話しかけるジェインウェイ。「私はジェインウェイ艦長。彼はトゥヴォックよ。」
「お前たちの名称は知っている。」
「じゃ、あなたの…名称は?」
「Seven of Nine, Tertiary Adjunct of Unimatrix Zero One. But you may call me... Seven of Nine.
ユニマトリックス・ゼロ・ワンの第3付属員、セブン・オブ・ナイン※4。セブン・オブ・ナインと呼べ。 巨大な武器を作るというのだな? 我々は同意する。」
「そういうと思ったわ。」
説明するトゥヴォック。「君たちのナノプローブを私たちの光子魚雷に装填する。つまり、生体分子弾頭※5というわけだ。」
「光子魚雷は無力だ。射程距離も分散範囲も劣っている。」
ジェインウェイは尋ねる。"Do you have a better idea?"
「もっといい方法がある?」
"We are Borg."
「我々はボーグだ」 といい、歩き出すセブン・オブ・ナイン。
「あるということですね」というトゥヴォック。2人も後を追った。
セブン・オブ・ナインはコンソールを操作している。画面を説明する。「マルチキネティックの中性子魚雷※6だ。核出力は 500万アイソトン※7。」
トゥヴォック:「そんな大爆発を起こすと、星系全体に影響が出る。」
セブン・オブ・ナイン:「その通り。半径 5光年の範囲にナノプローブを拡散することができる。」
ジェインウェイ:「もっと小さな武器を考えていたんだけど。あなたの言うのは大量破壊の武器だわ。」
セブン・オブ・ナイン:「そうだ。」
ジェインウェイ:「賛成できないわ。罪のない世界に危険が及ぶ。」
セブン・オブ・ナイン:「より効率的だ。」
トゥヴォック:「この弾頭には約50兆のナノプローブが必要になってくる。複製作業だけでも数週間はかかるぞ。戦況は思わしくないはずだ。時間をかけている余裕はあるのか?」 その場を離れるセブン・オブ・ナイン。
ジェインウェイ:「今のところエイリアンは自分たちを無敵だと思っている。とりあえず光子魚雷を利用して、小さな武器を作ってバイオシップをいくつか破壊したらどう? 敵がひるんで、戦いをやめるかもしれないわ。」
セブン・オブ・ナイン:「お前たちは個人だ。小さなスケールでしか物事を考えられない。」 だがしばらくの間を置いて、彼女は言った。「しかし現在の状況においてはお前たちの意見を考慮してもいいだろう。」
セブン・オブ・ナインは再びコンピューターを操作した。「ヴォイジャーの武器目録だ。光子魚雷数、32。弾頭はクラス6。爆発力、200アイソトン。」
トゥヴォック:「そんな情報どうやって手に入れた?」
「我々はボーグだ。」
「なるほど。」
ボーグ・キューブと並行して航行を続けるヴォイジャー。ドクターがケスの診察をしている。チャコティが医療室にやってきた。
「副長、困ったことになりました。」
「もう何を聞いても平気だ。」
「ケスの幻覚がひどくなってるんです。内容もリアルになっている。」
ケス:「今までとは違うのよ。まるでこの部屋にいるみたいで。」
あの声がする。生命体8472 の目。
ドクター:「まただ。」
ケス:「見るまいと思っても、だめなの。」 また幻覚が現れる。エイリアンの目の中にケスが映っている。
ドクター:「幻覚を見る度に、大脳皮質の特定の部分が極度の刺激を受けた状態になります。記憶エングラムも知覚中枢も。エイリアンは単に挨拶しているだけではなさそうですね。」
キューブ内で、ボーグがせわしなく歩いている。ジェインウェイはトゥヴォックとコンピューターを操作している。「このグリッドを拡大して。起爆装置を見たいわ。」
セブン・オブ・ナインが戻ってきた。「バイオシップを分析する。データを渡せ。」
パッドを手渡すジェインウェイ。セブン・オブ・ナインはそれを操作しながら、近くの機械を使い始めた。話し始めるジェインウェイ。「あなた人間でしょ?」
「この体は 18年前に同化された。その時から人間ではない。」
「教えてくれない? 元は何ていう名前で…」
だがセブン・オブ・ナインは話をさえぎった。「無関係な会話には、これ以上応じられない。」
機械的な音が響く。「お前の船から通信だ」といい、通信装置を起動するセブン・オブ・ナイン。チャコティが映し出され、ジェインウェイが応対する。
「どうしたの?」
『エイリアンが、ケスの記憶を読み取っているようなんです。』
「だとしたら、私たちの計画もばれてるわね。」
『スキャンをかけましたが、今のところバイオシップは見当たりません。』
「針路を変えましょう。追跡を逃れなきゃ」とセブン・オブ・ナインにいうジェインウェイ。
「賛成だ。」 数秒後、「針路と目的地を変更した。」
