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TOS エピソードガイド
第45話「カヌーソ・ノナの魔力」
A Private Little War

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・イントロダクション
※1※2※3惑星※4軌道上のエンタープライズ。

地表のマッコイは、コミュニケーターを開いた。「マッコイだ。」 そばにはケースが並んでいる。
カーク:『後どのくらいかかる。』
「そう、30分かなあ。いま非常に面白い有機化合物を見つけたよ。司令部の言うとおりだ。この土壌および植物は、薬草の宝庫と言っていい。何かあったのか?」

カーク:「今のところ住民の来る気配はない、以上。」
かがんでいるスポック。「大きな足跡だ。サルに似た、食肉獣ですね。」
カーク:「ああ、ムガート※5だ。」 足跡※6が見える。「心配ないだろ、かなり古いものだ。…あの動物は同じ場所には居着かないんだ。」
「ムガートさえいなければ正に楽園※7です。」
「そう、大尉の頃初めて惑星調査を指揮するため※8 13年も前に来たときと全く同じだ。」
広がる岩山を見るスポック。「クラスM に分類されますね? 地球に似ています。」
カーク:「ただ住民だけは地球とはかなり違う。武器は狩りのための弓矢だけ。個人でも部族間でも争いはない。見たとおり静かな、平和な世界だ。」
声が聞こえた。「おい、みんな隠れろ!」
岩の上に人々が見える。
遠くから確認するカークたち。
原住民が持っているのは、銃のようだ。3人ともだ。
スポック:「弓矢ではありませんね。」
カーク:「村の部族だ。…フリントロック銃※9か、信じられん。まだそこまで進歩するはずはない。」
「別の、グループが。」
白い髪の一同は、弓矢と槍を持っている。
カーク:「待ち伏せて襲うつもりらしいぞ。いま来たタイリー※10は、前に来たとき知り合った友人だ。」
待っている、黒い髪のグループ。
武器を取り出すカーク。
スポック:「船長。…フェイザーの使用は司令部から禁じられています。」
銃を持った原住民を見たカークは、足下の石を拾って投げた。
原住民のそばに落ち、反射的に銃を撃つ。
タイリーは仲間に言った。「村人だ!」 逃げていく。
カークとスポックも、村人から離れる。追ってくる男たち。
一人が銃を撃った。

気づくマッコイ。「エンタープライズ、警戒態勢だ。転送収容用意!」

岩山を降りてくるカークとスポック。後ろで村人が銃を構えた。
スポックに命中する。倒れた。
すぐに戻り、抱え上げるカーク。「スポック。」
スポックの胸元は、緑色の血で染まっている。
カーク:「フェイザーは。」 村人が見える。フェイザーを拾うカーク。
スポック:「いけません。まだ歩けます。」
補佐するカーク。
村人が近づいてくる。

マッコイのところに来たカーク。「早く、転送だ。」
マッコイ:「スコッティ、転送を頼む。医療班待機!」

迫る村人。

転送される 3人※11
村人が来たが、消えた後だった。


※1: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 最後の栄光」収録「小さな戦争」になります

※2: 脚色はジーン・ロッデンベリー自らによります

※3: このエピソードは、日本放送順で最終話です。本来は第2シーズン半ばですが、テープ素材に問題があったためとされています

※4: 言及されていませんが、脚本では「ニューラル (Neural)」という惑星名

※5: mugato

※6: TOS第17話 "Shore Leave" 「おかしなおかしな遊園惑星」で登場した、白ウサギの足跡の映像を使い回し

※7: 最後に触れられる「エデンの園」は、原語では既にこれらの個所で使っています

※8: U.S.S.ファラガットに乗っていた頃かもしれません (TOS第47話 "Obsession" 「復讐! ガス怪獣」)。吹き替えでは「新米の指揮官として」となっており、すでに船長だったようにも取れます

※9: flintlock

※10: Tyree
(マイケル・ホイットニー Michael Witney 1983年11月に死去) 声:青野武 (DVD 補完も継続)

※11: 画面右下のマッコイの道具には転送の映像処理が見られませんが、一緒に消えています

・本編
転送室に実体化するカークたち。
スコット:「どうしたんです。」※12
運び込まれる簡易ベッド。
カーク:「銃でやられた。弾が入っている。」
一緒にやってきたドクター・ムベンガ※13。「ヴァイタライザーB※14 を。」
マッコイはスポックの制服の背中部分を切っていく。クリスチン・チャペル看護婦※15から受け取った、ハイポスプレーを打つムベンガ。
マッコイ:「圧力パケット※16。心臓の位置が地球人と違ってて※17幸いだった。」
ムベンガ:「難しいですね。」
「コラナリン※18。」
カーク:「ドクター、望みはあるか。」
警報が鳴り、ウフーラの通信が流れる。『全船、非常態勢。戦闘準備せよ。全船非常態勢。』
カーク:「カークだ。」
『ウフーラです、スクリーンにクリンゴン船をキャッチしました。』
「よし、すぐ行く。スコッティ。」 ドアの前で止まるカーク。「どうだ。」
マッコイ:「まだ何とも言えん。」
出ていくカークたち。

