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ディープスペースナイン エピソードガイド
第30話「さまよえるスクリーア星人」
Sanctuary

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・イントロダクション
司令官室に入るキラ。「…司令官、お呼びですか?」
シスコ:「来月の任務ファイルはまだできないのか、キラ少佐?」
「……明日の朝一番で提出します。」
「昨日もそう言ってたぞ?」
「申し訳ありません。…わかってはいたんですが、昨日は一日中…」
「ローザン大臣※1にトライラー半島※2の灌漑の話をしてたんだろ。」
「…どうしてそれを?」
「みんな知ってるさ。君はここ 2日間、モニターに向かって怒鳴りっぱなしだった。」
「ああ…小声で怒ってたつもりだったのに。」
「ま、君の声はよく通るからな。」
「政府の腰が重いのはいつものことだし、今度こそ冷静に話をするぞって思うんですよ。…なのに、それはできない、これはできないっていかにもお役人って感じの言い訳ばっかりするもんだから、つい私…」
「イラツくわけか。」
「イラツくなんてもんじゃありません。もう腹が立って、ベイジョーが危ないっていうのに黙って見ていられません。」
「もちろん、君の気持ちはよくわかる。ベイジョー政府を怒鳴りつけるのも好きなだけやってくれて構わない。だがステーションでの任務に支障を来すのは困るぞ。」
「そうですね。すぐ任務ファイルを作ります。」

司令官室を出たキラ。
オブライエン:「ああ、少佐。クワークが探してましたよ? 急用だとかで。」
キラ:「…忙しい時に!」

笛を演奏しているベイジョー人。クワークの店の客が、みな聴き入っている。
モーンやフェレンギ人のウェイターもだ。
フェレンギ人を小突くクワーク。グラスを運んでいくウェイター。
クワークはモーンに近づく。クワークに気づいたモーンは、涙を拭う仕草をする。
あきれ、布を渡すクワーク。泣くモーンに抱きつく女性。
店に入るキラ。「私に急用があるんですって?」
クワーク:「そうなんスよ。…見て下さい、何かまずいと思いませんか。」
「…どこもまずいことなんかないじゃないの。みんな演奏を楽しんでるわ?」
「楽しんでるって言うより、催眠術を掛けられたって言う方が正しい。」
「だから?」
「演奏中は誰一人ギャンブルをしないんです。…ほとんど飲み食いもしない。こっちは商売上がったりですよう!」
「でも雇ったのは昨日からでしょ?」
「俺は一時間ごとに利益を集計してる! 一時間ごとの数字を目安にして、経営の方針を決めていくんです。でも記録によると、この 26時間※3の利益は過去に例を見ないほど落ち込んじゃってるんですよ!」
「いいから大騒ぎはやめて。…ヴァラーニ※4の演奏の素晴らしさが広まれば、みんな店に聴きに来るわよ。」
「いくら客が大勢うちに押しかけてくれたって、ギャンブルはしない飲み食いはしないじゃ儲けにならねえ。」
「でも一ヶ月はやらせてくれるって言ったじゃない。」
「でもこの調子が続けば、一ヶ月後には倒産してらあ。」
「クワーク! …彼をクビにしないで。」
「何でです。」
「何でってこの私が頼んでるのよ。」
「ああ…なら演奏する曲をもっとほら…跳ねるようなのに。」
「…跳ねる?」
「しんみりはダメっスよ。」
ヴァラーニの演奏が終わり、拍手が起こる。
キラも手を叩いた。ヴァラーニに近づく。「…素晴らしかったわ?」
ヴァラーニ:「そう言ってもらえると、嬉しいです。演奏は久しぶりなのでねえ。」
「でもここが、ちゃんとした演奏用のホールじゃないのが残念だわ?」
「いいんですよ、演奏できるだけでも幸せなんですから。」
「クワークはあなたの演奏を気に入ってるようだけど、もう少しいろんな曲をやって欲しいと言ってたわ。」
「格調の高いものより、もっと気楽なものがいいってことかな。」
「…そんなところね?」
「ええ、もちろん構いませんよ。」
ダボ・ガールの声が飛ぶ。「ダボー!」
キラ:「…こんな店にあなたの演奏はほんとにもったいないわ。」
ヴァラーニ:「ボルカ大臣※5に、ジャランダ・フォーラム※6の再建についての私の意見を伝えてもらえました?」
「ええ、話はしたわ? でも忙しい方だから。」
「あきらめずにやって下さい。芸術を復興させることは、ベイジョー国民にとっても精神的な励みになり、支えになるんです。」
「大臣と会う機会があればまた話してみるわ? 上手くいくかは、約束できないけど。」

司令室に戻ったキラに話すシスコ。「ああ、少佐。クワークの用はどうだった。」
キラ:「済みました。ちっぽけなことで大騒ぎして困ったもんです。」
「大したことでなくてよかったな。」
オブライエン:「センサーが高いニュートリノ数値を記録。ワームホールから船です。」
「スクリーン、オン。」
スクリーンに開くワームホールが映り、一隻の異星人船が出てきた。
キラ:「生命体反応が 4つありますね。」
オブライエン:「エンジンコアにプラズマリークがあります。」
シスコ:「呼びかけてみろ。」
キラ:「…応答ありません。」
オブライエン:「リアクターがオーバーヒート。生命維持装置が停止。」
シスコ:「転送で救助せよ。」
「了解。」
転送台に、4人の異星人が現れた。辺りを見る。
シスコ:「…司令官のシスコです。あなた方はビーム転送で、このベイジョーのステーションに救助されたのです。どうぞ御安心下さい。」


