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エンタープライズ エピソードガイド
第7話「汚された聖地」
The Andorian Incident

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・イントロダクション
※1緑に囲まれた建物。
たくさんのろうそくが灯されている。祈りを捧げる者。
ローブを着た人々が大勢いる。
突然、物音が響いた。ローブを外す者。その耳はとがっている。ヴァルカン人だ。
無理矢理、扉が開けられた。
風でろうそくの火が消える。
押し入った異星人たちは、全員青い肌をしていた。
頭に生えた 2本の触角が、動いている。


※1: このエピソードは、VOY トレス役ロクサン・ドースンの監督作品です。ENT では初めて、VOY第163話 "Workforce, Part II" 「人間改造惑星クアラ(後編)」以来となります

・本編
ワープ中のエンタープライズ。
作戦室のコンピューターに表示された図。
タッカー:「ヴァルカンの星図はありがた迷惑ですよ。発見の楽しみがない。俺たちは探検家ですよね?」
アーチャー:「ああ、その通りだ。」
「誰かの足跡をたどっていくのが探検ですかあ?」
「だが、少なくとも、我々人間は一度も行ってない。それに…先週偶然発見した原始星を覚えてるか?」
「ええ。」
「あれはここに載ってない。」
「…ってことはこのヴァルカンの星図が、全てはないと?」
「ああ。」
「だとしたら探検する価値は十分にある。」
笑う 2人。
ドアチャイムに応えるアーチャー。「入れ。」
トゥポルだ。「お呼びですか、船長?」
アーチャー:「実は今、少佐と…この星図を見てたんだが、ここからほんの 2、3光年先に惑星があるらしい。」
「よく承知しています。」
「このデータによると、北半球の丁度この外れに植民地があるらしいが、名前は?」
「…プジェム※2。」
「それでその…プジェムは、ヴァルカンの管轄区か?」
「修道士の祈りの場として、コリナール※3や瞑想を行うため僻地に設けられた聖地です。」
タッカー:「コリナール?」
「感情を排除する儀式です。」
アーチャー:「うーん、面白そうだなあ。…見学させてもらえんかな。」
「プジェムは心静かに瞑想する場所です。歓迎されるとは思いません。」
タッカー:「ヴァルカン人は人間の臭いが嫌いだしな?」
タッカーを見るトゥポル。
アーチャー:「ま、いいじゃないか。ヴァルカン人の聖地なんて、そう行けるもんじゃない。立ち寄る価値は十分あると思うぞ? 君はどうかね。」
トゥポル:「…すぐに規約を調べます。」
「頼む! メイウェザー。」
メイウェザー:『はい、船長。』
「コース変更に備えてくれ。トゥポルが、新しい座標を指示する。」
『了解。』
出て行くトゥポルに向かって、うなずくアーチャー。

サラダを食べているトゥポル。
フロックス:「さぞ楽しみでしょうねえ。聖地への訪問。」
トゥポル:「それは船長の意向です。」
「あなた方の文化に触れられるいい機会です。」
「プジェムはヴァルカンの神殿があるだけです。」
「十分ですよ。あなたはクルーを同胞たちに、紹介できますし、フフン。」 トゥポルに見られるフロックス。「ああ…どうやら同胞に、人間のクルーと共にいるところを、見られたくないらしい。」
「余計な誤解を招くのを、避けたいだけです。」
フロックスはトゥポルの野菜を一つ手にした。「ああ…頂いても? うーん、うん。正直、私も船にいづらく感じることがあります。時々ね? けど、確かヴァルカンのモットーは、『無限の結合における…』」
トゥポル:「『無限の相違※4』です。」
「うーん、そこで言われている相違っていうのは、つまり…多様性ことでは?」 野菜と自分の料理を合わせて食べるフロックス。「うかがいますが、この船での私たちの任務は? どうぞ、言ってみて下さい、フフン。」
「我々の任務は人間にとっての新たな生命体、新たな文明とコンタクトを図ることです。」
「つまり、無限の相違を探すことだ。」
「それは認めます。」
「では、あなたの同胞と、あなたの人間の仕事仲間が、文化的交流を図ることは、任務の延長では? フフン。」

