TOS エピソードガイド
第5話「二人のカーク」
The Enemy Within
イントロダクション
※1惑星に近づくエンタープライズ。 ※2地上で活動するクルー※3。 カーク※4:「いい標本を取ってくれ。」 スールー※5は、頭に角の生えた犬のような動物※6を抱いている。「温度が下がり始めました。」 カーク:「そうか。この星では夜になると氷点下 120度まで下がる。」 「強烈ですね。」 音が響き、叫び声が聞こえた。向かう 2人。 身体に黄色い液体のついたフィッシャー地質学専門家※7。手には血がついている。 近づくカーク。「どうした。」 フィッシャー:「あの岩が崩れて、手を少し。」 「どれ。」 咳き込むフィッシャー。 カーク:「帰船して、診療室で診てもらえ。」 フィッシャー:「はい。」 コミュニケーターを開いた。「地質調査班フィッシャー、転送願います。」 惑星※8軌道上のエンタープライズ。 スコット:「よーし、位置を確認。」 操作する。「転送。」 姿が見えてくる。その時、警告ランプが音を発した。 スコット:「補助調整。」 フィッシャーは実体化した。 ウィルソン転送技師※9。「どうしたんだ。」 フィッシャー:「崩れてきて。」 「何がだ。」 「黄色い、鉱石みたいなもんだ。」 調べたスコット※10。「磁気がある。ユニフォームを洗浄しろ。」 フィッシャー:「はい。」 転送室を出ていった。 「…火傷みたいな感じだな。」 通信が届く。『カーク船長、転送。』 スコット:「ちょっと待って下さい。…今度は異常なさそうだ。シンクロニックメーターを持ってこい、念のためにチェックする。」 ウィルソン:「はい。」 外へ向かう。 スコット:「こちらスコット、転送を行います。」 転送されてきた。頭に手を当てるカーク。 転送台を降りるとき、転びそうになる。 スコット:「船長、大丈夫ですか。」 カーク:「…ちょっと、目まいがしただけだ。」 「部屋までお送りしましょう。」 「…独りで、大丈夫。転送ルームに誰かいなくては、万一のことがあったら大変だ。」 「すぐ、ウィルソンが来ますから。」 2人は部屋を出た。 すると、また転送機の音が鳴った。赤い光の後で転送されてきたのは、後ろを向いたカークだ。 ぎらついた目で辺りを見渡す。 |
※1: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 パイリスの魔術師」収録「二人のカーク」になります ※2: 旧国内オンエア版 (CS ニュープリント版を除く) および LD版では、次のフィッシャーのシーンまで全て左右反転された裏焼き状態になっています。日本だけではなく、本国でも古い素材ではそうなっているそうです。カークの記章がないことが原因かもしれません (脚注※4 参照) ※3: この中にエキストラで、通常はレズリー役のエディ・パスキー (Eddie Paskey) が演じる技師がいます。一部資料ではコナーズ (Conners) という名前だとされています ※4: これ以降オープニング後の転送室のシーンまで全て、カークの制服に記章がついていません (二人とも)。クリーニングに出した後に戻し忘れたとか、代役用のを間違って着たからという説もあります ※5: 声は通常の富山敬さんではなく、納谷六朗さん (VOY スールー、TNG レミック、DS9 初代ウェイユンなど) が代役で担当しています (DVD・完全版ビデオ補完も継続) ※6: 名称不明。同じ種類と思われる動物の頭部の剥製が、TOS第18話 "The Squire of Gothos" 「ゴトス星の怪人」でトリレーンの屋敷に飾られています。一部資料では原語で「スペース・スパニエル」、日本語で「一角獣」と呼ばれているとありますが、そのような事実はありません ※7: Geological Technician Fisher (エドワード・マッデン Edward Madden TOS第1話 "The Cage" 「歪んだ楽園」の地質学者 (Geologist) 役) 声:城山堅、DS9 2代目ジョセフなど ※8: 惑星の映像は、TOS第6話 "The Man Trap" 「惑星M113の吸血獣」などで再利用 ※9: Transporter Technician Wilson (ガーランド・トンプソン Garland Thompson TOS第8話 "Charlie X" 「セイサス星から来た少年」のクルーその2 (Crewman II) 役 (同一人物?)) 声:水島鉄夫 ※10: ここで使われる装置は、放射線計測機を改造したもの。後に TOS第7話 "The Naked Time" 「魔の宇宙病」などでも使用 |
本編
