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ディープスペースナイン エピソードガイド
第5話「恐怖のウイルス」
Babel

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・イントロダクション
貨物室。
エアロックのドアを叩いている異星人。「まだ開かないのかー!」 ほかにも中に人々がいる。
オブライエン:「いくら怒鳴ったって無駄だ。できるだけ早く出してやるから待ってろ。参ったなあ。パワー連結部を、別ルートで試してみろ。」 部下に指示する。
別の異星人が近づく。「ミスター・オブライエン。」
オブライエン:「インターロック・サーボを起動させてみろ。」
「ミスター・オブライエン。」
「ああ、ジャヒール艦長※1。彼らはもう 1時間以上あのエアロックに閉じこめられているんですよ。申し訳ないですがあれを開けるまで待っててもらえませんか。その後おうかがいしますから。」
ジャヒール:「しかし私はもう 2日も前から、船の反物質フロー転換機の調整を頼んでるんだぞ。」
「ええ、メンテナンスの予定が押し合ってましてねえ、すいません。」
「言い訳は聞きたくない。私はこれからラルゴ5※2 へターメン・サーシア※3を輸送せねばならん。ダメになる前に、ワープ1 以上で行く必要があるんだ。」
「わかりました。今日中に修理クルーを一人、そちらに派遣しましょう。それ以上は、約束できません。」
「しかし君の約束なんぞ当てにならんからな。」 離れるジャヒール。
通信が入る。『ダックスよりオブライエン。』
オブライエン:「こちらオブライエン。」
『今時間ある? 実はラボでトラブルなのよ。』
「…すぐ行きます。」

廊下で待っていたダックス。「わざわざ悪いわね。」
オブライエン:「何で外にいるんです?」
ダックスがドアを開けると、途端に高音のノイズが室内から聞こえてきた。
中に入るオブライエン。「EPS コンバーターは調べました?」
ダックス:「ええ、まず最初にね?」
「じゃあインテンシティグリッドは?」
「異常ないわ?」
「それじゃあ補助フェイズモデュレーターかもしれない。先週もメイン・パワーコアでそこがいかれましてね。やっぱりそうだ。」 音は止まったが、今度は室内の明かりが消えてしまった。「…ほかに用はありません?」

司令室のコンピューターの表示が明滅している。
キラ:「ナビゲーションコンピューターが 3日前から動いてくれないのよねえ! アーゴシアン・セクター※4のスターチャートを出せって言うと、グリシン・セクター※5のを出してくるんだから。なだめてもすかしてもまともに動かないのよ。」
オブライエン:「これでどうかなあ。やってみて下さい。」
コンピューターの表示が復活した。
キラ:「ああ、ご機嫌が直ったようね。」
あくびするオブライエン。
キラ:「少し休んできた方がいいわよ?」
オブライエン:「…そんな暇ありませんよ。でも 5分だけでいいからゆっくりしたいですよ。」
レプリケーターから取り出したカップを口にするシスコ。「ああっ! チーフ。レプリケーターの修理はまだだったのか。」
オブライエン:「…申し訳ありませんでした。何か忘れてるとは思ってたんですよ。…テクニカルチーフたるもの、仕事が残ってるのに座ってのんびりしていちゃいけませんね。ハハ…直ちに修理いたします。」 出ていく。
シスコはキラと顔を見合わせる。

修理しているオブライエン。「レプリケーターの修理だ。コンソールが壊れちゃったの、チーフ。…貨物ステーションに配属願いを出すか。貨物なら苦情も言わないしな。」
アクセストンネルから外に出て、レプリケーターの下のパネルを戻す。
ボタンを押すとライトが消え、レプリケーターに電流が流れた。だがすぐ元に戻る。
器具で調べるオブライエン。「ホットコーヒー、砂糖入りでミルクなし。」
出てきたカップを見て、口にする。
歩いていく前に、レプリケーターのドアを閉じるオブライエン。
その奥で、取り付けられた装置が動き始めた。


