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ディープスペースナイン エピソードガイド
第170話「変節の時」
The Changing Face of Evil

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・イントロダクション
エアロックから降りてくるエズリとウォーフ。
外で待っていたのは、オブライエンとベシアだった。
オブライエン:「やあ! 待ってたぞ。」 エズリと抱き合う。「よく戻ったなあ。絶対戻ってくると思ってたよ。」
笑うベシア。「僕だってそうさ。」 手を広げる。
さえぎるオブライエン。「おーっと、信じるなよ。こいつはずっと後ろ向きなことばっかり言ってたんだから。」
ベシア:「まあ確かに心配はしてたよ。」
「みんな心配したさ。集まって話すことといったら、君たちが無事かどうか。そればっかりだ。」
エズリはウォーフに言う。「ほら、みんな気にかけてくれてたわ。で、賭けに勝ったのは?」
ベシア:「モーンだ。戻ってくる日まで当てた。時間もたったの 2時間違い。」
オブライエン:「すごいだろ?」
「驚いたよ。」
シスコもやってきた。「ウォーフ。」
ウォーフ:「大佐。」
エズリ:「言いたいことはわかってます。そうです、大佐。許可なくステーションを去りました。…船もなくしました。でも…」
シスコ:「君の処遇については後で検討する。それより、ブリーンとドミニオンの同盟について、わかったことを全て報告してくれ。」
ウォーフ:「残念ですが、わずかな情報しか得られませんでした。」
エズリ:「ウェイユンたちはこっちの質問に答えるより、逆にこっちに聞いてばっかりで。」
シスコ:「なぜダマールは君たちを逃がすことにしたのかね?」
「わかりません。でもウェイユンを嫌っていることは確かです。」
ウォーフ:「カーデシアは、誇り高い人種です。しかしドミニオンは第二級市民として扱っている。」
「ドミニオンがブリーンと同盟を結んだことで、カーデシアの地位が更に弱まることを恐れたんでしょう。…でも、助けた理由がどうであれ、彼に借りができました。」
シスコ:「いつかその借りを返す日がくるだろう。…ドクター、すぐに 2人の精密検査をしてくれないか。」
ベシア:「…戻ってくれて本当によかった。ああ…2人とも、無事で何よりです。」
ウォーフはエズリとベシアを見た。
通信が入る。『キラより大佐。』
シスコ:「ああ、どうした。」
キラ:『艦隊司令部より、最優先扱いの通信を受信しました。…ブリーンが地球を攻撃したそうです。』
シスコたちは、互いに顔を見合わせた。



・本編
無惨に折れたゴールデンゲート・ブリッジ。あちこちから煙が上がっている。
その映像を見ていたシスコ。「あのビルには友人が大勢いた。艦隊はブリーン軍をほとんど撃沈したそうだ。それまでに大規模な砲火を浴びたらしい。」
マートク※1:「敵が増えたというわけか。しかし宇宙艦隊本部を攻撃するとはな。我々でさえ考えたこともない。これで、ブリーンについて一つはっきりしましたなあ。…奴らは戦士の種族だ。」
「それ以外は謎だ。情報部もほとんど何もつかんではいない。」
「…大佐。どんな種族にだって弱点はある。例外はありません。」
「そうであることを祈ろう。だがその弱点が何であれ…早く見つけ出さねば。」

カーデシア・プライム。
沿岸部の情報が表示されている。
ウェイユン※2:「ほーら、ご覧下さい。地球からの報告がまた更新されました。状況が判明するにつれ、連邦の死傷者は増える一方です。」
ブリーン人のソット・ゴーは機械音で話す。「――。」
ウェイユン:「ええ、成功です。だが死傷者は単なるボーナスに過ぎません。一番の成果は、敵の心臓部を突然突き刺して、恐怖心を与え、精神的ダメージを与えられたことですよ。…将軍。我々のためにも、あなた方の勝利を喜んで下さい。素晴らしい采配でした。そうでしょ、ダマール※3?」
ダマール:「確かに。」
ソット・ゴー:「――。」
「だが大半の船は撃沈された。」
ウェイユン:「わずかな心配の種をつつくのは君に任せよう。」
ソット・ゴー:「――。」
「全く同感です。今回の成果に比べれば、取るに足らない犠牲に過ぎません。さてと、これで失礼します。創設者への報告書をまとめないと。」 出ていくウェイユン。
ダマール:「ところで、ウェイユンからは聞いていないかもしれんが、ドミニオンも以前は我々を崇めていた。」
ソット・ゴー:「――。」
「それは決まってる。戦争が予想より長引いてるからだ。責任転嫁だよ。あんたも、戦争を終わらせなければ、いずれこうなる。」
「――。」
「そうかもしれん。だが私があんただったら、ウェイユンには決して背中を見せん。」

