ディープスペースナイン エピソードガイド
第41話「戦争回避」(後)
The Maquis, Part II
イントロダクション
ハドソンもフェイザーを降ろした。「さっきの顔、見せたかったぜ。…俺を見た時のお前の顔。」 シスコ:「制服を着てなかったからすぐにはわからなかった。」 「最近はもう、きつくてな。」 置いてあった制服を渡すハドソン。「丁度よかった。」 「こんなに簡単に。」 「たかが制服じゃないか。」 「本当にそうかな。初めて着た時を覚えてるか。」 「ああ。アカデミーの卒業の日だ。30 になるまでには艦長になるって、誓い合ったっけな。」 「そして 40 で提督。」 「ああ。」 「お互いにここまでよく頑張ってきたよな。」 「ああ、まあ合格点だ。でも今は、ほかに目的ができた。ここの入植者たちが、連邦から何の援助も受けずに頑張っている姿を見れば、お前だって一緒に戦うさ。」 「そうは思えないね。」 ハドソンの後を歩き出すシスコ。 キラとベシアは、マキのメンバーに武器を向けられたままだ。 話すハドソン。「彼らは地球から遥々やってきて、やっと植民地も軌道に乗ってきたんだ。連邦が見捨てても、私にはそんな真似はできん。」 シスコ:「誰も見捨てろとは言ってない。でも君がマキに参加して何になる。協定の存続を危うくし、何百万もの人名を危険にさらすだけだ。」 「連邦は協定を結べば、全て問題は解決すると思っている。しかしだな、前線では…連邦の強力なバックアップがなければ、協定なんぞただの紙切れに過ぎないのさ。」 「カーデシアの中央司令部が、協定違反をした証拠は。」 「まだだが、手に入れる。」 「証拠をガル・デュカットから手に入れようとしてるんなら無駄だぞ。」 「やってみなきゃわからんさ。」 「デュカットを返してもらおう。」 「ここにはいない。」 「ならどこだ。」 「まさか、こんな日が来るとはな。お前が俺よりカーデシア人の、味方につくとは。」 「私は君の味方だ!」 「なら味方らしいことをしてみろよ!」 「君は人生最大の過ちを犯そうとしているんだぞ? 連邦は協定を重視してる。それに違反すれば、艦隊のお尋ね者になり、最後は犯罪者として牢獄入りだ。でも今力を合わせ、争いを止めれば…」 「争いはやまないね! カーデシア司令部による、植民地への武器持ち込みがやまない限りはな。もちろん、武力以外にいい方法があったらとは思う。平和を望んでいるのは、マキだって同じだ。」 「平和のためなら船を爆破してもいいのか。」 「ボックノールは武器を運んでいたんだ。」 「でも乗組員にだって、待っている家族はいたんだぞ。……いいか。カーデシア司令部が武器を流しているんなら、その証拠を探そう。」 「どうやって。」 「カーデシアへ行って、当局自らの協定違反の証拠を見つけて、連邦へもっていくんだ。」 「嫌だね。連邦は我々を見捨てた。後は自分たちでやれってね。それなら、我々はそうするまでさ。なあ、ベン。是非君の力を借りたいんだ。ステーションを使わせてくれ。」 2人はキラたちのところに戻った。 「何でだ。」 「船の修理をしたいんだよ。」 「それは許可できない。」 「毎週罪もない人々が、カーデシアに殺されていく。手を下した者に、罰を受けさせずにはおくものか。」 「君の望みは平和じゃない。愚かな復讐だ。」 「…当然の報復って、言って欲しいな。君が協力してくれなくて、残念だよ。…一緒にやりたかった。2人で、昔のように。」 シスコはハドソンの制服を、地面に落とした。後ろを向く。 ハドソンはフェイザーを取り出した。 キラ:「司令官!」 ハドソン:「悪いな、ベン。」 シスコを撃った。 ベシア:「よせ!」 キラと共に、マキに攻撃される。3人とも倒れた。 ハドソン:「よーし、急ごう。ベンの意識が戻る前に、ここが出るんだ。急げ、時間がないぞ。」 向かうマキのメンバー。「さあ、急ごう。行くぞ、さあ。」 |
本編
DS9。 帰還するシスコ。「大尉、カーデシア中央司令部につないでくれ。」 ダックス:「丁度よかったわ? パーン総督が後 1時間で到着よ?」 「総督が? 光栄だなあ。待つ間に艦隊と話をしておこう。」 ターボリフトに乗るシスコ。 「ネチェーエフ提督がいらしています。」 シスコは司令室に戻る。「チーフ。マキはあの小惑星※1に到着する前にデュカットを転送したらしい。拉致先を突き止めてくれ。」 オブライエン:「ワープを追跡してみます。ほかの船が目撃してるかも。」 「頼むぞ。」 司令官室に入るシスコ。「提督。」 ネチェーエフ※2:「カーデシア中央司令部は、ガル・デュカットが誘拐されたことを受けて、軍隊を警戒態勢におきました。」 「当然でしょうね。」 「ここの保安チーフをしている、流動体生物の…」 「オドーです。」 「そのオドー。彼でなく、連邦士官に警備を任せた方がいいのではありませんか?」 「提督。私はオドーには、絶対の信頼をおいております。」 「本当に彼でいいのね?」 「構いません。デュカットにつきましては、現在全力を挙げて、拉致先を突き止めようとしております。」 「結構。進展があったらすぐ報告を。」 「了解。しかし提督、デュカット救出より大きな問題があるんです。」 「何ですか。」 「マキです。」 「…マキは単なる過激派の集団に過ぎません!」 