ブリッジに入るカークとスコット。レズリーは機関コンソールを離れる。
チェコフ:「船長、クリンゴン船は惑星の向こう側です。まだこちらに気づいていません。」 操舵士はハドレイだ。
ウフーラ:「ちょっと前基地への通信を傍受しましたが、この船については一言も触れてませんでした。」
カーク:「よし、警戒態勢だ。」
「警戒態勢、各部門警戒態勢。繰り返します、非常態勢より警戒態勢に切り替えます…」
「向こうに探知されないようできるか?」
チェコフ:「やってみます。」
ウフーラ:「司令部への報告は。」
カーク:「いま危険を冒すべきじゃあない。はっきり事態を確かめてからでいい。」
スコット:「しばらくはごまかせますがね、軌道を回ってれば必ずわかりますよ。」
「カークより医療室。」
マッコイ:『マッコイだ。まだ、わからん。何かあったら知らせる、以上。』
「…とうとう、奴らが協定を破ったね。」
スコット:「まだそうとは決まってませんよ。連中も我々のように科学的な調査に来たのかもしれません。」
「クリンゴンが調査などするか。」
「しかしここは、不干渉惑星ですからね。調査だと言われても反論できません。」
「この惑星に来たのは、今から 13年前だが村の部族は鉄の使用を始めたばかりだった。スポックは銃で、フリントロック銃でやられた。発達の仕方が早すぎると思わんか。」
ウフーラ:「地球では 1,200年かかっています。」
スコット:「そうは言っても、フリントロックは銃の一番原始的なやつですし※19自然に発達したのかもしれません。」
カーク:「ああ、確かにそれもありうる。」
チェコフ:「地球で 1,200年かかったからって、ここも同じとは言えません。」
ウフーラ:「文明の進歩の速度は惑星によって違うと思います。」
スコット:「もしこの裏にクリンゴンがいるとしたらなぜもっと進んだライフルか何かにしないんです。」
「旧式なレーザーガンとか…」
「いま議論している場合じゃない! …すまん。スポックのことが心配でつい、気が立っていた。かつては争いなどない世界だった。医療室へ行く。スコッティ、後を頼む。」

ベッドで眠ったままのスポック。モニターに状態が表示されている。
そばで見つめるチャペル。
ムベンガ:「損傷を受けた組織の交換は無理ですね。もし助かるとすれば、ヴァルカン人独特の生理学によるほかない。」
マッコイ:「そうだな。感染の予防だ※20。」
チャペル:「はい、ドクター。」
カークに近づくマッコイ。「生きるか死ぬかの瀬戸際だ、どっちとも言えん。」
ムベンガはスポックを調べている。
マッコイ:「…ドクター・ムベンガはヴァルカンの病院にいたんだ。私より詳しい。」
カーク:「…じゃあ君も一緒に惑星へ行ってくれるな?」
「しかしスポックを放っては行けんよ…」
「様子を見るほかないんだろ? クリンゴン人が来ているんだ、彼らのこの惑星に対する興味が単に科学的なものかどうか確かめたい。そのためにも来て欲しいんだ。」
「もし違ったら?」
「手助けがいる。スポックと同様アドバイスしてもらいたいんだ。」
「それはどうも光栄の至りだがね、しかし…」
「いや私だってスポックのことは心配なんだ。…しかしクリンゴンが協定を破っていれば、戦争が始まる※21。カークよりブリッジ。」
スコット:『はい、スコットです。』
「ドクターと私はもう一度惑星に戻る。用度係に住民の衣類を用意させてくれ。」

船長席のスコット。「船長、今すぐ周回軌道を離脱しないと向こうに見つかってしまいます。そうなると通信できなくなりますが。」

カーク:「わかった、一定の時間をおいてランデブーしよう。…以上。」

惑星。
『航星日誌、宇宙暦 4211.4※22。クリンゴン船に我々の所在を知らせないため、司令部への連絡は差し控えるしかなかった。しかし事の真相を確かめるために、私は住民との接触を決意した。』
地上に転送されるカークとマッコイ。原住民の姿だ。
カーク:「完璧だ。タイリーのキャンプは、500メートルほど※23先だ。」
マッコイ:「…よくよく考えてみたんだろうな? 司令部の命令では、この惑星に対して絶対に干渉してはいかんことになってる…」
「正常な文明の進歩を妨害することが禁じられているんだ、13年前にこの私自身がそれを進言した。」
「ああ読んだよ。『住民は多くの面で地球人に勝り、このまま干渉しない限りいずれ豊かで平和な文明社会に発展する。』 そうだろ?」
「その通りだ、だからこそ放ってはおけない。」 マッコイの胸を叩くカーク。「君も来てくれるだろ?」
「今さら嫌とは言えん。」

岩山を降りているカークたち。突然叫び声が聞こえ、背後から白い大きなサルがカークに襲いかかった。
そのムガート※24はマッコイも投げ飛ばす。カークを攻撃し続けるムガート。
ハンドフェイザーを取り出すマッコイ。ムガートはカークに噛みついている。
マッコイは石を拾った。「来い! こっちだ!」
ムガートに投げつける。マッコイの方を見るムガート。
マッコイはフェイザーを撃った※25。蒸発するムガート。
身体を震わせるカーク。「船に知らせろ…毒牙にやられた。駄目だ…。」
マッコイ:「マッコイよりエンタープライズ、緊急事態発生。エンタープライズ、こちらマッコイ。応答せよ!」
「軌道を、離したんだ。」 声を上げるカーク。
「カーク、この毒に効く薬はない。」 ハイポスプレーを使うマッコイ。「応急手当はするが、せいぜいもっても数時間だ。」
「タイリー。山の部族なら…治せる。」
そばに白い髪の男たちが近づいた。
マッコイ:「山の部族※26だな。タイリーという者を知ってるか。」
カークを見つめる男、ユタン※27
マッコイ:「ムガートにやられたんだ。名前はカーク、タイリーの友達だ。」
ユタンは無言だ。
マッコイ:「頼む、手を貸してくれ! このままじゃ死ぬ!」


