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ヴォイジャー 特別エピソードガイド
第69話「生命体8472」(後)
Scorpion, Part II

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・イントロダクション
※1※2ヴォイジャーをトラクタービームで連れたまま、ワープスピードで飛び去るボーグ・キューブ。
トレスに尋ねるチャコティ。「状況は?」
「ボーグのシールドが外れました。艦長にロックします。」
「早く引き戻してキューブから離れよう。全艦、攻撃用意。」
「転送できません。ボーグがビームを散らしてます。」
「補正しろ。」
揺れるヴォイジャー。「だめです。」
トゥヴォックが報告する。「呼びかけてきました。」
チャコティ:「スクリーン、オン。」 スクリーンにジェインウェイの顔が映し出された。チャコティに命じる。
『副長、転送ビームを切って。』
「艦長?」
『切って。』
合図するチャコティ。
ジェインウェイ:『ボーグとの合意に達したの。生命体8472 に対抗する武器の開発を手伝うわ。その代わりにボーグの領域を通してもらえることになったの。』
パリス:「キューブが針路を変えて、アルファ宇宙域に向かっています。」 ジェインウェイは続ける。
『合意の上よ。進みながら武器を開発するの。ボーグ・スペースから出たら、ナノプローブを渡す。お互いに切り札を最後まで、取っておくことにしたの。』
チャコティ:「ボーグとの協力体制は、どういう形になるんですか。」
『私がキューブの中で働くわ。ボーグのテクノロジーを利用すれば、開発が早く進むだろうし。」
「艦長がそっちに残らなくても、通信リンクを設ければ。」
『そういう条件よ。私は残る。』
「わかりました。そういうことなら。トラクタービームは解除させられませんか。綱をつけなくても逃げやしませんよ。」
『頼んでみるわ。トゥヴォックはこっちに来てちょうだい。』
「わかりました」と答えるトゥヴォック。
ジェインウェイは『やり遂げましょう、副長。以上』といい、通信を終えた。無言のトレス。パリスと顔を見合わせるチャコティ。トゥヴォックに命じる。「早く行け。」
トゥヴォックはターボリフトに乗った。
※1: ヴォイジャー第4シーズン・プレミアエピソード。ここから西暦 2374年になります

※2: このエピソードは初回視聴率 6.5%で、7.5%だった 第17話 "The 37's" 「ミッシング1937」以来では最も視聴率の高かった話です (ヴォイジャーの最高視聴率はパイロット版 "Caretaker, Part I and II" 「遥かなる地球へ(前)(後)」の13.0%)。この記録は現在 (第6シーズン半ば) まで破られていません


・本編
※3大量の小さな機械がうごめいている。ドクターが説明する。「ナノプローブの複製を 1,000万ほど作りました。全て私の設計通りに再プログラムしてあって、エイリアン細胞への攻撃が可能です。」
スコープを覗いていたチャコティが尋ねる。「同化させるのか?」
「ほんの一瞬ね。数秒後にボーグのテクノロジーはエイリアン細胞を道連れにして消滅します。」
ケスがトリコーダーでキムを調べている。ドクターはハイポスプレーを手に取った。「キム少尉、これから首に注射を打つよ。チクッとするけれど、驚かないで。」
注射されるとすぐに、キムの顔を覆っていたつる状の部分が消え始めた。目を開くキム。満足げにチャコティの顔を見るドクター。
「お久しぶり、少尉。」
「成功ね」というケスに、「もう 1本注射の用意を頼む」という。「はいドクター。」
チャコティ:「よくやった。回復したら知らせてくれ。」 出ていこうとするチャコティを呼び止めるドクター。
「副長、この同盟について私は疑問をもっているんです。ナノプローブで敵を倒せるといってボーグを説得したようですが、医療と戦争とは全くかけ離れたものですから。」
「それは艦長に任せよう。予測のつかない状況だ、非常体制を維持するぞ。ナノプローブに関する情報は、全てホロマトリックスに入れてくれ。」
「何かあればすぐ自分を削除します。いや、少しは粘ろうかな。」
笑うドクターを無視して、チャコティは医療室を出て行った。

戻って来たチャコティにトレスが報告する。「今メッセージを受け取りました。トゥヴォックがキューブで艦長と合流したそうです。」
「2人に転送ロックをかけておけ。」
「やってみますが、ボーグはシールドを復活させています。」
「シールドの周波に合わせてみろ。」
「無理です、すぐに変えられてしまいますから。」
「無理だなんていう返事はするな! いつでも 2人を引き戻せるようにしとけ。」
「…はい。」
船が揺れた。報告するパリス。「トラクタービームです。」
チャコティ:「スピードと針路を合わせろ。」
「信じられないことですが、ボーグが協力してるようです。」

医療室でケスがモニターの前で作業をしている。暗くなった部分にケスの顔が映り込んでいる。突然、不気味な声と共に背後に生命体8472 の姿が映った。驚き、後ろを振り返るケス。誰もいない。
だが別の方向から再び声がしたかと思うと、再びエイリアンがケスに襲いかかって来た。恐怖に怯え、隅で小さくなるケス。ドクターが声をかける。「ケス! ケス! ケス! どうした!」
ケスは震えながら言った。「見られてる。」

