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ディープスペースナイン エピソードガイド
第175話「終わりなきはじまり」(前)
What You Leave Behind, Part I

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エピソードガイド エピソードガイド

・イントロダクション
※1※2※3裸で寝ているベシア。コンピューターの目覚ましが伝える。『午前5時です。』
ベシア:「…わかった。」
隣で寝ていたエズリが起きあがった。「ジュリアン?」
ベシア:「ああ。」
肩にキスするエズリ。「起きなきゃ。大事な日よ?」
ベシア:「夕べの方が大事だ。」
エズリも何も着ていない。
ベシア:「長年の疑問が、いろいろ晴れたしね。」
エズリ:「どんな?」
「例えば、この斑点はどこまで続いているのか。」
笑うエズリ。「きっとマイルズに教えるんでしょうね?」
ベシア:「そんなことするわけないじゃないか。」
「だって何でも話すじゃない。」
「まあね。でもこの件は、例外だ。僕だけの秘密にする。」
「よかった。ん…ほんとに起きなきゃ。ディファイアントにおいて行かれちゃうわ?」
「一夜を共にした人と戦闘に出るのは初めてだ。」
「…何事にも初めてはあるわ。」
「やっとこうなれたんだ。もしどっちかに、何かあったりしたら。」
「…約束しましょう? 絶対生きて帰るって。」
「ちゃんと守ってくれ?」 二人は口づけを始めた。
「あなたも絶対ね。」

制服を着るオブライエン。「忘れるなよ? 明日朝 9時に、キラヨシの検診だ。」
ケイコ※4:「バンディ看護婦※5に予約の確認も入れたわ? ほら、もう一口ねぇ?」 キラヨシ※6に朝食を食べさせている。
「それに論文書きで徹夜するなよ? あの何とかいう木の…」
「アーフィリアン・イチジク※7。木は木でも灌木よ?」
「ああとにかく、ちゃんと寝ろよ? それから…」
「あなた。私たちなら大丈夫だから。」
「ああ。モリー!」 部屋にアラモ砦の模型※8が置いてある。「触っちゃダメだ。」
モリー※9:「私のおもちゃは触るくせにー。」
「でも、これはおもちゃじゃない。これは、模型だ。」
ケイコ:「じゃあ博物館に置いたら?」
「……ジュリアンに譲ろうと思う。」
「それがいいんじゃない? そういえば、ジュリアンには、艦隊から内示があった話はしたの?」
「いやあ、まだ言ってない。」
モリー:「やっぱりだー!」
「やっぱりって何が?」
「地球に帰らないんでしょう。」
「もちろん帰るさ。パパは、アカデミーの先生だ。戦争が終わったら。」
「じゃ何でジュリアンに言わないの?」
言葉に詰まるオブライエン。
ケイコ:「『子供は鋭い』わね?」
オブライエン:「ん…言うさ、タイミングだ。あいつ、ショック受けるから。」

シスコはキャシディ※10の額に布を置いた。「どうだ。」
キャシディ:「頭痛にはいいでしょうけど、今気持ち悪いのはお腹なのよう。」
「知ってるか。つわりは最初の 3ヶ月で終わるらしい。」
「あと 2ヶ月もあるのよ、我慢できないわ?」
キスするシスコ。「大丈夫だ。」
キャシディ:「ベン?」
「ん?」
「…一つ約束して。私たちのもとへ戻ってくるって。」
「約束する。」
「信じられない。」
「約束すると言っただろ?」
「…本気とは…んー!」 口を押さえ、隣の部屋に駆け込むキャシディ。
ドアチャイムが鳴る。
シスコ:「入れ。」
ジェイクが入った。「父さん。船まで見送ろうと思って。」
シスコ:「嬉しいね。」 抱き合う二人。
「ああ…キャシディは?」
咳き込みながら戻ってきたキャシディ。「死亡届を出すほどじゃないにしても、近い気分よ。…んー…」
ジェイク:「つわりに効く薬、あるんじゃないの?」
シスコ:「どうしても必要って場合以外は、薬は飲みたくないと言ってるんだ。」
キャシディ:「ああ…」
ジェイク:「必要だと思うけどなあ?」
「出ていくの待ってると余計気分が滅入るわ。行くんなら行って! 早く!」
シスコ:「うん…。」 キャシディに近づく。「本当に、できることはないのか?」
「早く行って早く戻って。うう…! ああ…」 また駆け込んだ。

プロムナードを歩いているウォーフに追いつくオドー。「ご一緒してもいいですかな?」
ウォーフ:「もちろん。君も今回の作戦に参加するそうだが…カーデシアに到着したら、キラ中佐を無事発見できるといいな。」
「そう願ってます。心から。」
2人はエアロックに入る。

新生ディファイアントは、DS9 とのドッキングを解除した。
ノーグ※11:「艦長がいらっしゃいました!」
シスコ:「いいか、諸君。戦争を終わらせようじゃないか。」
オブライエン:「賛成ですね。」
「少尉。カーデシアへのコースはわかってるな。」
ノーグ:「迷いそうになったら、前の船について行きますよ。」
連邦、クリンゴン、ロミュランの艦隊は、DS9 を離れていく。※12


※1: このエピソードは、DS9 最終話 (シリーズ・フィナーレ) の前編です。アメリカ本国では基本的に 2時間エピソードとして放送されたため、前後編に分けられた際に一部カットがあります。このエピソードガイドでは色を変えた上で、簡単な画像つきで紹介しています

※2: 小説版が発売されています Amazon.com / スカイソフト / Amazon.co.jp

※3: 最終話は 1999年度のエミー賞、特殊映像効果賞にノミネートされています

※4: ケイコ・オブライエン Keiko O'Brien
(ロザリンド・チャオ Rosalind Chao) DS9第148話 "Time's Orphan" 「時の迷い子」以来の登場。声:吉田美保