『航星日誌、宇宙暦 1672.1※11。我々は惑星アルファー177※12 で標本の採集に当たっていたが、この時転送装置の異常作用で私の複製が現れた。もう一人の私が密かに船内に忍び込んだのだ。』 後から現れたカークB は、転送機に触れる。ドアが開く音に反応した。 ウィルソン:「船長、どうかしましたか。手を貸しましょうか?」 無言で外へ向かうカークB。 ウィルソン:「船長!」 カークB は振り返り、目を開いた。 ウフーラ※13の通信が流れる。『各部の士官に伝達。通信回路をチェックして下さい。』 微笑むカークB。 廊下を歩くカークA。「ありがとう。」 ウフーラ:『各部の士官に伝達。通信回路をチェックして下さい。』 スコット:「あのう、一度ドクターに診てもらったらどうですか? たまにはいいでしょう。」 カークA:「身体のエンジンの調子でも診てもらおうか。」 自室に入るカークA は、ため息をついた。 ジャニス・ランド船長付下士官※14がいた。「…積み荷の目録ですが異常はないようです。」 カークA:「どうも御苦労。」 「確認のため…」 「もういい。」 「はい。」 出ていくランド。 カークはベッドに横になり、チップ状のテープを脇へ置いた。 治療するマッコイ。「上手くやったな、フィッシャー? 今度の仕事はつまらんのでサボるためにわざと転んだんじゃないのかね?」 笑うフィッシャー。 カークB が医療室に入る。「ソーリアン・ブランデー※15をくれ。」 マッコイ:「さ、またすぐに任務に戻れ。不注意がもたらした結果には同情できないな。」 フィッシャー:「はい。」 カークB に話す。「ご心配かけました。」 振り返りもしないカークB。フィッシャーは出ていく。 マッコイ:「どうだい、仕事の方は。」 カークはマッコイの首に触れた。「聞こえんのか、ブランデーをよこせ!」 マッコイが棚を開けると、カークB はボトルをすぐ手にした。そのまま去る。 微笑み、歩きながらブランデーを飲むカークB。標識に目を留めた。 「船長付下士官ジャニス・ランド」※16とある。周りをうかがいながら中に入った。 飾られた絵に手を触れるカークB。 ※17カークA は上半身裸で、首に布をかけていた。ドアを叩く音に応える。「誰だ。」 スポック:「スポックです。」 「…入れ。」 ドアを開けるカークA。「スポック、何の用だ。」 「何か、お手伝いすることはありませんか。」 「急に何だ。」 「…実は、船長の様子を見てこいとドクターに言われましてね。」 「ご親切に。…しかしその顔は違うな。どうした。」 「大先生の話によると船長は野蛮人のように、ブランデーを横取りしたそうですが。」 笑うカークA。「また大先生に一杯食わされたな?」 スポック:「…うーん。…そうらしいですね。お休みのところ申し訳ありませんでした。では、任務に戻ります。」 「上手く引っかかったと、ドクターに言っとこう。」 うなずくスポック。「失礼します。」 チュニック※18に着替えたカークA は、スポックと共に転送室に入った。「どうかしたのか。」 動物を抱いているスコット。「転送装置が故障しました。回路のテストを続けろ。この動物を転送したところ、まあ見て下さい。標本ケースにいます。」 ケースに入った動物が、けたたましく吠える。 カークA:「それで。」 手元の動物を示すスコット。「まずこいつを転送して収容したところ、すぐ後にもう一匹現れました。…複製だと思いますが性格は反対で、全く同じ動物が現れたわけです。これは非常におとなしく、こいつは非常に凶暴で…つまり野蛮な性格だけをもっているようです。船長、これではミスター・スールーたちを転送して収容するのは危険です。…もし人間に同じことが起こったら。」 カークA:「…恐ろしいことだ。」 自室に戻るランド。トリコーダーを置く。 壁に触れると、回転して化粧台が現れた。 寝室に隠れているカークB。髪を扱うランドを見つめる。 出てきたカークB にランドが気づいた。「あら、船長。驚きました。何かあたくしに御用…」 無言で、またブランデーを口にするカークB。 ランド:「…どうかなさいまして、船長。」 カークB:「ここではカークと呼べる。」 「まあ。」 「どうしても君が目について。…実に綺麗だ。」 カークB はボトルを置き、笑った。「我々はお互いに、想いを隠し続けてきた。」 抱き寄せる。「もう我慢できん! 想いに逆らうのはよせ。さあジャニス、おとなしくこっちへ来るんだ。想いを叶えてやるぞ。」 キスするカークB。 ランド:「いや!」 カークB:「ジャニス、おとなしくするんだ。」 無理矢理口づけを続ける。「抵抗する気か!」 カークB はランドを床に押し倒した。抵抗するランドは、指でカークB の顔を引っかいた。 傷が残る。その隙に離れるランド。 ドアが開き、外を通りかかったフィッシャーが見る。ランドを投げ飛ばすカークB。 ランド:「ミスター・スポックを呼んで!」 向かうフィッシャー。 ランド:「ミスター・スポック!」 カークB はフィッシャーを追う。 フィッシャーは通信機に触れた。「こちら地質調査班フィッシャー、緊急事態! デッキ12…」 カークB はフィッシャーに飛びかかり、倒した。