ルアフォは命じた。「分離プロトコル開始。」
ターラック人:「排出機アセンブリ始動中。」
エローラ人:「分離まで 3分。」
ソーナ人の女性※90が報告する。「小型機が地表から向かって来ています。武器を充填しています。」
「スクリーンへ」と命じるルアフォ。
ターラック人:「乗員 1名。あのアンドロイドです。」
向かってくる艦長用ヨットが映し出される。「彼は脅威ではない」とルアフォは言った。
ヨットはルアフォの船を攻撃する。通信するコックピットのデータ。「データよりピカード。」
「続けてくれ、データ。」 ピカードはガルナの後につき、狭い通路を這って進んでいる。
「艦長、彼らは私の攻撃を無視しています。」※91
「シールドグリッドを狙ってタキオンバーストを撃ち続けろ。ウォーフは位置についたか?」
「はい、艦長。彼は同時転送の準備を終えました。」
『我々はブリッジに向かっている。ピカード、以上。』
タキオンバーストを撃ち続けるデータ。
揺れるルアフォの船。エローラ人がカウントダウンを続ける。「分離まで 1分。」
ソーナ人男性:「アーダー、連邦船は我々のシールドに亀裂を作っています。」
ソーナ人女性:「もし位相がずれると、熱分解反応に対する我々の暴露が増加します。」
スクリーンには再び収集機が映されている。ルアフォは命じる。「結構。あの船を破壊しろ。我々のシールド調和をリセットしろ。カウントダウンは遅らせるな。」
攻撃を受け、艦長用ヨットのエンジンナセルからエネルギーが漏れ出した。蒸気が吹き出す船内。
「データよりピカード。彼らはシールド調和を回転調整しています。私は地表に戻ろうとしています、艦長。」
ルアフォ船。ターラック人:「連邦船は故障しました。」
エローラ人:「分離まで 20秒。」
その瞬間、ブリッジが明るく輝いた。「これは何だ?」と聞くルアフォ。
ターラック人:「わかりません。」
ソーナ人男性:「システムには影響していないようです。」
エローラ人:「分離まで 10秒。」
ルアフォはスクリーンを見つめた。
エローラ人:「5秒。」
ターラック人:「排出機アセンブリが分離しました。」
そして収集機の先端から、小さな注入機が打ち出された。クルーはその様子に注目している。惑星の輪へ近づく注入機。輪の中には、水に石を落としたように次々と波紋が現れる。
「予測されたシミュレーション通りだ」というルアフォ。輪の粒子は完全に乱れていく。しかしソーナ人女性が報告した。「メタフェイズ流量レベルに何の変化も現れません。」
「スキャナーが不調なんだろう。」
「全船の機能がオフラインです。」
「映像スクリーンが動いているのに、船の機能がないことなどありえるのか?」 コンピューターの表示を確認するルアフォ。「人工重力は安定している。生命維持装置は…」
ふいにルアフォは、壁面に目を留めた。わずかではあるが、部分的に光が明滅している個所がある。ゆっくりと近づき、それに手を触れるルアフォ。壁の中に手が消えてしまう。ルアフォは悟った。
「ホロデッキだ※92。」
武器を取り出し、天井へ向かって発砲する。映像が乱れ、黒い壁とたくさんのライトが見えるようになった。さらに 2発を撃つルアフォ。ドアが現れた。
そこを抜け、階段を上るルアフォ。「我々がシールドをリセットした時に、ホロシップに転送された。観たもの全てが幻影だった。」 前方のスクリーンには、自分たちが乗っていたはずの船が見える。
ルアフォは左手の通信機のスイッチを入れ、「ルアフォ・承認デルタ 2-1※93。第1注入機アセンブリに対する全連結コマンドを無効にしろ」と命じた。
コンピューターの返答。『応じられません。第1注入機アセンブリは使用不能になりました。』
ルアフォは顔を歪ませ、絶叫した。
惑星の輪は正常だ。カウントダウンの数字は、「0:06」で止まっている。その画面を見ながらピカードに言うウォーフ。「収集機上の全注入機サブシステムは確かにオフラインにしました。」
「ホロシップを遮蔽解除してトラクタービームを作動させてくれ。」
「了解。」
スクリーン上に四角いホロシップが現れ、トラクタービームで牽引された。
3人しかいないブリッジで、コンピューターを確認していたガルナが言う。「クルーは何か起こっていると気付いている。私はブリッジを封鎖した。」
ホロシップ内のルアフォ。「この船は 14機の長距離転送機を装備している。全て使用不能なのか?」
ターラック人:「奴らは我々がここに転送された後、ロック封鎖したに違いありません。」
ルアフォ:「1機を隔離し、補助プロセッサを通して命令シークエンスを別経路に切り替えろ。」
ソーナ人男性:「アーダー、できることは何もありません。奴らは既に我々の船を制御しています。」
だがルアフォは、「私は我々の船に戻るつもりはない」と言った。
|
※90: ソーナ人士官 その2 (Claudette Nevens)
※91: このシーンで艦長用ヨットの記念銘版が映ります。クストー (Cousteau) という船名が書いてありますが、判別は困難
※92: ホロプログラム 「ソーナ船のブリッジ」 (Son'a ship bridge)
※93: 保安アクセスコード (security access code) "Delta-2-1"
|