ヨウスコウ。 
 シスコ:「あと一分で、ワームホールに突入します。」 
 オパカ:「わがままを聞いて下さってありがとう。」 
 キラ:「いいえとんでもありません。ご一緒できて光栄です。」 
 シスコ:「ヤングジー・キアンより DS9 へ。予定帰還時刻は、14時00分だ。」 
 ダックス:『了解しました、お気をつけて。』 
 キラ:「飛行安定度、最大に設定。」 
 シスコ:「いよいよですよ。」
  
 ヨウスコウはワームホールへ入った。 
 内部を通る。
  
 ガンマ宇宙域へ出てきた。 
 ベシア:「やあ、素晴らしいもんですねえ。」 
 感激しているオパカ。「想像以上です!」 
 シスコ:「こんなに揺れなかったのは初めてだ。」 
 ベシア:「あれが一番近い、イドラン※3星系です。三重の星でしてね。」 
 オパカ:「未知の世界への扉だわ。」 
 シスコ:「銀河の反対側への扉です。ガンマ宇宙域はベイジョーから 7万光年も離れています。ワームホールがなければここまで来るのに、67年もかかるんですよ。」 
 「この目で見られて嬉しいわ?」 
 「いずれワームホールのおかげで、繁栄するベイジョーを御覧になる日がくるでしょう。」 
 「…もし私がその定めにあればね?」 
 キラ:「そろそろ戻りましょうか。」 
 「もう?」 
 シスコ:「…それほど、お見せするものもないのです。」 
 「預言は時には曖昧なこともあります。だから試してみるのです。」 
 「…どういう意味でしょうか、わかりませんが。」 
 「……戻りましょうか。」 
 「少佐、ワームホールへ戻ってくれ。」 
 キラ:「わかりました。…センサーが狭い周波帯の亜空間信号を探知。」 
 「何だろう。」 
 「…何らかの統計データを性急に応えて返信しているようですけど、何の応答も読み取れませんねえ。」 
 「第2級探査機を発射して、後で調査しよう。」 
 オパカ:「いま調べないのですか?」 
 「いやあそれは、避けた方がいいので。」 
 「私がいるからですか…」 
 キラ:「いいえ、何だかわからないからです。」 
 「…お願いです。私なら平気ですから。」 
 シスコ:「…データの発信源を確定できるか。」 
 キラ:「…距離、0.35光年。コース 229※4、マーク 41。」 
 「…では様子を見に行きますか。」
  
 天体に近づくヨウスコウ。 
 キラ:「だけどこの月が、発信源のはずはないわ。どうしても発信源が特定できないんです。月面からではないようです。」 
 衛星の図を見るシスコ。「これでわかった。人工衛星のネットワークがあるんだよ。どうやら衛星が一つ、故障してるようだな。軌道が一定してない。さっき受信した信号はネットワークが故障を直そうとして出したものだろう。」 
 ベシア:「司令官、センサーに生命体反応があります。月面の 12平方キロほどの地域に固まっています。…人間の可能性もあります。」 
 「はっきり人間だとわからないのか。」 
 「生命パターンが読めないんです。妨害波が激しいので。」 
 「もう少し接近してみろ。」 
 キラ:「人工衛星からスキャンされています。何だかまずい雰囲気だわ。こっちへ向かってきます。」 
 「シールドアップ!」 
 「人工衛星が巨大なエネルギーを蓄積中です。600メガワット。900メガワット。攻撃してきます!」 
 ランナバウトが大きく揺れた。 
 キラ:「シールドダウン! 前方エンジンがやられました。パワーが落ちていきます!」 
 シスコ:「予備ブースターに切り替えて、パワーを補充できるか。」 
 「通常ジェネレーター故障!」 
 「つかまれ、墜落するぞ!」 前方に雲が迫る。「予備燃料室の出力はどれぐらいだ。」 
 「65%までは出せそうです。」 
 「ドクター、船体温度を見ていてくれ。」 
 ベシア:「了解。」 
 キラ:「姿勢制御装置で安定を図ります。」 
 シスコ:「角度を 20度まで上げてみろ!」 
 ベシア:「船体温度、摂氏 900度。950度。1,100度。」 
 キラ:「姿勢が安定しました。」 
 「摂氏 1,200度。1,300度。」 
 シスコ:「反物質タンクを排出。」 
 キラ:「船体角度 60度に上昇。最終停止操作に入ります。」 
 岩だらけの地面が見える。 
 シスコ:「衝撃に備えろ!」 
 大きな音が響き、真っ暗になった。
  
 地表に墜落したヨウスコウは、煙を上げている。 
 ハッチが吹き飛ばされ、咳をしながらシスコが出てきた。 
 内部は燃えている。シスコはベシアと共にオパカを引きずり出し、運ぶ。 
 オパカは目を見開いたまま、全く動かない。 
 ベシア:「司令官。」 
 近づこうとするキラを押さえるシスコ。 
 ベシア:「肺が動いてません。上部胸椎がやられてしまったんです。」 
 キラ:「死なないで下さいオパカ、どうか死なないで!」 
 心臓マッサージを行うベシア。 
 脈を取り、トリコーダーを使う。高い音が響いた。 
 ベシア:「残念ですが。」 
 キラは叫び声を上げ、オパカに抱きついた。目を閉じさせる。 
 オパカの手をつかみ、ベイジョー語で詠唱を始めるキラ。 
 その様子を見ている者がいる。洞窟から、銃を持って近づいてきた。 
 シスコ:「出迎えだぞ。」 
 異星人は何人もいた。
 
 
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※3: Idran DS9第2話 "Emissary, Part II" より
  
※4: 吹き替えでは「距離 0.3光年、コース 223」
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