殴る。 振り返るカークA。「私が? ランドが言ったのか。あれからずっと部屋にいたんだぞ、それも独りでだ。」 スポック:「しかし、ドクターは船長が診療室からブランデーを持っていったと報告してまして。」 中身がほとんどないボトルを掲げる。「ランドの部屋でこれを発見しました。」 「診療室など行った覚えはない。調査すればわかることだ。」 自室を出るカークA。 2人はターボリフトに入った。 カークA:「診療室。」 ドアが閉まった直後、血のついた手が見えた。それを隠すように廊下を歩くカークB。 ドアの音に過敏に反応する。自室に入り、ベッドで血のついた手を舐め始める。 泣いているランド。「それから、無理矢理私にキスして。…絶対船長でした。…もし命令されたら…どうしようかと思って。…急に言い出されたとき私…お互いに想いを隠していたと…」 カークA:「お互いに。」 「そう言われたんです。…その内つかまれて、襲いかかってきたんで。…私必死になって、船長の顔を引っかきました…。」 「君。」 「はい。」 「私を見ろ。…よく見ろ、よく見るんだ。」 顔を上げるランド。 カークA:「傷はついてるかね?」 ランド:「……引っかいたはずなんですけど。…ひょっとすると私の…」 「ランド、私は部屋にいた。それは私じゃあない。」 「でも、フィッシャーも見てますわ。」 「フィッシャーも。」 「…もしこのことが誰にも見つからなかったら、私は内緒にするつもりでした。…ご迷惑をかけたくないんで。」 「犯人は私じゃない。」 隣の部屋から出てきたフィッシャー。「いいえ、船長でした!」 カークA:「…確信があるのか。」 「あります、絶対に船長でした。」 マッコイ:「…ベッドに入ってなきゃ駄目だ、さあ行こう。」 スポック:「……行ってよろしい。」 出ていくランド。 スポック:「答えは一つしかありません。…船長の偽者がいるんです。」 カークA:「もう一人の私が。」 |
※11: 吹き替えでは「0401.6081」 ※12: Alfa 177 TNG第25話 "Conspiracy" 「恐るべき陰謀」での宇宙艦隊本部の星図内にもあるそうですが、画面上では読み取れません ※13: 今回は声のみの出演 ※14: ジャニス・ランド世話係 (秘書) Yeoman Janice Rand (グレース・リー・ホイットニー Grace Lee Whitney) TOS第3話 "The Corbomite Maneuver" 「謎の球体」以来の登場。声:此島愛子、DVD・完全版ビデオ補完では榎本智恵子 ※15: Saurian brandy 初登場。ボトルにはテネシー州 Dickel 社の記念ウィスキーが使われています。ソーリアンは映画第1作 TMP "The Motion Picture" 「スター・トレック」に未言及ながら登場しており、名前の通りトカゲに似ています。TOS第64話 "The Tholian Web" 「異次元空間に入ったカーク船長の危機」などの、ソリア人 (Tholian) とは別種族。吹き替えでは「ブランデー」のみ ※16: 部屋番号は「3C 46」 ※17: TOS の旧国内オンエア分では、カット部分が存在しています。完全版ビデオ (第1シーズンの一部) および DVD には吹き替えつきで完全収録されており、このエピソードガイドでは色を変えている個所にあたります (CS版との比較)。LD では基本的に、その部分だけ字幕収録です ※18: 緑色の「右前」船長専用制服が初登場。二人のカークを区別するためですが、今後も頻用されます |
『航星日誌、宇宙暦 1672.9※19。惑星の表面では既に温度が下がり始めた。しかし転送装置の異常作用で、上陸班員たちを収容できない。しかも私の複製が船内のどこかにいるのだ。』 転送室。 カークA は動物を抱いている。「何が原因なんだ。」 スコット:「わかりません。フィッシャーを転送したとき、ユニフォームについていた黄色い鉱物が強い反応を示しましたので、それでオーバーヒートしたのかどうかその辺は。」 「装置は今使えるのか。」 「はい。しかし上陸班を収容するのは危険です。もし複製ができたら、こいつのように。」 「原因究明にどのくらいかかる。」 「…それはちょっと。」 「下の 4人をほっておくわけにはいかん。夜になれば凍死するぞ。あの惑星の表面温度は夜になると零下 120度まで下がる。」 「できる限りのことはしてます。」 「それはわかってる。」 スポック:「…例の、複製ですが。」 「ああ、そうだ。捜さないと。至急、捜査班を編成しろ。」 「しかし、殺すことは危険ですね。船長の身体にどういう変化が起こるかわかりませんので。」 「経験のないことだ。でも全員武装しろ。…全員フェイザーガンを携帯、使用光線の目盛りは…麻痺光線にセットしろ、麻痺光線だ。いかなる場合も殺してはならん。緊急事態で武器を使う場合があっても、殺してはならん。」 