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ディープスペースナイン エピソードガイド
第116話「武器を売る者」
Business as Usual

dot

・イントロダクション
※1ダックスとクワークはトンゴをしているが、クワークはゲームに熱中せず、パッドを持って仕事のことを考えている。どうなってるんだというクワーク。トンゴをしようと誘ったのはあなたでしょ、ずっと上の空じゃないというダックス。今やるってというクワークだが、まだパッドを操作している。やる気がないんだったら今夜はもうおしまいにするというダックスに、やっとでクワークはパッドを置きカードを手に取った。パーション3号星※2でフェルドマイト※3が発見されたので、セピアン商品取引所※4は大混乱、売りが立て込んで物価は急落しているというクワーク。ゲームの方はダックスが15ラチナム勝った。その時フェレンギ語で表示されたパネルを見るクワーク。もってけ、もち金はそれで全部だといいため息をつく。アンティモニアム※5の売買権も、クワドロトリタケール※6の先物取引も、粉末イモリ※7への投資も、全部パーになったと言った。俺はもうおしまいだという。大袈裟ねというダックスに、借金で首が回らない、3つのブローカーでバーを抵当に入れているという。1週間以内に金ができなかったら、プロムナードの食堂以外は持っていかれるというクワーク。
そこへ来たボリアンのウェイターが、クワークに何か耳打ちをする。ここに今か、でかけたと言えと慌てるクワーク。そんな言い訳しか思い浮かばないんじゃ、お前が破産するのも無理はないと言い一人のフェレンギ人が入ってきた。ゲイラ※8、よく来てくれたなというクワークに、わざとらしいという。ダックスを見て、服を着た女だ、色っぽいねといって自分の耳を触りながらダックスにも触る。あなたがクワークを殺そうとしたいとこと聞かれ、これはよくご存知でという。ゲイラは悪いがお嬢さん、この可愛いいとことサシで話がしたいんだがねという。ダックスはラチナムを袋に入れて出て行った。
悪いがラチナムが欲しくてもどこにもないというクワーク。何て悲しいこと言うんだ、お前の経済状態を知ってわざわざ助けに来たというゲイラ。自殺の手助けに来たのかというクワークに、疑うのも無理はない、だが疑うに得するいい話をもってきた、お前に仕事をくれてやるという。俺と手を組むのは監査局から禁じられてるだろ※9というクワーク。助け合うのが家族だろ、お前にしか頼めないんだよという。武器の取引をさせる気なんだろというクワークに、察しがいいな、惑星連邦※10がこの景気のいいビジネスを禁じるのはわかる、かなり特殊で危険な行為だし道義にも反するからなというゲイラ。だが一つ教えてやろう、世の中は必要としているというのも事実だと言う。前にも言ったろ、ステーション内で密輸なんかできない、オドーが見過ごすはずがないというクワーク。武器を運び込むとはいってない、これはお前にしかできない仕事なんだというゲイラ。世間話で引き込み、相談相手の心を和ませ、こちらに有利に取り引きできる雰囲気を作ってもらうという。それなら得意だと言うクワーク。わかってるとも、お前にはその都度売り上げの5%をやろうというゲイラに、10だというクワーク。ゲイラはパッドを操作し、5で十分だという。それを見て本当かよというクワーク。このビジネスは伸びる、1月でお前の借金は返済できる、半年もあればフェレンギ会計監査局の方から頭を下げてくるというゲイラ。1年後には月だって買える、稼ぎまくるか空振りするかは、お前次第さと言う。うまくやるさとクワークはいった。

※1: 監督はベシア役のシディグ・エル・ファディル、初監督です。俳優としてではないのでアレキサンダー・シディグではなく、古いままの名前で監督としてクレジットされているようです

※2: Parsion III

※3: feldomite

※4: Sepian Commodities Exchange
単に「商品取引所」としか訳されていません

※5: 反モニアム
antimonium

※6: quadrotriticale
麦の一種。TOS第42話 "The Trouble with Tribbles" 「新種クアドトリティケール」より

※7: powdered newt

※8: Gaila
(Josh Pais) DS9第53話 "Civil Defense" 「暴徒制圧モード始動」はじめ、これまで何度もセリフに登場したクワークのいとこ。クワークを殺そうとしたのは DS9第79話 "Little Green Men" 「フェレンギ人囚わる」より。姿は初登場です

