上級士官室で話すエズリ。「大佐の船が、ベイジョー軌道上にあったわ?」 
 ウォーフ:「炎の洞窟をスキャンしたが、大佐はどこにもいない。」 
 キャシディにカップを差し出すベシア。「ターカリアン・ティー※8。落ち着くよ。」 
 エズリ:「ああ、私にも入れて?」 
 ジェイク:「捜索中止したりしないだろ?」 
 オドー:「お父さんを見つけるまでな?」 
 「そうだ、ケンドラ州※9は調べてみた? 父さんの土地がある。見に行ったのかもしれない。」 
 ウォーフ:「キラ中佐と、オブライエン・チーフがベイジョー全体を再スキャンした。スキャン結果では、ベイジョーにはいない。」 
 キャシディ:「何かあったんだわ。何か悪いこと、わかるの。…預言者が言ってた。」
  
 キャシディの意識は飛んだ。声が聞こえる。何もない空間。「誰か? 誰かいない? ベン? あなたなの?」 
 シスコ:「キャシディ。」 姿を見せる。 
 「ああ、ベン!」 キスするキャシディ。「ほんとに心配したのよ…? …ここはどこ?」 
 「天空の神殿だ。」 
 「何だか怖いわ? …帰りましょう?」 
 「帰れない。今は。」 
 「どうして? …あ…もしかして…このことね、そうでしょう。預言者が言ってた悲しみってこのことね?」 
 「説明はできない。複雑なんだ。」 
 「何が。」 
 「運命、私の人生だ。私は預言者たちに救われた。選ばれし者になり、これからまだ…なすべきことがたくさんある。」 
 「ああ…」 
 「だがまず、学ばなければならない。預言者たちから、学ぶんだ。」 
 「いつ戻ってこられるの?」 
 「わからない。一年後か…」 
 「ああ…」 
 「それとも、昨日か。だが必ず戻る。」 
 「…ずっと待ってるわ。」 
 二人は口づけする。
  
 キャシディの意識は戻った。呆然とする。 
 ジェイク:「キャシディ? 聞こえてる? ああ…一瞬どっかへいっちゃったみたいだった。」 
 キャシディ:「お父さんと話してたのよ?」
  
 オブライエンの部屋。 
 荷物を持ったオブライエンは、モリーを送り出した。出ていく前にもう一度、貨物だらけの部屋を見る。 
 ふと何かに気づいた。床に落ちていた物は、アラモ砦の人形だった。 
 手に取った人形を見つめ、微笑むオブライエン。※10 
 クワークの店に置かれた模型の前でベシアと話す。 
 ホロスイートでタキシード姿のベシアに銃を突きつける、「ファルコン」役のオブライエン。 
 ナイフに刺されまいとベシアと共に抵抗する。 
 医療室でオブライエンの脱臼を治すベシア。 
 初代エンタープライズ船内にいる二人。ベシアはトリブルを手にする。 
 二人での食事、ベシアだけ話し続けている。 
 ラケットボールを楽しむ。 
 二人で酔っぱらって歌う。※11 
 オブライエンは笑った。
  
 マートクは先にエアロックへ入った。 
 ウォーフは立ち止まる。 
 初めてシスコの待つ司令官室に入るウォーフ。 
 葉巻を吸う「デュシャン」。 
 ジャングルでエズリとキスをする。 
 バトラフでガウロンと組み合い、弾き飛ばされた。 
 宙吊り状態でエズリと話すウォーフ。※12 
 見上げると、エズリがいた。手を振るエズリに笑顔を見せ、エアロックに去るウォーフ。
  
 オドーは自室でバケツをキラに見せる。 
 花を入れたバケツを見せるオドー。キラは微笑んだ。 
 ヴィックのラウンジで踊る二人。 
 プロムナードで人目もはばからず、キスを始めた。 
 抱き合う二人。 
 オドーは本来の姿をキラに見せた。光り輝く。※13 
 バケツを抱きしめるキラ。
  
 店にいるクワーク。 
 ホロスイートでクリンゴン戦士姿のウォーフと一緒にいる。 
 寒い山でオドーに体を叩かれる。 
 ジョッキを投げつけようとしたオブライエンたちを、慌てて止める。 
 耳に薬を入れるロムを見てあきれる。 
 エズリが投げたボールを取ることができない。あきれるシスコ。 
 衣装に身を包んだシスコたちを、カウンターから見ている。※14 
 思い返すクワーク。
  
 シスコが作った家の模型から、小さな椅子を取り出すジェイク。 
 キャシディはジェイクにキスした。 
 椅子を握りしめるジェイク。 
 釣りをしていたホロデッキで、シスコと共にいる。 
 プロムナードで抱き合う。 
 夜のジャングル。笑い合うシスコとジェイク。 
 泣くジェイクに、シスコは優しくキスをした。 
 二人でベイジョー船を動かす。 
 荷物をまとめるジェイクに話すシスコ。抱き合った。※15 
 ジェイクは模型の屋根を戻した。
  
