司令室。 
 構造図が表示されている。 
 メイウェザー:「洞窟は、50キロありますね。」 
 フロックス:「地図上は 50キロですが、実際はどこまで続いているか。」 
 タッカー:「デノビュラの科学者はそこで何を。」 
 「ここは鉱物の地層のある有名な洞窟網で、特に珍しい鍾乳石があるんです。」 
 アーチャー:「彼らは半年潜ったきり、3週間前からデノビュラ科学アカデミーと音信不通だ。」 惑星の図に切り替える。「ザントラス※4という惑星だ。この何年間も※5、政情不安が続いていて、ここ数週間は好戦的な派閥が政権を握ってる。」 
 「惑星に滞在する異星人は全員退去するよう求めていて、応じなければ投獄か更に悪いことに。」 
 リード:「デノビュラはなぜ、自分たちで助けに行かないんです?」 
 「時間的に無理だ。エンタープライズなら、一日もかからない。そこで救出を頼まれた。」 洞窟の図に戻すアーチャー。「まず、3人の捜索だ。洞窟探検の経験は?」 
 メイウェザー:「険しい崖が数ヶ所ありますが、問題ありません。」 
 「君たちは。」 
 タッカー:「トラヴィスにしっかり、指導してもらいます。」 
 「装備の用意を。」 
 メイウェザー:「了解。」 
 フロックス:「非常に無理な御願いを…聞いていただいて、感謝しています。」 
 アーチャー:「お安い御用だ。」
  
 ワープを抜け、ザントラスに近づくエンタープライズ。 
 身軽な服装をしたメイウェザー。「ハーケン。」 
 タッカー:「入れた。」 
 「携帯食は?」 
 「一週間分。」 
 「ザイル。」 
 リード:「うーん。500メートル。」 
 「汚物処理袋。」 
 タッカー:「……何でこんな物を。」 
 「廃棄物は持ち帰りが原則です。」 
 リードと顔を見合わせるタッカー。 
 アーチャーがシャトル発着ベイに入った。「今、ザントラスの地方長官と話をした。一般命令が出された。救出にかけられるのは、3日間だ。」 
 タッカー:「短いなあ。」 
 「その期限が過ぎると、不法滞在者を取り締まるパトロール隊が、動き出すということだ。36時間で彼らを見つけられなければ、すぐ引き返し、船に戻れ。」 
 「わかりました。」
  
 地表へ向かうシャトルポッド。 
 入れ替わりに、たくさんの異星人船※6がザントラスを離れていく。 
 ブリッジに戻るアーチャー。「どうしたんだ。」 
 トゥポル:「惑星を離れた輸送船から、緊急信号が出ています。」 
 サトウ:「…リアクターケースが破裂して…ザントラス政府に戻る許可を求めています。」 
 アーチャー:「聞かせてくれ。」 
 女性の声。『客室に放射能があふれ出して、客とクルーに怪我人が出ているんです。』 
 ザントラス人:『要求は認められません。すぐ軌道を離れなさい。』 
 『危機的状況なんです!』 
 『船を追跡中、着陸を試みればただちに攻撃…』 
 音声を止めさせるアーチャー。「輸送船は?」 
 トゥポル:「…低い軌道に。ここより、600キロ下です。」 
 「コースをセット。回線、オン。船長につないでくれ。」
  
 異星人輸送船※7とドッキングしているエンタープライズ。 
 慌ただしい医療室。 
 フロックス:「内出血だな。止血スキャンを頼む。皮膚ジェルを塗って? 痛み止めにアナプロヴァリン※8 2ccを与えてくれ。もう大丈夫。」 患者の異星人は、どちらも別種族の者だ。 
 新たに患者を運び込むクルー※9。「彼はリアクターのそばで作業をしてました。」 
 その異星人※10を見て、動きを止めるフロックス。 
 クルー:「ドクター…。」 
 フロックス:「ああ。イメージチェンバーへ。」 
 異星人を呆然と見ているフロックス。
  
 シャトルポッドを離れ、洞窟へ向かうタッカーたち。 
 入り口だ。 
 タッカー:「何か見えるか。」 
 スキャナーを使うリード。「何も。3人も揃ってて、正しい方角に進んでるか誰も確信がもてないなんて。」 
 「全くだな。」 
 メイウェザー:「いえ、ここが彼らに一番近い入り口です。ここから入ったと賭けてもいい。」
  
 ライトを使い、奥へ進むメイウェザー。「気をつけて。崩れた岩が落ちてます。」 
 タッカー:「…最後に潜ったのは遊園地の洞窟で、手すりがついてて、土産を売ってた。」 
 リード:「…開けてる。こっちです。」
  
 下に崖がある。暗闇だ。 
 リード:「まだここを通ったって賭けるかい?」 
 メイウェザー:「もちろん。」 
 タッカー:「初心者用の崖はないのか?」 
 「大丈夫、先に行きます。」 
 道具を降ろし、ロープを用意する 3人。 
 メイウェザーから降りていった。
  
 医療室に入るアーチャー。「どうだ。」 
 フロックス:「2人は順調ですが、彼の怪我は広範囲で、大量の放射能を浴びています。今は安定していますが、いずれ細胞内再生手術が必要です。」 モニターに映像を出す。 
 その患者は、先ほど最後に運ばれた異星人だった。 
 アーチャー:「助かるのか。」 
 フロックス:「複雑な手術ですが、治る見込みは高いでしょう。」 
 異星人が目を覚ました。「ここは。」 
 アーチャー:「私の船だ。エンタープライズ※11の船長、アーチャーです。」 
 「何があった。」 
 「輸送船で、事故がありました。」 
 「…奴は何をしてる!」 
 無言のフロックス。 
 アーチャー:「ドクターですよ。」 
 異星人:「近寄らせるな!」 
 「…治療が必要だ。」 
 「だったら死んだ方がマシだね!」
 
 
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※4: Xantoras
  
※5: 原語では "for several years" と言っていますが、「この 7年間」と訳されています
  
※6: ここで使われているモデルには、カレマ船 (左上、DS9第80話 "Starship Down" 「ディファイアントの危機」)、クワタイの船 (左下、VOY第108話 "Bliss" 「夢を食う謎のワームホール」)、ヌバリ船デザイン (右下、VOY第157話 "Flesh and Blood, Part II" 「裏切られたホログラム革命(後編)」など) があるようです
  
※7: ENT第39話 "Dawn" 「熱き夜明け」で登場した、アーコニアン軍用船の改造のようです
  
※8: anaprovaline
  
※9: Crewman (Jamison Yang) 声:石住昭彦
  
※10: 名前は Hudak (Henry Stram) ですが、言及されていません。声:寺杣昌紀
  
※11: 吹き替えでは「エンタープライズ号」
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