エンタープライズ エピソードガイド
第76話「最終決戦」
Zero Hour
イントロダクション
※1※2※3ズィンディ兵器の先を進む、亜空間の渦の中にいる爬虫ズィンディ船。 ドラム司令官※4。「内戦の前に我々が支配権を握っていれば、母星が滅びることもなかった。」 ジョッキを持つ爬虫ズィンディ大尉※5。「今も、鳥族が空を埋め尽くしていたでしょう。」 ドラム:「喜ぼうではないか。守護者たちもやっと目が覚めたようだ。」 ネズミを一匹手にした。「地球を破壊したら彼らに代わり、我々爬虫類族が新たなるズィンディ帝国の覇権を握る。」 3人はネズミを掲げ、そのまま丸呑みにした。 |
※1: このエピソードは、第3シーズン・フィナーレ (最終話) です ※2: 2004年度エミー賞において、メーキャップ (装具) 賞にノミネートされました ※3: やはり第3シーズンのあらすじとして、エピソード放送順に第74話 "The Council" 「評議会の分裂」、前話 "Countdown" 「地球攻撃10時間前」の内容が使われています ※4: Commander Dolim クレジットでは爬虫類司令官 Reptilian Commander (スコット・マクドナルド Scott MacDonald) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:白熊寛嗣 ※5: 爬虫類大尉 Reptilian Lieutenant (Andrew Borba) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:大久保利洋、高階俊嗣、武虎のいずれか? |
本編
デグラの船も、亜空間の渦を進んでいる。 人間ズィンディ※6:「3時間近く遅れを取っているが、こちらの方が速い。差は縮んでいる。」 リード:「追いついても装備が不十分だ。兵器の護衛は、何隻。」 「それはわからん。」 アーチャー:「中に入らない限り、兵器を破壊することはできないぞ。……どうだ。」 毛長ズィンディのジャナー※7。「構造図は全て暗号化されている。」 アーチャー:「…ホシを呼ぶしかないな。」 リード:「来られる状態じゃありません。」 「私だって心苦しい!」 「意識もはっきりしていないんです。」 「……データをパッドに移してくれ。部屋で作業を。」 うなずくジャナー。 白い空間の球体創造者・予測※8。「望ましい方向のラインは消え続けています。」 女性※9:「本来なら増えていいはずです。兵器は地球に向けて発射されたのですから。」 球体創造者・主要※10:「地球人の船が主要球体へ向かっています。球体付近の変質を強化するのです。そうすれば船は侵入できない。」 ワープ航行中のエンタープライズ。 頭に手を当てたトゥポル。「…報告。」 タッカー:「メインパワーを調整しました。ディフレクターパルスは 3、4倍に増えますが…船中のシステムが、犠牲になりますよ。」 「…2時間以内に、起動準備をしてください。」 「話を聞いてましたか。起動すれば、船は木っ端微塵です。」 「…猶予は 2時間です。」 「船長は確かに球体を破壊する※11とは言ったが、そのために船を犠牲にするとは言ってません。」 「任務が失敗したらと考えたことはありますか。地球が破壊されたら。」 「毎日考えてる。」 「それなら…人類が破滅すれば、球体創造者は倒せなくなることもわかっていますね。領域は拡大し続け…星系を次々と飲み込んでいく。いつかはヴァルカン星も。危機に瀕しているのは地球だけではないのです。…2時間以内に。」 機関室を出ていくトゥポル。 タッカーはため息をついた。 報告するメイウェザー。「問題が起きました。」 トゥポル:「何ですか。」 「球体41 です。」 「座標は確認しましたか。」 「はい。センサーには一切映るはずのないものが、映っています。遮蔽フィールドのせいではありません※12。しかも拡大してる。」 「分析結果は。」 