USS Kyushuトップ | hoshi.sa.to

エンタープライズ エピソードガイド
第45話「反逆の法廷」
Judgment

dot

・イントロダクション
鉄球が台に叩きつけられ、火花が散った。
クリンゴン人は言った。「被告人入廷!」
扉が開き、連れてこられる者がいる。
周りの壇上にいる男たちは立ち上がり、揃って大きな声を上げる。
「被告人」は中央の台に立たされた。天井から台だけに明かりが注がれている。
周りのクリンゴン人たちは、棒を床に打ち付けて唱え続ける。「ジャーク※1! ジャーク!」
判事※2がもう一度鉄球を打つと静かになり、みな座った。
判事:「お前はクリンゴン帝国に対する反逆罪で起訴された。罪を認めるか。」
被告人のアーチャーは言った。「私は無実だ!」
不満の声を上げるクリンゴンたち。
判事:「明日の裁判で、被告人は無実を証明する機会を与えられる。証明できねば、ただ死刑が待つのみだ。」
立ち上がるクリンゴン人たちを、アーチャーは見上げた。


※1: J'Hak

※2: 治安判事 Magistrate
(グランヴィル・ヴァン・デューセン Granville Van Dusen ENT第65話 "Proving Ground" 「アンドリア人の協力」のアンドリア人将軍 (Andorian General) 役) 声:糸博

・本編
小型機が上空を飛行する、ナレンドラ3号星※3
牢の中にアーチャーはいた。皿に置かれた肉を見ている。
クリンゴン人の看守※4がドアを開けた。「5分だけだぞ。」
フロックスが入る。
アーチャー:「来てくれたか。」
フロックス:「体調は?」
「うん、良くはないな。」
「生きているか不安でしたよ。」
「処刑の前に裁判はしてくれるとさ?」
スキャナーを使うフロックス。
アーチャー:「…どうだ。」
フロックス:「ゼノポリディス・アセミア※5は伝染性です。隔離されていないのが不思議だ。」
その言葉を聞き、看守は出ていった。
フロックス:「症状は、熱やめまいはありますか?」
アーチャー:「喉がいがらっぽいだけだ。」
看守が離れたことを確認するフロックス。「診ましょう。」
小声で尋ねるアーチャー。「いつ着いた。」
フロックス:「一昨日です、やっと来られた。」
「国家の敵に、面会は許さないんだ。」
「うん、トゥポルが一計を案じ、船長が伝染病かもしれないと言ったんです。」
「さすがトゥポルだ。」
「宇宙艦隊とヴァルカン最高司令部が、船長の解放を求めてあらゆる手を尽くしています。」
「上手くいきそうか?」
「今はまだ。副司令官とタッカー少佐が、救出作戦を検討中です。」
「うん。…2人に伝えろ。私が、どうなろうと…エンタープライズを、無事クリンゴン領域から脱出させろと。」
「…伝えましょう。」
看守が戻ってきていた。
フロックス:「…待遇はどうです?」
アーチャー:「…まあまあだ。クリンゴン料理は好きになれないがな。」
肉を調べるフロックス。「食欲はそそりませんが、良質なタンパク源です。食べた方がいい。」
別の年老いたクリンゴン人がやってきた。「伝染病なのか?」
フロックス:「違いました。」
「なら船に戻れ。」
「ほかのテストもしたいので…」
「治療に呼んだのではない。」
アーチャー:「……往診助かったよ。」
フロックス:「またすぐに会えます。」 出ていく。
クリンゴン人:「私はコロス※6。代弁人だ。」
アーチャー:「ジョナサン・アーチャーだ。」
コロス:「ああ。今から裁判だ。」
続いて外に出るアーチャー。「お互い話し合ってもいないのに?」
コロス:「起訴事実なら知っている。」
「私はクリンゴンの法制度を知らない。どう進むんだ。」
「…起訴は決定した。検察側の証拠が提出される。」
「いつ証言できるんだ。」
「ああ…お前の弁護は私がする。」
「何が起きたかも知らずにどう弁護するんだ。」
「知っている! 十分にな! お前はしゃべることは許されていない。…私が代弁する。」
アーチャーを押しやる看守。

再び法廷では、クリンゴン人が同じリズムを打ち鳴らしている。
台に立ったアーチャーは見上げた。「何て言ってる。」
コロス:「敵だと。」
「…陪審員じゃないといいな。」
「陪審員などいない。」
歓声が上がった。前からクリンゴン人が近づく。
アーチャー:「あれは?」
コロス:「検事のオラク※7だ。彼の腕はよく知られてる。」
「あんたは。…勝訴の確率は。」
「…職務は十分果たしてる。」
判事が席に着き、鉄球を打つ。「これより審理を始める。帝国に力を。…オラク検事、始めなさい。」
オラク:「証人のトラル※8の息子デュラス※9を、召喚します。」
すぐにクリンゴン人が入る。胸に手を当て、礼をするデュラス。
オラク:「デュラス艦長。被告との遭遇時のことを話して下さい。」
デュラス:「もう艦長ではありません。」
「というと?」
「今は、タイゴコール※10の防衛境界線で、第2兵器士官として勤務しています。」
「ボータス※11巡洋戦艦の指揮官デュラスを召喚したはずだが。」
「…つい最近、降格になったのです。」
「優れたクリンゴン戦士が、指揮権を奪われた。被告は関係あるのか、その…不名誉と。」
「はい。」
「説明して、デュラス兵器士官。」
「…反逆者たちが、クリンゴン保護領ラドラス※12から逃げ、私が追跡を命じられました。ワープの痕跡を追い、クリンゴン領域のすぐ外の星系まで行った時のことです。」

