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特別エピソードガイド
「スター・トレック 叛乱」 (4)
Star Trek: Insurrection

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・15. 攻撃的な傾向
イバラの茂みを進むエンタープライズ。オプス席のペリム少尉が報告する。
「副長、2隻のソーナ艦が妨害コースで進んでいます。」
「我々に追いつくまでどれくらいだ?」と尋ねるライカーに、「18分です」と答える。操舵席のラフォージが続ける。「少なくともあと 1時間経たないと、ここから出て通信を行うことはできません。」
戦術コンソールを担当しているダニエルズ大尉が「我々に呼びかけています」と言った。ライカーは「トランシーバー・アセンブリーが故障していて、メッセージは送れるが受け取れないと奴らに言え」と命じる。しかし「信じていないようです」というダニエルズ。ライカーが「なぜだ?」と尋ねた直後、船が揺れた。
「光子魚雷か。これは通信機が故障している時の一般的な挨拶じゃないよな?」とラフォージに話すライカー。
「これは嫌いな相手に会った時の一般的な挨拶だと思います。」
再び揺れが起こる。「インパルス全開!」と指示するライカー。艦長席につく。しかしラフォージが、「この茂みではマニフォルドがインパルス全開にはもちません、副長」という。
「もし我々が奴らを振り切れないなら、この船でマニフォルドだけが残るだろうな。」
「機関部にいます」と言い、ラフォージは向かった。「非常警報! 総員、戦闘配置!」というライカー。

休憩中、トロイが隣に座っているクラッシャーに話しかけた。「それで、どうしてバストに張りが出てき始めたと気付いたの?」
「こんな年齢で私たちが気にすることじゃないわ。」
クラッシャーは近くにデータが来ていたことに気付いた。「あら。ありがとう、データ」といい、食料パックを受け取る。2人を見ながら、その場を立ち去るデータ。
ウォーフは、食料パックのふたを閉じた。データが近寄る。「生きたコラー獣※78の血が異常に欲しいんです。この環境がまた私に影響しているに違いありません」というウォーフ。
データは先ほどの言葉を繰り返した。「それで、どうしてバストに張りが出てき始めたと気付いたの? こんな年齢で私たちが気にする…」
その時、2人はこちらに向かってくるソーナのシャトルに気付いた。「隠れろ!」と叫ぶウォーフ。荷物を持ち、急いで山を登り始めるバクー人たち。
2隻のシャトルから、次々にたくさんの小さな機械が空にまかれる。それらのドローン※79は一旦空中で羽を広げ、バクー人たちへ向かった。ドローンから小さな部品が発射され、それが当たった人々は転送されていく。
アーティムを岩陰に隠し、ドローンをフェイザーで狙い撃つデータ。
ピカードとアニージの近くで 1個のドローンが岩にぶつかり、墜落した。フェイザーを撃ち続けるピカード。やって来たウォーフが、落ちているドローンに注目する。「アイソリニアタグです。転送機がこれにロックできます」というウォーフ。
「避難場所を見つけなくては」というピカードに、アニージが「次の丘のふもとに洞穴があるわ」と教えた。「こっちだ!」とバクー人にいうピカード。
フェイザーライフルでドローンを撃つクラッシャー。
ウォーフの近くで、親子が転んでしまった。坂を転がる子供。ドローンがやってくる。ウォーフはドローンを撃ち、子供を助けた。列に戻る親子。
トロイもフェイザーライフルを使っている。ラマに積んであるフェイザーを取るウォーフ。クラッシャーたちと共に山を登る。

ワープナセルから白い煙を吐きながら航行を続けるエンタープライズ。ソーナ艦の攻撃が続く。光子魚雷で反撃する。
「シールド、60%!」と報告するダニエルズ。ラフォージの通信が入る。『機関部よりブリッジ!』 ブリッジでも蒸気が吹き出しているところがある。
機関室では火花が飛んでいる。「重水素が燃えています! これでは自ら爆発します! ソーナ人の助けは全然いりませんよ!」 話しながら消火器を使うラフォージ。
ライカーは尋ねる。「星雲群の中には何がある?」 「彗星の破片、不安定なメトリオンガス※80のポケットです。そこには行きたくないですね、副長」というペリム。スクリーンには不気味な橙色の雲が映し出されている。
「いいや、行くぞ。ここから代わろう、少尉」といい、ライカーは操舵席の男性の代わりに席についた。
「イバラの茂みをウサギどん※81のやり方で使う時だ。」 操舵パネルに手を触れる。
攻撃を受けながら、雲の中へ入っていくエンタープライズ。

