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エンタープライズ エピソードガイド
第65話「アンドリア人の協力」
Proving Ground

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・イントロダクション
※1コップに注がれる水。つかむ手は、青い色をしている。
口にしたシュラン※2は、呼び出しに応えた。「何だ。」
女性の声。『シュラン司令官。ブリッジへ来てください。』

ブリッジへ入るシュラン。「状況は。」
女性アンドリア人。「見失ってしまいました。」
シュラン:「…スキャンを続けろ。ワープ痕跡はわかってるんだ、すぐに見つかるはずだ。」
「司令官。……もう何週間にもなります。」
「必ず探し出し、任務を達成するんだ。」
「命を失っても? この領域は危険です、彼らも生きているかどうか。」
「命令を受けている。」
「無事なうちにアンドリアへ戻るべきです。」
「まさか、デルフィック領域を恐れているのか。…ヴァルカン人なら無理もないが、帝国防衛軍には許されない。」
「…スキャンを続けます。」 うなずく部下。
「ピンクスキンを侮るな、タラス※3。…彼らは生きてる。」


※1: あらすじが冒頭に入りますが、前話のではなく第3シーズンの流れを扱った内容になっています。エピソード放送順に第54話 "Anomaly" 「オサーリア人の襲撃」、第56話 "Rajiin" 「美しき潜入者」、第58話 "Exile" 「孤独な亡命者」、第59話 "The Shipment" 「兵器工場潜入」、第60話 "Twilight" 「留められない記憶」の映像を使用。ただ "Twilight" での可能性の未来における場面を使ったり、セリフと CG映像を別々のエピソードから組み合わせたりと、ある意味では都合のいい編集をしています

※2: Shran
(ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) ENT第41話 "Cease Fire" 「戦場の絆」以来の登場。声:中村秀利 (継続)

※3: Talas
(モリー・ブリンク Molly Brink) 後にも登場。声:渡辺美佐

・本編
デグラ※4はズィンディ評議会に入った。「ほかの者は。」
人間ズィンディ※5:「遅れている。」
「言ったろ、事態は切迫している。」
爬虫ズィンディ※6:「またヒト族※7に典型的な傲慢振りだ。呼びつければ、いつでも全員イソイソ駆けつけると思っている。」
「突然呼びつけて申し訳なかったな。…だが駆けつけてもらう価値はあると思うがね。」
毛長ズィンディ※8:「兵器完成か。」
「いやまだだ。」
爬虫ズィンディ:「だったら我々の時間を無駄にするな。」
「最新のプロトタイプが完成した。テストを予定している。」
「いつだ。」
「3日後だ。…この部屋から中継でテストの様子を見られる。テストが全て予定通りにいけば、最終完成版を 1ヶ月後には配備できる。もっと早いかもしれん。」
毛長ズィンディと顔を見合わせる爬虫ズィンディ。
人間ズィンディ:「そうなれば人間の脅威を遂に排除できるな。」
デグラ:「時間を割いて来ていただいた価値はあったと思うのだがね。」
無言の爬虫ズィンディ。

エンタープライズ。
波形が表示されている。
サトウ:「とても弱いシグナルで、最初はわからなかったんですが。」
アーチャー:「はっきりしたのか。」
「はい船長。船長がズィンディ船に仕掛けた、キモサイトのアイソトープ痕跡です。」
「コースをセット。トリップにエンジンのパワーを振り絞れと言え。」
トゥポル:「船長。…私とサトウ少尉は、これまでデータベースの復旧をしてきました。」
「それで?」
サトウ:「失われたデータの 3割ほどを、余剰メモリーコアから既に回収済みです。」
トゥポル:「それを使い空間異常の発生場所の地図を作りましたが、シグナルの発生源は多発区域の向こうです。」 空間異常の図を重ね合わせる。
「ここです。」
アーチャー:「迂回にかかる時間は?」
トゥポル:「広大な区域で、ワープ5 でも 17日です。」
「…この先荒れるとクルーに伝えろ。」 司令センターを出るアーチャー。

ワープをやめるエンタープライズ。
機関室から連絡するタッカー。「タッカーよりブリッジ。」
アーチャー:『何だ。』
「ワープリアクターは準備万端。いつでもこいです。」

アーチャー:「わかった。トゥポル。」
トゥポル:「大きな空間異常は入力済みですが、非常に数が多いため全部は避けられないかもしれません。」
「ベストを尽くせ。…トラヴィス。突入だ。インパルス 2分の1。」
メイウェザー:「了解。」
進むエンタープライズ。
トゥポル:「針路変更、275 マーク 8 へ。」 スコープを覗いている。「左舷へ旋回!」
右舷の船体を空間異常がかすめていく。
少し揺れた。
リード:「かすっただけです。損傷はなし。」
アーチャー:「空間異常の地図は正確なのか。」
トゥポル:「復旧できたデータベースは、ほんの 3割ですから。…真正面に空間異常発生中。」 揺れが起こる。「膨張しています。」
アーチャー:「膨張?」
「こんな現象は初めて見ます。合体しています。」
メイウェザー:「どっちです、副司令官。」
「予想不可能です。」
アーチャー:「防御プレートに非常パワー! 衝撃に備えろ!」
スクリーンの正面から、緑色の空間異常が襲ってきた。ブリッジを通過する異常に、船長席に吹き飛ばされるアーチャー。