船内で報告する、女性クリンゴンの副長※13。「第5惑星付近で、別の船とドッキングしました。」
デュラス:「見せろ。」
輪のある惑星の近くで、異星人船※14とドッキングしているエンタープライズが映る。
デュラス:「あれは一体どこの船だ。」
副長:「不明ですが、反逆者を収容しています。」
「軍備は。」
「船首と船尾に魚雷管。低出力の素粒子砲、簡単に潰せます。」
「…止めるんだ。」
「…通信です。」
「スクリーンへ!」 映ったアーチャーに言うデュラス。「貴様の身分を明かせ。」
アーチャー:『巡洋戦艦エンタープライズ艦長、アーチャーだ。』
「お前が船に収容したのは反逆者だ、即刻我々に引き渡せ。」
『何の権限がある。』
「クリンゴン最高評議会の命で来た。」
『聞いたこともないな、そんな命令は知ったことじゃない! …こっちは彼らと同盟を結んだ、反乱を支持する!』
「今すぐ引き渡せ、さもないと船を破壊する。」
『もし一発でも撃てば、ご先祖様と対面することになるぞ!』

尋ねるオラク。「では反逆者の、引き渡しを拒否した。」
デュラス:「はい、そうです…」 2人で話し続ける。
コロスに言うアーチャー。「あんなこと一言も言ってないぞ。異議を唱えろ!」
コロス:「大したことじゃない。」
オラク:「証人は抵抗するアーチャーをどう思った。」
デュラス:「哀れです。卑劣な反逆者のために命を落とすことになる。」
アーチャーは大きな声で応えた。「反逆者じゃない!」
騒ぐクリンゴン人たち。
鉄球を叩く判事。「代弁人! 法廷の規則を被告に教えていないのか。」
コロス:「お許しを、治安判事。」 アーチャーに命じる。「黙ってろ! でないと退廷だぞ!」
オラク:「続けろ。」
デュラス:「奴の非礼にも、忍耐で接しました。だが明らかに、奴は流血を望んでいた。」

スクリーンのアーチャーに言うデュラス。「馬鹿はよせ。お前のその船では、とても我々に勝ち目はないぞ。」
アーチャー:『帝国に死を!』
通信が切れるのと同時に、エンタープライズは 2門のフェイズ砲で攻撃した。
デュラス:「反撃するんだ!」
巡洋戦艦ボータス※15はエンタープライズに向けて発砲する。
エンタープライズはラドラス船を残し、攻撃しながら移動する。
副長:「星の輪に向かっています。」
デュラス:「隠れられると思うのか。追跡だ!」
惑星へ向かうエンタープライズを追うボータス。
エンタープライズは輪の中に入った。ボータスの武器が岩に当たり、破壊する。
スクリーンには煙のような破片しか見えない。
デュラス:「どこへ行ったんだ。答えろ!」
副長:「漂流物でセンサーが使えません。」
大きな岩の背後に、エンタープライズの一部が見えた。
デュラス:「あそこだ、エンジンを狙え! 全兵器を使え!」
操作する兵器士官。
岩に隠れているエンタープライズは反対側へ魚雷を発射した。ボータスへ向かっていく。
スクリーンを見つめるデュラス。魚雷が迫ってくる。
それは突然爆発した。
衝撃波が広がり、ボータスは吹き飛ばされた。
爆発が起こる船内。スクリーンは乱れ、何も映らない。
副長:「センサーダウン。シールドもです!」
デュラス:「手動で狙え、撃て!」
エンタープライズは次々と攻撃してくる。
副長:「軌道を離れます。」
デュラス:「追跡しろ!」
「エンジンやられました。」
「ええい、クソ!」