「何て命令すればいいでしょうね。まさか船長を逮捕しろとは。」 「早く…」 「…何て命令すれば。」 「では、私から直接全員に説明する。ありのままを言おう。みんないい部下だ、教えて当然だよ。」 「船長、命令に反抗する気はありませんが今全員に事実を打ち明けるのは賛成できません。あなたはこの船の船長だ、もし部下に疑いの目で見られたらどうします。ランドを襲ったのは船長自身だと思われたらどうします。そうなれば信頼をなくして、もう命令を下せません。」 「そんなことは、よくわかってる。」 動物を渡すカークA。「…それを考えると、どうしたらいいかわからないんだ。」 ゆっくりと外へ向かう。「ミスター・スポック。今後私の決心がつきかねたら、代わりに…君が…命令してくれ。」 「わかりました。」 『航星日誌、宇宙暦 1673.1※20。私に変化が起こった。複製が現れてから、意志の強さが失われていくような気がする。以前のように素早く正しい決断を下せないのだ。』 ブリッジ。 通信するカーク。「船長から伝える。」 自室で聞いているカークB は、その声に反応した。 カークA:『この船に私の偽者がいる。私とそっくり同じ姿をしているはずだ。』 モニターに映っている。『危険な男なので、十分に注意するように。したがって全員武装しろ。偽者だという証拠は、現在のところ顔の傷である。繰り返す、偽者だという証拠は現在のところ顔の傷である。』 傷に触れるカークB。 カークA:「各部のチーフは、捜査班を編成しろ。全ての捜査班は、ミスター・スポックの指示で動くように。」 通信を切る。「何か。」 スポック:「フェイザーガンのことは。麻痺光線にセットして、フェイザーの光線を…」 「ああ、忘れていた。…フェイザーガン※21は全て、基本の目盛りにセットするように。麻痺光線だ。偽者を傷つけてはならない。最低レベルで使用。繰り返す、偽者を傷つけてはならない…」 カークB:「船長は俺だ!」 本をなぎ払う。「カーク船長は俺だ。」 モニターを壊した。 カークB:「カーク船長は俺だ、カーク船長はこの俺だー!」 傷を鏡で確認するカークB。「こんな傷、何だ!」 手元のクリームを指につけ、傷跡に塗り始めた。 ドアを開け、外のクルーから身を隠す。「ウィルソン。」 通りかかったウィルソン。「はい。」 カークB:「ウィルソン、フェイザーをよこせ。」 「…はい。」 「変わりは。」 「ありません。」 カークB はウィルソンをチョップで殴り倒した。 岩が運ばれる惑星地表。風が吹きすさぶ。 カークA:『ミスター・スールー、下はどうだ。』 スールー:「もう氷点下、20度まで下がりました。涼しいの通り越しましたね。」 通信を終えるカークA。「助ける方法はないか。」 スポック:「サーモヒーターを先ほど転送しましたが、複製が現れ使えません。」 「早く収容しないと凍死するぞ。」 会議室に連絡が入る。『ミスター・スポック。』 スポック:「スポックだ。」 『船長室の近くで負傷しているウィルソンを発見しました。偽者に襲われたと言っています。名前を呼ばれ、フェイザーガンを奪われたそうです。』 「うーん。了解、捜査を続けろ。」 カークA:「今のうちに逮捕しないと。どうしよう。」 「この複製は明らかに、船に関しては船長と同じ知識をもっていますね。部下の名前も、知っているし。…となると、彼の次の行動を予測して先回りできないでしょうか。船の構造に詳しい船長は、隠れるとなるとどこを選びます。」 「……下へ行くな。エンジニアリングデッキだ。」 機関室※22に来たカークA とスポック。 フェイザーを手にするスポック。「最低レベルの麻痺光線にセットしました、殺さないように。…構えないと危険ですよ。」 カークA はフェイザーを持った。 スポック:「応援を頼んだ方がいいでしょう。」 カークA:「いや、誰にも見られたくない。こんな…」 「船長、代わりに私が命令を…」 「ミスター・スポック。私はまだ船長だよ。船長らしく行動したい。」 カークB が装置の上に隠れていた※23。 二手に分かれるカークA とスポック。スポックが通り過ぎたところで、カークB が下へ降りた※24。 フェイザーを見るカークA。カークB も歩き出す。 カークA を追うカークB。カークA の背後に迫る。 カークA は気づいた。互いを見つめる二人。 カークA は自ら近づく。後ずさりするカークB。 カークA:「撃てないはずだ。…君にはできない。」 追い詰める。「わかるか。よーく考えてみろ。…二人は同じ人間だ。…一人の人間の裏と、表だ。」 カークB:「……貴様なんかに用はない!」 その時、背後から現れたスポックがヴァルカン首つかみ※25をした。 カークB はフェイザーを発射するが、逸れる。 光線が当たった装置の一部が溶けた。倒れるカークB。 しゃがみ、カークB を見つめるカークA。 医療室のマッコイ。「そのうち意識を取り戻すだろう。身体の状態もわからずに精神安定剤を与えるわけにはいかないしな。