エンタープライズ エピソードガイド
第54話「オサーリア人の襲撃」
Anomaly
イントロダクション
作戦室。 片隅で伏せていたポートスは、身体を起こした。吠える。 気づくアーチャー。ポートスは落ち着きがない。 アーチャー:「来い。…どうした。」 音がした。床に一冊の本が落ちている。 それを拾い、棚に戻すアーチャー。 機関部員※1が、タッカーにパッドを渡した。「少佐。」 タッカー:「…ありえんな。機械のチェックは。」 「2度も。」 「リレーを調べよう。」 医療室では、フロックスがカゴを見ていた。どれも中の生き物が騒いでいる。 食堂でテーブルにつくクルー。「いま休憩なの…」 突然、皿が宙に舞った。飛び散る料理。 一直線に、全ての食器が宙に浮く。全部が天井に張り付いてしまった。 廊下の床が波打っている。通りかかったクルーが弾き飛ばされた。 座り直すアーチャー。するとデスクが波打つ。 置いていたカップが宙に浮き、中身の液体が飛び出す。 だがすぐに落ちるわけでもなく、浮遊している。 トゥポルの通信。『船長、ブリッジへ。』 報告するトゥポル。「船中で、異常事態が発生しています。」 船が揺れはじめ、ライトが明滅する。 メイウェザー:「ワープフィールドが、不安定に。」 ワープコアが外側に向かって、電流を発していた。 アーチャー:『機関室、何が起きてる。』 タッカー:「わかりません! プラズマリレーの極性が反転してます。」 『リアクターを止めろ。』 「やってますが、言うこと聞きゃしない。」 メイウェザー:「パワーが弱まってます。」 電流を発し続けるリアクター。 タッカー:「今だ。」 操作する。 機関室が暗くなった。 通常空間に出てくるエンタープライズ。ワープナセルが明滅し、光が消えた。 |
※1: 機関部クルー Engineering Crewman (Kenneth A. White) |
本編
ブリッジのライトが少し明るくなった。 リード:「非常用パワー以外、ほとんどの主要システムが停止しました。武器類もです。」 アーチャー:「トリップ、状況は?」 タッカー:「異常事態なんてもんじゃありません。現状を把握するのに、しばらくかかると思います。」 アーチャー:『逐次報告を。』 メイウェザー:「船影を感知しました。左舷、800万キロ。」 アーチャー:「針路は。」 「停止しているようです。漂流の可能性も。」 「呼びかけろ。」 サトウ:「通信装置オフライン。」 「…最大速度は。」 メイウェザー:「4分の1 インパルス。」 「…コースセット。」 エンタープライズは、異星人船に近づいた。 アーチャー:「生体反応。」 トゥポル:「…なし。船内には大気も、重力も存在しません。」 「……何か手がかりは。」 リード:「ありません。」 下着姿の MACO。女性のマッケンジー伍長※2もいる。 アーチャー:「重力ブーツでの任務は?」 マッケンジー:「木星ステーションへ遠征を。トラブルにも慣れています。」 ケンパー※3:「シミュレーションのみです。」 ホーキンス※4:「私もです。」 アーチャー:「向かうのは異星人の船だ、磁気変動が起こるかもしれん。気をつけろ。」 応える MACO。「了解。」「了解。」「了解。」 アーチャー:「どんな小さな手がかりも見逃すなよ。」 リード:「忘れるな。生体反応がないからといって、生命体がいないとは限らない。」 環境服を着る。 「武器を麻痺にセット。」 マッケンジー:「了解。」 シャトルポッドは、船にドッキングした。 重力ブーツで張り付き、廊下を進む一行。 スキャナーを使うリード。「発砲の跡です。」 ドアを開けるケンパー。異星人が出てきた。 ケンパーは驚く。異星人の身体は、そのまま前のめりになる。死んでいた。 ケンパー:「船長。…外傷はないようです。」 アーチャー:「ブリッジを探そう。」 ドアが開けられる。クルーの死体が、空中に漂っていた。 アーチャー:「コンソールにアクセスし、データをダウンロード。」 操作するリード。 ヘルメットを取るケンパー。 アーチャー:「17人※5死んでたよ。ほとんどの死因は、酸欠。ほかは、粒子兵器で襲われてた。こっちはどうだ。」 