※5: Nurse Bandee
宇宙艦隊医療部員。DS9第173話 "Extreme Measure" 「心の決死圏」に登場。吹き替えでは「ナース」のみ

※6: キラヨシ・オブライエン Kirayoshi O'Brien
DS9 "Time's Orphan" 以来の登場

※7: Arfillian ficus

※8: DS9第170話 "The Changing Face of Evil" 「変節の時」より

※9: モリー・オブライエン Molly O'Brien
(ハナ・ハタエ Hana Hatae) DS9 "Time's Orphan" 以来の登場。声:棚田恵美子

※10: Kasidy
(ペニー・ジョンソン Penny Johnson) 前話 "The Dogs of War" 「自由への叫び」に引き続き登場。声:弘中くみ子

※11: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:落合弘治

※12: この個所を初め、以前の艦隊映像の使い回しが用いられています

・本編
カーデシア・プライム。
ウェイユン※13:「連邦侵略軍がディープ・スペース・ナインを出ました。」 宙図が表示されている。「明日の夜には、カーデシアの境界に達するでしょう。」
ブリーン人のソット・プラン。「――。」
女性可変種※14:「有能なジェムハダー兵士にはモットーがあります。『勝利こそ、命。』」
「――。」
「そうですか、知っていますか? 今日ほど、この言葉が意味をもつ日はありません。この決戦の結果が、戦争の行方を決めるのです。侵略軍を倒すか、さもなくば我々が破滅するか。二つに一つです。」
「――。」
「功績を上げれば、ロミュラス星はあなた方のもの。好きにして下さい。」
「――。」
「ええ…地球もね?」
ウェイユンは振り返った。
ソット・プラン:「――。」
女性可変種:「もちろんです。喜んで差し上げるわ?」
「――。」 女性可変種の前を離れるソット・プラン。
ウェイユンは女性可変種を見る。
女性可変種:「何か言いたいことでも?」
近づくウェイユン。「実を言うと、浅はかにも、連邦の領域は全て私が管理するものと、誤解していたものですから。地球も、含め。」
女性可変種:「そうなるでしょう。」
「でも…先ほどブリーンに…」
「アルファ宇宙域全てを譲り渡す、とでも言います。それでこの戦争に勝てるなら。」
「…創設者は常に思慮深くていらっしゃいますね。」
レガート・ブロカ※15が入る。「創設者。反逆者ダマールの、不穏な噂があります。」
ウェイユン:「噂というと?」
「生きている可能性が。」
女性可変種は立ち上がった。「始末したのでは?」
ウェイユン:「そのはずです。奴の船もアジトも破壊して。」
女性可変種:「でも死体は見つかってないわね。」
ブロカ:「このカーデシア・プライムに、いるという噂です。しかもこの首都に。」
「事実を解明なさい。」
ウェイユン:「…もしも本当なら…。」
ブロカ:「生かしては、おきません。」 礼をし、部屋を去った。

夜の街をジェムハダーが巡回している。
隠れながら動くガラック※16とダマール※17
だが背後から呼び止められた。ライトを当てられる。
「止まれ! 一歩前へ出ろ、ゆっくりだ。」 ジェムハダー※18が銃を向けている。
ガラック:「ああ、すいません! 何かしました? 田舎から出てきて、迷っちまいまして。」
「黙れ! ……レガート・ダマールだな。」
ダマールに話すガラック。「ほら見ろ、奴に似てるんだよ。私の従弟なんですが、何度も間違われて参りますよ。」
ジェムハダー:「ドミニオン司令部へ連行する。お前は、ここで死ね。」 ガラックに銃を突きつける。
ブリーン人の声が響いた。「――。」 姿を見せる。
ジェムハダー:「何を言ってるかわからん。」
その瞬間、ブリーン人は武器を発射した。2人のジェムハダーを撃ち殺す。
マスクを外すと、それはキラだった。
ガラック:「やあ…助けられて言うのもなんですが、ここで何してるんです!」
キラ:「あなたたちの護衛。」
ダマール:「安全のためあんたは姿を隠すと約束したろ。」
「ヘルメットがあるわ、あなたこそ危ないわよ? …この星のジェムハダーとブリーン全員があなたを追ってる。」
「地下室に隠れたままで反乱の指揮は執れない。今夜の集会に出なきゃならないんだ。」
「わかった。後で報告して? 誰かに会ったら、捕虜で通すわよ。」 歩いていく 3人。

地下室で話すガラック。「満場一致で決定したんです。破壊活動は明日から始まる。」
ダマール:「カーデシア全域で発電所、通信施設、輸送手段を破壊する。」
「ドミニオン艦隊を地上支援から切り離すんです。」
まだブリーン人の服を着ているキラ。「連中は宇宙空間に孤立するわ。」
笑うガラック。
ダマール:「ドミニオンを潰せば…」
ミラ※19:「カーデシアは再び自由になる。」 階段を降りてくる。「あなたが子供の頃からずっと心配してたわ。…いつも面倒を起こしてた。隠し事ばかりしていつも何か企んで。誰が思ったでしょうね、あんな困った子が…こんな立派になるとは! …お代わりは?」
ガラック:「優しいね。」

カーデシアへ向かう連合艦隊。
カット1シスコは音に気づいた。「聞こえるか、チーフ?」
オブライエン:「…ドップラー補正機の位相がずれているようです。」
「船の操縦はどうだ、少尉。」
ノーグ:「この船は前のディファイアントほどスムーズじゃありません、艦長。少し鈍いみたいです。」
「チーフ。」
オブライエン:「やってみます。オブライエンより機関部。」
機関部員の応答が返る。『機関部です。』
オブライエン:「慣性制動機を再修正して、そこにいる間プラズマ流調整機をチェックしててくれ。」
『すぐ取りかかります、チーフ。』
「誰か良い慣性制御システムを考え出すべきだなあ。」
ベシアがブリッジに入る。「何だい、チーフ?」
オブライエン:「だから、お前のニヤツキ顔は頼むからやめてくれ。初めて恋したわけでもなかろうに。」
「喜んでくれてると思ってたけど。」
「喜んでるさ! オブライエンより機関部。」
機関部員:『機関部です。』
「今度は誘導コイルを再調整してくれ。」
『わかりました。』