…縛った方がいいだろう。」 カークA:「そう、その方がいいね。」 カークA を見たマッコイは離れた。 カークA:「…どうしたんだろ、私は。」 スポック:「私の観察によりますと船長には、決断力がどんどんなくなっていきますね。」 カークB をベッドに縛っていくマッコイ。「また一言ありそうだな。」 スポック:「これは、ドクターも聞いといて下さい。これは人間の心を観察するまたとないチャンスですよ。地球でよく言われる人間の善と悪の役割を調べられるわけです。…否定的な面は敵意あるいは暴力、欲望に代表され、肯定的な面は熱意と愛と親切で代表されていますね。」 「…君は人の前で船長の人格を分析するつもりなのか。」 「そうです、優れたリーダーとしての資格は一体何なのか。船長に決断力を与えていたのは否定的な面のようですね? …つまり悪の要素はもし正しく導かれコントロールされるなら、人間に強さを与えるんだ。だから悪の要素が逃げ出したあなたには、決断を下す力が消えてきた。」 カークA:「つまり何を言いたいんだね。」 「今後もしこの状態が続くなら、あなたに船長は務まらなくなる。…その時に、備えて下さい。」 マッコイ:「君には知性があるはずだ、知性に頼ればいい。」 カークA:「いつまでだね。」 スポック:「船長の行動に何か不合理なことを発見したら、その時は私が代わります。」 スコットの通信。『カーク船長。』 コンソールに触れるカークA。「カークだ。」 『スコットです。いま、エンジニアリングデッキの下にいるんですが。』 スコット:「…転送装置に、別の故障を発見しました。※26回路の覆いに大きな裂け目ができて、メイン回線が焼けただれ末端のコントロールに回線がくっついています。」 カークB が開けた穴だ。※27 無言のカークA。 アルファー177。 スールー:「転送装置の修理はまだですか。気温が下がって、もう零下 41度です!」 布を被るクルー。 カークA:『故障原因がわかった、あと少しの辛抱だ。』 「転送装置がダメなら、長ーいロープで熱いコーヒーを下ろしてもらうわけにはいかないでしょうかね?」 カークA:「…何とか考えよう。」 スールー:『コーヒーがなきゃ酒※28でもいいです。』 医療室で通信を終えたカークA を見つめる、スポックとマッコイ。 カークA:「機関部、カークだ。」 スコット:『こちら、スコットです。』 「装置の方はどうだ、報告しろ。」 『転送用の電離装置※29が、ほとんど全滅です。』 「復旧の見込みは。」 『修理に丸一週間はかかりそうですね。』 |
※19: 吹き替えでは「0401.6089」 ※20: 吹き替えでは「0401.6091」 ※21: この個所などで、原語では「ハンドフェイザー」と言っています。実際に使われているのは全てフェイザーピストルです ※22: 初登場。後のエピソードや他シリーズでの機関室とは異なり、通常はクルーがいないような描写がされているのが特徴的です (自動運転のイメージ?) ※23: 機関室の天井が見える唯一のエピソード (セットが他の部屋として流用された場合を除く) ※24: カークB がウィルソンから奪ったのはフェイザーピストル (タイプ2) のはずですが、ここではハンドフェイザー (タイプ1) になっています。もっとも分離させただけかもしれませんが (脚注※31 参照)、二人が対峙する際にアップになる時だけ再びタイプ2 に戻っています ※25: ヴァルカン・ネックピンチ Vulcan neck pinch ヴァルカン神経つかみ (ヴァルカン・ナーブピンチ Vulcan nerve pinch) とも。初登場。脚本ではチョップで倒す予定でしたが、レナード・ニモイの提案により即興で取り入れられました。スタッフの間および後の脚本では、FSNP (Famous Spock Nerve Pinch=あの有名なスポックの神経つかみ) と呼ばれていたそうです ※26: 原語ではこれ以降のスコットのセリフが、アフレコで収録し直されています (背中越しですが、明らかに口の動きと合っていない)。装置は TOS第26話 "The Devil in the Dark" 「地底怪獣ホルタ」の原子炉として再利用 ※27: 旧国内オンエア版では CM に入る直前の部分をカットしているため、次のエンタープライズの映像の上に盛り上げる音楽をつないで終わらせています ※28: 原語でも rice wine=日本酒と言っています ※29: transporter unit ionizer |