ドローンとの攻防は続いている。的確にフェイザーで撃ち落としていくデータ。
ピカードは穴の前に着いた。「洞窟の中だ! 急げ! みんな! こっちだ!」 アニージたちバクー人が中へ入っていく。入口をクラッシャー、ウォーフと共に固めるピカード。しかしウォーフのフェイザーライフルはエネルギーが切れてしまう。クラッシャーとピカードがドローンを撃つが、もらした 1機が向かって来る。ウォーフはフェイザーを斧のように使い、ドローンを叩き壊した。ピカードに向かって言うウォーフ、「間違いなく攻撃的な傾向を感じています、艦長!」

エンタープライズの背後で、ソーナ艦の武器が爆発を起こした。炎の中に、一筋の暗い線が走っている。
「奴らはニトロライト爆発を起こしました! 亜空間断裂※82が形成されています!」というダニエルズ。
「スクリーンに!」と命じるライカー。
エンタープライズの背後の映像が出る。空間に青い裂け目が生じている。ペリムが言う。「亜空間兵器はキトマー協定で禁止されていると思っていました!」
「後で抗議しないとな」というライカー。ラフォージの通信。「我々のワープコアが断裂に対して磁石のように働いています! 空間を越えるジッパーのように引き付けているんです!」 機関室で慌ただしく働く士官たち。
『選択肢は!』
「コアを射出する手があります。」
「それが断裂を止めるのか?」
「参りましたよ、副長。」
ライカーはペリムと顔を見合わせた。「それが君の専門的意見か?」
「ワープコアを爆発させればカスケードを中和するかもしれません。逆に、中和しないかもしれません。亜空間兵器は予測不可能です。だから禁止されたんです。」
ダニエルズが伝える。「断裂が近づいています! 衝突まで 15秒!」
決断するライカー。「コアを射出!」
「もうやりました」とラフォージは言った。
微笑むライカー。「衝突まで 10秒!」 ダニエルズの声が飛ぶ。
エンタープライズの後方に、棒状のワープコアが残された。最後の命令を下すライカー。「爆発させろ!」
ボタンを押すラフォージ。ワープコアは大爆発を起こした。衝撃で吹き飛ばされるエンタープライズ。
機関室、ブリッジの両方でコンソールから火を吹いた。服に火が付いたクルーを消化器で助けながら、「こっちに医者をよこしてくれ!」と叫ぶラフォージ。
倒れていたライカーは起き上がった。ダニエルズが持ち場のパネルを確認する。「成功です、副長! 断裂は封じられました!」
ラフォージは「やりました、でももう一度やられたら止める術はありません。ワープコアは切らしてます」と伝える。※83
「通信圏までまだ 36分あります、副長」というペリム。「こいつらから逃げっぱなしだな」というライカー。

※78: kolar beast
吹 獣 (けだもの)

※79: drone
吹 訳出なし
字 マーカー機

※80: metreon gas
VOY第15話 "Jetrel" 「殺人兵器メトリオン」ではメトリオン爆弾 (metreon cascade) が言及
吹字 メトレオン・ガス

※81: ブレア・ラビット、ブラ・ラビット Br'er Rabbit
"Br'er" はブラザー (brother) のなまり。1880年代初期に出版された、作家ジョーエル・チャンドラー・ハリス作の「リーマスじいやのした話」に登場するキャラクター。イバラの茂みに住んでいます。参照:「ウサギどんキツネどん」 (岩波書店、八波直則訳、ISBN 4-00-111003-2、650円)
この中の話は 1946年にディズニーが「南部の唄」で映画化。さらにディズニーランドのアトラクション「スプラッシュマウンテン」の元にもなり、ウサギどんは園内のディズニーキャラクターの一人になっています。参考:クリッターカントリーBrer set Bean Bagsディズニーのキャラクターウサギどん
吹字 訳出なし

