回。」 トレナル:「ここの環境に、慣れたかどうかを判断するには、知覚テストが一番なので。」 女性のアーレン※11が近づく。「お食事を用意しました。」 タッカー:「今は結構、ありがとう。」 トレナル:「是非とも、休憩を取られるよう、お勧めいたします。」 「それよりまずは機関室を拝見したいと思います。」 アーレン:「一つ、上の階です。」 アーレンについていくタッカー。 コンソールをなぞるように操作する異星人。手から不思議な電光が走る。 通路の横で、液体中をクネクネと生命体が泳いでいる。 見つめるタッカー。 明滅する機械。アーレンとタッカーがあおむけになり、狭い区域に入っている。 目を押さえるタッカー。 アーレン:「これがテラファジックコイルです。太い方が凝集力をなくしました。」 タッカー:「何が何だかさっぱり。このノイズと光で、全然集中できません。」 「本当に、このまま休まず作業を続けて大丈夫ですか?」 「何も判断できない。」 エンタープライズ。 トゥポルの連絡が入る。『またタッカー少佐です。』 寝間着のアーチャー。「つないでくれ。…やあ、トリップ。調子はどうだ?」 タッカー:『ダメです。とても役に立ちそうもありません。思ったよりここの環境に慣れるのは難しい。』 「大丈夫か。」 目を閉じたままのタッカー。「熱があるようです。体中熱くて。目もよく見えないし、呼吸も…苦しい。そちらに戻った方がよさそうです、船長。」 伝えるアーチャー。「待っててくれ。トゥポル、トレナルにつないでくれ。」 トゥポル:『お待ちを。』 音声が切り替わり、トレナルが出た。『アーチャー船長ですか。』 アーチャー:「部下の体調が思わしくない。」 『大丈夫です。』 「…お言葉ですが、私はタッカー少佐と知り合って 8年になる。彼は辛抱強い。その彼が弱音を吐くのは、辛い証拠です。」 『減圧室から出た時、少佐は休もうとされなかった。少し眠れば、体調は戻ります。』 「それでほんとに回復すると?」 『多くの異星人を乗せた経験から、確かです。』 アーチャーの声が流れる。『最低 1時間休ませてくれるよう、頼んでおいた。それで体調は良くなる。』 タッカー:「今すぐここから出たいんです。これ以上耐えられません。」 『こういうことはよくあるそうだ。1時間だ、それでダメだったらすぐ連れ戻す。』 「きっとダメですよ、船長。」 ベッドに座るアーチャー。「昼寝をしろ。命令だ。以上。」 アーレンは言った。「お部屋を用意しましたので御案内します。すぐそこです。」 コイルを離れるタッカー。 波の音が聞こえる。 タッカーは目を覚ました。アーレンが近づく。「船長がデータを送ってくれました。これでリラックスできるでしょう? もう大丈夫?」 タッカー:「あれは…。」 「食べ物です。至る所に生えてます。」 壁から取り、口に入れるアーレン。「一口いかが、甘いのよ?」 「遠慮しておこう。」 「これは水に一番近い物質です。」 アーレンは容器から一つを取り、タッカーの口に近づける。「信じて?」 口にするタッカー。「うん。」 また固体をタッカーの口に近づけるアーレン。電光が走った。「痛かった?」 タッカー:「いや、大丈夫。」 アーレンの手とタッカーの唇の間に、電光が出る。「面白いね。ここじゃあ、相手に触れるとこうなるのかい?」 「…ええ、まあね。もういいかしら。」 「人間は調子が悪いと水をたくさん摂る。」 また食べるタッカー。アーレンを見つめる。 「……体調が良ければ修理に戻っていただけますか?」 「あの、少し持っていっていいかなあ?」 エンタープライズ。 トゥポル:「噴射電池は一次コイルとつながってますか?」 タッカー:『ああ、ロックされてる。きっと君は信じないだろうなあ。床から草が生えてんだぜ? 本物の草だ、常緑のね。ヴァルカンの草も緑だっけ?』 「イオンマトリックスはチェックしましたか?」 『草はある種の蒸気を発していて、食料の新鮮さを保ってる。刈りたての芝生みたいな匂いだよ。』 「少佐、イオンマトリックスを。」 作業するタッカー。「ああ、わかった。部品を再充電した。どこまで上がった?」 異星人の機関部員※12。「0.43※13 まで。」 タッカー:「そのまま続けてくれ。0.5※13 まで上がってくれれば、コイルは自然とオンラインに戻るはずだ。」 