※12: タイトルが表示される前にセリフが始まるのは、TOS では今回と第43話 "Bread and Circuses" 「もう一つの地球」のみ

※13: Dr. M'Benga
(ブッカー・ブラッドショー Booker Bradshaw 2003年4月に死去) 初登場。声:嶋俊介、TOS カイル (一部)、旧ST5 マッコイなど。DVD 補完では高瀬右光

※14: vitalizer B

※15: Nurse Christine Chapel
(メイジェル・バレット Majel Barrett) 前話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」に引き続き登場。声:島木綿子もしくは北見順子、DVD 補完では田中敦子

※16: pressure packet

※17: 原語では「心臓が肝臓の位置にあって」。地球人とヴァルカン人の違い

※18: coranalin

※19: 実際はマッチロック (火縄銃) の方が先

※20: 原語では「殺菌ライト (steri-light)、オフ」

※21: 吹き替えでは「また戦争が始まる」

※22: 吹き替えでは「0405.9026」

※23: 原語では「4分の1マイル (=約400m)」

※24: The Mugato
(ジャノス・プロハスカ Janos Prohaska TOS第1話 "The Cage" 「歪んだ楽園」の類人猿 (Anthropoid Ape)/ヒューマノイド型の鳥 (Humanoid Bird)、第26話 "The Devil in the Dark" 「地底怪獣ホルタ」のホルタ (Horta)、第77話 "The Savage Curtain" 「未確認惑星の岩石人間」のヤルネク (Yarnek) 役。「アウターリミッツ」でも活躍しました。1974年3月に死去) 別の作品で使われた猿の着ぐるみを元に、プロハスカがデザイン・製作。クレジットでは "The Gumato" となっていますが、俳優が正しく発音できなかったために変更されました。声優なし

※25: TOS第6話 "The Man Trap" 「惑星M113の吸血獣」と共に、マッコイが TOS でフェイザーを撃つ数少ない場面

※26: hill people

※27: Yutan
(ゲリー・ピラー Gary Pillar)

山の部族のキャンプに運ばれるカーク。
ユタンが話す。「洞窟へ運べ。タイリーを呼んでくる。」
走っていった。

洞窟に運び込まれるカーク。
マッコイ:『医療日誌、宇宙暦 4211.8※28。カークの言うとおり、この惑星の住民は非常に友好的で思いやりがあった。タイリーは今や彼らのリーダーで、その妻はムガートの毒を治す方法を知っているとのことだった。彼らが来るまではさしあたりカークを安静にし、震えを抑える以外に方法はなかった。』
毛皮を掛けるマッコイ。原住民は出ていった。
マッコイ:「とんだ『この世の楽園』だよ。」 身体を調べる。

銃を持った村の部族が歩いている。その様子をうかがうタイリーと女性。
その妻は言った。「あの火を噴く棒を私達も持つのよ。」 ナイフを取り出し、そばの草を採る。「それで村人をみんな殺して、家をこちらのものにするのよ。食べ物も…」
タイリー:「いかん、ノナ※29。もうやめてくれ。今に村人も昔のように我々の友達になる。」
「友達? 山人をあれで殺しているのに? …私はカヌーソ※30の生まれなのよ、この国には滅多にいない女。…男は皆それを探す、妻にした者は偉くなれるからよ。」
「妻にしたのは、お前に魔法を掛けられたせいだ。」
微笑むノナ。「いつまでも私の魔力は続くわ。この葉を覚えてる?」
タイリーはそれをすぐ手にし、匂いを嗅いだ。
ノナ:「あの夜川のそばであったこと。」 ※31タイリーの首に葉をなすりつける。
タイリー:「あの時は激しく燃えたなあ。」
「そうよ、タイリー?」
次は腕。「狂おしい楽しい気持ち。」
ノナを抱き寄せ、首にキスするタイリー。「やめろ。…これを嗅ぐとけだもののような気持ちになる。」
笑うノナ。「そうよ、私の可愛いけだものになる。…たくましくて強いけだもの。」 口づけした。
ユタンが近づいた。「邪魔してすまん。」
ノナ:「どうしたの。」
「よそ者が今部落にいる。一人、ムガートにやられたらしい。…死にそうだ。」
「よそ者?」
「死にそうな男は、タイリーの友達だと言ってる。別の国から来たとか※32。」
「わかったわ。正気に返ったら連れておいで。」
葉の匂いを嗅ぎ続けるタイリー。

苦しむカーク。マッコイは立ち上がり、そばの石に向けてフェイザーを撃った。
赤く光り出す石。温度を確かめるマッコイ。

キャンプに戻ってきたノナ。「よそ者はどこにいるの?」
指差す山人。

マッコイは次々と石を温めている。やってきたノナが、その様子を見る。
フェイザーに目を奪われるノナ。すぐに出ていった。
気づいていないマッコイ。

タイリーがキャンプに走ってきた。「ノナ、カークはどこだ。…ほらあなか?」
ノナ:「タイリー。あの男を助けて欲しいんでしょ?」
「そうとも。いつかお前にも話しただろ、昔ここに来て友達になった。」
「治してやってもいいけど、それにはどんな人間かすっかりわからないと駄目なのよ。知ってることは残らず話して。」
「…あの男と無言の誓いを立てた。実の兄弟も同じだ。」
「私はあなたの妻、そう誓ったわね? だから、妹と同じわけ。」
「…ノナ…」
「話して。このままじゃ死ぬわ。」