シャトル出発ベイに入るタッカー。「なぜ向こうに連絡しない?」
トゥポル:「通信手段がありません。テクノロジー機器は精神鍛錬を妨げるとして、一切使っていません。」
アーチャー:「突然押しかけたら、失礼にならないか。」
「規約を参照する限り、問題はありません。…着いたらまず、ヴァルカンの長老に挨拶します。」 アーチャーたちの制服についた、埃を払うトゥポル。「ただし話しかけないこと。長老はもちろん、その場にいる誰にもです。彼らが瞑想に入った場合も、無闇に近づいたり、会話を試みたりしないで下さい。…それから、神殿内では常に静寂を心がけ、周囲のいかなる装飾品や…歴史的遺物には手を触れないように。万一コリナールの最中に着いてしまった場合は、速やかに引き返すこと。…帰り際には我々の訪問に対し、挨拶としてジェカーの石※5を授けられます。受け取ったら、軽くお辞儀をし、敬意を表するため、約5秒間は沈黙を続けて下さい。」 コミュニケーターを渡す。
腕のポケットに入れるアーチャー。「艦隊の訓練より厳しいな?」

プジェム。
タッカー:「感情を排除する場所だって言ってたよなあ? それにしちゃ気の荒いのがいる。扉が傷だらけだ。」
トゥポル:「この神殿は 3千年前のものです。無傷で残ってるわけがないでしょ?」
トゥポルは、ぶら下がっているひもを引っ張った。鐘が鳴る。
だが返事がない。自ら扉を開けるアーチャー。
中にも誰もいない…と思ったが、一人のヴァルカン人が立っていた。長老※6らしい。
沈黙を保つアーチャーたち。
トゥポルは長老に近づいた。「偉大なる聖地を…」 2人で話をする。
アーチャーに話すトゥポル。「コリナールの最中に来てしまったようです。ここにいる修道士たちは月の周期が終わるまで、瞑想を続けねばなりません。」
アーチャー:「ついてないなあ。少しでいい、見学できないか。」
トゥポルは長老に向き直った。「お務めを尊重いたします。ここを発つ前に、私の大切なゲストのために、ジェカーの石を頂けないでしょうか。」
長老:「お待ち下さい。」 奥へ向かう。
トゥポルは広間を見渡す。
アーチャー:「どうした。」
トゥポル:「気になることが。」
「何だ。」
「ここは中央広間です。通常長老しかいないことはありえません。あそこに飾ってある聖なる像も不自然に傾いています。」
タッカー:「不自然にか? 司令部※7に報告します?」
「それだけじゃありません。…ヴァルカンの長老が、動揺しています。」
「あんなに落ち着いてんのに?」
戻ってきた長老に、アーチャーは話しかけた。「私が訪れた中で、一番古かった神殿は確か…チベットの、ヌガリ※8だ。だがここよりずーっと狭かった。ここはあんまり広いんで、驚きましたよ。」
トゥポルも話しながら周りを観察する。「全て回るには、何日もかかるそうですね。」
破片を手にするタッカー。「掃除するにも、それぐらいかかるだろうな。」
長老:「お見苦しいところを。コリナールの最中、修道士たちは感情の名残と向き合います。その影響が時に暴力を招く。どうぞ。」 箱を開く。「これがジェカーの石です。論理的秩序と抑制の人生。我々の信念の象徴です。」
石に触れるアーチャー。ヴァルカン語で唱える長老。
石を手に取り、すぐに尋ねるアーチャー。「今のは何です?」
長老:「何代も受け継がれてきた伝統的な祈りです。」
「私の幸運を祈ってくれたんですか。」
タッカー:「ブラーニーの石※9はキスをすると…口が上手くなるとか。」
アーチャーは気づいた。壺に反射して、何者かが映っている。
敷居の反対側に、影に隠れた異星人がいる。
話し続けるアーチャー。「ああ、そうだったな。残念だよ…カメラを持ってくればよかった。」 タッカーも合図を送られ、物陰の人物に気づいた。
長老:「それでは、お引き取り下さい。」
アーチャーに近づくタッカー。「動物園に行ったことあります? 一度は行った方がいい。」
2人は目で合図をし、敷居に倒れかかった。異星人を取り押さえる。
銃が転がる。すぐにトゥポルが拾おうとしたが、踏みつけられた。
同じ種族の者たちだ。
アーチャー:「お友達かい?」
長老にも銃が向けられる。
アーチャー:「…どうやら違うらしい。」
ため息をつくタッカー。


※2: P'Jem

※3: Kolinahr
映画 TMP "Star Trek: The Motion Picture" 「スター・トレック」など

※4: Infinite Diversity in Infinite Combinations
略して IDIC。TOS第62話 "Is There in Truth No Beauty?" 「美と真実」など