※9: DS9第97話 "Body Parts" 「クワーク、絶体絶命」より

※10: 珍しく「宇宙連邦」と吹き替えされています


・本編
オブライエンは部屋で息子のキラヨシのおもりをしている。おはようと入ってきたジェイクに、静かに、やっと寝付いたところなのに目を覚ますと言うオブライエン。顔色が悪いよと言うジェイクに、寝不足で、ヨシはすぐ目を覚ます、そっとベッドに寝かせようとするとまた泣き出すと言う。ママが恋しいんだろうと言うオブライエン。ケイコはいつベイジョーから戻るのかはわからないが、1、2週間、植物の病が完治するまでだと言うオブライエン。そもそも子守りのアネル※11が家庭の事情で休暇をとったのが痛かったと言う。何だ、それなら僕が代わりにベビーシッターになると言うジェイク。大丈夫と疑うオブライエンに、前にプラン※12少尉の子供のお守りをしたことがある、小さい翼がからまないようにと言う。キラヨシには翼なんかないぞと言うオブライエン。もっと楽だよと言うジェイク。きっと疲れたんだろう、目が覚ましたらミルクをあげてくれ、おむつはバッグの中だと頼むオブライエン。わかってる、仕事して、それとも休むと聞くジェイク。モリーの時で慣れてるから平気だ、すぐに大きくなるからなというオブライエン。そっとキラヨシをジェイクに渡す。お昼にまた来る、何かあったらすぐに連絡してくれと言うオブライエン。だがキラヨシは泣き出してしまった。またオブライエンが抱き、あやす。泣き止んだ。さすがというジェイクに、親がわかるんだなという。オブライエンは一緒に仕事に連れて行くことにする。
クワークはいすに座り、それをうるさく揺らしている。また隣のいすでも同じことをする。やかましい、いい加減にしろと言うゲイラ。気を付けないとオドーは可変種だ、何に化けてるかわからないと言うクワーク。飲み物の中まで確かめている。オドーならつい5分前にプロムナードを出て行くのを見たじゃないかと言うゲイラに、フェイントかもしれないと言い座っているモーンの顔も確かめるクワーク。おでましだというゲイラに、どこと驚くクワーク。店に女を連れた男が入ってきた。またお会いできて光栄ですと言うゲイラに、また会えて嬉しいと言う男。こちら同業者のハガス※13とクワークに紹介するゲイラ。ハガスは女をタルーラ※14だと紹介し、君のいとこは君を高く買っているようだがという。ゲイラの商才を見抜く目は確かですからねというクワークに、自信たっぷりだな、その態度が気に入ったと言うハガス。商売人はそれくらい強気じゃないといけないがビジネスでは気を付けた方がいい、思い上がりは危険を招くと言う。致命的なミスを犯しかねませんからねというクワーク。一生に一度のチャンスと言うからわざわざやってきたんだが、その言葉を信じていいんだろうねというハガス。最高の条件が揃っていますと言うゲイラ。ハガスに案内しろと言われる。
ホロスイートの中に入るクワークたち。中には様々な武器が陳列されている。手を鳴らし、これは素晴らしいと言うハガス。一つの武器を手に取り、重量と言いバランスと言い申し分ないと言う。どうです、試し撃ちなさると言うならお好きな標的をお出ししますと言うクワーク。ハガスはそれには及ばんと言い、いきなりクワークに向けて発射した。クワークは驚くが、もちろん被害はない。完璧なレプリカだ、照準が多少右にずれるが本物そっくりだと言うハガス。最高級のホロスイートですからと言うクワーク。だろうな、マンカヴァイト※15150万個を卸したことがあったなと言うハガスに、相手方には10万個売り付けた、あれはなかなかいい戦闘でしたと言うゲイラ。休戦とは残念だと言うハガス。全く、素晴らしいものには必ず終わりがあると言うゲイラ。両陣営に売るんですかと聞くクワークに、場合による、どちらか一方に我々の行為がばれると最悪の事態になると言うハガス。危ないことほど儲けも大きいと言うハガスに、そうとも、来て良かったと言うハガス。これで我々の問題も解決だと言い、ゲイラは本物のブツを持ち込むわけじゃないからいかなる法にも触れないし、受け渡しを連邦の管轄外で行えば艦隊も手出しできないと言う。展示してるのはただのホログラムですから、どんな特殊武器でも紹介できると言う。よくやったと言うハガスに、クワークのアイデアですと言う。君は大した策略家だ、手を組めばいい仕事ができそうだとクワークに言うハガス。楽しみですと言うクワークに、私を裏切らないことだ、裏切りは絶対に許さないと言う。もちろんですと言うクワーク。よろしい、今度は私の部屋に案内しようと言い出て行くハガス。もう少し背が低くて、俺たちみたいに鋭い歯を持っていたらあの男は完璧なフェレンギ人だと言うゲイラ。何であんな嘘をついたと言うクワークに、お前を売り込むためだよとゲイラは言った。
ホロスイート。このブリーンCRM114型なら、移動している敵でも静止しているのと同様完璧に捉えますと異星人の客※16に説明しているクワーク。厚さ6センチから15センチの頑丈な装甲版※17でも楽々貫通します、シールドも4.6ギガジュール※18まで行けると言う。それを受け取り、軽いなと言う客。いきますよとクワークが言うと、空中からロボットが現れた。客がそれを撃ち、大爆発が起こる。すごいなという客。続いて装甲兵が現われ、再び標的となりすぐに爆発する。パワー充填の速さが一番の魅力ですと言うクワーク。2,000丁もらおうと言う客。商品の価値を正しく評価して頂いて光栄ですと言い、クワークは客の証印をパッドにもらった。出て行く客。どんなもんですとクワークに聞かれ、君は天性の商売人だと言うハガス。俺にとっちゃサンドイッチを売ってるようなもんだというクワーク。だから言ったろというゲイラ。成功を祈ろう、クワークにと言い3人は乾杯した。この商売気に入ったよと言うクワーク。

