フェイズ銃を撃つアーチャー。 
 隠れているシリック。「非常に、危険な状態になってきたぞ!」 
 アーチャー:「知らなかったよ。」 
 「私にも銃を持たせたらどうだ!」 
 「…一丁しかないんだ。…シリック!」 姿が見えない。 
 シリックはドイツ兵の上から飛びかかった。奪ったライフルを棒のように使って倒していく。 
 背後から撃たれそうになるが、兵士を盾にしてかわした。もう一丁の銃で撃ち返す。 
 ため息をつくアーチャー。 
 戻ろうとするシリックだが、突然背中から撃たれた。新たに駆けつけたドイツ兵だ。 
 倒れるシリック。アーチャーがフェイズ銃でドイツ兵を撃つ。 
 シリックは地球人の姿を保てなくなり、本来の外見になった。
  
 近づく異星人部下。「例の宇宙船が、大気圏内に。」 
 ヴォスク:「プラズマ砲起動だ。」 
 「そちらにパワーは割けません。」 
 「では戦闘機出動だ。撃墜しろ。」 
 ドイツ人将軍の声が響いた。「駄目だ! …この中隊は前線へ向かう。」 
 ヴォスク:「命令に従ってもらう。」 
 「この工場の指揮は私が執る。…お前は解任する。」 
 ヴォスクは素早く銃を取り出し、将軍を撃った。 
 慌てて武器を構えようとするドイツ兵も、異星人によって撃たれた。 
 ヴォスク:「悪いが将軍、協力関係はこれで終わりだ。」 とどめの一発を撃つ。
  
 連絡するアーチャー。「エンタープライズへ。」 
 苦しむシリック。 
 アーチャー:「エンタープライズへ。」 
 シリック:「大気圏内だ、イオンのせいで…信号が届かない。」 
 「すぐに連れ出す。」 
 「無理だ。……あんたは、戦い甲斐があったよ。死ぬなら、あんたの手にかかりたかった。…だが、これもまあ悪くはない。」 シリックは絶命した。 
 離れるアーチャーの前に、タッカーが現れた。 
 アーチャー:「トリップ…」 
 銃を向けるタッカー。「止まれ! 動くな。」 
 アーチャー:「私だ…」 
 「黙れ! …正体を現せ、シリック! でないと頭を吹き飛ばすぞ。」 
 「やめた方がいい、きっと後悔するぞ?」 後ろを見るアーチャー。 
 タッカーはシリックの遺体に気づいた。「…船長?」 
 アーチャー:「無事でよかったよ。」 
 「生きてる?」 
 「引き金を引かなきゃな?」 
 銃を下ろし、笑うタッカー。「でも…信じられない。」 アーチャーの腕に触れた。 
 アーチャー:「ここは直吹っ飛ぶ。」 
 「了解!」 
 「こっちだ。」
  
 トゥポル:「距離は。」 
 リード:「あと 100キロです。ターゲットスキャナーはロック不能。昔の方法でやるしかない。ビジュアルスキャナーにスイッチ。」 
 「減速して。時速 200キロです。」 
 「戦闘機の編隊が、マンハッタン北の基地から離陸しました。こちらへ向かってきます。」
  
 朝になっても撃ち続けているカーマイン。アーチャーたちも外へ出てきた。 
 カーマイン:「行けー! 援護しろ!」 
 アーチャー:「引き上げるんだ。」 
 「盛り上がってきたとこだ。」 
 「この付近全体が、じき爆撃される。」 
 「空爆か? …引き上げるぞ、今すぐズラカるんだー!」 
 レジスタンスは全員車の後ろまで下がる。 
 トラヴァース:「じゃあ、今度こそお別れみたいね。…寂しくなるわ。」 
 アーチャー:「ああ、同感だ。」 
 「私の住む街を、元通りにしてね。…夫も連れ戻して。任せたわよ。」 
 アーチャーは腕に触れた。「何とかする。…ありがとう。」 
 トラヴァース:「ええ。」 
 カーマイン:「おい。…いいってことよ。」 
 笑うアーチャー。飛行機の音が聞こえた。 
 上空を飛ぶ戦闘機の編隊。
  
 リード:「ドイツ軍の爆撃機、スツーカ※11です。心配はいりませんね。確か敵を威嚇するためのサイレンを装備していて、7.9ミリ機関砲を搭載してたかな。」 
 トゥポル:「…リード大尉?」 
 「ああ、まだ遠すぎる。目視できません。」
  
 大気圏内を飛行するエンタープライズに向けて、スツーカが撃ってきた。エネルギー砲を装備している。 
 火花が飛ぶブリッジ。 
 トゥポル:「銃弾とサイレンだけではないようですね。」 
 アーチャーがブリッジに入る。「光子魚雷だ。」 ジャケットを脱ぐ。
  