※5: Stone of J'Kah
"J'Kah stone" とも

※6: ヴァルカン長老 Vulcan Elder
(ブルース・フレンチ Bruce French TNG第95話 "The Drumhead" 「疑惑」のサビン・ジェネストラ (Sabin Genestra)、VOY第1話 "Caretaker, Part I" 「遥かなる地球へ(前編)」のオカンパ人ドクター (Ocampa Doctor)、映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」のソーナ人士官その1 (Son'a officer #1) 役) 名前不明。声:糸博

※7: 宇宙艦隊司令部 Starfleet Command
ENT では初言及

※8: Ngari

※9: Blarney Stone
原語では "Oh, you're thinking of the Blarney Stone, Captain, or when you pat the Buddha's belly."

一同を連行する異星人。
部下※10:「ジロジロ見るんじゃない!」
タッカー:「わかったよ。そう触角ねじ曲げんなよ。」

扉が開けられると、中にたくさんのヴァルカン人が集められていた。
長老に食いつくリーダー※11。「ヴァルカン人がなぜこいつらと一緒にいる。」
長老:「地球の船のことは知らない。」
部下:「何だその、『地球』ってのは。」
アーチャー:「我々の母星だ。そこから来た。」
リーダー:「なぜここへ来た。答えろ、ピンクスキン!」
「…コース上にあったもんでねえ。神殿を見学しに来ただけだ。」
「嘘をつけ。目的は何だ。別の監視装置を連中に届けに来てやったんじゃないのか?」
「何も届けちゃいない。」
部下:「あの女は。」
「私の船の科学士官だ。」
リーダー:「ヴァルカンと組んでることを認めるわけか。」
「私のクルーにヴァルカンがいることは認めるが? ここへは好奇心で寄っただけだ。こっちも聞かせてもらおうか? ここで何をしている。」
笑うリーダー。振り向きざまにアーチャーを殴った。
タッカー:「おい!」 部下に銃を向けられる。「嘘なんかじゃない。俺たちはここへ観光に来ただけだ。」
リーダー:「お前たちの船をスキャンした。『観光に来ただけ』にしてはずいぶん重装備だな。」 トゥポルに近づく。「…貴様や、お前らピンクスキンが、疑いを証明してくれた。よくもここが『神殿』だなどと言えたものだ。」
うめくアーチャー。
部下はトゥポルに言った。「たっぷり可愛がってやる。捕虜としてな。」
異星人たちは部屋を出て行った。
タッカー:「奴らは感情むき出しだなあ。」
まだ痛むアーチャー。
トゥポル:「彼らは、アンドリア人※12です。非常に疑い深く、凶暴な種族として知られています。」
アーチャー:「アンドリア人?」
「そうです。」
ヴァルカン修道士※13の一人が口を開いた。「我々の星系は近接しており、もう何年も、争いを続けているのです。」
トゥポル:「我々の論理的思考力と、技術力を妬み、その上我々が彼らの母星を侵略すると信じているのです。」
長老:「緊張緩和のため、条約を結んだのですが、未だに我々が侵略をすると信じている、輩がいる。」
タッカー:「で、この神殿には何の恨みが?」
長老:「長距離センサーアレイを隠していると思っているのです。…ここは静かに内省する場です。スパイも、科学技術も存在はしません。」
「じゃあそう言ったらどうです。奴らの勝手を、黙って見てないで。」
修道士:「これ以上、彼らを刺激する必要はありません。何も見つからなければ、帰るでしょう。」
長老:「以前にも 2度来ましたが、その日のうちに出てきました。だが、今回はあなた方が彼らの疑いを増幅させてしまった。」
「全く余計なことを。」 離れるヴァルカン人たち。
タッカー:「こっちこそ、とんだとばっちりだ。」
アーチャー:「…うん…。」

司令室のリード。「シャトルでスキャンできたはずだ。」
サトウ:「神殿に行っただけですよ? わざわざスキャンなんかします?」
「どんな時でも踏むべき手順だろ。何があるか、わからない。」
メイウェザー:「何があったんです?」
「謎の異星人船だ。シャトルポッドから 1キロも離れていない。」
「離着陸場はさほど広くありません。ほかに訪問者がいたんでしょ。」
「その『訪問者』が気になると言ってるんだ。なぜ上陸班から連絡が来ない。」
サトウ:「10分おきにいちいち報告しろっておっしゃるんですか?」
「それも当然の義務だと思うがな。」
「ちょっと大げさなんじゃないんですか? 神殿の中を回って、瞑想の儀式を見学してるのかもしれません。」