※1: Captain Jaheel
(ジャック・ケーラー Jack Kehler) 種族不明。声:佐藤正治、TNG/DS9 ガウロンなど

※2: ラルゴ5号星 Largo V

※3: Tamen Sahsheer
サーシアは TOS第50話 "By Any Other Name" 「宇宙300年の旅」より

※4: Argosian Sector

※5: Glessene Sector

・本編
クワークの店にいるオドー。「なあおい、クワーク。私の見たところじゃ、最近客足が鈍ってるんじゃないのか?」
クワーク:「鈍ってる? ここんとこ 3日間客なんかほとんど来ねえよ。」
「うーん、そりゃ大変だ。景気が上向かなきゃ、このプロムナードも閉鎖かもしれないな?」
「何だか嬉しそうだな。」
「お前がいなくなりゃ、私の仕事もずーっと楽になるのは否めないからな?」
「楽になるどころかお前の今やってる保安チームの仕事だってあがったりなんだぞう? 人の不幸を笑ってないで、自分も失業しないように頭を働かせな。」
一人カウンターにいた異星人のエイソス※6。「クワーク! 何だこのコーリアン・シチュー※7は!」
クワーク:「…もしお味がお気に召さないんでしたら、お取り替えいたしますよ? お客様のお好みに合うような物に。」
「いいからお前も一口食ってみろよ! そうすりゃわかるから!」
食べるクワーク。すぐに布で口を押さえる。
エイソス:「どうだ! 責任もって、最後まで食え!」
オドー:「まあまあ、その辺で。」
「食えってんだよ!」 またクワークの口に入れるエイソス。
「もうよせ!」 エイソスの肩をつかむオドー。「気は済んだろ。おとなしく帰れ。」
苦しむエイソスは、店を出て行った。
オドー:「これで、あの客はもう二度と来ないだろうな?」
クワーク:「レプリケーターのせいだ。早く直さねえと商売にならねえ。」
「オブライエンに頼めばすぐ直るぞう? レプリケーターをコマンドレベルで、稼働させるだけだろ?」
「もうとっくに頼んであるんだよ。なるべく早く、直してくれるとは言ってたがな?」
「ふーん、じゃいつになるかわからんな。チーフはとにかく多忙だからね。」 去るオドー。
「コンピューター。ステーションの区画図を出せ。修理が終わりコマンドレベルで稼働しているレプリケーターを全て表示せよ。」
コンピューター:『その情報はセキュリティクリアランス5 以上の方のみ入手可能。セキュリティ証明をお入れ下さい。』
「ああ…。」 アイソリニアロッドを数本取りだし、コンピューターに挿入するクワーク。
『クリアランスを確認。』 位置が表示された。
微笑むクワーク。

カップを取り出すオブライエン。「どうぞ、司令官? 今度こそ、お好みに合うと思いますよ?」
飲むシスコ。「ありがとう。助かったよ、オブライエン。」
オブライエン:「いやいいんですよ。ステーションの至る所で、レプリケーターの故障が相次いでましてね。」
「身体は大丈夫かな。」
「何だか暑いですねえ。環境制御がまた上手くいってないのかなあ。」
「そうだ、奥さんによろしく。ジェイクがいい先生だってよく話すんだ。」
「ああ、どうもありがとうございます。妻もジェイクのことをよく話します。」
「あ、待ってくれ。」
「ハ?」
「まだイタズラしてるのか。」
「いやあその、ジェイク君は真面目にやってるようです。」
「ああ…心配でね。」
「失礼します。」 ターボリフトに乗るオブライエン。

プロムナードを歩くキラとダックスに、声をかける人々。「少佐。」「どうも、ダックス大尉。」※8
ダックス:「うーん、この感じ忘れてたわ?」
キラ:「あら、どんな感じ?」
「女だって感じ。女になるのは 80年ぶりなの。※9注目の的だわ?」
「慣れるのにしばらくかかるかもね?」
「いえいえ、とっても気分がいいわ?」
クワークが声をかける。「キラ少佐。ダックス大尉。…お二人とも私のパーティに参加なさいませんか、大歓迎いたしますよ?」 店はにぎわっており、モーンも女性と話している。
キラ:「…一体何の騒ぎなの? 客を 1,000人だました記念の御祝い?」
「ベイジョー人にもユーモアのセンスはあるんですねえ。いやあ実は、今日やっと店のレプリケーターが直ったんでその御祝いをね。いかがです? ごちそうしますよ、ダブルウィップの…アイダニアン・スパイスプディング※10なんかどうでしょう。」
ダックス:「少佐、どうします?」
キラ:「私は司令室に戻らないと。でも…ダックス大尉はどうぞ御遠慮なく。」 歩いていった。
微笑むダックス。招き入れるクワーク。
ダックスは店に入った。ガッツポーズするクワーク。

司令室のキラ。「チーフ?」
オブライエン:「何ですか、キラ少佐…。」
「…あなたちょっと休んできた方がいいわよ?」
「いえ、大丈夫です。お気遣いどうも?」
「疲れてるのに悪いんだけど、どうやら第3ターボリフトがまた壊れたみたいなのよ。……ジョークよ、チーフ。」
「少佐、ヒバリの舌が血みどろだ。」
「え?」
「…鳥は空高く遥か彼方に。黒雲のスキャットを聞き…」
「チーフ、一体何を言いたいわけ?」
「乱気流を早く回って。」
首を振るキラ。
オブライエンは他の士官にも伝わっていないことを知る。「沈み行く港を閉鎖するんだ。…あ、足首を試して…サウンドが、光をリセット。ディナーに虫が。」
キラ:「チーフ、待って。」
「いつ!」
「チーフ!」
オブライエンはターボリフトに乗った。


※6: Asoth
(ボー・ゼンガ Bo Zenga) 種族不明。名前は言及されていません (「アソース」としている日本語資料もあり)。声:大川透、DS9 ガラックなど

※7: Kohlanese stew

※8: 順に
ベイジョー人保安部員 Bajoran deputy
(Richard Ryder) DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」以来の登場

連邦の男性 Federation male
(Todd Feder) 声はエイソス役の大川さんが兼任

またクレジットではビジネスマン Businessman (Frank Novak) というキャラクターがいますが、3人目のセリフのない男性のことでしょうか?