トゥポル:「サトウ少尉が、通信装置を修理しました。しかし、それ以外は。」 「うん。」 通信機に触れるアーチャー。「メイウェザー。」 メイウェザー:『どうぞ、船長。』 「コースを戻せ、4分の1 インパルス。」 『了解。』 トゥポル:「領域を探査する前に、船を完全に修理しておくべきです。また異常事態に遭遇したら。」 アーチャー:「彼らは死んで 2日と経ってない。襲った連中はまだ近くにいる。修理をしながら進む。リード、異星人船のデータを修復し解読しろ。」 命じるタッカー。「もう一度。混合率に注意しろ。…いい感じだ。40パーまで上げてくれ。」 すると、また電流が発生した。 タッカー:「駄目だ、停止、停止!」 アーチャー:「どうだ。」 「手を焼いてます。ワープフィールドが全く安定しません。物理の法則が通じないんです。ここじゃコクレインの方程式※6が役に立たない。量子変数が決まらないんですよ。調整しようとするたびに…空間係数が変わってしまう。異常空間から逃れるにせよ、ワープ理論を書き換えるにせよ、コクレインが研究に費やした時間だけかかるでしょうね。」 「戦術システムは。」 「1、2時間で、武器は使えます。」 「そっちを急げ。」 「…何か危険が?」 「頼んだぞ、とにかく急げ。」 機関室を出て行くアーチャー。 「誰かニュートンを呼んでくれ。」 まだカップと液体が、空中に浮かんだままになっていた。作戦室に戻るアーチャー。 カップを見つめ、手に取った。コンソールを見る。 エンタープライズに、異星人船が近づく。 ブリッジに入るアーチャー。「距離は。」 メイウェザー:「3,000メートル。さらに接近。」 リード:「武器を装填してます。」 アーチャー:「防御プレートは。」 「使えません。」 「呼びかけろ。」 首を振るサトウ。 メイウェザー:「2,000メートル。」 武器を持った異星人が転送されてきた。機関室にいたクルーが撃たれる。 異星人がボタンを操作すると、備え付けの部品がせり上がってきた。 中を抜いていく。 新たに転送してきた異星人は、すぐにクルーを殴り倒した。貨物を運ぶ。 装置をつけていく。しばらくすると、貨物が転送されていった。 武器も奪っていく異星人。撃たれる。 MACO だ。兵器室にはアーチャーたちも来ている。 アーチャー:「発砲やめ。…弾頭は装着を?」 リード:「ええ。」 「…スタン爆弾だ。」 異星人は肩の装置を起動させる。爆弾を投げる MACO。 転送されていく異星人。爆発が起こる。 アーチャー:「行くぞ!」 階段を滑り降りる。 異星人の姿は全くなかった。 アーチャー:「…残りは。」 リードは、モニターにエンタープライズの船内図を表示させる。「第1貨物室に 2人、機関室に 4人です。」 アーチャー:「トリップを援護しろ。…伍長。」 「ウッズ※7。君はこっちだ。」 物資を集める異星人。全て転送されていく。 コンピューターに装置をつけた。 サトウ:「データを盗もうとしてます。」 船長席にいたトゥポル。「ロックして。」 タッカーはワープコアの上に乗っていた。道具の棒を手にする。 コンピューターを操作していた異星人は、気配に気づく。銃を持って歩き出した。 コアに隠れ、様子をうかがうタッカー。 上から異星人に向かって飛び降りた。少し離れたところに集まっている異星人が気づく。 棒で異星人を殴り倒すタッカー。仲間が攻撃してくる。 タッカーはワープコアに近づき、レバーを倒した。再び電流を発生させる。 異星人はその場から動けなくなった。 リードたちが駆けつけた。転送で逃げていく異星人。 それを確認し、タッカーはレバーを戻した。リードに向かってうなずく。 異星人の一人は、倒れたままだ。 アーチャーたちは、貨物室に入った。 だが、中には貨物を含めて何もなかった。 エンタープライズを離れる異星人船。 |