アーチャーを殴るリーダー。「長距離センサーアレイはどこだ!」
アーチャー:「…何度も言ってる通り、そんなものはない。」
リーダーは、また殴った。「どこにある!」
アーチャー:「…ないと言ってるだろ!」
「どうやら人間には感情があるらしい。…一つ聞きたいんだが、お前はなぜヴァルカン人を、科学士官に選んだ?」
「私が彼女を選んだわけじゃない。」
部下:「なぜ選んだ!」 銃を向ける。
倒されるアーチャー。
リーダー:「なぜヴァルカンを選んだ!」
巨大な像を目にするアーチャー。「…彼女は、ヴァルカン最高司令部から派遣されたんだ。」
リーダー:「最高司令部の命を受けてきたのか?」
「違う。…もう一度言うが、俺たちは神殿を見に来ただけだ。」 コミュニケーターに反応がある。「船からだ。エンタープライズが、コンタクトを取ってきてる。」 アーチャーは立ち上がるが、部下に止められる。
音を発するコミュニケーターを手に取り、開けるリーダー。「エンタープライズか。」

船長席のリード。「そうだ。アーチャー船長を捜している。」
リーダー:『その男はアンドリア帝国軍※14の捕虜となった。ヴァルカンと手を組んだことはわかっている。』
「…船長に代わってくれ。」
『貴様らは、我々の監視下にある! 武器の装填や地上への接近を試みれば、仲間の命はないぞ!』

リーダーはコミュニケーターを床に置いた。
アーチャー:「待て!」
叩き壊すリーダー。

サトウは報告する。「信号が消えました。」
リード:「トゥポルは? タッカー少佐は?」

また音を発する、残りのコミュニケーターも叩くリーダー。

サトウは言う。「応答ありません。」
リード:「シャトルポッド2 を準備しておけ。」
メイウェザー:「今の聞いたでしょ? もし上陸を試みれば…」
「さっきの声に従う気はない! 船長命令だけだ。ヴァルカンのデータベースで、アンドリア人の情報を探ってくれ。」
サトウ:「了解。」

別のアンドリア人部下※15が戻ってきた。「東の塔も、くまなく探しました。」
リーダー:「居間は探したのか。」
「まだです。」 戻っていく。
部下:「修道士を一人か二人、殺してみてはどうでしょう。そうすれば吐くかもしれません。」
リーダー:「…うん。…それが一番…効くかもな? 船長。」
アーチャー:「さっきから本当のことを言ってるだろ。」

部屋で瞑想するヴァルカン人たち。
寝ているタッカー。
ひざまずくトゥポルに、長老は話しかけた。「地球の船にはどれくらいいるのだ。」
トゥポル:「9週間と、4日です。」
「さぞひどい臭いだろうな?」
「直に慣れます。嗅覚を麻痺させる薬も飲んでますし。」
アーチャーが戻される。近づくタッカー。
アーチャー:「ここに来ようなんて言ったの誰だ?」
笑うタッカー。水を含ませた布を渡す。
アーチャー:「あいつら本気だぞ? …探し物が見つからなきゃ、あんたたちを殺すと言ってる。」
長老:「何も隠してはいない。」
「信じないと思うぞ? …今度ばかりは…。全部で 4人らしい。スキャンコンソールを持ち込んでた。…神殿内をあちこち調べてる。」
タッカー:「どうやらあの触角を使って探し物をしてるわけじゃないらしい。」
「…エンタープライズからの呼びかけに、助けに来れば仲間を殺すと脅してた。」
トゥポル:「リード大尉は無茶はしないでしょう。」
「あの程度の脅しに怖じ気づく戦略士官をもった覚えはない。…通信機は、アンドリア人に潰された。…このまま連絡が取れなければ、必ず…マルコムは、上陸班を…組織するだろう。…いくら脅されようとな。」
タッカー:「しかも、重装備の上陸班をね。」
「時間の問題だ。…何かいい考えがあれば聞くぞう? …耳を立てて。…悪気はない。」
長老:「…古いですが、通信装置が置いてあります。」
「テクノロジー機器はないのでは?」
「もう何年も使っていません。壊れているかもしれない。」
タッカー:「どんな通信機でも直してみせます。」
アーチャー:「その通信装置は、どこにあるんです。」
修道士:「…地下の墓地です。」
タッカー:「…地下の墓地?」
長老:「聞いて下さい、船長。地下に秘密の通路があります。そこに最も聖なる遺体を、安置してあるのです。」 壁の近くに置かれている置物に手を触れる。「アンドリア人に見つかれば、我々の文化は想像を絶するほどの痛手を受けます。」 その置物の向きを変えると、壁を押すことができた。
タッカー:「感情のない種族にしちゃ、芝居がかったことすんだな?」 火で灯した明かりを受け取る。
修道士と共に、中へ入った。