※1: Minister Rozahn

※2: Trilar Peninsula

※3: 吹き替えでは、また「24時間」と訳されています

※4: Varani
(ウィリアム・シャラート William Schallert TOS第42話 "The Trouble with Tribbles" 「新種クアドトリティケール」のニルズ・バリス (Nilz Baris) 役) 映画「シンバッド七回目の航海」(1958) の魔神 Baronni にちなんで。声:大川透、DS9 ガラックなど

※5: Minister Bolka

※6: Jalanda Forum
都市ジャランダは DS9第84話 "Return to Grace" 「新たなる戦線」で言及

・本編
異星人に話すシスコ。「船は牽引しましょう。ドックで故障個所を調べて、そこの修理が終われば皆さんは…また旅を続けられます。傷の手当てにドクターを呼びましょうか。」
異星人の少年がしゃべり出した。「ウー・マーター! ウー・マーター! ドンゴ パッタール メオト フェンタ! フェンタ!」
女性も何と言っているかわからない。「ナガ デンターナ。デンターナ。…オベヤ・タル? オベヤ・タル。キータマ スーティエ。シャランタ スクリーア。スクリーア。」
キラ:「誰か言葉がわかる人いる?」
シスコ:「言語変換機※7が作動してないようだ。チーフ!」
オブライエン:「作動はしてるんですが、なぜか彼らの言語パターンの分析に手間取っているようなんです。…どうやら、文法の体系と構造が非常に特殊でデータベースにないようです。」
「コンピューターが文法構造を理解するまで、何でもいいからしゃべってもらわないと。」
女性:「キート メセーカ。スクリーア。タラク メッセイフェイカ。クー センマーク。グードー ベイソリン フェンタ。フェンタ!」
キラ:「しゃべらすのはそう苦労はないみたいですけど。」
「オベヤ・タル? フィスダク セトマ ミーカ!」
シスコ:「少佐、まずは傷の手当てが先だ。どうやら君に話しかけているようだから、案内してやれ。」
キラ:「…わかりました、じゃあ…ドクターのところへ行きましょう、ターボリフトで。」 先に歩く。
女性:「トマ。ベサ。」
ついていく男性たち。
シスコ:「シスコよりオドー。」
オドー:『オドーです。』
「ガンマ宇宙域からの旅人と、プロムナードへ向かう。第9ターボリフトで落ち合おう。」
『すぐに行きます。』

オドーの前で、ターボリフトのドアが開いた。
キラ:「どうぞ。外へ出て下さい。怖がることはありません。どうぞ。大丈夫です。」
オドー:「どうかしたんですか、司令官?」
シスコ:「コンピューターが、向こうの言語を理解できないんだよ。」
「じゃあ言葉が通じないわけか。」
キラ:「大丈夫です、どうぞ。」
やっとでプロムナードに入る異星人たち。周りの様子に興味津々なようだ。
違う方向へ歩いていく男性を引き留めるオドー。「こらこら、勝手なところへ行くな。迷子になるぞ? 君、こっから動かないでくれよ? 友達を連れてくるから。」
キラ:「ああ、私がやるわ? 一緒に来て?」
ついていく男性 2人。

ベイジョー人女性がいる店。「どうも?」
飾られているドレスを見る異星人女性。「インターワ。インターワ!」
シスコ:「ドレスです、女性が着る物です。」
「インターワ。」
キラ:「インターワ?」
オドーは少年を注意する。「ああ、ダメだよ持って行っちゃ。元に戻して?」
少年:「ヴァーラ。ヴァーラ!」
まだドレスを見ている女性。「インターワ。」
キラ:「気に入りました?」
必死に少年や男性を止めるオドー。「いい物だけどね、君のじゃないんだよ。ほらほら、それも元に戻して。」
シスコ:「キラ少佐、オドーが苦労してるようだ。」
キラ:「ダメよ、それは元に戻してね? …ダメよ、これは売り物なの。ショッピングなら後にしましょう。今は医務室へ行って手当てしてもらわなきゃ。さあ 4人とも、行きますよ? ちゃんとついてきてよ!」
女性:「ファジーク! クロメ ファジーク!」
従う男性たち。
シスコと顔を見合わせ、ため息をつくオドー。

診療室で言い争いをしている、異星人男性たち。「クターナ。」※8
「クターナ バトゥ ラカル アシーム!」※9
「ドカ! ペスタニ ヴォ ラカル アシーム!」
いさめる女性。「コーラト キー!」
オドー:「フン、あの女性がボスらしい。」
シスコ:「怪我の程度はどうだ。」
ベシア:「第2度のプラズマ火傷のようです。皮膚再生装置で治るでしょう。」
その器具を取り上げ、キラに渡そうとする異星人女性。
キラ:「私はドクターじゃないからできないの。」
女性:「クラット。クラット ジョー。」
ベシア:「心配いりません。」 また皮膚再生機を手にする。「危害は加えませんよ。」
キラ:「これで治るのよ?」
少年の治療を始めるベシア。