※11: Annel

※12: エンサイクロペディアによると、ヴィリックスプラン (Villix'pran) のこと。DS9第60話 "Heart of Stone" 「可変種の定め」など。ほんとに一体どういう種族なんでしょうか…

※13: Hagath
(スティーヴン・バーコフ Steven Berkoff)

※14: Talura
(Charlie Curtis)

※15: Manchovites

※16: (Eric Cadora VOY第110話 "Dark Frontier, Part II" 「ボーグ暗黒フロンティア計画(後編)」の異星人役)

※17: reactive armor
正確には「反作用装甲版」

※18: gigajoule
10億ジュール


コンピューターの前で取引を行っているハガスに、私をお呼びですかと話しかけるクワーク。待ちたまえ、それにしてもアンダリアンガラスビーズ※19がこれほど利益の上がる商品だとは思ってもみなかったなと言うハガス。プロクシニア人※20との取り引きはと聞かれ、トリタニアン製の戦闘機※21を7,000機購入していきましたと言うクワーク。どんどん買いに来る、プロクシニア戦争※22が泥沼化し始めていると言うハガスに、ついてますねという。ところで君の配当金がどうなっているか心配だろと聞くハガス。考えなくもありませんがねというクワークだが、ハガスは申し訳ないが当分渡せない、今のところ取り分は直接君の債権者に渡していると言う。安心してくれ、連中は大喜びしてるぞと言われ、私から返済しますと言うクワーク。疑っているわけじゃない、だが金の魔力というのは実に恐ろしい、大事な友達が経済的な理由で身を崩すのを黙ってみていられないとクワークに詰め寄るハガス。だから借金の返済が済むまでは君の配当金は渡すつもりはないといった。借金の返済が終わったら好きに使えばいい、ただし今後無理なローンを組むなよ、悪く思わないでくれと言う。私にとって商売仲間というのは家族同然の存在なんだ、その家族をトラブルから守るのが務めだと言う。愛情深い男なんだと言い、クワークに箱を渡し開けてみろと言う。それはアンダリアンガラスビーズだった。こんな高価なものをと言うクワークに、宝ともいうべき値打ち物だ、君に尊敬の念をこめてと言うハガス。そのビーズをタルーラに見てみろよといい、喜ぶクワーク。
壁側からダーツを投げるベシア。どうだ、勝てるかなという。キラヨシを抱いたオブライエンは、名医にあんな遠いところから投げさせるのは心苦しいが、ジュリアンはダーツの名人なんだと言う。赤ちゃんを置いて投げた方がいいんじゃないというベシアに、もう1週間も抱いたままだ、こうなりゃダーツもヨシと一緒だと言うオブライエン。ステーションにもベビーシッターの一人くらいいるだろと言われ、賭けるかというオブライエン。ずっと抱いて暮らすわけにはいかないだろう、前も肩を痛めたしというベシア。ヨシを下ろせばいいんだな、下ろしてやろうじゃないかといいベビーベッドに入れるオブライエン。だがその途端、キラヨシは泣き始めた。驚いたなというベシアに、いやいや驚くのはこれからだというオブライエン。もう一度抱くと、すぐに泣き止んだ。ほらね、ではちょっと失礼、僕の番だといい矢を持つオブライエン。
クワークはタルーラに耳をマッサージしてもらっている。もっと続けてくれというクワーク。チャイムが鳴り、オドーが入ってきた。お楽しみのところじゃまして悪いが、保安室の場所はよくわかってるだろうなというオドー。