※10: 名前は Tholos (Steven Dennis VOY第95話 "Night" 「暗黒の汚染空間」の暗黒異星人、第114話 "Think Tank" 「頭脳集団クロスの陰謀」のフェニム (Fennim)、第119話 "Warhead" 「乗っ取られたドクター」のオンクアニ (Onquanii)、第120・121話 "Equinox, Part I & II" 「異空生命体を呼ぶ者たち(前)(後)」のトンプソン乗組員 (Crewman Thompson) 役) ですが、言及されていません。声:水内清光

※11: 名前は Shran (ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs DS9第54話 "Meridian" 「次元移動惑星M」のティロン (Tiron)、第69話 "Family Business" 「クワークの母」などのブラント (Brunt)、第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」などのウェイユン (Weyoun)、VOY第135話 "Tsunkatse" 「囚われのファイター」のペンク (Penk)、ENT第19話 "Acquisition" 「獲物たちの罠」のクレム (Krem) 役) ですが、言及されていません。声:中村秀利

※12: Andorians
TOS第44話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」など

※13: ヴァルカン人 Vulcan
(Richard Tanner) 名前不明。声:牛山茂、TNG ローア、STG ソランなど

※14: Andorian Imperial Guard

※15: クレジットなし。声:中博史、乗組員と兼任

修道士の後を歩いていくタッカー。
石像が床に置いている。
別の方にも道があるようだ。

タッカーは壁のミイラにぶつかりそうになった。「おっと!」
修道士:「マスター・ハードック※16。プジェムの創始者の一人です。通信装置は、こちらです。」 たくさんのミイラが並んでいる。
タッカー:「どうも。」

更に歩く 2人。修道士は立ち止まった。
タッカーは別の入り口を見つける。「この奥は?」
修道士:「秘宝の間です。神聖な宝が納められている。これが、通信装置です。」
ふたを開け、機械を取り出すタッカー。「クレライド電池※17らしい。」

アンドリア人たちが部屋に入る。
寝ているヴァルカン人を、ライトを当てて確認する。触角を動かす。
タッカーも寝ていた。
アンドリア人が出て行ったのを確認して、機械を取り出すタッカー。
長老は毛布を渡す。「使って下さい。」
タッカー:「結構です、寝ませんから。」
アーチャーに差し出す長老。「これから冷える一方です。」
アーチャー:「君が使え。」
トゥポル:「あなたの方が必要です。」
アーチャーは毛布を被る。「アンドリアに転送装置は?」
トゥポル:「ありません。」
「だったら多少は脅かせる。攻撃隊を広間に転送させよう。」
「転送音がした瞬間、彼らは警戒態勢を取り、攻撃隊が再生する前に発砲を始めるでしょう。」
「じゃこの部屋へ。アンドリア人が転送に気づくまでには、態勢も整う。」
「何のです? ここで戦闘を始める気ですか。修道士を危険にさらして?」
「ほかに考えがあるなら言ってみろ。」
トゥポルは答えず、両手を身体に回した。寒いらしい。
アーチャー:「君も入れ。」
トゥポル:「結構です。」
「震えている。」
「鼻孔麻痺剤※18を飲んでから、もう 24時間経ちます。…臭いより寒さの方がまだ我慢できる。」
「いいから!」
トゥポルは毛布に入った。横になるアーチャー。「ああ…。」
トゥポル:「攻撃隊は我々全員を危険にさらします。この神殿が破壊されることは言うまでもない。」
起きあがるアーチャー。「ああ…もう十分危険にさらされてるだろ。」
トゥポル:「アンドリアとヴァルカンは一触即発の状態です。負傷者を出せば自体は更に悪くなる。」
「ああ…なぜ? なぜ奴らの好きなようにさせておく。神殿へ押し入られ同胞が殴られても、黙って立ち去るのを待つだけなのか?」
「暴力に対抗しうる手段が暴力だと、我々は信じていません。」
「その倫理観には敬服する。だが今は、多少の暴力が有効なんだ。」
「アンドリア人のような口振りだ。」
「私は、ヴァルカン人の内面が知りたくてここへ来た。目的は達成したよ。君らは自分たちを賢いと思いこんでる。何だね?」
アーチャーから目をそらすヴァルカン人たち。
アーチャー:「フン…。そりゃ私だって平和的に解決させたい。だがそれが叶うとは思えん。…どういう方法で解決するにせよ、君は私に従うか?」
トゥポル:「私の忠誠を疑っているのですか?」
「互いの立場を確認しておきたい。」
「…私は今まで、あなたに背いたことはありません。」
トゥポルは独りで毛布を取り、アーチャーと反対側を向いた。