宇宙空間を進むエンタープライズ。
眠っているスポックと手を重ねるチャペル。両手で握り締めた。
ドアが開く音がし、チャペルは手を離した。
ムベンガ:「計器の目盛りは心配しなくてもいい。これが正常な反応なんだ。…体力を全て集中して、血液や抗体を破壊された組織に送るんだ。ヴァルカン人特有の、自己催眠だよ。」
チャペル:「じゃあ意識もちゃんと?」
「ある意味ではね。我々のしていることも気づいている。しかし今は、傷の回復に精神力を集中させているんだ。
君が手を取っていることも、ちゃんと知っているよ?」 微笑み、医療室を出ていくムベンガ。
「…これは患者を勇気づける一番いい方法ですわ? たとえヴァルカン人でも。」

洞窟に入ったタイリー。「俺はタイリーだ。」
ノナ:「私はタイリーの妻よ。」
「カークを! いまノナが治す。」
ノナは持ってきた物をカークに近づけた。それは自ら動いている。
マッコイ:「それは何だ。」
ノナ:「マーコの根※33よ。」
「植物か。だが動いてる。」
「その使い道を知っている者には、応えるの。…目を覚まして?」 ナイフをタイリーに渡し、手を広げるノナ。
タイリーはノナの手の平を切った。
血が見える。太鼓を叩き始めるタイリー。
ノナは目を閉じ、独特な動きを繰り返す。マーコの根を傷口に置いた。
そこに血のついた左手を強く押し当てる。声を上げるカーク。
ノナ:「魂よ…入れ。魂よ…そなたの中に、入るのだ。…深く、共に…その痛みは我がもの。…同じ痛み。…その魂も我がものに。我と一つ。帰れ…戻るのだ…帰れ…帰るのだ…。」
太鼓を強く叩き、手を止めるタイリー。
ノナは最後に声を上げ、倒れ込んだ。
目を開くカーク。「…ドクター。…不思議な夢を見た。」
マッコイ:「どうだ、気分は。」
「疲れた、ひどくだるい。おかげで助かったよ。…何か急に、眠くなった。」
黒くなったマーコの根を取るマッコイ。傷跡は全く見えない。
マッコイ:「ありがとう、おかげで助かった。」
ノナの手からも傷はなくなっていた。
マッコイ:「治療法について詳しく知りたい。」
ノナ:「このマーコの根を通して血が通い合った。2人の魂が一つになったのよ。この人は私のもの。」
タイリー:「…ノナも眠らなきゃいかん。」 連れて行く。
マッコイ:「私のもの?」
「女と男が魂と血を交わせば、何でも女の言うとおりになる。…でもこれは言い伝えだ。」
ベッドに身体を横たえるノナ。


※28: 吹き替えでは「0405.9026」

※29: Nona
(ナンシー・コヴァック Nancy Kovack) 声:此島愛子、TOS ランド、TNG/DS9 ラクサナ、旧ST2 マーカスなど (DVD 補完も継続)

※30: Kahn-ut-tu

※31: TOS の国内オンエア分では、カット部分が存在しています。DVD には吹き替えつきで完全収録されており、このエピソードガイドでは色を変えている個所にあたります (CS版との比較)。LD では基本的に、その部分だけ字幕収録です

※32: 原語では「ずっと前から知っているとか」

※33: mahko root
mako root と綴られる場合も

目を覚ますマッコイ。カークの姿がない。
隣の部屋に入ると、眠っているノナのそばにカークが座っていた。顔に手を当てている。
マッコイ:「カーク。」
ゆっくりと立つカーク。「…ドクター。一体どうしたんだ…」
突然起き上がるタイリー。
カーク:「…タイリー。タイリーじゃないか。」
ノナも身体を起こした。
タイリー:「ああ、そうだ。カーク、久しぶりに会えたな。」
カーク:「一体どうやってここに。そうだ、ムガート。…思い出した。…あの時君のところに、連れてってくれと頼んだ。カヌーソを見つけて、治してくれたんだな?」
うなずくタイリー。
カーク:「…カヌーソは一種の呪い師で、医者なんだよ。草や木に詳しい。」 微笑むノナを見つめる。「薬草その他の、独特の療法を知っている。」
ノナ:「私もそのカヌーソの一人よ。…あなたを治した。」
タイリー:「女房の、ノナだ。」
カーク:「そうだったのか、それではっきりした。…ありがとう。…タイリー、君に聞きたいことがある。村人のあの武器だ。それになぜ君たちと争うようになった…」
ノナ:「それより、戦う方が先よ。」
タイリー:「お前が帰ってからいろいろなことがあった。来てくれ、向こうで話そう。」
「戦いの方法も忘れないで!」
「さあ。」 ノナを止めるタイリー。「お前はここに残れ。」

エンタープライズ。
チャペル:「反応が乱れてきました。」
ムベンガ:「予想したとおりだ。ムベンガです、あなたから目を離さないよう人をつけておきます。いざという場合には、私を呼んで下さい。」 チャペルに命じる。「意識を取り戻す気配が見えたら、すぐ呼んでくれ。目を離さないよう。」
「わかりました。」
「それから、もう一つ。何か命じられたら、必ず言うとおりにするんだ。」
「言うとおりに?」
「そう、言われたとおりにするんだ。」 医療室を出ていくムベンガ。
クリップボードを持つチャペルは、スポックを見た。