証言するデュラス。「ワープドライブの修理に、3時間かかりました。」
オラク:「その間にアーチャーらは逃げた。大失態だ、副長に殺されなかったとは運がいい。下がれ!」
アーチャーを見ながら出ていくデュラス。
アーチャー:「反対尋問はしないのか。」
コロス:「しても、有利なことは出ない。」
判事:「検事、ほかに提示する証拠はあるか。」
オラク:「いいえ、ありません。今の証言で明らかです。デュラスは任務に忠実に…帝国の敵どもを裁きの場に連れ出そうとしたのに、このならず者が! 人間が! クリンゴン戦士を辱めた上反逆を、扇動しようとした! 疑う余地はない。被告は、我々の敵です!」 周りのクリンゴン人に同意を求める。「アーチャーは無実を、主張している。どこが無実だ! …被告には必要以上の慈悲が示されています。部下も政府も告発を、免れた。被告の星に帝国の艦隊が送り込まれていないだけ運がいい! …ですが被告本人は犯した罪の責任を、取るべきです。我々の法体系における、最高の刑罰を求刑します! ジャーク!」
一緒になって唱え始めるクリンゴンたち。
静かにさせる判事。「反論したいことは?」
コロス:「いえ、ありません。」
「では証言を吟味し、判決を申し渡す。」
アーチャー:「弁護の機会をいただきたい!」
「警告したはずだぞ…」
「証人は事実を歪めた!」
「黙らないか!」
「彼らは反逆者なんかじゃない。私は扇動などしていない! 私はクリンゴンの敵じゃない!」
合図する判事。脇にいたクリンゴン人たちが、持っていたペインスティック※16をアーチャーに押しつけた。
痺れ、苦しむアーチャー。クリンゴン人を制するコロス。
判事:「本法廷は休廷とする。」
微笑み、出ていくオラク。
連れ出されるアーチャー。


※3: Narendra III
クリンゴンの基地がある惑星。TNG第63話 "Yesterday's Enterprise" 「亡霊戦艦エンタープライズ'C'」より。このエピソードでは一度も言及されていませんが、公式サイトではクロノスではなくナレンドラ3号星ということになっています

※4: 独房看守 Cell Guard
(D.J. Lockhart) 声は護衛役の田中さんが兼任

※5: Zenopaldis Athemia

※6: Kolos
(J・G・ハーツラー J.G. Hertzler DS9第1・2話 "Emissary, Part I and II" 「聖なる神殿の謎(前)(後)」のヴァルカン人艦長 (Vulcan Captain)、第73・74話 "The Way of the Warrior, Part I and II" 「クリンゴンの暴挙(前)(後)」などのクリンゴン人マートク (Martok)、第164話 "Chimera" 「仮面の下の孤独」のラーズ (Laas)、VOY第135話 "Tsunkatse" 「囚われのファイター」のヒロージェン・ハンター (Hirogen Hunter)、ENT第80話 "Borderland" 「ボーダーランド」のクリンゴン人艦長 (Klingon Captain) 役。ゲーム "Klingon"、"Armada"、"Armada II"、"Elite Force II" でも声の出演) なお TOS第42話 "The Trouble with Tribbles" 「新種クアドトリティケール」などに登場したコロスは、"Koloth" なので無関係。声:大山高男、DS9 マートクなど

※7: Orak
(ジョン・ヴィッカリー John Vickery TNG第91話 "Night Terrors" 「謎めいた狂気」のアンドレス・ヘイガン (Andrus Hagan)、DS9第170話 "The Changing Face of Evil" 「変節の時」などのカーデシア人ガル・ルソット (Gul Rusot) 役) 声:土師孝也、DS9 シャカールなど

※8: Toral
TNG第100・101話 "Redeption, Part I and II" 「クリンゴン帝国の危機(前後編)」に登場した、デュラスの私生児と同じ名前。この部分は訳出されていません

※9: Duras
(ダニエル・リオーダン Daniel Riordan TNG第19話 "Coming of Age" 「宇宙戦士への道」のロンドン (Rondon)、DS9第15話 "Progress" 「第五の月“ジェラドー”」の第一護衛 (First Guard) 役) 名前からして明らかに、TNG第65話 "Sins of the Father" 「クリンゴン戦士として」などに登場した、デュラスの一族の先祖だと思われます。声:廣田行生、STN 副長官など

※10: Ty'Gokor
DS9第99話 "Apocalypse Rising" 「可変種の脅威 第二幕(後編)」より

※11: Bortas
クリンゴン語で「復讐」という意味。TNG第58話 "The Defector" 「亡命者」で登場した、ヴォルチャ級攻撃巡洋艦と同名。その後 TNG第100話 "Redemption, Part I" 「クリンゴン帝国の危機(前編)」では、ガウロン総裁が乗る旗艦として描かれました

