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TOS エピソードガイド
第2話「光るめだま」
Where No Man Has Gone Before

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・イントロダクション
※1※2『航星日誌、宇宙暦 1312.4※3。考えられないことが起こった。200年以上も昔に行方不明となった、宇宙船の遭難信号をキャッチしたのだ。200年も昔に我々と同じく銀河を抜けだそうとしたのか※4。一体何があったのだろう。これは、あとから来る者に対する何かの警告なのか。』※5
娯楽室。
宇宙をモニターで見つめるジェイムズ・T・カーク※6
スポック※7の前には立体チェス※8が置かれている。「船長の番です。」
カーク:「報告がくるのが遅いなあ。ブリッジは何をしてる。」
「あと一手で私の勝ちですよ。」
笑うカーク。「ミスター・スポック、君のチェスはどうも余裕がなくってイライラするねえ。」
スポック:「『イライラ』? ああ、そうか。地球人の感情ですね?」
駒を動かすカーク。スポックは驚いたようだ。
カーク:「ほんとにどういう意味か知らないのか。」
スポック:「私の先祖が地球の女性と結婚したことは…※9
「大変な間違いだったか? そのうちよかったと思うさ。」
通信が入る。『ブリッジからラウンジへ。』 モニターに映る操舵士※10のリー・ケルソー大尉※11。『目標が誘導光線の範囲内に入りました。』
カーク:「肉眼ではまだ見えないのか。」
『まだです。目標の直径わずか一メートルぐらいですので、宇宙船にしては小さすぎます。』
スポック:「救命ボートよりも小さいな。」
『思い切って本船へ拾い上げてみましょうか。』
カーク:「よし、やってみよう。」 後ろにいるミスター・レズリー※12

転送機※13を操作するモンゴメリー・スコット※14。「転送準備できました。」
カーク:「転送開始。」
転送台に実体化する装置。
カーク:「古い形式のレコーダーだ。宇宙船に何かあったとき切り離したのかもしれん。」
スポック:「まず、宇宙船は破壊されてますね。見て下さい。焼けて、変形して。」 レコーダーには「ヴァリアント※15」と書かれている。
「テープが無事だといいんだが。スポックのコンピューターにかけろ。」
スコット:「はい。」
するとレコーダー上部のランプが灯り、音を発し始めた。
スコット:「送信を始めました。」
カーク:「ブリッジに通報、全デッキ非常態勢。」
転送室を出るカークとスポック。
通信:『全デッキに告ぐ、非常態勢を取れ! 全デッキに告ぐ、非常態勢を取れ!』


※1: このエピソードは、放送が却下された第1話 "The Cage" 「歪んだ楽園」に続くセカンド (第2) パイロット版です。こちらは採用され、本シリーズとして組み込まれました。クルーの制服は "The Cage" と同じタートルネック型ですが、上着は登場しません。記章に黒い縁取りがついています。エンタープライズのモデルは、ワープナセルの後端に細かい穴がたくさん開いているといった違いがあります。"The Cage" 同様、カリフォルニア州カルヴァーシティにある、現ソニーピクチャーズ・カルヴァースタジオで撮影されました。この話は放送版とは別に、ジーン・ロッデンベリーが NBC に提出したバージョンが存在します (参考ページYouTube)。冒頭のカークのナレーション、オープニング、タイトル、メインクルーが歩く廊下、「第○幕」の表示、エンディング曲 (CD「宇宙大作戦 オリジナルTVサウンドトラック Vol.1」に収録) などに相違点があります

※2: ハヤカワ文庫のノヴェライズ版は、「宇宙大作戦 パイリスの魔術師」収録「未踏の果て」になります

※3: 吹き替えでは「0401.4274」

※4: 吹き替えでは「探検飛行に飛び立とうとしたのか」。このエピソードのエンタープライズは初の探査飛行でも、初のファイブイヤー・ミッションでも、初のエンタープライズの任務でもありません (次の脚注も参照)

※5: DVD・完全版ビデオ以外では航星日誌ではなく、この個所に次のようなカークのナレーションが入ります。『私は宇宙船エンタープライズ号の船長、ジェイムス・カークだ。我々地球人が月に到達してから 400年、宇宙暦 0401年。我々のエンタープライズ号は地球連合政府の宇宙開発の一環として、銀河の彼方に広がる人類未到の宇宙に調査飛行に飛び立ったのである』。日本放送第一話のため、このような処置にしたものと思われます。アポロ11号から 401年だと西暦2370年で 24世紀になってしまいますが (本国からの資料でそうなっていたという説あり)、実際には 2265年です。実は原語でも時代は明確になっていません (脚注※50)。オープニングを含め「人類初の (5年間の) 調査飛行」という訳も誤りです (人類未到のであって、人類初の飛行ではない)。TOS第16話 "The Menagerie" 「タロス星の幻怪人」におけるパイク時代、そしてもちろん ENT の NX-01 とも矛盾してしまいます

※6: James T. Kirk
(ウィリアム・シャトナー William Shatner 映画 ST5 "The Final Frontier" 「新たなる未知へ」の監督。非公式に「シャトナーバース (Shatnerverse)」と呼ばれる、一連のスタートレック小説の作者 ("The Ashes of Eden" より。邦訳は 2巻目の「カーク艦長の帰還」が最初)。ドラマ「パトカー・アダム30」(1982〜86、T・J・フッカー役で主演)、「サイバードラッグ/テクウォー」(94〜96、原作「電脳麻薬ハンター」作者)、「ボストン・リーガル」(2004〜)、映画「カラマゾフの兄弟」(1958)、「デンジャラス・ビューティー」シリーズ (00・02) に出演) 初登場。愛称ジム (Jim)。吹き替えでのファーストネームは「ジェイム」ですが、「ジム」も含めて単独で使われる場合は大抵「カーク」と訳されます。ミドルネームが「タイベリアス (Tiberius)」ということは、映画 ST6 "The Undiscovered Country" 「未知の世界」で初言及。声:矢島正明 (DVD・完全版ビデオ補完も継続)

※7: 唯一 "The Cage" から引き続いて登場しているキャラクター。論理的な面が初めて描かれます。眉毛の「けば立ち」が少なくなり、角度がついて長くなり、さらに前髪が切りそろえられ、耳は小さくなっています。制服は今回のみ黄 (金) 色で、耳のメイクを傷つけないように、スポックだけ首の部分がスナップ式になっています

※8: three-dimensional chess
初登場

※9: 母親が地球人にしては、回りくどい言い方です。まだ設定がなかったのかも

※10: 座っている場所からするとケルソーは操舵士、ミッチェルがナビゲーターですが、明らかに逆と思われる描写がいくつも見られます

※11: Lt. Lee Kelso
(ポール・カー Paul Carr ドラマ「原子力潜水艦シービュー号」(1964〜67) に出演。2006年2月に死去) ファーストネームは訳出されておらず、階級の吹き替えは「尉」。TNG第135話 "The Quality of Life" 「機械じかけの小さな命」に登場するケルソーというクルーは、このキャラクターへのオマージュ。声:中田浩二 (DVD・完全版ビデオ補完も継続)

