ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第134話「虐殺の記憶」
Memorial
イントロダクション
デルタ・フライヤー。 パリスとチャコティが前に座っているが、特に会話することもなく操縦している。ため息をつくパリス。 後部からキムがやってきた。「レプリケーターに使った皿置きっぱなしにしたのは誰。」 パリス:「俺じゃないよ。」 「バイオハザードだぞ。」 「うるさいなあ。ヴォイジャーに帰ったら滅菌すりゃいいだろ。」 「もし僕が、また 2週間の探査任務に志願したら、頼むから僕のこと医療室に隔離してくれる?」 チャコティ:「2週間も一緒で苦痛か。」 「副長のせいじゃないですよ。」 ニーリックスは言う。「俺は結構楽しませてもらったけどね。より一層みんなと親しくなれたし。」 「シャワーが壊れてから誰にも近づきたくないよ。」 「そいつがまた冒険ってものじゃないのか? 歴史上の大探検家達を見ろ。みんな厳しい環境を生き抜いたんだ。」 「でも同じ部屋は嫌だね。」 パリス:「おい、これを見ればちょっとは気が休まるか?」 窓の外にヴォイジャーが見える。 チャコティ:「デルタ・フライヤーよりヴォイジャー。進入路に入ります。」 ジェインウェイの通信。『あなたたちのためにろうそく灯しておいたわ。』 パリス:「ろうそくよりシャンパンで迎えて下さいよ。」 『じゃあ任務は成功したようね。』 「2週間で 15 も惑星を調べたんですよ。貨物室はダイリチウム鉱石で一杯ですし。」 『良かった。それが聞きたかったの。』 ヴォイジャー後部のシャトル格納庫へ向かうデルタ・フライヤー。 格納庫のドアが開き、ドクターが出迎える。「探検家のご帰還だ。」 トレスはパリスと抱き合い、キスをする。「お帰りなさい。」 パリス:「留守にするのもいいなあ。」 キム:「僕はもうしばらくどこへも行きたくないねえ。」 トレス:「ホームシックになった?」 「というより、熱いシャワーとフカフカのベッドが恋しいだけ。」 ドクター:「忘れずに医療室へチェックを受けに来てくれよ。」 パリス:「チェックって、何の。」 「ちゃんと規則があるだろ。『2週間以上の探査に出た者は健康診断を受けること』。さ、誰からやる?」 ため息をつくパリス。キムも歩いていく。 チャコティ:「ドクター、明日の朝行くよ。」 独り残されたドクター。「私は今やっても構いませんが。副長? パリス少尉?」 2人だけになったパリスとトレス。 トレス:「あなたをびっくりさせることがあるの。」 パリス:「へえ、どんないたずらぁ?」 「目をつぶって。」 「ハハ、期待しちゃうねえ。」 笑いながらパリスの部屋のドアを空け、中に入れるトレス。「入って。……どう思う?」 目を開けたパリスは、部屋に置かれている物に気づいた。「ハハ! テレビじゃないか!」 「1956年の物。レプリケーターで部品を作って組み立てた。これは…リモコンとかいうもので、ボタンを押して観たい番組を選ぶの。」 「ちょっと違ったなあ。1950年代にリモコンはなかったんだ。」 「そのぐらいはご愛嬌よ。」 再び口付けをする 2人。 パリス:「お、アニメだ!」 「データベースで見つけたの。」 恐竜が走り回るアニメ※1。チャンネルを変えると、"Vacuum Action" という声と文字が出た。女性が掃除機を使っている。 パリス:「何だこれ。」 「そう、これがね、コマーシャルっていうもの。調べたの。番組の間にこういうの挟むんですって。あ…意味わかんないでしょ。でも正確に復元したかったし。それにほら、ポップコーンも複製したわ。」 「あー。」 山盛りの容器から一口食べるパリス。「うん、すごいよ完璧だ。たった一つを除いてはね。」 「何?」 「ビールがない。」 「すぐ作れるわ。」 笑うパリス。トレスはレプリケーターに近づく。パリスはチャンネルをアニメに戻した。 トレス:「留守の間、何もなかった。ドクターの講演ぐらいね。タイトルが『デルタ宇宙域固有の昆虫。』」 「へえ。」 ビールを渡すトレス。「すごい退屈だった。で、ファーレー少尉※2がいびきをかき始めちゃって、みんな笑いをこらえるのに必死よ。ドクターはご機嫌斜め。」 チャンネルを変えるパリス。「お! ホッケーだ。」 『…パックが弾かれバック後退…』 「でも講演は途中で切り上げたの。ワープコアがオーバーロードになるし、ボーグが攻めてきて…みんな同化されちゃった。」 「ふーん。」 「人の話、全然聞いてないでしょ。」 