それは船内を通過し、コンソールを爆発させていく。
さらに空間異常がクルーを飛ばし、2階から落ちる。

リード:「船体に亀裂、Dデッキで空気漏れです。」
アーチャー:「旋回だ。脱出する。」
メイウェザー:「舵が利きません!」
トゥポル:「完全に飲み込まれました。」
リード:「メインパワーがダウン。」
メイウェザー:「センサーが、何か感知しています。恐らく船です。」
アーチャー:「船籍は。」
「干渉がありすぎて。」
衝撃が走る。
トゥポル:「……トラクタービームに引っ張られています。…空間異常をクリア。」
サトウ:「…呼びかけです。」
アーチャー:「礼を言うべきなんだろうな。」 サトウにうなずく。
サトウが操作すると、スクリーンに映った触角がアーチャーの頭から飛び出した。
シュラン:『アーチャー船長。…ピンクスキンが、またトラブルに巻き込まれているようだな。』
アーチャーはシュランを見てため息をついた。

アンドリア船と並行して飛ぶエンタープライズ。
シュラン:「思ったより勇敢だな。…こんな脆弱な船で、空間異常の区域を突っ切るだなんて。」 作戦室の梁に当たらないよう、触角が曲がった。
アーチャー:「君らの船は無事なようだな。」
「いくつかコツをつかんだからな。」
トゥポル:「なぜここがわかったんです。」
「前回の遭遇で、この船のワープ特性はわかっている。我々の船は、エンタープライズよりかなり速い。追いつくのは簡単だったよ。」
アーチャー:「どう来たかより、なぜ来たかを聞きたい。」
「地球は残虐な攻撃を受けた。アンドリア帝国防衛軍と同盟を組みたくはないか。ほかの誰も助けに来ていないようだしな。」 トゥポルを見るシュラン。
トゥポル:「地球が攻撃されたのをどうして知っているんですか。」
「死者 700万人だ、話はすぐ伝わる。」
「艦隊とヴァルカン最高司令部の通信を傍受していればなおでしょうね?」
「…その制服はどうした、副司令官。新しいのが似合ってないというわけじゃないが…ヴァルカンのとは、どうも違うように見えるな。」
「あちらは辞職しましたので。」
「そうだ、そんなようなことを聞いたな。」
アーチャー:「なぜ、ここへ来たんだ。」
「…地球が危機に瀕しているんだろ? 君らの仲間はどこだ? ヴァルカンだよ。連中の偉大な艦隊はどこだ? 士官をたったの一人貸すことさえしない。…彼女はこの船に残るために、キャリアをふいにしてる。ヴァルカンが無償の行為とは。珍しいな。…だが我々が来た。ヴァルカンが拒否したこの領域へ来た。…君らを助けに来たんだ。…助けなど無用というなら、それもいいだろう。我々は去る。ヴァルカンと同じようにな。」

兵器室では溶接作業が行われている。
リード:「ターゲットセンサー、防御プレート使用不能。魚雷がセーフモードになっててよかったですよ。爆発してたとこです。」
アーチャー:「フェイズ砲は?」
「パワー不足で、キャンプファイヤーもできませんねえ。」
「修理期間は。」
「詳しく調べてみるまでは、何とも。」
「シュラン司令官が、修理に戦略士官を貸してもいいと言ってる。」
「主要システムにアクセスされます…」
「ズィンディの兵器にたどり着けるかもしれない大きなチャンスなんだ。防衛システムが不可欠だ。……アンドリア人を乗船させるのは、私も気が進まない。だが助けが必要だ。」
「…了解。」
リードの肩に触れ、歩いていくアーチャー。リードはため息をついた。

廊下でも溶接が進んでいる。
アーチャーに合流するトゥポル。「いま、アンドリアのシャトルが。」
アーチャー:「早速働いてもらおう。」
「修理班ごとに、保安要員をつけた方がいいかと。」
「リード大尉に吹き込まれたか? …彼らは手伝いに来たんだ。」
「警戒は緩めるべきではありません。」
「君が嫌いだからってだけで、銃を突きつけて仕事をさせるつもりはない。」
「これは好き嫌いの問題ではありません。彼らとの歴史が長いだけです。」
「それは認めよう。だがヴァルカンとアンドリアの問題は、我々には全く関係ない。」
「今はそうです。…我々も最初は友好的でした。彼らは感情を高ぶらせがちですが、アンドリアとのファースト・コンタクトは順調だったんです。」
「なのにどうして。」
「彼らは二枚舌です。自分たちの利益を損なわない協定にしか従いません。」
「君の意見か、それとも最高司令部か。」
「この任務は重大です。経験からいって、彼らは信頼できないと指摘すべきだと思いまして。」
「…彼らを信頼してはいないが、私の経験からいって…シュラン司令官は信頼できる。」 歩いていくアーチャー。