※9: 最後の女性ホストはオードリッドのこと (DS9第71話 "Facets" 「クルゾンの秘密」)。2289年頃とわかり、実際は 2284年です

※10: I'danian spice pudding
初言及

オブライエンの目を調べるベシア。「コンピューター、神経映像スキャン※11を続けて。視覚皮質を刺激してくれ。」
コンピューター:『視神経の反応は全て異常なし。』
「聴覚を刺激するんだ。」 別の器具をオブライエンの耳に取り付けるベシア。
『生理的損傷はありません。脳の機能の数値も全て正常範囲内です。』
「…ナース。」
看護婦のジャバラ※12。「はい。」
ベシア:「オブライエンの、今までの病歴を調べてくれ。」
「はい、ドクター。」
オブライエンはパッドを見つけ、それに文字を入力した。
キラ:「なーに、これ? どういう意味なの?」 全く意味をなさない文章が並んでいる。
ベシア:「僕の方が聞きたいですよ。」
オブライエン:「限界を撃て。闇を燃やせ、本当の愛だ!」 ベッドを降りる。
「チーフ、まだ診察が。」
「道のリンクを完璧だ! 道のリンクだ!」
キラ:「…一体どうなっちゃったの?」
ベシア:「恐らく、一種の言語障害※13だろうと思います。知覚の機能不全で、視聴覚神経から刺激が脳に正しく伝わっていない。思考回路自体は、正常なんです。しかし、言葉で他人とコミュニケーションを取ることができなくなってる。」
オブライエン:「勝利は限界を撃ち霧に覆われて目覚める。…単純なためらいなんだ!」

司令室のシスコ。「よくわからんね、ドクター? 言語障害だって言うが、検査結果は全て異常なしだぞ。」
答えられないベシア。
ダックス:「言語障害は脳に損傷を受けた時などに見られる症状じゃなかった?」
ベシア:「そうです。頭部を殴打された時などに見られますが、チーフは当てはまりません。」
「過去に、似たような症状が出たことはないの?」
「一度もありません。何度も、調べましたが。」
シスコ:「原因はわからないのか?」
「今のところ。」
「視点を変えよう。キラ少佐、チーフ個人の勤務日誌を調べ過去52時間※14どこで何をしたか調べるんだ。」
キラ:「もう調べましたが、それこそ…ステーション中に行ってます。」
「それを一つずつ、全て当たってみてくれ。」
「ダックス、当面オブライエンの代理は君がやってくれ。」
ダックス:「ええ、でも…。」
「不都合でもあるのか? …ダックス!」
「ごめんなさい。ベンジャミン…私にはやっぱり…見るがいい、愚か者の涙。嵐がやってくる…。」 うろたえるダックス。

モニターを見るベシア。「言語障害が伝染するというのは、実質上ありえません。それが伝染したということは、一見言語障害に見えても…実は何らかの病気だと考えざるをえないのです。そこで大尉とチーフの神経細胞をスキャンしたところ、2人とも側頭葉からこれが見つかりました。」
シスコ:「ウイルスか。」
「このウイルスは神経細胞の連結部分に潜み、情報伝達を攪乱するんです。例えば、これを見ると…目から脳に映像が送られ、『トリコーダー』という言葉と結びつきます。このウイルスはそこを邪魔するんです。」
「つまりトリコーダーを見ても、口からは別の言葉が出るのか。『窓』とか。」
「その通りです!」
ジャバラが診療室に入る。「ドクター、また患者が出ました。」
女性士官※15:「夜が流れだし、川になりました。」
男性士官※16:「月が瞳を閉じ、トンネルの向こうから太陽が来たんです!」
シスコ:「ドクター、今からステーションを緊急隔離体制におこう。」
ベシア:「わかりました。」

プロムナードに戻ったオドーは、クワークの店の活気に気づいた。
モーンがボリアンと話している。
オドー:「クワーク。一体これはどういうことになってるんだ。」
クワーク:「何か変かい?」
「客が戻ってきたみたいじゃないか。」
「ヘ!」
「しかしおかしいな。追って通達があるまでどの店も営業は中止されたはずだ。」
「必要不可欠な事業に関しては許可されてるんだぜ?」
「おい、この店のどこが必要不可欠なんだ。」
「客はどう言うかね。この隔離体制でみんなウンザリしてるんだ。少しぐらい気晴らしできる場所が必要だよ。」
「…自分のクォーターにいた方が安全だ。」
またエイソスが座っている。「クワーク、このコーリアン・シチュー、まさに絶品だぜ!」
クワーク:「弟のロムが、レプリケーターを直してくれたんでねえ。」
うなずくオドー。「ほう…そいつはよかったな。」

人気のないプロムナード。2階にジェイクがいた。
シスコが近づく。「ジェイク! まだ家に帰ってなかったのか。」
ジェイク:「ごめん、ノーグと遊んでたの。父さん、この隔離体制すぐ解除になるんでしょ?」 一緒に階段を下りる。
「ああ、予防的な処置だからな。」
ジャヒール:「もしそうならいいんだがね、司令官。」 近づく。
ジェイクに言うシスコ。「真っ直ぐ帰れよ。夕食には帰る。ジャヒール艦長。船から出てこられては困ります。」
ジャヒール:「待機命令が出ていることは承知している。」
「ならなぜここに。」
「司令官、ステーションから飛び立つ許可を頂きたい。」
「却下します。」
「私の部下はまだ誰もウイルスに感染していない。それにすぐに出発せねば、積み荷のターメン・サーシアがダメになるんだ。」
「艦長! ご自分の船にお戻り下さい、すぐに。」
「お願いだ。私はあんな病気になりたくないのだ。」
「申し訳ないが、この病気の治療法が見つかるまでは、出発は許可できない。」
歩いていくジャヒール。