こんなの不当逮捕だ、法なんか犯していないというクワーク。ホロスイートを営業する権利だって持ってるというが、武器の取引をする権利はないというオドー。別にいいじゃないか、本物を運び込んでいるわけじゃないというクワークに、屁理屈を言うな、取り引きをしていれば同じことだというオドー。今に必ずその代償を払うことになると言う。そこへ入ってきたシスコとキラ。今日ではない、釈放しろというシスコ。何ですってと驚くオドーに、キラに同じ説明をしてくれと頼むシスコ。ベイジョー政府からハガスたちの合法的な取り引きを決して邪魔しないよう、申請があったというキラ。レジスタンスにも武器を流しており、ベイジョーはハガスのおかげで生き残り、カーデシア撃退に成功したのだ。借りがあると言うキラ。大佐というオドーだが、私は君以上に腹が立っているというシスコ。また今度ってことだなというクワークをにらみ、今度という日が来ないことを祈るんだな、今までのように甘くはない、厳しく罰すべきところを見逃してやったことも何度もあったというシスコ。だが今度からそうはいかん、武器売買で処罰できなくてもお前はプロムナードの面汚しだ、壁に張りつけて見せしめにしてやるという。さらにキラが楽しみにしてらっしゃいといった。微笑むオドー。
ベイジョー人に兵器を卸していた時は随分反対されたもんだ、ベイジョーと取り引きするなどどうかしてるってというゲイラ。勝つ見込みのないベイジョーよりも力のあるカーデシアに乗り換えろとよく忠告されたというハガス。わざわざ金のないベイジョーにつかなくてもというクワークに、商売というものは目先の利益だけなく先見の明と広い視野が必要だというハガス。利益を上げることよりも、顔をつないでおくことのほうが重要なこともあるという。確かにフェレンギ人の商法とは違っても、素晴らしい商法の一つというゲイラ。カーデシアの権力がいずれ衰退することはわかっていた、なぜだと思うと聞かれ、自信過剰な連中だからだというクワーク。まさにその通り、やつらは自由を渇望するベイジョーの底力を侮っていたというハガス。だが私は違っていたという。するとチャイムが鳴った。私が出ましょうかというゲイラ。ハガスはいや、どうぞというと、男が入ってきた。これはファラク※23、足を運ばせて悪かったというハガス。至急というからには大事な話なんですよね、今ヴェリリア人※24と商談中なんですというファラク。ヴェリリア人は武器を購入する必要がなくなったと聞いたがというハガスに、いつからですと聞く。もちろんヴェリリアがメトロン協会※25と合意を交わしてからだ、君はヴェリリア人と一度も接触していないという噂も聞いたというハガス。それだけじゃない、君は営業のふりをして外出すると、仕事もせずにライサ星でよろしくやっていたそうだねという。聞いてくださいというファラクに、言い訳など聞きたくない、君には信頼をおいていたのによくも裏切ったなという。残念だが今日限り縁を切ろうというハガスに、待ってください、よく話し合いましょうというファラク。つい出来心でというと、それが君の致命傷となった、行きたまえとハガスは言った。ファラクは何も言えず、扉の方へ戻った。手を振るゲイラ。ハガスが目障りだというと、ファラクは歩いていった。こういう事件が一番不愉快だと笑い、気分を変えてさっきの話を続けようというハガス。
クワークの店。ゲイラがやってきて、随分繁盛してるじゃないかという。今日は艦隊の連中が誰一人やってこなかった、考えてみりゃここのところ連邦からの客が途絶えちまった、禁止令が出たからというクワーク。気にするな、ホロスイートの商売が繁盛してる限り何も心配はいらんというゲイラ。そういえば来週は有名なスペシャルゲストが来る、パルマル総督代理※26だという。知らないなというクワークに、とにかく大富豪だという。それは楽しみだというクワークだが、結構な変わり者で接し方が難しいというゲイラ。そんなもんだろう、なんてたって総督代理だというクワーク。本当によくやってくれたな、お前の力がなければここまでできなかったとゲイラは言う。そろそろ現役を引いてのんびり暮らそうと思っている、代わりにお前がハガスとビジネスを続けろ、そうすれば取り分はもっと大きくなるという。その話ハガスは知ってるのかと聞くクワークに、お前は気に入られているというゲイラ。俺も好きだ、儲けが増える話はみんな好きだというクワーク。みんなハッピーだ、ファラクを除けばなというゲイラ。ファラクの船はステーションを離れた直後に爆発していた、ワープコアの事故でだ。ハガスって奴は短気だよというゲイラ。ってことは殺したのかと聞くクワーク。こないだの話でもいってただろ、裏切り行為は大嫌いなんだというゲイラ。お前も肝に銘じておけといい、歩いていった。