食堂の機械にカップを置くリード。「コーヒー。ブラック。」
タッカー:「紅茶は?」
「…イングリッシュ・マフィン※9もいりません。…いま欲しいのはカフェインだけ。機関室の方はどうです。」
「ひどい。そっちは。」
「…最悪。」
タラスがやってきた。「誰がリードなの?」
リード:「リードですが?」
「兵器室にいるもんだと思ったら、のんきに休憩中。そう。…何それ。」 コーヒーに触角が向けられる。
「…コーヒーです。一つ言っとくとここ 12時間兵器室にこもりきりで、用足しにも行ってませんよ。それで? そちらは。」
「帝国戦艦クマリ※10の、タラス大尉よ。」
「ああ。こちら、タッカー少佐。機関主任です。」
タッカー:「どうも。」
タラス:「あなたの手伝いを命じられたの。」
リード:「そうですか。では、あなたにできそうなことを何か探してみましょう。」
「私にも仕事があるのよ。ここの修理をさっさと終えて、早く船に戻りたいわ。」
タッカー:「…仲良くな、お二人さん。」 出ていく。

船長用食堂のシュラン。「ここで生きてはいまいと思ったよ。…だが君らは無事だった。これは是非、祝杯を挙げないとな。」 ボトルを取り出す。
アーチャー:「気持ちはありがたいが、まだ修理が山積してる状況だ。」
「優秀なクルーに任せておけばいいだろう。いいから一杯やろう。…一息入れる資格はある。…アンドリアン・エール※11だ。…前に飲んだときは、気に入ってただろ。ハ。2、3本余分に、もってきたから置いていくよ。」
グラスを受け取るアーチャー。「すまない。」
シュラン:「早期の勝利に。」
一気に飲むシュラン。
アーチャーも飲んだが、苦しそうだ。「じゃあ…同盟推進に抜擢されたか。」
「志願したんだ。…適任だろ? 一番多く接触してる。ピンク……人間と。前回あんたは戦争勃発の危機を、救ってくれたしな。借りは早く返したい。」
「確かにお互い助け合ってるな。」
「そうやって同盟が生まれる。」
また口にする 2人。

機関室に入るトゥポル。
タッカー:「しばらく顔を出さなかったな。来たついでだ、手貸してくれよ。これを、レギュレーターにつけてくれ。ここだ。極性をチェックするから。…避けてんのかと思ったよ※12。」 口に道具をくわえる。
トゥポル:「週 3回一緒に神経マッサージをしていてですか?」
笑うタッカー。
トゥポル:「…修理の進捗状況を確認しに来ました。」
タッカー:「ま、インジェクターが 3本焼き切れ、絞り弁コイルは完璧にイカレてるし。」
「ワープの回復は、いつ。」
「最低 2日かかると言いたいところだが、青い連中かなり腕がいい。」 機関部員と共同作業しているアンドリア人を見るタッカー。「12時間ぐらいで無事に、ワープで飛べるだろう。…どうかしたか?」
「…いえ。また状況を報告してください。」 出ていくトゥポル。

修理中のリード。「マイクロスパナを取って。」
タラス:「リレーの調整をもっと正確にできる装置をもってきてるけど。」
「マイクロスパナで十分です。…取ってもらえます?」
渡すタラス。「ほかに何か手渡す物は? コーヒーでも入れてくる?」
リード:「ああ、それはいいな。」
「私の助けはいらないようだから船へ戻るわ。歓迎してもらってどうも。」
「シュラン司令官によろしく。」
「大尉、言っとくけど私はスパイに来たわけじゃないから。それほどの価値もないし。」
リードは振り返った。「聞き捨てならないな。」
光子性魚雷を見るタラス。「こんな武器見たの新人時代の戦略訓練以来だわ?」
リード:「ハ、原始的なシステムで時間を無駄にして悪かったですね。」
「とんでもない。何だか懐かしい。」
「ハ!」
「パワーグリッドに再接続するとき、気をつけるのね。…シンクロナイザーをリセットし忘れてる。そのままオンラインにすると、眉毛焦がすわよ。」 兵器室を出るタラス。
「タラス大尉?」
タラスは中に戻った。
リード:「失礼な振る舞いを、謝ります。…コーヒーでも飲んで、それからリレーの調整をしませんか。一緒に。」

『航星日誌、2153年12月6日。アンドリア人の助けを得て、空間異常の区域を何とかくぐり抜けた。』
ブリッジ。
トゥポル:「現在、距離 2億キロ。」
アーチャー:「かなり近づいたな。見つかるな、トラヴィス。」
メイウェザー:「了解。」
トゥポル:「…G型の、恒星系です。惑星が 6、衛星は 100以上。」
アーチャー:「生体反応は。」
「かなりの量の宇宙ゴミがあり、この距離ではわかりません。」
シュラン:「我々のセンサーの方が精度が高い。存在も知られずにスキャンできる。よければやらせるが?」 通信機を取り出す。
アーチャーはうなずいた。
シュラン:「司令官シュランだ。」
アンドリア人:『どうぞ。』
「長距離センサーのデータを、エンタープライズに送れ。」
『了解。』
サトウ:「…受信中。」
スクリーンに表示された。惑星の周りに散らばる衛星のそばに、船が見える。
球状の兵器が拡大された。
トゥポル:「船が 4隻。ズィンディです。」
アーチャーはシュランを見た。


