ディープスペースナイン エピソードガイド
第40話「戦争回避」(前)
The Maquis, Part I
イントロダクション
DS9 に係留しているカーデシア船。 カーデシア人たちが貨物を運び、チェックされていく。みな中へ入った。 そこへ、エアロックで作業していた宇宙艦隊の男が近づく。周りを気にしている。 カーデシア船のパネルを外し、作業に取りかかった。 報告するダックス。「カーデシアの貨物船ボックノール※1が、3分後に離陸する許可を求めてきています。」 キラ:「ボリアン船がコース 101、マーク 38 で接近中。そのコースを避けて発進するように伝えて?」 「了解。」 「今晩一緒に食事でもどう?」 「今夜はボデイ艦長※2と約束があるのよ。」 「ガラマイト人※3の? まさか彼とデートするわけ?」 「…デートしちゃいけない?」 「いいえ…全然?」 「彼って頭いいのよ? 脳のサイズは私達の倍あるんですからね?」 「知ってるわよ、見たもの?」 「頭蓋骨が透けるのはガラマイト人の特徴でしょ?」 「…それはわかってるけど…でも、脳みそを見ながら食事ってのは、ちょっとね。」 「キラ、あなたって少し男の人の見かけにとらわれすぎてるんじゃないの?」 「それはどういう意味?」 「別に?」 「だって、おやすみのキスをする時、唇が見えた方がいいじゃない?」 「人生 7回も生きると視野が広くなるのよ。」 「私は一回きりの人生ですからね? どんな男と付き合うか、慎重に選ばなくちゃ。」 「私が慎重じゃないって言いたいの?」 「フェレンギ人とは付き合わないなあ。」 「それは一体どういう意味?」 「別に?」 「…第1目標塔の係留クランプを解除。…おかしいわ。この急な上昇は…。DS9 よりボックノールへ、エンジンを停止せよ。直ちに全エンジンを停止せよ!」 DS9 を離れたボックノールは、すぐに爆発した。 揺れるステーション。 キラ:「報告せよ。」 ダックス:「何らかのインパルスのオーバーロードのようです。」 「司令室より全工学技術クルーへ告ぐ。直ちにレスキューステーションへ集合せよ! SID※4 に対応する…」 「船は木っ端微塵よ? 救おうにも何も残ってないわ。」 散らばる船の破片。 |
※1: Bok'Nor 映画 ST3 "The Search for Spock" 「ミスター・スポックを探せ!」の商船 (Merchantman) の使い回し ※2: Captain Boday 初言及 ※3: Gallamite ※4: S.I.D. (救助が必要な船=ship in distress) の略。この部分は訳出されていません |
本編
破片の近くを飛行するランナバウト。 スキャンを見るオブライエン。「ケリンダイド※5、ロデニウム※6。これらの物質は、カーデシア船でよく使われているものばかりです。」 キラ:「インパルスジェネレーターの故障だったんじゃない?」 「そう思いたいところですけどね。まだわかりません。」 「…カーデシアが事故についてまだ何も言ってよこさないのが不思議だわ。」 シスコの通信が入る。『何かわかったか。』 オブライエン:「爆破装置は、まだ発見できません。」 『上部にさっきからずっと報告を急かされているんだ。純粋な事故らしいと報告して構わないか。』 「いえ、まだ何とも言えません。」 『いつわかる。』 「しばらくかかります。」 キラ:「カーデシアから何か言ってきましたか?」 司令室のシスコ。「いや、まだだ。」 オドー:「ベイジョーの全ての前哨基地はカーデシアの報復に備えて警戒に入り、政府は事件には何の責任もないという声明を発表しました。」 キラ:『だって純粋な事故かもしれないわ? その可能性だってあるでしょう?』 「純粋な事故? ベイジョーのステーションでカーデシアの船がですか? 私がカーデシア人ならまず信じませんね。」 オブライエン:『おかしいな。』 シスコ:「何だ。」 『マーカシウム※7の化合物を探知したんです。』 ダックス:「マーカシウム。…あの船はマーカシウムは積んでいなかったはずよ?」 『でも確かです。』 シスコ:「つまり?」 『まだ、何とも言えません。』 オドー:「マーカシウムは爆薬なんですか?」 シスコ:「いや。連邦製のフィールドジェネレーターに使われている合成物質なんだが…その技術は外には出ていないはずだ。」 ダックス:「チーフ、爆破装置を発見しようとしても無駄だと思うわ?」 オブライエン:『お言葉を返すようですが、こういう調査には時間がかかる…』 「違うのよ、爆発を引き起こしたのは、内に向かって爆発を引き起こすタイプの原始物質※8装置だわ? ボックノールのインパルスサインに適合する。爆発の直前に、船のフュージョン比率が急に上昇したの。ボックノールのエンジンが故障したのかと思って調べたけど、悪いところはどこもなかったわ? だから事故のはずはありません。フュージョンショックは恐らく、インパルスドライブ・システムの外部から起こされたものよ。」 『クロスフィードに原始物質装置をつければ、オーバーロードを引き起こす上、何の痕跡も残さない。』 シスコ:「それを証明できるのか。」 『できます。高解像スペクトルで、船の残骸を解析すれば…時間がかかりますが。』 「時間か! いつもそうだ。よし、やってくれ。上部には話しとく。通信終了。」 宇宙艦隊士官が、ターボリフトでやってきた。「ベンジャミン。」 シスコ:「ああ。カル。すぐ来てくれて助かるよ。」 握手する。 「再開できたのは嬉しいが、きっかけが…こんな大事件とはな。」 ダックス:「こんにちは、カル?」 シスコ:「…ジャッジア・ダックスだ。」 カル:「…ダックス?!」 笑う。「こりゃあ驚いた。前の君より、ずっと美人になった。」 「保安チーフのオドーだ。