※12: Mr. Leslie
(エディー・パスキー Eddie Paskie TOS第4話 "Mudd's Women" 「恐怖のビーナス」などのコナーズ (Connors)、第6話 "The Man Trap" 「惑星M113の吸血獣」などのライアン大尉 (Lt. Ryan)、第23話 "A Taste of Armageddon" 「コンピューター戦争」のエミニア人護衛 (Eminiar Guard) 役。レギュラー代役の一人。デジル・スタジオの車が立ち寄るガソリンスタンドで働いており、スタジオ副社長 Herbert F. Solow が引き入れました) 初登場、背景でよく見るエキストラです。シャトナーの娘、Leslie にちなんで。ここでは黄 (金) 色の制服ですが、あとで青制服を着ているシーンもあります。ライアンやコナーズといった、同じ俳優が演じた他のクルーの可能性もあります。ノンクレジット、セリフなし

※13: 転送コンソールは、まだ操舵コンソールの使い回し

※14: Montgomery Scott
(ジェイムズ・ドゥーアン James Doohan TOS第53話 "The Ultimate Computer" 「恐怖のコンピューターM-5」の M-5 コンピューターなど、声を使った役も担当しています。2005年7月に死去) 初登場。愛称スコッティ (Scotty)。吹き替えでは常に「チャーリー」で、本文中では原語に合わせて変えてあります。TNG第130話 "Relics" 「エンタープライズの面影」にも登場。声:小林修 (DVD・完全版ビデオ補完も継続)。第2シーズン以降は内海賢二 (DVD 補完も継続)

※15: Valiant
S.S.ヴァリアント。エンサイクロペディアやクロノロジーには、船の写真が掲載されています。また、側面図が初代エンサイクロペディアやオムニペディアにあります。DS9第47話 "The Search, Part I" 「ドミニオンの野望(前編)」で初登場する U.S.S.ディファイアントは、もともとはこの船にちなんでヴァリアントと名づけられる予定でした。そのため資料によってはヴァリアント級となっていたりします。DS9第146話 "Valiant" 「過信」で、正式にヴァリアントが登場しました。21世紀に当たるため、ENT のオープニングでフェニックスの後に登場する謎のワープ船は、このヴァリアントであるという説もあります。吹き替えでは「ヴァリアント

・本編
※16廊下。
カークたちはターボリフトに入った。
駆け込むクルーのゲリー・ミッチェル※17。「待ってくれ。」
カーク:「元気になったか?」
「ああ、君がブリッジにいないと残された者で心細いってさ。ハ、どうだった? チェスは終わったのか?」
スポック:「うーん。相変わらず船長は下手だ、理論を無視してやってるね※18。」
ブリッジに到着した※19
操舵席へ向かうミッチェル。「さあ、俺が交代しよう。」
代理のナビゲーター、オルデン大尉※20。「よし、後は頼んだぞ。」
カーク:「スクリーン。」
ケルソーが操作すると、スクリーンに宇宙空間が映った※21。「スイッチを入れました。」
イヤーレシーバー※22を耳に当てるスポック。首を振る。
ケルソー:「銀河周辺部に接近中です。」
カーク:「エンジンを停止、現在位置を保て。」
スクリーンの星が停止した。
ミッチェル:「エンジン停止しました。」
カーク:「船内伝達。」
「スイッチを入れました。」
「カーク船長から伝える。我々が回収した物体は遭難信号レコーダーで、約200年前のヴァリアントが使用したものだ。」
スポック:「テープ、使用不能。記憶バンクを探します。」
「ヴァリアントに何が起こったのか、今その回答をレコーダーから得ようとしている。」
ターボリフトから出てくる何人ものクルー。
カーク:「回答が得られ次第次の行動に移るので、その場で待機してくれ。」
ミッチェル:「各部のチーフが来ました。銀河を出る前に、会いたいとおっしゃったので。」
カーク:「うん。君は。」
すぐそばにいたスミス船長付下士官※23。「スミスです※24。」
カークは離れるよう指示する。
スールー※25:「天体科学部、準備できました。」
スコット:「工学技術部、お役に立ちます。」
パイパー※26:「生命科学部、異常なし。…こちらはアルデバロン※27植民星で乗り組んだ、デイナー博士※28です。」
女性のデイナー。「非常事態に対する乗組員の反応を調査するのが、わたくしの仕事です。」
スポック:「記憶バンクからキャッチできそうです。」
「200年前の乗組員たちがどのように反応したか、興味ありますわね。」
ミッチェル:「…それを元に、人類を改良するのが趣味か?」
「…少佐の『ご趣味』は噂で聞いてますわ。どんな女性がお好き?」 離れるデイナー。
「フー。」
微笑むケルソー。
ミッチェル:「冷たい美人※29だね?」
スポック:「バンクを解読します、同時通訳で。…ヴァリアントは宇宙の磁気嵐に遭遇し、こちらへ流されました。」
カーク:「当時のインプルスエンジンは弱かったんだな。」
「ここを通過して銀河の外半光年のところまで流され、そこで立ち直りコースをセットしてここまで戻ってきました。…焼けただれていてよく解読できませんね。その時に宇宙船は、不思議な力に遭遇したらしいです。……そして、船内に混乱が生じやがて何度も非常命令が出されコンピューターを使って資料提供が試みられました。超感覚能力※30に関してです。」
「超感覚能力? …デイナー博士、超感覚能力に詳しいか。」
デイナー:「テストではあたくしのは鋭いそうですけど。」
「私は詳しいかと聞いたんだよ。」
「予言能力をもつ人間がいるのは、事実ですわ。トランプの裏を見て言い当てたり。でもその能力にも限界があるようですわね。」
スポック:「被害甚大、死亡した者 7名。…いや、6名でした。一人、奇跡的に助かったそうです。超感覚能力が話題になったのはその時かららしいですね。いや『話題』と言うより、大騒ぎになりました。…次はきっと何かの間違いでしょう。…また出てきました。『破壊しろ』と言ってます。船長が自分の船を破壊しろと命令を出してますが、これはきっと記録のミスです。」
カーク:「……意見は?」
パイパー:「ともかく、ヴァリアントが破壊されたことは間違いのない事実ですね。」
「…これ以上、ここで調査をしても時間の無駄だ。ゆく手に何が待っているのか、この目で確かめる以外にないな。ミッチェル、予定通り銀河を出る。ワープ1 で前進!」
再び動き出す星。
しばらくすると、スクリーンに赤紫色の細長い層※31が見えた。
スポック:「何かのエネルギー源※32があります!」
ミッチェル:「急速に接近中。」
広がる層。
スポック:「探査光線発射!」
クルー:「探査光線発射しました。」
「防御電磁スクリーンを張れ!」
「防御電磁スクリーンを張ります。」
層はスクリーン一杯になる。
スポック:「探査光線には、何にもキャッチされないぞ。反応が表れない。密度、反応ゼロ。…放射線反応ゼロ。…エネルギー、反応ゼロ。」
ケルソー:「依然接近中。12秒後には接触します。」
ミッチェルはスミスの手をつかんだ。
層に向かって直進するエンタープライズ。
ブリッジの中が暗くなる。
スクリーンに映る内部構造。一面真っ赤なもやだ。
雷鳴のような音が響いた。
カーク:「重力、自動調整!」
強い光が襲う。爆発するコンソール。
カーク:「全デッキ消火態勢、コントロールスイッチを切れ。…手動に切り換えろ、手動に切り換えろ!」
煙を払うケルソー。
カーク:「スポック、放射線はあるか。」
スポック:「ありません!」
火が起こっている。
カーク:「危険だ、早く脱出しろ!」
その時、デイナーの身体が光に包まれた。支えるスコットたち。
同じショックを浴びるミッチェル。椅子から転がり落ちる。
カーク:「操舵手、側面ジェット!」
ミッチェルの代わりに席につくスポック。
移動するエンタープライズ。層を離れた。
カーク:「被害を調査しろ。」
スポック:「全デッキ直ちに被害を報告!」
ケルソー:「全デッキ被害を報告、ただちに被害を調査して報告しろ…」
デイナー:「急に、撃たれたみたいになって。何か、強い電気のようでした。」
パイパー:「ショックだけで、生命に異常はありません。」
クルー※33:『探査光線が故障したようです。電磁スクリーン…』
スポック:「メインエンジンが故障して補助エンジンを使用中、死亡 9名です。」
『電磁スクリーンのスイッチを入れましたが、何の反応もありません。』『全開にしろ。』『もう全開にしてあります…』
カーク:「ミッチェル。おい、大丈夫か。」
ミッチェル:「ああ。何だか身体の力が抜けたみたいで。それに目がおかしい。」
開いたミッチェルの両目は、銀色に光っていた。