※82: subspace tear
吹 亜空間爆裂
字 (亜空間に) 亀裂、宇宙裂層

※83: 左側にベイジョー人の士官が映ります。イヤリングに注目


・16. 洞窟の内部
洞窟にバクー人たちが集まっている。最後に入って来たのはピカードだ。ウォーフが備え付けた機械のスイッチを入れ、入口にフォースフィールドが張られた。やってきたドローンはフィールドのためにどうすることもできない。
座っているアーティムのポケットから、小動物が外に出た。
ピカードに「さらに 43名が連れ去られました、艦長」と報告するデータ。突然大きな衝撃音がなり、洞窟が揺れだす。振動で天井から砂や石が降り注ぐ。悲鳴を上げるバクー人。
外では、ソーナ人のシャトルが空から洞窟を攻撃していた。「艦長! 奴らは我々を追い出してドローンがタグ付けできるようにするつもりです」と言うウォーフ。データはトリコーダーで調べながら、「基盤に熱水孔があるため、この洞穴の構造状態は長くは保たれないでしょう」と話す。
「ここから出る別の道はあるか?」と尋ねるピカードに、アニージは「知らないわ」と答える。データが「艦長、水路をたどれば別の出口を発見できるかもしれません」といい、奥へ歩き始めた。ピカードは「ミスター・ウォーフ、我々と一緒に来てくれ」と命じた。

揺れは続いている。トリコーダーの表示を見るデータ。「あの方解石の組成の後ろに窒素・酸素の流れがあることが読み取れます、艦長。」
「爆発で穴を空けたとしてもこの構造はもつか?」
「はい、安全だと思います。」
データ、ピカード、ウォーフの 3人はフェイザーを構えた。ピカードの「発射」という合図と共に、一斉に発射する。大爆発が起こり、大きな穴がポッカリと空いた。
出口からは別の山脈が見える。「全員をあの洞窟に入れて、中に入ったらフォースフィールドを作動させろ」というピカードに、ウォーフは「了解」と言った。



・17. ライカー作戦
イバラの茂み内を航行するエンタープライズ。スクリーンに映る雲について、ライカーが機関室のラフォージに尋ねる。
「ジョーディ、これはメトリオンガスのポケットか?」
「はい、副長。非常に揮発性が高いものです。距離を保つことを提案します。」 機関室ではいまだに蒸気が噴出している。
「受け入れない。できるだけガスを集めるためにラムスクープを使いたい。」
「目的は?」
ブリッジでも火花が飛ぶ。「目的は…ソーナ人にガスを押しつけるためだ。」 ペリムは何も言わず、ライカーの顔を見た。ダニエルズが警告する。
「副長、もし奴らの武器の一つがあのガスに命中したら…」
「それが我々の唯一の脱出法だ、ミスター・ダニエルズ。」
「私はこれをライカー作戦※84として歴史が記したとしても驚きませんよ」という機関室のラフォージに、「もし成功すればな」とライカーは言った。

エンタープライズのワープナセル前方にあるブサード・コレクター※85に、急速にメトリオンガスが吸い込まれて行く。
ライカーは命じた。「コンピューター! 手動操縦コラム※86にアクセス。」 四角いコラムが姿を現し、その中から棒状の操縦桿が出てくる。「操舵制御を手動に切り替えろ。」
スクリーンに背後のソーナ艦が映し出されている。ラフォージの報告。「ブリッジ、貯蔵室が最大容積に達しました。」 ペリムが続く。「彼らは前方武器アレイを充填しています、副長。」
指示を出すライカー。「ラムスクープ停止。待機。スラスター全開。」 「ラムスクープ放出」というラフォージ。ライカーは操縦桿のボタンを押し、ゆっくりと傾け始める。エンタープライズはガスを放出していく。
ソーナ艦が武器を発射した。しかしそれはエンタープライズには当たらず、ガスに引火を引き起こした。大爆発が起こり、武器を発射したソーナ艦は粉々になった。後ろを飛んでいたもう 1隻の船も、大きく損害を受ける。


※84: Riker Maneuver
ピカードが考案した「ピカード作戦」(Picard Maneuver) は艦隊アカデミーの必修となっています。TNG第9話 "The Battle" 「復讐のフェレンギ星人」より
字 単に「作戦」のみ

※85: Bussard collector
一部の連邦宇宙艦の、ワープドライブ・ナセルの前方に取り付けられている巨大な電磁装置。燃料として使用するための水素を収集します。TNG第43話 "Samaritan Snare" 「愚かなる欲望」など