※2: Corporal McKenzie (Julia Rose テレビ映画「バットマン&ロビン ザ・リターン」(2003年。「バットマン&ロビン 生涯現役宣言!」とも) でキャットウーマン女優のジュリー・ニューマーを演じました。ニューマーは TOS第32話 "Friday's Child" 「宿敵クリンゴンの出現」のエリン役) 名前は言及されておらず、階級は訳出されていません ※3: ケンパー軍曹 Sergeant Kemper (ネイサン・アンダーソン Nathan Anderson) 前話 "The Xindi" 「トレリウムD」に引き続き登場 ※4: ホーキンス伍長 Corporal Hawkins (Sean McGowan) 後にも登場。名前・階級ともに言及されていません ※5: 吹き替えでは「7人」 ※6: Cochrane Equation ※7: Woods エキストラの MACO |
治療するフロックス。「アナプロヴァリン※8を 50ミリグラム増やせ。」 複数の患者がいる。 アーチャー:「容態は。」 「安定してます。しかし、熱傷はかなり深刻です。再生治療をしたいのですが、イメージングチャンバーが使えない。急いで、修理チームをよこしてください。」 「わかった。」 アーチャーは仕切られているカーテンを開けた。 中のベッドに寝かせられているクルーは、顔までシーツが掛けられていた。 フロックス:「…フラー※9です。手は尽くしました。」 アーチャー:「こっちは。」 異星人を見る。 「内蔵に傷が。このまま、経過を見ます。」 「拘束室に放り込め。目を離すな。」 保安部員※10:「了解。」 フロックス:「何の種族がお知りになりたくありませんか。オサーリア※11です。」 アーチャー:「領域の種族じゃないのか※12。」 「違います。」 タッカーが来た。 医療室を出たアーチャーは、一緒に廊下を歩く。「被害は。」 タッカー:「光子魚雷 3発※13を盗られた上、プラズマライフル 1ケース、スタン爆弾 2ダース。食料の備蓄も半分盗まれました。第2貨物室はスッカラカン。でも最悪なのは、反物質を根こそぎやられたことです。メインリアクターにある分しか、残ってません。」 「どのくらいもつ。一ヶ月か。」 「最大で。それ以後は、ガス欠です。」 まだナセルが暗いままのエンタープライズ。 アーチャー:「ほかに情報は?」 トゥポル:「オサーリアとは、ほとんど接触がありませんので。…商業艦隊を保有していますが、強奪記録は皆無です。」 「…追跡に進展は?」 「ありません。敵は、イオンの痕跡を消しています。」 「強奪経験のない連中にそんな技術が必要か? …調査を続けろ。」 「…オサーリアは武器もエンジンもこの空間異常に適応させています。追跡するのは危険です。ほかの選択肢を考えては。」 「選択肢とは。反物質が底をつくのを待つか。」 「…奪い返すよりどこかで補充する方法を考えるべきです。」 「追跡しろ。」 作戦室を出るトゥポル。 保安部員に命じるアーチャー。「開けろ。」 一部が透けて見えるドア※14の奥に、オサーリア人が座っていた。 ボタンに触れるアーチャー。「ドクターから軽傷だと聞いている。…立ちたまえ。」 声が独房に流れる。 オサーリア人※15:「なぜだ。」 「部下が一人死んだ。」 「俺は殺してねえ。」 「君の、仲間に殺された。…だがここにいるのは君だけだ。立って私を見ろ。」 立ち上がるオサーリア人。 アーチャー:「よーし。…仲間を捜す手引きを。」 オサーリア人は笑った。 アーチャー:「私の船から盗んだ物を取り返したら、君も君の仲間も…解放しよう。」 オサーリア人:「俺たちの船に近づけば、死人は部下一人では済まん。…申し出は断る。あんたに手を貸して解放されたとしても、船には戻れねえ。そうだろう。戻っても放り出されるだけだ。」 「そのくらい我慢しろ。もう一つの選択肢は、それよりずっと耐え難い。」 「…あんたに俺を拷問できるわけがねえ。あんたらは文明人だ、道徳心が邪魔をする。無理すんな。」 「盗まれた物を取り返したい。…そのためなら手段は選ばん。道徳心など、知ったことか。」 「この領域には来たばかりらしい。じゃなきゃ、トレリウムD※16 で防護しているはずだ。防護していない船にこの空間のゆがみがどんな影響を及ぼすか、あんたに想像がつくか? 船だけじゃない、乗員の身体にもだ。」 変形した顔の皮膚をさするオサーリア人。 「…どうやってイオンの痕跡を消した。」 「フ、フン。