「しかしボックノールを爆破したのはマキですよ?」 「ええ、そのことはわかっています。非武装化地帯のカーデシア領内に、連邦入植者を残したのが間違いでした。」 「しかし現実として、残ってるんですから。」 「ハドソンはどうしたのです。今回の入植者の不始末について、どう言っているのですか?」 「それは、聞いてみませんと…。」 「そうして下さい。」 出ていくネチェーエフ。「ああ、司令官。あなたはマキのメンバーと…話し合いをもって、連邦の方針を理解させて下さい。カーデシアとの協定を維持していくことは、絶対必要なのです。」 「しかしこの協定がそれほど重要なのでしょうか。」 「連邦の方針に、異議があるのですか?」 「いやあ、ただ…非武装化地帯における状況が、加速度的に悪化していきますので。」 「そこまで悲観的になることもないでしょう。マキと対話をしてみて下さい。彼らも連邦の一員です。聞く耳ぐらい、あるでしょう。では、期待しています。」 ネチェーエフは去った。 「マキと対話して上手くいかなかったから言ってるんじゃないか。」 入れ違いに入るキラ。「司令官。」 シスコ:「連邦の一員だからって、何をされても我慢できるってわけじゃないんだ!」 「どうしたんです?」 「諸悪の根元は何だ!」 「知りません…。」 「地球が問題なんだ。」 「そうですか。」 「地球には、貧困もなければ、犯罪も、戦争もない。艦隊本部の窓の外には楽園が広がっているんだ。楽園では聖人を気取るのも結構だろうが、マキの人々が生きているのは厳しい現実だ。現実に、非武装化地帯の問題は、何も解決されていない。聖人ぶってなんかいられないんだよ! みんな、必死だ! 怒ったり、怯えたり、復讐心に燃えたりすることが、人間として当然じゃないのか! 連邦がどうこう言おうが聞くはずはないだろう!」 「その通りですわ?」 「……ありがとう。それを聞いてホッとしたよ。」 「パーン総督が第5ドックに到着しました。今の演説を聞かせてやったらどうです?」 「いっちょぶち上げてくるか。」 通信が入る。『オドーより司令官。』 シスコ:「どうした、オドー。」 オドー:『ガル・デュカットを誘拐したヴァルカン女の共犯者を逮捕しました。』 独房で座っているクワーク。「まさかサコンナがガル・デュカットの誘拐を考えてるなんて知らなかったんだよう!」 オドー:「そうかい。お前彼女と随分長い間話し込んでたそうじゃないか。」 「…美人と一緒にいたいって思うのは何も罪じゃないだろうが。お前もやってみろよ! 性格が明るくなるぞ?」 「ヴァルカン人がお前の耳たぶに関心を抱くとはちょっと思えないがねえ?」 「ヴァルカン人って民族はなあ! 耳を見る目があるんだよ。司令官。みんなの前でプライベートな付き合いをしゃべらせるなんて恥ずかしいからやめて下さいよ。」 シスコ:「そのうち恥ずかしいだけじゃ済まなくなるぞ? いいからサコンナとどんな取引をしたのかさっさと白状しろ。」 「わかりました。でもその前に言っておきますけど。サコンナの色気に惑わされちまったんで…。」 オドー:「言い訳なんぞしなくていいから、さっさと何をしたのか吐くんだ。」 「サコンナからある物を調達して欲しいってもちかけられたんで、斡旋してやっただけです。それも破格のお値段でね?」 シスコ:「ある物って?」 無言になるクワーク。 オドー:「何だ、言えないのか。」 クワーク:「そうだなあ、何からいこうか、えーと…サコンナの注文はディフレクターシールドに、ナビゲーションアレイに…それから光子魚雷も、何百発か…」 シスコ:「光子魚雷だと?!」 「それから、パルス大砲に、高エネルギーディスラプターだ…」 オドー:「お前…テロリストにそんなに武器を売ったのか!」 「俺は売ってねえよ? 売ったのはパイゴリアン人※3で俺は…ただ、仲介してやっただけだ。それにデュカットが誘拐されるまでマキなんて知らなかったし。」 シスコ:「サコンナに売った武器の完全なリストが欲しい。」 クワーク:「わかった。法廷でサコンナに対する証人が入り用なら、俺が立つから。」 オドー:「本気か?」 「もちろんだよ。ほかに証言して欲しい奴がいたら喜んで。」 「ハ!」 「司令官、あともう一つ。サコンナはものすごく急いでた。武器を何に使うのかは知らないが絶対 2、3日のうちだよ。」 シスコ:「いいからリストを作れ!」 オドー:「司令官。もう一度、ガル・デュカットを探しに行かれるんでしょ?」 「ああ、拉致先がわかったらな。」 「保安チーフとして御一緒していいですか。」 「もちろん大歓迎だ。」 「それとクワークは、いつまで拘置しておきますか?」 「好きなだけだ。」 拘束室を出ていくシスコ。 クワーク:「待てよ。」 何も言わず去るオドーに言う。「冗談じゃねえよう。オドー!」 キラが保安室を出たシスコに近づく。「パーン総督がどうしてもすぐに司令官に会いたいそうです。」 カーデシア人のレガート・パーン※4がやってきた。「事態は急を要するのでな。直ちに、対応策を取らねば。カーデシア中央司令部の一員として、こう申しあげるのだが、今は非常に危機的な状況だと言わねばならない。」 シスコ:「わかっています。現在全力を挙げて、ガル・デュカットの行方を探しております。」 「司令官、お気持ちはありがたいがそれは必要ない。