ボーグに先導され、キューブ内を進むトゥヴォックとジェインウェイ。「どこへ連れて行かれるんでしょうか?」と尋ねるトゥヴォック。
「サブジャンクション12のグリッド92。私たちの作業場よ。キューブの中心部にあるの。」
「これがトリコーダーによるバイオシップのデータです。非常に興味深い結果が出ました」と手渡すトゥヴォック。
「ドクターが分析したエイリアン組織と比較してみた?」
「はい、細胞構造の多くが一致しています。」
「エイリアンとバイオシップは、同じ有機質でできてるのね。」
「そのようです。」
2人はボーグに押され、ある区画に入った。ボーグの声が響く。『サブジャンクション12、グリッド92に到着した。始めろ。』
説明を始めるジェインウェイ。「いいわよ。エイリアンの船を分析してみたの。バイオシップは有機質からできていて、改造ナノプローブに弱いということがわかったわ。これを大規模に発射するシステムを作ったらどうかしら。敵の船を細胞レベルで破壊するため…」 急にボーグが 2人を突き倒した。
『開始する。』
「何のつもりだ」というトゥヴォック。
『最大のコミュニケーションには、ニューロトランシーバーが必要だ。我々の意識と合体しろ。』
2人の首元にトランシーバーが付けられる。ジェインウェイ:「嫌よ。それじゃ約束が違うわ。」
『一時的な神経リンクだ。体に害は及ばない。』
「関係ないわ。コミュニケーションは言葉だけで十分よ。」
『お前たちの伝達法は非能率的だ。』
トゥヴォック:「そんなことはない。我々は独立していた方がうまく動ける。そのことはもう証明したはずだ。」
『関係ない。我々に従え。」
ジェインウェイ:「従うわけにはいかないわ。トランシーバーを外すように言ってちょうだい。」 奥のボーグが作業を始めた。ジェインウェイは提案を思いついた。
「それじゃ、代表者を選んでくれない? 一人のボーグと直接話して作業をするわ。」
『どういうことだ。』
「前にもやったでしょ。ジャン・リュック・ピカードをロキュータスにした時よ。同化されるわけにはいかないわ。代表を出してくれないなら取り引きはやめよ。」
しばらくの間の後、奥のボーグは作業を止め、2人はトランシーバーを外された。
扉が開く音がし、そこにボーグがいた。身体をつないでいるケーブルが自動的に外れていく。隔壁から向かって来た、その女性ボーグは言った。「私がボーグを代表する。」

※3: 本編開始直後の "Also Starring" に注目。このエピソードではケス役のジェニファー・リーンはゲスト扱いです。ということは当然、オープニングには新しいレギュラーの名前が……

話しかけるジェインウェイ。「私はジェインウェイ艦長。彼はトゥヴォックよ。」
「お前たちの名称は知っている。」
「じゃ、あなたの…名称は?」
Seven of Nine, Tertiary Adjunct of Unimatrix Zero One. But you may call me... Seven of Nine.

ユニマトリックス・ゼロ・ワンの第3付属員、セブン・オブ・ナイン※4。セブン・オブ・ナインと呼べ。
巨大な武器を作るというのだな? 我々は同意する。」
「そういうと思ったわ。」
説明するトゥヴォック。「君たちのナノプローブを私たちの光子魚雷に装填する。つまり、生体分子弾頭※5というわけだ。」
「光子魚雷は無力だ。射程距離も分散範囲も劣っている。」
ジェインウェイは尋ねる。
"Do you have a better idea?"

「もっといい方法がある?」

"We are Borg."

「我々はボーグだ」
といい、歩き出すセブン・オブ・ナイン。
「あるということですね」というトゥヴォック。2人も後を追った。

セブン・オブ・ナインはコンソールを操作している。画面を説明する。「マルチキネティックの中性子魚雷※6だ。核出力は 500万アイソトン※7。」
トゥヴォック:「そんな大爆発を起こすと、星系全体に影響が出る。」
セブン・オブ・ナイン:「その通り。半径 5光年の範囲にナノプローブを拡散することができる。」
ジェインウェイ:「もっと小さな武器を考えていたんだけど。あなたの言うのは大量破壊の武器だわ。」
セブン・オブ・ナイン:「そうだ。」
ジェインウェイ:「賛成できないわ。罪のない世界に危険が及ぶ。」
セブン・オブ・ナイン:「より効率的だ。」
トゥヴォック:「この弾頭には約50兆のナノプローブが必要になってくる。複製作業だけでも数週間はかかるぞ。戦況は思わしくないはずだ。時間をかけている余裕はあるのか?」 その場を離れるセブン・オブ・ナイン。
ジェインウェイ:「今のところエイリアンは自分たちを無敵だと思っている。とりあえず光子魚雷を利用して、小さな武器を作ってバイオシップをいくつか破壊したらどう? 敵がひるんで、戦いをやめるかもしれないわ。」
セブン・オブ・ナイン:「お前たちは個人だ。小さなスケールでしか物事を考えられない。」 だがしばらくの間を置いて、彼女は言った。「しかし現在の状況においてはお前たちの意見を考慮してもいいだろう。」
セブン・オブ・ナインは再びコンピューターを操作した。「ヴォイジャーの武器目録だ。光子魚雷数、32。弾頭はクラス6。爆発力、200アイソトン。」
トゥヴォック:「そんな情報どうやって手に入れた?」
「我々はボーグだ。」
「なるほど。」