DS9。
廊下を歩くシスコは、部屋に入った。
咳をするキャシディ※4。料理をしており、部屋の中は煙であふれている。鍋のふたを取ろうとして、熱くて床に落としてしまった。
シスコ:「おい、キャシディ。どうしたんだ。」
キャシディ:「ああ、私にもわからないのよ。」
ふたを拾おうとして、熱くて放り出すシスコ。「何やってんだよ、君に料理は無理だ。」
キャシディ:「わかってる、たった今再認識したところ!」
「私のトウガラシじゃないか…!」 真っ黒焦げだ。
「ああ、キャセロールに、焼いたトウガラシ入れるの好きでしょ?」
「育てるのに 3ヶ月もかかったんだぞ? 今まで、誰にも触らせなかったのに。」
「ほんとにごめんなさい。…地球での恐ろしいニュースを聞いたから、少しでも元気づけたかったの。でもこれからは、あなたにこのエプロンを託すわ。」
受け取るシスコ。「それは実にいいアイデアだ。」
キャシディ:「機嫌が直ってよかった。あと何日しか一緒にいられないんだもの。」
「どういうことだ、キャシディ?」
「仕事が始まるの。来週の初めに発つわ。」
「だめだ。どこにも行かせない。危険すぎる。」
「ベン、ブリーンが攻撃したのは地球よ? この近くじゃないわ。」
「次はどこを攻撃してくるかわからん。君にはずっと私のそばにいて欲しいんだ。」
「優しいのね。でも仕事は仕事よ?」
「どうしても行く気なのか。」
「わかってるはずよ?」

独りコンソールを操作しているダマール。
ドアチャイムが鳴り、ダマールは画面を消した。「入れ。」
カーデシア人のガル・ルソット※5が入り、パッドを渡す。「頼まれていた、情報だ。」
ダマール:「素晴らしい。座れ。」
「長居は避けた方がいいだろう。ヴォルタが訪ねてこないとも限らん。」
「来たらどうなる。仲間と話をしてるだけだ。疑われることはない。」
「知られたらどうする。我々の、この秘密計画を。我々は、ロミュランか?」
「カーデシア人だ。だが今は領域を占領されている。占領軍を撃退するには慎重に事を進めねばならん。」
「本当にドミニオンを倒せるのか。ブリーンと同盟を組んだ奴らは無敵だ。」
「我々は国家と自由のために戦うのだ。その大儀は何にも勝る力になる。」
「…カーデシアがドミニオンと同盟を結んだ日をよーく覚えているよ。…私もそれを支持した一人だ。これでアルファ宇宙域の統治者になれるとな。…だが結果は、統治者どころか、召使いになってしまった。」
「それもすぐに終わる。反乱軍の…指揮官は信用できるのか?」
「彼らが指揮する反乱軍もな。大した数の部隊ではないが。」
「今に増える。反乱軍の勝利で全カーデシア人が立ち上がるだろう。」
「まずは、ロンダック3号星※6にある、ドミニオンの兵器基地の正確な場所を。」
「わかってる。さあ、味方の士官に、メッセージを届けてくれ。」
うなずくルソット。

惑星ベイジョー。
ソルボー※7は頭を抱えるカイ・ウィン※8に話す。「カラシの修道院※9へ向かうお時間ですが、どうなさいますか?」
ウィン:「…キャンセルして。」
「わかりました。では、ヴェデク議会への出席はどういたしましょう。」
「それもキャンセルして。」
「ヴェデク議会の出席をキャンセルなさると?」
「いいから、そうして! 予定は全てキャンセルよ。」
「かしこまりました。それで、何をなさるおつもりですか?」
「お前が聞くことではないわ。どうしても知りたいなら、研究と瞑想の時間が必要とだけ言っておきましょう。」
そこへベイジョー人姿のガル・デュカット※10がやってきた。
ソルボー:「ああ、なるほど。」
デュカット:「ソルボー、今朝の朝食は、バルコニーに用意してくれ。」 ウィンに尋ねる。「何か、お食べになりたい物は?」
ウィン:「わたくしはいらないわ。」
「無理してでも食べなければ。このベイジョーの力強さは全てカイにかかっているのですから。」
「いらないと言っているのがわからない!?」 ソルボーに指示するウィン。「朝食を用意してあげて。それから、ヴェデクたちに書面で会議の延期とわたくしからの謝罪を伝えておいてちょうだい。」
ソルボー:「はい、すぐに取りかかります。」 デュカットを一目見て、部屋を出ていく。
デュカット:「あの老いぼれにはウンザリする。」
ウィン:「…あなたは時々自分の立場を忘れるようね、アンジョル?」
「おっと、もしも気に障ったのなら、どうか許してくれたまえ。私は、君が太陽の光に照らされて生きる、月に過ぎんのだ。」 ひざまずくデュカット。
「詩を読むより畑を耕す方が似合ってるわ。」 外の景色を見るウィン。
「どうかしたのか? 言ってくれ。何に怒っている。」
「全てによ! 祈りにも儀式にも、このローブにも。もうこれ以上預言者たちを信じる振りをするのは耐えられないの。」
「もうすぐその必要はなくなる。パー・レイスは君を抱く日を心待ちをしているんだ。」
「ずーっとそう言い続けてるけど、一体いつその日が来るの?」
「彼らを炎の洞窟※11から解放したらすぐにだ。」
「彼らを解放する? でも預言者たちが。」
「預言者たちが?」
「パー・レイスを解放することはベイジョーの終わりを意味すると言ってるわ!」
「古いベイジョーは滅びるかもしれん。だがその灰の中から、全く新しいベイジョーが誕生するんだ。そしてついに復活が、始まる。」
「誰がそれを見届けるの?」
「もちろん神に選ばれし者さ。それは、楽園の…美しい夜明けだ。そしていいか、アダミ。君がそこを支配するのだ。」
「信じていいのね?」
「疑いの余地はない。」
「あなたはどうなるの?」
「もちろん、君が私を望む限り、永遠に君のそばにいるさ。だがまずは、パー・レイスを解放しなければならん。」
「でも一体どうしたらいいの?」
「その答えは、コスト・アモージャン※12の書物に載っている。」
「…何てこと。あの書物を紐解くことは固く禁じられているのよ…」
「そうとも。カイ以外の全ての者にはね。」
「大いなる悪が隠されてると言われてるわ。」
笑うデュカット。「何も恐れることはない。私がずーっとそばにいる。」
ウィン:「誰も恐ろしいとは言ってないわ!」