中央司令部の調査では、ガル・デュカットは…一部の血迷った士官たちを密かに組織し、非武装化地帯の植民地に武器を流していたようなのだ。」 キラ:「じゃあマキの言うとおり、やはりカーデシア中央司令部がかんでいたんですね?」 「いや、我々はデュカットたちがそんなことをしていたとは知らなかったのだ。中央司令部が、連邦との協定に違反するような行為をするはずがないだろう。」 プロムナードを歩き出す 3人。 パーン:「デュカットの部下たちは、既に逮捕した。いずれ、裁きを受けるだろう。」 シスコ:「デュカット本人は。」 「そのままマキの…ところにいればいい。」 「では彼を探す必要はないと。」 「探さずとも、マキがデュカットを処刑してくれるだろう。」 「まあ、そうなるでしょうねえ。」 「マキが処刑しようが我々が処刑しようが、同じことだ。」 キラ:「デュカットが殺されたのを理由に、カーデシアが軍隊を派遣するかもしれませんよ?」 パーン:「いやあ、それは約束しよう。カーデシアは決して報復しない。」 ドアの前に来た。「カーデシアは、今再び連邦と戦う意思はもっていない。ここで誓ってもいい。」 笑うキラ。「誓うですって?」 シスコ:「よすんだ。大変意義のある話し合いをもてました。」 パーン:「そうだと嬉しいが。」 「申し訳ないが、私は任務がありますので。もし御時間があれば、ごゆっくりなさって下さい。」 「ありがとう。しかし、私にも任務があるんでね?」 ドアを開けるパーン。出てきたベイジョー人たちを見る。「それにこのステーションも、昔と違ってあまり楽しい場所ではなくなったようだからな?」 パーンは中に入り、ドアが閉められた。 キラ:「信用できるもんですか。」 シスコ:「ああ、同感だな。だが知りたかったことはこれでわかった。彼の言うとおりだ。カーデシア中央司令部は植民地に武器を流していたんだ。」 司令室。 ダックス:「連邦の入植者が 3人、ハクトン7※5 で殺されたとの報告が入りました。カーデシア側は、ボックノール爆破の報復だと声明を出しています。」 シスコ:「次はマキがまた報復に出るだろうな。チーフ、わかったか。」 オブライエン:「ワープドライブの痕跡を追跡した結果、デュカットを誘拐したマキの船のコースがわかりました。」 星図を表示させる。「この通り、長距離センサーにはこのコースを通っている船はほかにありません。」 「なるほど。ほかの船には転送していないのか。じゃ惑星か。」 「考えられます。コースに沿って Mクラスの惑星が 5つあります。それぞれの座標はコンピューターに入れておきました。」 「よーし、ご苦労。シスコよりオドー。」 オドー:『はい、司令官。』 「ドクター・ベシアと発着パッドC へ来てくれ。」 『了解。』 キラ:「司令官。デュカットを助ける必要なんかありません。パーン総督だってそう言ってたじゃないですか。」 シスコ:「ほっといてマキに殺させろって言うのか?」 「あんな男のために危ない真似をすることはありません。マキに殺されたって、身から出た錆ですよ。」 ターボリフトに乗るシスコ。「カーデシアが死を望むなら、それだけでデュカットを生かしておく理由はある。発着パッドC へ。」 |
※1: 「惑星」と誤訳 ※2: アリーナ・ネチェーエフ提督 Admiral Alynna Necheyev (ナターリア・ノグリッチ Natalia Nogulich) TNG第172話 "Journey's End" 「新たなる旅路」以来の登場。階級章は三つ星。TNGでは「ナチェフ」と訳されていました。声:滝沢久美子 (TNG では磯辺万沙子) ※3: パイゴリアン、パイゴリア人 Pygorians ※4: Parn (ジョン・シャック John Schuck 映画 ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」・ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」のクリンゴン人大使 (Klingon ambassador)、VOY第142話 "Muse" 「ヴォイジャーの神々」のコーラスその2 (Chorus #2)、ENT第91話 "Affliction" 「クリンゴンの苦境」・第92話 "Divergence" 「優生クリンゴン」のアンターク (Antaak) 役) 階級の Legate が初言及。後には「特使」「評議員」「レガート」などと訳され、ガルより上を意味します。パーンは ST で初めての「ふくよかな」カーデシア人です。声:村松康雄、DS9 ゲモールなど ※5: ハクトン7号星 Hakton VII |