船長席に座るアーチャー。「トリップは絶好調のようだなあ。」 メイウェザー:「言うまでもない。今に機関室を、ガンガン動くようにしますよ。」 笑うアーチャー。 タッカー:『タッカーよりアーチャー船長。』 アーチャー:「どうぞ?」 報告するタッカー。「直ワープリアクターをオンラインにできそうです。2時間もあれば十分だ。」 アーチャー:『こっちに戻りたいと泣いてた昨日の君とは別人だなあ。』 「以上。」 食料を食べるタッカー。 アーレン:「コイルの再生にはしばらくかかるでしょう。…ついてきて? 見せたいものがあるの。」 2人は部屋に入った。 小型機械を手にするアーレン。「見てて?」 一瞬にして、周りの光景が変わった。岩だらけの地上だ。 アーレン:「ここはセラ※14。私たちの星です。」 空を飛ぶ生物も見える。 タッカー:「まるで本物みたいだ。何なんだ? 3D シミュレーターかい?」 「ホログラムです。」 「こんなホログラム初めてだ。」 砂をすくい、渡すアーレン。「本物の土みたいでしょう?」 タッカー:「どうやって…。」 「光子の再配列です。こちらへどうぞ。」 「風景が変化してる。」 「部屋にいることを忘れてその場にいる気分になれる。」 アーレンが機械を操作すると、周りが更に変化した。 タッカー:「おっと!」 アーレン:「ああ! 座って。」 2人は水に浮かぶ、ボートの中にいた。 「部屋の中にいるのに、船に乗ってる。」 「船だけど、再配列された…」 「再配列された光子。」 「そうです。」 周りを眺めるタッカー。「これがエンタープライズにあったら、ずっと海辺で過ごすよ。」 アーレン:「皮膚で触れ合わないで、人間はどうやって相手を感じるの? 気持ちを。」 「まあ、そうだなあ。皮膚でも感じるけど、相手の態度をよく観察して、気持ちを察するんだ。」 「顔に生えてる黒い点は伸びているのかしら? 何か目的が?」 ひげをさすり、笑うタッカー。「聞いたことない。普通はシェーバーという道具で、剃り落とすんだけどね? ここじゃ、そんな暇なかったから。」 アーレン:「触っても?」 「どうぞ?」 また電光が走った。 アーレン:「ああ、痛い?」 タッカー:「全然?」 アーレンは目の前に、容器を映し出した。 タッカー:「水かい?」 アーレン:「いいえ? ゲームの一種なの。見てて?」 容器に入った、砂状の物質の中に手を差し入れるアーレン。手と砂の色が変化する。 アーレン:「どうぞ。」 真似するタッカー。色の変化が伝わる。 タッカー:「決まったルールはないの?」 アーレン:「二人で両手を使うこと。」 言われたとおりにするタッカー。 アーレン:「……あなたの好きな食べ物は、ナマズね?」 タッカー:「どうしてわかったんだ?」 「私のは?」 「君の好物かい?」 「ええ、集中して? 何か思い浮かばない?」 「…ドゥターラの根※15。なぜわかったんだろう。」 「これが人間にも効くなんて驚いたわ。あなたアーチャー船長に命を救われてる。4年前に。」 「いや、驚いたなあ。君は私を…魅力的だと…。」 「あなたはそんな自分を楽しんでる。違う?」 「時々ね。」 機関部員の通信が入った。『リアクター室よりアーレン。コイルはオンラインに戻りました。』 アーレン:「了解。」 手を出す 2人。 アーレン:「立ち上がって。」 ホログラム映像は消えた。 シャトル内に入るタッカー。 メイウェザー:「減圧調整は、戻る方が楽でしょ。」 タッカー:「3時間は 3時間だ。想像を超えた世界だったよ、トラヴィス。壁から作物が生えている。テラファジックワープコイルに、ゲーム。砂で相手の気持ちを悟る。」 「ジリリアン※16の風貌は?」 「ああ、人より小型。顔は鱗だらけ。でもそれ以外は、俺たちにそっくりだ。すごかったよ。艦隊に入った甲斐があったな。…でもホッとするな。」 「ええ。」 ため息をつくタッカー。 スクリーンに映ったトレナル。『任務に遅れが出ないことを願っています。』 アーチャー:「異星人との出会いも、大事な任務の一つです。」 ブリッジに戻るタッカー。「画面が回復しましたねえ。」 アーチャー:「ホシだ。トレナルが、お礼を言いたいそうだ。」 トレナル:『少佐、こちらの環境に慣れるまで、さぞ大変だったことでしょう。』 タッカー:「いい体験をしました。