部屋に入るキラ。「ステーションにいる間はここを使って下さい。お疲れでしょうから、ゆっくりお休みになって? いくら言っても、何も通じてないでしょうけど。」
シスコ:「…百聞は一見にしかずって言うぞ?」 レプリケーターに注文する。「メアザ・ストーク※10を 7本。」
出てきた皿を見せるシスコ。「これは食べ物です。どうぞ、召し上がって下さい。…少佐、食べて見せるんだ。」
キラ:「ああ…これはねえ?」 食べる。「うーん! お世辞抜きで美味しいわ。」
受け取った食べ物を匂い、口にする女性。男性たちも順番に取っていく。「うーん。」
キラ:「たくさん食べて下さい?」
女性:「ヌル バターク ラム サッタ。ラマ エメール ジェッテッカ。ジュラ クー。ガド ソッカ ジーア。」
「ごめんなさい、全然わからないの。」
「バターク ラム サッタ。ラマ サッタ。ズラ クー。ヘミニ ケー。スーラク。エスタッサがいるんです。」
オドー:「待った。いま『エスタッサがいるんです』って言いましたよ?」
シスコ:「もっと話して下さい。」
女性:「…ガノー。ヌル バターク ラマ サッタ。我が国民はイエコッパ。スクリーア。ハヴ ホッタ救わないと。」
キラ:「救うってどうやって? 私の言うことがわかります? もっと話して!」
「ノル スクリーア。ソカ ルー助けて欲しいんです。時間がないんですソラック。私達はスクリーア※11人で、救援を求めに来たんです。もう時間がないんです。」
「あなた方はスクリーア人で助けを求めに来たのね?」
「そうです…。」
シスコ:「残りの仲間はどこに。」
「残りの者はまだ、目の向こう側にいるんです。」
キラ:「『目』って?」
「宇宙の目※12ですよ…トンネルです。」
オドー:「恐らくワームホールのことでしょう。」
「みんなはまだ、私達が目を発見したことを知らないんです。」
シスコ:「みんなって、何人ぐらいなんです。」
「大勢です、大体 3ジェテーカ。」
キラ:「300人? 3,000人?」
オドー:「3…百万人?」
女性:「…300万です、300万の国民が助けを求めているのです。一刻も早く目を通して、こちらへ連れてこなければ。」


※7: 汎用 (万能) 翻訳機 universal translator
24世紀で言葉が通じないのは、あまり例がありません

※8: 名前は Gai (リーランド・オーサー Leland Orser DS9第67話 "The Die Is Cast" 「姿なき連合艦隊(後編)」のロヴォック大佐 (Colonel Lovok)、VOY第73話 "Revulsion" 「生命なき反乱」の Dejaren、ENT第63話 "Carpenter Street" 「デトロイト2004」のルーミス (Loomis) 役) ですが、言及されていません。「ゲイ」としている日本語資料もあります。声:坪井智浩、VOY 初代バクスター

※9: 名前は Cowl (ニコラス・シェイファー Nicholas Shaffer) ですが、言及されていません。「カウル」としている日本語資料もあります。声はソラド役の遊佐さんが兼任

※10: maaza stalk

※11: Skrreea
種族名は Skrreean

※12: Eye of the Universe

司令室。
スクリーア人の女性は、ベシアたちを見ている。
キラ:「どうかしたんですか?」
女性:「司令部に男性がいるので驚いたのです。スクリーアでは、男はこういう場所には出てきませんから。」
ダックス:「指導者は全員女性?」
「そうです。」
ベシア:「全員ですか。」
ダックス:「素晴らしいことだわ?」
女性:「男は感情的すぎますから。いつもお互いに足を引っ張り合っていて…とても指導者には向きません。…ごめんなさい、お気持ちを害するつもりは。」
司令官室から出てくるシスコ。「待たせて悪かったね。」
ダックス:「いいのよ、ベンジャミン。ハニーク※13から聞いたけどスクリーアは女性が支配する社会なんですって。」
オブライエン:「男は、感情的で指導者には向かないとか。」
ハニーク:「でも男女の仲はいいんです。穏やかな国民です。……ほんとですよ?」
シスコ:「あなたも、指導者の一人なんですか?」
「私? ああ…いいえ、私はただの農場主です。ただ運が、良かっただけで。」
ベシア:「どういう意味です。」
「スクリーア人として初めて、宇宙の目を見つけたからです。」
ダックス:「それはワームホールのこと?」
「巨大なトンネルが発見されたと聞いて、それこそケンタナ※14へと通じる宇宙の目だと思ったのです。」
オブライエン:「ケンタナ?」
「伝説に残るスクリーア人の故郷です。我々の聖なる書には、ケンタナは宇宙の目を抜けたところにあると書かれているのです。スクリーア人は、その悲しみの星に喜びの種を蒔くであろうと。」
シスコ:「ケンタナが見つかるかはわからないが、皆さんの移住先は必ず見つけます。…まずは、ガンマ宇宙域の御仲間に連絡を取りましょう。」
「それは難しいでしょう、みんな目を探して散らばってしまっていますから。」
オドー:「連絡が取れてもどうします。このステーションでは、7,000人しか収容できません。スクリーア人は全部で、300万人もいるんでしょ?」
キラ:「ほとんどの方は自分の船で待機という形になってしまうわ?」
ハニーク:「ええ、わかってます。」
シスコ:「それはさておき、どなたに連絡を取ればいいんですか? 指導者の居場所はわかりますか。」
「指導者はほとんど、テログラン人※15に殺されました。」
ベシア:「テログラン人。誰ですか。」
「私達は 8世紀の間、彼らの支配を受け…労働力として搾取されてきたのですが、テログラン人が侵略を受けた隙に逃げ出してきたのです。」
オドー:「侵略って誰が。」
「名前は知りませんが、『ドミニオン※16』とかいう組織に属する一族らしいと聞いています。」
その名を聞き、無言になるシスコたち。