こちらハドソン※9司令官。今度非武装化された区域※10にある、連邦植民地の責任者だ。」 オドー:「こんなことになって植民地の安全が、さぞかし御心配でしょうね?」 ハドソン:「境界線に配備されている、カーデシア軍は沈黙している。」 「そのようですね。だから心配なんですが。」 シスコ:「私のオフィスへ行こう。」 ハドソン:「大尉。今回は暇がないが、いずれゆっくり話を聞かせてもらおう。」 ダックス:「今度ね?」 「今度な。」 司令官室に入るハドソン。「彼女はこの世で俺のことを一番よく知ってる女だ。女房だって負けるね。」 シスコ:「知りたいもんだ。」 「一緒にいて、働きにくくないのか。」 「いやいや、優秀な部下だよ。」 「ああ、だがクルゾンは…」 「彼女は、クルゾンじゃない。」 「まさか、お前彼女と…」 笑う 2人。 シスコ:「まさか。…クルゾンじゃないとはいえ、ダックスだからな。」 ハドソン:「クルゾンじゃないのにダックスってのは、変なもんだ。そうだ、ベン。ジェイクはどうしてる。」 「背は俺と同じだ…」 「嘘だろう。」 「あいつのインコースの球は、俺にはもう打てんよ。」 「じゃあもう反抗期だな。」 「ああ。…あっという間に大人だ。」 「…ああ。……今まで、大変だったんだろ。男手一つで子供を、育てるのはな。」 「…いや。お互い助け合ってきたって感じだ。」 「うん。」 「…グレッチェン※11のこと聞いたよ。葬儀に行きたかったんだが。どうしても時間が取れなくてな。」 「ああ、わかってるさ。ハ…植民地に赴任が決まった時は、たまには君と遊べるかなって…そう思ってたんだが。」 「そんな暇が誰にある。」 「…全くだ。しかし状況は一変してしまったよ。連邦が植民地を見捨てて以来な。」 「見捨てたって? しかし連邦は君を派遣し…」 「俺は何の役にも立たない! 新しくカーデシアと結んだ協定の下で、植民地を運営していけというが、一体どうやってやっていけばいいっていうんだ。」 「留まるのを望んだのは、入植者だろ。撤退を拒否したと聞いたが。」 「協定であのテリトリーは、カーデシア領になった。入植者がみんな命がけで、開拓してきた土地だ。そう簡単に出て行けるものか。撤退なぞ、無理な相談だ。ひどい協定だよ。連邦は少し、譲歩しすぎだ。」 「逆に連邦側のテリトリーに留まったカーデシア人入植者もいるんだ。私には妥当な取り決めに思えるが。」 「そりゃあカーデシアは、こっちのテリトリーにある植民地から撤退なんぞしないよ。連邦が保護してくれるからな。だがカーデシアは、そんな気はさらさらないんだ。」 「艦隊司令部の提督たちは、ボックノールの爆破で協定が危うくなることを憂慮している。」 「へえ、そうなのかい。」 「だからこそカーデシアの近くにいる我々に、事態を調査するよう命令がきたんじゃないか。」 「何の危険もないよ。ゼロさ。カーデシア人は今回の協定にはいたく、満足している。長年彼らと交渉してきた私が言うんだから、間違いない。…協定から得ている旨味を手放してまで、軍隊を派遣したりはしないさ。ずるがしこい奴らだからな。私がもし君の立場なら、ベイジョーの境界線を警戒させるね。」 「…カーデシアからはまだ何も言ってこないんだ。」 「いいか、ベン? カーデシアは常に、こちらの予測の裏をかいてくる相手だ。いずれ反応がある。」 ボックノールで作業していた男がプロムナードにいる。もう制服は着ていない。 ヴァルカン人が近づく。「ある筋を使ってあなたの部屋を確保したわ。第7デッキ、セクション 4-G よ。船が到着するまで目立たないようにね?」 その女性は去った。 男もプロムナードを歩いていく。 その様子を、異星人たちが 2階から見ていた。 ラチナムを数えているクワーク。先ほどのヴァルカン人がやってきたことに気づく。「何か用かい?」 ヴァルカン人:「あなたがクワークね?」 「言っとくけど逮捕状は無効だぜ、あの件はもう解決したんだ。」 「逮捕状?」 「…いやあ、俺の顔を知ってるみたいだから。」 「店の上がりを数えているということは、即ちあなたがここの経営者だということでしょ?」 「そうか、頭がキレるね。何の用だい?」 「あなたと商売の話をしたいと思って来たの。」 「俺と? ああ、さっきの逮捕状うんぬんは実は誤解なんだよう。」 「あなたの過去は、私にはどうでもいいことよ。」 「そう言ってくれるとねえ、助かるよ。新しいお客とはフレッシュなスタートを切りたいからねえ。えーっと…」 「サコンナ※12よ。」 「サコンナ。綺麗ないい名前だねえ。ご本人も綺麗だけど。何か飲むかい? ああ、そうだ。丁度いいのがある。ヴァルカン・ポルト※13だ。」 下から取り出し、埃を吹くクワーク。「3世紀前のなんだ。貴重品だよ。だから値段も張るがね? 一杯飲んでみない?」 サコンナ:「いいえ。」 「味見ぐらいしなよ、滅多に飲めんぞ?」 グラスに注ぐクワーク。 「喉が渇いてないのに飲む理由はないわ?」 「でも、一応ここに置いとくよ? 喉が渇いたらどうぞ? さーて、それじゃそちらの商売の話とやらを聞こうか?」 「…プライベートなことだから、ここでは話したくないわね。」 「じゃあディナーの席はどうだい? もちろん、お腹が空いてる時でいいよ、食事をしながら商談といこうぜえ?」 「それならお受けするわ。」 「後悔はさせないよ、それじゃ 8時でどう?」 「じゃ 8時に。」 去るサコンナ。 独りで話すクワーク。「ねえ、いいかい? …ヴァルカン人の君の氷のようなハートを、僕が溶かしてみせる。」 ポルトを飲む。「うーん! …まじい。」 廊下を歩いてきた、細工した男。 先ほど 2階にいた異星人が、前からやってきた。持っていた物を落とす。 男:「ああ、大丈夫ですか。」 異星人:「ありがとう。」 後ろから近づいたもう一人の異星人が、男にハイポスプレーを打った。 倒れる男。引きずられていく。 |