※19: Andarian glass bead

※20: Proxcinians

※21: attack skimmer

※22: Proxcinian War

※23: Farrakk
(Tim Halligan)

※23: Verillians

※25: Metron Consortium
TOS第19話 "Arena" 「怪獣ゴーンとの決闘」のメトロン人 (Metron) とは関係ないと思われます

※26: Regent of Palamar


ダックスが一人でテーブルにいる。クワークはカタツムリジュースをレプリケーターに注文し、ダックスにおはようと声をかける。無視するダックス。席に座ろうとするクワークに、ほかの席に座ってという。俺は気にしないよといい座るクワーク。忙しいのよといってダックスはそっぽを向く。そうか見損なった、もっと理解のある人だと思っていたというクワーク。何を理解するの、あなたがついに卑劣な本性を現したことかしら、お金のためなら他人の命なんかどうでもいいんでしょうというダックス。売ってるのは防衛用の武器だ、殺人の道具じゃないというクワーク。軍備が充実してれば戦争は起きない、それが力のバランスだという。そんなこと自分でも信じてないくせにというダックス。少佐、俺にはほかに打つ手がなかったというクワーク。借金の波に頭から飲み込まれて後少しで肺が潰れそうって時に、いとこのゲイラが命綱を投げてくれたという。これをつかまずにはいられないだろうという。少しは罪悪感を感じると聞かれ、まさか、やましいことなんて何一つしてないというクワーク。ダックスはクワークを見据え、ならなぜ私の許しを求めようとするのと言った。席から離れ、歩いていくダックス。
キラヨシをトリコーダーで調べるベシア。安心していい、どこも悪くないという。なぜ僕がいないと泣くんだろうと聞くオブライエン。一通り検査をしてみた、目も耳も消化器官も肺も神経系統も医学的には全く正常だというベシア。つまりただ寂しいだけってことかいと聞くオブライエンに、ヨシは乳児にして人生の孤独というものに気づいてしまったんだという。まだ早すぎるというオブライエン。いい方に考えろ、偉大な詩人になる、医者としては手を尽くしたと言うベシア。もう一つ頼む、首が痛いといい抑えるオブライエン。待って、神経モジュレーター※27を持ってくるというベシア。
料理の説明をしているクワーク。パロマリア海のウニ※28のソテー、ニンニクとムーングラス※29風味、絶品ですよという。次はマトピアンロックキノコ※30、敷き詰めたのはタートック※31、まぶしてあるのはクラヴィソアベリー※32といい匂いを嗅ぐ。メインディッシュはウェントリアンコンドルスネイク※33の詰め物、全て総督代理の好物だという。実は宮殿のシェフに賄賂を贈って、レシピを教えてもらったというクワーク。一つ聞いてもいいかな、君は意図的に私の顔を潰そうとしてるのか、それともただの大馬鹿者なのかというハガス。そんなというクワーク。会食は新規の客をつかもうという大事な商談の席なんだ、それなのに何だこの料理はと怒りをあらわにする。げてものぞろいだという。好物だそうでというクワークに、これがか、これが総督代理の好物だというのかという。そうですと小さく答えるクワーク。ハガスは指で一つまみ舐めると、なるほどこれはうまいと笑顔を浮かべた。君も商談の席に加えるべきだなというハガスに、もちろんです、必ずお役に立ちますと薦めるゲイラ。クワーク気に入ったぞ、君は全く大した男だ、素晴らしいとクワークの耳をつかむハガス。お褒め頂いて光栄ですというクワーク。さてお遊びは終わりだ、総督代理がもうすぐお着きになると言うハガス。今夜、うまくいけば我々に大金が転がり込んでくるぞといった。
ナサック※34は非常に優秀な女性士官で、わしが腕を見込んで司令官に抜擢してやったと話す総督代理※35。後を譲って全軍を統率させた、だがその恩も忘れて独立宣言なぞ出しおったという。裏切りは許されざる罪です、絶対的に信頼していた人物が裏切ったとあればなおさらですというハガス。君たちのように思慮深い武器商人はあまりおらん、大概は思想もなく懐を肥やすこと以外興味はないという総督代理。君らは武器商人の鑑だ、いや人間の鑑だという。ご賞賛にあずかりまして光栄ですというゲイラ。ご要望はと聞くクワーク。総督代理はまず見せしめにナサックを片づける、街まるごと全滅だという。死傷者の目標は何人ですかと計算し始めるゲイラに、7、800万人という総督代理。お任せくださいというハガスに、それは手始めで数ヶ月のうちには死者の数を少しずつ確実に伸ばしていくという。予定数は、およそ2,000万人と言った。となると一番能率的な武器はプライオン※36爆弾というハガス。または突然変異誘発性レトロウィルス※37というゲイラ。クワークはお前の意見はと聞かれるが、2,800万人も殺す気ですか、負傷させるだけでいいでしょうという。わしは武器の購入に来た、武器商人だろという総督代理に、もちろんですとも、クワークはほんの冗談のつもりでいったんですよというハガス。フェレンギ人は冗談が下手でしょっちゅう誤解を招く、今後は冗談を挟まないということでお許し頂いて、気を取り直してビジネスに戻りましょうという。何も言えないクワーク。
窓から外を見つめ、茫然としているクワーク。ゲイラが来て、お前はよくわかっていないようだなという。この業界で40年間やってきた、いい加減引退したいという。そうだろうなというクワーク。だがこんなことじゃ引退もできない、自分の良心も抑制できない後継者じゃ困るというゲイラ。あいつはどうかしてるというクワーク。自分で判断する必要はない、俺たちにとっちゃどんなイカレ野郎でも金さえ持ってりゃそれでいいというゲイラ。2,800万人も殺すなんてとんでもない話だというクワーク、後少しでもハガスに言ってみろ、その辺のエアロックから放り出されるという。外を見ろ、幾千万の数限りない星がある、その一つ一つに世界があるというゲイラ。この瞬間にも宇宙に浮かぶ半分の星がもう半分の星に虐げられ滅ぼされている、たった今この宇宙でほんの一つの星が光を失い消え去ったとしても、誰が気づくと思うといった。考えてみろ、例えば今報酬としてラチナムの延べ棒を1,000万本用意してやるから、星の光を一つ消してこいといったらお前はどうすると聞くゲイラ。金はいらないから星を救ってくれというかといった。無言のままのクワーク。ゲイラは歩いていった。