※1: Martok
(J・G・ハーツラー J.G. Hertzler) 前話 "Strange Bedfellows" 「決別の行方」に引き続き登場。声:大山高男

※2: Weyoun
(ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場。声:内田直哉

※3: Damar
(ケイシー・ビッグス Casey Biggs) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場。声:古田信幸

※4: Kasidy
(ペニー・ジョンソン Penny Johnson) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場。声:弘中くみ子

※5: Gul Rusot
(ジョン・ヴィッカリー John Vickery TNG第91話 "Night Terrors" 「謎めいた狂気」のアンドレス・ヘイガン (Andrus Hagan)、ENT第45話 "Judgment" 「反逆の法廷」のオラク (Orak) 役) 名前は今回は言及されていません。声:小室正幸、エディングトンなど

※6: Rondac III

※7: Solbor
(ジェームズ・オーティス James Otis) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場

※8: Kai Winn
(ルイーズ・フレッチャー Louise Fletcher) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場。声:沢田敏子

※9: Calash Monastery
DS9第109話 "The Darkness and the Light" 「一人、また一人、そして…」でカラシの瞑想室 (Calash Retreat) が登場

※10: Gul Dukat
(マーク・アレイモ Marc Alaimo) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場。声:幹本雄之

※11: fire caves
惑星ベイジョーでパー・レイスが封印されているとされる場所。DS9第11話 "The Nagus" 「宇宙商人フェレンギ星人」など

※12: Kosst Amojan
ベイジョー宗教における「邪悪な者」、つまり天空の神殿から追放されたパー・レイス。DS9第145話 "The Reckoning" 「善と悪の叫び」など

2色に塗り分けられた小さな人形がたくさん置いてある、巨大な模型。
ベシア:「問題は、この南の防壁だ。ここの守りさえ、確実にできれば何とかなる。」
オブライエン:「何言ってんだ。南なんか問題じゃない。攻められるのは北からだ。トラヴィスがいるだろ?」
「どこから来るかはわかってるさ。僕がトラヴィスなんだから。僕が言ってるのは、南でも北でも強化しとくに越したことはないってこと。」
「アラモの戦いじゃなくなっちまうぞ?」
「構うもんか! 一度でいいから勝ちたいんだ。」
「サンタ・アナになれば、毎回勝てるぞ?」
「兵舎に沿って大砲を並べたらどうだ?」 コマを置いていくベシア。
グラスを模型の上に置こうとするクワークに注意するオブライエン。「おい、何やってんだよ、クワーク! せっかく苦労して作ったのに。」
クワーク:「あんたたちってわかんねえよ。故郷が攻撃されて、ブリーンがドミニオンと同盟を結んだっていうのに、あんたたちはゲームしてる。」
ベシア:「プレッシャーの耐え方は人それぞれなんだよ。」
「もう少し生産的な耐え方したら?」
オブライエン:「俺は 14時間かけてステーションの武器アレイを調整してからここに来たんだ。」
ベシア:「僕は救急チームのプロトコルを一通り頭に入れた。」
クワーク:「つまり…ここも攻撃されるってことか?」
「可能性はある。堀はどうだ?」
オブライエン:「堀? アラモの周りに?」
「ああ、この川をもう少し広げて深くするんだよ。」
クワーク:「ステーションの周りにも堀を作ったら?」 首を振り、歩いていく。

その様子を 2階の席から見ているウォーフ。「あいつはまだ子供だ。」
エズリ:「…確かにマイルズは子供っぽいところがあるわね。」
「ドクター・ベシアのことだ。わかってるだろ? ……ほんとにあの男なのか?」
「…そんなこと私にもわからない。ああ…でもハンサムだわ。」
「男の価値は顔じゃない。オモチャに夢中になるような男なんだぞ?」
「楽しみ方を知ってるのよ! それにあれはオモチャじゃないわ。チーフが時間をかけて作ったんだから。」
「ふん…どうやら論理的な話をするのは無理なようだ。」
「…そうなの。やっぱり彼を好きなのかも。伝えた方がいいと思う?」
「それが気が済むんなら、そうだな。」
「…いい友達ね、ウォーフ?」
「そうだ。……あんなこと時間の無駄だ。いくら巧妙な作戦を立てたとしても、あれだけいる敵軍を相手に任務を完遂できるわけがない。兵力が足りんのだ。」
「よかったら下へ行って手を貸してあげたら? ……言っただけ。」