ホッケーに夢中のパリス。「お! 何だよ。」 「こんなの作るんじゃなかった。」 テレビドラマ。『エリオット・ネス※3だ。おとなしく出てくれば怪我人は出なくて済む。』 夢中で観ているパリス。 『捕まえられるもんなら捕まえてみなよ!』 トレスは寝ている。テレビでは銃撃戦が始まった。割れるガラス。パリスはポップコーンを食べつづける。 『伏せろー! 撃ってきたぞ、反撃だ。』 突然映像の雰囲気が変わり、戦場になっている。『伏せろ! 左から来る! 危ない。伏せろ! おのれー!』 パリスはリモコンを操作するが、チャンネルが変わらない。人々が撃たれていく映像。 パリスはテレビの前へ行き直接操作するが、叩いても変わらない。 その時、映像の中にパリス自身がいた。武器を持ち、戦闘に加わっている。自分を観て驚くパリス。 |
※1: 後に映る "Carper" という文字などをもとに検索した結果、"Daffy Duck and the Dinosaur" (1939年、ワーナー) というカートゥーンだとわかりました。ThrottleBox で全編ダウンロードできます (要専用ソフト。無料) ※2: Ensign Farley ※3: Elliot Ness ロバート・スタック (Robert Stack) 演じる、TVドラマ「アンタッチャブル」 ("The Untouchables"、1959〜1963年、後に言及) の主人公。スタートレック (TOS) や「スパイ大作戦」と同じく、デジル・プロ製作、後にパラマウントへ移行したシリーズの一つ |
あらすじ
パリスは戦場にいて、撃たれた。目を覚ました時には、テレビは元通りになっていた。ジェフリーチューブにいたキムも同様に、戦闘の声を耳にする。ドクターは過労のためだと診断する。料理をしていたニーリックスは怯え、チャコティはリアルな戦争の夢を見る。ニーリックスは食堂を戦場だと思い込み、ナオミを守ろうとした。チャコティの説得でその場は収まった。 シャトル任務に出たチャコティたちは、実際に戦闘の記憶をもっていた。4人の断片的な記憶をつなぎ合わせる。その結果、敵対する異星人をコロニーから退去させに行ったが、逆に抵抗され、その結果民間人を殺してしまったことを思い出した。キムも洞窟の中で、彼らを撃った。虐殺した人数は、82名。 ヴォイジャーは虐殺が本当にあったのかを調べるため、シャトルが訪れた惑星へ行く。だが惑星の姿を見た瞬間、ジェインウェイも戦闘に加わっていたことを思い出した。証拠を消すため、民間人の遺体を蒸発させていったことも。他の約40名のクルーも同じ影響を受けていた。 ドクターは事態が悪化する前に星系を離れるように勧めるが、ジェインウェイは詳しく調査することにする。惑星へ到着するが、船や生命反応は全くない。だが何らかのエネルギー反応を感知し、ジェインウェイたちは地表へ転送降下する。緑が広がり、戦場の痕跡はない。キムは地形から洞窟の場所を思い出した。中へ入ると、確かに人の骨が転がっていた。しかし、それは 300年前のものであり、キムが殺したわけではなかった。一方ジェインウェイたちは、エネルギーを発する塔を見つけた。 その塔は星系を通りかかった者に、言葉では伝えきれない悲劇を残すため、虐殺の体験をさせるように設計されたものだった。長い間に劣化していたために、クルーの記憶が断片的だったのだ。記録を残すか、それとも機能停止にするかを議論する。ジェインウェイは塔を修理して軌道上に警告ブイを設置し、この先も罪もない人々が殺された事実を伝えるように指示した。新たなパワーを得た塔は、活動を再開するのだった。 |
用語解説など
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感想
戦争の悲惨さを伝える……言いたいことはわかるのですが、どうしても TNG "The Inner Light" 「超時空惑星カターン」や、その逆バージョンとも言える DS9 "Hard Time" 「つくられた記憶」といった名作を思い出さざるをえません。最初にこのエピソードがあれば印象も随分と違ったのでしょうが。 しかも全体的に間延びしているものの、前半でニーリックスたちが恐怖にかられるのは本当に「恐ろしく」できています。最後に塔を残すように強く提案したのも、一番影響のひどかったように思えるニーリックス自身でしたね。 |
第133話 "Virtuoso" 「心に響く歌」 | 第135話 "Tsunkatse" 「囚われのファイター」 |