※86: manual steering column
吹 手動ステアリングコラム
字 「手動に切り替えろ」


・18. 離さないでくれ
山道を登るバクー人たち。いっせいに岩陰に姿を隠した。先頭を進むウォーフが、「艦長!」という。近くの山の上に人影が見える。ソーナ人たちだ。肩に抱えている等磁分解機の照準を合わせるウォーフ。「データ! トロイ! みんなを移動させ続けてくれ!」と後ろの 2人に命じるピカード。
「洞窟から出てください!」と後ろに向かって指示するデータ。
ソーナ人の部下のターラック人が武器を発砲して来た。それはウォーフの背後を過ぎていく。ウォーフは等磁分解機を発射した。紫色の巨大なエネルギー弾がソーナ人たちのすぐ近くの岩に当たる。その衝撃で崖を滑り落ちる敵。
データはバクー人たちを急がせている。「ドローンがここに来るのにそう時間はかからないだろう」というピカード。
ターネルが洞窟の中で叫んでいる。「歩き続けるんだ! 彼らが高いところに洞窟を見つけた。そこへ行けば安全だ。」 だがアーティムはポケットに小動物が入ってないことに気付いた。一人で逆方向へ走り出す。
倒れてあえいでいるソーナ人のそばで、クラッシャーがトリコーダーを使って調べている。「艦長、この医療スキャンを見てください、彼の DNA プロフィールです。」 トリコーダーの表示をピカードに見せる。
「どうしてこんなことが?」
「彼らに聞くべきかも知れませんね。」
アーティムはやっとで小動物を見つけた。ポケットに入れる。アニージも戻って来た。「アーティム、何をしているの? 来なさい。」 一緒に走り出す。洞窟の揺れは続いている。
「これが最後のグループか?」と尋ねるピカードに、「はい、そうです」との答えが返ってくる。「移動させる準備をしてくれ。急がねば」というピカード。ターネルが「アニージがアーティムを探しに行きました」と伝える。フェイザーをターネルに渡し、戻り始めるピカード。
アニージの姿が見えた。急いで駆け寄り、アーティムをつかんでデータに渡すピカード。そしてアニージと共に走り出す。
戻ったデータは、「ターネルと行くんだ」といいアーティムを降ろした。「いや! 君と一緒にいたい」というアーティム。データは「向こうが安全だ。行くんだ!」と強い口調で言った。
岩盤が崩れ始めた。その砂に巻き込まれ、アニージが転んでしまう。データやクラッシャーたちの目の前で、大量の砂と石が降り注ぐ。ピカードとアニージは見えなくなった。
ウォーフはコミュニケーターを叩き、「ウォーフよりピカード」と言う。返答はない。トリコーダーで調べるクラッシャー。「2つの生命反応、1つは極めて弱いわ。」 トロイもトリコーダーの数値を読み取る。「約4メートルトンの岩がさえぎってるわね」といい、フェイザーを岩に向けて構える。だがウォーフが止めた。「だめだ。また落盤を引き起こすかもしれない。」 4人は岩を一つずつ取り除き始めた。

咳をしながら目を覚ますピカード。「アニージ? アニージ?」 声は聞こえない。通信が届く。「ウォーフよりピカード。」
「ああ、ああ、聞こえるぞ。」
「我々はそちらに向かおうとしています、艦長。」
ピカードは倒れているアニージを見つけた。「アニージ。助けが来るぞ。」 トリコーダーで状態を調べる。「ウォーフ、急いでくれ。アニージが傷ついている。」
クラッシャーの声だ。「彼女の容体は、艦長?」
「これでは死なせてしまう。」
「できるだけ急いで行きます。」
ピカードはアニージの手を握り締めた。そしてささやくように話し始める。「アニージ…私と一緒にいてくれ。この世界に君を留める力を見つけさせてくれ。」 アニージは目を開き、ピカードを見つめる。「一緒にいてくれ。この瞬間を離さないでくれ。」 ゆっくりと息をするアニージ。2人の周りでは、天井から落ちてくる砂が、ゆっくりと輝きながら落ちるようになった。
アニージにハイポスプレーを打つクラッシャー。「彼女は安定しています。」
「動かしても安全か?」と尋ねるピカードに、「ここに置いていくよりは安全でしょうね」と答える。
ピカードはアニージを抱き起こした。アニージは言った。「学ぶのに何世紀も必要だと思ってたんでしょう。」 額にキスをして、抱きかかえるピカード。

