ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第145話「呪われた12デッキ」
The Haunting of Deck Twelve
イントロダクション
※1食堂。 ニーリックスはコンロの火を止め、食堂の中を見渡した。 「コンピューター、ライトを消してくれ。」 出て行こうとすると、やって来たセブンと鉢合わせになった。「ああ! あー、ビックリした。」 「おどかす気はなかった。」 「ああ、わかってるよ。俺がビクビクしちまってるんだよな。前回のことがあるもんだからさ。」 「それで迎えに来た。」 「ああ。」 「まもなく、メインパワーを遮断する。子供たちの再生も中断される。監督を頼めるか?」 「ああ、それなら任せてくれ。正直、気が紛れて助かるぐらいだよ。」 「5、6時間になるかもしれないぞ。」 「だけど子供たちは事情を知ってんのか?」 「いや。子供は非常に想像力がたくましい。不必要に警戒させたくない。」 「何か聞かれたらどうするんだ? 子供に嘘はつけないだろ?」 「子供の扱いは経験豊富なはずだ。全てお前に任せる。」 ブリッジは非常体制になっている。 立ち上がったジェインウェイは言った。「ここでいいわ。後は惰性で進みましょう。」 パリス:「エンジン停止。」 スクリーンには星雲が映っている。「なーんか、気味悪いなあ。エドガー・アラン・ポー※2の本の挿し絵みたいだ。」 キム:「僕はコウモリに見えるな。羽根もちゃんとあるし。耳まである。トゥヴォック、どう見える。」 トゥヴォック:「2人の艦隊士官の、子供っぽい空想ごっこだな。」 パリス:「何だよ、トゥヴォック。雲を見上げて動物に見えたこと、一度もないのか?」 「雲のような単なる自然現象に、意味をつけたがる地球人※3の思考回路は、理解できないな。」 笑うパリス。 ジェインウェイ:「ハリー、用意はいい?」 キム:「はい、艦長。」 「ではいきます。全クルーへ。機能停止シークエンス開始。」 ブリッジの全ての明かりが消えた。クルーは手元に置いた小型ライトをつける。 廊下が暗くなる。歩いていたクルーは、腕につけたライトを使う。 医療室も次々と光が消えて行く。 ドクター:「コンピューター、EMH 停止。」 姿が消えた。 天体測定ラボも同様だ。セブンは腕のライトを使い、一つだけ機能したままのコンソールにつく。 アルコーヴのパワーが落ち、再生中だったイチェブ※4は目を覚ました。隣のメゾッティ※5も驚く。 近くのコンソールで待っていたニーリックスは、暗闇の中でライトをつけた。 「みんな、大丈夫だ。メインパワーをしばらく切らなきゃならなくってね。何も心配ないからな。」 機関室で合図するトレス。「3、2、1、停止。」 ワープコアを含め、全ての機能が止まった。機関部員はライトを使う。 報告するキム。「全デッキ、機能停止、完了しました。」 ジェインウェイ:「ジェインウェイよりセブンへ。準備完了。」 セブン:『了解した。』 ヴォイジャーは星雲の中へ入っていく。 |
※1: このエピソードは、2000年度エミー賞 特殊映像効果賞にノミネートされました ※2: Edgar Allan Poe (1809〜1849) 19世紀アメリカの小説家 ※3: 「人間」と吹き替え ※4: Icheb (Manu Intiraymi) VOY第139話 "Child's Play" 「苦悩するボーグ・チャイルド」 以来の登場 ※5: Mezoti (Marley S. McClean) 同じく "Child's Play" に続いて登場。声: こおろぎさとみ |
あらすじ
ニーリックスはボーグの子供たちの相手を始める。星雲からの電磁放射などを呼び寄せないためにパワーを切ったと説明する。だがイチェブたちは第12デッキの一部が上級士官以外立ち入り禁止になっているので、そこにいる「幽霊」のせいだという。ニーリックスは子供たちと明かりを囲み、彼らが来る前の話を始める。何ヶ月も前に重水素を集めるため、ヴォイジャーは星雲を進んでいた。不安定になった星雲を抜ける前、電磁波の直撃を受けた。その時、謎の密航者が乗り込んでいたのだった。 続きを話すニーリックス。船のあちこちで機能異常が続き、電磁波が艦内を移動していた。独りでいたセブンの周りを星雲状の物質が取り囲み、セブンは倒れてしまった。 興味津々にニーリックスの話を聞くボーグの子供たち。ヴォイジャー内のシステムダウンが続き、クルーは電磁波に襲われた。電磁波生命体が、ヴォイジャーの内部を星雲と同じ環境にしようとしていた。パワーダウンのためクルーはあちこちで孤立していた。 すっかりニーリックスの話に没頭する子供たち。トゥヴォックとニーリックスは一緒に、臨時司令部が設置されている機関室へ向かったが、ジェフリーチューブの中は星雲ガスに阻まれた。ジェインウェイはコンピューターとの通信を介して、電磁波生命体と話せることに気づいた。生命体は星雲に戻ることを望んでおり、星雲の場所に戻った。だが故郷である星雲は既に消えており、生命体は怒ってクルーにヴォイジャーから退避するように言ってきた。 盛りあがるニーリックスの話。ジェインウェイは別の同じタイプの星雲に連れて行くことを申し出たが、生命体は受け入れなかった。ニーリックスは怪我を負ったトゥヴォックを連れ、ガスで満たされたジェフリーチューブを進んだ。ジェインウェイの生命体との交渉は決裂し、やむなくクルー全員はヴォイジャーからの退避を始めた。最後に残されたジェインウェイはガスの中で苦しみながらも、生命体と話し続けた。ギリギリのところで生命体は説得を受け入れ、第12デッキの一部で人口星雲を作ることになったのだった。ニーリックスの話は終わり、ヴォイジャーのパワーは回復する。アルコーヴへ戻るボーグの子供たちに、全て作り話だったというニーリックス。ブリッジを訪れスクリーンを見たニーリックスは、去りゆく星雲の中で光る生命体を見て言った。「これで物語は、ハッピーエンド。」 |
用語解説など
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感想
少し久々に登場のボーグの子供たちと、長らく久々のニーリックス中心のエピソード。ケスの恋人や、デルタ宇宙域のガイドだった要素が消えてから、今では保父さんとしてすっかり板についた感じですね。 目玉のエピソード続きの後で見劣りはしますが、ST ならではの多種多様なストーリーの描き方を新たに見せてくれたのは良かったと思います。素直に反応する子供たちは笑えますし。ニーリックスの話自体は至ってありきたりな展開でしたけどね。 |
第144話 "Life Line" 「ジマーマン博士の屈辱」 | 第146話 "Unimatrix Zero, Part I" 「聖域ユニマトリックス・ゼロ(前編)」 |