クワークがワゴンを手押ししながら、廊下を歩いてきた。
周りの様子をうかがい、装置を押す。
するとドアが開き、誰もいない部屋に入る。
レプリケーターに近づくクワーク。「コンピューター。そうだなあ、手始めにフェレンギ・スターダスター※17を頼む。うんと強いやつをな?」
レプリケーターからグラスを手にするクワーク。
その時、後ろでワゴンが変形していく。
気づかないクワーク。「完璧だ。」
ワゴンに置こうとしたところで、クワークはオドーを見た。「…ワゴンの調子がおかしいもんでね。」
オドー:「許可なくしてクルークォーターに立ち入るのは違法行為だぞ、クワーク。レプリケーターを使いたいなら申請すればいいだろ。」
「『頼まずに済むものなら神までだませ』ってことわざもある、ヘヘ…。ああ、何でわかったんだ?」
「ロムがレプリケーターを直したって言っただろ。」
「ああ。」
「ロムに直せるものか。曲がったストローも伸ばせないような奴だぞ?」
「その通り! ロムはトロい野郎だ。明日こそ首にしてやるぞう?」 部屋から出されるクワーク。

司令室のベシア。「患者の血液中のウイルスレベルから言って、感染経路は経口だと思います。」
シスコ:「食べ物からってことか…」
キラ:「そんなことはありえないわ? 食べ物は全てレプリケーターによって供給されているのよ? バイオフィルターでウイルスなどの汚染物質は除去されているはずだわ?」
ベシア:「少佐、ステーション中のレプリケーターを調査してみたんですが…全てコマンドレベルで汚染されています。」
シスコ:「しかしみんな同じ物を食べているのに、なぜ症状が出ないんだ。」
「このウイルスは変幻自在でしてねえ、潜伏期間も人によってかなり異なるようなんです。」
キラ:「…勤務日誌によればオブライエンは、発病する直前にコマンドレベルのレプリケーターを修理しているんです。」
シスコ:「テクニカルクルーにそのレプリケーターを調べさせろ。レプリケーターは全て使用禁止だ。感染が広がるのを防げるかもしれない。」
ベシア:「それはもう無理だと思いますね。既にステーション中から患者が出ていますから。」
「ステーション中から?」
やってきたオドー。「クワークのせいですよ。あいつはクルークォーターのレプリケーターを勝手に使い、店の料理は全部そこで出してたらしい。」
ベシア:「待てよ、これほど短期間に…そこまで広い範囲に散らばってるとしたら、もしかすると…。」 トリコーダーを使う。
シスコ:「何だね、ドクター?」
「空気を分析させたんです。」
コンピューターに映っているのは、ウイルスの姿だった。
シスコ:「あのウイルスか。」
ベシア:「空気伝染する変種が出現してます。」
オドー:「ということは?」
「ステーション全体が、汚染されてるってことです。」


※11: neural imaging scan

※12: Jabara
(アン・ギレスピー Ann Gillespie) 初登場。名前は言及されていません。声:叶木翔子、VOY 2代目セスカなど

※13: aphasia

※14: 「24時間」と誤訳 (意訳?)

※15: 言語障害の犠牲者
(Kathleen Wirt)

※16: 言語障害の犠牲者
(Lee Brooks) 声はエイソス役の大川さんが兼任

※17: starduster
エンサイクロペディアでは「スタードリフター (stardrifter)」となっています

『ステーション日誌、宇宙暦 46423.7。ディープ・スペース・ナインにいる人間の 6割が、ウイルス※18による言語障害を発病。我々は標準隔離体制を発動。追って通知するまで、外部から当ステーションへの宇宙船からの接触を禁止した。』
アクセストンネル。
トリコーダーで調べるキラは、あの装置に手を延ばした。

装置を見るキラ。「レプリケーターの、パターンジェネレーターに取り付けてありました。」
シスコ:「オブライエンは修理中、こいつを作動させてしまったんだな。」
「ベシアによれば、その装置は変則プログラミングシーケンスを出現サブルーチンに導入するんだそうです。つまりわかりやすく言うと、ウイルスを分子レベルでレプリケーターの食べ物の中に直接入れるわけ。」
「明らかに破壊活動だな。」
「カーデシアの破壊活動です。」
「なぜそう言い切れる。」
「動力にダイボリディアムコア※19を使ってます。これはカーデシアのテクノロジーだわ?」
通信が入る。『ベシアより司令官へ。』
シスコ:「こちらシスコ。」
ベシア:『司令官。至急診療室までいらしていただけないでしょうか。』
「よし、すぐ行く。」 司令官室を出るシスコ。

シスコは診療室に入った。「どうしたんだ、ドクター。」 ベシアが示す方を見る。「ジェイク!」
苦しそうなジェイク。「左側、もっと良くなる。コントロール、希望が全て…。」
抱きしめるシスコ。
ベシア:「使っていないクルークォーターを病棟に改造しましたので、ジェイクはそちらに。」
シスコ:「私が連れて行こう。」 ジェイクに言う。「大丈夫だ、きっと良くなる。」
「ああ、司令官。お見せしたいものを発見しましたので、後でまた。」

部屋に並べられたベッドに、患者がたくさんいる。エアロックに閉じこめられていた異星人もだ。
話しているジャバラ。「必ず治りますからね? ゆっくりお休みなさい。気持ちはわかるけど、慌てても仕方ないでしょう?」
クワーク:「ああ、おい! 酒代、金だ。俺のもんだ、よこせ!」
患者:「ああ…」
シスコが入る。「やあ、クワーク。さすがのお前もこの病気には勝てなかったか?」
クワーク:「フェレンギ人の免疫力を甘く見ないでもらいたいねえ。俺はただ見舞いに来ただけなんだ。仮病を使ってツケを踏み倒そうとする奴がいねえかどうか調べにねえ。」
「普通そこまでひねくれるか?」
「ヘ…おい、金だ、わかるな、俺に、返せー! フン!」
ジェイクを出迎えるジャバラ。
まだクワークの声が聞こえる。「俺の金だ。すぐよこせ!」
ダックスやオブライエンもベッドの上にいる。
シスコ:「できる限りのことはやってる。」 言葉は通じていない。
ジェイクに言うシスコ。「すぐに戻ってくるからな。」