コイルの充電状態が続く限り、安定したワープフィールドを維持できます。」 トレナルの隣にいるアーレンに話す。「いろいろ世話になったな、ありがとう。」 アーレン:『貴重な体験でした。…お元気で。』 ジリリアン船はワープで去った。 アーチャー:「ご苦労だった。」 タッカー:「貴重なチャンスを、どうも。」 トゥポル:「今後は異星人船接近による不調は見逃しません。」 アーチャー:「コースを元に戻せ、トラヴィス。」 メイウェザー:「了解。」 ワープ中のエンタープライズ。 タッカーと食事を同席するリード。「すごい食欲だ。」 タッカー:「君も行けばよかった。」 「高度なホログラム装置があったとか。」 「その辺のバーチャル装置とはわけが違う。海なんか実にリアルでなあ。磯の香りがして、潮風まで感じるんだ。」 「エンタープライズにあったら、みんなやることは一つだろうな。」 「フン、人の再生ができるかどうか。でも風景は、現実そのものだった。」 「友達は?」 「アーレンという機関士がなあ、ホログラムを体験させてくれた。」 「少佐が最後にお礼を言ってた、あの彼女?」 「ああ…。不思議な皮膚だ。」 「いい女だったよ。なかなか官能的で。」 「で、武器は見ました?」 「気づきもしなかった。これ食ったことあるか? 今日はなかなかイケるぞ。」 タッカーは手首の内側にある、突起に気づいた。「何だろ。」 「アレルギーかもしれません。」 「バイオスキャンはパスした。」 「念のため、ドクターに診せた方がいいですよ?」 突起を見せるタッカー。「アレルギーの経験は一度もない。」 フロックス:「どうやらそれは問題はないようですねえ。それより、ジリリアン船で誰かと親しくなったのでは? ロマンスは?」 「え?」 「女性と親しくなった?」 「ドクター、私はリアクターを修理しに行ったんだ。何バカなことを。」 「修理以外にも、仕事をなさったようだ。」 調べるフロックス。 「と言うと?」 「それは、乳首です。」 「何だって?」 「あ、ああ…第6 から第7肋間の付近に、胚盤胞ができていますねえ。」 「どういうことなんだ?」 「あのう…こういう場合に、お祝いを言うべきなのかよくわかりませんが、おめでたです。」 腹を見るタッカー。 |
※10: Trena'L (ランディ・オグルスビー Randy Oglesby TNG第31話 "Loud as a Whisper" 「無言の調停者」の学者 (Scholar)、DS9第12話 "Vortex" 「エイリアン殺人事件」のアー・ケル/ロー・ケル (Ah-Kel/Ro-Kel)、第109話 "The Darkness and the Light" 「一人、また一人、そして…」のシララン・プリン (Silaran Prin)、VOY第104話 "Counterpoint" 「偽りの亡命者」のキア (Kir)、ENT第53話 "The Xindi" 「トレリウムD」などの Degra 役) 声:長克巳 ※11: Ah'Len (Julianne Christie VOY第169話 "Homestead" 「帰り行く処」のデクサ (Dexa) 役) 声:田中敦子 ※12: 異星人男性 Alien Man (TL Kolman) ※13: それぞれ 4.3、5.0 と誤訳 ※14: Thera ※15: Dutara root ※16: Xyrillian |
タッカーが医療室備え付けの検査カプセルから出てきた。 コンピューターを示すフロックス。「ここに、細胞の塊が見えるでしょう。これが胚ですよ。まあ、厳密に言うと少佐の血を引いているとは言えませんけどね?」 タッカー:「どういう意味です?」 「ジリリアンは繁殖において、母親の遺伝物質しか使いません。男性は胎児を育てる身体を『提供』するだけ。」 「気が楽になった。でも、どうやって妊娠したんだろう。」 「彼らの交尾方法についてデータはありませんが、それを思い出すのはそう難しくないはず。性的接触を。」 トゥポル:「…3日間。ジリリアン船にいたわずか 3日間自制できないとは情けない。」 タッカー:「信じて下さい、船長。私はずっと完璧な紳士でした。」 「それは少佐が『紳士』をどう認識しているかによります。」 「私がジリリアン船で会った女性はアーレンだけです、機関士のね。