惑星がスクリーンに映っている。
トゥポル:「惑星上には、さまざまな生物が存在しています。」
サトウ:「信じられません。」
メイウェザー:「地表面は氷で覆われてるのに。」
トゥポル:「惑星内部から熱いガスが噴出していて、ほとんどの生物がこの地域に集中していますね。」
アーチャー:「オアシスか。どんな生物だ。」
「…ヒューマノイドの存在は、認められません。」
リード:「赤道付近に強いエネルギーを感知しました。船ですね。」
アーチャー:「呼びかけてくれ。」
サトウ:「…応答ありません。」
タッカー:「邪魔されたくないのかなあ。真っ暗な惑星に船が一隻。ハネムーンかも。」
惑星へ向かうシャトルポッド。
寒冷地用制服のリード。「赤外線は使えません。噴出口からかなりの熱が出ています。」
アーチャー:「船の真上にいるはずだ。」
トゥポル:「森の切れ目を感知しました。」
サトウ:「アマゾンのジャングルみたいだったら危険です。」
アーチャー:「目隠ししても着陸できるってのが私の口癖だ。」
リード:「やっと証明できますね?」
トゥポル:「900メートル前方に空き地がありますが、シャトルと変わらない広さです。」
アーチャー:「それで十分だ。」
着陸するポッド。
森の中を進む一行。それぞれ頭に機械をつけている。
トゥポル:「船長。船は 600メートル前方です。」
リード:「さあ、行きましょう!」
アーチャー:「おい、司令官は誰か忘れるんじゃないぞう? …ニュージーランドの熱帯雨林を思い出すなあ。手柄を立ててバッジをたくさんもらったもんだ。」
「ボーイスカウトですか?」
「イーグル・スカウトにいた。」
「ああ。私もですよ。」
「君も? バッジはいくつもらった。」
「28。船長は。」
「…26 だ。」
「ああ…。立派なもんです。」
トゥポル:「船長。」
アーチャーたちはライトを消し、頭の機械を作動させる。
暗視センサーだ。近づいていく。
奇妙な虫が木を登っている。
アーチャー:「生物を見つけた者に、宇宙生物学バッジを授けよう。」
リード:「それなら…もう持ってます。」
何も言わず進んでいくアーチャー。
サトウは気づいた。「誰かがキャンプをしています。」 跡が残っている。
アーチャー:「誰かいますか。……我々はエンタープライズ※2から来た。誰かいませんか。」
トゥポル:「生体反応はありません。船は、この先 200メートル以内にあるようです。」
「マルコムと調べてくれ。誰か戻った時のために、ここで待ってる。」
慎重に進むトゥポルとリード。
その 2人を、別のセンサーを使って見ている者がいる。
リード:「聞こえました?」
トゥポル:「ええ。」
フェイズ銃を構えるリード。
暗視センサーでは何も見えない。
リード:「反応は。」
トゥポル:「今、一瞬ヒューマノイドの生体反応を感知しましたが…消えました。」
「いや、ここだ!」
突然、何者かがリードに飛びかかってきた。
異星人語で何か怒鳴っている。
その男は自分のセンサーを外すと、もう一人の仲間に指示した。敵意はないらしい。
武器を収めるトゥポル。
火が焚かれるキャンプにも、異星人がいる。
戻ってきたリード。「船長。大丈夫ですか。」
アーチャー:「異常なしだ。彼らは、エスカ人だ。」
座っていたエスカ人。「私はダムラス※3。」 言葉が通じるようになっている。
アーチャー:「彼女はトゥポル、科学士官だ。こちらはマルコム・リード大尉。」
リード:「よろしく。お仲間に撃たれるところでした。」
さっきのエスカ人、ブーザン※4。「悪かった。森には危険な動物たちがいる。」
ダムラス:「ここでヒューマノイドに会ったのは初めてだ。」
トゥポル:「我々が領土を侵犯したと?」
「この惑星は誰のものでもない。我々には特別な場所だが?」
もう一人のエスカ人※5。「ダカラ※6で何をしてる。」
アーチャー:「探査ですよ。しばらくここに滞在して…いいですか? …大きな星なので、別の場所に移動してもいいが、できればここで御一緒させて頂きたい。」
肉を食べるアーチャー。「キャンプを『楽しんで』いるようだ。」
ダムラス:「フーン、ドラジン※7の肉は人生の楽しみだ。」
リード:「うん、異論はありません。それよりなぜ、センサーはあなた方を見逃したのかな。」
「遮蔽装置を使ってる。野生動物に気づかれないように。」
サトウ:「野生動物の研究を?」
ブーザン:「ハ! まあな。」
ダムラス:「我々は、狩りに来てる。」
エスカ人:「このドラジンは、昨日捕ったものだ。」
トゥポル:「ハンターですか。」
ダムラス:「何世紀も前から、ここに狩りに来てる。」
「この星固有の種を殺しに?」