※5: kelindide ※6: rodinium TOS第9話 "Balance of Terror" 「宇宙基地SOS」より ※7: mercassium ※8: protomatter ※9: カルヴィン・ハドソン Calvin Hudson (バーニー・ケイシー Bernie Casey) 原語では階級の「ハドソン少佐」と言っています。名の「カルヴィン」は訳出されていません。声:郷里大輔 ※10: 非武装化地帯 Demilitarized Zone TNG第172話 "Journey's End" 「新たなる旅路」より ※11: グレッチェン・ハドソン Gretchen Hudson ※12: Sakonna (バーティラ・ダマス Bertila Damas VOY第122話 "Survival Instinct" 「ボーグの絆を求めて」のスリー・オブ・ナイン (Three of Nine)=マリーカ・ウィルカーラ (Marika Willkara) 役) 当初はセクシーな服装にする予定だったそうです。声:麻生侑里、TNG ゴメスなど ※13: Vulcan port |
自室に戻るシスコ。「ジェイク。」 デュカット※14:「息子さんは留守のようだぞ?」 「デュカット。」 「悪かったなあ、驚かしてしまって。」 「どこにいる。」 「君の息子か? そんなこと、私が。…司令官、まさか……。私が君の息子さんに何かするとでも思っているのか?」 「君なら何だってやれるだろ。」 「これは傷ついたなあ。友人として来たのに。」 「シスコよりキラ。」 「下手に焦って、馬鹿なことをやらないでくれ? まず、2人きりで話がしたい。」 キラ:『はい、司令官。』 シスコ:「少佐、ジェイクを探して欲しい。」 『行方不明?』 「わからない。見つけたら知らせてくれ。」 『わかりました。』 「どうやってここへ入ったんだ。」 デュカット:「今朝ここに着いた。コタキアン船※15にこっそり潜り込んできたのさ。そして、貨物室※16から忍び込んだ。」 「うん、それで誰にも見られずに、この部屋まで来たのか。」 「私はほぼ10年間、このステーションの司令官だったんだぞ? …私ほど、通路や抜け道に精通していれば、簡単なことだ。ところで…居住区は前より綺麗になったなあ。」 キラ:『キラより司令官。ジェイクなら心配いりません。今は第1ドックで、ノーグとベイジョー船から降りてきた女の子を眺めてます。帰るように言いましょうか?』 シスコ:「いや、いいんだ。ありがとう、少佐。通信終了。」 デュカット:「ほーら、な? 無事だっただろ。」 「一体何の用だ。」 「ああ…。君は、困った立場だ。」 「私が?」 「ボックノールさ。」 「君はカーデシアの中央司令部※17の意向を公式に伝えに来たのか。」 「いや、その逆だ。司令部は私が来たことは知らない。本当だ。ボックノール爆発の、真相究明のために君を助けに来たんだ。」 「なぜ助けてくれるんだ。」 「私はもう真相を知っているからだ。」 「犯人を知ってるのか。」 「知っている。」 「誰だ。」 「君だよ。…もちろん君個人というわけではない。…君は名誉を知ってる男だ。ボックノールのエンジンを内破させる装置を、こっそり取り付けるような真似はするまい。だが、驚くなかれ。君の同胞の中に、そうしたことをした連中がいたのは事実だ。…地球人はモラルが高いというが、中には低俗な者もいる。」 「私がそれを信じると思うか。」 「思わないねえ。だが、君を説得して…君の手で、身内の始末をつけてもらいたいんだ。我々が、乗り出さずともね。我々が出れば協定が危うくなるからな。君の、シャトルを出してもらいたい。」 「それでどこへ行くんだ。」 「ヴォラン植民地だ。」 「非武装化地帯のか。」 「フン。だが、完全に非武装化されたわけではないぞ?」 DS9 を離れるランナバウト。 デュカット:「私の方のコントロールパネルに、ライトがついていないぞ? 両方のパネルをオンにしておくのが普通だろう。万が一君に、何か起きた時代われるようにね。」 シスコ:「何か起きたら運が悪かったと思え。」 「司令官、何も連邦のテクノロジーを盗もうなどとは思っていないよ。約束する。」 「だがカーデシア人は、カメラのような記憶力をもっているので有名だからな。」 「…それで、私のパネルのライトを消しているのか? 一枚の写真も撮られないようにという、用心にかね?」 「カーデシアでは子供が 4歳になると、集中的にマインドトレーニングを受けさせるそうだが、本当か。」 「カーデシアの教育制度は、他の星に類を見ないものだ。」 「子供の成長から喜びを奪うとはね。」 「教育は力になる。喜びは無防備なものだ。」 「何?」 「君なら賛成してくれると思ったがな。とにかく私が知っている地球人の中で、君が一番喜ばず、かつ一番無防備でない人間だからね。」 「君といる時だけだ。」 笑うデュカット。「やられたな。実は今回の旅で、君をもっとよく知りたいと思っているんだ。」 シスコ:「これ以上知る必要もないさ。」 「これは、ラムスクープ・コントロールかな。それとも、ディフレクターグリッド・パネルか。…聞いただけだよ。ま、どっちでもいいがね。カーデシアの追跡船の方が、数年進んでいるよ。」 コンピューターに反応がある。「何の音だ。」 「長距離センサーが、救難信号をキャッチした。」 「誰から。」 「連邦の商船からだ。カーデシアの攻撃を受けてる。」 「ふむ…。」 状況をモニターで見るシスコ。「カーデシアの船が 2隻で攻撃している。非武装化地帯の中でだ。」 デュカット:「そんなことはありえない。