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ディープスペースナイン エピソードガイド
第151話「砂漠からの呼び声」
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・イントロダクション
※1※2プロムナードの聖堂の前で、ベイジョー人たちが祈りを捧げている。
2階にいたキラに、オドーが話しかけた。「中佐※3。」
キラ:「オドー、やめてちょうだい。」
「何がです?」
「その呼び方よ。2ヶ月前に昇進したばかりだし、何だか堅苦しい。」
「それでロス提督は…いや、『ビル※4』と呼ぶべきでしょうか、到着されましたか?」
「…いえ、3時間以内には到着されるはずよ。何の話をもってくるのか、不安だわ。」
「吉報かもしれません。それなら嬉しいですがねえ。」
「期待しすぎない方がいいわ。声の調子がどこか変だった。」
「沈んだ感じですか?」
「明るいんだけど、無理にそうしてる感じがありあり。」
「なるほど。」
「どんな話でも私が気に入らないことを、提督はご存じなのね。」
「なぜそう断言できるんです。」
「だって任務の話よ。」
「そうか。」
「真剣なのよ?」
笑うオドー。
キラ:「司令官の椅子で重い責任を背負わされたら、それしか考えられない。」
「そりゃあ全く、そうでしょうな。」
キラはベイジョー人たちを見た。「いつからああして祈ってるの?」
オドー:「3日前から。」
「パー・レイス教なんて最初は笑い事だったのに、いつの間にかあの赤い腕章がベイジョー人に広がってる。みんなどうかしてるわ。」
「預言者に見捨てられたと感じているんです。」
「気持ちはわかるけど、それを憎しみや恐れにすり替えるなんて。」
「数々の災難で憎しみと恐れに慣れきってしまった。…ご命令なら、プロムナードを占拠したかどでステーションから追っ払いますが。」
「事態は変わらないわ。選ばれし者が今ここにいたら、こんな事態にはなってない。」
「そろそろ大佐から連絡があってもいいんですが。」
「3ヶ月音沙汰なしよ。」
「ネリス。確かに今は、非常に厳しい状況ですが、希望を捨てちゃいけません。」
微笑むキラ。「いつから楽天主義に転向したの?」
オドー:「…クワークや公衆の面前で、あなたとキスした時からでしょうね。」
「あれは最高のキスだった。」
「人生が変わりました。」

帰還するディファイアント。
オブライエン:「諸君! お疲れ様でした。」
ため息をつくベシア。「10日以上の護衛任務は、法的に禁じて欲しいもんだね。」
ノーグ※5:「その一員として言わせてもらうと、前線に出て戦うよりはずっと安全だ。」
艦長席のウォーフ。「安全を求めて艦隊に入ったのか、少尉。そうなのか。」
ノーグ:「いえ、そういう意味で言ったわけじゃありませんよ。」
「士官たる者は、戦うのが義務である。」
「そうです。」
「犠牲者が増え続ける間にカーデシア侵攻計画が頓挫してしまう。今こそ全員一丸となって、栄光ある戦いに勝利するため出て行く時なんだ。ステムボルト※6の船荷を守って時間を無駄にしてる場合じゃない。」 ブリッジを出て行くウォーフ。
「少佐に弱虫だって思われちゃったかなあ。」
オブライエン:「大丈夫、君だけに言ったわけじゃない。少佐は虫の居所が悪かったのさ。」
ベシア:「ジャッジア以外に目を向けるべきだよな。勧められないけど、戦闘に出れば気が紛れるかもしれない。」
「すぐにディファイアントで戦うことになるさ。ウォーフはランラン、僕らはガッカリ。」
ノーグ:「戦うのが怖いわけじゃないんだ。死にたくないだけさ。…シスコ大佐がいてくれたらなあ。」
「同感だね、ノーグ。同感だ。」

地球。
夜の「シスコの店※7」では、ピアノが演奏されている。
ジョセフ・シスコ※8は客に言う。「今夜は、ザリガニのエトーフェ※9がお勧めですよー。お嬢さんも彼氏も。ご満足頂けますよ。」 笑う。
ピアノを弾いていたのは、シスコだった。
ジョセフ:「ジェイク、5番テーブルの注文を取ってきてくれ。」
ジェイク:「父さんったら、朝の 7時からピアノ弾きっぱなし。」
「お客にも好評だ。」
「おじいちゃん。」
「…いいか、心配なのはわかるが、やつは答えを求めてもがいてるんだ。そっとしておいてやろう。」
「でももう 3ヶ月もあんな調子だ。預言者と通じ合う方法を探すために地球に来たのに、元に戻すって。お店から一歩も出ようとしない。」
シスコが弾いているピアノの上に置いてあった野球ボールが転がり、床に落ちた。
それを取ろうとしたシスコは、動きを止めた。ボールを見つめる。

砂の上に転がっているボール。心臓の鼓動。
砂漠にいるシスコはスコップを使い、一心不乱に砂を掘っている。
更に手で掘ると、布に包まれた物が現れた。
布を取ると、それは石像の顔だった。
だが顔に光が走り、人間の顔が現れた。その女性は目を開ける。