※12: ENT第3話 "Fight or Flight" 「死のファースト・コンタクト」に登場した、アクサナール貨物船の改造デザインかもしれません

※13: Rha'darus

※14: クリンゴン人副長 Klingon First Officer
(ヘレン・ケイツ Helen Cates) 声:重松朋、VOY エザンなど

※15: ENT第32話 "Marauders" 「招かれざる訪問者」で登場したクリンゴン船と、基本的なデザインは同じようです

※16: クリンゴン・ペインスティック Klingon painstik
TNG第40話 "The Icarus Factor" 「イカルス伝説」など

牢の中で、アーチャーは肉を一切れ取った。
噛んでみるが耐えきれず、吐き出した。
やってきたコロスに尋ねるアーチャー。「何だこれ。」
コロス:「ターグだ。」
「火がよく通ってない。」
「黙っていろと言ったろ、聞くべきだったな。」
「…弁護の戦略を台無しにして悪かったな。」
「死刑を避けるのが私の戦略だ。治安判事と話した、協力するなら酌量の余地はある。」
「協力?」
「反逆者の居場所を教えろ。」
「…彼らは反逆者じゃない。」
「お前の見方は関係ない。…帝国の法が裁くんだ。お前がどう言おうとな。」
「まだ何も言わせてもらってないけどな。」
「…どこへ連れて行った。別の船か? 惑星か。…言わないと自分がどうなるかわかっているのか?」
「よくわかってる。」
「死なずに済む唯一のチャンスをもらったんだ。」
「フン。…仮に協力したとして、彼らはどうなるんだ。」
「当然反逆罪で、起訴される。」
「そして同じような裁判か。…判事に、取引は拒否すると言ってくれ…。」
「ロクに知りもしない連中のために命を捨てるというのか。」
「反逆者じゃないってことさえ、知ってれば十分だ。引き渡す気はない。経緯を私の口から証言させてくれれば、なぜ助けたのかわかってもらえる。だが、どうやらあんたは聞きたくないことには耳をふさぐつもりなんだろ?」
「言っておくが私は彼らのような法の解釈はしていないつもりだ。」
「そうか。…じゃどんな解釈だ。」
「代弁人になったのはずっと昔のことだ。…あの頃は違った。」
「良くか、悪くか。」
「法廷は聞く耳をもっていた。」
「…それだったら、昔のことを思い出させてやったらどうなんだ? 歴史の教えは大事なものだろ?」
「……逆らうには…私はもう年を取りすぎた。」
「たとえ依頼人の命が懸かっててもか? …あんたもかなり苛立ってるように見えるがな? 彼らに立ち向かいたいんだろ? だが、ハ…あきらめてしまった。彼らが怖いんだ。」
「誰が怖いものか!」
「じゃ証明しろ! 立ち向かうんだ! ほんとの裁判ってのを、見せてやれ!」
コロスはドアを叩いた。アーチャーを見すえ、出ていく。

法廷。
再び台に立つアーチャー。
判事が鉄球を叩いた。「帝国に力を! …被告に我々の提案を知らせたか。」
コロス:「はい。」
「被告は法廷で発言したいのだな?」
「そうです。自ら証言したいと言っております。」
オラク:「異議あり! 証言ならもう終わったはずです。」
「ですがまだ判決は出されておりません。」
「無意味だ! 早く判決に移って下さい。」
「私には被告人に証言させる権利がある。」
「そんな権利はとうに過去のものだ。」
「治安判事は御存知だと思いますが、コロフ司法憲章※17にこうあります。代弁人は審理中いつでも起訴事実に異議を唱える権利がある。知る限り、この憲章は廃棄されてはいない。カーレス※18の時代より、名誉をかけて、法廷は…正義が行われる場所であった。」 声を上げる周りのクリンゴン。「さあ、被告に証言させてもらえますか。」
判事:「…証言を始めろ!」
納得できないクリンゴン人は騒ぐ。静かにさせる判事。
コロス:「姓名を述べて。」
アーチャー:「地球宇宙船エンタープライズ※19船長、ジョナサン・アーチャーだ。」
オラク:「では聞くがアーチャー船長、帝国から逃亡した船を援助したと認めるのか?」
「救難信号を受けました。…食料もなく、生命も危なかった。」
「そんなことは、問題ではない! 逃亡を助けたんだな!」
コロス:「被告に証言させるんですか、させないんですか!」
判事:「オラク検事。代弁人同様法廷に敬意を払え。…続けろ。」
「では、事件の経緯を詳しく説明しなさい。」
アーチャー:「ですから、救難信号を受信しました。」

輪のある惑星のそばに、被害を負ったラドラス船がいる。
アーチャー:「拡大しろ。…生体反応は。」
トゥポル:「27名です。」
「…応答あるか。」
サトウ:「…いいえ。」
「…マルコム。」
リード:「メインエンジンはオフライン。生命維持装置も壊れ、危険な状態です。」
「…ドッキング可能か?」
メイウェザー:「左舷エンジンから、冷却剤が漏れてます。右舷側から接近してみますが、際どいですね。」
「何とか頼む。」

医療室のベッドで横たわっている、ラドラス人※20。「3週間でワープドライブが故障し、インパルスエンジンに切り替えましたが、メインパワーがダウンしてしまって。」 他のラドラス人も運び込まれている。
アーチャー:「それがいつのことです。」
「さあ。1月半か、もっと前か。補助パワーを、生命維持装置に回しましたが足りずに、フードプロセッサーは止まり、水の再利用も。」
フロックス:「プロテインを与えましたが、2名は深刻な状況です。」
「…出発した時は 54人いました。」
アーチャー:「星を出たわけは。」
「…数年前に、見たこともない種族に、我々は併合されました。…彼らの帝国に忠誠を誓えば、物資を援助すると言われたんです。彼らは資源を奪い尽くして帰った。戻るのを待ちました。食料や燃料が届くのを。…でも来なかった。」