『航星日誌、宇宙暦 1673.5※30。転送装置は依然として使用不能である。私の悪の分身はベッドに横たわり、私自身の意志および決断力はますます鈍ってきた。一方惑星では、表面温度が氷点下 75度にまで下がった。』 会議室。 独りでいるカークA。 布を身体にまとったスールーは、フェイザーの分散ビーム※31を岩に当てた。赤く光る岩。 みな近づいて暖まる。 スールー:「こう寒くちゃとても寝られんぞ。とにかく、連絡してみよう。…スールーよりエンタープライズ。」 カーク:「こちらカーク船長。」 スールー:『この線は直接船長につながってるんですか?』 「うん。君たちのことが心配で、連絡を待ってたんだ。どうだ、そっちは。」 スールー:「天国ですね、周りに霜が降りてきて。…フェイザーガンを使って、あったまってます。もう一丁使い果たして、あと 3丁しかありません。スキーシーズンが、こっちで始まる前に何とか船に戻れる望みはありませんか。」 スポックが会議室のデスクについた。「ミスター・スールー、スポックだ。もう少しもちこたえてくれ。ほかに方法はない。非常生存手段を執りたまえ。」 スールー:『しかし、いつまで我慢できるか。』 息をつくスールー。 カークB は声を上げた。身体を押さえるマッコイ。 モニターの目盛りが上がっている。 見つめるカークA。「どうした。」 マッコイ:「どうやら複製の影響で身体の機能が弱くなってるらしいね。うっかりして気づかなかったが。」 「死にそうなのか。」 「…このままじゃね。」 カークB:「…助けてくれ。」 カークA:「分身が死んだら、残った私はどうなるんだ。」 マッコイ:「それはわからんな。」 ベッドの隣に座るカークA。「怖がるな。私の手だ、握れ。…心配するな、私が死なせるもんか。…もっと強く、生きることを考えろ! 君にも心はあるはずだ、さあ生きることを考えるんだ!」 カークA を見るカークB。計器の値は落ち着いた。 ため息をつくカークB。 マッコイ:「おい、正常に戻ったぞ。」 立ち上がるカークA。 マッコイ:「カーク。今こそブランデーを飲むときだ、私も付き合わせてもらう。」 カークA:「もし彼に死なれたら、分身の私は生きていけなくなっただろう。野獣のように凶暴で冷酷な男だが、私には必要な人間なんだ。…私の一部だ、私の。」 「さあ。」 グラスを渡すマッコイ。「私達もみんな君と同じだよ。誰にでも悪の面はあってそれは必要なんだ、それで生きていけるんだよ。醜いことはない、それが人間じゃないか。」 「それが?」 「そうだ、それがだ。彼と君を合わせて初めて人間になるんだ。さっきはスポックと争ったが彼の言ったことは正しいよ。否定的な面がなければ君は船長になる資格はない、それはわかってるはずだ。…君のあの強い決断力は彼がもってる。」 「…じゃあ私は。」 「いい面をもってるさ。」 「役に立たん。この船を指揮するのには。」 「君のその知性、理論はこれまたなくてはならないものだ。人間の本当の勇気は、恐らくそっから生まれてくるんじゃないかなあ? 強いはずの彼にしても、怖がってたよ。」 スポックの通信。『カーク船長。』 カークA:「カークだ。」 『スポックです、至急転送ルームへ来て下さい。解決できるかもしれません。』 「わかった。」 医療室を出るカークA。 笑い出すカークB。 転送室に入るカークA。「どうした。」 スコット:「転送装置が使えるようになりました。」 スポック:「エネルギーの差をなくすために、リーダー回線※32を取り付けまして直接エンジンにつなぎました。」 カークA:「それで。」 「速度のバランスに関しては、5ポイント以上の変化はないでしょう。まず、動物で試してみますか。……船長。」 「あ、ああ。やってくれ。」 ハイポスプレーを持つスポック。スコットはケースを開けた。 吠える動物。 スコット:「首をつかまえてますから素早くやって下さいよ。」 つかんだ。「早く!」 カークA:「無茶するな?」 スポック:「痛みは感じません、2、3分意識を失うだけですよ。」 スポックは手を伸ばした。静かになる。 転送台に運ばれる 2匹。 スコット:「これで駄目ならお手上げですね。」 転送機を操作する。 スポック:「転送。」 転送された。 しばらくしたあと、命じるスポック。「反転。」 マッコイもやってきた。 操作を続けるスコット。実体化した動物は、一匹になっていた。 触るスポック。「元の一匹になるときのショックに耐え切れなかったんでしょう。」 マッコイ:「死んでるよ※33。」 動揺するカークA。 |
※30: 吹き替えでは「0401.6095」 ※31: この描写は TOS で唯一の例。また、撃つ前にハンドフェイザーをフェイザーピストルにセットしていますが、これも唯一 ※32: 吹き替えでは「フリーダ回線」 ※33: "He's dead, Jim." マッコイの有名なセリフで、初使用 |