 工場内の巨大な装置が稼働している。 
 部屋の中に、時間コンジットが形成された。一方の口は広くなっている。 
 異星人部下:「維持しています!」
  
 トゥポル:「強力なエネルギーサージ。…工場内です。」 
 アーチャー:「マルコム!」 
 リード:「あと一キロです。」 
 ニューヨーク上空を飛びながら、フェイズ砲で爆撃機を撃つエンタープライズ。命中したスツーカは落下していく。
  
 風が巻き起こる中、ヴォスクは進み出た。「運命だ。」 
 呆然と見つめる部下。 
 ゆっくりとコンジットに入っていくヴォスク。
  
 リード:「見えました。」 
 アーチャー:「破壊しろ!」 
 エンタープライズは光子性魚雷を発射した。上部のプラズマ砲ごと破壊される。 
 爆発する工場。
  
 コンジット内のヴォスクは断末魔を上げた。
  
 光。 
 アーチャーは奇妙な空間に立っていた。歴史上の出来事※12が次々と現れては消えていく。 
 ダニエルス:「壮観だ。」 身体も元通りになっている。「タイムラインが修復していく。やったな。ヴォスクは死んで、戻れなかった。歴史の破壊行為は、起こらなかった。」 
 アーチャー:「ご苦労さんとでも言いに来たのか。」 
 「そうだな。」 
 「遠慮しておこう。…それより、もう我々に関わらないでくれ。君にも、この時間冷戦とやらにもウンザリだ。」 
 「それも直終わる。君の働きでね。…数え切れない命を救ったんだ。」 
 「信じておくよ。…故郷へ帰してくれ。」 
 次第に現代の出来事に近づいてきた。 
 ダニエルス:「もうすぐ、帰れる。…お別れだ。船長。…光栄だったよ。」 消える。 
 ズィンディ兵器の爆発が見えたところで、エンタープライズのブリッジが現れた。 
 中央に立つアーチャー。「みんな無事か?」 
 それぞれうなずくクルー。タッカーも来ている。 
 スクリーンを見るメイウェザー。「船長。」 
 地球が映っていた。 
 アーチャー:「場所は合ってる。……時代はどうか確かめよう。ホシ。」 
 サトウ:「……信号が複数。…ルナ1 コロニー※13に、軌道プラットフォーム、サンフランシスコもです。」 喜ぶ。 
 トゥポル:「船が複数、接近してきます。…数十隻です。」 
 アーチャー:「味方の船か。」 
 スクリーンを見るトゥポル。 
 地球から何隻もの船が向かってきた。ヴァルカン船も混じっている※14。 
 エンタープライズを出迎え、反転する。※15
 
 
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※11: Stuka
  
※12: 全てではありませんが、以下のような映像が登場します。魚、細胞分裂、ティラノサウルス、洞窟絵画、ストーンヘンジ、ピラミッド、モアイ像、ローマ二輪戦車、エジプト壁画、オオカミの乳を飲むロムルスとレムスの像、騎士、十字軍、ダ・ヴィンチの人体図、帆船、バッファローの群れ、ネイティブアメリカンのテント、カヌー、リンカーン大統領、南北戦争、トーマス・エジソン、機関車、自動車、飛行機、ウラジーミル・レーニン、戦闘機、チャーチル首相、アドルフ・ヒトラー、ルーズヴェルト大統領、落下傘部隊、原爆ファットマン、クー・クラックス・クラン、DC3 旅客機、テレビ、ケネディ夫妻、カストロ議長、黒人公民権運動、サターン5 ロケット、アポロ月面着陸、ニクソン大統領、カーターとブレジネフ、コンコルド、ホメイニ師の肖像画、レーガン大統領、スリーマイル島原発、サッチャー首相、スペースシャトル、ブッシュとゴルバチョフ?、ノーマン・シュワルツコフ、フセイン大統領、ノートパソコン、クリントン夫妻、ブッシュとブレア、ネルソン・マンデラ、9・11 アメリカ同時多発テロ時の世界貿易センター、近代車、ビン・ラディン、国際宇宙ステーション、ロボット、ヴァラキス (ENT第13話 "Dear Doctor" 「遥かなる友へ」)、NX-01 の発進 (ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」)、クアラ (VOY第162・163話 "Workforce, Part I and II" 「人間改造惑星クアラ(前)(後)」。なおヴァラキスの都市も含め、地球の 21〜22世紀を意味するための使い回し映像だと思われます)、ズィンディ偵察機の攻撃 (ENT第52話 "The Expanse" 「帰還なき旅」)、ズィンディ兵器から脱出するアーチャー、爆発する兵器 (ともに ENT第76話 "Zero Hour" 「最終決戦」)
  
※13: Lunar 1 Colony ENT "Zero Hour" より
  
※14: ヴァルカン船はディキーア (ENT第27話 "Shockwave, Part II" 「暗黒からの衝撃波(後編)」) 型かもしれません。この光景は、VOY第172話 "Endgame, Part II" 「道は星雲の彼方へ(後編)」のラストシーンに似ています
  
※15: その他の声優は石井隆夫、遠藤純一 (ENT 2代目ジャナー)、高階俊嗣、近藤広務、飯島肇
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