リアクターの修理以外、彼女と一緒にやったことと言えば、ホログラムを体験したことだけ。惑星ジリリアンの映像や、シミュレーションを見ただけです。彼女に触れてもいない。こっちが知らないうちに妊娠させられたんだ。移せないんですか…保育器とか、方法あるでしょう。」 フロックス:「胎児は少佐の心膜と一体化しています。詳しい知識なしで取り出すのは危険です。」 トゥポル:「その彼女は故郷を見せたがったんですね?」 タッカー:「だから?」 「次に、ホログラムの両親に会わせるつもりだったのかも。…ある惑星では、それが結婚の準備段階になる場合があります。」 笑いを抑えるアーチャー。 タッカー:「2人で手こぎ船に乗っただけです! ほんとですったら、何もなかった。」 フロックス:「これだけの遺伝物質を転送するには、ある程度の肉体的接触があったはずです。」 アーチャー:「…トリップ?」 タッカー:「私は宇宙艦隊に入って 12年、わずか 3日の任務で異星人と遊び大事なキャリアを台無しにすると思いますか? あの船に乗った瞬間から、自分を外交官と認識してました。…そうだ…砂粒の…箱があったな。」 「砂粒?」 「ええ、手こぎ船にです。でも問題ありません、2人で数分その箱に両手を突っ込んだだけです。一種の、ゲームなんです。互いの心を言い当てる。でも、箱は本物じゃなくて、ほかの物同様ホログラムですよ。」 「ドクター。」 フロックス:「その、テレパシーの箱が実際にないので断言はできませんが、それを転送媒体として使った可能性があります。」 トゥポル:「外交官としての最初の教訓は、人の物に無闇に手を突っ込むなですね。」 タッカー:「…船長?」 アーチャー:「タッカー少佐の身体から、安全にその生命体を取り出すためには…彼らを捜すしかない。ジリリアン船を見つけ出す方法を、マルコムと調べてくれ。」 トゥポル:「はい。」 「彼は任務に戻って大丈夫かね?」 タッカー:「もちろん! 病気じゃありません。」 フロックス:「朝には胸がむかつくかもしれませんから、十分な睡眠を心がけて、一日一度は医療室に。…乳首以外にも身体の変化があるかもしれませんので覚悟を。」 出て行こうとするアーチャーたちに言うタッカー。「この件は…4人だけの秘密ってことでお願いします。…バレるまではね。」 アーチャー:「…わかった。」 機関室のエレベーターで上がってきたタッカー。 何気なく触れた、エレベーターのバーを目にする。 やってきた部下を呼ぶタッカー。「ディラード※17!」 ディラード:「はい。」 「ちょっと来たまえ。」 「何か?」 「これでは事故が起きるぞ。安全バーと、床の間が 1メートルもある。体が小さかったら危なくてしょうがない。」 「体が小さい?」 「背の低い異星人や子供さ。死の落とし穴だ。」 またエレベーターに乗るタッカー。「それにこのバーも。」 作動させる。「動いてる間に手を置いたりしたら…指がちぎれてしまう!」 「そんな風に手を置くことはないと思いますが?」 「ああ…。」 戻るタッカー。「もういいんだ。」 『航星日誌、補足。ジリリアン船を捜して、早 8日。しかし、見つかる気配すらない。』 食堂。 私服姿のタッカーは注目されているようだ。 クルーが話している。「おい、あの噂聞いたか?」 隣の部屋に入るタッカー。「遅くなりました。」 食事中のアーチャー。「構わんぞ。気分は?」 タッカー:「妊娠は 4人の秘密でしたよね。」 「…誰にも言ってないぞ。ドクターは。」 フロックス:「私もです。」 タッカー:「やっぱり。医療室から出た途端、彼女がバラしたんだ。」 「トゥポルも、秘密を守ると約束しましたよ?」 「ヴァルカン人が約束を守るわけがない。」 アーチャー:「なぜ彼女がバラしたと?」 「クルーの様子を見ればわかります。陰でヒソヒソ噂を。今朝なんてひどかった! ハート少尉※18が、椅子を引いてくれた。トゥポルがわざと漏らしたに決まってますよ。それは?」 「チキンテトラツィーニ。手首はどうだ?」 「変わらずです。…食欲を減退させる気はありませんが…見て下さいよ。」 「うーん。」 乳首は 2つになっており、片方は大きくなっている。 「一体どこまで大きくなるんですか。こっちがこんなに困ってるのに、ジリリアンは知らんぷりとはね。」 