船長は、とても賢い男でな。だってそうだろ。絶望的な状況の中で生きてくには、頭を使うしかねえんだよ。だから身を隠し始めた。」 「強奪もやむなく始めたと?」 「…俺たちも最初は、あんたらと変わらなかった。2隻で貿易ルートを探しに来て、最初のゆがみに襲われた。すぐ母星へ戻ろうとしたが、あの境界線。熱バリウムの雲が領域を覆い、外に出られやしねえ。…一隻は破壊されたよ。何度か空間異常に遭遇した後、仕方なく強奪を始めた。この辺は狩りをするには、理想的な場所でな。空間のゆがみで座礁させられた船は…実に無防備で襲いやすい。…誰にも迷惑はかけてなかった。本当だ。…最初のうちはな。今は良心の呵責もなく人を殺せる。だがあんたらには無理だ。拷問も、フン。今んとこはな。」 「君の船を見つけるためなら何でもする。後で良心が痛んでも。」 拘束室のドアを開けるアーチャー。「何もしないよりずっとマシだ。よく考えろ。」 司令室。 トゥポル:「廃棄船にあったデータを分析しました。やはり、オサーリア船の追跡を試みたようです。」 操作するサトウ。データが表示される。 トゥポル:「イオンの痕跡を探知できるようセンサーを改造していましたが、試す前に生命維持装置が停止したようです。」 アーチャー:「改造法に関する記録は?」 「少尉に渡してあります。」 メイウェザーも歩いていった。 アーチャー:「こっちの、状況は?」 トゥポル:「防御プレートは復旧。一時間以内に、フェイズ砲も使えます。」 「魚雷は?」 「誘導システムを、空間のゆがみに対応させるのにかなり手間取っているようです。」 「兵器室にいる。」 食堂。 独りテーブルにつき、いくつものパッドを見ているタッカー。 リードが来た。「紅茶をホットで。」 機械から取り出す。「物理の新発見は?」 タッカー:「ノーベル賞※17は、まだまだ獲れそうにないな。」 「少し寝た方が、能率が上がりますよ?」 「ご冗談を。」 「眠れないんですか。」 「…トゥポルが頑張って、神経を…ほぐしてくれてるんだけどな。…そういうんじゃないって。」 「私は別に何も。」 「…魚雷は直ったのか。」 「…何とか誘導システムは使えるようになりましたが、船尾の発射管がまだ。フラーは、誰より魚雷システムに詳しかった。誰も代われませんよ。…今までも大勢の異星人と遭遇してきたけど、よく犠牲者が出なかったもんだ。」 「これからはわからん。」 「…そんな悲観しなくても。」 「どいつもこいつも船を攻撃してきやがる。まるで、標的が飛んでるみたいだ。」 「ではどうしろと。地球へ帰れと言うんですか?」 「俺たちは何が起きようと、この任務から逃げることはできないと言ってるだけだ。」 『航星日誌、補足。オサーリアのイオン痕跡を追跡して 4時間経過。未だ進展なし。』 ブリッジ。 メイウェザー:「イオン痕跡は、2万キロ前方で途切れています。」 アーチャー:「船影は。」 「…ありません。」 「トゥポル。」 トゥポル:「…妙です。途切れてから、7万キロ先で復活しています。」 「スクリーン。」 操作するサトウ。 手前の線があり、離れた場所から全く違う方向に線が見える。 メイウェザー:「コースの変更を?」 アーチャー:「まだだ。…なぜそんなに途切れたか、わかるか。」 トゥポル:「イオンが恒星風に吹き飛ばされたのかもしれません。」 サトウ:「わずかですが、粒子が残っています。」 リード:「船長。粒子の崩壊率が合致しません。手前の部分は 9時間以上経過してますが、奥※18の部分は一時間も経ってません。」 アーチャー:「武器をオンラインにしろ。イオンが途切れたポイントへ向かえ。」 進むエンタープライズ。 船が揺れだした。 アーチャー:「トラヴィス。」 メイウェザー:「計器に異常はありません。」 明滅するコンピューター。 向かっていたエンタープライズは、突然空間に飲み込まれるように消えてしまった。 リード:「パワーが不安定です。」 火花が飛ぶ。「前方プレート、ダウン。」 トゥポル:「船体外部に、微細な亀裂が入っています。針路を変えては。」 アーチャー:「そのまま進め!」 ブリッジの壁が、空間異常で波打った。 再び姿を現すエンタープライズ。 アーチャーはスクリーンを見た。巨大な金属状の球体が映っている。 アーチャー:「トゥポル。」 トゥポル:「直径は、約19キロメートルあります。」 「…今まで見たことは。」 「いいえ。…一種類の合金で、全体が成り立っています。」 リード:「誰がこんな巨大なものを。」 アーチャー:「もっと接近しろ。」 球体へ向かうエンタープライズ。 |