ジェイクはシスコの肩をつかんだ。「父さん? 大丈夫? 父さん。」
シスコ:「預言者からのビジョンが見えた。私はタイリー星※10の砂漠にいて、地面を掘ってた。…すると人の顔が見えた。ある女性の顔だ。」
「それで?」
「それだけさ。」
「誰だったの?」
「初めて見る顔だった。だが地球に戻ってきた意味がわかったよ。彼女を探さなくては。必ずな。」


※1: このエピソードは第7シーズン・プレミアです。最終シーズンの始まりで、西暦は 2375年となります

※2: 冒頭に前回のあらすじが含まれますが、その最後のメイジェル・バレットのナレーションでは "And now, the continuation." となっています。これは今回のエピソードではストーリーが完結しないためで、前後編の場合の "conclusion" (結末) とは異なっています。ただし最後に "To Be Continued..." とは表示されません

※3: 原語では "Colonel"。これは通常では「大佐」で、中佐は "Lieutenant Colonel" となります。キラが "Lieutenant Colonel" という記述は全くないようです。ただしベイジョー軍部 (Bajoran Militia) の階級制度が、必ずしも現代のアメリカ陸軍と合致している必要はないわけですから、訳としては中佐としても間違いではないと考えられます (逆に言えば Major=少佐である必要もない)。シスコとの区別を考慮すれば、中佐というのが一番良いのかもしれませんね (参考: 階級早見表)。オープニングクレジットも "Colonel Kira" に変更されました

※4: Bill
エンサイクロペディアでは "William" の愛称とされています。ロスのファーストネームが言及されるのは初めて

※5: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) 前話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」に引き続き登場。声:落合弘治

※6: セルフシールのステムボルト self-sealing stem bolt
有用な装置。DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」など。訳出されていません

※7: Sisko's

※8: Joseph Sisko
(ブロック・ピーターズ Brock Peters) 地球の都市ニューオーリンズにある、レストランのオーナー。DS9第137話 "Far Beyond the Stars" 「夢、遥かなる地にて」以来の登場。声:城山堅

※9: crawfish etoufee

※10: タイリー Tyree

・本編
パッドに映し出された、ロミュランの顔。
ロス※11:「中佐、何一つ心配するようなことはない。クレタク議員※12に会えばわかるが、彼女は非常に…協力的だ。」
パッドをテーブルに置くキラ。「ロミュランにしてはね。」
ロス:「この戦いに勝つには、彼女のようなロミュランの強力な支持者が必要だ。」
「仮にロミュランがいなければ我々が全滅するとしても、好きになれません。私ならステーションにロミュラン軍の駐留を許可する前に、更なる熟慮を重ねますね。」
「ここに来るのは議員本人と参謀だけだ。」
「そしてその取り巻き連中。」
「せいぜい 12人程度。それに戦いが終結するまでの、一時的滞在だ。」
「終結の見通しは?」
「…一つはっきりさせておこう、中佐。私は君のために説明に来ただけで、決断は既に下されている。」
「では従うしかありません。」
「そういうことだ。……君はシスコ大佐に代わって、よくやってくれている。」
「大佐の椅子を暖めているだけ。」
「…彼の帰還を信じているのか。」
「提督は?」
「……また連絡する。」 司令官室を出て行くロス。
キラはボールの置き台を手に取った。

カーデシア・プライム。
ダマール※13:「我々はクリンゴンのモナック4※14 進撃を阻止した。敵の死傷者はおよそ 3割に上る。」
ウェイユン※15:「案外低いですねえ。一応おめでとうと言っときましょう、ダマール。だがチントカ星系に閉じこめられている敵を全滅させるまで、逃がしてはなりません。」
「一杯勧めたいが、あんたはカナールが苦手だったな。」 ボトルを取り出すダマール。
「というよりあなたが傾倒しすぎているんです。」
「全くカナールを飲まないカーデシア人など、信用できないもんでねえ。」 ダマールは飲み干す。
「一ついいですか。独りで飲む時はグラスで飲むんですか、それともボトルから直接…飲むんですか。」
「その時の気分による。今日はめでたいからグラスだ。我々はガル・デュカットに恩義がある。」
「……残念ながらそのようです。ともかく、パー・レイスをワームホールに解き放したことで、勝機が我々に傾いたのは事実です。」
「何が起きてるかおわかりか? ワームホールの中でだよ。」
「ふーん、わかりません。」
「預言者とパー・レイスが天空の戦いに…封じ込められたのだ。素晴らしい。」
「あなたがそれほど想像力豊かだったとは意外ですねえ。」
「これも一面に過ぎんさ。」
「忠告しておきます。想像力を働かせすぎるのは…危険ですよ。」