惑星。 サコンナ:「私の心を、お前の心へ。お前の考えを、私の考えに。私の心を、お前の心へ。お前の考えを、私の考えに。」 手を伸ばしている相手は、デュカットだ。「私の心を…お前の心へ…。」 アマロス:「どうしたんです!」 サコンナ:「私の…」 デュカット:「そんな術など、この私には効かん。」 「…なぜかわからないけど、いつまでも精神を溶かし去ることができない。恐らくこいつは自分の心を、シールドできるのよ。」 ヴァルカン精神融合の手を離すサコンナ。 「単に心身の鍛練の問題だ。」 アマロス:「これからどうする!」 サコンナ:「しばらく休んでから、もう一度やってみるわ。」 笑うデュカットは、手錠をつけられている。「君たちは本当に、尋問にかけては手際が悪いなあ。カーデシア人は、情報を引き出すのには長けている。もちろん尋問の過程で、少々の不愉快はつきまとうがね。しかし連邦は非常に不愉快を嫌うからな。」 アマロス:「俺は連邦には何の忠誠心ももっていない!」 「ほう、そうかあ。では君は連邦とはもう、縁を切ったわけだ。ハハ…そう思いたい気持ちはわかる。しかし、連邦から教え込まれたことはそう簡単には抜けないぞ? 君たちは果たさなくてはいけないことがあっても、それを果たそうとするガッツがない。」 「それをボックノールの乗組員に言ってやれよ!」 「船を爆破するぐらいどんな奴にもできる。ハー! だが、敵に面と向かい合って、この顔を生涯忘れることはないだろうと知りつつ、手を下すことは…軟弱で、すぐ逃げたがる者にはできない。」 「ならやってやろうじゃないか!」 サコンナ:「駄目よ? 彼の言うとおり、私達には人を傷つけて平気でいられる神経はないわ?」 笑うデュカット。「ほーらな、わかったか。」 サコンナ:「私達はそんな神経は欲しくもない。」 アマロス:「でも中央司令部が次にどこへ武器を送るのか聞き出さないことには。もし君が聞き出せないなら、尋問の続きは俺がやる。こっちの覚悟を嫌というほどわからせてやるよ。」 シスコ:「そんなことをしても何にもならないぞ。」 洞窟に来ていた。「武器を下ろせ! 争うつもりはない。」 アマロス:「なら俺たちのことはほっといてくれ!」 フェイザーを向ける。 「デュカットをこちらに引き渡せ。」 「それはできない。」 ベシア:「僕たちもカーデシア側の協定違反をやめさせようと思ってるんです。協力しましょう。」 デュカット:「さっさと、奴らを撃ったらどうだ?」 シスコ:「それは、我々の望みではない。」 「何をグズグズしている。」 「早く武器を下に置け!」 オドー:「言うとおりにしろ!」 デュカット:「早く撃つんだ!」 立ち上がり、サコンナを殴り倒した。 発砲するアマロス。マキの仲間も撃ってくる。 反撃するベシアたち。撃たれていくマキ。 逃げようとするアマロスに、オドーは腕を伸ばした。 変形させ、アマロスの身体に巻き付ける。はしごから床に落とした。 アマロスにつかみかかるデュカット。 シスコ:「離すんだ! よせ、離すんだ! オドー、彼らをシャトルで拘束しておけ※6。」 オドー:「わかりました。」 「こいつは残せ。」 アマロス:「…どういうことだ。」 「帰ってカルにまだ艦隊には報告してないって伝えろ。今なら、まだ 2人で力を合わせ、問題を解決できるって。それから、制服は私が預かってる。その気になればいつでも返すとな。」 はしごを登っていくアマロス。 |
※6: 「シャトルの拘置所へ」と訳されています。ランナバウトにそんな区画はありません |
DS9。 デュカットは並べられた食事を食べている。ボトルからドロドロしたカナールを注いだ。「ああ…。」 ドアチャイムが鳴る。 デュカット:「どうぞ?」 シスコ:「様子を見にちょっと寄ってみたんだ。」 「美味しい食事というものは心を和ませてくれるな。特に今日は大変だったしな。」 「同感だ。」 「そうか。ほかに我々の共通点は?」 「ほかにはあまりないだろうな。」 笑うデュカット。「一つあるぞ? 同じステーションの司令官だった。」 シスコに座るように示す。「ところで、捕らえた奴をどうするんだ。」 シスコ:「連邦の法※7に則って犯した罪を裁かれることになる。」 「出た判決が、無罪なら。」 「それはまずないだろうが、もしそうなったら、釈放される。」 「野蛮なものだ。カーデシアでは、判決は裁判が始まる前にもう決まっている。だから結果は同じだ。」 「じゃ何でわざわざ裁判を開くんだ。」 「人民が、それを望むからだ。大衆というものは、正義が…悪に打ち勝つのを常に…好むからな。みんなそれを見たがるのさ。」 「だが無実の人を裁いてしまう危険はないのか。」 「カーデシア人はそういう間違いはしない。」 「そうか、よく覚えておこう。」 「…司令官。一つわからないことがある。中央司令部は私が誘拐されたことを知っているはずだな。」 「ああ、発生直後に知っていたようだ。」 「ではなぜ、君が助けに来た。このステーションを、今頃カーデシアの軍船が何十隻も取り囲んでいてしかるべきだ。」 「確かに、パーン総督が訪ねてはきた。」 「ああ…私の救出を、強い調子で要求しに来たんじゃないのか、うん?」 「パーン総督は非武装化地帯の植民地へ武器を流していたのは君だって言ったぞ? だからマキに処刑させればいい、同じことだからってな。裁判前に判決が決まってるんだろ?」 「……ああ、そうか。どうやら…中央司令部は私をトカゲの尻尾切りに使う気らしいな。ベイジョーを撤退してからというもの私の評価は落ちていたし。」 「撤退の責任を問われていたのか?」 「ハ…ベイジョー人を、皆殺しにすべきだったと信じている輩は、まだ大勢いるんだよ。まあいい。過ぎたことを言っても始まらん。私は、勘違いしていたらしい…」 「武器を流していた黒幕か。」 「…私は知らされていなかったんだ。