「野生動物を狩るのは我々の伝統だ。進化した霊長類には、手を出さない。」
アーチャー:「地球じゃ、ハンティングは 100年以上前に廃れてしまったんですよ? でも、こうしたもてなしを受けるのは大歓迎です。」
リード:「狩りをするのに、皆さん随分と念の入った装備をしてるんですねえ。」
ブーザン:「ここのハンティングを甘く見ちゃ困るな。やられることもある。」 エスカ人と一緒になって笑う。
「…私も参加させてもらっていいですか?」
ダムラス:「狩りに反対じゃないのか?」
「さっきあなた方は、夜間視覚センサー※8に感知されずに忍び寄ってきた。どうやったのか知りたい。…狩りはしないと約束します。」
笑うエスカ人たち。
アーチャーも同じだ。「それは、皆さん次第だ。」
ダムラスはリードを受け入れたようだ。
軌道上のエンタープライズ。辺りが暗いため、船体は自らのライトで浮かび上がるのみだ。
『船長航星日誌※9、補足。トリップとマルコムは、エンタープライズに向かった。ホシを送り届け、キャンプ道具を持ち帰るためだ。』
タッカー:「もし虫が光るんなら、いつ寝袋に入ってきたかわかっていいだろ。」
サトウ:「私は、とにかく船に戻って眠りたかったのよ。それより相手が見えないなんて、おちおち寝てられない。」
リード:「アナムシ※10みたいに?」
タッカー:「アナムシ?」
サトウ:「耳の穴に入り込んで、卵を産むのよ? 楽しい夜を。」 シャトル出発ベイを出ていく。
笑うリード。
提案するトゥポル。「まずは、昆虫学者だけで十分です。その後生物科学チームを同行させればいい。上陸するのは、一度に 6名に制限した方がいいでしょう。」
アーチャー:「そうだな?」
ダムラス:「楽しんでますか?」
「もちろん。ここを使わせて頂いて、感謝します。」
「出発は、6時間後だ。少し眠っとけよ? 狩りに行くつもりならなあ。」
リード:「絶対行きますよ。」
「それじゃ。」
アーチャー:「おやすみ。」
リード:「おやすみなさい。…眠っておくか。」
タッカー:「そうだな?」 トゥポルも去る。
アーチャー:「私は、もう少し起きてるよ。」
「楽しい夜を!」
「ああ…。」
焚き火のそばで、独り寝ているアーチャー。
女性の声。「ジョナサン…。」
目を覚ますが、気のせいだと思うアーチャー。
だがまた聞こえた。「ジョナサン。」
アーチャー:「…誰だ。」
物音がする。立ち上がるアーチャー。「誰かいるのか。」
女性:「ジョナサン?」
アーチャーはライトを手にし、歩いていく。
森を進むアーチャー。「誰なんだ。」
さらに奥へ歩くと、ふと先の方に、一人の女性※11が立っていた。
アーチャーが近づくと、逃げてしまう。
|
※2: 吹き替えでは「エンタープライズ号」
※3: Damrus (キース・ザラバッカ Keith Szarabajka VOY第150話 "Repression" 「狙われたマキ」のティーロ・アネイディス (Teero Anaydis) 役) 声:大友龍三郎
※4: Burzaan (コノー・オファレル Conor O'Farrell DS9第79話 "Little Green Men" 「フェレンギ人囚わる」のジェフ・カールソン教授 (Professor Jeff Carlson)、ENT第64話 "Chosen Realm" 「選ばれし領域」のディジャマット (D'Jamat) 役) 声:糸博
※5: 名前は Shiraht (エリック・ピアーポイント Eric Pierpoint TNG第154話 "Liaisons" 「イヤール星の死者」のヴォヴァル大使 (Ambassador Voval)、DS9第111話 "For the Uniform" 「エディングトンの逆襲」のサンダース艦長 (Captain Sanders)、VOY第123話 "Barge of the Dead" 「さまよえるクリンゴンの魂」のコーター (Kotar)、ENT第91話 "Affliction" 「クリンゴンの苦境」などのハリス (Harris) 役) ですが、言及されていません。このガイドでは「エスカ人」としています。声:中田和宏
※6: Dakala
※7: drayjin
※8: nightvision sensor
※9: なぜか今回、「船長」をつけて訳しています
※10: bore worm
※11: Woman (ステファニー・ニズニック Stephanie Niznik 映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」のケル・ペリム (Kell Perim) 役) 声:幸田直子
|