『艦長日誌、宇宙暦 53556.4。故障したコーマー※1船の修理をかってでた。コーマー人クルーは、軽傷を負っており、ドクターが治療している。』
医療室。男の異星人※2が怪我をしている。「私に近づくな!」
ドクター:「協力しないんなら治療できませんよ。」
「確かにこの船の医師の治療を受けると同意したが、こんな原始的なコンピューターマトリックスとは知らなかった。」
「原始的じゃありませんがね、ご安心を。」
「フン。」
「500万以上の治療方法がプログラムされてるんですから。」
「虫に血を吸わせたり?」
「いいえ。でもお望みなら喜んでやりますがね。」
女性のコーマー人がドクターに話しかける。ゆっくりと。「私達は、大丈夫。自分達の、船に、戻りたいの。あなたの、上司に、連絡して、もらえるかしら。」
通信するドクター。「ドクターより艦長。医療室へ。」
ジェインウェイ:『今向かってます。』
ドクターは女性の真似をし、身振りを交えながら応えた。「艦長が、今すぐ、ここに、来ます。よければ、艦長を待つ間、あなたが、そちらで、お待ちを。」 その場を離れるドクター。
女性は男性に言う。「何だかとても…イライラするプログラムね。」
男性:「そうだ、いっそ言語サブルーチンを停止してしまえばいい。」
コンピューターに触ろうとする男性。
ドクター:「勝手なことはやめて下さい!」
ジェインウェイが入る。「お客様はどう?」
ため息をつくドクター。「怪我は軽傷です。マナーの悪さはひどいもんですがねえ。」
「ドクター。」
男性:「我々の船の状況はどうなんだ。」
「それが実は…我々より高度なテクノロジーで苦労してるんです。」
「トラブルの原因は君達の船なんだ。古めかしいスキャン装置から発せられた信号のせいで、推進システムがダウンしてしまった。」
女性:「すみません、艦長。彼が失礼なことを言いまして。これまでほかの種族と交流がなかったものですから。特に劣った種族とは。」
ジェインウェイ:「修理は…あなた方の優れたテクノロジーでお願いします。」
男性:「先に傷の治療をしてもらいたいんだがねえ。このホログラム以外に治療できる者はいないのかね!」
「彼以上の適任はいません。」
ため息をつく男性。
女性:「仕方ないですわ。」
ジェインウェイ:「ご不自由をおかけしますが、ご辛抱のほどを。」 振り向いた時に表情を変え、出ていくジェインウェイ。
ドクター:「こちらへどうぞ。」
コーマー人がベッドへ向かう。ドクターは準備をしながら、何の気なしに歌を口ずさみ始めた。一斉に振り返るコーマー人たち。
声に出して歌うドクター。「線路は続くーよー、どーこまでもー。野ーを越え山越ーえー、谷越えてー。」※3
男性:「それは何だ?」 いつの間にかドクターのそばにコーマー人が集まっている。
ドクター:「これ? ハイポスプレーです。」
「いや、今していたことだ。」
「治療の準備ですよ。」
女性:「違う。声でしていたこと。」
「声って、歌ですか?」
「『歌』。」
男性:「もう一度頼む。」
「ええ、もう一度お願い。」
ドクターは微笑んだ。
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※1: Qomar CC では種族名として Qomarian、公式サイトでは Qomari という表記も
※2: Abarca (Ray Xifo) 名前はセリフ中では言及されていません。声:辻村真人
※3: 「線路は続くよどこまでも」 "I've Been Working on the Railroad" アメリカ民謡、佐木敏 作詞。なお、本編冒頭の「ダイナは誰かと一緒…」というのは原語での続きの歌詞です。参考
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