※27: neural modulator
単に「モジュレーター」としか訳されていません

※28: Palamarian sea urchin

※29: moon grass

※30: Matopin rock fungi

※31: tartoc

※32: clavisoa berry

※33: Wentlian condor snake

※34: ナサック将軍
General Nassuc

※35: (ローレンス・ティアニー Lawrence Tierney TNG第12話 "The Big Goodbye" 「宇宙空間の名探偵」のサイラス・レッドブロック (Cyrus Redblock) 役)

※36: プリオン prion
DS9第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」より

※37: mutagenic retrovirus


クワークが店に入ると、服の汚れたシスコがいた。どうしたんです、顔色が悪いですよというクワークに、それは死んでるからだという。よくも殺したな、僕はまだこれからだったのにというジェイク。俺は何もやっちゃいないと叫ぶクワーク。あなたがみんなを殺したのよというダックスに、やめてくれ、俺のせいじゃないという。否定したって無駄よ、責任逃れはさせないと言うキラ。そうだ責任を取れというシスコ。報酬としていくら受け取ったのというダックス。そのお金で良心でも買ったらというキラ。なぜだクワーク、なぜ子供まで殺したんだというオブライエン。次の瞬間ダボテーブルの前にいた。みんながテーブルを囲んでいる。本当に俺のせいじゃないというクワーク。ダボの回転が止まり、お前の負けだというシスコ。いやだ、やめろ、やめてくれと叫ぶクワーク。
クワークはカウンターで目を覚ました。ダボテーブルには誰もいない。俺は何てことをと言った。
司令室で、オブライエンになぜベッドで寝かせないんだと聞くシスコ。キラたちも下を見ている。うまく説明できませんが、ヨシを連れて下へ行ったら途端に眠ったという。そこにはかごの中で寝ているキラヨシがいた。原因は光のパターンなのか、あるいはエミッターから出る機械音なのか、それともODNシステムの振動なのかわかりませんというオブライエン。でも泣き出さないという。ほかの士官も見に集まってきた。そうだなチーフ、ケイコが戻るまで数日休暇を取ったらどうだというシスコ。数日なら君がいなくても何とかなると言う。お気遣いなく、問題は解決しましたというオブライエンに、私が言いたいのはこのままキラヨシをピットに寝かせておくわけにはいかないということだ、ほかの手を考えろという。わかりました、せめてヨシが起きるまであのままにしていいですか、寝ついたところなんですというオブライエン。いいだろう、起きたら移動させろというシスコ。みんなに仕事はどうしたんだといった。持ち場に戻る士官たち。
ダックスの部屋。部屋に戻ると、そこにはクワークがいた。何をしてるのよというダックスに、これをあげようと思ってと言うクワーク。トンゴセットを渡すために人の部屋に押し入ったわけ、保安部員を呼ぶというダックス。すぐ行くよというクワークに、それも持っていってという。嫌だね、プレゼントなんだというクワーク。友情も買い戻せると思ってるのというダックスに、そんなんじゃない、もしかしたらもう使えなくなるかもしれないからとクワークは言う。じゃあなダックスというクワークに、ダックスはそっけなく、出て行く時にドアに挟まれないようにねという。どこへ行くのか知りたくないのかというクワーク。ダックスは知りたくないといい自室に入った。どんなに危険な場所でもか、まあいいさ、どっちみちついてこれない場所だというクワーク。これは俺一人でやらなきゃいけない仕事だ、奴に正面切ってこう言ってやるという。再び扉が開き、ダックスはさようならといった。閉まる扉。出ていくクワーク。
廊下を歩くクワーク。ふと立ち止まり、ガラスに映った自分に向かって話し始めた。恐いか、最悪の場合はハガスに殺されるだろうという。だけど俺一人ぐらい何だってんだ、2,800万人の命が懸かってるんだぞといい、再び歩いて行った。