山道を進むウォーフたち。歩みを止めた。ウォーフ、クラッシャー、データ、トロイ、そしてアニージを抱いたピカード。前方に 5機のドローンが飛来し、動きを止めた。それを見据える 5人。
ピカードはアニージを降ろした。ドローンは今にも向かってこようとしている。散開する 5人。データはピカードにフェイザーライフルを渡す。ついにドローンがタグを発射した。ウォーフのすぐそばの岩をかすめる。フェイザーを撃つウォーフとクラッシャー。あと 3機。
トロイが撃つ。データは岩場で身をこなしてタグをかわし、フェイザーを撃った。あと 1機。
しかし最後のドローンから発射されたタグが、アニージの肩についてしまう。それを取ろうとピカードが手を伸ばした瞬間、自分にも付けられてしまった。転送される 2人。データがドローンを撃ち落とすが、既に遅かった。



・19. 血の恨み
ルアフォの船。監房室の前にダワティとガラティンたちがやってきた。中には転送収容された多くのバクー人がいる。ガラティンはエローラ人の看守に合図し、フォースフィールドを解除させた。中に入るダワティ。アニージに付き添うピカードと、横にはソージェフもいる。ピカードに話しかけるダワティ。
「彼らに降伏するように命じろ、そうすれば約束する、君は軍法会議にはかけられないだろう。」
「もし軍法会議が、連邦の人々にここで起こっていることを知らせる唯一の方法なら、私は喜んで受け入れます。」
ルアフォも怒りながら監房室に入る。「エンタープライズが私の船の 1隻を破壊しましたぞ! もう 1隻は火災を起こし、援助を要請している。」 ダワティにパッドを渡す。ピカードは言う。「エンタープライズは自衛する時しか武器を発射しない。ルアフォが攻撃を命令したに違いありません。あなたの許可なしにその命令を下すとは思えませんがね、提督。我々のどちらが軍法会議に向かうんでしょうか。」
ダワティは顔をゆがめ、「ここからこれ以上得るものはなにもない」とルアフォに話す。
「その通りですな。もう終わらせましょう。バクー人は惑星に残りたいのか? させておけ。私は注入機を発射する。」
「君は何も発射しない」というダワティ。
しかしルアフォは続ける。「6時間以内に、この星系の全生命体は死ぬか瀕死するでしょう。」
部屋を出ていこうとするルアフォにピカードは話しかけた。「お前は自分の仲間を殺すつもりなのか、ルアフォ?」 立ち止まるルアフォ。「自分の家族を? 兄弟、姉妹を?」
ダワティに向き直る。「知らなかったんですか、提督…ソーナ人とバクー人が同じ種族だということを?」 ルアフォを見るダワティ。だがルアフォは何も言わない。ソージェフが口を開いた。「ピカードがさっき私たちに話してくれた。DNA が同一だ。」 立ち上がり、ルアフォに近づく。「お前はどっちだ? ガルナ※87か? ロティン※88か?」
「その名前と、その子供は、永遠に失われた」というルアフォ。状況をつかめないダワティがピカードに尋ねる。「彼は何を話しているんだ?」 代わりに答えるソージェフ。
「1世紀前、私たちの若者のグループが部外者の道に従いたいと思った。彼らは居住地を支配しようとし、失敗した時…」
「失敗した時、お前たちはゆっくりと死なせるために我々を追放した」と言うルアフォ。アニージが尋ねた。「あなたはロティンね? 声に覚えがあるわ。」 ガラティンにも話しかける。「あなたは彼の友達のガルナでしょう? 子供の頃、お風呂に入れるためにお母さんを手伝ったわ。彼女は今もあなたのことを話してるのよ。」 ガラティンは何も言わぬまま、アニージを見る。
ピカードがダワティに言う。「あなたは連邦を血の恨みの中へ巻き込んだんです、提督。子供が年長者を追放した、かつて追放されたのと全く同じように、違うのはルアフォの復讐の欲求が今や親殺しにエスカレートしたことです。」
ルアフォはそのまま部屋を出ていった。ガラティンたちが続く。「連邦の…ためだった。全て連邦のためだった」と言いながら、ダワティも監房室を後にした。再びフォースフィールドが張られる。アニージの目には涙が浮かんでいた。