シスコの店。
シスコは手に大型のパッドを持っている。
その画面では、ビジョンで観た女性の顔をモンタージュで再現しようとしていた。
ジェイクが近づく。「…父さん、おじいちゃんとアームストロング・パーク※16にコンサートに行くけど、父さんもどう?」
シスコ:「行っておいで。」
「…それ誰?」
「ビジョンに現れた女性だ。顔を忘れないうちにね。それじゃあ明日。」 ジェイクにキスするシスコ。
「この人、見たことあるよ。」
「どこで。」
「…写真でだ。うん、ちょっと待ってて。」 2階に取りに行くジェイク。
シスコはため息をつき、顔を作り続ける。
戻ってきたジェイクは、一枚の写真を見せた。「ほら、やっぱり。見て。この人でしょ。」
若いジョセフと一緒に映った写真だ。「おじいちゃんと写ってる。どういうことだ。誰なんだ。」
ジェイク:「おじいちゃんに聞けばわかるよ。」
ジョセフが来ていた。「聞くって何を?」
シスコは写真を見せた。「この女性ですよ。」
すぐに取り上げるジョセフ。「どこで見つけた。」
ジェイク:「先週倉庫を掃除してた時拾ったんだよ。おじいちゃんに聞こうと思ってた。」
シスコ:「一体誰なんです。」
ジョセフ:「誰でもない。いいか、この女のことは忘れろ!」
2階へ上がっていくジョセフ。


※11: ウィリアム・ロス提督 Admiral William Ross
(Barry Jenner) 前話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」に引き続き登場。声:石波義人

※12: Senator Cretak

※13: Damar
(ケイシー・ビッグス Casey Biggs) 前話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」に引き続き登場。声:古田信幸

※14: モナック4号星 Monac IV
恐らく DS9 特殊映像効果監修の Gary Monak にちなんで

※15: Weyoun
(ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) 前話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」に引き続き登場。声:内田直哉

※16: Armstrong Park

結婚式の時の、ウォーフとダックスの写真。
眠れないウォーフは写真立てを手に取り、見つめた。
ベッドに横たわるが、目を閉じない。

ヴィック・フォンテーン※17は話しかけた。「やあ、相棒。随分ご無沙汰だったなあ。」
制服を着たウォーフ。「護衛任務でね。」
ヴィック:「そりゃあ退屈そうだ。」
「最低だった。」
「そうか。気分転換なら、このヴィックの店に任せろ。さあ、何をやる? ブラックジャックでスリルを味わうかい?」
「歌を唄え。」
「そりゃあ賛成できないなあ。」
「歌うんだ。」
「なあ、相棒。なぜ傷に塩をすり込むような真似を。」
「お前はホログラムだ。黙って私の言うことを聞け。歌を唄え。」
「わかったよ、かけてくれ。後で僕を恨むなよう。そうだ、ジョーイから聞いた話を思い出した…」
「早く!」
「おやおや、こりゃマジだねえ。みんな、よろしく頼むぞう。」
演奏が始まり、歌うヴィック。
When somebody loves you
It's no good unless he loves you
All the way
椅子に座ったまま、微動だにせずに聞き続けるウォーフ。
Happy to be near you
When you need someone to cheer you
All the way
Taller than the tallest tree is
That's how it's got to feel
Deeper than the deep blue sea is
That's how deep it goes if it's real
When somebody needs you
It's no good unless he needs you
All the way
Through the good or lean years
And through all the in-between years
ウォーフはため息をつき、テーブルクロスを握りしめる。
Come what may
For who knows where the road will lead us?
Only a fool would say
But if you let me love you
It's for sure I'm gonna love you
All the way...
ゆっくりと立ち上がるウォーフ。
突然叫び、テーブルをたたき割った。演奏を止めるバンド。
ウォーフは暴れ続けた。

ロミュランのクレタク議員※18が、持ち込んだ機械をチェックしている。「モニターがまだオフライン状態ね。1時間以内に使えるようにしてもらいたいわ。」 中央の椅子に座る。「ほかの椅子もこんなに座り心地が悪いのかしら。」 うなずく部下。
キラが部屋に入る。「申し訳ありません。でもご心配なく。すぐ慣れます。」
クレタクは立ち上がった。「ええ、もちろん。キラ中佐ですね?」
キラ:「お出迎えにうかがえず、大変失礼いたしました。実は…」
「ご説明は結構。お忙しいことは存じてます。」
「…お部屋にご満足頂けるといいのですが。椅子よりは快適だと思います。」
「きっと、そうでしょうねえ。こんなことを問題にするつもりはありません。」
「と言いますと?」
「ロミュラン人は傲慢で通っていますから、残念ですが否定できません。」
「でもあなたは違うわ。…ロス提督からそう聞いています。」
「提督とは仕事上、いい関係が続いています。中佐とも同じようになりたいと。」
「そう願います。」
「では共通の目標に向かって、共にがんばりましょう。ドミニオンを破壊するまで。」 うなずくクレタク。
キラもうなずき、部屋を出て行った。