突然変異誘発性レトロウィルスが入手できないとはどういうことだとクワークに言うハガス。ミノビア人※38とヴェク※39との戦闘で在庫切れになったそうなんですよというクワークに、それは困った、総督代理には今から1週間以内に注文の品を届けると約束しているという。今お帰りになったところだ、さぞかし気分を害されることだろうね、クワークというハガス。そうでしょうね、2,800万人を前にして殺す手段がないんですからというクワーク。でもついてました、ヴァラクシアンLM-7※40を確保しましたという。聞かん名前だというハガスに、最新のバイオ兵器で実験段階だという。効力はと聞かれ、抜群です、ただ問題はどれだけ入手できるかですというクワーク。1,700万人分でも総督代理はご満足くださると思いますかと聞く。1,700万人分、ないよりましだというハガス。では総督代理にプランの変更を連絡ください、最新兵器をご紹介しますとねというクワーク。お望みの結果が出るまで時間がかかりますから、2割引くらいにしましょうというクワーク。とりあえずはヴァラクシアンLM-7のサンプルを取り寄せてみて、デモンストレーションを行うのはどうです、下等生物だけの星で実験すれば誰も騒がないと説明する。いいだろう、話しておこうというハガス。何としてもつなぎ止める、そうと決まったら早急にサンプルを取り寄せろ、しくじったらただじゃ済まんと念を押した。誰よりも成功を願ってるのは私です、借金の返済も終わってやっと収入が入るんですからというクワーク。早く行けとハガスに言われ、部屋を出ていった。
部屋を出たクワークは、大きくため息をついた。急いでどこかへ向かう。
廊下をゲイラと共に走るクワーク。情けない顔をするな、ダボの勝負なんか戻ってからでも間に合うという。勝ってたんだ、大事な用って何だというゲイラに、会わせたい人がいるって言ったろというクワーク。2人が入った部屋には、何人かの男女が集まっていた。こちらナサック司令官、パロマリア自由党※41のリーダーだよといい、クワークは挨拶した。はじめましてと同じようにお辞儀をしながら、話があるとささやくゲイラ。すみませんが少々お待ちをとクワークはいい、2人は部屋を出た。
どういうことだ、何でナサックがいると聞くゲイラ。俺が呼んだんだというクワーク。あの女は暗殺のターゲットだぞ、ハガスには話したのかゲイラ。言うわけないだろというクワークに、お前一体何を企んでいると聞く。落ち着けって、両陣営に武器を売るのは危険ってことくらいわかっているというクワーク。言ってたじゃないか、危ないことほど…という。金儲けの秘訣ならお前よりよく知ってる、ハガスにばれたらでもファラクみたいに殺されるんだぞというゲイラ。心配するな絶対うまくいく、あのヴァラクシアンLM-7を総督代理とナサックに売り付けるとクワークはいった。乗り気なのかというゲイラに、ナサックは飛びついてきたぜ、どっちも似たようなクソ野郎だ、毒を撒きあって心中すればいいさという。倍儲かる、ハガスも喜ぶだろうよというクワークに、奴らが出くわしたらどうする、計画がばれるというゲイラ。人通りの多いステーションだ、離れてりゃわかりゃしない、後に残るのはラチナムの山だとクワークはいう。何をすればいいんだと聞くゲイラに、ナサックを20分引き付けておいてくれ、それから第5貨物室に連れてこいとクワークは言った。後でなといい、別れる2人。
貨物室で総督代理に開けろといわれ、箱のロックを開けようとするクワーク。だが操作しても開かずに、クワークはおかしいなという。どうしたんだと聞く総督代理に、大丈夫です、そうだろクワークというハガス。コードシステムが壊れてるというクワークに、それならさっさと修理しろ、このグズめという。ただいま、コード復元装置が必要だ、そのついでにシャンペンも持ってきましょう、乾杯しなくちゃというクワーク。考えなくていい、道具だけ取ったらさっさと戻ってくるんだというハガス。わかりましたといい、クワークは振り返りながらその場を離れる。すぐ戻りますからと総督代理に言うハガス。
走り出てくるクワーク。そこへナサックたちを連れたゲイラがやってきた。どこへ行くんだと聞くゲイラに、すぐ戻る、ちょっと道具を取ってくるだけだよとクワークはいった。ゲイラに案内され、貨物室に入っていくナサックたち。すぐにハガス、裏切ったなという総督代理の声が聞こえてきた。私は何も知らない、やめろというハガス。銃声。逃げるクワーク。