エズリは隣のウォーフに尋ねた。「ほんとに怒ってない?」
ウォーフ:「なぜ私が怒るんだ。先月からずっとドクターに気持ちを伝えろと言っていたのが私だぞ。」
「だから…彼に気持ちは伝えたわ?」
「よかったじゃないか。」
「…ホッとした。」
「…だが、私はドクターを殺しに行く。」
「冗談よね?」
「…ジャッジアはユーモアがないとぼやいていた。」
オブライエンはベシアに切り出した。「ジュリアン、お前に言わなきゃならんことがある。」
ベシア:「ケイコに急かされたんだろ?」
「どうして知ってる。」
「でかいことだしな。でも覚悟はしてたよ。」
「ケイコと、前から考えてたんだ。」
「もう考えなくていいよ。アラモは僕の部屋に移そう。」
ノーグ:「チーフ、トルクバッファをもうちょっと平行に調整できます?」
オブライエン:「わかった。衝撃反応フィルターで補正するよう、試してみる。」
ベシア:「そうすりゃ君らの部屋は片づくし、好きな時見に来ていいよ。」
「アラモの模型の話じゃないんだ。それにお前の部屋にはでかすぎる。」
「そりゃ僕が考える。じゃ、何の話なんだ。」
「…別に後でいいんだ。…良くなったか、ノーグ?」
ノーグ:「トルクバッファは安定。」
シスコはオドーに言った。「彼女は心配だな。」
オドー:「……ただ、キラがどこにいるか、無事でいるのか、それさえわかればいいんですが。」
「中佐は悪運が強い。」
「……艦長、この戦争を…終わらせないと。」
「終わるよ、すぐな。どちらが勝っても。」

シスコの意識は飛んだ。心臓の鼓動。
シスコ:「母さん。」
預言者サラ※20:「選ばれし者の仕事は、じき完了する。」
「戦争のことを言っているんですか。」
「お前は預言者たちの示した道を歩いてきた。今ひるんではならない。」
「ええ、わかってます。」
「…息子よ。聞くのです。旅の終わりは、これからではなく…もう既にきています。」

シスコを呼ぶオドー。「艦長? 艦長!」
シスコ:「預言者が、ビジョンに現れた。」 目を押さえる。
「それで、良くない知らせなんですね?」
「それははっきりしない。いずれわかるだろう。」

惑星ベイジョー。
カイ・ウィン※21はコスト・アモージャンの書物を読んでいる。
ドアが開き、ベイジョー人姿のガル・デュカット※22が立っていた。「やあ、アダミ。」
顔も向けないウィン。「戻ったの。」
デュカット:「…喜んではくれないのか。」
「…パー・レイスは視力を戻して下さったのね?」
「ああ、許して下さった。あなたも同じ気持ちになってくれたかと思ったが?」
「戦争犯罪人を許せると思う? …ガル・デュカットとベッドを共にしたなんてヘドが出るわ。ベイジョー史上最も忌み嫌われた男とね。」
「それなら言ったじゃないか、私が占領時代にしたことをどんなに悔いているか。」
「そうでしょうとも。」
「…パー・レイスを、解放する方法はわかったのか?」
「コスト・アモージャンの秘密のことを言ってるなら、ええ、明らかになったわ?」
「ならなぜ炎の洞窟へ行って彼らを解放しない。」
「あなたを待ってたのよ。」
微笑むデュカット。「では許してくれたのか。」
近づくデュカットを避けるウィン。「あなたの力が必要。それだけのことよ。」
だがデュカットは手を取った。「喜んで協力するとも。二人でパー・レイスたちを解放しよう。彼らは天空の神殿へと向かい、預言者たちを滅ぼしてくれるだろう。」 手に口を近づける。
ウィン:「選ばれし者もね。」
「いやいや、ベンジャミン・シスコはこの私が始末するんだ。私が、独りで。」
「カーデシア侵攻から生きて戻ればでしょう?」
「彼は戻るとも。だがそれを…」 ウィンの手にキスするデュカット。「後悔するだろう。」
ウィンは微笑んだ。


※13: Weyoun
(ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:内田直哉

※14: 女性流動体生物 Female Shapeshifter
(サロメ・ジェンス Salome Jens) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:宮寺智子

※15: Broca
(メル・ジョンソン・Jr Mel Johnson, Jr.) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場

※16: Garak
(アンドリュー・J・ロビンソン Andrew J. Robinson) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:大川透

※17: Damar
(ケイシー・ビッグス Casey Biggs) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:古田信幸

※18: Jem'Hadar
(Kevin Scott Allen)

※19: Mila
(ジュリアナ・マッカーシー Julianna McCarthy) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場

※20: サラ・シスコ Sarah Sisko
(Deborah Lacey) DS9第168話 "'Til Death Do Us Part" 「偽りの契り」以来の登場。声:羽鳥靖子

※21: Kai Winn
(ルイーズ・フレッチャー Louise Fletcher) DS9第171話 "When It Rains..." 「嵐の予兆」以来の登場。声:沢田敏子