我々の方から協定を破ることは絶対にしない。」 「商船の通信は故障してる。交信はできない。コンピューター、救難信号が発せられた位置を突き止めて、コースを変更。ワープ3 だ。構わないかな?」 「もちろんだ。私も、ことの真相を知りたい。」 ワープに入るランナバウト。 尋ねるデュカット。「カーデシア船のタイプは何だ。パトロール艇か。」 シスコ:「いや、もっと小さなシャトルのようだ。」 「カーデシアのシャトルが、連邦の商船を攻撃中だと?」 「だがガロア級のフェイザーバンク※18を搭載している。」 「非武装化地帯にある、カーデシア植民地からだろう。呼びかけてみろ。」 「…応答がない。」 「チャンネルを開け。」 「…開いたぞ。」 「攻撃中の、カーデシア船のパイロットに告ぐ。こちら、第2階級司令官の、ガル・デュカットだ。応答せよ。……こちら、ガル・デュカットだ。セキュリティ ID番号は、ADL-40。直ちに攻撃を中止すること。これは命令だ。」 「…現場まで後 2分だ。連邦の船のシールドは、40%。」 「もう一度、呼びかけてくれ。…そちらがどこの何者かは知らないが、この代償は必ず払うことになるぞ? 直ちに、応答せよ。応答しなければ、こちらは光子魚雷を発射する。」 シスコのパネルを操作するデュカット。「魚雷の準備を。」 「魚雷発射機は右の…」 「わかってる。連邦のパネル操作ぐらい全て知っているさ。射程距離に入ったら教えろ。」 「ちょっと待て。もう一隻船が接近していくぞ。」 モニターに現れる。 「確かこのサインは、連邦の船のものだぞ、司令官?」 「だが艦隊のはずがない。こんな輪郭の船は見たことがないな。恐らくは旧型の護衛船を改造したものだろうが。」 「うん。」 「呼んでみよう。…応答がないな。」 新たな船から武器反応がある。「光子魚雷を発射した! あの大きさの民間船が、何で魚雷を搭載しているんだ。」 「多分、連邦植民地の入植者の船だろう。」 民間船の攻撃により、カーデシア船は 2隻ともモニターから消滅した。 デュカット:「…これでよくわかったろう。…カーデシア本国も連邦も、知らないところで入植者たちは、既に戦争を始めていたんだ。」 |
※14: ガル・デュカット Gul Dukat (マーク・アレイモ Marc Alaimo) DS9第28話 "Necessary Evil" 「殺しの密告者」以来の登場。声:幹本雄之 ※15: Kotakian ship ※16: 「貨物船」と誤訳 ※17: カーデシア中央司令部 Cardassian Central Command 初言及 ※18: Galor-class plasma banks 吹き替えでは「大型のフェイザーバンク」 |
DS9。 クワーク:「お腹は空いてる? 素晴らしい御馳走を用意させてあるんだ。まずはプロミーク・スープ※19だよ。ヴァルカン人の大好物だろ? お次の一品はジャンボ・ロミュラン・タコ※20の一皿。このタコはもうヴァルカンじゃ手に入らないんだろう?」 並べられた料理の数々。 サコンナ:「まさか毎晩こんな御馳走を食べているの?」 「いやあ、違うよ。今夜は特別だ。」 「そうなの。」 「新しいお客と取引を始める日は、フェレンギ人にとって何より大切だからねえ。」 ウェイターを呼ぶクワーク。「じゃ、お祝いに上等のワインを開けようじゃないか。そして今夜は空が白むまで踊り明かそう。少し呼吸させてからね。」 「なるほど。あなた方フェレンギ人の文化的習慣に敬意を表する証に…ワインはいただきますけど、ダンスは断るわ。」 「でもワインを飲んだら気持ちが変わるかもしれない。」 「いいえ、変わりません…」 「まあそう言うなって! 君のそのクールで滅多に感情を表さない顔の下には、情熱的な女が潜んでいるんだ。食事が終わる頃にはテーブルの上で踊りまくってるかもしれないぞう? …んなことないか。」 「じゃあそろそろ商談に入らせてもらってもいいかしら。」 「金儲けの秘訣 214条。空きっ腹で商売の話を始めるなかれ。※21」 「金儲けの秘訣?」 「そう! フェレンギ人の商取引は全部で 285条からなる金儲けの秘訣により、当事者全員にとって公平な取引が行われるようになってるんだ。まあ、建前だがね?」 「感心だわ? 商取引を規制するルールを作るというのは、理に…」 「かなってるだろ?」 「安心して取引できるわ?」 「ヴァルカンにはこういう決まりは?」 「構造からいえば、ヴァルカンの権利法※22に似ているわね? この法律は、ヴァルカン市民に基本的・個人的自由を保障したものなの。」 「それじゃ同じだな? じゃ、乾杯しよう。」 「これもあなた方の文化的習慣なの?」 「そうだ。サコンナ、俺は今すごく名誉に感じてるんだ。フェレンギ人とヴァルカン人がこんな風に、同じテーブルで視線を交わすなんてことは滅多にないからね。おらあ昔からヴァルカン人を尊敬してた。残念ながらヴァルカン人からは嫌われたけどねえ? 君たちは高貴な民族だ。ヴァルカンに乾杯。」 グラスを飲み干すサコンナ。 驚くクワーク。「…ところで…君はどんな金儲けの話をもってきてくれたのかな?」 サコンナ:「武器を買い付けたいのよ。」 「ンッ! 何だって?」 「銃とか、フェイザーバンクとか、光子魚雷とか。」 「シーッ。」 「部隊を転送する装置や、コバルト・トリウム装置※23も揃えて欲しいの。そのほかにもたくさんあるわ?」 「武器を密輸してんの?」 「支払いはラチナムでするわ? それに、今回だけでなく当面は何度か頼むことになると思うわ?」 「…あんた、普通のヴァルカン人と違うねえ?」 ヴォラン植民地※24。 怒るカーデシア人。「そっちの商船が乗り込み、検査を拒絶したんだ!」 地球人の入植者。「それだけで、すぐに攻撃を始めたのか!」 