※1食堂。
ニーリックスはコンロの火を止め、食堂の中を見渡した。
「コンピューター、ライトを消してくれ。」 出て行こうとすると、やって来たセブンと鉢合わせになった。「ああ! あー、ビックリした。」
「おどかす気はなかった。」
「ああ、わかってるよ。俺がビクビクしちまってるんだよな。前回のことがあるもんだからさ。」
「それで迎えに来た。」
「ああ。」
「まもなく、メインパワーを遮断する。子供たちの再生も中断される。監督を頼めるか?」
「ああ、それなら任せてくれ。正直、気が紛れて助かるぐらいだよ。」
「5、6時間になるかもしれないぞ。」
「だけど子供たちは事情を知ってんのか?」
「いや。子供は非常に想像力がたくましい。不必要に警戒させたくない。」
「何か聞かれたらどうするんだ? 子供に嘘はつけないだろ?」
「子供の扱いは経験豊富なはずだ。全てお前に任せる。」
ブリッジは非常体制になっている。
立ち上がったジェインウェイは言った。「ここでいいわ。後は惰性で進みましょう。」
パリス:「エンジン停止。」 スクリーンには星雲が映っている。「なーんか、気味悪いなあ。エドガー・アラン・ポー※2の本の挿し絵みたいだ。」
キム:「僕はコウモリに見えるな。羽根もちゃんとあるし。耳まである。トゥヴォック、どう見える。」
トゥヴォック:「2人の艦隊士官の、子供っぽい空想ごっこだな。」
パリス:「何だよ、トゥヴォック。雲を見上げて動物に見えたこと、一度もないのか?」
「雲のような単なる自然現象に、意味をつけたがる地球人※3の思考回路は、理解できないな。」
笑うパリス。
ジェインウェイ:「ハリー、用意はいい?」
キム:「はい、艦長。」
「ではいきます。全クルーへ。機能停止シークエンス開始。」
ブリッジの全ての明かりが消えた。クルーは手元に置いた小型ライトをつける。
廊下が暗くなる。歩いていたクルーは、腕につけたライトを使う。
医療室も次々と光が消えて行く。
ドクター:「コンピューター、EMH 停止。」 姿が消えた。
天体測定ラボも同様だ。セブンは腕のライトを使い、一つだけ機能したままのコンソールにつく。
アルコーヴのパワーが落ち、再生中だったイチェブ※4は目を覚ました。隣のメゾッティ※5も驚く。
近くのコンソールで待っていたニーリックスは、暗闇の中でライトをつけた。
「みんな、大丈夫だ。メインパワーをしばらく切らなきゃならなくってね。何も心配ないからな。」
機関室で合図するトレス。「3、2、1、停止。」
ワープコアを含め、全ての機能が止まった。機関部員はライトを使う。
報告するキム。「全デッキ、機能停止、完了しました。」
ジェインウェイ:「ジェインウェイよりセブンへ。準備完了。」
セブン:『了解した。』
ヴォイジャーは星雲の中へ入っていく。
|
※1: このエピソードは、2000年度エミー賞 特殊映像効果賞にノミネートされました
※2: Edgar Allan Poe (1809〜1849) 19世紀アメリカの小説家
※3: 「人間」と吹き替え
※4: Icheb (Manu Intiraymi) VOY第139話 "Child's Play" 「苦悩するボーグ・チャイルド」 以来の登場
※5: Mezoti (Marley S. McClean) 同じく "Child's Play" に続いて登場。声: こおろぎさとみ
|