エンタープライズ。
歩き回るリード。
メイウェザー:「大尉、少し落ち着いて下さい。」
リードは音に気づいた。「どうした。」
サトウ:「地上から通信が入りました。変調された EM信号で、非常に微弱です。」
「早くつなげ。」
乱れた音声が入る。
タッカー:『エンタープライズ。こちらタッカー少佐。繰り返す、エンタープライズ。こちらタッカー少佐。』
リード:「こちらエンタープライズ。辛うじて聞こえています。そちらの状況は。」

通信機の前で話すタッカー。「聞いてるだろ? 全員揃って人質にされちまったよ。神殿は占領された。アンドリア人って…」
リード:『アンドリア人ですね? ヴァルカンのデータベースで、調査済みです。好戦的で、肌は青。』
「それだ。」
『彼らの目的は。』
「連中はここをスパイ基地だと、思いこんでいる。狙いはセンサーアレイだ。船長は待機を命じてる。これ以上連中を煽っては危険だ。船長からの伝言を言おう。何としてでも脱出する。」

リードは尋ねた。「交渉する余地はないんですか。」
タッカー:『一度船長が交渉を試みたが、あざだらけになって戻ってきた。また連絡する。』
「了解。」

プジェム。
丸い石を使って、洞窟の構造を再現するアーチャー。「外に通じてる通路はないんですか?」
長老:「ありません。」
「…この、秘宝の間はどうなってるんです。」
修道士:「そこは誰も入れません。」
長老:「先祖を冒涜することになる。」
タッカー:「吹き抜けのような場所がありました。広さは 1メートルほどで、丁度この辺りです。」
トゥポル:「その辺りは丁度広間の真下に当たる。」
「3カ所から光が漏れていました。丁度、こんな感じです。」
石を三角形に並べるタッカー。アーチャーは見つめる。

その配置は、広間の巨大な顔型の配置と同じだった。両目と口だ。
アンドリア人の部下、ケヴァル※19が言う。「一体何度同じ部屋を探せばいいんですか!」
リーダー:「任務を放棄する気か?」
「もう探してないところはありません。スキャンも何度もしました。」
「…ヴァルカン人は、人を欺くことに長けている。…間違いない。必ずここにある。今あきらめてしまえば、これまでの我々の闘いは、全て無意味になるんだぞ。いいか、よく覚えておけ、ケヴァル。」
うなずくケヴァル。
アーチャーの声が聞こえてきた。「おーい! いないか。おーい! 誰もいないのか?」

アーチャーは部屋で、何かを袖の下に隠した。
アンドリア人がやってくる。
アーチャー:「話したいことがある。とっておきの情報だ。」

広間へ連れてこられるアーチャー。
リーダー:「言ってみろ。」
アーチャー:「それより? 助かったよ。新鮮な空気が吸えて。ヴァルカン人に囲まれて 12時間過ごしたことがある…」
「情報とは何だ!」
「スラク※20が生きていた時代からローブを洗ってないんだ、あいつら! スラクってのは、ヴァルカンの哲学者だ。あいつらから感情を、抜き去った張本人だよ。あんたたちはどうか知らんが? 俺はここでいろいろ学んだ。」
殴られるアーチャー。倒れる。
リーダー:「俺たちに何を言いに来た。」
アーチャー:「あんたたちが何を…知りたいかによる。」 今度は蹴られる。「ああ、わかった。今言うよ。」 袖から密かに、小さな人形を取りだした。「知ってるか? 俺の母星にいる有機体の、70%はバクテリアだ。」
部下:「何?」
「もう一つとっておきの情報だが? …オハイオのカントンって所にな? 直径 6メートル以上の糸の玉を転がす男がいるんだ。」 また殴られる。
「つき合うだけ時間の無駄だ、連れて行け!」
「地球に、有名な天文学者がいる。」 アーチャーは人形を素早く、壁面にある顔の穴に入れた。「…ティコ・ブラーエ※21だ。彼は決闘で、鼻を失った。数学の方程式を巡ってね。」 笑う。
今度はリーダーが殴った。「殴られるのが好きらしい。」
連れて行かれるアーチャー。「やめろ、もうヴァルカン人とは、一分だっていられない! 勘弁してくれ、頼むよ!」