カーデシア。
ダマールはコンピューターを見ている。
部屋に入ったウェイユン。「ダマール。」
ダマールは慌てて画面表示を切り替えた。
ウェイユン:「随分早いですね。」
ダマール:「そうか?」
「ええ、夜明けです。徹夜ですか?」
「…いや、グッスリと眠ったよ。」
「そうですか。…それはいい。」
「ブリーン軍がこうも速く移動できるとは思わなかった。」 モニターに状況が表示されている。
「彼らには驚かされてばかりです。」
「うーん。」
「…彼らの冷却スーツのことなんですが。」
「どうした。」
「彼らの母星は凍りつくような寒さの荒れ果てた土地だと聞いているでしょう。でも違うんです。母星の気候は温暖で実に過ごしやすいらしい。」
「ではなぜ冷却スーツを着てる。」
「私も聞きました。言わないんです。実に謎が多い。……なぜでしょう。今日は様子が違いますね、ダマール? 見過ごすわけにはいきません。何だかまるで…別人のようです。」
「何を言ってる。」
「ボトルを持ってないからだ。」 笑うウェイユン。
「こんな所で暇を潰してるなら…」
「自信を取り戻したようですね。」
「なくしたつもりはない。」
「白状しなさい、ダマール。もしかして後悔してるんじゃないですか? この戦争に負けるのはドミニオンで、カーデシアも巻き添えにされると思ってるんでしょう。」
「確かに状況は、思ったより厳しいようだ。」
「かもしれません、ここ最近はね。でも自分の信念や同盟への忠誠を曲げる言い訳にはならない。だってそうでしょう? 真っ暗なトンネルを、手探りで進んでいた我々の軍勢に、再び光が差し込んできたのです。その光が語りかけてる。ドミニオンが勝利すると! そして連邦は、征服され、このアルファ宇宙域に平和と反映をもたらす新たな時代が幕を開けると。」
「そうかもしれんな。」
「そうですとも、ダマール。何でもかんでもカーデシア中心のケチなエゴで我々の勝利を台無しにしないで。我々は必ず勝つ。君も、私も。」
「ブリーンも。」
「そう、ブリーンもです。」
「我々は一つの家族というわけか。」
「我々が手を組めば怖いものはない。そうでしょ。」
微笑み、うなずくダマール。

ソルボーが布に包まれた物を運んできた。「コスト・アモージャンの書物です。お持ち致しました。」
ウィン:「ご苦労様。……どうしたの? 早くそこへ置きなさい。」
「一言よろしいでしょうか。」
「何なの、一体?」
「このコスト・アモージャンは、もう 700年間も保管所から持ち出されたことはありません。」
「何が言いたいの?」
「この書物に記されているのは、パー・レイスについてです。非常に危険な、知識だと言われています。」
「正しい者の手に渡れば危険なことはありません。」
「ことわざにこうあります。悪を学ぶ者は、悪によって学ばれていると。」
「よく心に留めておきましょう。早くこちらに渡しなさい。」
それでも従おうとしないソルボー。
デュカット:「お前の心配は、カイ・ウィンにもよーくわかってらっしゃる。それでもそのコスト・アモージャンが必要だとおっしゃっているのだ。彼女の身の安全はこの私が保障する。」
ウィン:「一度渡せば気も楽になるわ。」
ソルボー:「そう願いたいですな? この男は、突然ディープ・スペース・ナインに現れたかと思えば、次の瞬間にはもうあなたの側近になっている。彼は何者なのです。どこから来たのでしょう? 何が目的なのでしょう?」
デュカット:「私はただ、カイ・ウィンに仕えたいだけだ。」
「こいつのせいですね? この男が禁断の書物を紐解けと言ったんですね?」
ウィン:「アンジョルは預言者たちがここへよこしてくれたのよ? わたくしにはそれだけで十分です。そのほかに何も知る必要はありません。」
デュカット:「私もなぜ、自分が選ばれたのかわからん。だが預言者たちの決めたことに、誰が反論できる?」
「寺院に行ってきた方がいいわ。そして預言者たちの智恵を疑ったことを謝ってくるのです。」
ソルボーは書物を置いた。「ああ…」 部屋を出て行く。
デュカット:「…ソルボーは、私を認めてくれていないようだ。」
ウィン:「もう何年もわたくしに仕えてくれてるの。」
「パー・レイスが彼を認めれば、これからもずっと仕えることになるだろう。」
包みを見つめるウィン。
デュカット:「どうした。開いてみないのかね?」
ウィンはため息をつく。
デュカット:「…パー・レイスは、決して悪ではない。巨大な力をもっているだけだ。そしてその力を、君と分かち合いたがってる。残す問題は、君がそれを望むかだ。」
ウィンは大きく息を吸い、書物を引き寄せた。
デュカット:「そうだ。」
布を開くウィン。中には本が入っている。
鍵を使い、封印を開ける。
開かれる本。だがその全てのページは、真っ白だった。めくってもめくっても、文字は現れない。
デュカット:「そんな馬鹿な! これは偽物なのか?」
ウィン:「…偽物じゃないわ。」
「ソルボーが偽物を持ってきたのだ。」
「そんな間違いをするような人ではありません。…文字は書いてある。隠されているだけです。見つけるのがわたくしたちの使命。」