※4: Degra
(ランディ・オグルスビー Randy Oglesby) ENT第59話 "The Shipment" 「兵器工場潜入」以来の登場。声:木村雅史

※5: Xindi-Humanoid (Xindi-Primate)
(タッカー・スモールウッド Tucker Smallwood) ENT第56話 "Rajiin" 「美しき潜入者」以来の登場。声:竹田雅則

※6: Xindi-Reptilian
(スコット・マクドナルド Scott MacDonald) ENT "Rajiin" 以来の登場。声:白熊寛嗣

※7: (Xindi-) Humanoid に対して、「ヒト族」という訳語が使われたのは初めて

※8: Xindi-Sloth (Xindi-Arboreal)
(リック・ワーシー Rick Worthy) ENT "Rajiin" 以来の登場。声:田中英樹

※9: クランペット crumpet
米語ではクランペットのことを English muffin と表現するそうですが、本来は異なる菓子のようです。それにリードは英国人ですし…

※10: Kumari

※11: Andorian ale
ENT "Cease Fire" など。その際は名前は言及されていませんでした

※12: ENT第62話 "Similitude" 「ライサリア砂漠幼虫」での、シムとの出来事が関係していると思われます

司令センターに、惑星と衛星の図が表示されている。
トゥポル:「衛星の多くに激しい爆撃の跡が見られます。」
一つが拡大された。巨大なクレーターが見える。
シュラン:「無人の星を、なぜ攻撃したんだ。」
アーチャー:「恐らく攻撃ではないだろ。…ビキニ環礁※13だ。」
「…何?」
「人間が原始的な核兵器を発明したとき、テスト場所が必要だった。ビキニ環礁は、そのために使われた。」
トゥポル:「ここがある種の実験場※14だと、そういうことですか。」
「ありうる。新兵器がテスト段階にきているなら、時間はないな。」
シュラン:「正面攻撃はお勧めしないね。…兵器の復旧もまだで、主要システムもダウンしてる。数も 4 対 1 だ。」
トゥポル:「4 対 2 なのでは?」
「我々の兵力を合わせても、こんな破壊力を前にして勝ち目はない。ズィンディの新兵器だという保証もなく、船を危険にさらせない。」
アーチャー:「賛成だな。…もっとよく調べよう。」
「…どう調べるというんだ? 飛んでいって何をしてるか聞くのか?」

保安部員に付き添われ、廊下を歩くシュラン。
タッカーが近づいた。「司令官。どうも。後は俺が。」 離れる保安部員。
シュラン:「タッカー少佐。修理の進み具合は?」
「おかげさまで順調ですよ。あと、一つお願いできませんかねえ。そちらの反物質インジェクターは変圧ノズルを使うとか。」
「機密扱いだぞ、誰から聞いた。」
「迷惑はかけられないんで。ただ、それがあれば大助かりなんですけどね。」
「そうだろうな。だがどうかな、あれは…うちでも最先端の技術でね。」
「同盟国同士でしょ?」
「それはこれからだ。…ズィンディの攻撃は、本当に気の毒だったな。」
コンソールを操作しているタッカー。「どうも。」
シュラン:「妹さんが亡くなったって? …船長から聞いた。」
「俺だけじゃ、ありませんから。」
「偉大な勝利に、犠牲はつきものだ。…我々とヴァルカンの紛争でも、流血が続いている。国境での小競り合いは、もう 2、30年にもなる。領域を侵犯されては応戦する。…兄が帝国防衛軍に入ったとき私は学生だった。兄は前方偵察部隊へ配属された。…君がズィンディに復讐したい気持ちは、よくわかるよ。」
「命じた奴を捕まえてやりたいですよ。…でもそのために来たんじゃない。」
「…妹さんの死を償わせたいという気持ちは、全くないというのか。」
「連中の計画が何にしろ、それを阻止したいだけです。」
「うーん。」
タッカーはドアを開けた。「ですから力を借りられれば。」
シュラン:「反物質インジェクターは、届けさせる。」
「感謝します。」
エアロックに入るシュラン。

プロトタイプ兵器のそばにいる、ダールの惑星に来ていたズィンディ船。
人間ズィンディの通信。『デグラ、なぜ遅れている。』
デグラ:「スタンバイだ。」

評議会の爬虫ズィンディ。「もう一時間近くここでスタンバイしてるんだ!」
デグラ:『パワーの最終値を確認中だ。不注意で諸君を落胆させたくないからな。兵器を配備。』

操作するデグラの部下。
兵器が台から離れ、まだ球形を留めている衛星へ向かっていく。
デグラ:「発射プロトコル開始。」

回転を始める兵器の映像が、評議会の空中に投影されている。
警報が聞こえた。

慌てるデグラの部下。

爬虫ズィンディ:「どうしたんだ。」
デグラ:『星系に船が侵入した。』
テーブルを叩く昆虫ズィンディ。「(船籍は?)」

デグラ:「特定できない。テスト中止だ、発射プラットフォームへ戻せ。」
毛長ズィンディ:『デグラ、報告しろ。』

デグラ:『スタンバイ。防衛システム起動、ほかの船に未確認船を迎撃させろ。』
人間ズィンディ:「デグラ。」
『まず兵器の安全確保だ。手が空き次第また連絡する。』
爬虫ズィンディは人間ズィンディを見た。