※16: このエピソードでは原語にオープニングナレーションがありませんが、DVD でも吹き替えでは入っています。他の日本語版 (オンエア、LD) では第1シーズンでも第2シーズンと同様の素材が使われているため、原語にも入っています。同時に、今回は未登場のマッコイ役デフォレスト・ケリーのクレジットが含まれてしまっています

※17: Gary Mitchell
(ゲイリー・ロックウッド Gary Lockwood 名作SF映画「2001年宇宙の旅」(1968) のフランク・プール役) 原語では愛称の「ミッチ (Mitch)」も使われています。声:納谷悟朗、新旧ST3/新ST4/ST6 サレク。DVD・完全版ビデオ補完では大塚芳忠、TNG データなど

※18: DVD・完全版ビデオ以外では、オープニング後この個所まで本来のセリフではなく、冒頭の航星日誌 (脚注※5) を次のように挿入しています。『航星日誌、宇宙暦 0401.4274。考えられないことが起こった。200年以上も昔に行方不明となった、宇宙船の遭難信号をキャッチしたのだ。200年も昔に我々と同じく探検飛行に飛び立ち銀河を抜けだそうとしたのか。我々は焼けて変形した古い形式のレコーダーを拾い上げた。一体何があったのだろう。これは、あとから来る者に対する何かの警告なのか』。残念ながら「銀河を抜けだそう」の部分は、新録の方が誤りですね (脚注※4)

※19: ターボリフトに入るシーンから、ノーカットでブリッジにつながっています。最初に壁を置いておいて、ドアが閉まってからどかすという手法

※20: Lieutenant Alden
(ロイド・ヘインズ Lloyd Haynes ドラマ "Room 222" (1969) のディクソン役。1986年12月に死去) 名前は訳出されていません。通信席に座っている描写もあります。声:飯塚昭三

※21: オンにする前はモヤのような状態で、このような描写はシリーズ中唯一。スクリーンは TOS第15話 "Court Martial" 「宇宙軍法会議」のほか、TOS "The Ultimate Computer" などでは副司令室のものとして再利用されます。ブリッジにオレンジ色が加わったのは、NBC の要請によるもの

※22: まだ無線式ではなく、コードがついています

※23: Yeoman Smith
(アンドレア・ドローム Andrea Dromm) シリーズ本編では、ジャニス・ランドと入れ替わりました。名前は訳出されていません。声:浅井淑子

※24: 吹き替えでは「科学部の助手です」。原語では、カークが誤って「ジョーンズ (Jones)」と呼びかけていることに対するセリフ

※25: ヒカル・スールー Hikaru Sulu
(ジョージ・タケイ George Takei) 初登場。このエピソードのみ操舵士ではなく、物理学者です。ファーストネームは 1979年の時点でロッデンベリーが考えましたが、実際に使われるのは映画 ST6 "The Undiscovered Country" が初めて。吹き替えでは「加藤 (カトウ、カトー)」。VOY第44話 "Flashback" 「伝説のミスター・カトー」にも登場。声:富山敬、DVD・完全版ビデオ補完では坂東尚樹ですが、このエピソードでは補完部はありません。また、納谷六朗が代役として担当しているエピソードもあります。第2シーズン以降は田中亮一 (DVD 補完も継続)

※26: ドクター・マーク・パイパー Doctor Mark Piper
(ポール・フィックス Paul Fix ドラマ「ミステリーゾーン」(1964)、「タイムトンネル」(66)、「宇宙空母ギャラクティカ」(79)、映画 "Night of the Lepus" (72、ケリーと共演) に出演。1983年10月に死去) ファーストネームは訳出されていません。シリーズ本編では、レオナルド・マッコイと入れ替わりました。声:寄山弘、DVD・完全版ビデオ補完では長島雄一 (現チョー)、VOY ニーリックスなど

※27: アルデバラン Aldebaran
初言及、おうし座アルファ星。TNG第25話 "Conspiracy" 「恐るべき陰謀」での宇宙艦隊本部の星図内にもあるそうですが、画面上では読み取れません

※28: エリザベス・デイナー博士 Dr. Elizabeth Dehner
(サリー・ケラーマン Sally Kellerman 映画「M★A★S★H マッシュ」(1970) のホットリップス・ホーリハン役) 声:北浜晴子 (DVD・完全版ビデオ補完も継続)。なお、「M★A★S★H マッシュ」でもケラーマンの役を北浜さんが担当しています

※29: 原語では「歩く冷蔵庫」

※30: 超感覚的知覚 ESP = extrasensory perception
ESP に人を表す "er" をつけたのがエスパーで、原語でも使われています (吹き替えでは「超能力をもった者」など)。ヴァルカン人もテレパシー能力といった超能力をもっているはずですが、設定が固まっていないのか全く触れられていません

※31: 銀河バリア galactic barrier
この呼称は言及されておらず、単に「バリア」と呼ばれているだけで、また訳出されていません。初登場。銀河系の外に出るのは「直角方向」としても距離が遠すぎるので、太陽系が属するオリオン腕の外へ向かったという解釈もあります。バリアがやたら細いのは謎ですが…。小説ではその効果も含め、Q のせいという設定になっているものがあります