非武装化地帯にある植民地に武器を流していたのは、カーデシア中央司令部に恐らく間違いないだろう。」 「本当に君は知らなかったのか。」 「ああ。…一言も聞かされなかった。……もし私が武器の密輸を止めれば、君はマキを止めてくれるか?」 「……全力を尽くそう。900時に、スタッフのミーティングを開く。」 「出席しよう。司令官。…ありがとう。助けに来てくれて。」 「立場が逆なら、君もそうしてくれたさ。…フン。」 部屋を出て行くシスコ。 デュカットは微笑んだ。 司令室のシスコ。「ああ、オドー。クワークが売った武器のリストは。」 パッドを読むオドー。「いやはやひどいもんですよ。高エネルギーディスラプターを 6機、粒子加速装置を 3機、光子魚雷を 200発、パルス大砲 1ダース。」 キラ:「それだけ武器があれば、ベイジョーもカーデシアに総攻撃をかけられたかもしれない。」 デュカット:「どうせ負けだ。」 オブライエン:「小競り合いに使うような武器じゃないですよね。大きなことをやる気だ。」 シスコ:「クワークは計画実行は 2、3日のうちだって言ってる。」 ダックス:「サコンナから何か聞き出せなかったの?」 オドー:「ヴァルカン人を尋問したことがおありですか、大尉?」 「いいえ?」 「私もこれが初めてですが、参りましたよ。冷たい計算されたしゃべり方といい、無表情な顔といい、ストレスが溜まりますよ。」 デュカット:「私が、尋問してみようか。」 シスコ:「それは許可できない。」 「つまらんな。やってみたかったのに。」 キラ:「何かやりたいなら、非武装化地帯に武器を持ち込んだ方法を突き止めなさいよ。」 「ゼポライト※8の自由貿易商を利用したのでは?」 ダックス:「なぜゼポライト人を?」 「彼らには何度もこういう仲介の仕事を頼んだことがある。」 シスコ:「それならリセピアン人もだ。」 「だが、ゼポライト人は捕まったことがない。」 異星人船に近づいたランナバウト。 オブライエン:「ゼポライト船は呼びかけに応えません。」 デュカット:「応えるはずがないだろう。カーデシアの武器を満載している船が、連邦のシャトルに呼びかけに応えるか。」 シスコ:「船をスキャンして、貨物が何か調べろ。」 キラ:「駄目です、スキャンを受け付けません。」 オブライエン:「あっちの船体は、スキャンを跳ね返す物質を使っています。よほど覗かれたくないんだな。」 シスコ:「チーフ、デュカットとここに残れ。少佐は一緒に来てくれ。こうなったら直接乗り込んで、何を運んでるか見てやる。」 「いやあ、ビーム転送はできません。向こうがシールドを上げました。」 デュカット:「時間を無駄にするな。ゼポライト船は、ワープ9.8※9 までスピードを上げられる。逃げられたら絶対に、追いつけないぞ。」 キラ:「じゃあどうするの?」 「フェイザーで向こうのシールドに穴を開け、ブリッジを壊す…」 「全員死んでしまうわ。」 「当たり前だ!」 「ああ…」 「そしてトラクタービームで船を捕らえ、積んでいる武器をステーションに持って帰る。単純だが効果的だ。」 シスコ:「だが無用の流血を招く。」 キラ:「カーデシア人が言いそうなことだわ?」 「チーフ、フェイザーで艦首を攻撃して注意を引いてみろ。」 オブライエン:「了解。」 フェイザーがゼポライト船をかすめる。避ける船。 オブライエン:「目が覚めたらしい。応答あり。」 シスコ:「私のモニターへ。」 ゼポライト人が映し出される。『私はドルフォ・アーワ※10。この船の船長だ。一体何の用だ。』 シスコ:「私はベンジャミン・シスコ。惑星連邦の司令官だ。君はカーデシアの武器を非武装化地帯の植民地へ運んでいるね?」 ドルフォ・アーワ:『いやそれは、情報が間違ってる。司令官、私の船が今運んでいるのは、5キロトンのレグレイン小麦の殻※11だ。』 「5キロトン? ずいぶん大量の小麦だなあ。君の許可を得てそれだけの小麦を見てみたいが。」 『それは許可できない! もし私の船に乗り込もうとするなら…直ちに海賊行為と見なす。わかったかね?』 「海賊行為だろうが何だろうが、貨物を調べさせなければどこへも行かせない。」 『そういうことなら、司令官…』 デュカットが立ち上がった。「そういうことなら…もちろん言われた通りにするだろう。まず我々に船を調べさせ、非武装化地帯の植民地へ運ぶはずだったカーデシアの武器を全て出す。それからディープ・スペース・ナインに来てもらおう。武器はもちろん全部没収だ。お前には非武装化地帯への、武器流しについて知っていることを全て自供してもらうぞ? その自供書にサインが済めば、お前もお前の船も解放してやろう。どうだ、わかったか。」 ドルフォ・アーワ:『それはどういうことだ! カーデシア人だろ!』 「私はただのカーデシア人ではないぞ。第2階級司令官の、ガル・デュカットだ。15秒以内にシールドを解除しなければ、実力を行使する。」 『おい、待て!』 「あと 10秒。」 『そんな簡単にいくか!』 「あと 7秒。」 『もう金をもらってるんだ!』 「あと 4秒。」 『ちょっと待て! カウントをやめろ!』 オブライエン:「シールドを解除しました。」 うなだれるドルフォ・アーワ。『…わかった、そちらの言うとおりにしよう。』 通信を切った。 デュカット:「ここから先は、君に任せる。」 デュカットを見るシスコ。 席に着くデュカットは、キラを見た。目をそらすキラ。 |