※8: anaprovaline ENT第47話 "The Breach" 「理由なき憎しみ」より ※9: フラー乗組員 Crewman Fuller ENT第27話 "Shockwave, Part II" 「暗黒からの衝撃波(後編)」などで言及。ただし同エピソードでは女性とされていたのに対し、今回原語では後で男性とわかります。フラーは 2人いたのでしょうか? ※10: Security Guard (Ken Lally) 後にも登場 ※11: Osaarian 初期情報では Ventaxian になっていた時期もありました ※12: 吹き替えでは「ズィンディじゃないのか」。前回でも既に登場している通り、デルフィック領域にいる異星人はズィンディだけではありません ※13: 吹き替えでは「3門」。まさか光子性魚雷のシステム自体を盗むわけには…。また食料のくだりでは、原語では「シェフによれば」と言っています ※14: 拘束室は ENT 初登場。ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」などで言及はされていました。フォースフィールドが一般に使われている後の時代と違って、単なる透けたドアであり会話も機械を通していますね ※15: 名前は Orgoth (ロバート・ラスラー Robert Rusler ドラマ「バビロン5」に出演) ですが、言及されていません。声:牛山茂?、TNG ローア、STG ソラン、旧ST5 スールーなど ※16: trellium D 前話 "The Xindi" より ※17: Nobel Prize TOS第53話 "The Ultimate Computer" 「恐怖のコンピューターM-5」など ※18: 吹き替えでは「黄色の部分は/青の部分は…」となっています。原語では「こちらの部分」というリードのセリフに合わせて線が黄色に変わっているため、チグハグな訳になっています |
報告するリード。「『遮蔽フィールド』は巨大です。誰が作ったにせよ、相当の労力がいったはずだ。」 アーチャー:「イオン痕跡から判断すると、オサーリアはここで 8時間過ごしたことになる。何か、スキャンに成果は。」 トゥポル:「ずっと妨害されています。」 「入れそうなところを見つけろ※19。周回軌道に。」 球体に近づくエンタープライズ。 トゥポル:「入口らしきものを探知しました。現在位置より、22度北方です。」 アーチャー:「スクリーン。」 拡大される球体。「ドアは何でできている。」 「ポリデュラニアム※20。オサーリアの船体と、同じ金属です。」 ドアが見えてきた。 「入れるか。」 メイウェザー:「いえ、無理です。」 「…シャトルの準備を。」 エンタープライズを離れたシャトルポッドは、ドアの前で静止する。 リード:「通常の周波数では通じません。」 ケンパーたち MACO も乗っている。 アーチャー:「どこで開閉の操作を。」 「あの右下の装置です。」 「破壊する。」 ビームを発射するシャトル。 アーチャー:「開けてみろ。」 前に見えるドアが、開いていく。 メイウェザー:「船の反応はありません。」 アーチャー:「エンタープライズ。」 トゥポル:『どうぞ。』 「…中に入る。」 『了解。』 内部に入るシャトルポッド。巨大な構造が見え、エネルギーが流れている。 メイウェザー:「多数の都市を潤すのに、十分なエネルギーが通じてます。」 揺れるシャトル。 リード:「あれは。下だ。」 建物が見える。 アーチャー:「…大気がある、呼吸可能だ。」 「…留守だといいけど。」 「ドッキングポートはあるか。」 メイウェザー:「はい、船長。」 向かうシャトル。 ドアが焼き切られる。倒れた。 