ヴィックの店は、壊れたボトルなどが散らかっている。
ベシア:「ウォーフの仕業?」
ヴィック:「そういうことだ。ここで暴れたのは初めてじゃないんだ。もうどんなに脅されたって、『オール・ザ・ウェイ』※19は二度と歌わないぞ。聞きたかったら、シナトラのアルバムを買えばいい。」
「あの歌は…ジャッジアの好きな歌だったんだ。悪いな、ヴィック。けどウォーフを許してくれ。まだ死を受け入れられないんだ。」
クワーク:「俺だって同じ気持ちだけど、暴れたりしないぞ。」
「妻が死んだんだ。」
「妻にしたかった!」
「何かおかしいな。」
ヴィック:「僕もそれを感じだよ。」
「クリンゴンでは、地球人※20より喪に服する時間が短い。地球人※20より早く死を受け入れる。」
「何かおかしくさせてる原因があるんだ。本気でやつを救ってやれ。今すぐ。バンドの連中が逃げ出す前にな。」
クワーク:「そりゃあありえないな。ホログラムだぜ?」
「自覚してないんだぞう?」
ベシア:「何とかしよう。」
「頼んだぜえ、相棒。」
「任せてくれ。ジャッジアが死んで、みんなおかしくなってるんだ。」
壊れたライトのかさをヴィックに渡し、クワークもホロスイートを出て行く。

ジョセフは独りでテーブルについていた。
降りてきたシスコは、話しかける。「父さん。」
ジョセフ:「まだ起きてたのか。」
「…質問に答えてくれるまでは寝ないぞ。」
「さっき言ったはずだ。彼女は誰でもない。」
「そんな説明じゃ納得できないよ。」
「…首を突っ込むな。」
「…できないね。彼女を見た。」
驚くジョセフ。
シスコ:「預言者のビジョンで、彼女は砂漠にいたんだよ。」
「ありえない話だ。」
「いや、この目で…見たんだ。」
「不可能だよ。」
「父さん、頼むよ! 何者なんだ。」
うろたえるジョセフ。「すまないが、何も話したくない!」
シスコ:「父さん。」
席を立つジョセフ。「だめだ!」
シスコはジョセフをつかんだ。「いや、話してもらうよ! 僕は彼女の正体を知る必要があるんだ!」
ジョセフを離し、外の椅子に腰掛けるシスコ。
ジョセフは口を開いた。「彼女の名前はサラ※21。31年の 6月に出会った。ジャクソン・スクウェア※22でねえ。サラは父さんがそれまで出会った女性で、一番美しい人だったんだ。…2ヶ月後……結婚した。」
シスコ:「…結婚? 母さんと結婚する前の話か。」
「…ちょっと込み入った話でな、ベンジャミン。実は…お前を産んだのはサラなんだ。」


※17: Vic Fontaine
(ジェイムズ・ダーレン James Darren) 前話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」に引き続き登場。声:堀勝之祐

※18: Senator Cretak
(ミーガン・コール Megan Cole TNG第117話 "The Outcast" 「両性具有ジェナイ星人」のジェナイ人、ノア (Noor) 役) 声:定岡小百合

※19: "All the Way"
セリフ中にもあるように、フランク・シナトラの歌。CDアルバム "This One's from the Heart" に収録されています

※20: 「人間」と吹き替え

※21: Sarah

※22: Jackson Square

カップを持ってくるシスコ。
ジョセフ:「サラとの結婚生活は 2年で終わった。サラはとても幸せそうで、私も満足してた。…だがお前の誕生日の 2日後、突然いなくなった。」
シスコ:「いなくなったって、どういうこと?」
「…出て行ったんだ。」
「なぜ。」
「…何百回とその疑問を自分に問い続けたが、答えを見つけられなかった。」
「その後の消息はつかめなかったのかい?」
「3年がかりで探し当てたよ。彼女はホロ写真家※23として、オーストラリアで暮らしていた。」
「会って話がしたい。」
「無理だ。」
「どうしても会う必要がある。」
「もう死んでる。彼女は消息をつかむ 1ヶ月前に、ホバークラフト※24の事故で亡くなっていたんだよ。わしはサラを愛し、彼女も…わしを愛してくれた。それは信じてる。」
「なぜ今まで隠していたの?」
「何度も、お前に…話そうとした。けどお前は幼かったからねえ。」
「もう大人だ。」
「話さない方がいいと思っていたが、間違っていたな。」
「言い訳にはならない。」
「わかってる。すまなかった! だがいいか。お前と義理の母さんは、とても仲が良かった。彼女は、お前を笑わせるのがとても上手でな。二人の関係をぎくしゃくさせたくなかった。」
「母さんを愛してた。それは何があっても変わらない。」
「あれも同じことを言ってた。」
「だったら信じるべきだった。」
「ああ。人生には様々な選択がある。最善を願って選んだ道が、正しい時もあれば…間違う時もあるさ。…お前には話すべきだった。」
「ああ。そうだね。」 シスコは立ち上がり、厨房に入る。
「…でも、わからないのは何だって預言者はお前にサラの幻想を見せたりしたんだろう。」
「僕が次に何をするべきか、それを知るために地球に戻った。実母に関する真実を知ることが、この旅の第一歩なのかもしれない。」
「もうこれ以上預言者にはわしの人生に首をつっこまないで欲しいもんだよ。」
「父さん、ほかに隠してることはないだろうね。」
「オクラ※25のレシピぐらいかな。だが、あれはあの世にもっていこう。」
笑うシスコ。