プロムナードに戻ってきたクワーク。保安部に告ぐ、第5貨物室で発砲事件発生だというオドーの声。何人もの保安部員たちが走って行った。道を包囲しろ、急げ、3番、9番という指示の声が飛ぶ。クワークはその場に座り、満足そうにゆっくりを息をついた。
オブライエンの部屋。ウォーフが入ってきて、予定では今日中にディファイアントのディフレクターを改造することになってるはずだという。すいません、シスコ大佐が休暇を下さったので予定が延びてるんですというオブライエン。育児休暇かというウォーフに、子育てって結構重労働ですという。すみませんがちょっと抱いててくれませんか、ちょっとミルクを取ってきますというオブライエン。ウォーフにキラヨシを預け、すぐに泣くと思いますけど大丈夫、いつものことですという。俺はそんな暇はというウォーフに、すぐですという。仕方なくキラヨシを抱くウォーフ。オブライエンはミルクを持ち、驚いた顔をして戻ってきた。何かまずいかと聞くウォーフ。ヨシが、泣き出さないとオブライエンはいった。キラヨシとウォーフの顔を順に見て、泣いてないぞという。キラヨシを再び抱き、哺乳瓶をウォーフに渡すオブライエン。そのままかごの中に入れた。ソファーに座り、ため息をつくオブライエン。息子がこのくらいの頃には会えなかった、未だにそれが悔やまれてならないというウォーフ。君は本当に幸せだよという。だがオブライエンは、既に眠っていた。哺乳瓶を置き、部屋から出ていくウォーフ。
クワーク、お前が犯した罪は重いぞというシスコ。戦闘を教唆し公共の場を危険にさらし無関係な人間までという。まさかあんな銃撃戦になるなんて思ってもみなかったんですというクワーク。狙いは取引を中止することでした、それで鉢合わせさせたという。効果てきめんだったな、ハガスとゲイラは何とかステーションから逃げ出したというシスコ。噂によるとナサックが2人に暗殺部隊※42を送ったとかというクワークに、もうお前のパートナーをこの世で見ることはないだろうというシスコ。総督代理も死んだという。亡くなったんですかと聞くクワーク。今朝ナサックの暗殺部隊に捕まったそうだというシスコ。別に構わないでしょう、2,800万の群衆だってきっと痛くもかゆくもないと思っているはずですというクワーク。2,800万と1人というシスコ。とにかく今回の処罰に関しては、もちろん情状酌量の余地があるってことですよねというクワーク。まだわからんとシスコはいった。パッドを見せ、これは貨物室の修理にかかる経費の見積もりだという。こんなにというクワークに、そうだという。参ったな、分割払いにして頂かないと払いきれませんというクワーク。しっかり働けよとシスコにいわれ、クワークは司令官室を出ていく。
クワークとダックスは、再びトンゴをしている。クワークが勝った。なかなかやるわね、あなたってピンチに追い込まれるとやけに強いというダックス。天性の才能だよ、なあ、俺のトンゴセットのことだけどというクワーク。ダックスはもうあなたのものじゃないわよ、くれたんじゃないと言った。そりゃあん時にはせっぱ詰まった状態だったからとクワークはいうが、絶対に返さない、最後にもう一勝負というダックス。再び盤が回され、2人は笑った。

※38: Minnobia

※39: Vek

※40: Varaxian LM-7

※41: Palamarian Freedom Brigade

※42: purification squad


・感想
久々のクワーク主体の話でしたが、今までとは違ってコメディにはなっていないのが特徴でした。「悪党」といわれるクワークを何倍も上回る「大悪党」が何人も登場します。そんな力があるならドミニオン攻撃を手伝って欲しいという気もしますが。結局はクワークの作戦勝ちとなるのが爽快です。
サブストーリーは子育てに苦労するオブライエン。エンタープライズの時のモリーとは違って、それでなくても大変な状況の中なので苦労しそうですね。キラヨシは名前のように(?)、日本系の顔立ちです。


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