※7: Federation Code of Justice ※8: Xepolites ※9: 「0 コンマ 8秒でワープ9」と誤訳 ※10: Drofo Awa (マイケル・ベル Michael Bell TNG第1・2話 "Encouter at Farpoint" 「未知への飛翔」のグラップラー・ゾーン (Groppler Zorn)、DS9第21話 "The Homecoming" 「帰ってきた英雄 パート1」の Borum 役。ゲーム "New Worlds"、"DS9: The Fallen"、"Starfleet Command: Volume II" で声の出演) 「船長」には Hetman という言葉が使われています。船は DS9第10話 "Move Along Home" 「死のゲーム」に登場したワディ船 (後にベイジョー船としても使用) の使い回し ※11: Regrean wheat husks |
DS9。 クワーク:「さぞかし満足だろうな!」 サコンナ:「私はヴァルカン人よ? 感情は常に一定しているの。」 独房にいる。 「俺はあいにくフェレンギ人だから感情は常に変化しているんだよ。今すごーく惨めな気分さ? みんなあんたのせいだ。」 「報酬はたっぷりもらったはずでしょ?」 「あれっぽちで足りるかなあ? 俺だってカーデシア人なんて信用しねえよ? 中央司令部が非武装化地帯にある連邦の植民地を狙ってんのは誰が見てもわからあ。」 隣に座るクワーク。 「私達に賛同するのね?」 「冗談じゃねえよ。」 「どういうこと?」 「あんたらの運動は、非論理的だ。」 「ヴァルカン人に非論理的とはよく言うわね。」 「…全くあんたは何もわかってねえんだなあ。…金儲けの秘訣第3条を知ってりゃわかるこった。…第3条を知ってるか?」 「フェレンギ人の哲学には詳しくないの。」 「今度一部コピーしてやるよ。結構役に立つぜ? さて、その第3条はこういうんだ。『必要以上の費用を費やして、物を買うな。※12』」 「論理的ね? でもそれが私達の運動とどう関係あるの?」 「あんたらは平和を望んでいるんだろう? 結構だ。平和はいい。でも、それにどれぐらい出す気だ?」 「必要ならいくらでも。」 「そういう大雑把な頭が商売の失敗を招くんだ、第3条を忘れたら。今なら破格の御値段で平和を入れられるってのによう。それに気づきもしねえとはな?」 「どういうことかまるでわからないわ。」 ため息をつくクワーク。「じゃあ俺がヴァルカン人にもわかるように説明してやるよ。カーデシア中央司令部の非武装化地帯への武器流しがついに明るみに出た。つまり、これからは検問が厳しくなり、武器の持ち込みは無理だ。中央司令部からの支援がなければ、カーデシア入植者の戦意も失せる。」 サコンナ:「今までの武器の蓄積があるわ?」 「敵には武器がある、あんたらにもある。みんな武器はもってるが、今のところどっちも決定的な優位には立っていない! だから平和の御値段はぐっとお安くなってくるわけさあ。お互いに武器を納めて交渉の席につくにはまさに今が旬なんだ。わかんねえのか? 今カーデシアを攻撃したら対立はますます激しくなる。そうすりゃ平和をますます遠のかせるだけだろうが。さあ、わかったろ? どっちが論理的だ?」 無言のサコンナ。 話すデュカット。「秘密の武器保管庫は恐らく、市民人口センターの中にあると私はにらんでいる。」 シスコ:「サコンナによれば、マキは 52時間以内にその武器庫を襲う予定でいるらしい。」 「だがどの植民地のセンターにあるかは、言わなかったんだな?」 「サコンナは知らないって言ってる。」 「そんな馬鹿な。」 「私は信じる。」 「なぜ。ヴァルカン人だからか?」 「嘘をつかないからな。」 「一般的にはそうだが、どうかな? サコンナが真実を言っているとして、中央司令部に、そのことを伝えていないだろうなあ。」 「ああ、言ってない。」 「よし。知ったら必ず介入してくるだろうからな?」 「だが、肝心の武器庫の場所を教えてくれるかもしれないぞ?」 「それは任せろ。中央司令部からは嫌われている私だが、まだ支持者はいる。」 「その間、私はヴォラン3※13 へ行ってマキを説得してくる。」 「失敗したら。」 「心配することはない。必ずマキは説得する。どんな手段を使っても、必ずだ。」 デュカットの部屋を出るシスコ。 向かうランナバウト。 ヴォラン3。 女性入植者:「ユモス8※14 では、公共のレプリケーターの食物を食べた市民が 35人、病院に入院する騒ぎがあったそうです。敵の破壊工作でしょう。」 アマロス:「本日からは全植民地の公共レプリケーターに護衛を配置します。」 「助かるわ? さて、戒厳令についてですが…」 ドアが開き、立ち上がるアマロス。 フェイザーを携えたシスコが入る。 女性入植者:「シスコ司令官。驚いたわ? 議事を片づけてしまいますので、少し待って下さいます?」 シスコ:「いえ私が来たのは、皆さんに次のことを聞いて欲しいからです。私はどれぐらいの皆さんがマキに参加しているのかは知りません。参加していない方でも、友達にメンバーがいるでしょう。