観察ラウンジのラフォージ。「上手く狙い通りにいけば、ウイルスプログラムが動き出してから数ヶ月もすればボーグはシステムに異常を来すでしょう。」
ジャケットを着たピカード。「意見は?」
クラッシャー:「質問です。…システムに異常が起きると、どうなるの。」
データ:「ボーグはコンピューターで動いていますから、システムが壊れれば終わりです。」
「みんなわかって言っているの? …一つの種族を滅ぼすことになるのよ?」
ピカード:「通常なら非難されるべきことだが、ボーグが相手では選択の余地はない。」
ライカー:「そうです、これは戦争だ。」
クラッシャー:「宣戦布告があったわけじゃないわ。」
トロイ:「ボーグははっきりと言っているわ。我々を征服するって。」
ピカード:「いつの日か人類はボーグに吸収されてしまう。」
クラッシャー:「戦争にだってルールはあるでしょう。無関係な市民は殺せないわ。」
笑うライカー。「ボーグに市民なんていませんよ。」
ピカード:「彼らは一つの集合体だ。一人一人は独立した個人ではなく、手足に過ぎない。」
クラッシャー:「そうでしょうか。」
「何が言いたい。」
「…あの患者を見る限り、集合体の一部だなんてとても思えません。一人の青年が傷ついて、助けを求めているんです。その彼を、道具みたいに利用して仲間を殺させるんですか?」
「甘いことは言ってられん。敵は我々を倒しにかかってくる。話し合いで平和が得られる望みはない。…今の状況では、生き残るためには手段は選んでいられないんだ。」
通信※7が入る。『保安部から、艦長。』
ピカード:「ピカードだ。」
『ボーグが、意識を取り戻しました。』
「わかった。計画を進めろ。」
ボーグは独房の中で動いている。フォースフィールドの前で腕を伸ばす。
フォースフィールドに触れてしまい、壁の方へ向かった。
クラッシャー:「何をしているの?」
ピカード:「集合体にアクセスするインターフェイス※8を探しているんだ。自分が切り離されているとも知らずにな。」
ラフォージ:「仲間を呼ぶ誘導信号を発信していますが、フィールドを張ってあるので遮られています。」
「恐らく、集合体とのつながりを断たれ独りになったのは生まれて初めてなんだろう。」
クラッシャー:「空腹なんだわ? ……もちろん物は食べないわよ? …あらゆる有機物質から、必要な体内組織を合成することができるから。足りないのは、エネルギーよ。」
「…補給してやれ。」 拘束室を出ていくピカード。
ラフォージ:「了解。…パワーコンジットを調整して取り付けますよ。」
ボーグは壁を探るのをやめ、こちらを見ている。
クラッシャー:「機械なのにまるで、怖がってるみたい。」
フェンシング場で試合をする 2人。ガイナン※9とピカードだ。
ピカードがポイントを取った。マスクを外す。
ガイナン:「このスポーツ嫌いだわ?」
ピカード:「先週勝ったときは好きだと言ってたじゃないか。今日は剣※10が下がり気味だったからつけ込まれたんだ。」
「…だって剣を上げたら、下を突かれるじゃない。あなたとは実力が違うのよ。」
汗をぬぐうピカード。
ガイナン:「変わったゲストを乗せたようね。」
ピカード:「…まあな。」
「良かったのかしら。」
「どうかな? わからん。」
「あなたを理解してたつもりだけど、わからなくなったわ。」
「怪我人は助ける義務がある。そう言って、人道主義のドクターが譲らなかったよ。」
「ボーグは必ず追ってくるわ。…それはよくわかってるはずでしょ?」
「……もう一戦。」
ガイナンはため息をつき、立ち上がった。マスクを被る 2人。
突き合う中、ガイナンが足を押さえた。「痛い!」
ピカード:「…大丈夫か。」
その時、ガイナンは剣を刺した。マスクを外す。「敵に同情すると、こうなるのよ。」
拘束室に戻るラフォージ。「…パワーコンジットを取り付ける。」
ウォーフ:「私も一緒に入る。フィールドを一旦解除しろ。」
保安部員によってフォースフィールドが解除され、2人は独房に入った。見つめ続けるボーグ。
ラフォージ:「よーし。ジッとしてろよ?」
壁のパネルを開けるラフォージ。
ボーグは腕を動かし、近づいてきた。
ウォーフ:「少佐!」
だがボーグは動きを止めた。コンジットを取り付けるラフォージ。
ボーグは声を上げた。『我々は、ボーグだ。…お前たちを、征服※11する。抵抗しても、無意味だ。』
作業を続けるラフォージ。「周りを見てみろ。デカいこと言ってられる、立場じゃないぞ?」
ボーグ:『我々は、集合体に戻る。』
「…我々?」
『我々は、ボーグだ。』
「…ここには、お前一人だ。…名前は? 何て呼べばいいんだ?」
『サード・オブ・ファイブ※12だ。』
「番号で呼んでんのか。ほかにはないのか?」
『サード・オブ・ファイブ。』
「…単純でいいね? …OK。こいつを使え。…お前に合うようにパワーフローを調整してある。これが接続部。お前のアダプターに合わせてある。…礼はいいよ。」 ウォーフに近づくラフォージ。「もういいぞ。」
ウォーフ:「フォースフィールド解除。」
外に出るラフォージとウォーフ。ボーグはゆっくりとコンジットに近づく。
こちらをうかがいながら、腕を接続した。目を閉じる。
ラフォージ:「腹減ってたんだな?」
ボーグ:『なぜ、これを作った。』
「俺は親切なんだよ。気分は?」
『お前はボーグじゃない。』
「そうさ、なりたいとも思わないよ。」
『お前たちを征服する。…抵抗しても無意味だ。』
「それが御礼か?」 ラフォージは出ていった。
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※7: 一部資料では声優に岩永哲哉さんがクレジットされており、これらの保安部員か転送部員のどちらか、または両方だと思われます
※8: アクセス端末 access terminal
※9: Guinan (ウーピー・ゴールドバーグ Whoopi Goldberg) 前話 "Imaginary Friend" 「イマジナリィ・フレンド」に引き続き登場。声:東美江
※10: foil TOS第7話 "The Naked Time" 「魔の宇宙病」でも
※11: このように「同化」が「征服」と訳されている個所があります
※12: Third of Five (ジョナサン・デル・アルコ Jonathan Del Arco VOY第161話 "The Void" 「略奪空間の怪人達」の怪人 (Fantome) 役。ゲーム "Armada II"、"Bridge Commander" でも声の出演。ウェスリー役のオーディションも受けたそうです。ウルグアイ生まれ) 初登場。原語では次のラフォージのセリフで「船に 5人いたのか」と言っています。後に VOY で登場するセブン・オブ・ナインも似たような命名規則ですが、今回は「サード」と序数になっています。吹き替えでは「ナンバー3」。声:檀臣幸
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