ボーグ・キューブと並行して航行を続けるヴォイジャー。ドクターがケスの診察をしている。チャコティが医療室にやってきた。
「副長、困ったことになりました。」
「もう何を聞いても平気だ。」
「ケスの幻覚がひどくなってるんです。内容もリアルになっている。」
ケス:「今までとは違うのよ。まるでこの部屋にいるみたいで。」
あの声がする。生命体8472 の目。
ドクター:「まただ。」
ケス:「見るまいと思っても、だめなの。」 また幻覚が現れる。エイリアンの目の中にケスが映っている。
ドクター:「幻覚を見る度に、大脳皮質の特定の部分が極度の刺激を受けた状態になります。記憶エングラムも知覚中枢も。エイリアンは単に挨拶しているだけではなさそうですね。」

キューブ内で、ボーグがせわしなく歩いている。ジェインウェイはトゥヴォックとコンピューターを操作している。「このグリッドを拡大して。起爆装置を見たいわ。」
セブン・オブ・ナインが戻ってきた。「バイオシップを分析する。データを渡せ。」
パッドを手渡すジェインウェイ。セブン・オブ・ナインはそれを操作しながら、近くの機械を使い始めた。話し始めるジェインウェイ。「あなた人間でしょ?」
「この体は 18年前に同化された。その時から人間ではない。」
「教えてくれない? 元は何ていう名前で…」
だがセブン・オブ・ナインは話をさえぎった。「無関係な会話には、これ以上応じられない。」
機械的な音が響く。「お前の船から通信だ」といい、通信装置を起動するセブン・オブ・ナイン。チャコティが映し出され、ジェインウェイが応対する。
「どうしたの?」
『エイリアンが、ケスの記憶を読み取っているようなんです。』
「だとしたら、私たちの計画もばれてるわね。」
『スキャンをかけましたが、今のところバイオシップは見当たりません。』
「針路を変えましょう。追跡を逃れなきゃ」とセブン・オブ・ナインにいうジェインウェイ。
「賛成だ。」 数秒後、「針路と目的地を変更した。」
ジェインウェイ:「ついて来て。ケスに何かあったら報告しなさい。」
チャコティ:『わかりました。』

セブン・オブ・ナインは言う。「それでは、光子魚雷とナノプローブを渡してもらおう。」
ジェインウェイ:「そうはいかないわ。まだあなた方の領域を通り抜けてないもの。」
「今すぐプロトタイプを作って試さねばならないのだ。攻撃の危険が増している。」
「関係ないわ、約束したはずよ。あなたたちに同化されないための唯一の保証ですもの。手放すことはできないわ」
「我々に強硬手段を取らせるつもりか? お前の船にボーグを 500人転送したらどうなると思う? 満足な抵抗もできるまい。」
「死んでも屈しないわ。」
「死ぬ必要はない。この設計図に適応する発射システムを作らねばならない。」
セブン・オブ・ナインは作業を続ける。

ブリッジにキムが戻って来た。
チャコティ:「元気になったようだな。」
パリス:「ハリー! おかえり。」
キム:「ありがとう。」 後ろ手を組む。「報告します。ドクターから復帰の許可をもらいました。いい場面は終わっちゃいました?」
チャコティ:「そうでもない。持ち場につけ。」
オプス席のトレスと入れ替わるキム。トレスは小声で言った。「まだ鼻からつるが出てるわ。」 思わず確かめるキム。
警告音が鳴る。「副長、重力の歪みを探知しました。後方 12,000キロメートル。量子特異点です。」
ボーグ・キューブ内でも警報が響く。「襲ってきた」というセブン・オブ・ナイン。
ヴォイジャーとキューブにバイオシップが迫る。「攻撃態勢に入っています」というパリス。チャコティは「シールドアップ。転送ロックは解くな」と命じる。揺れるブリッジ。「第2船体が直撃されました」と報告するトレス。「転送装置ダウン。シールドもです」というキム。
ボーグ・キューブは回転しながら武器を発射する。バイオシップに命中しても、効果はないようだ。「ヴォイジャーがダメージを受けたようです」というトゥヴォックに、「ナノプローブを破壊されてはならない」というセブン・オブ・ナイン。
更に近づくバイオシップ。パリス:「狙われてます。」 チャコティ:「衝撃に備えろ。」
ヴォイジャーはキューブを盾にするように逃げていく。バイオシップから強力な武器が発射された。キューブを直撃。内部でもエネルギーが噴出する。吹き飛ぶボーグ。ジェインウェイは襲いくるエネルギーから身を守るためにかがむが、それを浴びて吹き飛んでしまった。
接近してきたバイオシップは、そのまま横からキューブに激突した。大爆発が起こる。
ヴォイジャーも衝撃を受ける。チャコティ:「キューブは?」 パリス:「破壊されました。バイオシップもろとも。」 通信が入る。『トゥヴォックからチャコティ。』
「トゥヴォック、どこにいる?」
『第2貨物室だ。艦長も一緒です。』 倒れたままの態勢でいるトゥヴォック。懸命に起き上がろうとしている。「ボーグも多数。被弾の直前に転送されました。助けをよこしてください。」
「トゥヴォック。トゥヴォック!」と呼びかけるチャコティ。反応がない。「デッキを封鎖しろ。保安部、第2貨物室へ。パリス、ブリッジを頼む。」 ターボリフトに乗るチャコティ。