その人たちに、私がこれから言うことを伝えていただきたい。カーデシアと連邦は、協定を結び同盟関係にあります。ですからカーデシアに敵対するなら、連邦に敵対すると同じことになります。」 アマロス:「くだらない説教はやめろ!」 女性入植者:「その通りよ。」 シスコ:「マキがカーデシアの武器庫を襲う計画はもうわかっている。警告しておくが、計画は…中止することだ。でなければ武器庫の前で、私が皆さんの相手になる。」 ドアが開き、フェイザーを持った面々がやってきた。全てのドアから、マキが姿を見せる。 最後のドアが開き、仲間と一緒にハドソンが来た。「なかなか迫力ある演説だった。ここで君を殺しておいた方がよさそうだな。」 シスコ:「君にできるのか?」 持ってきた荷物を、テーブルに置く。 「何だそれは?」 「君の制服だ。」 「楽観主義者の君らしいよ。」 「それは悲観する理由がないからだ。私の見るところ、カーデシアからの武器の流入はストップした。これ以上マキとして戦う必要はないんだ。君と私とで、力を合わせ、カーデシア植民地との和平協定を樹立しよう。」 「それにはもう遅すぎる。」 「そうかな?」 「戦いは始まった。私は絶対に勝つ。君も、協力してくれ。友人として頼んでいるんだ。」 「友人として……私は協力はできない。襲撃を強行するんなら、まず私を倒してから行くことだ。」 「そんなことは、できればしたくない。」 出ていくハドソン。だが立ち止まり、フェイザーを取り出した。 シスコも構える。 ハドソンはフェイザーを発射し、制服が消滅した。 去るハドソン。部下もシスコに銃を向けながら出ていった。 |
※12: No.3 "Never spend more for an acquisition than you have to." ※13: ヴォラン3号星 Volon III 前編でも登場 ※14: ユモス8号星 Umoth VIII |
DS9。 デュカット:「ブライマ※15植民地だ。私の得た情報によれば、そこに武器庫があるそうだ。」 シスコ:「なら作戦は簡単だ。マキの船をブライマに行かせなければいい。」 ダックス:「カーデシア側に探知される前にマキの船を捕らえなければ。」 キラ:「言えてるわ? もしカーデシア側の入植者にマキの襲撃が漏れれば、本国に兵力増強を求めるに決まってるもの。」 オブライエン:「もしマキが民間施設を攻撃すれば、協定には関係なくカーデシア中央司令部も黙ってはいられないでしょう。」 シスコ:「一歩間違えば全面戦争になりかねない。とにかくマキを止めなければ。…ブライマ植民地のセンサーが届く範囲の外側に、シャトルを配置して待機しよう。」 「やってくる船を探知する一番いい方法は、センサーをオールトの雲※16の中にばらまいておくことです。…そうすればどのルートから来ても探知できます。」 ベシア:「マキの船は何隻ぐらいなんですか?」 オドー:「サコンナによれば、買った武器を搭載できる船は 2隻だけだそうです。」 「じゃあこっちの 3隻に対して相手は 2隻だ。こっちが有利ですね。」 オブライエン:「この際数あんまり関係ないでしょう。彼らは劣勢で戦うのに慣れている。必死で向かってきますよ。」 ダックス:「それで、どうやって止めるの?」 デュカット:「地球の言い回しにもあるだろ。『殺せば、おしまいだ。』」 シスコ:「できれば説得して思いとどまらせたい。だが駄目なら、武力行使だ。」 キラ:「ということは攻撃されたら反撃してもいいんですね?」 「その通りだ。ただしワープエンジンと武器アレイを狙え。乗組員は殺すな。」 デュカット:「優しいことだ。マキもそれぐらい優しければいいがな?」 3隻のランナバウト。 シスコ:「リオグランデより、メコンとオリノコへ。どうだ聞こえるか。」 隣にはデュカットがいる。 オリノコのキラ。「こちらオリノコ、通信良好。」 隣にはダックス。 オブライエン:『こちらメコン。通信チャンネルは全て良好に機能しています。蒔いておいたセンサーからマキの船を探知したという信号は入っていません。』 メコンのベシア。「ほんとに来るのかなあ。待ち伏せは予期しているだろうし。」 ダックス:『襲撃の日時を変えるかもしれないわね。』 疑うダックス。「…一週間ぐらい延期するかも。」 シスコ:『いや、必ず来る。長く待つほど、武器庫がほかの場所に移される可能性も高くなるからな。』 デュカットはうなずく。 リオグランデ。 オブライエン:『司令官、連邦の船が 2隻現れました。』 シスコ:「シスコよりハドソン。」 映ったハドソンに言う。「襲撃は成功しないぞ。犠牲者が出る前に船の向きを変えろ。」 ハドソン:『頼むよ、ベン。君を攻撃したくないんだ。』 通信を切った。 ハドソンの隣のアマロス。「…聞く耳もたずだ。」 ハドソン:「攻撃の準備を始めろ。ナイルズについてくるように言え。」 「了解。」 向かってくる 2隻のマキ船。 ランナバウトが待ちかまえている。だが、マキ船は急に向きを変えた。 オブライエン:「司令官、逃げていきます!」 命じるシスコ。「トラクタービームで拿捕だ。」 操作するオブライエン。 揺れるマキ船。 ハドソン:「ちきしょう!」 アマロス:「ナイルズもだ。」 シスコを呼び出すハドソン。「行かせてくれ。」 