説明するベシア。「これは人工的なウイルスです。自然のものにしては、ヌクレオチドの連鎖が完璧すぎます。」 コンピューターに DNA構造が表示されている。
シスコ:「じゃカーデシアが遺伝子工学で作り出したものか。」
「いえ、それがカーデシアの遺伝子工学の特徴として、独特の単一細胞からなる結合を DNA に作ります。このウイルスにはそれがありません。」
「じゃ誰が作ったんだ。」
「そこで連邦に問い合わせ、登録されている DNA の全製造技術を照会しました。決め手は、タンパク質の連鎖です。この連鎖は…」
「ドクター! 早く結論を言ってくれ!」
「作ったのはベイジョー人です。カーデシアの占領時、このウイルスで破壊活動を企んだんでしょう。」
モニターを見るシスコ。

装置を手にしているキラ。「パワーコアのエネルギーの減少の度合いから推測すると、ステーション建設時だわ?」
オドー:「つまり、18年前※20ですね? 恐らく工事のどさくさに紛れ込んで装置を仕掛けたんでしょう。その頃は、私は保安担当じゃなかった。」
シスコ:「しかしせっかく装置を取り付けておきながら、なぜ作動させなかったのかな。」
「忘れたんでしょう。」
キラ:「いいえ? 恐らく作動させる前に殺されたか、捕虜になったのよ。」
シスコ:「このウイルスの作り手を見つけねば。君が頼りだよ。」
「ああ…でももう 18年も経ってるんですよ?」
オドー:「それにウイルスを作った人間が我々を助けてくれるとは限らない。」
シスコ:「治療薬の処方さえわかればいいんだ。」
「治療薬を作ってなかったらどうします?」

司令室。
キラ:「きっと地下活動に参加してた遺伝子工学に詳しい人よ。」
通信相手のベイジョー人。『18年前ねえ? もしかしたらディーコン・エリグ※21かもしれないわ?』
キラ:「その人どこにいるの?」
『カーデシアの収容所に入れられていたらしいけど。』
「どこの収容所なの?」
『ヴェロス7 捕虜収容キャンプ※22よ? …でもそれも 9年前の話。』
「…今どこにいるか全然わからないの? お願いよ、ガリス※23。大事なことなの。」
ガリス:『ごめんなさい、キラ。でも昔のことだからこれ以上は。』
ため息をつくキラ。

ジェイクが慌てて駆け寄る。
ジャバラ:「どうしたの、ジェイク?」
ジェイク:「…光が回ってる。…光が回ってる!」
「何?」
ダックスがベッドの横に立っている。「夢の中から、炎が上がってる。」
ジャバラの手を、オブライエンの額に置かせた。
トリコーダーでも調べるジャバラ。「ものすごい高熱だわ?」
ジェイク:「道を開けないと。道を開けて!」
連絡するジャバラ。「ドクター、至急こちらにいらして下さい。」


※18: 言語障害のウイルス aphasia virus

※19: diboridium core

※20: テロック・ノール (DS9第25話 "Cardassians" 「戦慄のカーデシア星人」で初言及) が建造されたのは 2351年ということになりますが、DS9第141話 "Wrongs Darker than Death or Night" 「憎悪を超えて」で 2346年に修正されます

※21: Dekon Elig

※22: Velos VII Internment Camp

※23: Galis Blin
(ジェラルディン・ファレル Geraldine Farrell) 名の Blin は言及されていません

昏睡状態のオブライエンに、ハイポスプレーが打たれる。
シスコ:「オブライエンはどうだ。」
ベシア:「あまり良くありませんねえ。ウイルスが、自律神経まで冒しているんです。」
「食い止められないのか。」
「神経を刺激しても反応がないんです。第二次感染を防ぐために、30cc コロファイジン※24を投与しましたが、熱が全然下がりそうもないんです。」
「助かる見込みは。」
「……ウイルスを叩く方法が、見つからない限り…もって後 12時間でしょう。」
「何も打つ手はないのか。」
「ありません。塩基対を揺さぶったり、連鎖を切断してみたりしたんですが、何をやっても効き目がないんです。司令官、ほかにも 7人の患者が、オブライエンと同じ症状を示し始めています。これからどんどん増えてくるでしょう。」
「とにかくがんばってくれ。早くキラ少佐が、このウイルスを作った人間を突き止めてくれるといいんだが。」
「私もその人間に会ってみたいです。天才にしかこのウイルスは作れない。」
「わかった、そう取り計らおう。」