ドアチャイムが鳴り、ハニークは寝室から出てきた。
キラ:「寝てらしたのね?」
ハニーク:「ああ、構いませんよ? どうぞ、入って下さい? コンピューター、明かりをつけて?」
「また出直してきます。」
「いえ! こんなにお世話になってるのに。あなたを追い返したりしたら、バチが当たります。」
男性 2人も出てきた。
ハニーク:「…あなたたちは寝てていいのよ? 用事が終わったら私もすぐ戻るわ? さ?」
寝室へ戻る男性たち。
キラ:「…2人とも夫?」
ハニーク:「『おっと』? その言葉は知らないわ。二人は私と結ばれているの。」※17
「…3人で一緒に寝るんですか?」
「もちろんよ、あなたも男たちと寝るんでしょ?」
「いいえ? 私には一人も男はいません。…とにかく今のところは。」
「…役に立つのに。」
「ええ、それはよくわかりますけど。…お知らせしておこうと思って。お仲間の船に連絡が取れて、今日中にも数百人のスクリーア人が到着する予定になってます。出迎えは是非あなたに。」
「…なぜ私が?」
「だって指導者はほとんど殺されたんでしょ?」
「ええ、それはそうですけど。私はただの農場主なんですよ?」
「でも宇宙の目を最初に通った人なんですから、それだけで特別ですよ。それなりに象徴的な意味はあるでしょ? …ああ! そうだ。あなたにプレゼントです。」 包みを渡すキラ。「開けてみて? …気に入ってたでしょ?」
それは、プロムナードの店にあったドレスだった。
ハニーク:「…ごめんなさい。それは…あなたの誤解だと思うわ。」
キラ:「誤解って?」
「あの時は、あまりに下品なドレスなんで驚いていただけなの。」
「…何だ、私と同じか。」
「…ひどい服だわ?」
「最低よね!」 笑う 2人。「誰が着るのかしら。」

異星人が行き交うプロムナード。
ジェイク:「何にもなかったよ。」
ノーグ※18:「嘘つけー! ダボ・ガールとデートしときながら、何にもなかったなんて信じられるかよ。」 2階の角にいる二人。
「デートじゃないってば!」
「親父さんは、このこと知ってんの?」
「いや、ほんとのとこは…」
「知らないのか。」
「友達と宿題してくるって言ったんだ。」
「はあ、上手くやったな! 俺は、その嘘ダメなんだ。宿題やったことないからさ。」
「嘘じゃないよ、マルダ※19と昆虫学をやったんだ。難しいんだぜ?」
「ダボ・ガールがコンチューガクなんて勉強すんの? ハハ、嘘だあ!」
「ほんとだよ。」
「そうかな? ……ところで、コンチューガクって何?」
「虫の学問だよ。」
「ああ、シェフになりたいのか※20! ああ、うん。」
首を振るジェイク。「あれ誰だ?」 下にスクリーア人の少年、チュマック※21がいる。
ノーグ:「知らないなあ。」
チュマックは、レプリマットの客が残した食べ物を漁っている。
ノーグ:「何やってるんだ? ありゃいくらなんでもひどいぜ。」
ジェイク:「きっとスクリーア人だ。パパがこれからもっと来るって言ってた。」
「あーあ。」
チュマックはジェイクたちに気づいた。
ジェイク:「ハーイ!」
逃げ出すチュマック。
ノーグ:「レプリケーターがあるの知らないのか? バカな奴! おい、マルダには妹はいないのか? あ?」
笑う二人。

スクリーンに映ったワームホールから、新たにスクリーア船が出てきた。
オブライエン:「司令官、この船は第2目標塔へ誘導します。」
シスコ:「いよいよ同胞が、アルファ宇宙域へやって来るわけだ。」
不安な表情を浮かべるハニーク。

エアロックのドアが開き、たくさんのスクリーア人が降りてきた。
ハニーク:「さあ、いらっしゃい? 怖くないのよ? さあ? 大丈夫よ、みんな友達です。怖がらないで、大丈夫よ? 大丈夫。」
シスコやキラも出迎える。

プロムナードを大挙して歩き、感激するスクリーア人たち。
その中には子供もいる。
更にエアロックから大勢降りてきた。笑う者、走り回る者。
2階から注意するオドー。「プロムナードで走るのは禁止だぞー! 全くものすごい混みようですよ。」
シスコ:「まあ少しは我慢してやろう。見てくれ。彼らの、あののびのびした嬉しそうな笑顔。」


※13: Haneek
(デボラ・メイ Deborah May VOY第62話 "Favorite Son" 「女たちの星」のライリス (Lyris) 役) 声:宮寺智子、DS9 女性可変種、叛乱 アニージュなど

※14: Kentanna

※15: T-Rogorans

※16: Dominion
言及されるのは DS9第27話 "Rules of Acquisition" 「フェレンギ星人の掟」以来、2度目

※17: 吹き替えではこのセリフから、次のように訳されています。
ハニーク「どうして? 何かおかしいかしら。2人とも夫よ?」 キラ「…3人で一緒に暮らしてるんですか?」 「もちろんよ、あなたも結婚してるんでしょ?」 「いいえ? 私は独身です。…私は、その方が楽で」

※18: Nog
(エイロン・アイゼンバーグ Aron Eisenberg) DS9第23話 "The Siege" 「帰ってきた英雄 パート3」以来の登場。声:山口勝平

※19: Mardah
初言及。DS9第52話 "The Abandoned" 「捨て子の秘密」で登場

※20: 吹き替えでは「昆虫採集か」

※21: Tumak
(アンドリュー・ケーニッグ Andrew Koenig TOS パヴェル・チェコフ役、ウォルター・ケーニッグの息子) 映画「紀元前百万年」(1940) で、ヴィクター・マチュアが演じたキャラクターにちなんで。当初はコミックにちなんで、"Turok" と名付けられる予定でした。声:岩永哲哉、DS9 2代目ノーグ