スキャナーで調べるリード。「異常ありません。」 アーチャー:「…留守らしい。…盗まれた物を探すぞ。散開し※21、回線は開いとけ。」 「ステム・ボルト※22はいくらなくなっても平気そうだ。こっちへ。」 空になった袋を手にするリード。「艦隊の食料パックだ。」 貨物だらけの部屋を進むアーチャー。呼び出しを受ける。「アーチャーだ。」 メイウェザー:『船長、こちらへ。』 やって来たアーチャー。「トラヴィス。」 メイウェザー:「こっちです。」 コンピューターに触れる。「これは、貨物の積み荷目録です。」 「内容は?」 「いえ、そこまでは。」 「ダウンロードして、ホシに見せろ。別の調査チームも、呼んでくれ。」 「了解。」 また揺れが伝わる。 命じるリード。「うちのか確かめろ。」 貨物をチェックするクルー。「ないなあ。」「ここにもない。」「ちょっと手を貸して。」「了解。」 司令室で、目録の解読を続けるサトウ。 メイウェザー:「あったぞ。」 手にする。 転送室から貨物が運び出される。次々と転送する。 貨物室に戻される。「置いといてくれれば運ぶわ。」「うん。」「そこでいいわよ。ありがとう。」「いえ。」 医療室のイメージングチャンバーが動くようになっている。 手を押さえながらタッカーが来た。 フロックス:「少佐。」 タッカー:「…火傷しちまった。…デューテリアムインジェクターを、インストールし直そうとして。」 「第2度の火傷です、うーん。おかけください。」 「あ…ちゃんと減極したつもりだったんだが。…うーん、ボンヤリしてたんだろうな。」 「…最後に睡眠を取ったのは?」 「…夕べは、一時間寝た。」 「トゥポルに神経マッサージを受けているのでは? 一度目は成功したと聞きましたが。」 薬を塗るフロックス。 「ああ、一回しかやってないんだ。…ここんとこ、暇がなくてね。」 「本当にそれだけで?」 「何が。」 「ヴァルカンの神経マッサージは親密性を求められますからねえ。それが、苦痛なんでは?」 「苦痛なんかじゃないさ。…トゥポルの部屋へ通う時間がないだけだ。」 「フーン。」 「…あの注射、打ってくれないか。シャキッとするやつ。」 「やたらと打てる注射ではありません。…ほかにも効果が期待できる治療法があります。」 「…教えてくれ。」 「アルデベラン・ヒル※23です。」 フロックスは、液体の中でうごめく虫を見せる。 「こいつらで何をすればいいんだ。」 「就寝前の一時間、胸に一匹腹に一匹置くだけです。分泌液が鎮静剤の役割を果たす。間違っても、そのまま眠らないように。押し潰そうもんならひどいことに。」 「トゥポルの部屋に通う方がよさそうだ。」 窓から球体を見ていたアーチャー。 トゥポル:「盗まれた反物質の、80%を回収しました。残りも捜索中です。」 アーチャー:「オサーリア船のリアクターに使われているのかもしれん。」 「武器もほぼ復旧しています。」 「トリップの方は?」 「30分ほどで、ワープドライブが復旧するそうです。」 「調査チームを急がせろ。戻り次第ワープしたい。」 「…量子スキャンによれば、1,000年近く前のものです。」 「ほかには。」 「核融合炉が、7基ありました。どれも、幅 12キロメートル。3基のみ稼働中です。」 「何のために造られたんだ。」 「この球体は重力エネルギーを放出しています。…空間異常に、何らかの関係があるかもしれません。」 「…分析を続けてくれ。」 サトウの通信が入る。『ブリッジから船長。』 アーチャー:「どうした。」 『司令室においでいただけますか?』 作戦室を出る 2人。 モニターの前で話すサトウ。「貨物の目録を訳していたら気づいたことが。ここを見て下さい。…この表意文字は、以前にも見たことのあるものでした。…地球に衝突したズィンディ偵察機のかけらです。…中の 3文字は全く同じものです。」 拘束室に入るアーチャー。話しかける。「ズィンディの船を攻撃したな! …知ってることを残らず教えろ!」 ベッドで横になっていたオサーリア人。「ズィンディ?」 アーチャー:「…聞こえたろ!」 「そんな種族聞いたこともねえな。」 「嘘をつくな。証拠の積み荷目録だってちゃんと見つけてるんだ!」 