身体改良施設。入って来たダワティが、一人でいるルアフォに命じる。「我々はこの船をここから出発させる。この任務は終わりだ。」
「終わっていない」とだけいい、機械の画面を見つめるルアフォ。
「終わりだ!」
ルアフォは振り向きざまにダワティを殴った。よろけるダワティの体をつかみ、1階へ投げ落とす。「私はお前からの命令は受けない!」
自分も下へ降り、ダワティの頭をガラス扉にぶつける。そして驚異的な力で、ダワティをベッドの上へ寝かせた。押さえつけたまま、機械を作動させる。警告するダワティ。「もし惑星に人がいる間に注入機を発射したら、連邦はお前を追及する…」
「連邦が…ここで起こっていることを知ることはない」というルアフォ。皮膚伸長機のスイッチを押すルアフォ。ダワティの顔が醜く引き延ばされる。血がにじみ出てくる。ダワティの声は途絶えた。ルアフォはスイッチを切り、部屋を出ていく。機械の不気味な低音だけが、後に残った。


※87: Gal'na

※88: Ro'tin
字 ローティン


・20. ガルナ
手袋をはめながら、ルアフォがブリッジに戻ってくる。「ダワティ提督は我々のディナーにはいらっしゃらない。収集機を展開しろ。」
だが命令を受けたガラティンは、無言でルアフォを見つめた。動こうとしないガラティンにルアフォが言う。「命令に問題でもあるのか?」
「2人でお話しできませんか?」と静かに言うガラティン。ルアフォは別の部下に命じた。「収集機を展開しろ。」 「了解。」
司令室に入る 2人。ドアが閉まり、ガラティンは話し出す。「彼らを移住させるのはわかります。全員殺すのは…」
「お前ほど奴らを憎んでいる者はいない、ガルナ。我々は共に苦労して来た。」 ガラティンの肩をつかむルアフォ。「これこそが、その長い年月計画して来た瞬間だ。」
再びドアが開き、ルアフォは「宇宙艦隊の者を隔離して後部貨物室に閉じ込めろ。あのピカードを入れるのを忘れるな」と命じた。
「あの区域のシールドは熱分解反応に対して守ることができません」というガラティンに、ルアフォは「思い出させてくれて感謝する」とだけ言い、席についた。スクリーンには、収集機が移動を始めている様子が映し出されている。ガラティンはブリッジを去った。スクリーンを凝視するルアフォ。

収集機※89の胴体部分から、ゆっくりと羽状の幕が現れる。巨大なチョウのように。

監房室にガラティンらがやってくる。入口近くにいるアニージが、「ジャン・リュック」と教える。部屋の中の機械を見ていたピカードは、慌ててふたを閉めた。フォースフィールドが外され、銃を構えたガラティンはピカードに言った。「私と一緒に来い。」
笑顔でアニージの肩に手を触れ、ピカードは部屋を後にした。フォースフィールドが再び張られた後も、ピカードの行った方を見つめるアニージ。

通路を歩きながら、ピカードはガラティンに話している。「人質にされていた時、君にとっては奇妙だったに違いない、ずっと昔から知っている友達や家族に囲まれ、一人一人がその頃の彼らと全く変わらないように見える…再び子供の頃の目を通して見たように。」
立ち止まり、スイッチを押すガラティン。ピカードは話し続ける。「ここで、君はその目を閉じ、あの『ソーナ人』に対して行われた苦痛を見ないようにしている、ルアフォが狂人に変わっていき、そして君が…臆病者に変わっていく様を。自分の良心を拒絶する男だ。」
ターボリフトが到着し、ドアが開いた。「入れ」と命じるガラティン。2人は中に入る。
ピカードは言う。「残虐行為を止める真の勇気のない臆病者だ。君は私の気に触る。」
ついにガラティンが答えた。「これが連邦士官の命乞いのやり方なのか?」
「私の命乞いをしているのではない。君のだ。」 ガラティンを見つめる。「まだ故郷に帰ることはできる、ガルナ。」
ガラティン、いやガルナはピカードに向けていた銃のスイッチを切り、降ろした。「コンピューター、ターボリフトのドアを閉めろ」という。
小声で話し始めるガルナ。「お前が私に求めていることは不可能だ。」
「君は注入機を使えなくする方法を知っているか?」
「ブリッジで行う必要がある。クルーはルアフォに忠誠を誓っている。襲撃は失敗するだろう。」
「我々が奴をおびき出すことはできるだろう。」
「どこにいようと関係ない。彼が何か起こっていると悟ればすぐに、通信リンクを通して一言で私の命令を無効にするだろう。」
「もし何か起こっていると悟らなければ…。送信機に連れていってくれないか? 惑星上にいるデータとウォーフに話す必要がある。我々は彼らの助けが必要だ。」
「第12デッキ」とガルナは指示した。動き始めるターボリフト。


※89: ソーナ収集艦 Son'a collector ship


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