洞窟で話すタイリー。「火を噴く棒は一年くらい前に現れた。その時から、山人は何人も死んでいる。」
カーク:「それを村人が造っているというのは確かなのか。」
「村に行って様子を探った、そしてこの目で見た。」
マッコイ:「その時、よそ者はいなかったか?」
「よそ者? …いいや。」
カーク:「村へ連れていってくれないか、夜が明ける前に。」
「いいとも、だがムガートも夜出歩くんだ。一匹殺したが、連れ合いがきっと近くにいる。」
「棒の使い方は見たか…」
ノナ:「私見たわ。…あんたたちはタイリーの友達、もっと強い武器をくれればタイリーは国で一番偉くなれるわ。」
マッコイ:「…もっと強い? その武器について何か知ってるのか。」
「…タイリーからすっかり聞いたわ。だけど責めないで。命を助けるために全部聞いたのよ。」
カーク:「我々は外の世界から来たんだ。」
「空で光るものの一つからね。火を噴く棒よりもっと強い、石を火に変える物を持っているでしょ。私達はそういう武器が欲しい…」
タイリー:「ノナ、その話はやめろ!」
「造り方さえわかれば後は自分たちでやるわ。教えて。…カヌーソの昔からのしきたりでは、命を助けてもらった者は必ず礼をするのよ。」
カーク:「…それはもちろん、礼は言う。」
マッコイ:「素晴らしいしきたりだ。ただ無理強いは困るがね。」
「…我々も昔は同じ、弓矢しかなかった。その内に火を噴く棒やもっと恐ろしい武器ができて殺し合い、みんな死にかけたんだ。…だからほかの世界でそんなことが起こらないよう、今こうしてそのことを知らせているんだ。人々がみんな武器などを持たずに暮らすのが一番安全だしいいことなんだ。」
ノナ:「持たなきゃならないときがあるわ。」
「…あまり知らない武器を持つのは危ないことだ。…いま、ここにそんな物を持ち込んでは戦いが起こる。…山の者も村の者も一人残らず死んでしまう。だから武器はやれん※34。」
「じゃあ黙って村人に殺されろと言うの。…兄弟の誓いを立てた者が、生きるために戦うのに手を貸さないと言うの…」
タイリー:「やめろ! 俺は戦うのは絶対嫌だ!」
「でもこのままじゃ殺されるのよ。死んだ方がいいの? …私達を助けられる武器を持っているというのに、このまま見殺しにするつもりね? だとしたら友達じゃない。私も夫を見損なっていたわ。」 歩いていくノナ。
「…ノナにはほかの方法がわからないんだ。違うやり方で手を貸してくれるのはわかっている。行こう、夜はすぐ明ける。」 タイリーは外へ向かった。
マッコイはカークに近づいた。「何を迷ってるんだ。もしクリンゴン人が絡んでいることがわかったら、こちらのやるべきことははっきりしてる。」
カーク:「だからこそ悩んでる。やるべきことが問題だ。」 共に出ていく。

暗い中、建物の下にいるタイリーたち。
銃を持った村人が一人、歩いている。
タイリー:「見張りだ、少し待とう。」
カーク:「タイリー、もし戦いになったらどうする。」
マッコイ:「カーク、この男は我々と同じ信念をもっているんだ。殺し合いは愚劣で無益なもんだ。」
「タイリー。」
答えず、村の様子を見るタイリー。「今だ! 来い。」
隠れる 3人。カークが進み出た。
柱の陰から見張り※35に飛びかかる。首を絞められ、男は倒れた。
カーク:「銃と弾薬を取り上げろ。」
手にするタイリー。進むカークとマッコイ。


建物の中にいる、クリンゴン人※36
村人がやってきた。
クリンゴン人:「遅かったなアペラ※37、どうした。」
アペラ:「内輪揉めがあった。今日分捕った毛皮と山の女の分配だ。一人の女を分けるのは、難しい。」
「一番敵を殺した者にくれてやればいいだろ。…そうすれば皆それを見習う。」
「フン。」
「お前も今にクリンゴン人になれる。…銃ももっと良くなるぞ?」 クリンゴン人は渡した。「この撃鉄をよく見てくれ。わかるか、前のより点火薬のこぼれが少ない。撃ち損じが少なくなる。今度来るときにはもっといい物を教える。ライフル銃だ。」
「え?」
「フン。」 アペラの肩に手を置くクリンゴン人。「もっと正確に遠くのものを撃てる銃だ。」

マッコイは箱に入っている物を手にした。「カーク。純度の高い石炭に、硫黄もあるぞ。」
カーク:「よし、中を調べよう。」
建物に入った。
カーク:「ああ、ちゃんと炉がある。…証拠品ナンバー1。クローム鉄の、ドリルポイントだ。」
トリコーダーを使うマッコイ。「この銑鉄はほとんど炭素を含んでない。この村の鍛冶屋が造ったものじゃないな。証拠品ナンバー2 だ。この銃身も手作りに見せかけてあるが違うね。予想通りクリンゴンの仕業だ。」
カーク:「全部チェックしたら記録しといてくれ。」
「了解。証拠物件としてクリンゴン人を一人しょっぴいていけば…」
アペラの声が聞こえてきた。「細い筒に溝を刻むのは難しい。」
クリンゴン人:「何でもないことだ。」
カークとマッコイは隠れた。
中に入るクリンゴン人。「方法を教えてやる。」
アペラ:「村の者はもう人を殺すのに飽きている。でも言うとおり、交換するよりも横取りする方が簡単で面白い。俺もそう思う。狩りと同じで、獲物はずっと多い。」※38
「今にお前は何でももてる。思いのままだ。この村と山の頭になり、クリンゴン帝国の臣下になれるんだ。」
マッコイがトリコーダーの作動音を鳴らしてしまった。
そちらに気を取られた隙に、カークはクリンゴン人を後ろから飛び蹴りした。暴発する銃。
マッコイはアペラを倒す。クリンゴン人を殴るカーク。
外へ向かおうとしたが、村人が銃を持って待ち構えていた。