コロスは尋ねる。「帝国から逃げたのを知っていた。」
アーチャー:「彼らのコロニーは見捨てられたんです。」
「それで、彼らに同情したというわけだな?」
「食料もなく、放っておけばすぐ死んでいた。」
オラク:「帝国の臣民だ、お前が生死を気にかける必要はない!」
「帝国も気にかけなかったようだな。」 騒ぐクリンゴン人たち。
「聞きましたか、我々への侮辱です! 罪を犯したとも思っていない!」
コロス:「罪を証明するのが、検事の…仕事でしょう!」
「反逆者に手を貸し、連中を裁きの場に連れ出すのを拒否しています!」
口々に不満の言葉を叫ぶクリンゴン。
判事:「被告人の証言を最後まで聞こう。」
コロス:「続けて。」
アーチャー:「彼らの船は損傷がひどく、修理不能とわかりました。」

作戦室のアーチャー。「相部屋も出るだろうが、全員収容できるだろう。」
トゥポル:「そう指示してあります。…船長が彼らを動かない船に返すことはないだろうと思いましたので。…どこへ連れて行きます。」
「2、3光年先の星系がいいらしい。そこならクリンゴンに見つからない。」
「帝国とは拡大するものです。そこも、いずれ安全とは言えない日が来るでしょうね。」
リードの通信が入る。『船長、ブリッジへ来て下さい。』
向かうアーチャー。

スクリーンを見るアーチャー。
ボータスが映っていた。
アーチャー:「住民を見捨てたわけじゃなかったようだな。」
リード:「物資をもってきたんじゃないでしょうか。」
トゥポル:「あれは D-5※21 巡洋戦艦です、輸送船ではありません。」
アーチャー:「…追いつかれるまでは。」
リード:「…17分です。」
「全員収容したのか。」
「はい。」
「…船を切り離せ。戦術警報だ。」

オラクは言った。「つまり、戦闘準備に入ったんだな。」
アーチャー:「船の防衛の準備をしたんだ。」
コロス:「優秀な指揮官ならそうするでしょうな。」
オラク:「被告人は反逆者が帝国臣民と知っていたと認めています!」
アーチャー:「臣民かもしれないが、その帝国が彼らを見捨てたのは明らかだった!」
「ボータスが逃亡者を連行に来たのも知っていた。その上で被告は帝国の戦艦を攻撃したのです! この人間は! 反逆を扇動しただけに留まらず! 戦争行為に及んだのです!」
また立ち上がって騒ぐクリンゴン人たち。


※17: Judicial Charter of Kholof

※18: Kahless
クリンゴンの伝説的な英雄。TNG第149話 "Rightful Heir" 「クリンゴン神カーレスの復活」など。ENT で言及されたのは初めて

※19: 吹き替えでは「エンタープライズ

※20: 名前は Asahf (Victor Talmadge) ですが、言及されていません。声:平野俊隆

※21: D-5
DS9第157話 "Once More unto the Breach" 「今一度あの雄姿を」で言及。主に TOS で、D-7級が活躍しました。残念ながら訳出されていません

ボータスの情報が表示されている。
リード:「この船は振り切れそうにないな。」
トゥポル:「最高速度は、ワープ6 です。」
メイウェザー:「エンジンを破壊したらどうです。」
リード:「フェイズ砲を一定時間照射できれば装甲を貫けますが、その間じっとしててくれるとは思えない。」
近くにある惑星の図に切り替えるアーチャー。「この星の輪の成分は。」
トゥポル:「ごく普通です。メタンアイス、アイソリティックプラズマ、反磁性ダストです。」
「以前、クリンゴン船を助けた時…センサーアレイをチェックしたか。」
リード:「標準的マルチスペクトル・センサーで、我々のと似ています。」
「…もし輪の中のプラズマに点火したら…センサーを攪乱できるか。」
「数秒なら。」
「数秒でやるしかない。魚雷を調整できるか。」
「はい、できます。」
「何分で。」
「何分あります?」
トゥポル:「クリンゴン船が追いつくまで、11分以下です。」
アーチャー:「かかれ!」

法廷のオラク。「では、ボータスに罠を仕掛けたんだな。」
アーチャー:「先に攻撃はしなかった。」
笑うオラク。「人間は気高いことよ。」
コロス:「被告は中断されることなく、証言できるはずだと思いましたが?」
「いや、私も…ぜひ聞きたい。被告の話は、非常に楽しいのでねえ?」 周りのクリンゴン人は笑う。
アーチャー:「…ボータスは、ワープを解除した時戦闘態勢だった。」