スポック:『航星日誌、宇宙暦 1673.1※34。副船長※35スポック記入。カーク船長は依然として指揮を執っているが、意志の力は急激に失われていく。しかも転送装置は修理中で、上陸班に危機が迫ってきた。』 ブリッジ。 ターボリフトに乗るスポック。 布でくるんだ死体をクルーに渡すマッコイ。「検死へ回したまえ、早く。」 スポックが医療室に入った。 マッコイ:「なぜだろうな。君が言ったようにショック死かもしれんし。」 スポック:「初めて意見が一致したか。」 「『かもしれない』と言っただけだ。検死の報告がくるまでは決定が下せん。」 「検死の報告など待つまでもありませんね。あの動物は急に二つに分けられまた一つにされて、それに適応できなかったんです。ショックですよ、未知の恐怖が引き起こした。」 カークA:「…私も恐らくそうだと思う。」 「しかし船長は人間です、理解できる。恐怖をコントロールする知性をもってるでしょ。」 「…転送装置の準備をしてくれ。」 マッコイ:「それはただの理論に過ぎないんだぞ、実際にはどんな結果が出るかわからん。私の言うことを聞いて、検死報告を待ってくれ。その間にもう一度装置をチェックすればいい。」 「確かに、君の言うとおりだ。慎重にことを運ばないと。」 スポック:「大事なことを忘れてませんか。」 「…いいや、別に何を。」 「上陸班はどうなります。…下で凍死させるつもりですか。」 「そうだ、上陸班が。チェックしている暇はない。凍死する。」 マッコイ:「もしショック死でなかったらどうする。転送装置の異常作用が原因だったらどうなるんだ? 君も死ぬぞ。…君の方が大事だ、理論に命を懸けるようなバカはよせ。」 スポック:「…二つに分かれるのは私にとっては単なる理論じゃあない。私は半分地球人で、あとの半分はいわゆる宇宙人でありこの二つは常に争っている。…これは偽りのない経験でそれを乗り越えて生きられるのは知性がこの二つに勝ち、強調させるからだ。船長に知性がある限り死ぬことはないでしょう。」 ため息をつき、立ち上がるカーク。「誰か、助けてくれ。私は、どうしたらいいんだ。」 スポック:「…船長の責任を放棄するつもりですか。」 「いや。そうじゃない。」 マッコイ:「…誰にも助けられんな。君が決めることだよ。」 「…転送ルームに準備をさせてくれ。…ドクター、検死も続けるように。」 出ていく 2人。 頭に手を触れるカークA。隣の部屋に入り、カークB に近づいた。 ウフーラの通信が入る。『カーク船長、ミスター・スールーと連絡が取れました。』 カーク:「カークだ。」 地表で横になっているクルー。 スールー:「カーク…船長。スールー…です、零下 117度に下がりました※36。」 身体に氷が張りついている。「もう、これ以上もちません。」 医療室。 スールー:『目も霞んできてよく見えず…計器類の目盛りもわかりません。…通信機もそろそろ、凍り始めました。すでに 2人…意識不明。…これ以上もう、待てません! …早く…早く。』 カークA:「ミスター・スールー。ミスター・スールー。…待てないか。見殺しにはできん。」 カークB:「どうするつもりだ?」 「転送ルームへ行こう、一緒に。」 カークB を縛っていたひもを解くカークA。 「逆らっても無駄らしいな。」 カークA はフェイザーを構えた。「このままでは駄目だ。…やがて船全体が、危険にさらされる。」 起き上がるカークB。「もう、お前と争う気はない。…力がなくなったよ。こんなことはもうたくさんだ。」 もたれかかる。 カークB はカークA を壁に押しやる。フェイザーを落とすカークA。 壁に頭をぶつけられるカークA。倒された。 頬の傷に触れるカークB。 チュニックに触りながら歩くカークB。「やあジャニス。」 ターボリフトから出てきたランド。「船長、あの…」 カークB:「君の誤解を解いておきたい。」 「そんな…」 「聞いてくれ。転送装置が故障して、私の分身が創られた。」 笑うカークB。「そいつが君を襲い、皆を欺こうと私に同じ傷をつけて逃げ出したんだ。」 顔の傷を示す。「詳しく事情を話したいんだ。あとで君の部屋へ行ってもいいかな?」 「…構いません。」 「ブリッジ。」 ターボリフトのドアが閉まった。見つめるランド。 ブリッジに入るカークB。 報告するナビゲーターのジョン・ファレル大尉※37。「ミスター・スールーが応答しません。」 カークB は船長席に座る。「軌道を離れる準備をしたまえ。…どうした。」 ファレル:「船長!」 「命令が聞こえなかったのか?」 「しかし下には。」 「助かる見込みはない、軌道離脱の準備。」 「はい。」 スポック:「先ほどの計画では…」 カークB:「気が変わったんだ、早く持ち場に戻りたまえ。」 カークA とマッコイがやってきた。 カークB:「逮捕しろ! そいつは偽者だ。」 マッコイ:「違う!」 「ドクター、だまされるな。」 「本物はここにいる。」 ※38「スポック、君ならわかるだろう。偽者はあいつだ。」 ファレル:「ミスター・スポック、どっちなんです。どうしましょう。」 カークA に近づくスポック。「船長に片づけてもらおう。」 カークB:「船長は私だ。…顔を見たまえ、はっきりしてる。…ジャニスに引っかかれた傷があるじゃないか。…それを隠して私になりすまそうとしたんだ。…貴様は偽者だ。」 カークA には、確かに傷がある。「今にわかる。」 