扉が開き、フェイザーライフルを構えた保安部員とチャコティが中に入る。そこでは平然とボーグが作業をしていた。トゥヴォックとジェインウェイが倒れている。2人の脈を確かめるチャコティ。医療部員にうなずき、奥へ進む。
フェイザーを構えたチャコティたちに腕を向けるボーグがいる。「武器を降ろせ。」 セブン・オブ・ナインだ。「お前たちの艦長の了解は得ている。お前たちの船を守るために我々の艦を犠牲にしたのだ。我々は同盟関係にあるのだろう?」

※4: Seven of Nine
(ジェリ・ライアン Jeri Ryan) ヴォイジャー初の新レギュラーメンバー。TNG第123話 "I, Borg" 「ボーグ“ナンバー・スリー”」に登場したヒュー (吹き替えでは「ブルー」) の正式名はサード・オブ・ファイブ (Third of Five) でした。声:沢海陽子、TNG ヤー/シーラ役など

※5: biomolecular warhead

※6: multikinetic neutronic mine

※7: isoton
質量の単位。科学顧問 Andre Bormanis によって発明された言葉で、正確な定義は決められていません。DS9第100話 "The Ship" 「神の船」でも使用

医療室。チャコティがケスの診察を受けているトゥヴォックに話している。「危なかったよ。第2貨物室を同化し、第2動力結合炉からエネルギーを引き出そうとしてた。」
「そこで食い止めたんですね。」
「とりあえずはな。9から 13までのデッキを封鎖して、全アクセスポイントに保安部員を置いた。」
「医療室付近の警備も強化した方がいいでしょう。」
「手配済みだ。兵器の方はどうだ?」
「プロトタイプを作り始めます。」
「もう任務に戻っていいわ」というケスに、「君は大丈夫なのか?」と尋ねるトゥヴォック。「ええ、平気よ。幻覚は収まったし。」
ジェインウェイを診ていたドクターがチャコティに近づく。「プラズマによる胸部の火傷は治せます。内出血も止まりました。だが神経系の傷に関しては、少し…時間がかかる。」
「転送される前に、エイリアンのエネルギーミサイルが艦長のすぐそばを直撃したんです」と付け加えるトゥヴォック。
「それで、神経電気の通り道を全て切断されたようです。脳の機能を守るために昏睡状態にしますが、率直に言って治療法が見つからない限り、二度と意識は戻りません。」
「ボーグから目を離すな。20分おきに状況を報告しろ」とトゥヴォックに命じるチャコティ。
「了解。共同作業を再開しましょうか。」
「待機してくれ。」 医療室を出ていくトゥヴォック。
ドクターが言う。「艦長が話したいそうです。手短に。」
バイオベッドに寝ているジェインウェイ。ゆっくりと口を開く。「ドクターからは状態を聞いたわ。指揮をお願いね。」
「わかりました。」
「ボーグはあなたをおどかすでしょう。でも彼らにはこの同盟が必要なの。お願い、やり遂げて。何としても成功させて。クルーを家に帰らせて。」
ドクターが「眠らせます」と言った。ジェインウェイは昏睡状態に入った。部屋を出ていくチャコティ。

第2貨物室。再びフェイザーライフルを構えたチャコティたちがいる。何人かのボーグがおり、既にそこはヴォイジャー船内ではなく、キューブの中のようだ。奇妙な機械が天井から降りてくる。チャコティにセブン・オブ・ナインが近づいた。
「艦長はどこだ? 話がある。」
「医療室で手当てを受けている。話は俺が聞こう。」
「状況がかなり変わった。」
「そのようだな。」
「船を失ってしまった今、契約を修正したい。」
「それについては考えておいた。君たちはこの船に留まっていい。兵器の開発を続け、そしてボーグの領域を通り抜けたらナノプローブは渡す。それでお別れだ。」
「不十分だ。最新の戦闘予想によれば、その頃には戦いに敗れている。」
近くのコンピュータに歩み寄り、操作するセブン・オブ・ナイン。「一番近いボーグ艦まで 40光年だ。針路を逆に取って、そこへ向かえ。」
「最大のワープ速度でも 5日はかかるし、方角が逆だ。これではボーグの領域から出るどころか、中心へ向かうことになる。」
「ほかに道はない。」
「だめだ。本来の契約は尊重するが、針路を変えることはできない。危険過ぎる。」
「我々の申し出を拒むのも危険な行為だ。」
「考えさせてくれ。」
「早く決断しろ。」 歩いていくセブン・オブ・ナイン。