※22: Gul Dukat
(マーク・アレイモ Marc Alaimo) DS9 "When It Rains..." 以来の登場。声:幹本雄之

DS9。
ヴィック※23:「一晩中動かない気か?」
クワーク:「3 は、あるか?」
「引いてみろ。」
クワークはテーブルのトランプを一枚引いた。
ヴィック:「おい、やめるのか?」
クワーク:「俺には向かない。」
「もう一度、ピノクルにするか? ラミーは、ジン・ラミー。ポーカーか? カナスタか。」
「トンゴはどうだ?」
「1962年のヴェガスにあったかなあ。」
「いや、フェレンギのゲームだ。」
「だから私のホログラムではトンゴはできないんだ。」
「ああ、時代背景に忠実なんだよな? ホログラムにしちゃあ、不親切なこった。」
「おいおい、悪口を言いに来たのか?」
「暇でやることがないからだよ。俺の店にゃ一日 5、6人しか客が入ってない。みんなアホな戦争で出払ってんだ。」
「残される方も辛いな。仲間が命がけで戦ってるのに。」
「奴らがタフだって? 俺と一日でも代わってみりゃいい。サービス業は気弱な奴には務まらねえよ。」
「バーテンダーの人生は孤独だ。」
「そうとも。誰もわかってやしない。毎日パーティだと思ってる。パーティのホストは楽しむ暇なんかないんだよ。みんなを楽しませるので忙しくてな。一日中、毎日俺はサービス、サービス、サービスだ。」 ラウンジにバンドのメンバーが入ってくる。
「バーテンダーは気高い職業だ、よくやってるよ。更に言うなら、この難しい時期にね。自慢していい。」
「そうかな。」
「決まってるさ、相棒。」
「甥っ子のノーグも、英雄ぶった馬鹿連中も、無事戻るといい。」
ドレスを着た女性、ジンジャー※24がやってくる。「ここにいたの? ヴィックったら、もう出なきゃ。ショーが始まるわよ?」
ヴィックは立ち上がった。「悪いね、行かないと。デュランテ※25とローフォード※26なんだ。見逃せない。」
クワーク:「バーテンダーは、孤独だって言わなかったか?」
「言ったよ? でも私はバーテンダーじゃない。」 カードを置き、出ていくヴィック。
笑うバンドのメンバー。
クワークはヴィックの残したトランプを見た。「ハ。」 3 だ。「やられた。」

入り口に石像が彫られた洞窟。
デュカットとウィンが歩いてくる。
ウィンは岩に座った。「ああ…ああ…」
デュカット:「本当に、そう何度も休まなきゃ歩けないのか?」
「…待たなくていいのよ、先に行ったらどう? そしてこの洞窟の中を、死ぬまであてどもなくさまよったらいいわ…。」
「急いじゃいない。」 デュカットも腰掛けた。「…占領時代には、ベイジョー人がこの洞窟を恐れるのが随分滑稽に…思えたな。実際、訪れる機会はなかったが…今こうしている。皮肉なものだなあ。」
「だったら何!」
「なぜそう食ってかかるんだ…」
「きっと占領時代の面白い逸話がさぞたくさんあるんでしょうけど? そんな話は聞きたくもないわね。」
「だったらすまなかったなあ、アダミ。」
「それに『アダミ』と呼ぶのはやめて。あなたにはもうその資格はないわ。」
「なら、何と呼べばいいのかな?」
「今度は皆と同じに、『カイ』と呼んでもらいます。いいですか。」
礼をするデュカット。「承知を。」 歩いて行くウィンに言う。「カイですね。」

カーデシア。
女性可変種:「理解はできます。しかし 2千年間、ジェムハダーは…ドミニオンの防衛を最前線で担ってきた。ブリーンにその座を譲れば、彼らの志気に大きく関わります。」
ソット・プラン:「――。」
「妥協策で、新たな同盟関係を機に…ジェムハダーにはブリーンと共に前線につくよう、私から言い聞かせましょう。」
「――。」
「それでは、そういうことで。」
ウェイユン:「編隊に問題がある。」
ソット・プラン:「――。」
「前線の勢力が散らばりすぎています。この、中心部では特に。」 宙図を示すウェイユン。「もっと軍勢を送る必要があります。」
女性可変種:「どうですか?」
ソット・プラン:「――。」
「ジェムハダーに知らせなさい。中心部を補強するよう命令して。」
突然、部屋の照明が暗くなった。
女性可変種:「今度は何!」
ソット・プラン:「――。」
コンピューターを操作するウェイユン。
『非常用パワー、オン。』 ライトは戻った。
ブロカが入る。「創設者! ご無事で安心しました。」
ウェイユン:「長距離センサーが使用不能です。ジェムハダー艦隊と交信できない。」
ソット・プラン:「――。」
「続けますとも!」
女性可変種:「パワーダウンの原因は何?」
ブロカ:「妨害工作と思われます。」
ウェイユン:「カーデシア・プライムの多くのドミニオン施設が、被害に遭っています。」
女性可変種:「ダマールめ。」
ブロカ:「テロリストを数名捕らえました。それが兵士ではなく、普通の一般市民でした。」
女性可変種は、ブロカの首をつかみ上げた。「ではカーデシアの一般市民までが、我々に反旗を翻しているというのですか!」
苦しむブロカ。「ごく少数の不平分子と、思われます…」
女性可変種:「そうだという証拠はどこにあるんです!」
「ああ…」
ウェイユン:「創設者、提案があります。」
女性可変種:「聞かせてもらいましょう? ブロカも興味があることでしょうからね。」
「もしもカーデシア市民がテロ活動に関係しているなら、もしダマールと支持者に扇動されているなら…市民たちを、罰するべきです。」
「さあ、どうなのです、ブロカ。」
ブロカ:「厳しく…罰します。」
「ああ…」 女性可変種が手を離すと、ブロカは床に倒れ込んだ。「意見が一致しましたね。手配なさい。」
首を押さえるブロカ。


※23: ヴィック・フォンテーン Vic Fontaine
(ジェイムズ・ダーレン James Darren) DS9第165話 "Badda-Bing, Badda-Bang" 「アドリブ作戦で行こう!」以来の登場。声:堀勝之祐

※24: Ginger
(シンディ・パス Cyndi Pass) 名前は言及されていません。DS9第144話 "His Way" 「心をつなぐホログラム」以来の登場

※25: Durante
ジミー・デュランテ (Jimmy Durante、1893〜1980年)

※26: Lawford
ピーター・ローフォード (Peter Lawford、1923〜1984年) どちらのファーストネームもジンジャーが言及していますが、訳出されていません