カーデシア人:「あの船が、非武装化地帯を武器を運んでいたのは明らかだ。」 シスコたちがやってくる。 ハドソン:「いや、ソルトック4※25 へ医薬品を運んでいただけだ。ベン。何をしに来た。」 シスコ:「さあ、何だろうな。ガル・デュカットに連れられてきたんだ。」 カーデシア人:「デュカット。君が来るとは聞いてなかった。」 デュカット:「事前に知らせずに来た方がいいと思ったもんでね。歓迎準備に、気を遣わせたら悪いと思って。」 「そうか。」 ハドソン:「シスコ司令官。私の交渉相手を御存知だな。ガル・イヴェック※26だ。」 イヴェック:「わざわざ御足労頂いてどうも。」 シスコ:「攻撃はモニターで見ていた。」 デュカット:「そうだ。見ているだけのつもりはなかったが、あいにくどの船に呼びかけても応答がなくてね。カーデシア船さえ、私の呼びかけに応えなかった。」 イヴェック:「連邦の船からいきなり呼びかけられても。」 「ちゃんとセキュリティ ID番号を言ったはずだが?」 「きっとパイロットの手がふさがっていたんだろう。」 女性の入植者※27。「そうね、無差別攻撃でね!」 イヴェック:「無差別攻撃だと?! カーデシア入植者に対して、連邦が組織によるテロ行為を働いているのを否定するのか。明らかに協定違反だ!」 シスコ:「連邦に戦争を仕掛ける気などない。」 「じゃああの光子魚雷でこっちの船を 2隻破壊した連邦の船は一体どっから来たんだ。」 ハドソン:「そちらもガロア級のフェイザーバンクを、搭載していたなあ。」 「当然だろう! 組織テロに対して自衛する権利があるからな。」 シスコ:「連邦のテロ組織が存在している証拠はあるのか?」 入植者:「そんなものあるわけないでしょ!」 イヴェック:「それがあるんだ。カーデシア船のボックノールを爆破した連邦のテロリストの自白がある。あなたのステーションでね?」 アイソリニアロッドを渡す。 シスコ:「自白だと?」 パッドを読み上げるイヴェック。「『43歳の地球人男性、ウィリアム・パトリック・サミュエルズ※28。地球ノルウェーのベルゲン出身。』」 入植者:「…サミュエルズなら知ってる。彼に何をした!」 「『連邦のヴォラン2※29 植民地に 20年前入植。既婚。妻の名はルイーズ、娘が 2人、14歳と 12歳。』 …DS9 で捕らわれてから非常に協力的だったよ?」 ハドソンはシスコから受け取ったロッドを、コンソールに入れた。 サミュエルズが映し出される。 カーデシア人:『始めろ。』 サミュエルズ:『私はウィリアム・サミュエルズ。カーデシア人民に対して、罪を犯したにも関わらず…待遇はいいです。私は、連邦植民地の入植者による、反カーデシアを掲げる…武装闘争組織の一員として、ボックノールのエンジンに内破装置を仕掛けたことを認めます。このように野蛮な行為に荷担し、75人以上の乗組員を死なせたことを、今は後悔しています。妻と子供たちには…ただすまない。でも…愛している。』 映像は切れた。 入植者:「…貴様らの拷問にあえばどんなことだって言うさ!」 イヴェック:「いや、それは違う。彼は尋問の早い段階で自白した。予想よりずっと早かった。きっと心から後悔したんだろう。」 ハドソン:「直に彼と話をしてみたいが。」 「運び込め。残念だが彼は独房で自殺を図ってねえ。」 カーデシア人が担架を運んでくる。めくられた布の下には、サミュエルズが眠っていた。 イヴェックに飛びかかる入植者。 ハドソン:「よせ! やめろ、アマロス※30! 落ち着け!」 シスコ:「デュカット! そいつを外へ!」 イヴェックを連れ出すデュカット。 ハドソン:「話は後でしよう。」 女性入植者:「このまま黙って見てる気?!」 「話は後だ、さあ行って。…埋葬してやれ。」 運ばれるサミュエルズの遺体。 |
※19: plomeek soup TOS第34話 "Amok Time" 「バルカン星人の秘密」より ※20: jumbo Romulan mollusks ※21: No.214 "Never begin a business negotiation on an empty stomach." ※22: Vulcan Bill of Rights ※23: cobalt-thorium device ※24: 風景は TNG第50話 "The Ensigns of Command" 「移民の歌」で登場したタウ・シグナ5号星 (Tau Cygna V) の使い回しだと思われます ※25: ソルトック4号星 Saltok IV ※26: Gul Evek (リチャード・ポー Richard Poe) TNG "Journey's End" (DS9 では第37話 "Playing God" 「宇宙の原型」) 以来の登場。後に VOY第1話 "Caretaker, Part I" 「遥かなる地球へ(前編)」にも。声:筈見純、VOY コロパック、ST5 カークなど ※27: 名前は Kobb (アマンダ・カーリン Amanda Carlin) ですが、言及されていません。声:棚田恵美子、DS9 モリーなど ※28: William Patrick Samuels (マイケル・A・クラウィック Michael A. Krawic VOY第71話 "Day of Honor" 「名誉の日」のラーミン (Rhamin)、ENT第28話 "Carbon Creek" 「スプートニクの飛んだ夜に」の Stron 役) 声:大川透、DS9 ガラックなど ※29: ヴォラン2号星 Volon II ※30: Amaros (トニー・プラナ Tony Plana) 声:荒川太郎、FC バークレイなど |