会議室にクルーが集まっている。
チャコティ:「ボーグ・スペースの中心に向かって 5日間も旅をするなんて、危険過ぎる。ボーグとナノプローブを乗せているということは、『さあ撃て』と言っているのと同じだ。生命体8472 は絶対に我々を狙ってくる。今度来たら終わりだ。」
ニーリックス:「ほかに方法はないんすか?」
チャコティ:「ボーグとの同盟を今すぐ解く。一番近い無人の惑星にボーグを降ろして、ナノプローブを渡した上で置き去りにしよう。連中は仲間に助けてもらって武器を完成させればいい。指揮を執る以上は、クルーにとって最善の道を選びたい。トム、一番近い無人の惑星を探して、そこへ向かってくれ。」
パリス:「了解。」
トゥヴォック:「しかし大丈夫でしょうか。ボーグがおとなしく出ていくかどうか。」
チャコティ:「交渉してみよう。あの女ボーグを呼べ。解散。」

セブン・オブ・ナインに説明するチャコティ。「君たちを惑星に残した後、ナノプローブと全ての調査データを渡す。」
「受け入れられない。我々には時間が…」
「口論の余地はなし。針路を変える気はない。欲しい物は渡す。後は友好的に別れよう。」
「もう一つ道はある。この船を同化する。」
「お前たちの誰かが貨物室から 1ミリメートルでも外に出たら、デッキ全体を減圧する。宇宙に放り出されたら、大きな口はきけないぞ。」
"When your captain first approached us, we suspected that an agreement with humans would prove impossible to maintain. You are erratic... conflicted... disorganized. Every decision is debated... every action questioned... every individual entitled to their own small opinion. You lack harmony... cohesion... greatness. It will be your undoing."

「お前の艦長が取り引きを申し出た時、人間との同盟など維持できるはずがないと思った。人間は常識に欠け、矛盾だらけで、秩序がない。あらゆる決定を論じ合い、あらゆる行動に疑問をもつ。一人一人は小さな意見をもつことを許されている。お前たちは調和と、団結と、偉大さに欠ける。それが破滅を招くのだ。」

「お客さんを貨物室に連れて行け。」
保安部員と共に、セブン・オブ・ナインは作戦室を出ていった。

医療室で眠っているジェインウェイ。チャコティがやって来た。ためらいつつも、話しかける。
「決断を下しました。単に上官の命令に背くというだけならまだいいんですけど、あなたは俺にとって、大切な友だ。わかって下さい。」


光り輝く空間から、バイオシップの群れが出て来た。ボーグ・キューブとの戦闘を繰り広げる。

ヴォイジャーのボーグにも、集合体の声が届く。『生命体8472 は、マトリックス 0-1-0 のグリッド19 を突破した。8つの惑星が破壊され、312の船が撃墜された。消滅したボーグは、400万と621。アルファ宇宙域の船を掌握し、エイリアン領域に持ち込まねばならない。』
セブン・オブ・ナインは「了解した」と答えた。

ボーグが隔壁を空けた。ジェフリーズ管の中に入るセブン・オブ・ナイン。
パリスが報告する。「Hクラス※8の衛星です。大気は酸素とアルゴン。」
チャコティ:「いいだろう。ワープを抜けて軌道に入れ。」
「了解。」
「トゥヴォック、ボーグを貨物室から直接転送する。彼らが地表に降りたら、ただちに保安部を…」
警告音が鳴る。キムが言う。「ディフレクター・アレイにパワー変動を探知。」
「原因は?」
「ボーグがディフレクター・コントロールにアクセスしたようです。エミッターをいじってます。」
「追い出せ。」
セブン・オブ・ナインは作業を続けている。
「機密プロトコルに侵入しました」というキム。
ヴォイジャーのディフレクターから、4つのビームが発生し、1本となって宇宙空間に放出された。
トレス:「共振グラヴィトン※9ビームを発射しています。量子特異点が発生しました。」
チャコティ:「針路変更。」
パリス:「重力の歪みが邪魔しています。振り切れません。」
チャコティ:「ブリッジから第2貨物室。今すぐやめないと、デッキを減圧して宇宙空間に放出する。最終勧告だ。」
揺れは止まらない。チャコティは命じた。「やれ。」
貨物室の扉が開き、ボーグが次々と宇宙に放り出されていく。管内のセブン・オブ・ナインは、必死に身体を固定させようとする。
トゥヴォック:「減圧、完了しました。」
キム:「まだディフレクターを制御できません。」
トゥヴォック:「副長、ボーグが 1人残りました。」
ビームの先に明るい空間が発生した。
「引き込まれます!」と叫ぶパリス。ヴォイジャーは中に入っていき、消えた。
ブリッジの揺れが収まった。「状況は?」と尋ねるチャコティ。
トゥヴォック:「次元と次元の間の亀裂を越えたようです。」
パリス:「銀河を離れました。恒星も惑星もありません。」
チャコティ:「スクリーンを。」
スクリーン一面が、緑色と橙色が混じったような色を映し出している。トレスが言った。「センサーを再調整しています。エリア全体に充満しているのは、ある種の有機流動体です。これは宇宙じゃないわ。物質です。」
セブン・オブ・ナインの通信が入った。『チャコティ副長、我々は生命体8472 の領域に入った。第2貨物室に出頭せよ。』
チャコティは「パリス、第2貨物室を与圧しろ。トゥヴォック、来い」といい、ターボリフトに入った。