※32: 原語では「フォースフィールド」。「エネルギー源」と訳してしまうと、後にエネルギーが感知できないことと矛盾するかも

※33: 「ガヤ」としてのクルーの声は、後にも再利用されます

『航星日誌、宇宙暦 1312.9※34。メインエンジンが焼け切れたため、補助エンジンだけで飛行中。ワープ航法は使えなくなってしまった。このため本来ならわずか数日でゆける宇宙基地※35に、何と何年もかかってしまう。こうなると、ヴァリアントが何に破壊されたかが大きな問題となってくる。我々は、200年前のヴァリアントと同じ状態におかれてしまったのだ。』
ブリッジ。
修理が進む。部品を手にし、首を振るケルソー。
モニターに表示されるデイナーの経歴※36。「ESP値」もある。
続いてミッチェルのものを見るスポック。「ミッチェルの、経歴ですがねえ。成績はともかくとして鋭い超感覚能力をもってますね。」※37
戻ってきたデイナー。「検死報告です。全員神経系統を冒されていますわ? 脳の付近が焼けただれて。」
カーク:「君は異常ないのか。」
「はい、大丈夫です。でもミッチェルは目を。いま原因を調査中です。なぜ全員影響を受けなかったかも問題ですわ。」
スポック:「その原因ならもうわかったよ。」
カーク:「確かテストの結果では君の超感覚能力は鋭いと言ってたね。…やられたのはみんなそうだ。ことにミッチェルの超感覚能力は鋭い。」
デイナー:「超感覚能力をもってると危険ですの?」
スポック:「ヴァリアントが破壊される前、船長は超感覚能力に関する資料を漁ったらしい。」
「超感覚能力は閃きと同じで素晴らしい才能です!」
「その閃きがありすぎてものの裏の裏まで見通し、騒ぎを引き起こす人もいるんじゃあないかな?」
「だからといって、危険人物にするのは間違ってます!」
「普通の、超感覚能力なら危険はないだろうね。」
「じゃあ危険なのがあります?」
カーク:「専門家として君はないと断言できるか。」

医療室のモニターに表示される状態。ベッドにいるミッチェルは、コンソールで文章を見ていた。
表示を切り、ため息をつく。
カークがやってきた。
見ずに話しかけるミッチェル。「やあカークか。…何を気にしてるんだ?」
カーク:「さすがの君も今度はショックを受けたろうってね。」
笑うミッチェル。「大丈夫、俺の身体は昔と変わらんさ?※38 今度の後遺症も、何と言うことはない。この目だけだ、ヒゲを剃ってると鏡に映るのは別の人間のようで。」
カーク:「どうだ、何かおかしいことは。」
「ないね、こんなに爽快な気分は生まれて初めてだよ。何だか生まれ変わったみたいな気持ちだ。」
「生まれ変わった。」
「まず、君がお気に入りの難しい本など読みたくなったしな。」
何枚ものチップ状のテープを受け取るカーク。
ミッチェル:「…士官学校時代の君を思い出すなあ。本に足が生えたみたいだった。…上級生からまず聞いた言葉は、『カーク大尉※39に気をつけろ? …奴と同じクラスになったら、この世は闇だ※40。』」
カークは笑った。「そんな堅物だったかな。」
ミッチェル:「だから俺は、ブロンドの科学の助手※41をけしかけてやったんだ?」
「何だ、君…けしかけた?!」
「俺に考える習慣をつけろって、君は言ったろ。ハ、だから考えて思いついたことさ。」
「そうとは知らずに。」
「俺にはよくしとけ。今また考えてるところだからな。」
ミッチェルが見ていたコンソールをつけるカーク。「…君がスピノザ※42を。」
ミッチェル:「一度理解すれば後は簡単。小学生クラスさ、幼稚なことを言ってる。」
「本気か。」
「な、俺はもう元気になったぜ? いつから、任務に戻れるんだ。」
「実は当分、デイナー博士に君の観察を頼むつもりだ。」
「この船には 100人近くの女性がいるのに、何も彼女じゃなくたって。」
「彼女も美人だよ。」
「フン。どうも、あまりゾッとしないな。」 出ていくカークに言うミッチェル。「俺にはよくしとけって言ったはずだぞ。…もう忘れたのか?」
カークは去った。再びコンソールをつけるミッチェル。
ページを進めるが、その速度は尋常なものではない。だんだんと速くなっていく。

同じ画面をブリッジで見ているスポック。「見る見るうちに読み方が速くなっていきます。…信じられませんね。あれがミッチェルだとは。」
ミッチェルの映像に切り替わる。
カーク:「診療所※43を 24時間監視しろ。できる限りの、検査を行うように。」
離れるスポック。カークはモニターを見つめる。
すると、ミッチェルがこちらを向いた。

※44ミッチェルの状態をチェックするパイパー。「これは素晴らしいね。…君のような患者は初めてだよ。健康そのものの人でもどこかに異常があるものだが。」 医療室を出ていく。
デイナー:「あまり私がお気に召してはいないようだけど、付き添うように言われたので我慢していただきたいわ。」
ミッチェル:「ふーん、別に何とも思ってないね。」
「今朝、『冷たい』と言ったのは誰?」
「いやあ、あれは…俺が悪かった。」
「…女って素直に謝られるとたちまちダメね。それで気分はどう、どんな具合?」
「…またか。みんな、俺が熱でもあるんじゃないかって心配そうに聞いてくれるけどウンザリだねえ。」 笑うミッチェル。「期待通りに、どこか悪くなるといいのに。」 状態モニターを見る。

すると、一部の数値が跳ね上がった。
ミッチェル:「ああ。今度は元に戻してみるぞ。」 その通りになった。
デイナー:「どうやってやったの。」
「……わからんなあ。ハハ、ただ頭の中で考えたらそうなったんだ。…ハハハ…よーし。ちょっと見ててくれ?」
数値が一斉に下がり、鼓動の状態さえ止まった。
意識を失うミッチェル。モニターを見るデイナー。
デイナーはミッチェルの手を取り、心臓に耳を近づける。「やめて、やめなさい!」
目を開き、微笑むミッチェル。
デイナー:「あなたの心臓は止まってたわ。あなたは今死んでたのよ。」
ミッチェル:「そうか。…やっぱりか。…なあ、先生。これは、大変なことになってきたぞ? 船の図書館の本も一日で全部読めそうなんだ。…すごい。…なあ。俺はどうなってるんだ。」
「そんなに速く読んでちゃんと覚えてる?」
「ああ。」
「どの本でも?」
「そうさ、もちろん。」
デイナーはそばのテープの一つを見せた※45。「これはどう?」
ミッチェル:「よし。」
コンピューターに入れるデイナー。「387ページ。」
ミッチェル:「…『我が愛の翼。優雅な曲線を描きか細き先端をもつ愛の翼は我を抱く。』 題は『ナイチンゲール』※46。作者は、コノパス星※47のタルボルド※48。年代は 1996年、それを選んだとは面白いな。」
「どうして?」
ミッチェルはデイナーを引き寄せた※49。「過去数世紀※50に創られた最も情熱的な愛の (うた) だ。……どうだ、今の心境は。」
デイナー:「…あの…」
「なあ、どんな気持ちだ。」
「…別に何とも感じないわ。」
「ええ? 本当か? 何も感じないのか。」