フロックス:「残念だが、私はこの種族について経験がありません。」 「参った。」 アーチャー:「…トリップ? もう 1週間以上捜してる。そろそろ君も、ジリリアンを探し出せないという可能性も覚悟すべきだ。」 「どういう意味ですか! つまり私が、赤ん坊を産むってことですか?」 フロックス:「少佐は後のことが心配なんでしょう、子供というのは親を当てにしないと生きていけない。そういう生き物ですからねえ。」 「私は機関主任です。何年もがんばってこの地位を得たんだ。…ワーキングマザーになるなんて、御免ですからね!」 笑いを隠しながら話すアーチャー。「…だがなあ、ドクターによると、妊娠期間というのは…後 5週間程度だそうだ? 長くて 6週間。」 タッカー:「ああ…」 フロックス:「様々な身体の変化が起こります。ほとんどはホルモンの変化に伴う症状で、気分の変化や、感情の高ぶり。」 アーチャー:「普段着でいる方が、いいだろう。その方が隠れていい、腹が。」 タッカー:「どこまで膨らむんですか?! 既に船の笑い者なのに!」 給仕のスチュアード※19を呼ぶ。「もう少しこれを。」 スチュアード:「承知しました。」 出て行く。 アーチャー:「…今後は 8時間おきに、ドクターに診せに行け。君の…出産日が近づいたら…ドクターが子供に対する出産後の責任について、あれこれ教えてくれるだろう。」 タッカー:「…『出産後の責任』って?」 フロックス:「出産後、乳首からお乳が出るようになるでしょう。」 やって来たスチュアードが話を聞いてしまった。「あ…」 タッカーはすぐに皿を受け取る。出て行くスチュアード。 アーチャー:「あ…明るい話もあるぞ?」 タッカー:「え? …どんな。」 「恐らく今回…異星人との初めての妊娠ということになるだろう。人類との。」 嘆くタッカー。 報告するリード。「データを探知。」 メイウェザー:「ジリリアン船ですね。」 トゥポル:「座標、0-7-8、マーク 6。300万キロメートル。コースを座標に変更。ブリッジより船長。」 アーチャー:『どうした。』 「ジリリアン船を発見しました。」 喜ぶタッカー。「…助かった!」 アーチャー:「すぐ行く!」 タッカーはパンスティックを持っていく。 ブリッジに戻るアーチャー。「状況は?」 トゥポル:「まもなく追いつきます。ステルス能力遠隔データ分析では、例の船かと。」 「インパルスエンジンに。ホシ、画像を。」 映ったのはジリリアン船ではない。 タッカー:「ステルスには見えませんねえ。」 アーチャー:「拡大。」 その船を、リードは知っていた。「ヴァルカンの宇宙船情報から察すると、あの船は…」 トゥポル:「間違いありません。…クリンゴンの巡洋戦艦※20です。」 進み続けるクリンゴン艦。 |
※17: Dillard (Mike Baldridge) 声:川島得愛 ※18: Ensign Hart ※19: Steward (Drew Howerton) 名前は言及されていません ※20: Klingon battle cruiser TOS では D7級、その後 映画 TMP "Star Trek: The Motion Picture" 「スター・トレック」でクティンガ級が登場しました。D7級は TOS 当時や DS9第104話 "Trials and Tribble-ations" 「伝説の時空へ」のでもそうだったように、本来は船体のディテールが細かくありません。ですが VOY第160話 "Prophecy" 「預言の子」では、D7級にも関わらずクティンガ級のような精細なディテールになっていました。今回もクラス名は不明ですが、船体は VOY と同様です |