シスコは保安室に入った。
オドー:「これが御希望の新しい保安プロトコルです。」
シスコ:「ああ、ご苦労、オドー。」
「正直申し上げてブリーンを相手にどこまで効果があるやら。」
「それは同感だ。使わずに済むことを祈ろう。」
キャシディ:「ベンジャミン? これ、説明してくれない?」 入るなり、パッドを渡す。
シスコ:「すまんが、オフィスを使わせてもらえないだろうか。」
オドー:「もちろんどうぞ。」 出ていく。
「…ほう? ベイジョーの貨物運輸局※13が、休みを取れといってくれてるようじゃないか。」
キャシディ:「1ヶ月よ? しかも有給休暇。あなたの差し金でしょ? いいえ、それとも選ばれし者の仕業かしら。」
「『選ばれし者』なんて自分からは名乗らんよ。」
「とにかくあなたがやったんでしょ?」
「君を危険な目に遭わせたくないだけだ。夫が妻を守るのがそんなにいけないことか?」
「言ったでしょ? 私はあなたに守ってもらう必要はないの。すぐに頼んだ人に連絡して、私の休暇を取り消して!」
「キャシディ、たった 1ヶ月じゃないか。」
「たとえ一日だって我慢できないわ! あなたはどう思う? 私がロス提督にこう頼んだら。『お願いです。今月だけは夫を危険な任務に送らないで下さい。』」
「それとこれとは話が別だ。」
「私から言わせれば同じことだわ。あなたにとって仕事が大切なように、私にとっても大切なのよ。」
「それはわかってるさ!」

言い争う様子を、オドーはプロムナードから見ていた。
クワークが近づく。二人に気づき、笑う。
オドー:「何がおかしいんだ。」
クワーク:「結婚だよ。結婚は全てを変えちまう。あんたも気をつけないと、キラとああなるぞう?」
笑うオドーだが、クワークを見た。

ベイジョー。
ウィンは多数の本を使い、書物を解読しようとしている。
デュカットが後ろに立っている。
ソルボーが更に何冊もの本を持ってきた。「ご希望の書物の別巻でございます。」
ウィン:「ありがとう、ソルボー。もう下がっていいわ?」
「カイ・ウィン。保管責任者が大変心配しておりましたことをお知り…」
デュカット:「聞こえなかったのかね? 下がりたまえ…」 ドアを開ける。
「あなたが一体どうして、このような悪の書ばかり読むのか、気になるようです。」
ウィン:「カイはベイジョーのために力を尽くしていると伝えなさい。下がってよし。とても忙しいの。」
うなずき、ため息をついて出ていくソルボー。デュカットが見送る。
ウィン:「…なぜまだそこにいるの?」
デュカット:「私に、どうしろと。」
「下がってちょうだい。」
「どういうことかな?」
「集中しなきゃならないのよ。」
「そりゃあわかっているが。」
「それ以上しゃべらないで!」
手を挙げるデュカット。「了解。」 そのまま出ていく。
作業に戻るウィン。

DS9。
花束を見るキャシディ。「綺麗だわあ?」
シスコ:「じゃ許してくれるかい?」
「それはどうかしら。ベイジョーの貨物運輸局には連絡した?」
「君の休暇は取り消しだ。」
「だったら許してあげる。でも今度同じことをしたら…」
「頼まれない限り、君の仕事に口は出さない。もちろん緊急時を除いてだがね。…冗談さ。」
「だったらよろしい。」 シスコにキスするキャシディ。
「何のキスかな?」
「お花のお礼。それと間違いを素直に認める、あなたの心の広さに。」
ドアチャイムが鳴った。
シスコ:「ああ。クワークがネックレスを持ってきたんだろう。」
キャシディ:「ネックレス?」
「花が効かなかった時のためにね。」
笑うキャシディ。
シスコはドアを開けるが、立っていたのはロス提督※14だった。「大佐。ブリーンがチントカ星系※15で我が軍への逆襲を開始した。」
シスコ:「突破したんですか。」
「ああ、2個所で。」
キャシディと顔を見合わせたシスコ。「出撃はいつですか。」


※13: Bajoran Freight and Shipping Authority

※14: Admiral Ross
(Barry Jenner) DS9第168話 "'Til Death Do Us Part" 「偽りの契り」以来の登場。声:石波義人

※15: Chin'toka System
戦略的に重要な惑星系。DS9第130話 "Tears of the Prophets" 「決意の代償」で連邦側が勝ち取った場所