洞窟のクモの巣を払うタッカー。
床の下に、人形が転がっている。
向こう側には 3つの明かり。

口の血をぬぐうアーチャー。
戻ってきたタッカーは、人形を投げ渡した。
アーチャー:「これで光が見えてきた。すべきことはわかってるな。」
タッカー:「はい、船長。」 戻っていく。
長老:「ご承知とは思うが、乱暴な行為を許すわけにはいきません。」
アーチャー:「ご安心を。巻き込む気はありません。あなた方はただそこにじっと座ってればいい。」

クルーに命じるリード。「フェイズ銃は麻痺にセット。」
乗組員※22:「麻痺ですか?」
「船長からそう言明されている。」
転送室に来た。台に乗る。
サトウがコンソールに近づく。
リード:「コンソールは噛みつきゃしない。」
サトウ:「分子をゴチャゴチャにするだけですよね?」
台に乗ろうとしない乗組員に話すリード。「どうした?」
乗組員:「転送は、危険も多いと聞いているもので。」
「任務に危険は付き物だ。早く来たまえ。」
全員乗った。
リード:「座標セット。」
サトウ:「了解。」
「転送開始だ。気が変わる前にな?」
操作するサトウ。
3人が転送された。


※16: Master Haadok

※17: krellide power cell

※18: nasal numbing agent

※19: Keval
(Jeff Ricketts ENT第3話 "Fight or Flight" 「死のファースト・コンタクト」のアクサナル人役) 声:隈本吉成

※20: Surak
TOS第77話 "The Savage Curtain" 「未確認惑星の岩石人間」に登場

※21: Tycho Brahe
(1546〜1601年)

※22: 戦術乗組員 Tactical Crewman
(Jamie McShane) 声:中博史、VOY ドクターなど

アンドリア人のコンピューターに反応がある。
リーダー:「どうした!」
ケヴァル:「何らかの、エネルギー変動です。」
向かうリーダー。

リードたちは、洞窟へ駆け込む。
すぐにリーダーたちが部屋へ来るが、入り口は既に閉じられている。
リーダー:「たった今エネルギーサージを探知した。ここで何かあったはずだ。」
トゥポル:「何もない。機械の故障だろ?」
「もしくはお前らが、何かを隠してるのかもしれん。」 アーチャーを見るリーダー。部下に命じる。「見張ってろ。」
部下一人が部屋に残った。

洞窟を進むリード。「ここだ。」

トゥポルに話す部下。「ヴァルカン人の臭いはひどいが…お前は違う。」
タッカー:「どこが違うんだか。」
触角を向ける部下。「何だと黙れ、ピンクスキン!」
首を振るタッカー。

道具を使うリード。穴から広間を覗く。
ケヴァル:「こんなことありえない! 3名の生体反応を探知。全員人間です。」
壁に小型機械を取り付けていくリード。
リーダー:「どこにいる。」
ケヴァル:「20メートル以内に。」
「どこだ!」
「正確な位置はわかりません。」
「もっとセンサーの感度を上げてみろ。」
次々と装置がセットされる。

トゥポルに付きまとう部下。「交尾の儀式について聞いたぞ? 何でもヴァルカンの女は、男を死ぬまで争わせるんだってなあ? 俺もあんたのために誰かを殺そう。」
アーチャーは立ち上がった。「離れろ。」
部下:「奴をぶっ殺そうか?」

準備を進めるリード。

命じるリーダー。「早く探せ!」
ケヴァル:「非常に近くです。」 壁面の像では、目の部分が光っている。
その瞬間、壁が爆発で吹き飛んだ。

揺れはアーチャーたちの部屋まで伝わる。
タッカーは部下につかみかかったが、逆に殴り返される。アーチャーが相手だ。

アンドリア人を撃つリード。反撃される。
撃たれた士官を気遣うリード。「大丈夫か。」
乗組員:「ここは私が。」
リーダーは呼んだ。「ケヴァル!」
フェイズ銃を撃つリード。リーダーたちは洞窟へ駆け込んだ。
リード:「こっちだ。」 乗組員と共に別方向へ向かう。