地下室のダマール。「24分経った。」
キラ:「悪くない。」
作業するガラック。「ドミニオンは未だに首都のパワーも回復できてない。…星全体が大混乱だろうな。」
ダマール:「だといいねえ。」
ミラ:「明かりは 2本しか見つからなかったわ? あと何本かあるはずなんだけど暗くて…」
ガラック:「余計な話はいいから早く渡してくれ。」
「またそんなつっけんどんな言い方! 昔からほんとにわがままで感謝を知らない子でしたよ。」
「変わってなくて嬉しいだろう?」
ダマール:「これでドミニオンにメッセージを送れた。カーデシア市民は自由のために戦うんだ。」
キラ:「まだ序の口だってことも伝わってるといいわね。更に行動を起こすわ、もっと派手に。」
ガラック:「簡単にはいきませんよ。警戒を強めるでしょうからね。」
「関係ないわ、この勢いを止めちゃだめ。」
ダマール:「その通りだ。このまま突き進み、自由を勝ち取る。…その時には、深く感謝する。あなたがいたからこそ、大きなうねりになった。」
ガラック:「皮肉なもんですね。カーデシアの救世主が、元ベイジョーのテロリストだとは。」
キラ:「まだ聖人扱いはしないでよ。」
地下室の明かりが戻った。
ダマール:「26分半経ったなあ。ドミニオンの言い分を聞いてみるとするか。」
ウェイユンが通信装置に映し出される。『カーデシアの市民諸君。同盟者ドミニオンへの一連の妨害工作を許すことは、できません。』
ガラック:「さあ、止められるかな?」
『…これらの恥ずべき破壊行為は、一握りの過激派の仕業であることはわかっています。しかし一握りとはいえ、我々は彼らの反政府運動を、このまま見過ごすつもりはありません。その度に、あなた方市民が、彼らの卑劣な行為の代償を払うことになるでしょう。そこで、報告しておきます。先ほどドミニオン軍の攻撃で…ラカリアン・シティー※27は、廃墟と…化しました。』 ショックを受けるキラたち。『生存者はゼロです。200万の、男女や、子供たちが、消えました。一瞬にして。またドミニオンに対し破壊活動が行われた場合、その度にカーデシアの都市を、壊滅させます。我々もそんなことはしたくないのです。…ドミニオンとカーデシアは友好関係にあるんです。その精神に立ち返りましょう。そうすれば共に、共通の敵を倒すことができるのです。連邦、クリンゴン、ロミュラン、抗うものと戦いましょう。…以上です。』 通信は終わった。
ダマール:「チャンスがある時にあの男を殺しとくべきだったよ!」
キラ:「チャンスは作るの。ドミニオン本部を襲撃するわ。」
ガラックは立ち上がった。「ヘビの頭を切れば胴体は死ぬ。」
キラ:「その通り! ダマール、あなた 2年間あのビルに住んでたも同然なんでしょ?」
ダマール:「侵入方法を知ってるかということならノーだ。今のセキュリティコードがわからないとな。」
「じゃあ強行突破ね。爆発物が必要になるわ。」
ガラック:「調達してくる。」
ミラ:「そんなこと自殺行為よ!」
「ミラ、励ます気がないなら、せめて黙っててくれ。」
「じゃあ食事を作るわ? 腹ぺこで死なせやしませんよ?」

エズリは報告する。「艦長? マートク総裁から艦長とロス提督に通信です。」
シスコ:「つないでくれ。」
マートク※28:『同志よ。この先には偉大な勝利が待っているぞ?』
同時に映されたロス提督※29は、別の船に乗っている。『それが予言であることを祈りますよ。』
マートク:『予言さ。諸君たちとした約束も忘れてはいない。』
シスコ:「カーデシア・プライムでブラッドワインを一瓶空けるんでしたね。」
『「一瓶」?』 笑うマートク。『2309年ものを一樽もってきてある。極上の年代ものですぞ?』
ロス:『ではカーデシア・プライムで。』
『一番乗りが楽しみだ。』 通信は終わった。
ノーグ:「総裁は楽勝って口ぶりでしたね。」
シスコ:「違うのはわかってるさ。シスコより全クルーへ。戦闘態勢に入れ!」
態勢を整える艦隊。
反対方向からドミニオン、カーデシア、ブリーン艦隊が向かってくる。


※27: Lakarian City
DS9第55話 "Defiant" 「奪われたディファイアント」で言及

※28: Martok
(J・G・ハーツラー J.G. Hertzler) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:大山高男

※29: Admiral Ross
(Barry Jenner) 前話 "The Dogs of War" に引き続き登場。声:石波義人

交戦が始まった。
ブリーン艦を追うディファイアント。
ノーグ:「悔しいけどブリーンは、操縦にかけちゃ一流だ。」
シスコ:「頼むぞ、少尉。」
オブライエン:「逃がすな!」
ノーグ:「やってますけど、すばしっこくて。」
シスコ:「ウォーフ少佐。」
ウォーフ:「ターゲットロック不能。」
船内で爆発が起こる。
倒れたクルーの代わりに確認するオドー。「背後からジェムハダー機 2機接近中! 方位 1-3-6、マーク 4!」
シスコ:「回避行動パターン、デルタだ。」
ノーグ:「つかまって。」
ディファイアントは一回転して背後に回り、ジェムハダー船を破壊した。
シスコ:「よくやった、少尉。」
ノーグ:「さっきのブリーン機、逃しました。」
「気にすることはない。ほかにいくらでも、いるぞ。」
ベシアとエズリは、互いの顔を見る。

カーデシア。
ミラはガラックの食事を見る。「まるで手をつけてないじゃないの。顔色が悪いはずだわ?」
ガラック:「顔色が悪いのは、地下室暮らしのせいだよ。」
「レガート・ダマールはどうなの?」
「彼がどうした。」
「お皿の物を綺麗に平らげたわ? だからこそ、レガートはこんなにハンサムで素敵なんですよ。」
「何が言いたいかさっぱりだ。」
キラ:「わかるわ? ミラ、あなた恋してるのよ。」
ミラ:「親ほどの歳ですよ!」
皿を持っていこうとしたミラを止めるダマール。「ああ…」 残っていた食べ物を口にした。「どうでもいい。」
「政治家ね!」
ドアチャイムが鳴った。
ガラック:「一体誰だ!」
ミラ:「ああ…見てくるわ。」
移動する 3人。