ケルソーが医療室に入った。2人の様子に気づき、咳払いする。「あのう、休憩時間になったんでちょっと寄ってみようと思って。いいかい?」
ミッチェル:「いいとも。…遠慮するな。入れよ。…この目の光は気にしないでくれ、こいつは…美人の先生がいるせいだよ…。」
「ハ、そうらしいね。」
「それで、修理の方はどんな調子だ?」
「うーん、まあメインエンジンは望みないね。どっかでエネルギーを注入しないと駄目だ。」
「右舷のインパルス動力源を調べろ。ポイントが焼け切れていて、危険な状態だ。」
「ええそうかい、ずいぶん詳しいね…」
「冗談で言ってるんじゃない! …動力源のスイッチを入れたら、エンジンルームが粉々に吹っ飛ぶ。」
「じゃ、じゃあすぐに調べてみるよ。もう、元気になったかと思って寄ってみただけなんだ。じゃまた。」 ケルソーは出ていった。
「…あのバカ者が。…間抜け。さっき自分でポイントを調べたくせに気がつかないなんて。」
デイナー:「なぜわかるの。」
「……見た物体の映像が、まだ彼の心に残っている。」

テーブルに置かれた部品を手にするケルソー。「口から出任せかと思いましたが、念のためにと思って調べたんです。そしたら彼の言うとおり、本当にここのポイントが焼け切れていました。」
会議室※51に入るデイナー。「遅れまして。ゲリー、いえミッチェルから目が離せなかったので。」
スポック:「心配なのはミッチェル自身ではなく、彼がこの先何者に変身を遂げるかだ。」
「ヴァルカン人に人間的感情がかけらもないのは知っているけど、今まで一緒に働いてきた人間をそんな風に言うなんて。」
カーク:「やめたまえ。」
「やめません! あなたの気持ちもわからないわ? ミッチェルの親友で、彼がこの船に配属されたのもあなたの希望でしょ?」
「私は指揮官として、この船の安全に関する報告や意見を聞く義務がある。たとえそれがあまり嬉しくない情報だとしてもな。…その情報を提供するのが科学主任の役目だ。続けろ、スポック。」
スポック:「彼の超能力は確認できましたか。」
デイナー:「…自律神経を、自由に制御できるようです。読書のスピードも速く、記憶力も常軌を逸していますが。」
カーク:「スコット、さっきの話をしてくれ。」
スコット:「一時間ほど前、ブリッジの制御がまるで利かなくなりました。ボタンやレバーが勝手に動いて、あらゆる計器類が滅茶苦茶に動き出したんです。」
スポック:「モニターでミッチェルを見ていたが、何か起きる度に彼はほくそ笑んでた。まるで船やクルーを、オモチャにして楽しんでいるかのようでした。」
カーク:「どうなんだ、ドクター。…彼にはそんな能力があるのか。」
デイナー:「そのような兆候は見ました。」
「なぜ私に報告しない!」
「誰か被害を受けましたか、受けてないでしょ! いま新しい人類が誕生するのかもしれないんですよ。彼はより優れた超人類の、先駆けかもしれないのに。」

「……※52ミスター・スールー。」
スールー:「数学的に計算してみますと、ミッチェルの能力は幾何級数的に増大しています。小銭※53を一枚持っていて毎日倍にすると、一ヶ月で百万長者になります。」
スポック:「多分一ヶ月以内に、彼は想像を絶する恐るべき力をもつに至るでしょう。まもなく我々は彼にとって、邪魔者でしかなくなります。」
カーク:「……この問題のディスカッションはこれで中止する。以上だ。」
出ていくクルー。
スポックは立ち止まった。「ミッチェルがいる限り、地球の基地へは戻れません。さっきの計算を聞いたでしょう※54。やがて我々は、彼から見れば慌てふためくネズミぐらいにしか思えなくなります。」
カーク:「そんなことはわかっている、それを防ぐにはどうするかだ…」
「こうしたらどうでしょう。ここから 2、3日のところに惑星があります。デルタ・ヴェガ※55です。あそこにはリチウム分流装置※56があって、その動力源を我々のエンジンに利用できるかもしれません。」
「もしできなければ、推進力不足のためデルタ・ヴェガを回る軌道から永久に出られなくなる…」
「しかし、ミッチェルを船から降ろすにはそうするよりありません。」
「ミッチェルを置き去りにしろと言うのか! あそこには、完全自動装置で人間は一人もいない。巡回船も 20年に一度しか回ってこない。」
「じゃあ残る方法は一つ。今の内に殺すんですね。」
「……出ていけ。」
「残る方法はそれだけです。それもグズグズしていては殺せなくなる。」
「少しは感情をもったらどうだ。相手はミッチェルだぞ。彼は私の親友だ。」
「ヴァリアントの船長も同じことを考えたでしょう。そして決断を下すのが遅れてしまった。結果はどうなりました?」
「…デルタ・ヴェガへコースを取れ。」
スポックは会議室を後にした。


※34: 吹き替えでは「0401.4279」

※35: 原語では「地球基地」と言っています。設定が固まっていなかったため

※36: デイナーとミッチェルの経歴は、単に文字を入れ替えただけの個所が見受けられます (住所の番地が 1489 と 8149、地名が Delman と Eldman)。また、デイナーが 21歳、ミッチェルが 23歳になっていますが、若すぎる気も… (古い情報でしょうか?)。ESP に関する資料では "General Knowledge Quotient" 「一般知識指数」という数値があり、知能指数 IQ (intelligence quotient) の未来版?

※37: このスポックのセリフは、原語にはありません

※38: 原語では、カーク「あのデネブ4号星の夜以来、ずっと気にしてたね」 ミッチェル「ああ、彼女はすごかった」。デネブ4号星 (Deneb IV) については、ミッチェルの経歴にも書かれています。TNG パイロット版 "Encounter at Farpoint" 「未知への飛翔」でも同名の惑星が登場しますが、同一とは考えにくいかも

※39: このセリフからすると、カークはミッチェルのクラスメートではなく、当時の教官や助手か何かのようにも取れます。もしくはミッチェルも教官だったのかもしれません。吹き替えでは「尉」

※40: 原語では言葉遊びを使って、"In his class, you either think or sink." 「奴のクラスじゃ、考えるか落ち込むかだ」

※41: 次の「そうとは知らずに」は原語では「結婚寸前だった」と言っています。映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」のキャロル・マーカスのことかもしれません。TOS第40話 "The Deadly Years" 「死の宇宙病」のジャネット・ウォレスの可能性も

※42: Spinoza
バールーフ・デ・スピノザ (1632〜77)

※43: ここのみ訳が「診療」ではありません

※44: TOS の旧国内オンエア分では、カット部分が存在しています。完全版ビデオ (第1シーズンの一部) および DVD には吹き替えつきで完全収録されており、このエピソードガイドでは色を変えている個所にあたります (CS版との比較)。LD では基本的に、その部分だけ字幕収録です

※45: この直前、デイナーの頭にマイクらしき影が見えます

※46: "Nightingale Woman" 「ナイチンゲールの女」
実際にはジーン・ロッデンベリーが、パイロットとしての飛行機に対する気持ちを綴った詩。最初の "My love has wings" という言葉は、DS9第79話 "Little Green Men" 「フェレンギ人囚わる」で、20世紀の空軍基地にあるカレンダーの上部に書かれています

