彗星を追うデルタ・フライヤー。
後部区画にいるドクターの前に容器がおいてあり、その中に彗星の一部が転送された。軽く揺れるシャトル。
ドクター:「キム少尉、静かに飛んでくれないか。とてもデリケートな物質なんだ。」
操縦席のキム。「すまない、ドクター。これでも精一杯がんばってる。」
『やっぱり操縦士は、もっと経験豊かなパリスに頼むべきだったかな?』
キムはつぶやいた。「なら自分でやってみりゃいいだろ。」
横の席にはセブンが座っている。
ドクター:『セブン、ちょっと来てくれないか。』
セブン:「すぐに行く。」
キム:「まだ、あと 3日もドクターと彗星を追っかけるのか。」
「彼の音声プロセッサーを止めれば、時はすぐに過ぎる。」
笑うキム。
ドクターは小さくした物質を調べている。セブンがやってきた。
ドクター:「君なら興味をもつと思ってね。」
顕微鏡に物質を置くドクター。モニターに拡大される。
セブン:「前生物バイオ物質か。」
ドクター:「もっとよく見てくれ。」
ため息をつくセブン。「細胞基質に包まれた、未発達の核といえばいいか?」
「その核の中に、深く潜むのは、原子的な構造の DNA だ。生命の誕生だよ、セブン。」
「それがどうした。」
「私には単なる細胞には見えない。文学や芸術の可能性が見えてくる。帝国の芽生えだ。」
「恐らくそれは、視覚サブルーチンの障害だ。」
「いつの日にか、この細胞基質が、どこか遥か彼方の原始の海に落ち、その世界で進化の過程が開始されるかもしれないんだぞ? そして数億年後、君たちのような生物が、この世に現れ、星を見上げて問いかけるんだ。私は誰だ、どこから来たんだろうか。これが創造の奇跡だよ、セブン。わくわくしてこないか。」
大きく揺れる。
ドクター:「キム少尉、揺らすなと言ったろ。」
キム:「攻撃を受けてる!」
異星人艦が、フライヤーを攻撃していた。
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