報告するメイウェザー。「インターセプトコースです。距離 20万キロ、更に接近中。」
ブリッジに戻ってきたリードは、うなずいた。
アーチャー:「…呼びかけろ。」
映像が切り替わり、デュラスが映った。『貴様の身分を明かせ。』
アーチャー:「ジョナサン・アーチャー。エンタープライズ※19船長だ。」
『逃亡者をかくまっているだろ。すぐに引き渡せ。』
「犯罪者だとは知らなかったが?」
『反逆扇動で手配されている。』
「…今の彼らは扇動も何もできるような状態じゃない。彼らのコロニーは、宗主国に見捨てられて…」
『反逆者を渡せ! 今すぐだ!』
「…彼らをどうする気だ。」
『お前には関係ないことだ。』
「悪いが、よく事情もわからないまま彼らを引き渡すつもりはない。…政府の担当者と話をさせてくれ。」
『俺が、帝国の声だ。』
「…いいだろう。お互い、落ち着いて状況を…」
デュラスは通信を切り、即座に攻撃してきた。
移動し始めるエンタープライズ。応戦する。
リード:「船体装甲 80%。クリンゴン船に被害なし。」
アーチャー:「輪の中へ向かえ。」
トゥポル:「追ってきます! 距離、1万メートル。」
スクリーンに細かい破片が多数映る。攻撃でブリッジに火花が散る。
トゥポル:「巨大な岩石に接近中、直径 600メートル。方位 227、マーク 4 です。」
アーチャー:「背後に回れ。」
隠れるエンタープライズ。
リード:「クリンゴン接近、距離 4,000メートル。」
アーチャー:「スタンバイだ。」
「…距離、3,000メートル。…2,000メートル。…800メートル。」
「発射!」
岩石を回り込んだ魚雷は、爆発した。アイソリティックプラズマに点火し、衝撃波が広がる。
吹き飛ばされるボータス。
リード:「こちらのセンサーダウン。」
アーチャー:「向こうもそうだと祈ろう! 輪から脱出だ。」

確認するコロス。「ではボータスが先に攻撃した。」
アーチャー:「ええ。」
「それにデュラス艦長と、協議しようと試みたんだな?」
「…拒絶された。」
オラク:「デュラスの任務は人間と協議することではなかった!」
コロス:「攻撃され、ただ自分の船を守ろうとしたと?」
アーチャー:「そうです。」
「その後は。」
「難民を連れてその星系を離れた。」
「ボータスを破壊することもできたのに…なぜしなかった。」
「デュラス艦長は敵ではないからです。」
「彼は、敵ではないから。…私は本法廷において、アーチャー船長の有罪を認めます。」
アーチャーは理解できない。賛同するクリンゴン。
コロス:「…ただし、クリンゴンの問題に干渉したという点でです。実は最高評議会で、被告の名はよく知られています。一度総裁、その人の前にも立ったことがある。帝国に内戦を起こそうとしたスリバンの企みを、暴いたのです。※22
オラク:「何を馬鹿げたことを!」
「きちんと記録にも残っています。…恐らく検事は記録の調査など、しなかったでしょうが?」
アーチャーもオラクを見た。
コロス:「帝国艦隊の記録にも被告の名前が出ています。ラプター級ソムロー※23が、ガス状巨星の大気で難破したのを、被告の船が救出したのです。」
オラク:「そうだとしても本件とは全く無関係だ!」
「本件と大いに関係があります。被告の行動パターンがわかるからです。デュラス艦長との遭遇時も同じだった。そうです。独善的ではあった。…だが彼の干渉がクリンゴン船を救い、内戦の危機までも救っていたのです。…今回、被告が有罪なら罪状はただの御節介で、それ以上の何ものでもない。本法廷をわずらわせる価値もありません。よって罰はこの罪に、見合ったものであるべきです。」
アーチャーはうなずいた。

コロスと並んで座っているアーチャー。「判決まで、どのくらいかかる。」
コロス:「普通ならほとんど即決だ。意外にいい弁護だったらしいな。」 笑う。
「…感謝する。弁護してくれて。」
「ああ…礼は早いぞ? まだまだこっちの分が悪いんだからな。」 コロスは瓶を差し出した。
「何だ。」
「ブラッドワイン※24だ。待つ間も気が紛れる…。」
飲んでみるアーチャー。「……何の血なんだ。」
コロス:「…気にするな、気分が悪いか?」 自分も飲む。
「…そうは言ってない。」 また口にするアーチャー。「あ…。今まで何度勝訴したんだ?」
「さあ、何度かな。200 以上だ。ま大昔のことだがな。法廷がまだ戦士階級の道具に、成り下がっていなかった頃の話だ。」
「…ほかの、階級もあるのか。」
「クリンゴン全員が戦士だと思っていたのか?」
「…そう思ってた。」
「ああ…私の父は、教師だった。母は、大学の生物学者だ。両親が法律の道を勧めてくれたんだ。だが…今の若い者は、年端も行かないうちにすぐ武器を手にしたがる。…とにかく勝ちさえすれば名誉だと、そう言われて育つ。弱い者相手に勝利を上げて何が名誉だ。あの無力な難民船を、もしもデュラスが破壊していたとしたら…帝国の英雄と褒め称えられていただろう。ああ…ほんのしばらく前までは、偉大な国だった。高潔な精神と、勇気ある行為が、真の名誉とされていたんだ。無意味な流血でなくな。」
「何千年ものあいだ人間も同じ問題を抱えてた。世界大戦を 3度くぐり抜け、人類全体がほとんど死に絶えるところまでいったよ。」
「なぜ変われた。」
「…数人の、勇気ある者たちがあきらめずに、行動を起こした。」
音が響いた。ドアが開けられる。