司令室のコンピューター。『ベイジョー公文書記録ファイルにリンク完了。』
キラ:「ヴェロス7 捕虜収容キャンプのファイルを検索。」
『完了。』
「ディーコン・エリグという囚人の記録はあるかしら。」
『存在します。』
「彼の経歴を。」
『ディーコン・エリグ。遺伝子工学者。ベイジョー地下運動のハイガ・メター※25・セクターの元メンバー。脱走を図り殺害されています。宇宙暦 39355。死亡証明書もファイルに存在します。』
シスコが戻ってきた。「仕事ははかどってないようだね。」
キラ:「幽霊と追いかけっこ。」
「12時間以内に捕まえてくれ。」
「捕まらなかったら?」
「患者が死に始める。」 司令官室に入るシスコ。
「コンピューター。…ディーコン・エリグの死亡証明書を見せて。」 ディーコン※26の姿が映し出される。「証人として署名してるのは誰?」
コンピューター:『証人の署名はサーマク・レン※27によってなされています。ベイジョーの医療助手です。』
「サーマク・レンの経歴データを出してみてちょうだい。」
写真が映る。『ドクター・サーマク・レン。ベイジョー地下運動のハイガ・メター・セクターの元メンバー。宇宙暦 46302、捕虜収容キャンプの閉鎖に伴いベイジョーへ送還されています。現在の状況、不明。』

独りで店にいるクワーク。「ダボ!」
オドーがやってきた。「調子はどうだ。」
クワーク:「今日は何時間やっても勝てねえ。…ああ、あんたも少し賭けてみねえか? …評判に傷がつくなんて思ってんのか? 誰にも言わねえって!」
「賭けないのは評判を気にしてるからじゃない。…実は知らないんだよ。…どうやって遊ぶのか。」
「いつもここにいるくせして、ギャンブルのやり方知らねえのか?」
「実はそうなんだ。」
「へえ、それでいつもつまんなそうなんだな? …遊び方なんて簡単なもんさ。よければ俺が教えてやってもいいぜ? まず…」
「また次の機会に頼むよ。司令官からお呼びなんだ。保安チームのクルー全員、例の言語障害にやられてしまったんでね。私が行けばプロムナードの警備がいなくなる。」
「ご愁傷様。」
「いいか、下手な真似をするなよ、クワーク? 万が一何か物がなくなったりしたら、即お前の仕業だということにするからな? よーくわかったか?」
「わかったよ。」
「うーん。」 店を出て行くオドー。
「…ダボ!」

診療室のベシア。「コンピューター、サンプル 3-7 デルタを分析し、ウイルスへの抑制効果を報告せよ。」
コンピューター:『分析中。…分析完了。サンプル 3-7 デルタ効果なし。ウイルスのタンパク質床には影響なし。ヌクレオチド連鎖も全く変化なし。』
「…コンピューター、夜を…繰り返せ。」
『理解できません、もう一度どうぞ。』
「……朝がやってくるまで、何度も夜を繰り返すんだ!」
『理解できません、もう一度どうぞ。』
コンピューターにも意味不明な文章が並んでいる。

司令室のキラ。「…コンピューター、ベイジョー医療インデックスにリンクしてちょうだい。範囲はそうねえ…北西地域に限定。」
コンピューター:『リンク完了です。』
「ドクター・サーマク・レンの全情報にアクセスして。」
『その名前の該当者が見つかりません。』
「じゃあ北東地域で同じ検索を。」
『ドクター・サーマク・レン。現在はイルヴィアン総合医療センター※28にて主任経営者の地位にあります。』
「コンピューター、イルヴィアン総合医療センターにチャンネルオープン。主任経営者のオフィスよ?」
サーマクが映し出される。『ドクター・サーマク・レン※29です。で、あなたは?』
キラ:「キラ・ネリス少佐よ? 現在ディープ・スペース・ナインに勤務しています。」
『ああ、カーデシアの古い宇宙ステーションですね? 何か御用で?』
「あなた次第ね?」
『といいますと?』
「18年前にあなたはディーコン・エリグに協力してここに言語障害のウイルスを仕掛けた。」
『何のことだかわかりませんねえ。』 サーマクは通信を切った。
デスクを叩くキラ。

司令室にいるオドー。「私は警備にかけては自信がありますがステーションの操縦を手伝うとなると荷が重いですねえ。」
シスコ:「君の言うことももっともだ。しかしもうほかに人手がないんだよ。」
キラ:「司令官!」 近づく。「司令官…作り手を見つけ出しました。」
「治療薬はあるのか。」
「わかりません。ウイルスのことをもちだした途端に通話を切られました…」
「少佐、一体どこへ行くつもりなんだ。」
「ドクター・サーマク・レンと直接話をつけに行ってきます。」
「少佐、ステーションから出るのはよせ。ベイジョー星にウイルスをもちこむわけには…」
「そんなことぐらい百も承知してますよ、司令官! 絶対星に降りたりしませんから、行かせて下さい。」
「だが…」
オドー:「許可を願います、司令官。…最期の手段です。」
シスコはキラを通した。
オドー:「少佐が戻ってくるまでもちこたえられればいいんですが。」

出発するランナバウト。

また新たな患者が反重力ユニットで部屋に運ばれてきた。ボリアンも来ている。
シスコ:「ジェイク。具合はどうだ。」 抱き合う。「顔を見て安心した。今はまだ治療法は見つからないが、安心していい。必ず助かるから。お前を絶対に死なせたりはしない。わかるかい? お前を絶対に死なせたりはしない。」
ジェイクの頭にキスするシスコ。