ドアを開けると、そこにはジェムハダーとカーデシア兵士が立っていた。
ミラ:「…ご用ですか?」

隠れているダマール。「遅い、何してる!」
ガラック:「わからんよ。」
ドアが閉まる音がした。その直後、鈍い音が響く。
ミラが階段を転げ落ちてきた。
飛び出すガラック。「ミラ!」
キラ:「ガラック!」
丸い機械が階段を伝って落ちてくる。
キラ:「ガラック、後ろへ下がって!」
機械は爆発した。飛ばされるキラたち。
床を這うキラは銃に手を伸ばすが、踏みつけられた。
ジェムハダーに起こされる。

戦闘が続く。撃沈していく連邦艦。
バード・オブ・プレイの編隊は、ジェムハダー船へ向かう。
特攻するジェムハダー船。爆発するクリンゴン艦。
攻撃を続けるディファイアント。
ベシアは治療を行う。「油断も隙もないな!」
オブライエン:「ああ…肩の傷だろ?」 爆発で揺れる。「気をつけろ!」
「じっとしてないと、腕が片方短くなるぞ。」
「ああ…ダーツで俺に勝つためだろ?」
「僕は何ヶ月も負け知らずだよ。」
「一緒にできなくなる。」
「何言ってるんだ、大丈夫だよ。」
「ディープ・スペース・ナインを離れて、地球に帰る。」
「…何で。」
「艦隊アカデミーで教えないかと言われてる。工学部の教授だ。」
「いつ。」
「戦争が終わったらだ。」
「…そうか。」
「お前ら士官に違いを教えないと。ワープマトリックス流速コンデンサーと…自閉式ステム…ボルト※30のさ。」
「ああ…ほんと。」
エズリ:「艦長! ロス提督です。」
シスコ:「スクリーンへ。」
ロス:『ロミュランの旗艦は大破だ。布陣が崩壊してる。』
「応援に向かいます。」
『どうやって。ベン、被害は大きい。ドミニオンの左側面を何とか崩さないと。』 ロスの船も被害が大きい。
「左は防御が厚い。防衛ラインの中央は薄くなってます。」
『ロミュランを頼む。マートクと中央を攻める。』
「向かいます。ダックス、64 と 65部隊に続けと言え。」
エズリ:「了解。」

いらだつ女性可変種。「何を手間取っているの。」
ウェイユン:「長距離通信はもう間もなく修復できると報告が入っておりますので。」
「何時間も前にもそう言ったわね? その間、前線の艦隊とは連絡が取らずに、戦況を知る手だてが全くないのですよ?」
ブロカがやってくる。「創設者、反逆者ダマールを捕らえたと、報告が入りました。」
女性可変種:「やっと、いい知らせが聞けたわ?」
「まだあります。あのキラ中佐とガラックも、一緒に逮捕しております。」
ウェイユン:「それは素晴らしい。連れてこさせましょうか。」
女性可変種:「…何のために。全員処刑してしまいなさい。今すぐに!」
「はい。喜んで。」


※30: セルフシールのステムボルト self-sealing stem bolt
便利な小道具。DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」など

ジェムハダー・ファースト※31は通信に応えた。「了解。すぐ執行します。立つんだ!」
キラ:「なぜ。」
「処刑する時は立たせるのが決まりだ。」
ガラック:「何か、言い残すことは…ありますか?」
ダマール:「俺は死んでも、カーデシアは決して…」
ファースト:「黙れ! しゃべらせない規則だ。」
ガラック:「そりゃ残念だな。」
「射撃用意! 狙いを定めろ!」 銃を充填するジェムハダー。
だがその時、背後にいたカーデシア人が、ジェムハダーたちを攻撃した。
ファーストの反撃を受けてカーデシア人の一人は倒れるものの、全てのジェムハダーは死んだ。
カーデシア人※32:「ラカリアン・シティーのかたきだ。」
キラたちはジェムハダーの銃を拾う。
ダマールに近づくカーデシア人。「レガート・ダマール。カーデシア解放に命を賭けて戦います。」
ダマール:「こういう男がいれば、負けるわけがない。」

攻撃を受けるディファイアント。
ノーグ:「左舷前方にジェムハダー機。」
ウォーフ:「シールド 60%にダウン。」
ベシア:「マイルズ、かなり重傷だ! すぐ医療室へ連れていくぞ。」
オブライエン:「今忙しいんだよ!」
「命令だ!」
「おい、ジュリアン!」
シスコ:「聞こえたろ、チーフ。」
「はい…」 ベシアと共にブリッジを出ていく。
ノーグ:「左舷にもう一機です。」
ウォーフ:「補助動力を左舷シールドに迂回。」
シスコ:「ダックス、味方の攻撃機に援護を頼め。」
エズリ:「了解。」
ノーグ:「右舷後方にもブリーン船です。」
「艦長、味方はほとんど撃墜されたか、猛追を受けてます。」
シスコ:「少尉、脱出するんだ。」
ノーグ:「ああ…今やってます。」
ディファイアントに背後から武器を浴びせるブリーン艦。
だがその船は、攻撃を受け爆発した。
カーデシア艦だ。ジェムハダー船も破壊していく。
オドー:「艦長。カーデシア船が、ドミニオンの艦隊を攻撃しています!」
カーデシア艦はブリーンへの攻撃を続ける。
エズリ:「あ…反乱を起こしたわ!」
ノーグ:「ああ…やった!」 笑う。
シスコ:「やるのは今しかない。反転して防衛線の中央へ突っ込むんだ。今こそ突破するチャンス。」
「了解。」
進むディファイアント。