DS9 に係留しているディファイアント。
ブリッジにいるノーグ※16。「最悪だよ。ほんと最悪。」
操舵席のキラ。「ディファイアントで出撃するって時はいつもそれねえ?」
ノーグ:「推進マニフォルド、準備 OK。もしチントカ星系で負けたら、敵軍にある唯一の足場を失うんですよ。そりゃ最悪とも言いたくなるでしょう。」
「まだ失ったわけじゃないわ。推進エンジン作動準備開始。」
「マイクロ・フュージョンジェネレーター、オンライン。でもブリーンは、誰にも止められませんよ。まずは地球。次はチントカ。」
ウォーフ:「少尉。止められない敵などいない。ナディオンエミッター、用意。」
「エミッターの準備開始。」
ベシアが入る。「だから謝ってるだろ。悪かったよ。」
オブライエンも続く。「ダイリチウムマトリックスは調整済みです。頼むからもう少し気をつけてくれよなあ。」
キラ:「反物質インジェクター、オープン。どうしたのよ、何かもめ事ー?」
ベシア:「何でもない。緊急生命維持、ダメージ制御システムスタンバイ。」
オブライエン:「何でもなくないだろう?」
エズリ:「自動誘導システム、開始。現在作動中。」
オブライエン:「トラヴィスをなくした。」
キラ:「うーん、深刻そうね? 天体位置をデータと照合。」
ベシア:「マイルズがアラモの模型を作ったんだ。人形つきのね。すごくよくできてた。データをロード。照合完了。それをバーで見ていた時に、僕らが…いや僕が、うっかりトラヴィスをなくしちゃったんだ。」
ノーグ:「フェイザー安全装置作動。新しく作れば?」
オブライエン:「またなくすのがオチだ。フィールド安定装置、オンライン。」
キラ:「友達にオモチャを貸せばなくすものなの。ワーププラズマ・フィールド同期。」
「オモチャじゃない。れっきとした模型だよ。」
ウォーフとエズリは互いの顔を見た。
ベシア:「確かによくできてた。」
オブライエン:「ナセルはワープ前の数値に設定。」
「な、マイルズ。クワークのバーに置いたのが間違いだったんじゃないのか?」
ウォーフはエズリだけに聞こえる声で言った。「またオモチャで遊んでたらしい。」
エズリ:「模型って言ってたでしょ?」
「人形つきのな。」
シスコが入る。
ノーグ:「艦長がお見えです!」
シスコ:「少佐。」
ウォーフ:「武器アレイ、オンライン。全フェイザー、準備完了。量子魚雷ランチャー装填、スタンバイ。」
「中佐、連邦の艦隊とランデブーするよう、コースをセット。」
キラ:「コース、セット!」
「発進しろ。」
「エアロック封鎖。ドッキングクランプ解除!」
DS9 から離れたディファイアント。

ウィンは席についたまま、寝息を立てていた。
静かに本を片づける者がいる。ソルボーだ。ウィンの様子をうかがう。
本を外へ運び出す。
だがそこへデュカットがやってきた。「どこへ持っていく。」
ソルボー:「全て保管所へ返してくるのです。」
「誰の許可を得て。」
「もう調べものはお済みのようでした。」
「戻すんだ。」
「あなたに命令される覚えはない。」
デュカットはソルボーを殴った。
倒れるソルボー。
デュカットは本を奪い返す。無理矢理立たされるソルボー。「ああ…。」
デュカット:「私が、戻しておこう。」
押しやられるソルボー。「ああ。」
部屋に戻ったデュカットは本を置き、ウィンに近づく。眠っている様子を見て、ため息をついた。「ほーら、起きるんだ。仕事が残っているだろう?」
ウィン:「ああ…アンジョル。居眠りしちゃったみたい。」
「疲れてるんだ。無理もないよ。」
「何を調べてもわからないの。」
「答えは必ず見つかるさ。後は時間の問題だ。」
「…あなたがいてよかった。」
「フフン…何か、食べる物を持ってきてあげよう。うん?」
うなずくウィンに、キスするデュカット。

カーデシア。
ルソット:「最新の報告によれば、ドミニオンがチントカを奪還したようだ。」
ダマール:「少し前まで…連邦がカーデシアの領域から撤退すると喜んでいたものだが、もはやドミニオンの勝利は我々の勝利ではない。」 カナールを取り上げる。「それで、我々の軍は。」
「あなたの命令を待っている。」
「素晴らしい。攻撃は 7時間後だ。」
「…我が軍の優秀な兵士が大勢死ぬことになるぞ。」
「だがそれはカーデシアのためだ。ドミニオンでなく。」
ルソットはうなずいた。

ワープ中のジェムハダー船。
女性可変種※17に報告するウェイユン。「連邦の援軍がチントカに接近中です。」
女性可変種:「多ければ多いほどいい。」
「創設者。このような前線にいらしては危険です。」
「お前の心配には感謝します。…だがこの戦いは、直接この目で見たいのです。」
「そうですね。実に愉快な体験でしょう。」

結集するクリンゴン、連邦、ロミュラン艦隊。
ディファイアントに通信が流れる。『ロミュラン機、第3 および第9号、配備位置に到着。』
連邦士官:『連邦機、第1・第7・第10号機、指定セクションに侵入し、偵察に備えよ。』
マートク:『リードユニット、攻撃位置に待避。準備を開始せよ。』
沈黙を守るディファイアントのクルー。


※16: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9 "'Til Death Do Us Part" 以来の登場。声:落合弘治

※17: 女性流動体生物 Female Shapeshifter
(サロメ・ジェンス Salome Jens) 前話 "Strange Bedfellows" に引き続き登場。声:宮寺智子