ヴォラン。 ハドソン:「彼なら知り合いだ。サミュエルズは、農夫だった。毎日畑を耕していた。20年間ずーっとな。その農場で、娘を 2人育てた。土地を慈しんでそれは大事にしていた。なのに連邦はそんな彼に、土地をあきらめて、カーデシアにくれてやれという。彼にはとても、納得できなかったろう。」 シスコ:「だがそういう入植者のために、新しい協定では、相手のテリトリーでもそのまま植民地に残れるようになったんだろう。」 「だがカーデシアは、自国の領土内に、連邦の植民地を残す気はなかった。力ずくで追い出すか、出ていかなければ殺す。もう戦争は始まってる。我々に対して、何らかの危害が加えられない日は、一日だってない。連邦入植者はみんな、夜は独りで出歩かないことにしているんだ。そんな不安を抱えた生活がわかるか。」 「カーデシア当局が、法の執行を怠ってるというんなら…」 「怠っているどころか、当局の職員が、群衆に交じってローパル・シティ※31で、連邦入植者 2人に、石を投げたんだぞ? 3日前だ。」 「それはもっと高いレベルにもっていって苦情を言うべきだ。」 「高いレベルだって同じさ。カーデシアの高等司令部はな、入植者たちに、武器をばらまいているんだ。」 「非武装化地帯に武器をまいて、協定を壊すような真似を、カーデシアがすると思うのか。」 「やろうと思えば、いくらでも抜け道はあるだろう。」 「…つい最近、ベイジョーの過激派に、カーデシアが第三者のイリディア人※32を介して武器を流していたのを、摘発したんだ。」 「十分ありそうなことだ。ボックノールは、第三者に武器を渡すための、中継地かもしれん。」 「だとしたら、ステーションに来る前に引き渡してしまったんだ。ボックノールの貨物室は空だった。…本当に彼かな。」 「サミュエルズか? …わからない。拷問ででっち上げの自白をさせてから、殺したのかもしれん。」 「だがデュカットが私がここまで引っ張ってきたのは、犯人に確信があったからだ!」 「サミュエルズかどうか、それはわからんよ!」 「ああ…。」 「クソ…奥さんに話をしないとな。何て言って慰めたらいいのか。…ニューベルリン※33での何の変哲もない生活が、今となっちゃ懐かしいよ。ソーセージでビールを飲んで、お祭りの時は楽しかったよな。マズルカ・フェスティバル※34だよ。」 「グレッチェンとジェニファーは、大きな風船を買ってたっけ。」 「君が民族衣装を着ていた姿、覚えてるぜ?」 「フン、帽子はまだある。」 「うん。」 「ところで、裏で一体何が起こってるんだ。入植者たちが組織だってテロ活動をしているっていうのは、本当か。」 「そうだとしても、私には言わないだろうな。だが一つだけ言っておこう。ここだけの話だが、彼らが自分の身を守ろうとするのは当然だよ。連邦が守ってくれないんだから、自分たちでやるしかないだろ。」 ため息をつくシスコ。 帰還するランナバウト。 デュカット:「……さっきから随分静かだな。」 シスコ:「初めからサミュエルズのことは知ってたんだろ?」 「確かに、彼が自白したことは知っていた。しかしまさか…。私だって死んだと聞かされて驚いたんだ。」 「自殺だなんて信じる者は誰もいないだろうよ。…彼がしたことはさておき、ああいう野蛮な行為は協定の存在を危うくするものだ!」 「私もその意見に全面的に賛成だ。…サミュエルズを死なせたのは、イヴェックの大きなミスだ。大事な捕虜を尋問で死なせたりしたら、何の得にもならないのにな。」 「カーデシア人はいつもそれだけだな。損か、得か。」 「いつまでそんな甘いことを言ってるんだ! 連邦のフェアプレー精神の御説教は、いい加減にしてもらいたいね。忘れてもらっちゃ困るな。ボックノールの乗組員 78人を殺したのは、そっちの人間なんだぞ?」 「ボックノールは何を運んでたんだ。」 「ボックノールは、14メートルトン※35のゴルサイド鉱石※36を、ワームホールの向こう側にあるレギュロン星系※37へ運んでいただけだ。」 「武器は運んでいなかったのか?」 「武器を? どこへだ。」 「非武装化地帯のカーデシア植民地にだ。」 「まさか。ボックノールのルートは、非武装化地帯の近くは、どこも通らない。」 「第三者と接触した可能性は。リセピアン人※38はどうだ。まず彼らに武器を渡しておき、植民地には彼らから…」 「司令官。連邦の責任で多くの命が失われたことについて、正当な理由を探したいのはとてもよくわかる。…だが武器を運んでいたんなら、私が知らないはずがない。子供たちの命に賭けて誓うが、ボックノールは武器など運んでいなかった。」 「…子供がいたとは知らなかった。」 「7人いる。」 DS9。 店に入るサコンナ。クワークが近づく。 サコンナ:「連絡ありがとう。全部揃うのはいつなの?」 クワーク:「明日の夜には揃うって言ってる。14時でどうだ?」 「それじゃ遅いわ? 私は今夜ステーションを出るの。」 「ずいぶん早いなあ。」 「予定が変わったのよ。どうかしら、今夜までに何とか揃えられない?」 「…まあ仕方ないな。」 「ラチナムは用意したわ。数える?」 「ちゃーんとあるんだろうな。」 「ヴァルカン人だもの。」 「ああ、わかってる。冗談だって。うたぐっちゃいねえよ。…でもまあ、一応さっと数えてみるかな?」 「すぐ部屋に届けさせるわ?」 「ああ、あんたとは、金儲けのお楽しみも一緒にできると思ってたのになあ?」 「いずれそのうちねえ? あなたには確かに…興味をそそられたから。」 出ていくサコンナ。 「やったぜー…。」 プロムナードに入るシスコ。「ここにいる間は君はレベル H-2 の客室に泊まるように手配しておく。ちゃんと護衛もつけてある。」 デュカット:「できれば、連邦の護衛にしてもらえるとありがたい。ベイジョー人の士官の中には、まだ私に恨みをもつ者もいるんでね。」 