※34: 原語では、前のカークの「知らせているんだ」から後は、次のように言っています。カーク「人が自分なりのやり方で、自分のペースで成長しなければならないのと同じことなんだ」 ノナ「成長しない人もいるわ」 「他人が考えるほど早くはないかもしれないし、違うやり方になるかもしれない。だが人にも別の国にも、干渉すべきでないことを我々は肝に銘じている」

※35: うめき声だけですが、補完ムベンガ役の高瀬さんが兼任

※36: 名前は Krell (ネッド・ロメロ Ned Romero TNG第172話 "Journey's End" 「新たなる旅路」のアンスワラ (Anthwara)、VOY第113話 "The Fight" 「眩惑のカオス・スペース」のチャコティの曾祖父 (Chakotay's Great-Grandfather) 役) ですが、言及されていません。「クリル」としている日本語資料もあります。ENT第92話 "Divergence" 「優生クリンゴン」などに同名の 22世紀のクリンゴン人が登場しており、その際の吹き替えは「クレル」。メイクは TOS第32話 "Friday's Child" 「宿敵クリンゴンの出現」以降とは異なり、初登場時の第27話 "Errand of Mercy" 「クリンゴン帝国の侵略」と同じく、上向き眉毛や黒塗りの肌に戻されています

※37: Apella
(アーサー・バーナード Arthur Bernard 2001年1月に死去) 声:宮内幸平。資料では誤って「宮内幸」となっています

※38: カークが隠れるときに天井からぶら下がっているロープに当たっており、クリンゴン人たちが入るときにも揺れていますが、その後ピタッと止まっています

一旦は従う振りをして、村人 2人を倒すカークとマッコイ。逃げ出す。
声が飛ぶ。「みんな来い、敵だ!」
外で待っていたタイリーに言うカーク。「行こう、早く!」
銃を撃ってくる村人。
3人は逃げる。

目を開けたスポック。「…誰か…。」 声を上げる。
チャペル:「はい。」
「殴ってくれ。顔を殴れ、意識を回復させる…」
「駄目よ、そんな。」
「構わん、殴れ。いま意識を取り戻さなかったら手遅れになる、殴れ!」
平手打ちするチャペル。
スポック:「もっと強く! …もっと、そのままもっといいと言うまでやってくれ。」
スコットが医療室に入った。※39「おい、何てことするんだ!」 チャペルを止めた。
チャペル:「離して!」
「やめないか、落ち着きなさい!」
「ドクターの命令です、やめて。離して!」
続いてやってきたムベンガは、起き上がるスポックを更に殴る。何度も続ける。
スポックはムベンガの手を止めた。「もういい、十分だ。ありがとう、ドクター。」
ムベンガ:「大丈夫、離して下さい。」
スコット:「一体どういうことなんだ。」
スポック:「私の指示に従ってやったまでだ。ヴァルカン式意識回復法。」
ムベンガ:「ご覧の通り、ギリギリの線まで治療に集中するため意識を回復するのが一苦労なんです。」
チャペル:「ミスター・スポック、独りで大丈夫ですか?」
スポック:「ああ、ありがとう。もう完全に回復した…。」
「そのようですわね?」
ため息をつくスポック。

昼間、集まったタイリーたちに話すカーク。「いいかね、これが火皿だ。これがハンマー、撃鉄だ。これで火皿を叩くと火花が散って火薬に火が点き、それで弾が飛び出す。」 先の方には標的が置いてある。
キャンプから歩いてくるマッコイ。
カーク:「よーし、いま言ったとおりに狙って?」

構えるタイリー。
カーク:「そのまま息を止め、そっと引き金を引く。」
命中した。驚く山人。
カーク:「いいぞ上手い、その調子だ。」
マッコイ:「カーク、ちょっと話がある。」
「…ここじゃまずい、洞窟へ行こう。ユタン、続けてくれ。」
ユタンは銃を手にする。呆然とするタイリー。