チントカ星系側からブリーン、ドミニオン、カーデシアの艦隊。
そして反対側からディファイアントをはじめとする艦隊。
オブライエン:「こちらに照準を定めてます。」
シスコ:「全補助パワーを前方シールドへ回せ。中佐、攻撃パターン・デルタだ。」
キラ:「了解。」
「ミスター・ウォーフ。量子魚雷準備。」
ウォーフ:「ターゲット、ロック。」
「発射。」
攻撃が始まった。破壊されるブリーン船。
ウォーフ:「ターゲット、ロック。第1・第2ランチャー、スタンバイ。」
シスコ:「発射!」
ディファイアントのフェイザー攻撃で、更に次のブリーン艦に被害が及ぶ。
だがその時、敵艦は一発の砲撃を発射した。
ディファイアントに命中する。船体に電撃のようなエネルギーが走り、動きを止めるディファイアント。
ブリッジにも同じ影響が見られる。警報が鳴り響く。
オブライエン:「一体どうしたんだ!」
更に攻撃が浴びせられる。
コンソールが吹き飛び、倒れるクルー。
キラ:「操舵席、パワーダウン。」
エズリ:「通信、遮断!」
ウォーフ:「武器システムダウン!」
ベシア:「主要コンピューターシステム、オフライン!」
爆発が続く。
キラ:「手動制御不能!」
オブライエン:「チーフ!」
シスコ:「どれも復旧のめどが立ちません! パワーを吸い取られてるようです。」
容赦なく浴びせられるブリーン船の攻撃。
キラも倒れた。ベシアが近づく。
ノーグ:「自動消化システム、オフライン!」
ウォーフ:「手動消化器を使え!」
「了解!」
エズリ:「EPS の 8個所の亀裂からプラズマ冷却剤が放出。大気中に有毒物が流れ出してます。」
オブライエン:「耐熱兵器が揺らぎ始めた。」
ウォーフ:「第3 および 第4デッキで船体に亀裂!」
「このままでは、非常用のフォースフィールドで、ふさぐことも不可能です。」
シスコ:「全員脱出!」
脱出警報が鳴る。
シスコ:「聞こえないのか。全員脱出ポッドに向かうんだ。急げ!」
席を立つクルー。キラを抱え上げるベシア。
出ていく前に、シスコはブリッジを振り返った。
オブライエン:「大佐!」
シスコ:「…いい船だったな。」
「誰も異論はありません。しかしもう行かなければ!」
先に向かうようオブライエンに指示するシスコ。
炎に包まれるブリッジをもう一度見た後、出ていった。
いくつもの脱出ポッドがディファイアントを後にする。
連邦側の被害は甚大だ。
そして最後の攻撃によって、ディファイアントは大爆発を起こした。

バーチャルディスプレイでその様子を見ていたウェイユン。「気の毒に、シスコ大佐。あの船は大佐のお気に入りだった。…創設者、ここにチントカ星系が再び我らの手に落ちたことを報告致します。」
女性可変種:「作戦は順調のようですね。ブリーン軍に賛辞を送りなさい。」
「そのお言葉、何よりの励みでしょう。」
「そうね? でも私には、彼らを励ますつもりなどありません。勝ってくれさえすればいいのです。これ以上負けることには耐えられません。」
「私もです。…あそこに浮かぶ脱出ポッドは、とても小さく…とても弱い。直ちに破壊を命じましょう…」
「いいや。連邦に帰してやりなさい。彼らは大いなる恐怖をもち帰り、軍の志気をくじくでしょう。」
「…今日ここで起きたことを連邦中に広め、我々への恐怖心を植え付けさせるのですね? さすがは創設者、素晴らしい!」
出ていく女性可変種。

ベイジョー。
カップを口にするウィンの顔に触れるデュカット。「よーし。少しは、気分が良くなったかい?」
ウィン:「ああ…とっても。ありがとう、アンジョル。」
「君に仕えるためにいるんだ。何でもするよ?」 またキスをするデュカット。
ソルボーが入る。「カイ・ウィンから離れろ!」
デュカット:「何だと?」
「カイ・ウィン、この男はアンジョル・テナンではありません。」
ウィン:「それは一体どういうこと?」
「本物のアンジョルは、9年前バタール※18の強制収容所で死んでいるのです。だから信じるなと言ったでしょう? その男の DNAサンプルも鑑定してみました。ベイジョー人でさえなかった。こいつはカーデシア人です。」
デュカットから離れるウィン。
デュカット:「我々には共通の大義がある。偉大なる大義が。我々は一心同体なのだ。」
ソルボー:「聞いてはなりません。カイ・ウィン、その男の顔をよーく見るのです。宿敵の顔をお忘れですか?」
驚きに口を押さえるウィン。
ソルボー:「奴はガル…デュカットです!」
泣くウィン。「そんな馬鹿な!」
ソルボー:「彼はあなたをだまし、利用したのです。」
「そんなの嘘よ!」
「なぜベイジョー人に化ける! 何を企んでる! 我々は決して、お前の思い通りにはさせん!」
デュカット:「彼は何もわかってないのだ、アダミ。彼にパー・レイスの偉大なる愛が理解できるわけがない!」
近づいてくるデュカット。ウィンは近くにあったナイフを手にした。
ソルボー:「パー・レイスの愛? 何ということだ。悪を解放しようとしていたんですか? だからコスト・アモージャンの書物が必要だったのですね?」
ウィン:「ソルボー、聞いてちょうだい。わたくしはもう一度、ベイジョーの復活を果たしたいだけなの。」
「あなたは預言者たちを、裏切ったのです。我々を裏切ったのです。」
「お願い、わかってちょうだい。パー・レイスこそ、彼らこそが本当の神なの。」
「あなたの目を覚まさなければ。」 外へ向かうソルボー。
「ソルボー、やめてちょうだい。待って!」
ウィンは背後から、ソルボーにナイフを突き刺した。
叫び、倒れるソルボー。
ウィン:「ああ…」
デュカット:「それでいいんだ。」
「ああ…わたくしに触らないで! ……わたくしの人生は終わった。あなたはわたくしを滅ぼしに来たのよ!」
「いいや、違う。私は君を救いに来たんだよ?」
「嘘をつかないで。カーデシア人お得意の嘘に決まってる。あなたにこの体を触らせたなんて。…本を…早く処分しなければ。」
手をかざした書物に、ナイフから血がしたたり落ちる。
その瞬間、本のページが燃え上がり、隠された文字が浮かびあがった。
デュカット:「これだ。見えるか? パー・レイスは君を認めたのだ。彼らにふさわしいと。彼らの秘密は今や君の秘密となった。彼らからの贈り物だ。…ありがたく受け取り、利用するのだ。」 書物をウィンの方に向ける。「君に捧げられたパワーをしっかり受け止めろ。」
ページをめくるウィン。「ソルボーはどうするの。」
デュカット:「死体は私が片づけよう。」

