デルタ・フライヤー。
操縦席で、ドクターが音楽に合わせてオペラを歌っている。
後部席から、けげんな顔をしたジェインウェイが出てきた。
気づかず、大きな声で歌い続けるドクター。
振り向いた時に、やっとでジェインウェイの姿を目にする。「艦長。コンピューター、一時停止。起こしちゃいました?」
ジェインウェイ:「いいのよ、ドクター。今の私には 15分の睡眠で十分。」 レプリケーターに指示する。「コーヒー、ブラックで。歌を唄うのはいいんだけどね、ドクター。もう少し操縦にも気を配ってもらえない?」
「ホログラムは一度に様々なことができます。デルタ・フライヤーの操縦をこなしながら、長期の飛行による生理的ストレスを記録し、さらに…ムタラ星雲※1のホロ写真を撮ることもできる。」
「ホログラムがいればクルーはいらないわね。」
「誰にも言ったことはありませんが、私も以前は人間になりたいと強く思っていました。しかし今は、ホログラムの方が遥かに優れてると思ってます。」
「あら、そう。」
「別に悪気は。有機体との生活は非常に楽しい。今回も、艦長がこの医療シンポジウムに参加して下さって、非常に嬉しく思ってるんです。もっと頻繁にこういう機会がもてるといいんですが。」
シャトルが揺れ始めた。
ドクター:「ふん。亜空間の渦を通過中。」
ジェインウェイ:「ほかに船がいるのかしら。」
「いいえ、センサーには何もない。恐らく星雲からの重力シアーでしょう。」
「私が操縦を代わります。」
「ゆっくり座ってて下さい。このホログラムがついてるんですから。」
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※1: 正確にはムタラ級星雲 (Mutara-class nebula)。VOY第93話 "One" 「放射能星雲の孤独」など
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