※47: Canopus Planet
コノパス (カノープス) は、りゅうこつ座アルファ星のことで超巨星。同じ意味をもつアルファ・カリーナ (Alpha Carinae) 星系は、TOS "The Ultimate Computer" などで言及されます。コノパス星は、その星系の惑星の別名かもしれません

※48: Tarbolde
フィニアス・タルボルド (Phineas Tarbolde)。DS9第93話 "The Muse" 「二人の女神」で、オナヤの影響を受けていたことが判明。現在の設定では 1996年ならファースト・コンタクトの前ですから、その後に知られて翻訳されたんでしょうね

※49: ここでも背後のドアのところに、マイクらしき影が見えます

※50: 原語では「2世紀」と言っており、これだと現在が 22世紀ということになってしまいます。設定が固まっていなかったため

※51: 娯楽室のセットを使い回し。ただし原語では娯楽室のことを「会議ラウンジ」と呼んでおり、この時点では共通という設定だったのかもしれません。天井は "The Cage" のパイクの部屋に使われたもの

※52: カットに関連して DVD・完全版ビデオ以外では、この空白部分に音楽と共に『ミッチェルの様子が、急速に変化した。そこで私は、緊急会議を開いた』というカークのセリフが入っています (LD も)

※53: 原語では「一ペニー」

※54: 吹き替えでは「彼が許さないでしょう」。ミッチェルを乗せたままでは被害が拡大するので、基地へは戻れないという意味

※55: Delta Vega
TNG "Conspiracy" の宇宙艦隊本部の星図、TNG第63話 "Yesterday's Enterprise" 「亡霊戦艦エンタープライズ'C'」の作戦室の勢力図内にもあるそうですが、画面上では読み取れません

※56: lithium cracking station
初期のエピソードでは、船に必要な鉱物はリチウムとなっていました。科学顧問 Harvey Lynn の提案により、架空物質であるダイリチウムに変更

『宇宙暦 1312.9※57。我々は、問題のデルタ・ヴェガ星へ接近した。この惑星は地球より少し小さくて生物は生存しないが、クリスタルおよび鉱物資源に富んでいる。やがてケルソーをリーダーとする修理班がメインエンジンにエネルギーを注入するため出発した。一方私は、15年来の親友を降ろさなければならない。そして無人の星にただ一人、永久に置き去りにするのだ。』
惑星へ向かうエンタープライズ。
スクリーンに映るデルタ・ヴェガ。ケルソーは荷物を持ち、ブリッジを出ていく。

制服姿のミッチェルは、ベッドに戻った。テーブルの上のカップ※58を目にする。「喉が渇いた。」
するとカップが独りでに動き、蛇口の下へ向かった。水が汲まれる。
飛んできたカップを受け取るミッチェル。医療室に入ったカークたち※59は、その光景を見た。
ミッチェル:「…まるで今まで目の見えなかった人間が、突然目が開いた感じだ。…この調子だとやがて、何でもできるようになりそうだよ※60。」
また宙を舞うカップを受け取るカーク。
ミッチェル:「みんな俺が怪物になったと思ってるな。な、そうだろ?」
カーク:「…僕たちの心まで読めるのか。」
「君が今一番心配してるのは…船の安全だな?」
「もし君ならどうする。」
「多分ミスター・スポックと同じことを考えるだろう。…今の内に、殺すんだ。」
近づこうとしたカークに、ミッチェルは手を向けた。電撃のようなものがカークの身体に走る。
スポックにも同じ力を使うミッチェル。
デイナー:「ミッチェル、やめて!」
ミッチェル:「船が今、デルタ・ヴェガを回ってることも知ってるぞ。…俺を置き去りにするつもりだな。だがまだ俺は船を出たくない、もっといい場所がある。俺の目的のためにもっと利用できる場所があるはずだ。」
「目的?」
「自分にもまだよくわからんが、この調子で力が強くなっていくと全て自分の思い通りに。そうだ、俺は宇宙の支配者になれる。」
カークは隙を突き、ミッチェルを殴った。スポックも加勢する。
押さえ込むカーク。「危険だ、意識不明にしとけ。」
ハイポスプレーを打つデイナー。

転送機を操作するスコット。カークたちはミッチェルを連れてきた。
抵抗するミッチェル。「みんな虫けらのように踏みつぶしてやる!」
パイパーにハイポスプレーを使われた。
カーク:「転送※61。」
転送される 5人。

地表には巨大な工業施設が見える※62
実体化し、ミッチェルを支えるカーク。
ケルソーたちが建物から出てきた。
カーク:「どうだ、できそうか。」
ケルソー:「燃料貯蔵庫を避けてセットすればエネルギーをもらえますね。」
「よし。」
中に運ばれるミッチェル。
デイナー:「本当にここは無人の惑星ですの。」
カーク:「いるのは私達だけだ。」
辺りを見た 2人も施設の中へ向かう。

作業を進めるオルデン。「おい、203-R のセットがあったぞ。」※63
ケルソー:「助かったな、それを持って船へ戻ってくれ。」
「よーし。」
カーク:「ここから、燃料貯蔵庫を爆破できないか。スイッチを使って。」
ケルソー:「…こいつに、ワイヤーをつなげばできそうですね。」
「やってくれ。」
スポック:「意識が戻ってきました。」
ついていくカーク。

立っているミッチェルは、髪の一部が白くなり始めている※64。「制限区域」と書かれており、拘束室の中にミッチェルがいる。
カーク:「パイパー博士。ここには医者は 2人もいりません。どちらか宇宙船に戻って、診療室のモニターで見ていればいいでしょ。」
デイナー:「私が残ります、彼と話したいの。」
歩いていくパイパー。
ミッチェル:「…親友のジェイムス・カークか。…デモラス星※65の怪物を覚えてるか? お前を助けるために奴の毒を飲んだんだぞ※66、俺は。」
カーク:「そして死にかけたな、よく覚えてる。」
「じゃどうして俺を怖がるんだ。」
「君は時機が来ればエンタープライズ※67を乗っ取るつもりだ。転送ルームで君が言ったように、我々は君にとっては虫けらと同じなんだろ? 邪魔すれば踏みつぶすと言ったぞ。」
「あれは薬のせいだ。」
「…そうかな。…診療室では、もし君なら自分のような怪物は殺すと言ったな。」
「じゃなぜ殺さない? ミスター・スポックが言ったとおり、殺せるのは今の内だぞ。」
デイナー:「あなた本気で言ってるの。」
「超能力をもった者の前には、人間など敵ではない。今にその証拠を見せてやる…」
身体をフォースフィールドに押しつけるミッチェル。フェイザーを構えるスポック。
ミッチェルは離れようとしない。また手をつけた。
カーク:「ミッチェル。ミッチェル、やめろ!」
弾き飛ばされるミッチェル。倒れた。
すると、目の光が消えた。
ミッチェル:「カーク?」
カーク:「目が元に戻ったぞ。」
スポック:「電磁スクリーンに触れて力が弱くなったんでしょう。でもまたすぐに戻ります。」
その通りになった。ゆっくりと立ち上がるミッチェル※68。「俺は果てしなく成長する。お前たちには止められん。」