説明するセブン・オブ・ナイン。「我々が流動性空間※10に入った時に圧縮波が生じたので、敵はもう気づいている。バイオシップの一団が既にこちらに向かっている。迎撃開始まで、3時間と 17分。」
チャコティ:「なぜそこまでわかる。この空間に来たことがあるのか?」
「すぐに戦闘に備えなければならない。十分な数の生体分子弾頭を作らねば。」
「なぜだ? なぜ来たことがある?」 チャコティは悟った。「戦いを始めたのは、お前たちか。どうしてだ? 我々の銀河だけでは不足か。領域を広がたかったのか。だが今度の相手はとんだ強敵だったというわけか。」
「生命体8472 は、我々が予想していたより遥かに手強かった。彼らのテクノロジーは生物遺伝子によって成り立ち、これまで遭遇したどの生命体より優れている。」
トゥヴォックが尋ねる。「その技術が欲しいんだな。」
「彼らは生物の進化の頂点にある。彼らを同化すれば、我々も更に完全な存在になれる。」
「ところが同化しようと思ったら、我々の銀河へ招き入れてしまったのか。」
「とるべき行動はただ一つ。先に敵を叩く。次元間の亀裂※11を越えたことによって、集合体とのリンクが弱まった。助けはこない。我々だけで戦うのだ。生体分子弾頭を早く完成させて、お前たちの武器に装填しなくてはならない。」
チャコティ:「もっといい手がある。次元の亀裂を開いて、戻してくれ。」
「そうなるとお前たちはもう協力しなくなる。」
通信が入る。『ドクターから副長。』
「何だ。」
『大至急医療室にお願いします。』
「すぐ行く。」

医療室に入ったチャコティは驚いた。「艦長。」 ジェインウェイは既にベッドには寝ておらず、制服も着ている。嬉しそうに話すドクター。
「ああ。ご覧の通り、神経系の傷が回復しました。キム少尉に艦長。2戦2勝だ。」
ジェインウェイは静かに言った。「ドクター、外してもらえないかしら。」
雰囲気を感じ取るドクター。「ん? あ? ああ、喜んで。コンピューター、プログラム終了。」 姿を消すドクター。
本題をチャコティに話すジェインウェイ。「ドクターから状況は聞いたわ。でも肝心なことは教えてもらえなかった。なぜ?」
「ボーグが針路を変えろと言ってきたんです。来た方向を 40光年戻れと。艦長なら?」
「同盟をできる限り維持するために逆戻りしたでしょうね。」
「同盟関係は崩壊していました。」
「初めから私を信じてなかったんでしょう。私の命令を撤回するチャンスを狙ってたんだわ。」
「信頼の問題じゃない。戦略的に考えたんです。」
「私もよ。」
「彼らは我々を利用していた。」
「互いに譲り合って結んだ協定よ。」
「だまされたんです。ボーグの方がエイリアンに戦争をしかけたんですよ。」
何も言わず、考えるジェインウェイ。チャコティは続ける。「ボーグは 1人しか残っていません。彼女を捕えてデルタ宇宙域に戻りましょう。連中が使ったディフレクター・プロトコルを複製すれば、量子特異点を抜けられるかもしれない。」
「だめよ。エイリアンが攻撃してくるっていうのにそんな暇はないわ。とるべき道は一つよ。議論を闘わせている場合じゃない。今は命令を下すべき時なの。決めたわ。ボーグと全面的な協力体制をとって、エイリアンと戦います。」
「俺はボーグと同化したことがある。覚えてますか? 脊椎にニューロトランシーバーを埋め込まれた。※12あいつらのことはよくわかる。最後のボーグを追い出して、我々だけで切りぬけましょう。」
「そううまくはいかないわ。何てことかしら。船の外だけじゃない、中でも戦争が始まってる。どちらも負けそうよ。」
「『破滅を招く』か。」
「え?」
「人間の矛盾が元凶なんです。セブン・オブ・ナインがいいました。人間は団結力に欠けると。それがいつか人間を滅ぼすだろうと。今がまさに、いい例でしょう。」
"I'll tell you when we lost control of this situation... when we made our mistake. It was the moment we turned away from each other. We don't have to stop being individuals to get through this. We just have to stop fighting each other."