カークB:「俺を殺すつもりだな? …ファレル、ジェイムズ※39! 逮捕しろ、危険人物だ! 船長は俺だぞ、わからんのか! 船長はこの俺だ!」 操舵士を投げ飛ばした。「船長は俺だ、これは俺の船だ! みんな俺のもんだ!」 フェイザーを取り出すカークB。ふらつきながらも近づくカークA。 カークB※40:「殺すぞ。」 カークA:「このままではいずれ死ぬ。」 「近づいたら殺す。」 「…君も一緒に死ぬ。」 「…頼む。…撃たせるな。殺したくない。撃たせるな。」 カークA はカークB のフェイザーを手に取り、奪った。放り投げる。 カークB:「…俺は戻りたくない、頼む! 殺さないでくれ!」 カークA:「生きるんだ。私と一緒に。」 「…殺さないでくれ!」 カークB を抱きしめるカークA。「わかった。わかってるよ。」 カークB を転送台に立たせるカークA。 スポック:「しっかり抱いていて下さい。」 カークA:「ミスター・スポック。」 「何か。」 「…もし失敗したら。」 「…はい、わかってます。」 マッコイを見るカークA。微笑み、うなずいた。「始めろ。」 操作するスポック。「転送。」 非実体化する二人のカーク。消えた。 作業を続けるスポック。 マッコイ:「何をグズグズしてる。」 何もない転送台。 スポックは再び操作した。一人になったカークが現れる。 自力で立っている。 わずかに安心した表情を見せるスポック。 マッコイ:「カーク。」 カーク:「上陸班を収容しろ。」 スポック:「はい、収容します。」 担架で運ばれるクルー。スールーもいる。 マッコイ:「かなりひどい凍傷にかかってるが何とか治せそうだよ。もう心配はない。」 カーク:「よかった。…私も二度とない経験をさせてもらったよ。」 ブリッジに入るカーク。 クルー:『異常ありません。』 スポック:「全セクション異常ありません。」 カーク:「よし。…君に心から感謝する。二人の私から。」 うなずくスポック。「乗組員にも伝えましょうか。」 カーク:「…偽者は古巣へ戻ったんだ、もう忘れよう。」 スポックは眉を上げた。 ランド:「船長。あの時は取り乱してしまいまして…」 カーク:「いや。」 「すみませんでした。…船長も恐ろしい経験を…つまりその、あたくしが申し上げたいことは…」 「わかってる、ありがとう。」 クリップボードをランドから受け取るスポック。「しかし、あの偽者は面白かったね。…はっきりしていて。どうだ?」 冷たい表情でスポックを見て、離れるランド。 カーク:「次の目的地に向かう。…ナビゲーター、コースを修正してセット。現針路を維持して前進。」 アルファー177 を離れるエンタープライズ。 |
※34: なぜか数字が 2つ前のものに戻っています。吹き替えでは「0401.6101」 ※35: 原語では誤って、First Officer ではなく Second Officer (第二副長) と言っています ※36: この部分は、DVD・完全版ビデオでは次のカットとまとめて吹き替えし直されているため、「零下 117度になりました」と微妙に違いがあります ※37: Lieutenant John Farrell (ジム・グッドウィン Jim Goodwin) 前話 "Mudd's Women" 「恐怖のビーナス」に引き続き登場。この時ファレルにも記章がありませんが (脚注※4)、カットが切り替わるとついています。声:井上弦太郎、TOS チェコフなど ※38: スクリーンが真っ白のままになっています ※39: James エキストラ ※40: カークB の傷が逆側になっています。映像自体が裏焼きになっているため |
感想など
ごく初期のエピソードにして、同一人物の分離という SF ならではの定番ストーリーを形作った話です。俳優の力量が問われるのに加えて映像的な面白さ、つまり技術の披露という点でも注目されます。善と悪、それも単純に後者が何もかも悪いわけではないというポイントは、VOY「二人のトレス」が一番似通ったオマージュとも言えますね。その他「二人」ものとしては、TNG「アンドロイドの裏切り」などのデータ関連、DS9「二人のキラ」 ENT「暗黒の地球帝国(後編)」の鏡像世界もの、「戦慄の未来」「もう一人のウィリアム・ライカー」「夢幻の刻」「二つのヴォイジャー」「ジマーマン博士の屈辱」「道は星雲の彼方へ」「エンタープライズ2」と、枚挙にいとまがありません。転送装置が原因となる点や悪カークの抵抗ぶりは、「トゥーヴィックス」も思い起こさせますね。 スールーたちをシャトルで助けなかったのは、単純に設定自体が存在していなかったため (もっとも気候のせいで着陸できないとも解釈できますが)。SF作家リチャード・マシスンによる唯一の脚本であり、スポックの二面性に関して印象的なセリフを言わせています。 |
第4話 "Mudd's Women" 「恐怖のビーナス」 | 第6話 "The Man Trap" 「惑星M113の吸血獣」 |