鉄球を打ち鳴らす判事。「双方の証言を慎重に検討した。コロス代弁人は、予想外に驚くべき論陣を張って見せた。弁護側最終弁論を受け、被告は己の愚かさの犠牲者と結論するに至った。…反乱の扇動は、していない。…しかし、オラク検事がはっきりと指摘したとおり、帝国の法が犯されたことは間違いなく、被告アーチャーは意図に関わりなく、自らの行為の責任を取らなければならない。よって本法廷は、被告に有罪を宣告する。」
喜ぶクリンゴン人たち。
判事:「しかしながら!」 何度も鉄球を叩く。「しかしながら、これまでにクリンゴンの民を助けた被告の行為を、全く無視することもできない。…これによって死刑の判決は、免除しよう。」
クリンゴンは今度は不満を言い出す。
判事:「静粛に!」
ため息をつくアーチャー。
判事:「ジョナサン・アーチャー。被告ジョナサン・アーチャーに、流刑植民地ルラ・ペンテ※25のダイリチウム鉱山での、終身刑を言い渡す。」
騒ぐクリンゴン。


※22: ENT第1・2話 "Broken Bow, Part I and II" 「夢への旅立ち(前)(後)」より

※23: ENT第14話 "Sleeping Dogs" 「名誉に生きる者」より。吹き替えでは「ソムロー

※24: bloodwine
クリンゴン・ブラッドワイン。TNG第157話 "Gambit, Part II" 「謎のエイリアン部隊(後編)」など

※25: Rura Penthe
映画第6作 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」より

判事は命じた。「囚人は退廷!」
オラク:「異議を申し立てます!」
「私ならやめておくがな、オラク検事。お前の勝訴だ。」
「判事の公正な判決には敬意を表します。…とはいえ反逆罪には死刑が妥当です!」
コロス:「死刑の宣告と同じだ! …ルラ・ペンテの流刑植民地ですって? あそこに送られた者がどれだけ生きられます! 半年ですか? 長くて一年だ。それでもこれを慈悲ある判決だというんですか。」
判事:「本法廷は代弁人に相当の忍耐を示してきた。だが私にも限度があるぞ。」
「特別なことなど何も求めていません。依頼人への公正な裁きだけです。クリンゴン人と同じ権利です。だが、この法廷に立った者が、真に正義の裁きを受けたのは、大昔のことでしたな。」
「…口に気をつけろ! 貴様この法廷の名誉を汚す気か!」
「名誉?」 近づくコロス。「判事はアーチャー船長の信念ある高潔な行いを認めておきながら、それにどう報いました。この法廷で、公に仰々しく情けを示しておきながら、死が待つ、氷の洞窟へと送り込むのですか。」
「よさないか!」
「恐れながら、そのどこに名誉がありますか。どこに!」
立ち上がる判事。「代弁人に法廷侮辱罪を言い渡す。…どうやら受刑者に心底心酔しているようだ。ならばアーチャー受刑者と共に、一年間…ルラ・ペンテに行くがいい!」 騒ぐクリンゴン人たち。「退廷させろ!」
2人は連れて行かれた。

ナレンドラ3号星軌道上のエンタープライズ。
トゥポル:「ヴァルカン最高司令部は、釈放に向け動くそうです。」
タッカー:「…俺たちはどうします?」
「裁判中のみ留まることを許されていました。…今は立ち去るしかありません。」
リード:「船長を見捨てて?!」
「選択の余地はないんです。」
メイウェザー:「ルラ・ペンテって、どんなとこなんです。」
「環境は劣悪です。」
リード:「…連れて行かせませんよ。」
「…ここはクリンゴン領域内です。救出作戦は問題外です。」
タッカー:「…危険は承知だ。」
「船長が許しません。船長のため、クルーを危険にさらすなと明言されています。」
「船長のことは、忘れるんですか?」
「救出には行けないというだけで、まだ外交チャンネルがあります。」
「外交チャンネルはもう試したんでしょう?」
「全てではありません。…クリンゴン官僚と折衝したことがありますが、話の…通じる者もいます。…メイウェザー少尉。……軌道を離脱します。」