報告するウェイユン。「創設者。長距離通信が無事完全復旧いたしました。」
女性可変種:「やっとですか。」
「…信じられない。」
「何です。」
「カーデシア艦隊が、謀反を起こしました。」
ソット・プラン:「――。」
女性可変種:「…全軍、一時撤退させ、カーデシア・プライムで立て直しなさい。」
ウェイユン:「でも包囲されてしまいます。」
「これ以上逃げることはしません。」
ソット・プラン:「――。」
「反逆の兆しがあった時に、カーデシアを排除しておくべきでした。」
ウェイユンもブロカを見る。
ブロカ:「彼らに話をさせて下さい。私が思い直させます。」
ウェイユン:「愛国心を呼び覚ませるとでも言うのですか。」
「その通りです!」
「それどころか逆に、お前が連中に同調するのが、落ちでしょうね?」
「私が、裏切ると? ありえません。」
女性可変種:「ええ、そうさせるつもりはありません。」 ジェムハダーがブロカに近づく。
ブロカ:「待って。きっと後悔しますよ!」
「それはないでしょうね?」
「全て命令通りにしてきた。私は味方です。忠誠を誓いました。よせ、よせ、やめろー!」 ブロカはジェムハダーたちにつかまれたまま、部屋を出された。
ウェイユン:「せいせいしました。」
女性可変種:「…すぐカーデシアを抹殺してしまいなさい。」
「誰をです。」
「全員です、カーデシア人全てです。」
「それは…時間がかかりますが。」
「なら今すぐに始めることですね。」

連邦艦を追っていたブリーン艦は、突如引き返していく。
他のドミニオン艦も一斉に向かった。
ウォーフ:「艦長、ドミニオン軍がカーデシア・プライムへ撤退していきます。」
エズリ:「艦長? ロス提督とマートク総裁から通信です。」
シスコ:「スクリーンへ。」
ロス:『思いもよらないが、カーデシアに感謝してるよ。』
マートク:『俺の予想通り、勝利の日だな?』
シスコ:「いいえ、まだです。」
ロス:『ベン、ドミニオンをカーデシア・プライムへ撤退させたんだ。このまま包囲することもできる。』
「態勢を立て直してくるかもしれません。」
マートク:『確かに。ドミニオンには驚異的な早さで船を再建する能力があるからな。攻撃を続けるべきだ。』
ロス:『危険が大きい。既に艦隊の 3分の1 を失ってる。』
『ならなおさら命を捧げた兵士らの死を無駄にはできん。』
シスコ:「提督。カーデシアがこちらについた。今こそこの戦争を終結させる最大のチャンスです。」
ロス:『…わかった。攻め込もう。』
マートク:『今日という日は、長く歌い継がれることになるぞう?』
2人の通信は終わった。
シスコ:「いいか諸君。命令は聞いたな。いよいよ終わらせる時だ。」

炎の洞窟。
ウィンたちは開けた場所に出てきた。
デュカット:「ここだな? そうだろ。」
ウィン:「一つの旅が終わったわ? ここから次の旅が始まるんです。」
荷物を投げ置くデュカット。ため息をつく。
ウィン:「どうしたの、デュカット? 嬉しくはないの?」
デュカット:「子供じみているかもしれないが、炎が燃えてると期待していたんだ。『炎の洞窟』ってぐらいなんだからね。」
「燃えてますとも。」
ウィンはひざまづき、コスト・アモージャンの書物を読み始めた。「……コスト・アモージャン。」
中空に浮遊するエネルギー生命体。そこを中心として、激しい炎が巻き起こる。驚くデュカット。
喜ぶウィン。「これでどう?」
デュカットは目を見張る。
あらゆる場所が燃えている。

カーデシア。
武器が用意されている。
カーデシア人:「この図によると、貨物室から作戦室まで、かなりの距離です。」
キラ:「廊下で挟み打ちにされたらやっかいね。」
突然、爆発音が響いた。
キラ:「あ…何なの!?」
ガラック:「ジェムハダーが来た。ビルを一軒ずつ吹き飛ばしてる。」
「すぐ出発するわよ。」
ダマール:「司令部に入ったら絶対に止まるな。創設者を捕らえるんだ。」
声をあげるカーデシア人たち。「やるぞー!」 「ついていきます!」
ダマール:「カーデシアのために!」
「カーデシアのために!」 地下室を出る。
キラ:「ガラック!」
ガラック:「何年も追放の身で、戻る日を心に描いてた。この家に住むつもりでしたよ、ミラとね。ミラは死に、この家ももうすぐ瓦礫の山と化すでしょう。故郷は消えました。」
「未来のために戦って!」
「いや。戦う理由なら、ほかにある。復讐です。」 出ていくガラック。
「それもいいわ。」 キラも続いた。

炎の洞窟。
笑うデュカット。ウィンはローブを脱ぎ、それを火の中に投げ込んだ。
髪をほどくウィン。「ああ…預言者たちに別れを告げ、偽りの人生を今終わらせるわ。」
二人は口づけを交わした。
デュカット:「こんなに輝いているあなたは初めてだ!」
ウィン:「恋人が連れ添ってくれるのを待つ少女の気分だわ!」
「喜んでパー・レイスたちに身を捧げるか!」
「身も心も。」
「では呼びかけるのだ。」
「本を取って?」
書物を手渡すデュカット。「ああ…」
再び詠唱を始めるウィン。「……コスト・アモージャン……」

ドアに爆弾をセットするガラック。その場を離れた。
ガラック:「問題が一つ。」
キラ:「一つだけ?」
「一つでもでかいですよ。そのドアは、ニュートロニウム製だ。」
「それじゃ、調達した爆弾じゃ凹み一つできないわ。」
「その通りです。」
カーデシア人:「どうします?」
ダマール:「わからん。だが地下室には戻らない。」
ふいにガラックが笑い出した。
ダマール:「何がそんなに面白いのかわからんが、ガラック。」
ガラック:「だってそうでしょう? ここまで来て、城を襲おうとしている。気高い行動で命を犠牲にし、ドミニオンの巣穴でけだものを殺したいと願っている。なのに入り口に入ることさえできない。」
カット2大声で笑うキラ。「ド…ドアをノックしてジェムハダーに入れてくれないか頼みましょうか…」 カーデシア人もつられて笑う。
微笑むダマール。「それとも女性流動体生物を連れてきてもらうか。」
笑い続ける一同。
ガラック:「…さて、問題が一つ。」
笑いは収まった。