コンピューターを見ているオドー。「これを見て下さい! 第5ドックポートに動きがあります。船が発進しようとしてるらしい!」
シスコ:「第5ドックポート? ジャヒールの船だ。彼を呼び出せ!」
コンソールにつくオドー。
ジャヒールがスクリーンに映し出される。
シスコ:「艦長。君の船の発進は認められない。私は係留クランプ※30のロックを外すつもりはないぞ。」
ジャヒール:『つもりはなくても外してもらおうか。今後部スラスターを 1.5 にしたところだ。』
ジャヒールの船※31が、DS9 を無理に離れようとしている。
シスコ:「艦長! 直ちにエンジンを切れ! 船が壊れるぞ。」
オドー:「パワーは減少していません!」
「ジャヒール! エンジンを切れ、これは命令だ!」
ジャヒール:『あんたの命令なんぞ聞く義理はない! 私の部下は全員発病して隔離された。私だけでも無事なうちにこっから脱出するんだ!』
「君が不安になるのはわかる。しかしここにいた方が安全だぞ。もし宇宙に出てから発病したらどうするんだ!」
『心配はいらんよ、私は健康だ。あんな病気にそうそうかかったりはせん。あくまでも出さない気なら…』
通信を切るシスコ。「仕方ない、クランプを外そう。ステーションから離れるのを待って、トラクタービームで捕らえればいい。」 コンソールにつく。「しまった。」
オドー:「どうしたんです。」
「係留クランプに力がかかりすぎていて、外れそうもない。」
船が揺れ、叫ぶジャヒール。
オドー:「後部遮断プレートが壊れました。」
シスコ:「メイン・パワーコアが破裂したんだ。内部燃料棒が壊れたら、船は爆発するぞ!」
「そうなればドッキングリングももっていかれる。」


※24: corophizine

※25: Higa Metar

※26: 映像効果製作ダン・カリーの写真が使われており、ベイジョー人の鼻はデジタル処理されています。後に DS9第28話 "Necessary Evil" 「殺しの密告者」ではチェッソーの顔として使い回し

※27: Surmak Ren
スタッフも気に入っていたというアニメ「レンとスティンピー (Ren & Stimpy)」にちなんで。他のディスプレイなどの表示にも、その作品にちなんだ内輪向けジョークがあるそうです

※28: Ilvian Medical Complex
都市イルヴィア (Ilvia) は後に言及。DS9第108話 "Rapture" 「預言者シスコ」など

※29: Surmak Ren
(マシュー・フェイソン Matthew Faison) 声:村松康夫、DS9 ゲモールなど

※30: mooring clamps

※31: 後に VOY でニーリックスの船 (バクシアル) として使い回し (VOY第45話 "The Chute" 「地獄星からの脱出」)

ランナバウトは惑星ベイジョーに近づく。
キラ:「コンピューター、イルヴィアン総合医療センターの主任経営者のオフィスの通話を分離して。」
コンピューター:『通話分離完了。』
「生命体の有無を検索して。」
『1個の生命体を確認。』
「ロックオンして転送の準備をしてちょうだい。」
サーマクが映し出される。『またあなたか。』
キラ:「こんにちは、ドクター? いらっしゃるかどうか確かめただけ。」
『あなたに話すことは…』
その時、キラはボタンを押した。
転送されるサーマク。ランナバウト内に実体化する。
キラ:「あーらこんにちは、ドクター?」
サーマク:「何てことをするんだ! 直ちに、オフィスに送り返していただこうか!」
「そうガナらないで。すぐに返してあげるわよ?」
ベイジョーを離れるランナバウト。

命じるシスコ。「ジャヒールとのビジュアルコンタクトを復活させろ。」
映像は乱れている。
オドー:「ダメです。ラインが遮断されてます。」
シスコ:「サブグリッドを通して、バイパスを作れないか。外部ピックアップに切り替えるんだ。」
「OK です。」
映像は出たが、船内は炎に包まれている。
オドー:「どうやら消火システムが作動していないようです。」
シスコ:「燃料棒は後 15分もしたら崩壊するぞ。」 突然座り込む。
「お疲れのようですが大丈夫ですか?」
「きっとウイルスのせいだろう。こちらシスコ。まだ発病しておらず私の言うことがわかる者は、全員司令室に来てくれ。ジャヒールの船をドックから切り離そう。」
「クランプを爆破したらどうでしょうか。勢いで船がドッキングリングから離れるかも。」
「それは現場へ行って、手作業でやるしかない。」 シスコは立ち上がろうとするが、無理だ。
「私がやります!」
「ありがとう。星を横切ればいい。…心臓が止まる前に。」
「何ですって?」
「夢が…叶うんだ。本当の、夢が。」
「ああ…司令官。」
ため息をつくシスコ。

ランナバウト。
サーマク:「少佐、これは誘拐ですよ? すぐに帰して下さい。でないと一生、クラン・トボル刑務所※32で暮らす羽目になる。」
キラ:「結構よ? でも今だけ助けてちょうだい。言語障害のウイルスがステーション中に広まってるの。」
「しかしなぜ私を。」
「ウイルスを作るのを手伝ったんでしょう?」
「いやあ、私は何も手を貸してない。…あれはディーコン・エリグが作ったんだ。私は助手をしていただけだ。…もう一昔前のことですよ。地下活動をしていたのも半年だけですぐ捕まった。…私には何の責任もありません。」
「責任があるなんて言ってないでしょう!? 私はただ治療薬が欲しいだけよ!」
「そんなもの私は知りません! ディーコン・エリグからは何も聞いていない!」
「いいこと、ドクター? 大勢の人の命が懸かってるのよ? あなたは、一度このウイルスに関わりながら、みんなを見捨てる気?」
「同情はしますよ、少佐? しかし私には何もできない!」
「あらそう? …自分の身に危険が迫っても?」
「どういう意味です。」
「実はねえ? 私はウイルスに感染してるのよ、ドクター。つまりあなたも感染したってわけ。」