「どうしてこうなったか教えてあげるわ。どこで間違えたのか。それは背中を向け合った時よ。個人であることをやめる必要はないわ。争うことをやめればいいの。」


ブリッジ。セブン・オブ・ナインを連れてトゥヴォックが入る。彼女が声をかける。「ジェインウェイ艦長。」
「チャコティは任務を解いて、拘留室に監禁したわ。私が指揮を執ります。」
「状況はわかっているのか?」
「完全に。トゥヴォック、彼女と一緒に弾頭を作り始めて。できるだけたくさん作りなさい。武器システムの修正を始めて。防衛システムも強化した方がいいと思うんだけど、どう? 戦うからには、勝つつもりよ。」
「我々も同じだ。」
「そう。作戦はこう。このまま敵のフィールドで交戦するわ。力を見せてやるの。少しでも自衛本能があれば、引き下がるはず。デルタ宇宙域からも撤退する。ただし武器が通用したらね。だめなら、あきらめましょう。2時間以内に戦闘準備を整えること。戦争よ。」
艦長席に座るジェインウェイ。ブリッジのクルーも準備にかかる。セブン・オブ・ナインはブリッジに残った。

※8: Class-H
TNG第50話 "The Ensigns of Command" 「移民の歌」では Hクラスは致死的な放射線に満ちているとされています

※9: 重力子 graviton
素粒子、重力の量子単位。DS9第7話 "Q-Less" 「超生命体“Q”」など

※10: fluidic space
最後のシーンのジェインウェイのセリフでは、「流動体空間」と吹き替え

※11: interdimensional rift

※12: VOY第57話 "Coda" 「霊界からの誘い」より

キムが報告する。「武器システムの修正が完了。」 「稼動させて」と命じるジェインウェイ。
ヴォイジャーの船体に取り付けられた、複数の緑色をした機械部分に明かりがともっていく。
キム:「魚雷発射管、稼動。船体シールド、オン。シールド拡張、安定。」
トゥヴォック:「生体分子兵器、準備完了。標準の光子魚雷が 13機、高出力弾頭の第10型が 1機です。」
ジェインウェイ:「全艦に告ぐ。こちら艦長。持ち場について。緊急用の隔壁を全て封鎖。敵艦への攻撃用意。命令するまで待機せよ。」
バイオシップが現れた。
パリス:「バイオシップ 4隻がセンサーレンジに入りました。」
ジェインウェイ:「戦闘配置。」
キム:「目視距離です。」
ジェインウェイ:「スクリーンへ。」
接近してくるバイオシップ。それと同時に、ジェインウェイの隣に座っているケスに、生命体8472 の声が届いた。
「聞こえるわ。話したがっています。私たちが彼らの世界を汚染したって。」
ジェインウェイ:「悪意はないといって。自分の身を守るためだったのよ。」
再びエイリアンの顔。「私たちの銀河は汚れている。近づくと彼らの遺伝子に悪影響を及ぼすそうです。」
「警告して。細胞レベルで彼らを壊滅できる必殺兵器があって、デルタ宇宙域への攻撃をやめないとそれを使わざるを得ないって。」
「お前たちの宇宙を浄化するといってます。」
バイオシップが武器を発射してきた。あまりにも強い衝撃のため、かすっただけにも関わらずクルーは投げ出され、コンソールからは火花が飛んでいる。
キム:「シールドと武器システムがダウン。」
トゥヴォック:「緊急用の動力を発射管に回します。」
パリス:「敵は旋回してきました。スラスターが効きません。」
トゥヴォック:「生体分子弾頭の装填を完了。」
ジェインウェイ:「発射。」
生体分子弾頭を積んだ光子魚雷が発射され、バイオシップに向かっていく。
トゥヴォック:「4隻全部に命中しました。変化なし。」
キム:「敵が装填してます。」
エネルギーを充填するバイオシップ。だが急に船体の色が変わり、爆発した。他の船も同じように。
トゥヴォック:「ナノプローブが効きました。時間がかかりましたが、4隻全て爆破成功。」
ジェインウェイはセブン・オブ・ナインに言う。「気が済んだでしょう。早く量子特異点から出してちょうだい。」
彼女は近くのコンソールにいたクルーを押しのけ、コンピューターを操作し始めた。