タッカーは尋ねた。「ジリリアン船はどこだ?」 トゥポル:「再びエンジンの調子がおかしくなって、クリンゴンのプラズマ航跡に隠れていると思われます。」 アーチャー:「ホシ。」 サトウ:「現在、翻訳プログラムの調子は万全です。」 リード:「船長。あえて申し上げますが、呼びかけは賢明とは思えません。」 アーチャー:「ジリリアンと話をするなら、クリンゴンを通さずには難しいだろう。…回線オン! こちら、宇宙船エンタープライズ※7のアーチャー船長。」 向かってくるクリンゴン戦艦。「是非協力していただきたいことがあります。我々は現在、ちょっとしたトラブルを…」 「敵は武器を装填!」 「船体装甲!」 撃ってきた。「衝撃に備えろ!」 続けて攻撃するクリンゴン。 リード:「2発目が!」 メイウェザー:「なぜ攻撃を!」 トゥポル:「違います、向こうが本気ならとっくに破壊されてます。」 アーチャー:「つまりクリンゴンは、威嚇射撃で我々を警告しているってわけか。」 リード:「警告を何度も受けるのはたまりません。」 メイウェザー:「コースを変更しますか?」 アーチャー:「いや…このままでいい。呼びかけろ。」 タッカー:「奴らの右舷ナセルを見て下さい。我々がジリリアンにやられた時と同じように、パワーが変動してます。」 サトウ:「応答がありました。」 クリンゴン艦長、ヴォロック※21が映る。『貴様らどういう理由で我がクリンゴン戦艦に接近する!』 アーチャー:「どうかお許し下さい。ですが、伺いたいことがあります。」 『一体何だ。』 「そちらの船のシステムに、異常が起きていませんか? 重力調整や推進システムは無事ですか? 環境制御装置は。」 『システムを監視していたのか。いつから!』 「違います、誓って。数日前の我々と同じなんです。恐らく、航跡に隠れている小型ステルス船の影響だと思われます。ワープコイル充電のため、プラズマ排気を利用している。」 クリンゴン副長※22に命じるヴォロック。「船を探せ。」 アーチャー:「待って下さい、お待ちを! 相手は無害です。連絡を取りたい、是非とも! どうか説明させて下さい!」 『発射!』 クリンゴン戦艦はすぐにジリリアン船を発見し、トラクタービームで拘束した。 副長:『クルーは 36名です。』 ヴォロック:『艦長を連行し、残りは処刑しろ。』 アーチャー:「我々は彼らと話がしたいんだ!」 『貴様らはその貧弱な船でさっさと立ち去った方が身のためだぞ。異星人は我々のセキュリティを侵害し、システムを混乱させた! どちらも我が帝国に対する明らかな戦争行為だ。』 「しかし彼らは、故意に被害を与えたわけではありません。母星に返りたかっただけです。」 『故郷には帰さん。だがスト・ヴォ・コーへたどり着けるよう、協力してやろう。』 「スト・ヴォ・コー?」 サトウ:「死後の世界です。」 「…本気で彼らを殺すつもりじゃないでしょうねえ。無害な種族ですよ? 運悪くエンジンの調子が悪くなっただけで、彼らはこちらの要求に従ってくれました…」 ヴォロック:『これ以上は時間の無駄だ!』 トゥポルは話し出した。「今から 1月ほど前、船長はクロノスの最高評議会に出ていました。総裁から、名誉を重んじ兄弟だと認められたのです。エンタープライズはクラングを捜し出し、帝国に送り届けました。クラングがいなければ、帝国は大混乱になっていたはず。ジョナサン・アーチャーはその危機を救った人間なのです。クリンゴンは借りがある。船長の要求を聞き届けるため、是非とも寛大なる処置を求めます。」 タッカー:「…私が、ワープリアクターを修理しました。というか、直したつもりでした。向こうの船で 3日過ごしたが、彼らは驚くべき技術をもっている。生かしておけばきっと、それをクリンゴンにも提供してくれるでしょう。」 副長:『一体どんな技術だ。』 「一つは、リアルなホログラムです。そちらの技術がどの程度か知りませんが、あんなリアルなのは初めてです。一瞬でほんとに、クロノスを見渡せる丘の上に立った気分になれますよ。…見るぐらいいいでしょう、減圧処理が怖ければ、仕方ないが。」 ヴォロック:『わしに怖いものなどあるか、プターク!』 アーチャー:「もし異星人船に乗ることに同意していただけるなら、是非機関主任を同行してくれませんか?」 『そいつは無駄口が多い。保安チームを同行する。』 「彼はジリリアンに、信用があります。ことがスムーズに進みますよ?」 『異星人の技術が面白かったら、命だけは助けてやろう。その判断をするのに貴様の機関士は必要ない!』 「理由があります。…実はタッカー少佐はですねえ、うん…ジリリアンとの仕事が終わっていないもので…」 『こっちは貴様の機関士の「仕事」には興味ない。』 「妊娠に関係することです。」 リードは不思議に思う。 ヴォロック:『そいつはワープリアクターを直しに行ったんだろう? 異星人を妊娠させるとは呆れた奴だ。