「ああ、わかった。」 「もし、調査に私の協力が必要なら言ってくれ。」 「いや、それは大丈夫だろう。」 別れるシスコ。 シスコは司令室に戻る。「チーフ。」 オブライエン:「司令官。分析したところ、悪い結果が出ました。」 「やはり内破装置だったのか。」 「そうです。しかも悪いことに…」 「悪いことに、連邦の内破装置だったんだろ。」 「そうです。発見されたマーカシウムは、内破装置の入っていた箱のものでした。連邦のものに違いありません。」 「艦隊司令部に、亜空間通信を。」 司令官室に入るシスコ。 話を聞いていたキラ。 キラも部屋に入る。「司令官。ベイジョー政府に何か私から伝えておくことはありますか?」 シスコ:「ボックノールの爆破は、連邦植民地入植者の犯行とわかった。だからベイジョーへの報復は、恐らくないだろう。」 「では前線の警戒は、解除します。…司令官。戦争勃発の可能性はあるんですか?」 「まだ抑えられる。」 「でも入植者はその気なんでしょ?」 「入植者は事態がまるでわかってないんだ。戦争勃発だけは、絶対に避けなければならない!」 「余計な口出しかもしれませんが…」 「いいから言いたいことがあるなら言え!」 「カーデシアから何を言われたんですか?」 「ボックノールを爆破した入植者を自白させた後、拷問で死に追いやったんだ。」 「じゃあ連邦入植者が怒るのは当たり前でしょう。」 「しかし殺し合いを許すわけにはいかないだろう。私に目をつぶれって言うのか。」 「誰にも自衛する権利はありますよ?」 「やりすぎだ!」 「でも艦隊が守ってくれないから、入植者たちは組織を作って…」 「カーデシアと共に生きるべきだ!」 「そんなの無理よ! ベイジョー解放までの 26年間、カーデシアの恐怖政治は、嫌というほど味わいました。だから入植者たちの気持ちがよくわかるんです。…とにかく言えるのは、カーデシアは連邦と違って、協定をちゃんと守るかどうかは期待できないってことです。」 「では、君は連邦も、協定を守るのはやめろって言いたいのか。入植者の武装化を支援しろとでも。」 「私に言えることはただ一つだけです。敵はカーデシアの方であって、入植者じゃありません。同胞を守るという簡単なこともわからないのなら、連邦なんか何の存在意義もないわ?」 ドアを開けるシスコ。出ていくキラ。 廊下を歩いてきた保安部員のナイルズ※39。「交代の時間です。」 当直の保安部員※40。「そいつはおかしいなあ。まだ、1時間しか経ってない。」 その時、首元に手が伸びた。意識を失う保安部員。ナイルズが運んでいく。 ヴァルカン首つかみをしたサコンナは、ドアのスイッチを押した。 デュカット:「何だ。」 ナイルズ:「シスコ司令官からのメッセージを、おもちいたしました。」 出てくるデュカット。 サコンナ:「第11エアロックまで御案内いたします。」 ナイルズ:「カーデシア船が到着しました。」 デュカット:「どうしたんだ。」 「また爆破装置が発見されましたので。」 歩き出すデュカット。 エアロックのドアを開けるデュカット。「司令官はどこだ。」 アマロス:「自分の部屋でぐっすり寝てるだろうよ?」 地球人と一緒に近づく。「覚えてるか?」 「これはどうやら、カーデシア船が待っているわけではなさそうだな。」 腕をつかもうとした地球人と、サコンナを殴り倒すデュカット。 廊下を逃げようとするが、ナイルズにフェイザーで撃たれてしまう。 エアロックへかつぎこまれ、みな中へ入った。 |
※31: Ropal City ※32: Yridians TNG第146話 "The Chase" 「命のメッセージ」など。訳出されていません ※33: New Berlin 後に映画第8作 "Star Trek: First Contact" 「ファースト・コンタクト」で月にある都市と設定されます ※34: mazurka festival ※35: 「メトリック」と訳されています ※36: golside ore ※37: Regulon system ※38: リセピアン Lissepians DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」に登場 ※39: Niles (マイケル・ローズ Michael Rose) 名前は前編では言及されていません。声:青山穣、VOY トゥヴォックなど ※40: 護衛 Guard (スティーヴン・ジョン・エヴァンズ Steven John Evans) 声はサミュエルズ役の大川さんが兼任 |
司令室。 司令官室では、シスコが必死にコンソールに向かって話している。「…ですからこの背景には、カーデシアと連邦の植民地の入植者…」※41 ベシア:「何言ってるのかな。」 キラ:「1週間で爆破事件が 1回に誘拐が 2回。そりゃ責められもするわよ。」 オドー:「連邦が悪いんだ。私はちゃんと警告したのに。」 オブライエン:「…連邦が悪いって、どういう意味だ。保安チーフは君じゃないのか?!」 「本当に私に警備の全権を与えてくれるんなら、安全なステーションにしてみせますよ! なのに連邦の規則ではこれはしちゃいけないだの、あれはしちゃいけないだの、禁止事項だらけだ。私を責める前に、まず制約から解き放って下さいよ!」 ダックス:「誰もあなたを責めたりしてないわよ。」 「外出禁止令を出せる権限を下さい。到着客の検査も厳しくして、部下も 50人増やしたい!」 キラ:「そしたら占領時代のステーションに逆戻りじゃない。」 「…あの頃の方が、安全は安全でした。」 「ベイジョー人以外にはね?」 出てくるシスコ。「ステーションの警備体制を徹底的に洗い直す。」 オドー:「喜んでお手伝いいたします。」 「襲われた護衛は。」 