操作するデグラの部下※15。「未確認船から通信です。」
うなずくデグラ。
ホログラムスクリーンに、シュランが映った。『まずは自己紹介ですね。…私は、シュラン。アンドリア鉱山組合※16から来ました。』

クマリのスクリーンに映るデグラ。『この星系は侵入禁止だ。すぐに、ここを立ち去れ。』

シュラン:『そうでしたか。知らなかった。いえ、トラブルは起こしたくありません。希少な元素を探しに来たんです。…アーチャライト※17で、この星系で有望なスキャン結果が出たものですから。』

クマリのブリッジには、隅にアーチャーとトゥポルもいる。
デグラ:『何を探しているか知らんが、すぐ向きを変えて去れ!』
シュラン:「ええもう、もちろん。ただ、スキャンを終えても構いませんか。アーチャライトは非常に貴重な物質でして、数キロでも 10回分の遠征の出費を捻出できる。」

報告するデグラの部下。「こちらをスキャンしています。」
シュラン:『いえ、プライバシーを侵す気はありません。我々のセンサーは全方向性で、そちらの船も入ってしまうだけです。』
デグラ:「スキャンを停止して即刻立ち去れ。さもないと撃墜する!」
『…脅される筋合いはないな。』

アーチャーはシュランを見た。
シュラン:「引き返します。だがもし本当にアーチャライトがあるなら、あんたは工場権の歩合を手にする機会をみすみす逃したことになるんだぞ!」

通信は終わった。

シュラン:「スキャン停止。星系を離脱する。…だがゆっくりと出発しろ。我々アンドリア鉱山組合は、脅しで逃げはしない。」
トゥポルと顔を見合わせるアーチャー。

兵器の図が、司令センターのモニターに表示されている。「高レベルの放射能が出ています。」
シュラン:「だがどうかな。核反応炉など、発電施設かもしれないぞ。」
「地球を襲った偵察機と量子特性が同じですが?」
アーチャー:「船の修理の状況は?」
「エンジン関係は順調、防御プレートは 82%です。」
「兵器は。」
「リード大尉の報告では、予測より被害が大きかったそうです。」
「いつ終わる。」
「恐らく、あと 2日程度かかるかと。」
「新兵器がテスト段階なら、2日も待ってはいられない。」
シュラン:「なぜそう焦る。まだ最終バージョンではないはずだ。トゥポルの分析結果でも、惑星全体を破壊するほどのパワーはない。テストをやらせればいいだろう。いま破壊するのはもったいない。テストの結果を見れば、攻撃力を判定できる。」
「破壊するつもりはない。この兵器が手に入れば、艦隊は防御策を講じられる。兵器を奪うんだ。」

兵器室のタラス。「フェイズ・カプラは充電中よ。」
リード:「…後はエミッターをリセットするだけだな。」
「周波数はいくつ。」
「私が。」
「…信用してないの?」
「すみません。ですが兵器の周波数となると、実の母にも言えません。」
「あなたのお母さんは危険人物なの?」
笑うリード。「たとえですよ。」
タラス:「うちの母は、私より機密に詳しいわ。」
「ほんとに?」
「母は歩兵部隊を率いてたの。」
「じゃ軍人の家系ですか。」
「4代目よ?」
「…うちは、3代続いた。」
「期待を裏切ったのね。」
「は?」
「宇宙探査の船に勤務して家族は、ガッカリしたでしょ。」
「ここしばらく、探査なんてほとんどしてませんけどね。ですが確かに、父は喜ばなかった。英国海軍命でした。」
「今のあなたを知れば見る目が変わるでしょうね。…人類のため戦っているんだもの。」
「…そうでしょうね。よし。終わった。じゃあパワーを入れて、様子を見てみましょう。」
タラスはリードが降りていったのを確認し、道具を使い始めた。

ブリッジに戻るアーチャー。「報告を。」
トゥポル:「プロトタイプ、発射されました。」
「拡大して見られるか。」
通信機を使うシュラン。「シュランだ。」
アンドリア人:『はい、司令官。』
「長距離センサー映像を、エンタープライズへ。」
衛星のそばに移動した兵器が拡大された。
見入るアーチャー。