エンタープライズ。
装置をセットするスコット。復旧した。
連絡するスコット。「あつらえたみたいにピッタリですね。ああ、フェイザーライフル※69はミスター・スポックの手に届きましたか。」

カーク:「頼んだ覚えは…」
司令室に戻ったスポックが手にしていた。
カーク:「いや、届いたようだ。以上。」 コミュニケーターを置く。
スポック:「またスクリーンを破ろうとしましたが、今度はさっきほどショックを受けなかったようです。」
「デイナー博士は危険はないと言ってるぞ、どうして専門家が間違ったことを言うんだ。」
「彼女には『感情』があるからですよ、私は理論だけだ。これ以上船の修理が長引くと彼に皆殺しにされてしまいます。」
ケルソー:「ガッチリつなぎました。ボタンを押せば谷ごと吹き飛びますね。」
カーク:「…もしミッチェルが逃げて君の判断でそれしかないと結論に達したら…そのボタンを押してくれ。」


※57: 吹き替えでは「0401.4281」

※58: "The Cage" でドクター・ボイスの服に使われていた、地球を模したマークが入っています

※59: スポックが携えている銃は "The Cage" のレーザーピストルと同じですが、レーザーかフェイザーかは不明

※60: LD ではカット部分と「この調子だと…」のセリフが入れ替わっています

※61: 転送命令である "Energize." が初使用。ちなみに日本の第一話ですので、「転送」という名訳が使われるのも初。冒頭の部分で materializer (物質化装置) などに対して使われているのが最初で、その他転送の一般名詞である transport、今回は使われていませんが動詞の beam などにも、同じ訳語が使われます

※62: マットペインティングは映像効果アーティスト Albert Whitlock が製作。TOS第11話 "Dagger of the Mind" 「悪魔島から来た狂人」のタンタロス刑務所に再利用。上陸班全員が一緒に入った写真もあります

※63: 背景の配電盤は後のエピソードで機関室で使われ、窓は TOS第13話 "The Conscience of the King" 「殺人鬼コドス」で再利用

※64: だんだんと白髪になる演出ですが、ここではアップの時だけ白くなっているように見えます

※65: Dimorus
VOY第139話 "Child's Play" 「苦悩するボーグ・チャイルド」で、天体測定ラボの星図内に載っています

※66: 原語では「奴らが投げた毒矢に当たったんだぞ」

※67: 吹き替えでは「エンタープライズ

※68: 吹き替えではこの個所からミッチェルの声にエコーがかかりますが、実際は後の「同情したために…」から

※69: phaser rifle
TOS 唯一の登場で、次は TNG第98話 "The Mind's Eye" 「裏切りの序曲」

『航星日誌、宇宙暦 1313.1※70。ケルソー大尉をリーダーとする修理班の活躍は目覚ましく、軌道を回るエンタープライズ※67のエンジンはほとんどエネルギーの注入を終わって、大多数の者が船へ引き上げていった。しかしミッチェルの体内は刻一刻と変化し、巨大な力を蓄えているようだ。』
デルタ・ヴェガ。
司令室を出ていく多くのクルー。

ミッチェルは立っている。
デイナー:「もう何時間もあの調子ですわ。」
カーク:「パイパー博士にコントロールルームで待機するように伝えてくれ、まもなく全員引き上げる。」
スポック:「もし彼が邪魔したら。」
「最後の瞬間までケルソーがボタンのそばにいる、彼にはわかってる。」
デイナー:「私はミッチェルと一緒に残ります。」
首を動かすミッチェル。

報告しているケルソー。「第3核融合室異常なし、どうやら上手くいきそうだな。」
スコット:『お前は泥棒になりゃよかったな。…エネルギーをこんなに上手く頂くとは驚きだ。』
ケーブルが勝手に動き出した。ケルソーの後ろで、気づいていない。
ケルソー:「やっとこれで、地球の基地に戻れるぞ。チャーリー、そろそろ転送の準備をし…」
ケーブルがケルソーの首に巻き付いた。取ることはできない。
ケルソーは動かなくなった。

ミッチェルはカークを見た。
カーク:「我々と船に戻りたまえ。」
デイナー:「彼が可哀想です!」
「船長命令だ。」
手を挙げるミッチェル。「早く俺を殺しとけばよかったな。」 響き渡る声。『同情したために手遅れになってしまった。』
指を曲げるミッチェル。カークに電流が走る。
フェイザーライフルを向けようとしたスポックも同じだ。
デイナーはゆっくりとミッチェルの方を向いた。ミッチェルは何もないかのように拘束室の外に出て、デイナーの髪に触れた。
カーク:『ミスター・スポックの心配は的中した。ミッチェルは遂に強力な電磁スクリーンをも破壊する、恐るべき超能力をもつに至った。そして今度は、エリザベス・デイナー博士を自分同様の怪物に仕立てようとしている。』※71
拘束室の中にデイナーを入れるミッチェル。鏡の前に立たせる。
デイナーの目は、ミッチェル同様銀色に光っていた。

パイパーが倒れたカークとスポックに近づいた。目を覚ますカーク。
パイパーは薬を飲ませる。「私も急にやられましてね。ケルソーは首を絞められて死にました。スポックは大丈夫です。」
カーク:「デイナー博士は。」
「ミッチェルと、出ていきました。」
「いやあ、スポックは当分そのままにしといてくれ。これは、私が独りで解決する。…どっちへ行ったか見たか。」
「ええ。かなり明るかったので、谷を抜けて岩場の左手へ消えました。先に、開けたところがあります。」
「ミスター・スポックが意識を回復したらすぐにエンタープライズへ戻って待機しろ。」
「船長は?」
「そして 12時間以内に私から何の連絡もなければ…緊急速度で一番近い地球の植民星※72にゆきこう伝えてくれ。このデルタ・ヴェガ星に大量の中性子放射線を照射して破壊するように。反対は許さん、これは命令だ。」
フェイザーライフルを拾い、歩いていくカーク。

荒れた岩場※73を進むミッチェルとデイナー。
デイナー:「こんな星ではとても生きていけないわ。」
ミッチェル:『結論を出すのは早い。……見たまえ。』
ミッチェルが手をかざすと、水が湧き出る石、さらに植物が辺りを取り囲んだ。
デイナー:「ああ。」
笑うミッチェル。水を口にする。『この気持ちはすぐお前にもわかる。全能の神のように、何でも思いのままにできるのだ。』

カークが辺りをうかがいながら、岩場を歩いている。

無言になるミッチェル。
デイナー:「どうしたの。」
ミッチェル:『カークが来た。バカな奴だ。』

岩場の上に身を隠すカーク。突然そばの岩が崩れ、かすめていった。

ミッチェル:『神の気分を味わうのは素晴らしい。神への冒涜かな? いや。何か食べよう。カフェリアのリンゴ※74がいい。』
実がついた木が現れた。

進み続けるカーク。

ミッチェル:『カフェリア星を訪れると、必ずこれを食べた。』

歩くカーク。

ミッチェル:『カーク、声が聞こえるか。いくら探してもそばにはいない。そのまま進んでくれば、やがて俺に会える。』
デイナー:「私にもカークの姿が見える。」
カフェリアのリンゴを手にするミッチェル。『じゃ出迎えてやれ、喜ぶぞ。奴と話せば、俺たちと違って人間がいかに下らないかわかる。』

