ダックスが一人でテーブルにいる。クワークはカタツムリジュースをレプリケーターに注文し、ダックスにおはようと声をかける。無視するダックス。席に座ろうとするクワークに、ほかの席に座ってという。俺は気にしないよといい座るクワーク。忙しいのよといってダックスはそっぽを向く。そうか見損なった、もっと理解のある人だと思っていたというクワーク。何を理解するの、あなたがついに卑劣な本性を現したことかしら、お金のためなら他人の命なんかどうでもいいんでしょうというダックス。売ってるのは防衛用の武器だ、殺人の道具じゃないというクワーク。軍備が充実してれば戦争は起きない、それが力のバランスだという。そんなこと自分でも信じてないくせにというダックス。少佐、俺にはほかに打つ手がなかったというクワーク。借金の波に頭から飲み込まれて後少しで肺が潰れそうって時に、いとこのゲイラが命綱を投げてくれたという。これをつかまずにはいられないだろうという。少しは罪悪感を感じると聞かれ、まさか、やましいことなんて何一つしてないというクワーク。ダックスはクワークを見据え、ならなぜ私の許しを求めようとするのと言った。席から離れ、歩いていくダックス。
キラヨシをトリコーダーで調べるベシア。安心していい、どこも悪くないという。なぜ僕がいないと泣くんだろうと聞くオブライエン。一通り検査をしてみた、目も耳も消化器官も肺も神経系統も医学的には全く正常だというベシア。つまりただ寂しいだけってことかいと聞くオブライエンに、ヨシは乳児にして人生の孤独というものに気づいてしまったんだという。まだ早すぎるというオブライエン。いい方に考えろ、偉大な詩人になる、医者としては手を尽くしたと言うベシア。もう一つ頼む、首が痛いといい抑えるオブライエン。待って、神経モジュレーター※27を持ってくるというベシア。
料理の説明をしているクワーク。パロマリア海のウニ※28のソテー、ニンニクとムーングラス※29風味、絶品ですよという。次はマトピアンロックキノコ※30、敷き詰めたのはタートック※31、まぶしてあるのはクラヴィソアベリー※32といい匂いを嗅ぐ。メインディッシュはウェントリアンコンドルスネイク※33の詰め物、全て総督代理の好物だという。実は宮殿のシェフに賄賂を贈って、レシピを教えてもらったというクワーク。一つ聞いてもいいかな、君は意図的に私の顔を潰そうとしてるのか、それともただの大馬鹿者なのかというハガス。そんなというクワーク。会食は新規の客をつかもうという大事な商談の席なんだ、それなのに何だこの料理はと怒りをあらわにする。げてものぞろいだという。好物だそうでというクワークに、これがか、これが総督代理の好物だというのかという。そうですと小さく答えるクワーク。ハガスは指で一つまみ舐めると、なるほどこれはうまいと笑顔を浮かべた。君も商談の席に加えるべきだなというハガスに、もちろんです、必ずお役に立ちますと薦めるゲイラ。クワーク気に入ったぞ、君は全く大した男だ、素晴らしいとクワークの耳をつかむハガス。お褒め頂いて光栄ですというクワーク。さてお遊びは終わりだ、総督代理がもうすぐお着きになると言うハガス。今夜、うまくいけば我々に大金が転がり込んでくるぞといった。
ナサック※34は非常に優秀な女性士官で、わしが腕を見込んで司令官に抜擢してやったと話す総督代理※35。後を譲って全軍を統率させた、だがその恩も忘れて独立宣言なぞ出しおったという。裏切りは許されざる罪です、絶対的に信頼していた人物が裏切ったとあればなおさらですというハガス。君たちのように思慮深い武器商人はあまりおらん、大概は思想もなく懐を肥やすこと以外興味はないという総督代理。君らは武器商人の鑑だ、いや人間の鑑だという。ご賞賛にあずかりまして光栄ですというゲイラ。ご要望はと聞くクワーク。総督代理はまず見せしめにナサックを片づける、街まるごと全滅だという。死傷者の目標は何人ですかと計算し始めるゲイラに、7、800万人という総督代理。お任せくださいというハガスに、それは手始めで数ヶ月のうちには死者の数を少しずつ確実に伸ばしていくという。予定数は、およそ2,000万人と言った。となると一番能率的な武器はプライオン※36爆弾というハガス。または突然変異誘発性レトロウィルス※37というゲイラ。クワークはお前の意見はと聞かれるが、2,800万人も殺す気ですか、負傷させるだけでいいでしょうという。わしは武器の購入に来た、武器商人だろという総督代理に、もちろんですとも、クワークはほんの冗談のつもりでいったんですよというハガス。フェレンギ人は冗談が下手でしょっちゅう誤解を招く、今後は冗談を挟まないということでお許し頂いて、気を取り直してビジネスに戻りましょうという。何も言えないクワーク。
窓から外を見つめ、茫然としているクワーク。ゲイラが来て、お前はよくわかっていないようだなという。この業界で40年間やってきた、いい加減引退したいという。そうだろうなというクワーク。だがこんなことじゃ引退もできない、自分の良心も抑制できない後継者じゃ困るというゲイラ。あいつはどうかしてるというクワーク。自分で判断する必要はない、俺たちにとっちゃどんなイカレ野郎でも金さえ持ってりゃそれでいいというゲイラ。2,800万人も殺すなんてとんでもない話だというクワーク、後少しでもハガスに言ってみろ、その辺のエアロックから放り出されるという。外を見ろ、幾千万の数限りない星がある、その一つ一つに世界があるというゲイラ。この瞬間にも宇宙に浮かぶ半分の星がもう半分の星に虐げられ滅ぼされている、たった今この宇宙でほんの一つの星が光を失い消え去ったとしても、誰が気づくと思うといった。考えてみろ、例えば今報酬としてラチナムの延べ棒を1,000万本用意してやるから、星の光を一つ消してこいといったらお前はどうすると聞くゲイラ。金はいらないから星を救ってくれというかといった。無言のままのクワーク。ゲイラは歩いていった。
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※27: neural modulator 単に「モジュレーター」としか訳されていません
※28: Palamarian sea urchin
※29: moon grass
※30: Matopin rock fungi
※31: tartoc
※32: clavisoa berry
※33: Wentlian condor snake
※34: ナサック将軍 General Nassuc
※35: (ローレンス・ティアニー Lawrence Tierney TNG第12話 "The Big Goodbye" 「宇宙空間の名探偵」のサイラス・レッドブロック (Cyrus Redblock) 役)
※36: プリオン prion DS9第102話 "Nor the Battle to the Strong" 「戦う勇気」より
※37: mutagenic retrovirus
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