DS9。
シスコ:「ディファイアントは最高の船でした。二度とあんな船には巡り会えません。」
ロス:「すぐにとはいかんが、必ず別の船を用意する。まずはブリーンの、エネルギーを奪う戦法を食い止めんとな。」
「時間が必要です。」
「その時間がないから困っている。」
キラの通信が入る。『大佐、カーデシア領域からの送信波を傍受しました。大佐も興味がおありかと。』

メインスクリーンに映ったダマール。『そして 2年前、我々はドミニオンと同盟を結んだ。』 シスコやロス、司令室のクルーが見つめる。『彼らがアルファ宇宙域におけるカーデシアの勢力拡大を約束したからだ。それと交換に、我々は連邦とその同盟軍との戦争に加わることを誓った。カーデシア人は戦争を恐れはしない。その証拠に同盟を結んでからの 2年あまりで、700万もの同胞兵士が戦場に命を散らし、同盟に寄与してきたのだ。だがドミニオンがくれたものは、何もない。』

ダマール:『…領域が広がるどころか、我々の宇宙域内の力は弱まっている。もっと悪いことに我々は故郷まで失ってしまったのだ。今やカーデシアの領域で見かけるのはジェムハダーと…』 保安室で映像を見ているオドー。

ダマール:『…ヴォルタと、ブリーンだけ。』 プロムナードにも人が集まっている。

ダマール:『…侵略するどころか侵略されてしまった。我々の同盟軍は一発も発砲することなく、我々を征服したのだ。だがもう好きにはさせん。今朝カーデシアの第1・第3・第9部隊が、ロンダック3号星のドミニオン基地を攻撃した。』 ウェイユンや女性可変種たちが見ている。

ダマール:『…この奇襲は、我が母星解放の布石となるだろう。』
シスコ:「中佐、事実かどうか確認してくれ。」
うなずくキラ。
ダマール:『…真の圧制者はドミニオンなのだ。』

ダマールは力強く言った。「…全領域にいるカーデシア人に告ぐ。抵抗せよ。今日抵抗せよ。明日も抵抗せよ。最後の、ドミニオン兵士が我々の土地から去るその日まで。」

通信は終わった。
モニターを確認するウェイユン。「奴の言ったことは事実です。ロンダック3号星のクローン施設が、破壊されました。私が最後のウェイユンになった。だからあの施設を狙ったのです。」
女性可変種:「ダマールをはじめとする裏切り者全員を捜し出し、抹殺するのです。」
「すぐに取りかかります。」
出ていく女性可変種。
ウェイユン:「何人カーデシア人を殺しても構わん。ダマールを探し出せ、わかったな?」
ソット・ゴー:「…――。」
「手段は選ばん。」
「――。」 部屋を後にするソット・ゴー。

司令官室に入るキラ。「大佐、ロンダック星への攻撃を確認しました。」
ロス:「ダマールのおかげで時間ができた。ドミニオンにすぐ捕まらんといいがな。」
シスコ:「我々が彼に手を貸しましょう。彼こそがアルファ宇宙域を救う鍵になるかもしれません。」


※18: Batal

・感想
地球への攻撃という、前代未聞のプロローグから始まる最終章 4話目。最終章では初めて戦闘シーンが登場しました。とはいえあくまでストーリー上のワンポイントに過ぎず、DS9 の顔とも言えるディファイアントの撃沈という結果を迎えます。シリーズ途中で壊してしまうとは思い切ったことをやってくれますね。
ついにドミニオンへの反旗を翻したダマール。最初に狙ったのがウェイユンの「生命線」ともいえるクローン施設というのが何とも…これまでのことを考えると。
血で燃え上がるコスト・アモージャンの書物。どうもパー・レイスがらみになると、以前の人形などといいファンタジー風味が入ってくるのが面白いです。ランジェン・ソルボー哀れ…。


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