DS9。
プロムナードを歩いていたキラは、足を止めた。
「こちらなどは。」 クレタクが品物を選んでいる店。「いかがですか?」
微笑むキラ。
キラに気づいたクレタクが近づく。「中佐。今おうかがいするところでした。…何か。」
キラ:「いえ、別に。ロミュランがジャムジャ・スティックを食べるとは思いもよらなかったもので。」
「ちょっと…興味を引かれて。」
「お味は?」
「何というか…独特の味ですね。」
「甘すぎて、私は苦手なの。」
「ではロミュランの酸っぱいオソル・トゥイスト※26を。いけますよ。」
「ぜひ今度。」
「ところで明朝我が軍の艦隊が、修理のためステーションに到着する予定です。」
「ロミュラン用の部品をレプリケートするよう、チーフに伝えます。」
「助かります。ベイジョー人の有能さには驚きです。」
「最高にお褒め頂いて光栄ですわ。」
「ああ、それからもう一つ。ベイジョーの 4番目の衛星ですが。」
「デルナ※27?」
「あそこは無人でしたね。」
「前回の調査では。」
「ロミュランの医療施設建設をベイジョー政府が許可するでしょうか。大勢の負傷者が母国に帰り着く前に、倒れています。」
「政府に聞いてみましょう。」
「よろしくお願いいたします。」 礼をし、歩いていくクレタク。
キラは笑顔で見送る。

廊下を歩くベシア。「胸の内を吐かせろ。でもお前からジャッジアの話をするな。」
オブライエン:「ウォーフは彼女の話をしたがらない。」
「そうかもしれんが、それが癒しになるんだ。雰囲気が整えば話すさ。」
持ってきたボトルを見せるオブライエン。「これがあればバッチリ。2301年もの。ブラッドワインの当たり年。」
ベシア:「後は君に任せよう。一本で足りるのか。」
ドアチャイムを押すオブライエン。「じゃな、ジュリアン。」
歩いていくベシア。
出てきたウォーフは意外だったようだ。「チーフ。」
オブライエン:「入ってもいいかい?」
「なぜだ。」
「久しぶりにこれで一杯やろうと思ってさあ。」 部屋に入るオブライエン。「グラスはあるかな。」
「どれも汚れてる。」
「グラスなんていらない。」 オブライエンはボトルを開けた。「乾杯!」 直接口にする。「うーん、いけるぞう。」
ウォーフも味を見る。「うん、滑らかだな。ではおやすみ。」 オブライエンを連れだそうとした。
オブライエン:「ちょっと待てよ。今来たばかりだぜ?」
「楽しかった。」
「頼むよ、話をしに来たのに。」
「何の話を。」
「何でもいいさあ。友達や、エンタープライズ号。あいつ、何て名前だったかな? バークレイだったっけ?」 勝手にソファーに座るオブライエン。
仕方なくつき合うウォーフ。「忘れられるもんか。」
オブライエン:「何だっけ、あのホロスイート・プログラム。」
「三銃士だ。」
「ああ、ジョーディが剣を振り回してたなあ。」 笑うオブライエン。交互にブラッドワインを飲んでいく。

クワークの店。
オブライエンは、クワークが持ってきたカップを口にした。「ああ。ああ…生き返った。」
クワーク:「それで、何かわかったか?」
「…クリンゴン人と酒飲み競争はしないこと。」
「ああ、そうだな。で、2人で何を話した?」
ベシア:「放っとけよ。」
「そうはいかない。イカレたクリンゴン人がホロスイートの店をブチ壊すのに飽き足らなくなって、ここで暴れたら困る。」
「で、何を話した。」
オブライエン:「あれこれさ。ロシア育ちの息子のアレキサンダーのこと。ガフの正しい食べ方。」
クワーク:「それとジャッジアのことと、どうつながるんだよう。」
「何にも。2人で 3本目のブラッドワインを開けた 4時頃まで、ジャッジアの話は全く出なかったんだ。これちょっと甘いな。」
ベシア:「マイルズ、それでジャッジアのことは何て。」
「彼女はスト・ヴォ・コー※28にいないって。」
クワーク:「クリンゴンの天国か? そりゃ当然だろう、クリンゴン人じゃないんだ。」
「ウォーフに言わせるとクリンゴン人だ。彼女はマートクの家の一員だ。」
ベシア:「それで何で彼女はスト・ヴォ・コーにいないんだ。」
「一つはだな、彼女が敵の心臓を食べたことがないから。」
クワーク:「彼女、あれで神経質だった。」
「それから、栄光の戦いで死ななかったから。」
「冷血なパー・レイスに殺されたのは、その範疇に入らないのか?」
「ウォーフが何を悩んでるか知りたいか?」
ベシア:「まだあるのか。」
「実は、ジャッジアを確実にスト・ヴォ・コーに送る方法というのがあるんだそうだよ。ウォーフが彼女の名において、戦いに勝つこと。」
クワーク:「トンゴで負けてやってもいい。」
「その程度じゃな。自分で道を切り開き、ジェムハダーたちをやっつけなきゃな。」
「何でクリンゴンは何でも流血沙汰にしたがるんだ?」
ベシア:「確かにウォーフは護衛任務に飽き飽きしてる。ロス提督に話をしてみるか。」
オブライエン:「さあ、どうかな。こう言う気かい? 『提督、ディファイアントで考え得る限り、最も危険な任務に出して下さい。ジャッジアをスト・ヴォ・コーに送るためです。』」
クワーク:「いいじゃないか。」
ベシア:「じゃ、頼むよ。」
オブライエン:「……マートク将軍はどうかな。明日の朝にはステーションに到着する。」
「いいね。クリンゴン人を救えるのは、クリンゴン人だ。」
「うーん。」

