ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第107話「ブラックホールと共に消えた恋」
Gravity
イントロダクション
洞窟の中に、いくつもの火が炊かれている。若いヴァルカン人※1がやってきた。中央の祭壇に近づく。 「ザ・コール・ウト・シャン※2。我々の信念の要だ。」 後ろに年老いたヴァルカンが立っている。 若いヴァルカン人は言う。「無限の組み合わせにおける無限の相違※3。ヴァルカン哲学なら、よくわかってる。」 「ではなぜここへ来た。」 「無理矢理来させられたんだ。」 「ではすぐに去るがいい。」 「自由ってことか。」 「お前を縛っているのは、お前自身の感情だ。」 「縛られている方がいい。」 「そうか。ここでお前に教えられないのは残念だ。」 「どこへ行けば?」 「私の助言が欲しいのか?」 「もう…家には帰れない。父に追い出された。」 「学校は。」 「もう僕の席はない。」 「なぜ。」 「感情を否定することを断ったからだ。あなたや、父がしているように。」 「論理を拒絶したのか。」 「否定しなきゃいけないなら、なぜ感情をもって生まれてきた。実に非論理的だ。」 「答えはお前の中にある。目に見えるものを無視することも必要だ。」 「真実を認めるのが怖いからはぐらかすんだろ。」 「そうだ、確かに怖い。……どうした、ヴァルカン・マスター※4が感情をもっていると認めたので驚いたか?」 「ああ。」 「感情は強力な武器となりうる。それを否定するのは非論理的だ。だがコントロールできなければ何もならん。」 「なぜだ。」 「教えて欲しいかね。」 「あなたの言うことを、鵜呑みにはしない。」 「でなければ優秀な生徒とはいえんよ。始めよう。座りなさい、トゥヴォック。」 ヴァルカン・マスターが示す祭壇の前に、トゥヴォックは座った。 |
※1: (Leroy D. Brazile DS9第174話 "The Dogs of War" 「自由への叫び」の Lonar 役) 声:吉田裕秋 ※2: kol-ut-shan ※3: infinite diversity in infinite combinations 略して IDIC (アイディック)。TOS第62話 "Is There in Truth No Beauty?" 「美と真実」より ※4: Vulcan Master (ジョセフ・ラスキン Joseph Ruskin TOS第46話 "The Gamesters of Triskelion" 「宇宙指令! 首輪じめ」のガルト (Galt)、DS9第49話 "The House of Quark" 「クワークの結婚」などのトゥメック (Tumek)、第66話 "Improbable Cause" 「姿なき連合艦隊(前編)」のカーデシア人情報屋、ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」のスリバン・ドクター (Suliban Doctor)、映画 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」のソーナ人士官その3 役) 声:岡部政明 |
あらすじ
荒れた惑星で、一人でクモを獲って生活している女性がいる。空に突然穴が開き、何かが地表に墜落した。ヴォイジャーのシャトルだ。女性は誰もいないシャトルに入り、物色する。そこへ戻ってきたパリス。女性はパリスに武器を突きつけるが、翻訳機が故障しているせいか、言葉はわからない。その後女性は別の種族の異星人たちに襲撃される。近くにいたトゥヴォックが彼女を助け、ノスという名だとわかった。トゥヴォックはシャトルにノスを連れ帰り、治療と食事を施す。シャトルからヴォイジャーに通信することも、再び飛び立つこともできない。この惑星を含む星系全体は、亜空間のポケットに入っているのだ。襲撃から身を守るため、ノスが暮らしている船の残骸に行くことになった。モバイルエミッターからドクターが映され、翻訳機の機能をもつためにノスと話すことができるようになった。彼女によれば、この惑星から戻れた船は一隻もないらしい。 片言ではあるが、ノスの言葉も理解できるようになった。クモを一緒に捕まえる。ノスはヴォイジャーのこと、特にトゥヴォックに興味をもつようになる。パリスはトゥヴォックに、現実を認めてノスを受け入れるように話す。そしてトゥヴォックは若い頃のヴァルカン・マスターとの修行の体験を思い出した。彼はその時、テレリア人の女性を愛してしまったのだ。 ヴォイジャーでは 1時間以上、消えたシャトルの捜索を続けていた。突如亜空間に穴が空き、吸い込まれそうになるが踏みとどまった。ノスを襲撃したのと同じ種族の船が現れ、亜空間の歪みから 24時間以内に立ち退くように命じた。彼らは二度と船が引き込まれないように、裂け目をふさぐつもりなのだ。至急探査機によって調査が行われる。それによって、通常空間とポケットの中で時間の進み方にズレがあることがわかる。こちらの 1時間が、向こうでは数週間、数ヶ月にもなるのだ。更に穴は崩壊寸前であり、崩壊すれば内部は全て破壊されることが判明した。 トゥヴォックが怪我を負った。既に 2ヶ月が過ぎている。ノスはトゥヴォックを介抱し、目を覚ました彼にキスをする。しかし、それをやめさせ、愛情には応えられないというトゥヴォック。ノスは怒って出ていった。ヴォイジャーでは救出プランが立てられる。ノスを傷つけるなというパリスに対し、トゥヴォックはテレリア人に恋し、数ヶ月間感情を抑える修行を行ったことを話した。異星人は穴をふさぎ始める。探査機を中継させ、30分後、惑星上では 2日後にヴォイジャーへ転送することになった。だが異星人がトゥヴォックたちに迫る。 ノスの船を守るフォースフィールドを破ろうとする異星人たち。ヴォイジャーでは転送の秒読みが始まる。フィールドを調整しに外へ出たノス。トゥヴォックによって助けられ、ノスを含む全員がヴォイジャーへ転送された。ノスは彼女の故郷へ送られることになる。転送室で 2人になり、ノスは違う形で会いたかったとトゥヴォックに話す。トゥヴォックは手を彼女の顔に触れ、無言で精神融合を行う。「わかったわ。ありがとう」とノスはいい、トゥヴォックは彼女を見送った。部屋で瞑想するトゥヴォック。少年のトゥヴォックも修行を終え、洞窟を出ていくのだった。 |
用語解説など
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感想
久々のトゥヴォック・ストーリー。やはりこういう話が絶対に必要ですね。ヴァルカンの教えに反抗したことがあるという設定が興味深いです。ただ上の用語解説でも書いたように、ジャラは地球人ではありません…。 |
第106話 "Bride of Chaotica!" 「侵略されたホロデッキ」 | 第108話 "Bliss" 「夢を食う謎のワームホール」 |