シスコ:『いいや、それはできない。』 「じゃあ伏せるんだ。」 ハドソンは通信を切った。「ビームエミッターを狙え。」 トラクタービームを出しているリオグランデは、攻撃された。 デュカット:「…何を待っている。」 オブライエン:『ビームのロックが外れました!』 キラ:『相手は逃走中。』 シスコ:「よーし、攻撃開始!」 フェイザーを発射するランナバウト。 マキ船の片方に命中する。 アマロス:「ナイルズのエンジンがやられた。漂流してる。」 ハドソン:「お返しをしなきゃな。」 オリノコが反撃され、上部のロールバーが吹き飛んだ。 ダックス:「ナビゲーションアレイをやられました。高度の操縦は不能。手動エンジンに切り替えてみます。駄目です、エンジンが動きません。」 通信を聞いていたシスコ。「わかった。チーフ。オリノコを救助してくれ。ハドソンは任せろ。」 オブライエン:『了解!』 連絡するオブライエン。「少佐。」 キラ:『ええ、チーフ。』 「転送します、シールドを下げて。」 『了解。』 デュカットは伝えた。「また戻ってきたぞ?」 ハドソン:『俺とお前とで勝負だ。』 シスコ:「戦争を始めるわけにはいかん!」 『俺は戻らないぞ。』 「これ以上前には行かせない!」 マキ船は光子魚雷で攻撃してきた。反撃するリオグランデ。 アマロス:「やられた! 光子魚雷発射管がダメだ。」 ハドソン:「フェイザーに切り替えろ。目標、コース 115、マーク 326。」 「了解!」 攻撃されながらも、リオグランデを連射するマキ船。 デュカット:「メイン・フュージョンコアに直接当たったぞ。」 シスコ:「直ちにコアをシャットダウンせよ。」 「左舷側は、イオン化重水素があふれている。ワープエンジンも、通常エンジンも動かないぞ。」 「まだ手動エンジンが残ってる!」 リオグランデのナセルに異常が生じている。それでもマキ船に近づいていく。 アマロス:「戻ってきました。フェイザーを使って…」 ハドソン:「ダメだ。武器アレイにつながる、パワーカップリングをやられている。」 「…どうします?」 「こうなったら仕方ない。一旦引き上げるしかないだろう。」 マキ船は向きを変える。 デュカット:「逃げていくぞ、今がチャンスだ。撃て。」 通信するシスコ。「勝負はついた!」 ハドソン:『ああ、今日はな。次は別の奴をよこすように言ってくれ。お前と撃ち合うのは気分が良くない。』 「次はもうないぞ! 降伏するんだ!」 『そのつもりはないよ、ベン。』 デュカット:「おい、逃げていくぞ!」 シスコ:「今逃げれば、もう私は艦隊から君を守ってやれなくなる。植民地にいても、危うくなるかもしれないんだぞ!」 ハドソン:『それはわからないぞ。同志は大勢いるんだ。それに、マキの使命は最期まで果たす。』 「アウトローになる気か。お尋ね者だ!」 『まあね?』 「ここで一生を台無しにしてもいいのか!」 『新しく、やり直すさ。』 デュカット:「何をグズグズしている! 今のうちに撃ち落としてしまえ!」 ハドソン:『お前のことは忘れない。いい友達だった……。』 通信を終えた。 シスコ:「ああ、君もな。」 立ち上がるデュカット。「撃て!」 シスコは無理矢理座らせた。 デュカット:「…君は強いと思っていたが、違うな。君は馬鹿だ。センチメンタルな馬鹿だ。」 シスコ:「約束通りマキの襲撃は止めた。だが同胞を守ろうとする友は殺せない。」 「君には、ガッカリしたよ。」 「ガッカリされても痛くもかゆくもないね。…オブライエン、悪いがこちらのエンジンを見てくれないか。」 オブライエン:『わかりました。』 DS9。 パッドを読んでいたシスコ。 キラが司令官室に入る。「司令官。デュカットが帰途につきました。」 シスコ:「国に帰れて嬉しいだろうな。」 「オリノコとリオグランデは、2、3日で元通りに修理ができるそうです。」 「ありがとう、少佐。ついさっき、艦隊からメッセージが届いた。カーデシアとの協定が維持され、平和が保たれたことを私の功績として称えてくれたよ。」 「当然ですよ。戦争を防いだんです。」 「そうかな。ただ先延ばしにしただけじゃないのか。」 キラは何も言わず、出ていった。 |
※15: Bryma ※16: Oort cloud 星系を取り囲む、球状の「彗星の巣」のこと。「星雲」と誤訳 |
感想
マキ導入の完結編。連邦と入植者の狭間に立たされるシスコの苦悩が描かれています。いくら提督が出ていった後とはいえ、怒りまくるのは非常に彼らしいところですね。 マキ船とランナバウトの戦闘は、まだ時間が短いし特撮も未熟なものですが、第2シーズン初めの「帰ってきた英雄 パート3」と並んで映像的に見応えのあるシーンです。今後 DS9 の目玉の一つとなる、映像効果の走りとも言えるでしょうね。それにしてもこの前後編では、ほんとにあっちこっち行ったり来たり…。 前編のガル・イヴェックに続き、ネチェーエフ (ナチェフ) はカーデシア問題で出てくる提督として TNG とつながっていますね。デュカットのセリフで明かされるカーデシアの司法システムは、すぐ後で詳しく扱われています。 |
第40話 "The Maquis, Part I" 「戦争回避(前編)」 | 第42話 "The Wire" 「義務と友情」 |