洞窟のマッコイ。「やってることがわかってるのか? この楽園にはもう一匹のヘビが忍び込んで、一方にとんでもない知恵をつけたんだ。それを全部に広めようって言うのか!」
カーク:「その通り、だからこうなったら双方同程度の武器と知識をもたせなきゃあならんのだ。」
「気でも狂ったのか、カーク。そうだ、そうに違いない。タイリーの妻、あの女がまじないか麻薬を使ったんだ。何でも言うなりになる、そう言った!」
「迷信だ。」
「あの女の望みと一致したのは偶然なのか?」
「違う、彼女はもっと強力な武器を欲しいと言ってるんだ。」
「ああ…」
「ドクター、わかるだろう。この惑星の正常な発展は、村と山の部族の力の現状維持に懸かっている。クリンゴン人はそのバランスを銃で崩した。このままでは、山の部族は滅びる。それを防ぐためには、村の連中と同じ兵力をもつ以外に手はないんだ。」
「本当に気は確かか、この惑星に終わりのない戦いをもちこもうと言うんだぞ。何年も何年も血で血を洗い、いつまで経っても勝ちも負けもない…」
「もういい、わかった! …よかろう。魔法を掛けられた、一服盛られた、何とでも好きなように言ってくれ。しかし、ここの連中がクリンゴンの手で破滅させられるのをほっておけると思うか。」
「だからどうしろと言うんだ! 彼らに武器を与えることが解決策になるとは思えんがね。」
「ドクター。20世紀にアジアで起きた戦争を忘れたわけじゃないだろ。連邦とクリンゴンのような二大国家が介入して、どちらもずっと引かなかった。」
「ああ、覚えてる。多くの命を犠牲にした戦争だ。」
「では君ならどうした。…もし、あの時一方だけに圧倒的な武器を与えたとしたら。地球は滅び、宇宙旅行は夢のままに終わっていたはずだ。だから彼らを助ける方法は、一つしかないんだ。わかるな。…力の、バランスだよ。」
「クリンゴンが武器を増やしたら、どうする。」
「その時は、我々もそれと同じ量の武器を提供すればいい。力のバランスをとるんだ。確かに愚かで醜いやり方だが、彼らを生き残らせるためにはそれしかない。」
「君の友達のタイリーは? その力のバランスってやつを理解してくれると思うか。」
「いや、それはわからない。だがちゃんと、話してみるつもりだ。納得してもらえるように。…こんな大変な任務は、初めてだよ。」
「…なあカーク。
君個人としても苦しい立場になるぞ。タイリーが戦わなければ、最初に死ぬのはまず彼だろう。」
「…私も、戦いを進めたくはない。しかし、生きるためだ。…説得するのは妻に任せるほかない。…銃の提供をノナに申し入れれば、多分納得させるだろう。」

エンタープライズ。
制服に戻ったスポックが、ブリッジに入った。「ミスター・スコット、位置は?」
スコット:「周回軌道に入るところです。ランデブーの時間でしょう。」
「クリンゴン船は。」
チェコフ:「まだ、気づいていません。惑星から誰かを転送したようです。」
「船長からの通信待機だ。」
ウフーラ:「はい。」

カークは目を留めた。滝で水浴びを終えたノナが歩いていく※40
カーク:「ノナ、構わないか?」
ノナ:「ここに来たのは私が呼んだからよ?」
「自分の意思で来たかと思った。」
笑うノナ。「そうよ? 自分ではみんなそう思ってる。タイリーの時だって同じ魔法を掛けて言いなりにしたのよ?」

カーク:「ノナ…」
「この葉の、匂いを嗅いでみて? …誰でも好きになるわ?」
「君に話があるんだ。」
「嗅いで。気分が良くなるわ。」 カークの前で葉を動かすノナ。「そうよ?」
「それより今…」
「気分はどう?」
銃を持ったタイリーが歩いてきた。
ノナ:「そう、良くなったわね?」
抵抗できないカーク。
2人の様子を見るタイリー。
ノナから離れるカーク。「君に頼みがある。」 だが腕をつかんだ。「そうだ、君は美しい。」
タイリーは銃を構えた。
カーク:「…素晴らしい女だ。」
ノナ:「抱いて。」
キスをする 2人。
狙いをつけるタイリー。しかし、手を下ろした。
撃鉄を戻し、銃を捨てる。弾薬も捨て、来た道を走っていった。
突然、ムガートの叫び声が響いた。岩山にいる。
ノナは逃げようとするが、離さないカーク。地面を走ってくるムガート。
ムガートがすぐそばに来たが、カークにはノナしか見えていない。倒れたノナに襲いかかろうとするムガート。
カークは動けない。叫び、必死で逃げるノナ。
カークは何とかムガートにつかみかかった。だが殴られ、弾き飛ばされる。
フェイザーを取り出すカーク。ノナが見ている前で、ムガートは蒸発させられた。
まだ起き上がれないカーク。ノナはフェイザーに手を伸ばそうとする。
石をカークに向かって振り下ろした。

キャンプのマッコイ。「カークはどこだ。」
ユタン:「タイリー、火を噴く棒をどこへやった。」
タイリー:「向こうだ! あんな物捨ててきた!」
マッコイ:「その辺に捨てといたら危ないぞ。その場所を教えてくれ。」
向かうタイリーたち。

フェイザーを奪って歩き出すノナ。追えないカーク。
銃を示すタイリー。ユタンが拾った。
タイリー:「そんな物もういらん!」
声を上げるカーク。
マッコイ:「カーク。」 近づく。「カーク。」
そばの石を拾う。「誰がやった。」
カーク:「…ノナ。」

独り走るノナ。立ち止まった。
前から村人たちが歩いてくる。脇に隠れるノナ。
村人の前に立ち、フェイザーを掲げた。「アペラに知らせな? もう勝ったも同然よ?」
村人1※41:「タイリーの女だ。」
村人2:「カヌーソだぞ。」
「獲物をアペラに独り占めさせん!」
ノナ:「村へ案内をし。この武器さえあればもうアペラなんか怖くないんだ※42。」
銃を仲間へ渡し、ノナをつかまえようとする村人。平手打ちされる。
ノナ:「もう一度触ってごらん? この小さな箱がお前たちを殺すよ?」
だが村人たちの数が多いため、抱きついてくる男たちに抵抗できないノナ。