貝を洗っているシスコに、ジョセフが話しかける。「穏やかな晩だな。」
シスコ:「そうだね。」
「サラのことを考えてたのか?」
「いや、ジャッジアを思い出していたんだ。…彼女はいつも僕のそばにいて、いろいろ助けてくれた。寂しいよ。」
「そうだろうな。これお前に…渡しておこう。サラの物だ。もっていて欲しい。本人も喜ぶだろう。」
シスコは手を拭き、その首飾りを手にした。「大事にするよ。」
ジョセフ:「ロケットの裏に、文字が刻んである。」
明かりの下で、文字を見るシスコ。目を見張る。
ジョセフ:「どうしたんだ?」
シスコ:「これは、古代…ベイジョー語だよ。」
「文字の意味は?」
「わからない。早速調べてみるよ。」


※23: holo-photographer

※24: hovercraft

※25: gumbo

※26: osol twist

※27: Derna

※28: Sto-Vo-Kor
クリンゴンの名誉ある死者が向かう、死後の世界。VOY第123話 "Barge of the Dead" 「さまよえるクリンゴンの魂」など

パッドを並べ、操作するシスコ。
料理の仕度をするジョセフ。「それにしてもなぜサラがベイジョーの文字を刻んだロケットをもっていたのか。彼女からベイジョーという言葉を聞いた覚えさえない。」
ジェイク:「ベイジョー語と知らなかったか、誰かからの贈り物かも。」
シスコはテーブルを叩いた。「よし! わかったぞ。」
ジョセフ:「それで?」
「文字の意味は、『選ばれし者の発光体※29』だ。」
ジェイク:「そんな物があったことも知らなかったな。」
「パパだって初めて聞いた。ベイジョーの古文書にも、そのことは記されていない。」
ジョセフ:「行き詰まってしまったようだな。」
「そうでもない。発光体が実在したら。ワームホールが消滅した時、ほかの発光体のようには消えなかったのなら。」
ジェイク:「発光体を探し出せば、預言者たちと通じ合う方法がわかるかも。」
「必ず見つけ出してみせる。」
ジョセフ:「だがどこから探す? 何か手がかりはのか?」
「タイリー星さ。」
ジェイク:「何で?」
「だって預言者のビジョンが現れた場所が、タイリー星の砂漠だったからねえ。」

DS9。
上級士官室のコンピューターを確認している士官たち。
クレタク:「最新の犠牲者報告ですか?」
キラ:「チントカ星系でドミニオンの反撃を受けました。ロミュランもかなりの攻撃を受けたのでは。」
「ですが何とかもちこたえています。……それに今では、デルナの医療施設で負傷者の手当が可能になったので、助かってます。これも中佐のおかげですね。」
「いえ、私は要求を伝えただけで、決定したのは上の者です。」
「中佐のお口添えのおかげです。ロミュラン人はみんな恩義を感じてますよ。」
「覚えておきましょう。」
うなずくクレタク。

部下に指示するオドー。「これを調べておいてくれ。」 通りかかったキラに話しかける。「ちょっとよろしいですか。」
キラ:「ええ、何?」
「実は今朝、負傷者で満杯の宇宙艦隊輸送船が、デルナのロミュラン医療施設のドックに入ることを拒否されました。」
「ほかの種族用の設備が整っていなかったとか…。」
「怪我人の多くがヴァルカン人だと気づくまでは、私もそう考えていたんですが…」 聖堂の前で、パー・レイスに祈っているベイジョー人たちがいる。「ヴァルカンとロミュランは共通の生理機能をもっているんです。」
「互いの不信感も共通してる。対ドミニオンの同盟同士でも、それは消えないわ。」
「確かに。ですがセンサーの数字は、どう説明します?」
受け取ったパッドを見るキラ。「高濃度のトリリチウム※29・アイソトープね。」
オドー:「デルナにロミュランのプラズマ魚雷※30があることを、はっきり示しています。」
「調べてみるわ。」

バトラフ。ウォーフは戦闘用の服に身を包み、独りで訓練している。
ホロスイート※31に入るマートク将軍※32。ドアが消える。
マートク:「覚悟しろ、ウォーフ!」
戦い始める 2人。
マートク:「それで、護衛任務は楽しんだかね?」
ウォーフ:「いいえ。」
戦いを続ける。
マートク:「軟弱になったんじゃないかと心配してた! …私は副官を探してる。非常に危険な任務だ。」
ウォーフ:「どう危険なんです。」
「ジャッジアのスト・ヴォ・コー行きを保証するほど危険な任務だ。」
ウォーフはマートクのバトラフをはね飛ばした。倒されるマートク。
ウォーフ:「それなら、ここに適任者がおります。」
マートク:「…結構。」
ウォーフはマートクを起こした。
マートク:「勝利を期待しているぞ、ウォーフ。」
ウォーフ:「私にお任せ下さい。」