通信するオドー。「誰か聞いてるか? こちらオドーだ。司令官が発病した、誰でもいいから手を貸してくれ!」
クワーク:「その声の様子じゃ随分パニクってるみたいだなあ。」 いつのまにか司令室に来ていた。
「クワーク。まさかお前がボランティアを買って出てくれるとはな。」
「ほう、誰がボランティアなんかするなんて言ったよ。ま謝礼の額は後で決めよう。さーてと? 俺は何をすりゃあいいんだ、オドー?」
「第5ドックポートに行かなきゃならない。あと 5分でジャヒールの船が爆発するんだ。」
「転送してやろう。」
「お前が?」
「任せとけって。こう見えたって 8年間フェレンギの輸送船※33に乗ってたんだ。」
「…頼む。」 転送台に立つオドー。
「艦長がビーム転送をやるのは何百回も見たよ?」
「見た? じゃお前実際にやったことはないのか!」
操作するクワーク。「行ってらっしゃーい!」
転送されるオドーに、クワークは笑いながら手を振った。満足げにため息をつく。

煙があふれる廊下を歩くオドー。

帰還するランナバウト。
キラ:「キラ少佐、第7着陸パッドへ接近中。司令室へドッキング手続きの開始を要請。」
クワーク:『よくぞお帰りで。こちらは人手が足りなくてね?』
「クワーク! 司令室で何してるの?」

倒れたシスコのそばで笑うクワーク。

発着パッドで収容されるランナバウト。

診療室に入るサーマク。「ここのドクターが行った、ウイルスの分析結果を見せて下さい。…治療薬を作るために、いろいろチャレンジしていたようですねえ?」 コンピューターを見る。
キラ:「ドクター・サーマク。ああ…私は司令室に。ご用があったらそこの星をインパクトして…瞳に赤い緊張を。」
「あなたも、発病してしまったようだ。」
座るキラ。

廊下を進むオドー。
船が燃えているところに来た。
エアロックで倒れていたジャヒール。「犬、仲間、距離…。」
運び出すオドー。「話は後で聞いてやる。」
クワーク:『オドー、急がないとヤバいぞ。』

状況を見るクワーク。「…その船は後 1分で爆発だ。」

ジャヒールを外に出すオドー。「ああ…。」

作業を続けるサーマク。「ウイルスのタンパク質床。ヌクレオチド連鎖。よーし、これだぞ。適応シナプス抑制体だ。さすがディーコン・エリグ、大したものだ。治療薬が見つかったようです、キラ少佐。」 コンピューターのウイルス表示が消滅した。
汗を拭くキラ。

エアロックを閉じるオドー。
クワーク:『あと 40秒※34。』
パネルを開け、機械を作動させる。

伝えるクワーク。「あと 30秒だ、急げ!」

急ぐオドー。「わかってる、そう急かすな!」 反対側のパネルでも同じ作業をする。

クワークは続ける。「あと 20秒だぞー!」

内側のドアも閉めるオドー。
クワーク:『あと 10秒!』
ボタンを押した。

クワークは顔に手を当て、叫んだ。
ジャヒールの船は吹き飛ばされ、DS9 から離れていく。
爆発を起こした。

揺れるステーション。

クワークもふらつく。

揺れは収まった。

シスコの様子を見るクワーク。

通信が入る。『オドー。クワークよりオドーへ。』

コンソールの前に立っているクワーク。「…まだ生きてるか?」

座り込んでいるオドー。「おい、そんなにガッカリした声を出すなよ!」

クワークは言った。「さーて、今回の謝礼はいくらもらおうかなーっと。」

立ち上がるオドー。「あの野郎!」 ジャヒールに近づく。「行くぞ、さあ立て!」

『ステーション日誌、宇宙暦 46425.8。ベシアの調査結果を基に、ドクター・サーマク・レンが言語障害ウイルスの治療薬を発見。現在ステーション中の患者に投与しており、容態は正常に戻りつつある。』
司令室。
シスコ:「全て元通りだな。」
オブライエン:「そうですね。」
レプリケーターに注文するシスコ。「ブラックコーヒー※35を頼む。」
様子を見るオブライエン。
カップを口にするシスコ。「あっ! オブライエン!」
オブライエンはキラを見た。表情を硬くする。


※32: Kran-Tobal Prison
DS9第4話 "A Man Alone" 「宇宙ステーション殺人事件」より

※33: freighter を「戦闘機 (fighter)」と誤訳

※34: 吹き替えでは「50秒」

※35: 吹き替えでは「ボラッカフィ (?)」と聞こえますが…

・感想
ある意味滑稽な言語障害ウィルスの話。「単純なためらいなんだ!」は名台詞ですね。珍しく日本語吹き替えの逸話が残っており、声優さんもトチりを連発したエピソードだそうです。そのせいもあってか、言語障害の部分は日本語独自の訳になっているセリフも多々あります (ダックスの「夢の中から炎が上がってる」など)。上記エピソードガイドでは吹き替えのままにしていますが、原語ではもっと意味不明ですね。
見所としては、やはりオドーとクワークの連携プレーでしょう。初めて司令室に入ったクワークがいい味を出しています。私も好きなコンビですが、5話目にして早くも確立された感がありますね。


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