 廊下を歩くキラ。「誰にもさよなら言わずに行くの?」 
 オドー:「ええ、別れのシーンは苦手なんです。」 
 「…寂しがる人が大勢いるわよ?」 
 「わかる相手にはわかる。最後に一言二言言ったところで同じです。」 
 クワーク:「ハー! やっぱりな。」 グラスを手にして近づく。「一緒にこっそり出てくのを見てピンときたんだよ。『あの人嫌いで、気難しい偏屈な流動体生物め、誰にも気づかれないように黙って行っちまうつもりだな』ってね。」 キラは離れた。 
 「そのはずだったがな。」 
 「そうは問屋が卸さねえ。」 
 「ああ、そのようだな?」 
 「…で? …来てやったんだ。」 キラを見るクワーク。オドーに向き直る。「…俺に言いたいことがあるんじゃないか?」 
 「例えば?」 
 「そうさなあ、まあ…『お別れだ。お前とはいいライバルだった』とか、『尊敬できるライバル』とか、そんな感じのセリフがあるだろう?」 
 「ないな。」 
 「ない? どういう意味だ!」 
 「だからないんだよ。お前に言いたいことは別に何もない。」 
 「長いつき合いで一緒に数々修羅場もくぐったのに、一言も言わずに行っちまう気か?」 
 「ああ、そうだ。…ネリス。先に船に乗ってる。ハ!」 さっさとエアロックに入るオドー。 
 キラ:「悪気はないのよ?」 
 クワーク:「悪気? ヘ、何言ってる。あいつは俺が大好きなんだ。わかんないか? 背中にそう書いてあったぜ?」 グラスをエアロックの方へ掲げ、歩いていく。 
 キラも入った。
  
 別の廊下では、オブライエンたちが歩いていた。 
 荷物を運んでくれたベシアから受け取るオブライエン。 
 抱き合う二人。 
 ベシアは無言で去り、オブライエンは乗り込んでいった。
  
 辺り一面の液体。たった一つの岩場に、キラとオドーが転送降下する。 
 キラ:「つながりが、変だわ?」 
 オドー:「死にかけてる。」 
 「行ってあげて。」 
 「ああ…。ネリス、みんなに…ありがとうと伝えてくれ。」 
 「クワークにも?」 
 「クワークにもだ。でも誰よりも…」 
 オドーの顔に触れるキラ。「わかってる。」 
 オドーはキラの手と、額にキスをした。互いに手にキスし、口づけする。 
 そしてオドーは、自分をタキシード姿に変えた。 
 笑うキラ。「オドー。」 
 オドー:「タキシードが似合うといつも言ってたから。」 
 キラは蝶ネクタイに触れる。「似合うわ。」 
 オドー:「この姿で覚えていて欲しい。」 
 「一生忘れないわ。」 
 キラの顔に触れたオドー。「さよなら、ネリス。」 
 握っていた手を離し、そのままオドーは液体の中へ入っていく。手を伸ばしたままのキラ。 
 手を挙げるオドーは液体化し、偉大なるつながりの中へと消えた。 
 そこを中心として、どす黒かった液体は、本来の色を取り戻していく。
  
 DS9。 
 ノーグは司令官室に入った。「中佐、勤務表です。」 
 キラ:「ご苦労様。昇進おめでとう、ノーグ中尉。」 
 「どうも。…僕の昇進の手続きが、シスコ大佐の最後の仕事だとか。」 
 「誇りに思ってくれてるわ?」 
 「あ…だといいんですけど。」 
 「貨物の在庫表はまだ?」 
 「すぐかかります。」 出ていくノーグ。 
 キラは残された野球ボールを手にした。司令官室を出て、ボールを軽く放り投げる。微笑むキラ。
  
 医療室を出るベシア。「つまりあれは実際、通常の心臓再生過程の一部だったんだよ。どう思う。」 
 エズリ:「それより今夜クワークの店へ行きましょう? 一緒にホロスイートは?」 
 「ああ、またヴェガスへ行く?」 
 「アラモはどうかなって思ってるんだけど。」 
 「あれはダメだ。」 
 「どうして…」 
 「マイルズと、僕のだ。…新しいのはあるよ。テルモピレーの戦い※16。知ってる? レオリダス王※17の率いるスパルタ※18軍の…話でね。彼はペルシャ※19の軍相手に細い山道で戦ったんだ。」 
 「どうなったの?」 
 「スパルタ軍は 2日間、決死の交戦をした。」 
 「そして全滅でしょ。」 
 「そう。知ってた。」 
 「勘よ。私たちはスパルタ軍?」 
 「最期まで戦う。」 
 「アラモみたいにね。」 
 「まさしく。」 
 「その…滅亡願望のこと、カウンセラーに話したことある?」 
 「必要あるかな。」 
 「うん、明日予約入れてあげる。」 
 「今夜はどう?」 
 「今夜はペルシャと決戦。」
  