ジェインウェイ:「ついて来て。ケスに何かあったら報告しなさい。」
チャコティ:『わかりました。』
セブン・オブ・ナインは言う。「それでは、光子魚雷とナノプローブを渡してもらおう。」
ジェインウェイ:「そうはいかないわ。まだあなた方の領域を通り抜けてないもの。」
「今すぐプロトタイプを作って試さねばならないのだ。攻撃の危険が増している。」
「関係ないわ、約束したはずよ。あなたたちに同化されないための唯一の保証ですもの。手放すことはできないわ」
「我々に強硬手段を取らせるつもりか? お前の船にボーグを 500人転送したらどうなると思う? 満足な抵抗もできるまい。」
「死んでも屈しないわ。」
「死ぬ必要はない。この設計図に適応する発射システムを作らねばならない。」
セブン・オブ・ナインは作業を続ける。
ブリッジにキムが戻って来た。
チャコティ:「元気になったようだな。」
パリス:「ハリー! おかえり。」
キム:「ありがとう。」 後ろ手を組む。「報告します。ドクターから復帰の許可をもらいました。いい場面は終わっちゃいました?」
チャコティ:「そうでもない。持ち場につけ。」
オプス席のトレスと入れ替わるキム。トレスは小声で言った。「まだ鼻からつるが出てるわ。」 思わず確かめるキム。
警告音が鳴る。「副長、重力の歪みを探知しました。後方 12,000キロメートル。量子特異点です。」
ボーグ・キューブ内でも警報が響く。「襲ってきた」というセブン・オブ・ナイン。
ヴォイジャーとキューブにバイオシップが迫る。「攻撃態勢に入っています」というパリス。チャコティは「シールドアップ。転送ロックは解くな」と命じる。揺れるブリッジ。「第2船体が直撃されました」と報告するトレス。「転送装置ダウン。シールドもです」というキム。
ボーグ・キューブは回転しながら武器を発射する。バイオシップに命中しても、効果はないようだ。「ヴォイジャーがダメージを受けたようです」というトゥヴォックに、「ナノプローブを破壊されてはならない」というセブン・オブ・ナイン。
更に近づくバイオシップ。パリス:「狙われてます。」 チャコティ:「衝撃に備えろ。」
ヴォイジャーはキューブを盾にするように逃げていく。バイオシップから強力な武器が発射された。キューブを直撃。内部でもエネルギーが噴出する。吹き飛ぶボーグ。ジェインウェイは襲いくるエネルギーから身を守るためにかがむが、それを浴びて吹き飛んでしまった。
接近してきたバイオシップは、そのまま横からキューブに激突した。大爆発が起こる。
ヴォイジャーも衝撃を受ける。チャコティ:「キューブは?」 パリス:「破壊されました。バイオシップもろとも。」 通信が入る。『トゥヴォックからチャコティ。』
「トゥヴォック、どこにいる?」
『第2貨物室だ。艦長も一緒です。』 倒れたままの態勢でいるトゥヴォック。懸命に起き上がろうとしている。「ボーグも多数。被弾の直前に転送されました。助けをよこしてください。」
「トゥヴォック。トゥヴォック!」と呼びかけるチャコティ。反応がない。「デッキを封鎖しろ。保安部、第2貨物室へ。パリス、ブリッジを頼む。」 ターボリフトに乗るチャコティ。
扉が開き、フェイザーライフルを構えた保安部員とチャコティが中に入る。そこでは平然とボーグが作業をしていた。トゥヴォックとジェインウェイが倒れている。2人の脈を確かめるチャコティ。医療部員にうなずき、奥へ進む。
フェイザーを構えたチャコティたちに腕を向けるボーグがいる。「武器を降ろせ。」 セブン・オブ・ナインだ。「お前たちの艦長の了解は得ている。お前たちの船を守るために我々の艦を犠牲にしたのだ。我々は同盟関係にあるのだろう?」
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※4: Seven of Nine (ジェリ・ライアン Jeri Ryan) ヴォイジャー初の新レギュラーメンバー。TNG第123話 "I, Borg" 「ボーグ“ナンバー・スリー”」に登場したヒュー (吹き替えでは「ブルー」) の正式名はサード・オブ・ファイブ (Third of Five) でした。声:沢海陽子、TNG ヤー/シーラ役など
※5: biomolecular warhead
※6: multikinetic neutronic mine
※7: isoton 質量の単位。科学顧問 Andre Bormanis によって発明された言葉で、正確な定義は決められていません。DS9第100話 "The Ship" 「神の船」でも使用
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