ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第151話「正義のドクター・スピリット」
Critical Care
イントロダクション
一隻の小型宇宙船が、惑星へ向かう。 地表には進んだ文明があり、工業化された町並みが見える。飛んできた小型船は、空中に浮かぶ巨大な船へと進んだ。 コンピューターの声。『外傷者、第4番到着。外傷者第4番、レベル・レッドへ。外傷者第4番、レベル・レッドへ。』 一面赤い色の壁をした部屋の中を、担架で運ばれていく患者。医師たちがあわただしく働いている。 箱を持った異星人がやってきた。すぐにコンピューターが反応する。『レベル・レッドに異星人侵入。』 医者が話している。「センサーをもってきてるが、動いてない…。」 異星人は中を進む。 機械が警告音を発しながらライトが灯され、やってきた異星人はため息をついて立ち止まった。 コンピューター:『形成異常、ウイルス血症、類壊死症、共になし。腕を挙げて下さい。』 言われた通りにする異星人。 コンピューター:『種族: ドラリアン※1。名前: ガー※2。TC: 15。通過を許可します。』 奥へ進む。 ガーは患者をみている男に話しかける。「チェリック※3。お会いできて光栄です。」 ガーや患者たちとも違う種族の異星人が答えた。「ミスター・ガーか。すまんが話してる暇はない。」 「耳だけ貸してくれりゃいいんです。今度のは掘り出しものですよ。」 「この前そういってもってきたのは、期限切れの試薬品だったはずだ。」 「今度ばかりは腰を抜かす代物です。」 「最新の低水準技術でも使ってるのか?」 「おっと、低水準だなんてとんでもない。お世話になってるよしみで、ここへ一番に来たんですよ。」 箱の中の小さな機械を見せるガー。 一瞥するチェリック。「神経モニターなら間に合ってる。」 「そんな物よりずっと進化した物です。」 「確かに随分と精巧な機械らしいが、興味はない。」 ガーは機械を取り出し、細い棒を使って操作する。 そのモバイルエミッターから、ヴォイジャーのドクターが実体化した。 「緊急事態の…」 辺りの様子に気づく。「…概要を述べよ…。」 |
※1: Dralian ※2: Gar (ジョン・カッサー John Kassir) 声:水野龍司 ※3: Chellick (ラリー・ドレイク Larry Drake) 行政官 (Administrator)。種族名不明。声:北川勝博 |
あらすじ
誘拐されたドクターは治療する気はなかったが、次々と運ばれる患者を見て放っておくことはできない。ヴォイジャーに残されたドクターがコピーだと気づいたクルーは、ガーの消息を追う。ドクターが連れてこられた医療船は管理官と呼ばれるコンピューターによって統制されており、患者たちは必要な薬品も使えない劣悪な環境下にあった。ドクターは管理官の命令を受け、最重要の治療が必要なレベル・ブルーと呼ばれる階層へ、病院を管轄するチェリックと共に向かう。そこはさっきまでいたレベル・レッドとは全く違った、洗練された環境が整っていた。 チェリックによれば、管理官によって算出される TC=治療係数によって、治療レベルが分けられているという。社会への貢献度によって TC は決められるのだ。ヴォイジャーは人づてにガーの捜索を続ける。レベル・ブルーでは、レベル・レッドの患者なら少量で命を助けられる薬も自由に使える。ドクターは密かにレベル・ブルーから薬をもちだし、レベル・レッドの少年に投与した。 なかなかガーの居場所を突き止められないヴォイジャー。ドクターが治療した少年は回復し始め、ドクターは更にレベル・ブルーの薬を持ち出し続ける。レベル・レッドの医者と共に患者たちに投与するドクター。レベル・ブルーにいる主任ドクターに気づかれそうになるが、理由をつけて逃げ切った。回復した少年は医者になることを夢見ていた。やっとでガーの船を見つけたヴォイジャーは、捕捉してガーを拘束する。ドクターは、あの少年がレベル・ホワイトへ移されたことを知る。そこは死体置き場だった。 チェリックによれば少年は合併症を起こしたが、割り当て以上の薬を受けていたので治療しなかったのだという。既にドクターのやったことが見抜かれていたのだ。チェリックはドクターが治療したレベル・レッドの患者は退院させることにし、更にドクターと管理官をインターフェイスさせ、ドクターの行動を拘束した。ヴォイジャーではガーの尋問が行われる。ドクターはレベル・レッドの医者の助けを借り、管理官の支配から逃れた。レベル・レッドに戻ってきたドクターは、プログラムを停止させにやってきたチェリックの隙をついて、ある処置を行う。チェリックに自分の病院の患者にしてやると言った。 ドクターはチェリックに神経障害剤を投与し、更にチェリックをあの若者であると管理官に認識させた。当然 TC が低いとされ、チェリックに薬を与える許可は下りない。ドクターはチェリックに、患者に均等な治療を与えるよう求める。ヴォイジャーはドクターのいる惑星を発見した。新たな患者が必要な主任ドクターもチェリックを治療しようとせず、ついにチェリックはレベル・レッドの患者を治療することに同意した。ヴォイジャーに戻ったドクターは、結果的に人に毒を使ったことが機能異常のせいではないかと考える。だがセブンは、ドクターは健康だと言うのだった。 |
用語解説など
|
感想
現代の医療問題とも絡めた、当然ドクター主役のエピソードです。捜索するヴォイジャーを除けばコメディ色は薄く、ドクターは何をやっても治療しようとします。ホログラムだからこそ一直線なのかもしれませんが、「艦隊の誓い」はどこへ行ったんでしょうか。実際には破ることになっても、一言くらい欲しかった気がします。 ボーグには滅法強いヴォイジャーも、たった一人の詐欺師に騙され、発見するのにこんなに時間がかかるとは…。皮肉ですね。 |
第150話 "Repression" 「狙われたマキ」 | 第152話 "Inside Man" 「幻の帰還計画」 |