 小瓶を手にしたモーンに話すクワーク。「1週間以内に毛が生えてくるって保証つきだ。だけどお前、十分フサフサなんじゃないか? それに、お前さんまで変わらないで欲しいねえ。」 
 キラ:「クワーク! これはどういうことなの?」 パッドを見せる。 
 「ああ、こいつは…今週の賭けリストだ。」 
 「誰が次のカイかで賭けてるの?」 
 「参加自由だぜ。あんただけに教えよう。ヴェデク・ウングテー※20が、最有力候補だ。」 
 「ああ…あなただけに教えるけど、賭けは中止よ?」 
 「何言ってんだ?」 
 「この瞬間から、基地ではあらゆる種類の賭け事を禁じます。賭けに加わる者を見つけたら、あなたを…15日間拘禁するわ、わかった?」 
 「15日間!? 枕持参でいいか?」 
 「クワーク。」 
 「わかったよ。わかった!」 
 「よろしく。」 出ていくキラ。 
 「ヘ!」 モーンに話すクワーク。「ああ…言っただろうが。どんなに変わろうと、変わらないものも、ある。うん。」
  
 クワークの店を出たキラは、2階にジェイクがいるのに気づいた。 
 窓の外を見つめるジェイク。 
 ワームホールが開いた。 
 ジェイクは見つめ続ける。 
 キラが近づいた。ジェイクの肩に手を回す。 
 ジェイクはキラの手に触れた。2人は窓の外を見つめる。 
 宇宙に浮かぶ、ディープ・スペース・ナインの中で。
 
 
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※8: Tarkalean tea ベシアが好きな飲み物。DS9第3話 "Past Prologue" 「スペース・テロリスト ターナ・ロス」など
  
※9: Kendra province DS9第167話 "Penumbra" 「彷徨う心」より
  
※10: ここの BGM は "The Minstrel Boy" のアレンジ。TNG第86話 "The Wounded" 「不実なる平和」より
  
※11: 音声なしの回想シーン。全て過去のエピソードの映像です。順に第170話 "The Changing Face of Evil" 「変節の時」、第115話 "A Simple Investigation" 「オドーの恋」、第14話 "The Storyteller" 「混迷の惑星“ベイジョー”」、第142話 "Inquisition" 「記憶なきスパイ」、第104話 "Trials and Tribble-ations" 「伝説の時空へ」、第67話 "The Die Is Cast" 「姿なき連合艦隊(後編)」、第31話 "Rivals" 「詐欺師エル・オーリアン星人」、第68話 "Explorers" 「夢の古代船」より
  
※12: 第73話 "The Way of the Warrior, Part I" 「クリンゴンの暴挙(前編)」、第82話 "Our Man Bashir" 「ドクター・ノア」 (実際はウォーフの身体パラメータだけを使ったホロキャラクターですが、その後ウォーフが本当に演じたことがあったのかも?)、第167話 "Penumbra" 「彷徨う心」、第172話 "Tacking into the Wind" 「嵐に立つ者たち」、第168話 "'Til Death Do Us Part" 「偽りの契り」より
  
※13: 第52話 "The Abandoned" 「捨て子の秘密」、第144話 "His Way" 「心をつなぐホログラム」(2シーン)、第164話 "Chimera" 「仮面の下の孤独」(2シーン) より
  
※14: 第101話 "Looking for Par'Mach in All the Wrong Places" 「クワークの再婚」、第107話 "The Ascent" 「あの頂を目指せ」、第83話 "Homefront" 「地球戒厳令(前編)」、第88話 "Bar Association" 「ロムの反乱」、第154話 "Take Me Out to the Holosuite" 「がんばれ、ナイナーズ!」、第165話 "Badda-Bing, Badda-Bang" 「アドリブ作戦で行こう!」より
  
※15: 第1話 "Emissary, Part I" 「聖なる神殿の謎(前編)」、第11話 "The Nagus" 「宇宙商人フェレンギ星人」、第46話 "The Jem'Hadar" 「新たなる脅威」、第75話 "The Visitor" 「父と子」(実際は可能性の未来ですが、似たような経験をしていたのでしょう)、第68話 "Explorers" 「夢の古代船」、第107話 "The Ascent" 「あの頂を目指せ」より
  
※16: Battle of Thermopylae 紀元前 480年
  
※17: King Leonidas
  
※18: スパルタ人 Spartans
  
※19: ペルシャ人 Persians
  
※20: Vedek Ungtae
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