「積み荷目録?」 「知っていることを話せ!」 「…小さな船で襲い甲斐がなかったよ。」 「…今どこにいる。」 「…フン。」 「…殺したのか。」 「抵抗されてな。仕方なかった。」 「奴らはどこから。」 「標的は友達じゃねえんだ。そんなこといちいち聞いてられるかよ。」 「ズィンディの中の、どんな種族だった。身体の形は!」 「覚えてねえな。」 アーチャーはロックを解除し、独房の中に入った。オサーリア人にフェイズ銃を突きつける。「本当に?」 オサーリア人:「いくら脅しても無駄だ、文明人なんか怖かねえ。」 「それはどうかな。」 連れ出すアーチャー。 驚く護衛※24の保安部員。「船長。」 アーチャー:「構うな!」 廊下を歩くアーチャー。「行け!」 オサーリア人:「拷問室にでも放り込む気か?」 「黙れ!」 アーチャーはドアを開ける。「入れ。」 中に押し入れ、ドアを閉める。窓越しに話す。「ズィンディの情報を。」 オサーリア人:「こんなやり方、あんたには似合わねえ。」 「このエアロックは一分間に 0.5気圧ずつ減圧されていく。」 腕組みするオサーリア人。 脇のコンソールを操作するアーチャー。音がし、空気が抜けていく。 下がっていく目盛り。 アーチャー:「早く吐いた方がいいぞ。40秒後には、口が聞けなくなる。」 息を吸おうとするオサーリア人。 アーチャー:「早く言え。」 リードが来た。「船長?」 アーチャー:「口出しは無用だ、大尉。」 「減圧が始まってます。」 窓に手を置くオサーリア人。 リード:「死にますよ。」 アーチャー:「いいや、あと 20秒は大丈夫だ。…ズィンディの情報を!」 オサーリア人は苦しむ。 目盛りはほぼゼロに近づいている。 リード:「船長?」 アーチャー:「記憶は戻ったかな? どうなんだ!」 必死にうなずくオサーリア人。 リード:「船長!」 オサーリア人は倒れた。 ドアを開けるアーチャー。飛び出てきたオサーリア人は、息をつく。 アーチャー:「拘束室へ戻せ。」 リード:「行くぞ。」 アーチャーを見るオサーリア人。連行される。 |
※19: 吹き替えでは「何が妨害しているのか突き止めろ」 ※20: ポリデュラニウム polyduranium あくまでドア部分の材質ですね ※21: "Fan out." を吹き替えでは「エンジンを切り」 ※22: DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」で登場、後に何度も言及されたセルフ・シールのステム・ボルト (self-sealing stem bolts) とは、関係ないでしょうね (形も全く違う) ※23: 正確には「アルデベラン・ドロ (泥) ヒル (Aldeberan mud leech)」 ※24: Guard (Ryan Honey) |
司令室のトゥポル。「口を割りましたか。」 アーチャー:「やっとな。…奴らはズィンディの船から燃料や食料のほか、データも盗んでいる。メインコンピューターを探るには、どのくらい近づけばいい。」 サトウ:「かなり近くです。一キロ以内には。アクセスコードも必要です。」 「奴に聞いたよ。これだ。」 パッドを渡すアーチャー。 トゥポル:「敵は重装備です。オサーリアと交戦する気ですか?」 「ズィンディのデータが欲しい。戦術警報発令、武器と防御プレートにパワーを回せとトリップに伝えろ。」 操作するリード。 メイウェザー:「イオンの痕跡が崩壊し始めてます。発見は困難かと。」 アーチャー:「…ここで待ち伏せればいい。」 エンタープライズのワープナセルは復旧している。 メイウェザー:「…何か、遮蔽フィールドを通ってます。」 アーチャー:「そこへ向かえ。スタンバイ。」 リードは操作する。 アーチャー:「我々に気づいてるか。」 トゥポル:「まだです。」 リードに向かってうなずくアーチャー。 遮蔽フィールドを通り抜け、内側にオサーリア船が姿を現した。 すぐに船体に注がれる光子性魚雷。 追いながら攻撃するエンタープライズ。 アーチャー:「回線オン。」 サトウ:「どうぞ。」 「アーチャー船長だ、覚えてるか? 武器システムは、すっかり復旧した。