チュマックたちから逃げているノーグ。「ヘヘ、捕まるもんか!」
ジェイク:「ノーグ、どこ行くんだ!」
「後で話すよ!」
立ちふさがるオドー。「ノーグ! …プロムナードで走るのは禁止だぞ?」
ノーグ:「…走ってないよ。」
「追いかけっこの理由は何だ。」
ジェイク:「ひどい臭いだ。」
チュマック:「こいつのせいだ。」
ノーグ:「俺? クサいのはそっちだろ。」
「お前があのスプレーをかけたからだろ。」
オドー:「本当か、ノーグ?」
ノーグ:「…ち、違うよ。」
「本当か?」
「…冗談でやったんだよ。」 笑うノーグ。
「大した冗談だな。ありがとう、こいつのことは私に任せておきなさい。」
オドーに耳をつかまれ、連れて行かれるノーグ。「あー、イテテ…」
チュマック:「今度会ったら覚えとけよ!」 ジェイクにも威嚇し、他のスクリーア人と共に歩いていった。
鼻をつまむジェイク。

保安室の指名手配情報を見ているノーグ。「新しいのが増えたねえ。何この名前、『プリックス・ティクシプリック※22』?」
オドー:「レグラニアン人※23だよ。」
「へえ? フーン、『7つの星系において武器の違法売買を行い指名手配中』…へえ、武器売買か。儲かるんだよなあ。」
「フン、何でそんなこと知ってるんだ。」
「ああ、クワークおじさんがそう言ってたよ。」
「それじゃクワークおじさんは武器の違法売買について、ずいぶん詳しいのか。」
慌てるノーグ。「ああ…実はね、そのおじさんはね…」
クワーク:「俺はそういう危ない商売には足を突っ込まないことにしてるんだよ。」 中に入る。
オドー:「なら安心だ。父親に引き取りに来いって伝えたつもりだがな。」
「ロムは週に一度の在庫確認中でね。途中で邪魔が入るとあいつ数を間違えるからな? で、代理で来たんだ。…ノーグ! お前また何かしでかしたのか?」
ノーグ:「ち、違うよおじさん。全部誤解なんだ。」
オドー:「スクリーア人にひどい臭いのスプレーをかけてからかったんだ。」
クワーク:「そうか。」
笑うノーグ。
クワーク:「ヘヘ…でこういう時は何て言うんだ?」
ノーグ:「あ…あ、ごめんなさい?」
「聞いたか、ちゃんと謝ってるぞ?」
オドー:「謝ったからいいってもんじゃないだろ。」
「ああ、厳しく罰を与えないとな?」
ノーグ:「ほんとに?」
「さあ、オドーさんに約束しなさい。二度とこんなことはいたしませんってな。」
「謝るの? あ…二度といたしません、約束です。絶対しません。」
オドー:「ちゃんと監督しろよ?」
「あ…もう行っていいでしょ?」
オドーの許可をもらうように示すクワーク。
オドー:「ああいいよ。」
笑い、走っていくノーグ。
クワーク:「オドー、ノーグだけが悪いんじゃない。」
オドー:「そりゃなぜだ。」
「お前だって知ってるだろう。スクリーア人にはみんな困ってるんだ。ウロチョロしては…何にでも触るくせに、何も買いやしねえ。皮を落とすしな※24?」
「気づかなかったな。」
「俺の店に来てみろよ、店の床中にスクリーア人の皮膚のかすが散らばってらあ。腹が立つぜ!」
「しばらくの辛抱だよ。」
「今までの客の足が遠のいて困ってんだ。長くいられたら商売上がったりだよう。」
「そういうことなら、いつまでもいて欲しいな?」 微笑むオドー。
出ていくクワーク。
オドー:「フン、ったく。」

ヴァラーニの演奏が行われているクワークの店には、スクリーア人があふれている。カウンター席にいるモーン。
テーブルに他のスクリーア人と共に、女性※25が座っている。「これはみんなで長いこと話し合った結果です。私達の気持ちはまとまっています。宇宙の目を発見したのはハニーク、あなたです。だから、あなたがこれから私達を導いていくべきです。」
ハニークは周りの女性を見た。「では全力を尽くしましょう。」
解散する女性たち。
キラが近づく。「深刻な顔ねえ。何かあったの?」
ハニーク:「見て下さい。みんなのあの顔を。…こんな幸せそうな顔は初めてだわ? でも私はと言えば、重い気持ち。」
「何で?」
「私が指導者になって、ケンタナへ連れて行けって言うの。」
「心配することないわ? 移住する先の星なら、シスコ司令官が必ず見つけてくれるから。大丈夫よ。」
演奏を終えたヴァラーニが近づく。「ご一緒して、よろしいですか。」
キラ:「ええ、もちろんよ。ハニーク、こちらヴァラーニ。いずれはベイジョーの歴史に残る素晴らしい才能をもった音楽家よ?」
「ちょっと誉めすぎですが、だから少佐は大好きなんです。」
笑うキラとハニーク。
ヴァラーニ:「故郷を奪われる。ベイジョー人には、気持ちがよくわかります。…友情の証として、これを差し上げましょう。」
ヴァラーニは小さな装置をテーブルに置いた。ホログラムが起動され、若いヴァラーニの演奏が始まる。
ヴァラーニ:「私が、何年も前に開いた演奏会のものです。ジャランダ・フォーラムでね。」
見入るハニーク。

ヴァラーニからのプレゼントを台に置くハニーク。「チュマック、どこに行ってたの?」
チュマック:「別に。」
「どこに行くの?」
「トイレだよ。」 奥へ向かうチュマック。
贈り物を見たハニーク。「…コンピューター? この星系のチャートを見せてもらえるかしら。」
ベイジョー星系の星図が表示される。