今回の件はいい教訓にして忘れるんだな。』 タッカー:「…そうもいかないんですよ。」 アーチャー:「…見せろ。」 タッカーは仕方なく、服をめくった。膨らんだ腹を、クルーも目にする。 笑うクリンゴン人たち。 ジリリアン船に乗ったクリンゴン人。 タッカー:「ヴォロック艦長は、この船を解放してもいいと考えています。ホログラム・シミュレーターを何台か頂くという、交換条件でね。…こうなったら、協力するしかないと思います。」 チップを渡すヴォロック。「これが我々の首都の地形測量図だ。」 トレナル:「ホログラムを実演して見せましょう。」 ついて行くヴォロックたち。 アーレン:「リアクターは 6日間稼働して、故障してしまったの。よく見つけましたね?」 タッカー:「苦労したが、是非会いたかった。…どうしても。」 「どういうことでしょう?」 腹を見せるタッカー。 アーレン:「あ…あ…。ほかの種族とこんなことが起こるなんて思いもよらなかった。わかっていたら…」 タッカー:「謝ることはないよ。でも胎児を…取り出してくれたらすごくありがたい。ここでなら安全にできるだろう?」 機械で調べるアーレン。「胎児をほかのホストに移すのには十分間に合います。…彼女とっても元気そうだわ?」 タッカー:「女の子なのか?」 「ええ。」 クロノスの映像を指さすヴォロック。「我が家まで見えるぞ。これを我々のパワーマトリックスに適合させることは?」 トレナル:「適切な修正を加えれば、問題ないでしょう。」 エンタープライズ。 スクリーンのヴォロック。『取り付けが終了次第、ジリリアンは解放してやるつもりだ。』 アーチャー:「ご協力感謝します。今度出会った時は、お力になれることを願っています。」 『わしの言うことをよく聞け。借りは返したぞ? こっちは再びお前たちに「会いたい」とは思っておらん。そんなことになれば、貴様らは…後悔するだろう。』 通信を切るヴォロック。 船長用食堂のタッカー。「クリンゴン人と減圧室で 3時間過ごすのも辛いのに、それを日に二度とはね。」 アーチャー:「フフン。」 「鼻が曲がりそうな、異様な臭いだった。」 「ジリリアンは、インパルスエンジンで 1ヶ月で帰郷できるらしい。」 「これで安心です。」 「うん。……あ、ところで、クリンゴンの総裁が私を兄弟と呼んだって話…ほんとなのか?」 トゥポル:「クリンゴンは全てに大げさです。だからこっちも合わせました。」 「…フン。…食欲も落ち着いてきたようだな?」 タッカー:「一人分ですからね。」 トゥポル:「…宇宙艦隊のデータベースをチェックしました。喜んで下さい、人間の男性が妊娠したというのは、少佐が初めてでした。」 タッカー:「…歴史の本に載るなんて夢みたいだな。」 ワープ航行を続けるエンタープライズ。 |
※21: Vorok クレジットでは クリンゴン艦長 Klingon Captain (Christopher Darga DS9第73話 "The Way of the Warrior, Part I" 「クリンゴンの暴挙(前編)」のケイボク (Kaybok)、VOY第114話 "Think Tank" 「頭脳集団クロスの陰謀」の Y'Sek 役) 声:宝亀克寿 ※22: Klingon 1st Officer (Regi Davis) 声:水野龍司 |
感想
ENT 初のコミカルエピソード。先週の退屈な展開とは違い、お約束的ながらも見所の多いストーリーとなりました。異星人らしい異星人のジリリアンや、典型的なクリンゴン人の描写については、今回もやはり ENT ならではという感じです。取り立てて名作というわけではありませんが、これぐらいのレベルを保ってくれると ST初心者の方にも十分安心してお勧めできます。 なお、このエピソードとは全然関係ありませんが、ENT は CM の区切りがオープニング後を含めて 4回と、最近のシリーズに比べて一回分少なくなっていますね。最近は CM 時間が延びた分、短い間隔で CM 入りの度に「盛り上がり」を作らねばならなかったわけで、そういう点ではストーリーを多少作りやすくなっているのかもしれません。 |
第4話 "Strange New World" 「風が呼んだエイリアン」 | 第6話 "Terra Nova" 「植民星テラ・ノヴァの謎」 |