わかったら、抵抗はやめろ。」 攻撃を受けた。 メイウェザー:「逃げる気です。」 アーチャー:「一キロ以内だぞ、トラヴィス。用意しろ。」 作業するサトウ。 リード:「プレート維持。」 メイウェザー:「遮蔽フィールドに戻っていきます。」 アーチャー:「逃がすな。」 逃げるオサーリア船は、再び遮蔽フィールドに入った。 エンタープライズも続く。 アーチャー:「ホシ。」 サトウ:「まだ遠すぎます。」 メイウェザー:「スタンバイ。」 「…あと 50メートル。」 モニターの表示が切り替わった。「アクセスしました。」 さまざまな図が表示される。 トゥポル:「どうです。」 サトウ:「まだ見当たりません。」 火花が飛ぶブリッジ。映像が消え、「信号喪失」と表示された。 サトウ:「また消えます!」 アーチャー:「トラヴィス!」 画面が復旧した。揺れは激しくなる一方だ。 トゥポル:「前方防御プレート、オフライン。」 サトウ:「船長、ありました!」 アーチャー:「ダウンロードは。」 「数分で。」 トゥポル:「…Eデッキ、第14セクションで船体に亀裂。大気が漏れています。」 アーチャー:「非常用防護壁!」 サトウ:「また離れました、通信リンクが切れます!」 メイウェザー:「インパルスエンジンが不安定になっています。遮蔽フィールドから脱出しないと。」 アーチャー:「…球体へ戻れ!」 内側に出てくるエンタープライズ。 揺れは収まった。 アーチャー:「奴らは。」 メイウェザー:「まだフィールド内です。」 「データの量は。」 サトウ:「3分の1 です。」 「…球体の入口へ。…奴らをおびき寄せるんだ。…前方フェイズ砲、一発のみ最小出力で。」 フェイズ砲を発射するエンタープライズ。ドアに穴が開いた。 アーチャー:「トラヴィス。」 メイウェザー:「反応ありません。」 「もう一度※25。」 2発同時に発射し、ドアの辺りが吹き飛んだ。 メイウェザー:「気づいたようです。こちらに来ます。」 遮蔽フィールドを抜けたオサーリア船は、すぐに攻撃を始める。 アーチャー:「一キロ以内に留まれ。迎撃しろ。」 サトウ:「アクセスしました。」 「エンジンを狙えるか。」 リード:「メインコンピューターに被害が及びます。」 「…少尉!」 サトウ:「80%受信…85!」 トゥポル:「…防御プレートオフライン、リアクターを狙っています。」 「90%!」 アーチャー:「十分だ、リード大尉!」 魚雷で反撃するエンタープライズ。命中する。 コントロールを失ったオサーリア船は、球体に引きつけられて衝突した。 表面を滑っていく。 リード:「敵艦エンジンダウン!」 アーチャー:「敵から狙いを外すな。」 サトウに向かってうなずいた。 拘束室に入り、独房を開けるアーチャー。「コードが役に立った。出してやれ。」 立ち上がるオサーリア人。「…ありがたい、さっさとエアロックで殺してくれ。」 アーチャー:「出発ベイへ案内しろ。…君を球体へ帰すよ。」 保安部員に連れられるオサーリア人。「結局道徳心を捨てられないらしい。」 笑う。「デルフィック領域じゃ、慈悲なんか役に立たねえぞ。船長。」 ため息をつくアーチャー。 ワープ航行中のエンタープライズ。 アーチャーは独り、司令センターに入った。「コンピューター。…ズィンディのデータをロード。」 モニター中に表示される。それを見つめるアーチャー。 |
※25: 吹き替えでは「もう一発」。明らかに 2発同時に発射しています |
感想
第3シーズンの 2話目ということもあり、連続的な展開が視聴者にもはっきりした形でわかります。もちろん一話完結としての新異星人との関わりもありますが、前話から引き継ぐネタに加え、新たな謎=単一金属球体が導入されました。DS9 も連続型とはいえ、一部を除いては一話完結の中で描かれていました。アーク (arc) と呼ばれる、連続ストーリー形式を選んだ製作陣の意欲が見て取れます。 コメディ的な要素が皆無に近いのは、ちょっと辛いです。とりあえずはタッカーが一手に引き受けているようで。 |
第53話 "The Xindi" 「トレリウムD」 | 第55話 "Extinction" 「突然変異」 |