カークの前に、デイナーが立っていた。「…驚いた? 私もミッチェルと同じ道をたどってるの。」
カーク:「……協力してくれ。今ならまだ間に合う。」
「彼は間違ってないわ。正しいことをしてるの。」
「人類を滅ぼす気か。君はまだ人間のはずだ…」
「違うわ。」
「まだ人間だ! でなきゃ、私と話したりはしない。」
「地球なんてもう価値はないわ。…私達は人類が何百万年かけて、やっと手に入れることのできる知識を得られるのよ…」
「その知識でミッチェルは何をするつもりだ。…恐ろしい力で何をする気だ! 彼にはコントロールできない!」
「今のうちに船へ戻ってちょうだい。」
「彼は宇宙の支配者になると言った。」 空に向かって叫ぶカーク。「宇宙を支配できるのは神だけだ! ミッチェール! お願いだ。」
「神の言葉も知らないくせに。」
「じゃ人間の話をしよう。人間には欠点がある。彼がいくら超能力を手に入れても、欠点は直らんぞ。」
「帰って!」
デイナーの腕をつかむカーク。「君は心理学者※75だった。人間がもっている醜い野蛮な欲望を知っているだろう。彼がそれを剥き出しにしたらどうなるんだ! …彼を止められる者はいない! 心理学者としての良心に目覚めてくれ。彼をほっておいていいのか、ほっておけば彼はどうなると思う!」
デイナー:「こっちへ来るわ?」
フェイザーを構えるカーク。「手を貸してくれ。君はまだ人間なんだ、それを忘れるな!」
ミッチェルの声。『下らん人間の戯言だ。』
カークは身を翻し、立っていたミッチェルに向けてフェイザーライフルを使った。
全く効果はなく、微笑むミッチェル。手を動かすと、ライフルは宙を飛んでいった。
ミッチェル:『すでに親友の死に黙祷は捧げた。』
見上げるミッチェル。一つの岩だ。
ミッチェル:『せめて墓ぐらいは提供しようじゃないか。』
地面に四角く穴が開いていた。
ミッチェルが手を動かすと、そばに墓碑が現れた。「ジェイムズ・R・カーク※76」とある。
そして真上の巨大な岩が持ち上がり、垂直になった。さらに傾いてくる。
デイナー:「ミッチェル、やめて!」
ミッチェル:『…哀れみは、人間の感情だ。神にはない。』
カーク:「神。神が人間の欲望をもつか。」 デイナーに言う。「どうだ、面白いだろ。」
ミッチェル:『…祈りを捧げる時間だ。俺に祈れ。』
ミッチェルの手の動きに同調して、カークは抵抗できずにミッチェルに近づいた。「君に? 君一人にか。」
ミッチェル:『安らかに死ねるようにだ。』
ひざまづく格好にさせられるカーク。さらに両手を前に構える。「彼女に祈らなくていいのか。」
カークの左右の手の平が合わされた。「神は、君一人なのか。やがて彼女も殺すのか、ずいぶん都合のいい神だな。」
ミッチェル:『さあカーク、早く祈れ。』
カーク:「これがミッチェルの本性だ、彼は狂った力をもった狂った怪物だ※77。」
その時、デイナーが手を挙げた。ミッチェルに向かって電流が放たれ、身体が光る。
続く攻撃。ミッチェルも反撃する。
倒れながらもやめようとしないデイナー。ついにミッチェルも座り込んだ。
目の光が消える。
デイナー:「早く。今の内に殺して。」
ミッチェルを殴るカーク。ミッチェルも抵抗し始める。
制服が破れたカークは、ミッチェルに馬乗りになって岩を持ち上げた。「ミッチェル、許してくれ。」
ミッチェルの目が再び灯る。手で岩を止めた。『なぜ一瞬考えた。また手遅れになったな。』
岩を遠くへ弾き飛ばすミッチェル。逃げるカークを追う。
カークは殴ろうとしたが、難なく弾かれた。大きな岩を持ち上げるミッチェル。
避けたカークは、ミッチェルと一緒に墓穴に落ち込んだ。素早く穴を出て、フェイザーライフルを拾う。
カークはミッチェルではなく、頭上の岩を狙った。大きな揺れ。
墓碑に続いて、巨大な岩が落ちてきた。ミッチェルごと、穴を完全にふさいだ。
カークはデイナーに近づく。
デイナー:「残念ね。か、神になりかけた気持ちを、教えたかった。あなたに。」 絶命する。
カークはコミュニケーターを開いた。「エンタープライズ。…こちらカーク船長。どうぞ。」

デルタ・ヴェガを離れるエンタープライズ。
手の包帯を見るカーク。「航星日誌、宇宙暦 1313.8※78。殉職者を追加。エリザベス・デイナー博士、職務遂行のために生命を捧げる。※79…さらにゲリー・ミッチェル少佐、同じく殉職。…公式記録はこうしておきたい。好んでああなったんじゃない。」
スポック:「同感ですね。」
「…君にも少しは感情が出てきたと見えるな。」
スポックはわずかに微笑んだように見える。スクリーンに見える宇宙空間。
エンタープライズは進み続ける。


※70: 吹き替えでは「0401.4283」

※71: この心の声は、原語にはありません

※72: 原語では「基地」

※73: "The Cage" のタロス4号星の使い回し

※74: Kaferian apples

※75: 原語では「精神科医」

※76: なぜかミドルネームのイニシャルが T ではなく、R です。ミッチェルが間違えたんでしょうか。小説では、平行宇宙のせいという設定になっているものがあるそうです。生没年が宇宙暦で書いてありますが (1277.1〜1313.7)、生年は現在に近すぎます。エンタープライズの就航年でしょうか

※77: DVD・完全版ビデオでは「これが彼の本性だ、神でもミッチェルでもないただの怪物だ」と修正

※78: 吹き替えでは「0401.4288」

※79: ここで背景に映る通信士官は、コンソールにうつぶせの状態になっています。まさか寝ている…?

・感想など
"The Cage" 「歪んだ楽園」は採用されなかったものの、もう一度チャンスを与えられたセカンドパイロット版。今度は無事 OK され、本当にスタートレックが始まることになります。製作順ではレギュラーのうち、カーク、スコット、スールーが初登場です。いきなり銀河系を出ようとして謎の壁があったり、現在では眉唾扱いの超能力が当たり前のものとして描かれていたり (当時の最先端だったそうですが)、多少違和感のあるストーリーではあります。でも初回に据えた日本版は、第3話とした本国よりは正しい判断だったでしょうね。旧吹き替えの勝手なナレーションはさておき…。
旧題は "Star Prime"。以前から親友だというミッチェル少佐は、もしかすると次の映画にも関わってくるかもしれません。戦争でもないのに端からクルーが 9人死に、さらに 3人追加されるのは、「なかったこと」にならない殉職者数としてはかなり多いですね。


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第3話 "The Corbomite Maneuver" 「謎の球体」previous
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