ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第126話「魂を探した男」
Riddles
イントロダクション
※1『大使日誌、宇宙暦 53263.2。ケサット人※2の母星での取引交渉時には、協力的だったトゥヴォック少佐も、旅の友としては最悪の部類に入るだろう。』 デルタ・フライヤー。指でコンソールを叩き、リズムを取っているニーリックス。 操縦席のトゥヴォック。「ミスター・ニーリックス。」 ニーリックスは叩くのをやめた。「失礼。」 退屈そうだ。「ねえ、ゲームでもやんない? 何の生命体か、宇宙船か※3当てるゲーム。」 「もう少し、有意義な時間の過ごし方を考えた方がいい。」 「トゥヴォック、そう堅いこと言うなって。一人が好きな生命体や宇宙船を決めて、もう一人が 15問※4質問しながら当てる。やろ、やろ。」 「私は黙って静かに過ごしたい。」 「…なぞなぞは?」 「ミスター・ニーリックス。」 「いいじゃないかあ。楽しいぞ。」 「楽しみなど必要ない。」 「じゃあそれは置いとこう。いいなぞなぞは、頭の刺激になる。これなら断るヴァルカン人はいないだろ?」 ため息をつくトゥヴォック。「いいだろう。一つだけだぞ。」 「ああ、じゃあこれ。一人の少尉が、Lクラス※5の惑星に迷い込んでしまいました。食料は一切なし。唯一あるのは、カレンダー。しかし宇宙艦隊が 1年後に発見した彼は、健康そのものでした。どうして飢え死にしなかったのか。」 「理論的に言って、その種の惑星に温泉が湧いていたとしても、何の不思議もない。数週間、命をつなぐことは可能だ。」 「うーん、でも 1年は?」 「結論。理論的に考えた場合、その少尉は死んでいるはずだ。」 笑うニーリックス。「降参って言えよ。いいこと教えてやろうか。少尉は生きてただけじゃない。お腹もいっぱいだった。なぜか。日ばっか 「その答えは、単なる言葉遊びだ。現実に基づいていない。」 まだ笑っているニーリックス。 トゥヴォックは席を立った。「ちょっと失礼する。」 「どこへ?」 「平穏と静寂を求めに。」 「いってらっしゃい!」 トゥヴォックはシャトルの後部に入り、パッドを手に取り読み始める。何かに気づいた。奥で勝手にコンピューターが作動し、データが表示されている。連絡するトゥヴォック。「こちらトゥヴォック。」 操縦席のニーリックス。「もう寂しくなったのかい?」 『船尾戦略ステーションを稼動させたか。』 「いや。何で?」 トリコーダーを構えるトゥヴォック。「ダウンロードが進行中だ。」 「変だなあ。」 『異常な周波数を探知。』 『異常な周波数?』 「よくわからんが、多分偽装周波数だ。」 その瞬間一部の空間が揺らぎ、トゥヴォックのトリコーダーに向けてエネルギーが発せられた。体全体に広がり、苦しむトゥヴォック。 通信が途切れた。ニーリックスはフェイザーを手にする。「少佐?」 床に倒れ、皮膚に変質を起こしているトゥヴォック。ニーリックスが駆けつける。 「トゥヴォック!」 通信を行う。「デルタ・フライヤーからヴォイジャー。メイデー!」 近寄り、落ち着かせようとするニーリックス。「トゥヴォック! 何があった!」 トゥヴォックは息を荒げ、体中を震わせていた。 |
※1: ベラナ・トレス役のロクサン・ドースン初監督エピソードです。演出しているシーンが公式サイトにあります。なおそのためでしょうが、トレスは登場しません ※2: Kesat ※3: 正確には「生命体か、宇宙艦か、現象か (species, starship or anomaly)」 ※4: 訳出なし ※5: Class-L 惑星分類システム (planetary classification system) による区分の一つ。Lクラスは酸素・アルゴンの大気をもった、一般に小型で岩石質の地表をもった惑星。VOY第17話 "The 37's" 「ミッシング1937」など ※6: 原語ではかけことばなので日本語訳では訳しにくかったのでしょうが、"date" が「日付」と「ナツメヤシ (棗椰子)」の 2つの意味があることからきています |
あらすじ
トゥヴォックを安定させることはできたが、後遺症が残るだろう。取引をしたケサット人から情報をもらうと、極端に異星人嫌いで姿を隠す「バネス」と呼ばれる種族から攻撃を受けたらしい。トゥヴォックがトリコーダーで調べたはずの、バネスの偽装周波数がわかれば対策が取れる。トゥヴォックは昏睡したままで、ニーリックスは刺激を与えるために医療室にトゥヴォックの私物を持ち込んで話しかける。するとトゥヴォックが起き上がった。だがトリコーダーに怯え、言葉も話さない。 ケサット人の装置でデルタ・フライヤーを調べ、残留物からバネスがどのような姿かわかった。トゥヴォックの記憶を戻すきっかけになるかもしれないと、ニーリックスはトゥヴォックをいろいろな場所へ連れて行く。ケサット人の装置の応用でディフレクターを改造し、多数のバネスの船がヴォイジャーを取り囲んでいることがわかった。だがバネス船は攻撃しながら逃げてしまった。トゥヴォックは言葉を話せるようになった。そのしゃべり方は、まるで子供のようだ。 トゥヴォックからバネスの偽装周波数を聞き出そうとするが、思い出せない。無垢な子供のように感情をあらわにする。ニーリックスの前で、もう過去の自分に戻れないといい、暴れるトゥヴォック。 どうやってトゥヴォックに論理的思考を教えればいいのか悩むニーリックス。セブンと話し、トゥヴォックに新たな可能性を見出すことにした。トゥヴォックは、友達であるニーリックスの好きなことを教えてくれといった。そして、見事においしいデザートを作る。偽装周波数について聞かれたトゥヴォックは、ケーキの上に波形を描き出した。それをもとにバネスの基地を見つける。 攻撃してくるバネス船。トゥヴォックを攻撃した武器の情報を求めるが、彼らは教えようとしない。ヴォイジャーに乗っているケサット人を脅威と感じているのだ。ケサット人はバネスを見つけるための装置を、彼らに渡すことを申し出てくれ、交渉は成立した。結果、トゥヴォックの治療法が見つかる。しかし彼は手術を受けるのを拒否し、もっとニーリックスと楽しいことをやりたいと話す。説得するニーリックスは、船の戦略士官を自分が独り占めすることは、友達としてできないといった。手術は終わり、トゥヴォックは回復した。前のようにニーリックスを素っ気無く扱うトゥヴォック。しかし、あの「なぞなぞ」のもう一つの答えを話した。非論理的な答えを。 |
用語解説など
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感想
"Rise" 「謎の小惑星」などで見られた、トゥヴォックとニーリックスの関係を描いたエピソード。いつも邪険に扱われるニーリックスが、必死にトゥヴォックを回復させようとします。それ自体は良かったのですが…多少間延びした感がありましたね。俳優の監督作品にしては、いまいちだと思いました。 トゥヴォック役のティム・ラス、そして吹き替えの青山穣さんの演技はお見事です。原題の「謎」というのは観るまで何の謎かわからなかったのですが、「なぞなぞ」のことだったんですね。 |
第125話 "Alice" 「アリスの誘惑」 | 第127話 "Dragon's Teeth" 「亜空間制圧戦争」 |