シスコたちは笑いながら厨房を出る。
ジェイク:「今までいくつのハマグリを洗ったかな。」
シスコ:「数えきれん。今夜が最後になるはずだったが、ふと思ったんだ。明日の旅に、ハマグリの袋を 2、3 もっていくかな。タイリーに着くまでの暇つぶしになるだろう。」
「……冗談でしょ、父さん。」
「ジェイク。二度とハマグリは見られないなんて…」
「当分ごめんだろ…」
「冗談だって!」 笑う二人。ジェイクは中に戻った。
口笛を吹くシスコは、明かりの下にフードを被った人物がいることに気づいた。「何か、御用かな。」
近づく男。「選ばれし者。ようやくお目にかかれました。この聖なる瞬間は、長く記憶に留められるでしょう。」 ベイジョー人※33だった。目を閉じ、詠唱を始める。礼をした。
シスコ:「古代ベイジョー語だね。」
微笑むベイジョー人。「さすがは選ばれし者。」
シスコは礼を返す。「…そりゃあどうも。だが今は、選ばれし者は仕事に戻ります。」
近づくベイジョー人。「あなたの仕事は終わった。あなたが探している発光体。選ばれし者の発光体ですが…」
シスコ:「今何と言った。」
その瞬間、ベイジョー人はナイフを取り出し、シスコに切りかかった。
腹を切られ、血が噴き出す。
ベイジョー人:「絶対見つからない!」
倒れるシスコ。
その時、ジェイクは大きな袋でベイジョー人の頭を殴った。気を失うベイジョー人。
ジェイクは苦しむシスコに近づく。「おじいちゃん! 大変だ!」


※28: Orb of the Emissary

※29: trilithium
高エネルギーで有害な物質。TNG第144話 "Starship Mine" 「謎の潜入者」など

※30: plasma torpedo

※31: ホロデッキ&ホロスイート・プログラム名「バトラフ戦闘訓練 (Bat'leth combat workout)」。VOY第66話 "Displaced" 「消えてゆくクルー達」でも

※32: マートク将軍 General Martok
(J・G・ハーツラー J.G. Hertzler) 前話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」に引き続き登場。声:大山高男

※33: ベイジョー人男性 Bajoran man
(Johnny Moran) 声:土田大

シスコの店。
いつものように店内は賑わっている。
客に説明するジョセフ。「本日のスペシャルは、エビのクレオール風です。ああ…つまりエビのバーベキュー※34ですなあ。ああ、ちょっと失礼。」 シスコとジェイクが戻ってきた。「遅かったなあ! 2時間前に病院を出たはずなのに、どこうろついてた。」
シスコ:「艦隊保安部に報告することがあってね。」
「それで例のベイジョー人は、何者だった。」
「パー・レイスを崇拝する教団の一員だよ。連中は預言者の消滅が、ベイジョーに新しい時代をもたらすと信じている。」
「タイリーに行くなと言っても、お前はもう行くつもりなんだろう?」
「教団のことが心配なら…」
「そのことは何も心配しちゃおらんよ。だがお前が例の発光体を探していると連中が知ってるなら、パー・レイスだって…知ってる可能性はあるぞ。わしゃそれが心配なんだよ。」

DS9。
ジョッキを掲げるオブライエン。「では、ウォーフに乾杯。任務の成功を祈ろう。」
ベシア:「カプラ。」
クワーク:「あんたらの気持ちがわからんねえ。クリンゴン艦隊は、モナック4 でドミニオンの造船所破壊に失敗したんだぞ。たった一隻の船に何ができるって言うんだ?」
「不意打ちの効果さ。」
「俺に言わせりゃそんなの任務じゃない。自殺行為だ。」
「落ち込むこと言うなよ。」
「何で。関係ないだろ。」
ベシアは何も言わない。
オブライエン:「……何考えてる。」
ベシア:「こんなに真剣になったの初めてだ。ジャッジアをスト・ヴォ・コーに行かせてやるんだ。」
クワーク:「何で彼女がそこに行きたがってると、確信をもって言えるんだ? 俺には全然思えないね。どんなところか想像してみろよ。大勢のクリンゴンが暴れ回ってる。大声張り上げて、汗まみれでゲップを吐きながら。」
「この店のサタデー・ナイトだな。」
「そんなところにずっといたいもんか。」
オブライエン:「それ言えてるよな。ジャッジアが行くしかないとしたら、トリルの寿命が尽きて仕方なく行く場合さ。」
ベシア:「僕ほど、彼女と親しくなかった君にはわからないさ。これは彼女の思い出に栄光を与えるチャンスだ。この件については、もう口を出さないでくれ。」
「…俺が何を言いたいかわかる?」
「ああ。そんな怪しげな目的に、命を賭けるなだろ。」
「いや。俺もつき合うよ。無謀な目的に、命を賭けようとしている友のためにね。」
クワーク:「あんたまで行く気か?」
「無事戻れるよう、俺がついて行かなきゃ。」
「ハ!」
ベシア:「マイルズ、何と言っていいか、感動したよ。」
「全く泣かせるねえ。どうしてもジャッジアをスト・ヴォ・コーに行かせたいのか? よし、わかった。いいだろう。だが、もうちっと賢い方法はないのか? 寄付を募るとか、買収するとか。」
ベシア:「それじゃダメなんだよ、クワーク。」 店を出て行く。
クワークはため息をついた。
オブライエン:「それができたらな。」