キラ:「証言によると、ヴァルカン人の女と、艦隊士官の制服を着た地球人の男の 2人に襲われたそうです。」 オドー:「2人と接触した者はいないか調査中です。」 シスコ:「夜のうちに、ステーションを出た船は。」 オブライエン:「2隻だけです。バーディーザンの船※42と、ガラドールの貨物船※43です。」 「2隻の行き先は。」 「バーディーザンはワームホールへ向かい、貨物船の方はガラドール2※44 とファリウス・プライム※45の間を通るルートへ。」 「デュカットをワームホールへ連れて行ったとはちょっと考えにくい。非武装化地帯へ連れて帰るはずだ。ダックス、そのガラドールの貨物船の登録を調べてくれ。チーフ、センサーの記録から貨物船のワープサインを特定できるか。」 「ええ、簡単です。…出ました。」 「最後のコースは。」 「コンピューターが割り出したところでは、コース 216 のマーク 177 です。…センサーの記録ではファリウス・プライムへ針路を取ってます。」 「…少佐、ファリウス・プライムへ連絡を頼む。万が一その船が現れたら、すぐ知らせてくれとな。」 キラ:「ワープサインを亜空間通信で送ります。」 オブライエン:「いやあ、一般通信の方がいい。コースを変えたら誰かが知らせてくれます。」 シスコ:「そうだな。」 ダックス:「おかしいわ? あのセクターにガラドールは船を所有していません。登録は偽造されています。」 「ドクター、少佐! 一緒に来てくれ。オドー、ヴォラン植民地の、ハドソン少佐※46に連絡を。誘拐されたガル・デュカットを追って、私もすぐ非武装化地帯へ向かうとな。こっちのワープサインを送ってくれ。」 オドー:「了解。」 キラ:「司令官! 今非武装化地帯から、一般通信で犯行声明が入ってきました。ガル・デュカットの誘拐を名乗り出たグループは、自分たちのことを…『マキ※47』と。」 DS9 を発つランナバウト。 オブライエンの通信が入る。『司令官。クリンゴン船が非武装化地帯から 2光年の地点でワープサインを確認しました。例のガラドールの船に違いありません。』 シスコ:「最後に確認されている座標を転送してくれ。」 キラ:「…受信しました。」 「また情報が入ったら知らせてくれ。」 オブライエン:『了解。通信終了。』 「コース変更を頼む。」 キラ:「了解。…バッドランド※48へ向かったようですね。」 ベシア:「バッドランド?」 「カーデシアの船も避けて通る難所で、プラズマ嵐がものすごいところなの。」 シスコ:「最近も何隻か、行方不明になってる。」 ベシア:「…隠れるには完璧なところですね。…失礼ですが、彼らを捕まえたらどうするおつもりです? マキのメンバーは連邦の入植者なんですよ?」 「どんな手段を使っても、ガル・デュカットを取り戻さねば。」 「同胞に銃を向けることになっても?」 答えないシスコ。 キラ:「…長距離センサーがワープサインを探知。Mクラスの小惑星へ向かっています。」 シスコ:「後を追え!」 小惑星へ近づくランナバウト。辺りはプラズマ嵐が吹き荒れている。 キラ:「表面をスキャン中。…貨物船を発見。」 ベシア:「人の生命反応あり。」 シスコ:「中にカーデシア人はいるか。」 「いいえ。」 「ビームで降りてみよう。」 席を離れる。 地表のジャングルへ転送される 3人。 周りでフェイザーを持った地球人が動いている。 すぐに囲まれてしまった。 ハドソン:「さすがだな、こんなに早く我々を見つけるとは。」 出てきた司令官は、制服を着ていなかった。「この姿でお前に会うことになるとはな。これも運命の歯車のいたずらだろう。」 武器を降ろすシスコたち。 |
※41: 当初は提督との会話が設定され、通信を終えた後にシスコがモニターを床に投げつけるシーンまでありましたが、カットされました ※42: バーディーザンの商船 Bardeezan merchant ship ※43: Galador freighter ※44: ガラドール2号星 Galador II ※45: Farius Prime ※46: 「提督」と誤訳 ※47: Maquis 初登場 ※48: Badlands 初登場 |
To Be Continued...
感想
日本では TNG が先に放送終了し、その後に DS9 という流れが一般的でした。そのため TNG 「惑星連邦“ゲリラ部隊”」でマキ (吹き替えは「ゲリラ」でしたが) が登場した際、やや唐突で TNG には似合わない印象を受けたものです。 そのせいもあって間違えやすいところですが、マキが初登場したのは紛れもなくこの前後編であり、ストーリーの流れでも放送日でも、「惑星連邦“ゲリラ部隊”」の前に観るべきエピソードとなっています。そしてヴォイジャーの放送開始へとつながっているんですね。つまり以下のような順番で観ると、この「連邦市民でありながらテロリスト」という結構ややこしい設定が、きちんとわかるようになっています。TNG・DS9・VOY とつながっていく様は、「DS9 も VOY も外伝などではなく、立派な正史である」という事実を明確に物語っています。 TNG「新たなる旅路」(非武装化地帯、協定の設定)→DS9「戦争回避」(マキ導入)→TNG「惑星連邦“ゲリラ部隊”」→VOY「遥かなる地球へ」VOY 創作/製作総指揮のジェリ・テイラーが脚本に関わっている数少ない DS9 エピソードということからも、VOY のためにマキという設定が導入されたという側面が強いことがわかります。ところが印象深いマキ関連の話は、圧倒的に DS9 の方が多いというのは皮肉なもんですね。 |
第39話 "Blood Oath" 「血の誓い」 | 第41話 "The Maquis, Part II" 「戦争回避(後編)」 |