プロトタイプの映像は、ズィンディ評議会でも拡大されている。ビームが発射された。

衛星に到達し、地表にヒビが入る。
全体に広がっていく。ビームの照射は終わった。

視線を落とすアーチャー。


※13: Bikini Atoll
1946〜58年に米国が核実験を行いました

※14: proving ground
原題

※15: Degra's Assistant
(Josh Drennen) 後にも登場。声:高階俊嗣

※16: Andorian Mining Consortium

※17: Archerite

頭を下げている人間ズィンディ。
爬虫ズィンディ:「デグラ。これがお前の言った満足のいく結果なのか。」
昆虫ズィンディ:「(衛星を破壊するはずだ)」

デグラ:「オーバーロードになったせいだ。やむなく中断せざるをえなかった。」
人間ズィンディ:『なぜ! どうなった!』

デグラ:『データを分析する時間が必要だ。』
爬虫ズィンディ:「時間? 時間はもう十分与えたはずだ。一発で全人類を全滅させる兵器を造るんじゃなかったのか? 少しずつジワジワ殺していくのか。」
水中から話す水棲ズィンディ。「(まったくだ。我慢の限界だ)」
毛長ズィンディ:「だが衛星はほとんど 2つに割れている。明らかに進歩はしているんだ!」
爬虫ズィンディ:「これでは遅すぎる。…失敗する度に脅威は増すんだぞ!」
人間ズィンディ:「デグラ、問題は修正できるのか。」

デグラ:「プロトタイプを回収すれば、もっと情報を得られる。」
爬虫ズィンディ:『だといいがな。』

司令センターで、兵器稼働の映像を再生させている。
トゥポル:「出力は地球を襲ったものより遥かに上ですが、あれがあの兵器の最大出力だとは思えません。」 グラフが表示される。「パワーの揺れを感知しました。恐らく、オーバーロードになったようです。」
シュラン:「つまり実験は、失敗だったのか?」
「壮観でしたが、そういうことです。」
笑うアーチャー。「…グレイリックだ。…新兵器の一部を造っている工場で出会った、毛長族※18ズィンディの名前だ。…手を貸すと約束した※19。約束を守ったようだな。」
兵器の映像を見るシュラン。「彼らはなぜ回収に来ない。」
トゥポル:「まだ、高レベルの放射能が出ています。」
アーチャー:「どのくらい経てば近づけるんだ?」
「最低でも、6時間。」
「先回りしなきゃならない。…出発ベイに、シールド※20を張り周辺から全員避難させたら…もっと早く収容できないか。」 コンソールを操作するアーチャー。
「我々のシールドでは、クルーを守れません。」
シュラン:「私の船は? …フォースフィールドで放射能を封じられるぞ。エンタープライズに安全に転送できるまで、貨物室で保管しよう。」
アーチャー:「ありがたい話だが、我々は何もせず見ていろと言うのか。」
「4 対 2 なんだぞ。…そうだろ。これは共同作業だ。」
「アーチャーよりリードへ。」

兵器室のリード。「リードです。」
アーチャー:『兵器の状況は。』
「魚雷は復旧しました。それにタラスのおかげで、フェイズ砲も一時間で使えます。」
『必要になる、以上だ。』
タラス:「もっと時間があればね。フェイズ砲の出力は、94%にしかならないわ。」
リード:「93 でも未知の領域だ。帝国防衛軍を辞めるようなことがあれば、艦隊があなたを厚遇しますよ?」
「あなたも探検に飽きたら、防衛軍で雇ってもいいわよ?」

アーチャー:「申し出に感謝する。…受けるよ。」
シュラン:「では、船に戻る。」
「私も行こう。…兵器の収容に、私も立ち会う。」
「必要ないよ、報告は入れる。」
「そうはいかない。…もし何かあったら…」
「クマリは戦艦だ、クルーも戦闘をくぐり抜けている。あんたの監督がなくても、任務は十分果たせる。」
「これは共同作業じゃ、なかったのか?」 トゥポルを見るアーチャー。
「協力は少しも惜しまないが、私のクルーは…あんたから命令は受けないぞ!」
「受けてもらうしかない。」
「帝国防衛軍は、ピンクスキンの都合通りには動かん。」
「これは私の任務だ!」
「プライドの問題で、重大なチャンスをふいにするというのか!」
「プライドじゃない、死んだ 700万人はアンドリア人でなく人間だ! 人類の運命を、他人の手に委ねることはできないんだ! …協力はするが、私の命令は受けないとそう言うのなら助けは必要ない。」

クマリ。
作戦室で通信を受けているシュラン。
『シュラン司令官、スキャン結果は見た。よくやった。』 アンドリア人だ。
「アーチャーの科学士官は、例の兵器をまだ不安定と見ています。」
『あのヴァルカンか。』 映像は多少乱れている。
「彼女の判断を信じていいでしょう。かなり…有能です。」
『データは検討しよう。計画を進めろ。』
「将軍※21。人間は同盟相手になりえます。」
将軍:『この任務が成功すれば同盟など組む必要はない。誰ともな。』
「ですが彼らを敵に回し、それ以上の利益が得られるのですか。」
『任務の是非についてはお前が口を挟むことではない。…ピンクスキンに肩入れするのもいいが、そのことを忘れるな。』 将軍の通信は終わった。

兵器室のコンソールを操作しているタラス。
リード:「何してるんだ。…センサーにアクセスしてましたね、センサーに被害はない。」
タラス:「被害はないわよ? でもいくつもバイパスを作ったから、センサーにも新たな問題が出てきてるの。」
「チェックしてくれたんですか。」
「ズィンディと戦う段になって、闇雲に飛ぶのはヤでしょ?」
「…じゃ、ほかに確認しておくべきことは?」
「センサーアレイ※22を調整したわ。ほかのシステムは全部問題なく機能してる。これだったら戦闘に出ても安心よ。」
「原始的兵器しかなくても?」
「武器がどうこうより、使う者の腕だから。」 歩いていくタラス。
リードはすぐに操作を行う。