一面氷の惑星、ルラ・ペンテ。
地下へ通ずる入り口が見える。
中の洞窟で、囚人が働いている。
看守の声が響く。「おい、仕事に戻れ!」
囚人にはクリンゴン人や、他種族の者もいる。
コロスが壁面を掘り出していた。奥にはアーチャーもいる。2人とも粗末な毛皮を着ている。
疲れ、動きを止めるコロス。
アーチャー:「大丈夫か。」
コロス:「…どうも、法律家が長すぎたらしいよ。戦場経験が足りん。」
「みんなが戦士じゃないさ。そうだろ?」
看守※26がペインスティックをコロスに押しつける。「無駄話が船の燃料になるか? 働け!」 蹴る。
アーチャー:「やめないか!」
「仕事に戻れ!」
看守に突っかかるアーチャー。手を取り、逆に看守の身体に棒を押しつけた。
別の看守がアーチャーを攻撃した。
看守:「もしまた面倒を起こしたら、今夜は地表で寝させるからな!」
離れていった。
コロス:「馬鹿な男だ。」
アーチャー:「…礼はいいよ…。」
「まだ懲りないのか。ここへ来たのもそのせいじゃないのか。他人の揉め事にすぐ首を突っ込むからだ。」
「地球じゃこう教わる。『弱い者いじめはするな』ってね。」
「…じゃあ、人間はみんなこうか。」
「正義漢…?」
「…馬鹿者だ。」
笑い始める 2人。
アーチャー:「ま、そうだな。」
コロス:「立て。…働かんとな。…地表で眠りたくはないだろう。…さあ。」 アーチャーを起こす。

2人は働き続けている。
看守の声が聞こえる。「ついてこい。こっちだ!」
アーチャー:「新入りだな?」
コロス:「ああ?」
新たな囚人が、何人も入ってきた。
コロス:「オラク検事は大忙しだ。」 笑う。
2人は仕事を続ける。
すると、一番後ろを歩いていた囚人が立ち止まった。アーチャーの方を見る。
気づかないアーチャー。
囚人は近づいてきた。
その男を壁に押しつけるコロス。「近づくな! 金目の物はない!」
男はフードを外した。「船長!」 リードだった。
アーチャー:「…心配ない。…私の部下だ。」
「…ご無事でよかった。」
「君もな。…リード大尉、私の代弁人、コロスだ。」
コロス:「ああ…。」
リード:「よろしく。」
アーチャー:「どうやって来た。」
「クリンゴンの役人に、トゥポルの保安省時代の知り合いがいて、看守に連絡を取ってくれました。報酬を払えば、目をつぶるそうです。…ダイリチウム輸送船で来ました。船も買収済みで、エンタープライズへ帰れます。」
「もう一人乗れるか。」
「…平気でしょう。急いで下さい。」
「行こう!」
コロス:「私は行けない。」
「…どうして。」
「50年代弁人をしてきたが、後半 20年は法廷で口をつぐみ…形だけの役割を、こなしてきた。その間に無実の者たちが大勢流刑になった。…まともな弁護も受けられずにな。そこにお前の事件だ。地球では、数人の勇気ある者たちが立ち上がったと言ったろ。…勇気があるかわからんが、私が逃亡者になれば、人々に名誉の回復を…叫ぶことはできない。」
「…どうなるかわかってるのか? …ここの囚人は一年も…生きられないんだろ?」
「簡単には死なん。私には使命がある。」
リード:「船長!」
コロス:「…行け。…早く!」
手を差し出すアーチャー。「ありがとう。」
コロスは握手した。固く握り合う。
微笑むコロス。
アーチャーとリードは鉱山を出ていった。
コロスは見送り、再び洞窟の奥へと戻った。


※26: Guard
(Danny Kolker) 声:田中正彦、叛乱 ソジェフなど

・感想
スタートレック…というか海外ドラマお得意の裁判もの。今回はいの一番でわかるように、映画 ST6 の完全なオマージュとなっています。FBS では数日後に放映されましたし、CS でも「まるごと」で一緒に観られるというのは嬉しいですね。実際に見比べてみると、かなり多くの共通点を見いだせます (判事の鉄球など)。マートク役という俳優・声優や固有名詞も、ファン向けに作られていることがわかります。でも法廷 (一応植民星という設定ですが) やルラ・ペンテのセットは、いくらがんばっているとはいえ、やっぱり映画にはかないませんね。鉱山なんか、妙に狭く見えてしまいます。
肝心のストーリーといえば、ちょっと惜しいですね。もっと「沈黙の漂流船」のように ENT ならではの部分を盛り込んで欲しいところ。過去のシーンの回想になるのも、DS9「裁かれるウォーフ」に似ています。特に最後が無理な解決になっているのは残念です (買収できるほどクリンゴン社会が腐っていると言いたいのでしょうか)。とはいえ普通の ENT レベルよりは遥かに上でしたけど。
「名誉」を重んじるクリンゴンの登場までには、あと 2世紀ほどかかることに…。


dot

previous第44話 "The Crossing" 「光の意志」 第46話 "Horizon" 「兄弟の地平」previous
USS Kyushuトップ | hoshi.sa.to | ENT エピソードガイド