プロムナードを歩くジェイク。「で、お父さんは?」
ノーグ:「何がだよ。」
「オドーに捕まったこと。」
「カンカンだったよ。」
「やっぱり?」
「捕まるといつもそうなんだ。」 ノーグは、前からチュマックたちが来ていることに気づいた。「あー思い出した、おじさんから頼まれたお使いがあったんだ。」
ジェイク:「ここで逃げたってダメだよ!」
チュマック:「どうしたんだ、ビビッたのかよ。」
ノーグ:「…ねえジェイク、ヘヘ…こいつ面白い奴だな。」 笑う。
「何が面白い。」
ジェイク:「ケンカを売るのはやめなよ! ノーグだってこの前のことを反省してるんだ。…そうだろ?」
ノーグ:「…反省してるよ…?」
「ほらね? 許してやってよ。」
チュマック:「反省してるようには聞こえねえな。」 ノーグに飛びかかり、2人の仲間の方へ押しやる。
ノーグを殴ろうとするチュマック。ジェイクはチュマックを押さえる。
スクリーア人から逃げようと必死なノーグ。騒ぎに気づくクワーク。
ノーグ:「俺が悪かった、悪かったよ…!」
スクリーア人を離すクワーク。「おいよせ、やめるんだ! やめろと言ってんだろ!」
ジェイクから逃れたチュマックは再び殴ろうとしたが、うなるクワークに手を下げた。
クワークの後ろで一緒にうなるノーグ。
クワーク:「何も買わないでステーション中をのし歩くだけでも迷惑なのに、ケンカまで始める気か。」
チュマック:「俺たちを歓迎しないのか。」
「歓迎されたいならどこかよそへ行きな。」
「あんたたちはほんとは…俺たちを嫌ってるんだ。俺たちだってお断りだよ。…こんなところ! ヘ!」
クワークの後ろに隠れたまま、声を上げるノーグ。スクリーア人の子供たちは歩いていった。
クワーク:「スクリーア人ってのは子供のしつけがなってない種族だ。」
ノーグはまた声を上げた。

ダックスが見ているコンピューターには、惑星が表示されている。
シスコ:「このセクターで、人が住んでいない Mクラスの星を探してみた。移住先には、ドレイロン2※26 が最適だと思う。」
キラ:「ドレイロン2。知らないわ?」
ダックス:「サファラ・プライム※27の近くの星で、条件は完璧よ? 安定した軌道に穏やかな気候、地表の放射能もとても低いの。」
シスコ:「土も肥えているから、農業にはいいだろう。ドレイロン2 で決まりだよ。」
微笑むキラ。

他のスクリーア人女性と集まっていたハニークは、チャイムに応えてドアを開けた。
シスコ:「入っていいですか。」
ハニーク:「ええ、どうぞ?」
「…こんにちは。」 何も言わないスクリーア人。
「…ああ、すみませんシスコ司令官。こういう場では男性に不慣れで。」
「構いませんよ。実は、いいニュースがあるんです。」
キラ:「皆さんが移住するのに丁度いい星を見つけたんです。…条件もそろっていて、素晴らしい星です。」
微笑むハニーク。「…わざわざどうもありがとうございます。でも申し訳ないけれど、その必要はありません。…私達ケンタナを見つけたんです。」
キラ:「…見つけた?」
「ケンタナは悲しみの星です。わかりませんか? ケンタナはあなたの星です。ベイジョーこそ、ケンタナなんです。」


※22: Plix Tixiplik

※23: Reegrunion

※24: 吹き替えでは「酔っぱらうしな」と訳されており、後のクワークのセリフも「店の床中に酔いつぶれたスクリーア人が寝転がってらあ」となっています

※25: 名前は Vayna (ベティ・マクガイア Betty McGuire) ですが、言及されていません。「ヴェイナ」としている日本語資料もあります。声はローザン役の棚田さんが兼任

※26: ドレイロン2号星 Draylon II

※27: Sefalla Prime

DS9 のあらゆるドッキングポートにはスクリーア船がおり、更に周りにも無数の船※28がいる。
『ステーション日誌、宇宙暦 47391.2※29。オブライエンは、スクリーア人の船の修理に大忙しだ。一方ベイジョーからは、ローザン大臣とヴェデク・ソラドが、移住要請に対する答えをもってステーションへ到着した。』
プロムナードのヴァラーニ。「少佐、今いいですか。」
キラ:「悪いんだけどこれから会議があるのよ。」
「ローザン大臣と、ヴェデク・ソラドとですね。ハニークも出席するんでしょ?」
「ええ、そうよ?」
「私の心からのお詫びの言葉を伝えて下さい。ベイジョー国民は、あなた方をベイジョーに迎えられずに悲しんでいると。」
「それは早すぎるんじゃないの?」
「そうですか。あの政府のことだ、移住を拒否するに決まってますよ。」
「だけど全てを失った人たちに、そんな…」
「わかってます、だからこそ力になってあげたいんです。…でも今のベイジョーでは無理な話ですよ。少佐だってよくわかってるでしょ。」