元の宇宙に戻って来たヴォイジャー。だが後方から大量のバイオシップが迫る。パリスが言う。「艦長。」
後方視点のスクリーンに、バイオシップが映る。ケスに尋ねるジェインウェイ。「ケス、まだつながってる?」
「はい。」
「攻撃を続けるなら、また発射すると伝えて。」
「返事がありません。」
「回避コースをとって。」
パリス:「了解。追ってきます。」
「後部魚雷発射管から、高出力弾頭発射用意。」
バイオシップの先頭の 1隻が武器を発射してきた。ヴォイジャーの最後部に命中する。
トゥヴォック:「用意完了。」
ジェインウェイ:「撃って。」
バイオシップの船団の中心で、魚雷が点火を起こした。爆発していくバイオシップ。
トゥヴォックが報告する。「13隻のバイオシップを爆破。残りは退却していきます。」
セブン・オブ・ナインは独り言のように言った。「集合体とのリンクが完全に復活した。」
ジェインウェイ:「何て言ってるの?」
「デルタ宇宙域内に侵入したバイオシップは全て退却している。ボーグは勝利した。」
「我々の助けでね。さあ、そちらも約束を守ってよ。ボーグの領域を無事に抜けるルートを確保してもらうわ。あなたにはシャトルをあげるから、近くのボーグ艦に向かって。」
「受け入れられない。同盟関係は終結した。お前の船とクルーは我々に奉仕するよう順応させる。」
パリスはフェイザーでセブン・オブ・ナインを撃つが、既に適応されており、何の効果もない。周波数を変えようとする。「抵抗は無意味だ!」 突き飛ばされるパリス。
セブン・オブ・ナインは腕の管をコンソールに突き刺した。
キム:「操舵装置に接続してます。座標にアクセスする気のようです。
ジェインウェイ:「遮断して。」
「できません。」
「ブリッジからチャコティ。『サソリ』よ。」
第2貨物室のボーグの部屋に立っているチャコティの首元に、ニューロトランシーバーが取り付けられた。チャコティの声。『セブン・オブ・ナイン、やめろ。君は人間だ。一人の人間だ。俺と君の意識はリンクされている。心の声が聞こえる。』
チャコティの状態をチェックするドクター。「リンクは安定しているが長くはもたない。急げ。」
トレスは近くで必死に作業を行っている。「待って、後少しよ。」
チャコティ:『君の思い出が見える。人間だった頃を思い出せ。』 少女が草原を走っている。
セブン・オブ・ナイン:「我々はボーグだ。」
『女の子が見える。家族。』 走っている地球人の少女と、彼女を取り囲む幸せそうな両親の姿。
「関係ない。人間性に訴えても無駄だ。」
トレス:「もう少しよチャコティ。何とか彼女の注意を逸らせてちょうだい。」
チャコティは伝える。『耳を傾けろ。君自身に、幼い少女に。セブン・オブ・ナイン。アニカ!』 チャコティの表情が変わった。
ドクター:「リンクが切れるぞ!」
トレス:「動力波発生、スタート!」 ボーグの機械が高音を発し始めた。チャコティのトランシーバーに電流が走る。同様にセブン・オブ・ナインの首元にも。チャコティのニューロトランシーバーは吹き飛び、セブン・オブ・ナインも絶叫と共に倒れた。
倒れたセブン・オブ・ナインをトリコーダーで調べるトゥヴォック。「集合体とのリンクが切れました。」
ジェインウェイ:「医療室へ運んで。ドクター、そっちはどう?」
「チャコティ副長は大丈夫です。多少頭痛が残るでしょうが。」
「トム、ボーグの領域外に向かって。ワープ速度最大。」
パリス:「了解。」

『艦長日誌、宇宙暦 51003.7。あれから 3日、ボーグ艦もバイオシップも現れていない。危機は脱したようだ。しかしクルーも私もまだピリピリしている。レオナルド・ダ・ヴィンチの静かな作業場に来ても、心は休まらない。』
ろうそくの火の下で、ジェインウェイは紙にペンを走らせていた。ホロデッキのドアの開く音がする。チャコティがやってきた。
「お邪魔ですか?」
「いいえ、日誌を書いてたの。」
「古風ですね。」
「バイオシップや、流動体空間からできるだけ離れたかったのよ。この方が人間らしいでしょ。」
「ムードをぶち壊す気はないんですが、機関部の報告をみて下さい。ボーグ・テクノロジーを取り除くには最低 2週間はかかります。第8デッキのパワー連結部はボーグに改造されたままの方がうまく機能するそうですが。」
「いいわよ。お客さんの様子は?」
「落ち着いてきたようです。人間の細胞が再生し始めました。」
「ボーグ・テクノロジーの下に何が残ってるのかしら。人間に戻れるといいけど。」
「連れて行くんですか?」
「責任があるでしょ? 私たちが彼女をボーグから引き離したのよ。」
「彼女は幼い頃に同化された。集合体しか知りません。ここを嫌がるかも。」
「気に入るかもしれない。ボーグにはないものをあげられるわ。友情をね。」
「艦長の命令に背いたのが、今まで一番辛い決断でした。」
「わかってる。正しい決断だったとは思わないけど、尊重はするわ。最後には一緒に切り抜けられたんだから、いいのよ。この関係は変えたくない。」
「同感です。」
「そう。じゃ、そろそろブリッジに戻りましょうか。」
「異議はありません。」
ジェインウェイは日誌の紙を手に取り、チャコティと共に外に向かった。

医療室のベッドの上には、眠ったままのセブン・オブ・ナインが横たわっていた。


・感想
7ヶ月ぶりの追加となります。ついに第4シーズンです。前編の濃い内容を引き継ぎ、更にいろいろな要素が加わっています。単なるドンパチだけではなく、ジェインウェイとチャコティの対立も入れてくるあたりがいいですね。あからさまなCGは私は嫌いなのですが、このエピソードは予算も多くとっているのか、あまり違和感はありません。

セブン・オブ・ナインの吹き替えは、沢海さんにはTNGで馴染んでいるせいもあるのでしょうが、ほとんど文句はありませんね。ただ強いて挙げるとすれば…ボーグにしては少し人間的 (感情的) な言い回しが多かったような気がします。今までになかったキャラクターなので注目です。

余談:セリフは一部、原語の意味に合わせて変えてあります。


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