薬を飲むカーク。「もう大丈夫だ。…フェイザーがない。…ノナだ。」

ノナの手に握られたフェイザー。「この武器は火を噴く棒より、ずっとずっと強いんだよ!」※43
村人に無理矢理キスされる。ナイフを手にするが、やはり敵わない。
カークたちが走ってきた。
タイリー:「ノナー!」
村人3:「山の奴らだ!」
村人1:「これは罠だぞ、女は囮だ!」
村人はナイフでノナを刺した。さらに銃を撃ってくる。
マッコイの腕に当たった。向かうタイリーとカーク。
ユタンも銃を使う。取っ組み合いが始まった。
腕を押さえ、ゆっくりと近づくマッコイ。ノナの脈を取る。
岩を使うタイリー。村人に飛び蹴りするカーク。
タイリーが村人に再び岩を振り下ろそうとするのを、カークは止めた。岩を投げ捨てるカーク。
近づいたタイリーに言うマッコイ。「死んだ。」
ノナの遺体に両手を置いたタイリー。
そばに落ちていた銃を拾う。「この棒をもっとくれ、カーク! …みんなの分も! …ユタン! ノナを殺した奴らは 2人逃げた! 後をつけろ! …必ず殺してやる。」 歩いていくタイリー。
マッコイはフェイザーを拾った。「あった。」
受け取るカーク。「これも、いずれはみんなの手に。」
マッコイ:「望みを達したわけだな。」
「誰がこれを望むんだ。やむをえない処置だ。」 コミュニケーターを手にしたカーク。「カークだ。」
スポック:『スポックです、そちら異常ありませんか?』
マッコイ:「スポック、生きてるのか。」

スポック:「非論理的質問ですね、ドクター? この通り私の声は聞こえると思いますが?」 隣にいるスコット。

マッコイ:「ああうかつだったよ、コンピューターが死ぬはずないな。」

微笑むスコット。

カーク:「スコッティに、フリントロック銃を 100丁造るのにどのくらいかかるか聞いてくれ。」

笑っていたスコット。「すいません今聞き漏らしましたが、100丁の何ですって。」

カーク:「悪魔さ、ヘビだよ。エデンの園にヘビを放つんだ。…我々はもうクタクタだ、スポック。転送を頼む。」

エンタープライズは惑星を離れた※44※45


※39: DVD では本文のように全て吹き替えし直されていますが、それ以外ではスコットが入ってくる部分がないため、スコット「おい、何てことするんだ! やめろ!」 チャペル「…離して、ドクターの命令です。やめて、離して!」のみ

※40: ノナが背中を露わにして水浴びをしているシーンも撮影されましたが、結果的にカットされています。一説によると規制のためであり、そのせいでこの個所以外の (比較的マイルドな) 過激シーンが残ったままになったということです。水浴びシーンはブルーパー (NG集) 映像に残っており、その他おふざけシーンとしてカークが洞窟に運ばれた後で股から矢を引き抜かれたり、ムガートがスタッフらしき女性とピクニックを楽しんだりしているものが含まれています (YouTube - Star Trek Bloopers 3)

※41: パトロールリーダー Patrol Leader
(ポール・バクスレー Paul Baxley TOS第17話 "Shore Leave" 「おかしなおかしな遊園惑星」の黒騎士 (Black Knight)、第38話 "The Apple" 「死のパラダイス」の原住民 (Native)、第42話 "The Trouble with Tribbles" 「新種クアドトリティケール」のフリーマン (Freeman)、第43話 "Bread and Circuses" 「もう一つの地球」の警官その1 (Policeman #1)、第45話 "A Private Little War" 「カヌーソ・ノナの魔力」のパトロールリーダー (Patrol Leader)、第52話 "Patterns of Force" 「エコス・ナチスの恐怖」の兵士その1 (First Trooper)、第55話 "Assignment: Earth" 「宇宙からの使者 Mr.セブン」の保安主任 (Security Chief)、第60話 "And the Children Shall Lead" 「悪魔の弟子達」の保安部員 (Secutiry Guard)、第64話 "The Tholian Web" 「異次元空間に入ったカーク船長の危機」のデファイアント船長 (Defiant Captain) 役。スタント代役、スタント調整)

※42: 原語では「この武器さえあればアペラは強くなれる」

※43: 背景にロサンゼルス市街が映り込んでいます

※44: 最後のシーンで流れるのはいつものファンファーレではなく、暗い雰囲気になっています。この音楽が使われているのは、TOS で唯一だそうです

※45: エンディングで 4枚目に登場する写真は、前話 "Journey to Babel" 用のテレライト (テラライト) 人のテストショット

・感想など
なぜか日本では最終話になってしまったエピソード。シーズンまで飛び越えたというのは、もちろんスタートレックで唯一の例です。基本的なストーリーは艦隊の誓い (Prime Directive) 型。何とも皮肉の効いた原題や、本編中でも「20世紀のアジアの戦争」とあるように、当時まだ続いていたヴェトナム戦争を強烈に意識した内容になっています。ちなみに「アジアの戦争」の下りは、本文の通り従来の日本オンエア版ではカットされています。もしかすると意図的な処置だったのかも。
TOS としては暗い終わり方で異質ですが、後のシリーズも含めて考えると ST らしい一面を見せていると思います。原案としてクレジットされている Jud Crucis は、Don Ingalls のペンネーム (ロッデンベリーがヴェトナム戦争と似通った部分を書き直したため)。このエピソードガイドの人気順で意外に上位に食い込んだのは、それまでの第3シーズンと比較すれば上質だという相対的な印象かもしれませんね。人気と言えば白猿ムガート。本国のグッズなどで取り上げられることが、妙に多いようです。


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