デグラの船で、警報が鳴る。
デグラ:「何だ。」
部下:「船です。」
「アンドリア船か?」
「いえ。人間の生体反応が。」
「…護衛艦を送り処置しろ! …兵器に近づかせてはならん!」

単独で航行するエンタープライズ。
メイウェザー:「ズィンディ船、2隻接近。」
船長席のトゥポル。「戦術警報。」
うなずくリード。
トゥポル:「少尉、回避行動を。」
メイウェザー:「了解。」
「船長を呼んで。」

クマリにトゥポルの通信が流れる。『爬虫類族の船が 2隻、接近してきます。ほかの 2隻は、動いていません。』 スクリーンに映っている。
アーチャー:「足止めしといてくれ。」
『わかりました。』
シュラン:「命令を待ってるんだがね。」
アーチャー:「…奪いに行こう。」
「兵器準備、コースセット。」
衛星のかけらに隠れていたクマリが、動き出した。

報告するデグラの部下。「もう一隻です。アンドリア船が兵器へ向かっています。」
デグラ:「組んでいるのか。護衛艦をすぐこっちへ戻せ!」

エンタープライズは爬虫ズィンディ船と撃ち合う。
爆発が起こるブリッジ。
リード:「防御プレート維持。」
トゥポル:「応戦を。エンジンを狙って。」
フェイズ砲がズィンディ船に命中した。
リード:「離れていきます。」
メイウェザー:「星系へ戻っていきます。」
トゥポル:「少尉、追跡コースを取って。全兵器、一斉攻撃。」

クマリはプロトタイプ兵器に近づき、トラクタービームを発射した。そのまま惑星を離れる。
タラス:「兵器確保。」
シュラン:「星系を脱出、最大スピードだ。」
ため息をつくアーチャー。
兵器はクマリに収容された。ワープに入る。
シュラン:「追ってきてるか。」
タラス:「いえ。人間の船が敵 2隻のエンジンを破壊しました。」
アーチャー:「エンタープライズは。」
「ワープで飛行中。被害はないようです。」
「トゥポルに伝えてくれ。予定通りに合流する。」
タラスはシュランを見る。
アーチャー:「どうかしたのかな?」
シュラン:「防衛軍に兵器確保の連絡を。アンドリアにコースセット、最大ワープだ。」
「どういうことだ。」
「…悪いが、もうあんたの命令は受けられないな。」
「この船を使えと気前よく言ったわけがよーくわかったよ! 何て汚い真似を!」


※18: Arboreal に対して、「毛長族」という訳語が使われたのは初めて

※19: ENT "The Shipment" より

※20: ここでいう「シールド」とは、もちろん後の時代の船を包むエネルギーフィールドのことではなく、単なる「防御 (物)」のこと

※21: アンドリア人将軍 Andorian General
(グランヴィル・ヴァン・デューセン Granville Van Dusen ENT第45話 "Judgment" 「反逆の法廷」の治安判事 (Magistrate) 役) 当初は Ted Sutton が演じましたが、撮り直しの際に都合がつかなかったため変更されました。声:長島雄一、VOY ニーリックスなど。あらすじ部分で ENT "The Shipment" のグレイリック・ダールが登場しているので、その兼任だと思われます

※22: 原語では「側面アレイ (lateral array)」

話すシュラン。「どんな手段を使ってでも、ズィンディの兵器を奪うように命じられたんだ。」
アーチャー:「君らへのヴァルカンの評価は正しかったな。」
「ヴァルカンがいるからあれが必要なんだ。」
「意味がわからんね!」
「この 200年というもの、彼らが侵略してこなかったのはただ大規模な報復を恐れてのことだ。この兵器があれば、二度と侵略は考えないだろう。」
「ヴァルカンとの国境紛争のために、地球を危機にさらすつもりか!」
「ズィンディのテストを妨害し兵器を奪ったんだ。助けたことに変わりはない。」
「アンドリアとは、助けるって言葉の定義が違うらしい!」
「…我々の任務を説明する必要はない! 私は、帝国防衛軍の命令に従うだけだ。」
「私のクルーがこのまま黙ってはいないぞ。」
「果たしてこの船に追いつけるのかな?」
タラスを見るアーチャー。「空間異常の区域では速くは飛べない。」
シュラン:「それは計算済みだ。タラスがエンタープライズで作業していたときセンサーに細工した。追いつけるかもしれないが、我々を見つけることはできない。」
アーチャーはシュランを殴った。アーチャーを取り囲むアンドリア人。
アーチャー:「借りを早く返したいとか言ってたが、俺も早くこうすべきだった!」
口から青い血を流すシュラン。「船長を脱出ポッドに乗せろ。…心配ない。エンタープライズに居場所を教える。」
手を振り払うアーチャー。自ら歩いていく。
視線を落とすシュラン。