部下と取っ組み合うアーチャー。倒されてしまう。
立ち上がり、銃を向ける部下。だが駆けつけたリードに撃たれる。「2人逃げました。地下墓地の方向です。」
長老:「さぞ満足でしょう、内省の場を戦場に変えてしまった!」
アーチャー:「フェイズ銃はあるか?」
リード:「どうぞ。」
手にするアーチャー。タッカーにも渡す。「彼が起きたら、また麻痺で撃て。」
うなずくタッカー。
トゥポルはスキャナーを手にした。
アーチャー:「行くぞ!」
修道士がアンドリア人の武器を拾った。「私も行きます。」
長老:「暴力は信念に反する!」
「自分のものは自分で守らねば。」
長老はうなずいた。

洞窟を歩くアーチャーたち。
スキャンするトゥポル。「この先、30メートル付近にいます。」
修道士:「奥は秘宝の間です。高位の修道士以外は中へは入れません。」
アーチャー:「なるべく見ないようにするから…」
「絶対に、許可はできません。」
「奴らをほっとく気か!」
「…私が仕留めます。」
武器を示すアーチャー。「これを使ったことが? ないんだろうな。どうせアンドリア人には見られたんだ、俺たちが見たっていいだろう。」
仕方なくアーチャーに続く修道士。

秘宝の間を進むアンドリア人たち。
修道士の攻撃をはじめとして、撃ち合いが始まる。
たくさんの宝物が置いてある。銃が当たり、壊れる物も。
修道士も武器を使うが、手元が狂い、壁の近くの布に当たってしまった。
リード:「船長。」
見上げるアーチャー。洞窟の壁の一部が、人工物になっている。
トゥポルに指示し、向かうアーチャー。
円形の扉が露わになる。
スイッチを押すアーチャー。回転して開く扉。
リーダーは目を奪われた。
アーチャーも中の様子を見る。「攻撃をやめろ! 全員中を見てみるんだ。」
集まる一同。
そこには、巨大な建造物があった。
アーチャー:「こんな場所があったとは。」
トゥポルも凝視する。
何層にも渡る施設で、働いている者たちが見える。
アーチャー:「それに、画像センサーはついてるか?」
トゥポル:「はい。」
「ここの記録を残しておけ。」
アーチャーの首もとに銃が突きつけられる。
修道士:「すぐに武器を置け、さもないと私は…この男を殺す。」
誰も動けない。
修道士:「機械をよこせ。」
アーチャーは素早く振り向き、修道士を殴り倒した。
リード:「…修道士を殴ってもいいんですか?」
アーチャー:「非常に不謹慎だが、いい気分だよ。…今までずーっと…アンドリア人が主張してきたことは、正しかったわけだ。」
「これならアンドリア人の朝食のメニューまで監視できるでしょうねえ。」
トゥポル:「映像を記録しました。」
アーチャー:「彼に渡せ。」
「船長?」
「渡すんだ。」
リーダーはスキャナーを受け取った。
アーチャー:「これで気が済んだろ? さっさと出ていけ。」
リーダー:「船を攻撃されるかもしれん。」
「ヴァルカン人は条約を破った。君らにはここを知る権利がある。」 トゥポルに尋ねるアーチャー。「何か不都合はあるか。」
トゥポル:「通信機を。」 リードからコミュニケーターを手にする。「トゥポルからエンタープライズ。」
メイウェザー:『どうぞ。』
「まもなくアンドリアの宇宙船が、プジェムの地を発つ。手は出さないよう。」
『了解。』
リーダーは出て行く前に、アーチャーに言った。「借りができた。」
アーチャーも続く。「楽しかったよ。」
うめく修道士。「ああ…。」
センサーアレイを見つめるトゥポル。

シャトルポッドはプジェムを去った。



・感想
TNG や映画でも少し登場したものの、実質的に TOS 以来となるアンドリア人。そのリーダー役はウェイユンやブラントでファンにはおなじみのジェフリー・コムズ。監督はドースン。とまあ、三拍子揃ったエピソードです。アンドリア人が、23世紀には既に連邦のメンバーになっていることを考えると面白いですね。知らなければ単なる敵対種族にしか見えませんけど。
展開的には普通でしたが、落ちは十分にインパクトがありました。トゥポルは知らなかったようですが、ヴァルカン長老や他の修道士たちはどうなんでしょうねえ?


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