ヘルメットを抱え、防御服を着たトレス。「上昇。」
シャトルのパイロット※1は警告する。「中尉、既に高度 20万メートルです。熱中性子化してしまいます。」
「いいから上昇。」
シャトル後部からは、惑星の大気圏が見えている。
パイロット:「高度 30万メートル。」
トレス:「水平に飛行。コンピューター、安全プロトコルを解除せよ。」
『警告。安全プロトコルを解除すれば、負傷のリスクが極めて高くなります。』
「オーバーライド。」 ヘルメットをかぶるトレス。
『了解。安全プロトコルを解除しました。』
「合図したらフォースフィールドを下げて。」
パイロット:「了解。」
後部に近づくトレス。「下げて。」
フォースフィールドが消えた。すぐにトレスは外へ飛び出す。惑星の上空を降下していく。
通信が入った。チャコティだ。『ブリッジよりトレス。』
つぶやくトレス。「何よ、こんな時に。」
『ただちに機関室へ。』
「コンピューター、プログラムを終了。」
大気の映像が止まり、トレスの体はゆっくりと垂直になった。映像は全て消える。ヘルメットのカバーを上げるトレス。ホロデッキを出る。
その格好のまま廊下を歩いていると、セブンが別の部屋から出て来た。「今回の任務に、防御服が必要なのか?」
「ホロデッキにいたの。軌道ダイビング※2で。」
「外軌道で船から飛び出すとは、興味深いレクリエーションの形態だ。探査機は発射できるが、遠隔測定リンクに問題があった。」 話を聞いていないようなトレスにセブンは尋ねる。「中尉? どうかしたのか。」
「実を言うと気分が悪いの。私がいなくてもできるでしょ。」
「私に任せるというのか?」
「できない?」
「いや、意外なだけだ。ドクターに連絡を取ろうか。」
「いいえ、いいの。」
セブンを残し、歩いていくトレス。
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※1: (Daniel Betances) 声:河野智之
※2: 軌道スカイダイビング orbital skydiving 映画 "Star Trek: Generations" 「ジェネレーションズ」のオープニングシーンは、当初ジェイムズ・カーク大佐が軌道スカイダイビングを楽しむものでしたが、最終的にはカットされました。カークの防御服は後にトレス用に改造。防御服を着たカークの写真は、映画の小説版に掲載されています
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