宇宙空間を漂う脱出ポッド。エンタープライズが近づく。

廊下を歩くトゥポル。「爬虫類族の船は、エンジンを破壊しました。ほかの船も追ってきていません。」
アーチャー:「センサーの状況は?」
リード:「オンラインです。おっしゃったとおり、よく見張っていなかったら細工した個所を見つけるのに何週間もかかったでしょう。」
「アンドリア船は?」
トゥポル:「空間異常区域に。」
リード:「減速しています。あと 14分で追いつけます。」

クマリの作戦室で話すシュラン。「分析を始めています。」
将軍:『よくやった。褒賞が出るよう手配しよう。』
「お言葉ですが、それは辞退させてください。」
『なるべく早く分析結果を送ってよこせ。』 終わる通信。
ため息をつくシュラン。
タラスの通信。『シュラン司令官。』
シュラン:「何だ。」
『エンタープライズが接近中です。』
シュランはブリッジに入る。「現在位置は。」
タラス:「後方 8万キロです。…呼びかけています。」
アーチャーが映る。
シュラン:「アーチャー船長。…無事に戻れたようでよかった。どう我々を見つけた?」
アーチャー:『見張りもつけずにそっちのクルーに、作業させたと思うのか。…兵器を渡すんだ。』
「フン、粘り強さは評価するが本気で奪い返せると思っているのか?」
『いいや? そっちが我々に引き渡すんだ。自主的にな。』
笑うシュラン。「警告しておくべきだった。アンドリアン・エールを飲み過ぎるのはよくないぞ?」
アーチャー:『さっさと船を放り出されて言う間もなかったが、遠距離センサーの結果を送ってくれたおかげで、ズィンディがテストをしたときの兵器の起爆コードが判明したんだ。…渡さなければ、そっちの貨物室で爆発させる。』
「戦利品を失うぞ。」
『アンドリアへ持ち帰らせるよりその方がマシだ。』
「我々は敵じゃない。」
『それでヴァルカンを攻撃させるわけにはいかない。』
「ヴァルカンが君らに何をしてくれたというんだ!」
『我々を助けに来たと言ったな。まだ埋め合わせることはできる。』
「悪いな、ピンクスキン。」
『では選択の余地はない。』
「お前にそんなことはできんよ。…空間異常区域へ入れ。」
『トゥポル!』

操作するトゥポル。

シュラン:「……シュランより第3貨物室、状況報告を。」
アンドリア人:『兵器の爆破マトリックスが起動。自動的に作動しています!』
満足げなアーチャー。
シュラン:「停止しろ!」
アンドリア人:『停止できません!』
アーチャー:『私なら引き渡すね。』
シュラン:「どうなった!」

トゥポル:「爆発まで、あと 30秒。」

首をかしげるアーチャー。うなるシュラン。

アーチャー:「シュラン?」

トゥポル:『あと 20秒。』
シュラン:「…そこから退避、貨物室の扉を開けろ!」
クマリからプロトタイプ兵器が落とされた。

トゥポル:「あと 6秒。」
アーチャー:「退避するぞ。」
メイウェザー:「はい、わかってます。」
兵器は白い光を発し始めた。自爆する。
その衝撃波は、クマリを飲み込んだ。
揺れはエンタープライズにも伝わる。
リード:「被害ありません。」
アーチャー:「アンドリア船は?」
「かなり近かったですが、船体は問題なし。エンジンと動力システムに被害が出ています。」
「…チャンネルを開け。…我々の助けがいるかどうか、聞いてみるんだ。」

ワープ航行に戻ったエンタープライズ。
『航星日誌、補足。シュラン司令官は、援助の申し出を丁重に断ってきた。最後に見たときは、補助パワーで辛うじて飛んでいた。』
司令センターに入るアーチャー。「どうかしたのか。」
サトウ:「船がワープに入る直前、アンドリア船から通信が入りました。」
トゥポル:「通常の通信周波数ではなく、亜空間干渉に見えるよう暗号化されていました。」
アーチャー:「見てみよう。」
雑然とした画面が、兵器の図に切り替わった。
サトウ:「例の兵器を収容していた間に、詳細なスキャンをしたようですねえ。」
トゥポル:「暗号化されているところをみると誰が送ったにせよ、その事実は隠しておきたいようですね?」
アーチャー:「…艦隊本部に至急これを送れ。」
出ていくサトウ。
アーチャー:「トゥポル、今夜トリップも呼んで食事をしよう。君らも一度アンドリアン・エールを試してみないか?」
モニターには詳細な図が表示されていた。



・感想
「一シーズンにつき 1〜2話」という系統のエピソードがよくありますが、ENT におけるアンドリア人はまさにそれですね。デルフィック領域であっても、しっかりシュランが 4度目の登場を果たしました。きちんとズィンディのメインストーリーと絡めつつ、クライマックスがややあっさりしていたものの、真っ当な展開で楽しませてくれます。やはりサブレギュラーというのは幅を広げてくれますね。もっとも、レギュラーでさえまともに描けてないのが ENT ではありますが…。
脚本は共同製作総指揮 Chris Black。ズィンディ評議会の面々もそろって再登場したせいか、今回はフロックスが全く出ていません。


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