話す女性ベイジョー人、ローザン大臣※30。「まず最初に、ベイジョー政府がスクリーアの皆さんの移住の希望を真剣に検討したことをわかって下さい。それは本当です。閣議では非常に熱を帯びた議論が闘わされました。まあベイジョー人は、議論好きですのでね?」
シスコ:「結論は出たんですか。」
「ええ。結論を申し上げます。ヴェデク議会の意見も政府と同じです。申し訳ありませんが移住は認められません。…残念ですが。」
隣にいるヴェデク・ソラド※31。「今のベイジョーには、300万ものスクリーア人を受け入れる余裕はないのです。」
ローザン:「カーデシア人が星を荒らしていったため、国民の暮らしは困窮しているのです。」
ハニーク:「でも私達ご迷惑はかけません。」
ソラド:「この決定は、ベイジョーのことだけを考えてなされたのではありません。…人口がいちどきにこんなに増えてしまえば、我々のみならず皆さんにとっても悲劇です。」
「でもベイジョーには受け入れの余地があります。北西部の半島は農業に最適な土地なのに、人が住んでいないままじゃありませんか。」
ローザン:「あの地方は今、不毛の地になってしまっているのです。」
「ローザン大臣、スクリーア人は農耕を主とする種族です。その土地を下されば必ず、肥沃な土地を取り戻してみせます。」
「状況が整っていればそれも可能かもしれませんね。でも状況が整っていなければどうですか? 今年の冬がまた長かったら。穀物が実らなかったら? 今でさえベイジョー国民は食糧不足に苦しんでいるのです。どうします?」
「それはもちろん覚悟の上です。」
「それでは困ります。スクリーアの皆さんが北西部の半島に入植した場合のシミュレーションを行ってみました。結果は芳しいものではありませんでした。」
シスコ:「…ハニーク、ドレイロン2 への入植を考えてみてくれないだろうか。気候も穏やかだし、土も肥えてるし。」
ハニーク:「いいえ! シミュレーションが間違ってます。」
ソラド:「でも、間違っていなかったらどうします。あなた方が死に始めたら、ベイジョーはどうすればいいのか。」
「ご迷惑はかけません、助けて下さらなくて結構です。」
ローザン:「私達が黙って見ていられるとお思いですか? 助けずにはいられませんよ。食べ物や衣服や必要な援助はせざるをえないでしょ?」
ソラド:「その援助はどこからくるか。もちろんベイジョー国民からです。ただでさえ物資が不足しているのに、共倒れになってしまう。」
「申し訳ありませんが、政府の決定は最終的なものです。スクリーア人のベイジョーへの入植は認めません。」
キラに頼むハニーク。「お願いです、あなたからも…頼んで下さい。私達を助けて。」
キラ:「……ごめんなさい。…本当に悪いと思うけど、今のベイジョーでは無理なのよ。…ベイジョーがケンタナならよかったのに。…でも違うのよ。」
シスコ:「…あきらめるんだ、ドレイロン2 がある。」

レプリマットに並んでいるスクリーア人たち。チュマックもいる。
近づくジェイク。「失礼。…僕の一押しはアイコベリー・トルテ※32だよ?」
チュマック:「あのデカ耳、ほんとに友達か?」
「ああ。」
「ハ、あんなバカ。」
「みんなそう言うけどね。だけど、付き合ってみるといい奴なんだよ。」
「付き合うほど長くここにいねえよ。」
「…ドレイロン2 に入植するんだってね。」
「そうか。」
「結構いい星らしいよ?」
「お前も行きたいか。」
「いいや。」
「俺だってヤだよ。」 後ろを向くチュマック。

ドアチャイムに応えるハニーク。「どうぞ?」
キラ:「…ハニーク。」
「…何であなたが、今まで友達の振りをしていたのかわからない。」
「振りをしてたんじゃないわ?」
「ああ、じゃ友達だったわけね? いざって時までは。」
「……今のあなたにはわからないかもしれないけど、私だって辛いのよ。」
「もうあなたの言うことは信じられません。」
「でも司令官が見つけてくれたドレイロン2 は素晴らしい星よ?」
「私を裏切るのね、キラ。」
「いいえ、違うわ? …私もベイジョー政府の決定は正しいと思ってる。…それがベイジョーのため、スクリーアのためなのよ。」
「そう思ってるのなら、もう話し合うことはありません。」
「……これからも友達でいたかったのに。」
「じゃ私に許して欲しくてここへ来たわけねえ? でも私はあなたを許さない。」
出ていこうとするキラ。
通信が入る。『シスコよりキラ。』
キラ:「はい、キラですが。」
シスコ:『ハニークと一緒か。』
「ええ。」
『すぐ 2人で、司令室に来てくれ。チュマックが船を奪って、ベイジョーへ向かった。』
顔を見合わせるキラとハニーク。


※28: 背景を含めた多くの船は、飛行機、車、戦車などのオモチャの組み合わせ、いわゆるキットバッシュです (前に 2回登場したスクリーア船も同様かもしれません)。中央に大きくあるのは TNG第54話 "Booby Trap" 「メンサー星人の罠」に登場したプロミリア巡洋戦艦クレポンジの使い回し (元は映画「クリープス」(1986) 用に作られたモデル)。また、左のは DS9第9話 "The Passenger" 「宇宙囚人バンティカ」のノルコヴァの使い回しのようです (ただし上下逆さま。元のモデルは TNG第20話 "Heart of Glory" 「さまよえるクリンゴン戦士」のタラリア貨物船バトリス)

※29: TNG第163話 "Parallels" 「無限のパラレル・ワールド」と全く同じ宇宙暦です

※30: Minister Rozahn
(キティ・スウィンク Kitty Swink DS9第172話 "Tacking into the Wind" 「嵐に立つ者たち」のルアラン (Luaran) 役。クワーク役アーミン・シマーマンの妻。ゲーム "DS9: The Fallen" でも声の出演) 声:棚田恵美子、DS9 モリーなど

※31: Vedek Sorad
(ロバート・カーティス・ブラウン Robert Curtis-Brown VOY第168話 "Natural Law" 「原始惑星の人々」の大使 (Ambassador) 役) エンサイクロペディアでは、俳優がヘイザー役と入れ替わっているミスがあります。声:遊佐浩二、DS9 チェコフなど