ブリーン人に話す女性可変種。「ですが、そばにいたあなたを私は頼ってきたのです。」
ソット・プラン:「――。」
「あなたのアドバイスはドミニオンにとって貴重だとわかりました。」
「――。」
「いいでしょう。前線に出ることが必要だという状況なら、止めはしません。あなたが戦闘で我々の軍隊を率いてくれると知って、とても安心しています。」
「――。」 ソット・プランたちブリーン人は全員出ていった。
ウェイユン:「不思議に思わざるをえません。」
女性可変種:「何をですか?」
「ヘルメットの下はどうなっているのでしょう?」
「お前より勇敢な男ですよ。…ですが彼の甲高い『声』は確かに…うんざりです。」
突然、女性可変種はよろめいた。「あっ…」
カット3支えるウェイユン。「創設者…どうされましたか!」
女性可変種:「あ…死にかけている、ということですよ。」
ジェムハダーを制し、椅子に座らせるウェイユン。「恐らく、しばらくお休みになられた方が…本来の姿にお戻りになって。」
女性可変種:「…何週間も姿を変えることができないのです。皮肉なものですね? 固形種として死ぬとは…」
「死にはしません。あなたは神です。」
「忠実なるウェイユン…私が信頼した唯一の固形種です。」
見つめるウェイユン。「あなたにお仕えするためだけに生きています。」
女性可変種:「お前はよく仕えてくれました。死ぬことは気にしていません。我が種族全てが同じ病気で死につつあり、何もすることはできないとわかっています。」
「お救いするために、私の命を差し上げます。」
「そのように簡単だといいのですが。」


提案するダマール。「俺が投降する振りをするのはどうだ?」
キラ:「その場で射殺よ。」
ガラック:「我々も一緒にね。」
音が聞こえた。
カーデシア人:「ドアが開きます。」
他のカーデシア人たちと共に、ブロカが出された。「後悔することになるぞ! 俺は反逆者じゃない。頼む、創設者に話をさせてくれ! よせ、待て!」 横の者に続き、ブロカもジェムハダーに銃剣を突き刺された。
ダマール:「やめろー!」 ジェムハダーを撃ち殺す。
そのまま突入するダマール。「カーデシアばんざーい!」
続くカーデシア人たち。「カーデシアばんざーい!」
次々とジェムハダーが現れる。
先頭にいたダマールは、攻撃を受けてしまった。
応戦するキラ。
うめくダマールを支えるガラック。「引け、引くんだ!」
ダマール:「ああ…行け…」
応酬が続く。
ダマール:「行くんだ! ああ…」 絶命した。
ガラック:「死んだ。」
キラ:「命令を覚えてる? 『絶対に止まるな』よ!」
ガラックは叫んだ。「カーデシア、ばんざーい!」
カーデシア人たちも声をあげる。「カーデシア、ばんざーい!」 「カーデシア、ばんざーい!」

状況に気づくウェイユン。「侵入者が複数名いるようです。」
女性可変種:「衛兵に任せなさい。……何か問題でも?」
「衛兵は…数名だけです。カーデシア殲滅作戦に…全員派遣しました。」
銃声が聞こえてきた。ジェムハダーに指示するウェイユン。「その 2名。廊下へ出てただの一人も中へ入れないように。お前たちは、残りなさい。万一のためです。」

※33連合艦隊はカーデシアへ向かう。
シスコ:「シスコよりベシア。報告を。」

医療室のベシア。「3名死亡、8名負傷です。」
シスコ:『ドクター、動ける者は全員持ち場に戻してくれ。』
「一秒たりとも無駄にはしてませんよ。」
新たに負傷者が運ばれてきた。「ドクター。」
ベシア:「そっちに寝かせて。」

ノーグは尋ねた。「ディファイアント、がんばりましたよね。そう思いませんか?」
シスコ:「ああ、よくもちこたえた。ウォーフ少佐。」
ウォーフ:「艦長、フェイザーパワーは 100%ですが、量子魚雷は残り 45発しかありません。」
「やるしかない。おやじさん、大丈夫か?」
エズリ:「あ…ライサにいた方が、楽しいのは確かね。」
「ああ。私も同感だな。」
オドー:「報告を読まれましたか? ドミニオンはカーデシアの都市を次々破壊しています。数百万人が死んでいます。」
ノーグ:「艦長! ドミニオンの防衛線に近づいています。」
シスコ:「よし。敵の姿を確かめようじゃないか。スクリーンへ!」
カーデシア・プライムの軌道上には、造船所を含め、おびただしい数の艦隊がいた。
ジェムハダー船、ブリーン艦、ドミニオン軍艦や巨大な戦艦。無人武器プラットフォームもある。
シスコは言った。「何て数だ。」


※31: Jem'Hadar First
(クリストファー・ハルスト Christopher Halsted TNG第120話 "Cost of Living" 「ラクサナの結婚」の一番目の生徒役。ゲーム "Voyager: Elite Force" で声の出演) 声はヴィック役の堀勝之祐さんが兼任

※32: 名前は Ekoor (Greg Ellis ゲーム "Hidden Evil" の Urano、"Invasion" でも声の出演) ですが、言及されていません

※33: 2時間版ではここから最後までのシーンは、キラたちがドミニオン本部の前に集まる直前に挿入されています。前後編に分けた際、前編終了時のインパクトを考えて逆転させたものと思われます

・感想
最終話です。本来は 2時間エピソードであるため、ストーリー全体に関する感想は次回に譲ることにして、とりあえずは大満足な出来映えでした。
これまで出ていなかったオブライエンの家族やヴィック、もちろんデュカットやウィンも再登場して、最後ならではの独特な雰囲気が否応にも盛り上がります。戦闘シーンは使い回しが多く、恐らく半分以上になるかもしれません。でも新たに CG を作って予算を食うよりも、その分多数のゲストの出演などに回した…と解釈したいです。特殊効果は確かに素晴らしいですし必要なものですが、それだけを中心に据えてしまっては意味がありません。
カーデシア人のドミニオンに対する反乱が続く一方、ミラやレガート・ダマール (とブロカ) が死に、そして数百万人に及ぶカーデシア市民が虐殺されてしまいます。この収拾を後編でどのようにつけてくれるのか、そして 7シーズンも続いたシリーズの最終回らしい展開を期待したいと思います。


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