クレタクと話しているロス。「第三艦隊から、2度の攻撃要請がきています。」
クレタク:「早速対応しましょう。」
「では、次…」
上級士官室に入るなり、話すキラ。「議員! ベイジョー内閣から、あなたに伝言を預かってきました。」 クレタクにパッドを渡す。
ロス:「話なら会議が終わってからに…」
「急を要します。」
クレタク:「はあ、そうですか。デルナでは歓迎されてないようですね。」
ロス:「病院を閉めろと言うのか?」
キラ:「いえ、問題は病院では。」
「では何だ。」
「ロミュランはデルナで、7千のプラズマ魚雷を秘密裏に配備しています。」
「…ほんとですか、議員。」
クレタク:「防衛目的のための配備です。」
キラ:「ベイジョーは同意できません。速やかなる撤去を要求します。」
「それは無理というものです。」
ロス:「少し冷静になれば、互いに妥協点を見いだせるはずです…」
キラ:「今回は無理です。ロミュランのデルタ駐留は、ベイジョーへの直接的脅威と考えています。」
クレタク:「馬鹿馬鹿しい! 事前にベイジョー政府にお知らせしなかったのは、同盟軍だからその必要はないと判断したからです。」
「すぐに撤去願います。」
「病院が危険にさらされます。」
「安全はベイジョーが保障します。」
「それはとても、受け入れられません。」
「あくまで拒否なさるなら、こちらでやるまで。」 出て行くキラ。

カーデシア。
部下に指示するダマール。「直ちにサードのガル・ヤルター※35に送ってくれ。」
入れ違いに部屋に入るウェイユン。「聞きましたか? ロミュランがベイジョーの衛星を乗っ取り、武器配備を強固にしたという噂です。」
ダマール:「それではベイジョー人は気が気じゃないだろうなあ。」
「でしょうねえ。これは対ドミニオンの同盟関係が崩れかねない、実に不幸な状況ですねえ。」
「ふん。気の毒なことだ。」
「ロミュランか。やはり油断ならない連中だ。」

荷物をまとめたシスコが降りてくると、既にジョセフとジェイクが待っていた。
シスコ:「二人とも何してる。」
自分の荷物を見せるジョセフ。
シスコ:「…父さん、なぜ店を開けないんだ。」
ジョセフ:「わしらも休暇を取って、タイリーに行く。」
ジェイク:「一緒に行くよ、父さん。」
シスコ:「二人ともどうかしてるぞ。」
ジョセフ:「どうかしてるのは血筋でね。」
「……もう出るばっかりという、出で立ちだな。」
ジェイク:「ああ、歯ブラシもちゃんと入れたよ。」
ドアを叩く音がする。
ジョセフが対応に出る。「ああ、お客を断るってのが一番辛いねえ。」 カーテンを開けると、店の外に若い女性が立っていた。「申し訳ないが、店は休みだ。」
ドア越しに話す宇宙艦隊士官。「構いません。食事じゃなくて、ベンに会いに来たんです。」
ジョセフは迎え入れた。「ああ。そりゃよかった。あと 5分遅かったら、会えなかったよ。」
ピアノを弾いているシスコに、女性は話しかけた。「久しぶり、ベンジャミン。」
誰だかわからないシスコ。「…どこかで…」
そのトリル人は言った。「私よ、ダックス※36。」


※34: barbecued shrimp

※35: Gul Yalter

※36: エズリ・ダックス少尉 Ensign Ezri Dax
(ニコール・デボア Nicole deBoer 1997年の映画「CUBE」などに出演) 第7シーズンだけの新レギュラー。もちろんオープニングクレジットにも加わっています。まだファーストネームは言及されていません。声:石塚理恵、VOY ワイルドマン少尉など

・感想
ついに始まった最終シーズンの第一話は、実質的には連続ストーリーの中間にあたるものでした。前回のシーズン・フィナーレに比べると展開はゆっくりですが、その分さまざまなキャラクターたちの会話シーンが深く描かれていますね。誰もが期待した新キャラクターが出るのはいつかと期待してたら、ほんとに最後の最後で…お決まりとはいえ、やはり上手いですね。デボアは第7シーズンだけの登場ですが、人気が出そうです。
シスコ一家と発光体、ジャッジアをスト・ヴォ・コーへ送ろうとするウォーフたち、ロミュランの不穏な動きに対処するキラ、それにダマールとウェイユンがつけこむのかどうか、そして新たなダックスの詳細。今週以上に次回が楽しみです。


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