※32: icoberry torte
DS9第21話 "The Homecoming" 「帰ってきた英雄 パート1」より

ターボリフトで司令室へ入るキラとハニーク。
オブライエン:「応答してきません。」
シスコ:「呼びかけ続けろ!」
キラ:「なぜこんなことに。」
「船の発着が多くて、チェックが甘くなっている隙を突かれて逃げられた。チュマックは友達 2人と一緒に船に乗っているらしい。ハニーク、息子さんを説得してもらいたい。」
オブライエン:「エンジンの周りから、エネルギー漏れがあります。それを教えたいのに、呼びかけに応えないんです。」
「少佐、チュマックの船にチャンネルを開け。」
キラ:「了解。…どうぞ。」
ハニーク:「……チュマック? よく聞くのよ? その船は壊れているの。」
小声で指示するシスコ。「エンジンを切って、ベイジョー側にビームで牽引してくるのを待てと言って下さい。」
ハニーク:「チュマック、すぐにエンジンを切って。わかるわね、今すぐに全部のエンジンを切るのよ。」
オブライエン:「…応答ありません。」
「チュマック! このままだと命が危ないのよ。友達も連れてるんでしょ、友達を死なせてもいいの? お願い応えて!」
ダックス:「ベイジョーの迎撃機が 2機、問題のスクリーアの船に向かってます。」
シスコ:「映像を回せ。オブライエン、ベイジョーの通信を傍受しろ。」
3隻の図が表示される。
オブライエン:「了解。」
ベイジョー人:『ここは進入禁止区域だ。直ちに方向を変えて出て行け。』
キラ:「チャンネルを開いて。こちらディープ・スペース・ナインのキラ・ネリス少佐。そのスクリーア船は通信装置故障も考えられるため、着陸を許可して下さい。」
『それはできません。スクリーア船の着陸は阻止せよとの命令です。』
「パイロットはまだ子供で、イタズラで船を出しただけです。実力でベイジョーに入植するつもりはありません。」
『申し訳ありませんが、命令ですので。』
「その命令は誰から。」
『ヘイザー将軍から直にです。』
シスコ:「ダックス、ヘイザー将軍に連絡を頼む。人の命に関わる緊急の用件だと言ってくれないか。」
キラ:「ヘイザー将軍に確認するので、攻撃はしばらく待って下さい。」
オブライエン:「迎撃機が船に近づいていきます。」
モニター上でスクリーア船に迫る 2隻。
ダックス:「ヘイザー将軍がお出になります。」
シスコ:「スクリーン、オン。」
ベイジョー人※33が映し出される。『何の騒ぎかね、司令官。』
シスコ:「ベイジョーへ向かってるスクリーアの船ですが。」
ヘイザー:『それなら、追い返せと命令を出した。』
「あれは子供が操縦しているんです。しかもエネルギー漏れが!」
『子供?』
ベイジョー人:『スクリーア船、繰り返す。直ちにステーションへ戻れ。』
ヘイザー:『エンジンを切るように言え。ビームで牽引しよう。』
ハニーク:「チュマック! お願い、すぐにエンジンを切って!」
武器の発射音が響く。
キラ:「その音は何ですか?」
ベイジョー人:『スクリーア船がこちらを攻撃してきました。』
ハニーク:「チュマック、やめて御願い!」
『やられた!』
オブライエン:「迎撃機が反撃します!」
ハニーク:「やめてー!」
キラ:「攻撃はやめなさい! 繰り返す、攻撃中止!」
シスコ:「将軍! 攻撃をやめるよう命令して下さい!」
ボタンを押すヘイザー。『命令を中継せよ。』
だが、モニター上のスクリーア船は消滅した。
嘆くハニーク。
キラ:「…スクリーア船は?」
ベイジョー人:『たった今爆発しました。こちらの攻撃は命中していないはずです。※34
オブライエン:「エネルギー漏れに、フェイザービームが引火したんでしょう。」
ヘイザー:『残念な結果になった。』
シスコ:「ええ、私も残念です。」
ハニークを見るキラ。

廊下。
たくさんのスクリーア人が、エアロックへ入っていく。
キラも入り、ハニークに話しかけた。「ドレイロン2 での成功をお祈りしています。…ハニーク、こうするのがやっぱり一番よかったのよ。ベイジョーにも、あなた方にも。」
ハニーク:「私達がベイジョーの御荷物になると思ってるの。」
「…ええ。」
「それはあなた方の大きな間違いだわ。とても残念。…私達が入植すれば、お互いに助け合えたかもしれない。…スクリーア人は農業が特技なのよ? 飢えに苦しむベイジョーを、私達の技術で救ってあげられたかもしれないのに。やってみなきゃわからないでしょ。50年に渡るカーデシアの支配が、あなた方を怯えさせ人を信じなくさせてる。…ほんとにお気の毒だと思う。……あなたの言う通りね。ベイジョーはケンタナじゃなかったわ。」
最後に 2人の夫が待っている船に入るハニーク。キラの方を振り返ったまま、ドアが閉まった。
立ちつくすキラを残し、続いて閉まっていくエアロックのドア。


※33: ヘイザー将軍 General Hazar
(マイケル・ダーレル Michael Durrell) エンサイクロペディアでは、俳優がソラド役と入れ替わっているミスがあります。声はヴァラーニ役の大川さんが兼任

※34: 吹き替えでは「こちらは撃っていません」と訳されています。撃ったから引火したわけで、オブライエンのセリフにつながりません

・感想
難民問題を扱った、非常に初期 DS9 らしいエピソードです。息子 (チェコフ役の子供!) を失い、「ベイジョーではケンタナじゃなかった」と言い放つハニークのラストは、まさにアンハッピーエンド。その分地味で、印象に残りにくいエピソードでもあります。息子とジェイクたちが全く打ち解けなかったのも、ある意味思い切ってますね。
"Move Along Home" 「死のゲーム」にも関わった脚色の Frederick Rappaport は、"The Bronx Zoo" (1987) というドラマで Ira Steven Behr と共に関わっていました。


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