「空間のひずみのようですが、これまでより遥かに密度が濃い。」 モニターに図が映っている。 フロックス:「球体周辺の空間を変質させているが、これまでとは比較にならない。明らかに侵入を妨害しています※13。」 トゥポル:「1キロ以内に接近しなければ、ネットワークを破壊できません。」 「このまま突き進めば…クルーは数分で全滅です。」 医療室のコンソールを見るフロックス。「特別に調合した安定剤を使えば、12分間は意識を保てますが…表皮質の崩壊を防ぐすべは、ありません。」 「…12分では短すぎます。」 「延ばせても、せいぜい数分です。タッカー少佐と検討して下さい。所要時間を短縮できる方法があるはずだ。」 デグラの船。 個室に入るアーチャー。「どうだ。…少尉?」 毛布をまとっているサトウの前には、ズィンディのパッドが置かれている。「…気分が優れないんです。フロックスを、ここへ呼んでいただけませんか。」 ベッドに向かう。 アーチャー:「ここはデグラの船だ。フロックスはいないよ。」 「私はどうすればいいんですか。」 「…兵器の構造図がいる。デグラは殺される前にデータを暗号化したんだ。…それを解読してくれ。」 「私がコードを教えたから…あの時解読さえしなければ、兵器は発射できなかったのに。」 「薬を打たれたんだ、仕方ない。」 「もっと抵抗すればよかった!」 泣くサトウ。 アーチャーはサトウをテーブルに座らせた。「…今はとにかく、解読を進めるんだ。あと一歩だろ? …兵器に乗り込んで、システムをオーバーロードさせるんだ。だが、この構造図がなければどうすることもできない!」 サトウ:「あのとき早く飛び降りてれば。」 「暗号を解読するんだ!」 サトウはアーチャーに詰め寄った。「もうコードは教えたんだから、私は必要ないでしょ! 早く殺せばいいじゃない!」 アーチャー:「ホシ、気をしっかりもて! あと少しの辛抱だ。…何とかこの暗号を、解読してくれ。…全ては君に懸かっている。わかるだろ?」 サトウの顔に両手を当てた。 「…はい、わかります。」 ズィンディ兵器。 ドラム:「渦を出るのは地球からどれくらいの地点だ。」 爬虫ズィンディ大尉:「およそ 200万キロの位置です。」 「200万。」 「5つのコードがそろっていればすぐに起動できますが、3つでは時間がかかります。早めに渦を出ないと、我々も被害を受けてしまいます。」 「とにかく一刻も早く兵器を起動しろ。手段は、いとわん。」 機関室に入るメイウェザー。「お呼びですか?」 タッカー:「船を破壊せずに、パルスを増幅させられそうなんだが…インパルスのパワーを全部回さなければならない。」 「いつですか?」 「球体に着き次第だ。」 船体の図を見るタッカー。 「そんな。」 「すまんが、船はスラスターだけで動かしてもらう。」 「自由が利かなくなります。時間も限られてるのに。」 「お前ならできる。この図に目を通して、球体の構造を把握しといてくれ。」 タッカーはコンソールに図を表示させた。 デグラの船のリード。「直接プラットフォームには侵入できませんねえ。シールドが厚すぎます。転送できるのは、外壁の付近が限界です。」 図を指さす。 人間ズィンディ:「兵器に追いつくまでに、君のクルーの解読が間に合わなかったらどうする?」 アーチャー:「…彼女も連れて行く。」 リード:「今の状態ではとてもじゃないが…」 「ホシは中に入った。あそこでコードを解読したんだ。」 「錯乱状態で、中の様子なんて覚えていませんよ。それに…」 「ホシは連れて行く。…君たちは、一歩先に侵入してプラットフォームへの最短ルートを確保しろ。」 ジャナー:「だが兵器をオーバーロードさせたら、爆発までに脱出することはできるのか。」 「オーバーロードの前に、クルーは戻らせる。君はホシと脱出しろ。」 リード:「…船長は。」 「あんなところで死ぬつもりはない。」 アーチャーはパッドを渡した。「ホシの様子を見てくる。」 廊下に出たアーチャーだが、辺りの様子が突然変わっていた。窓からは街並みが見える。 脇を見下ろすと、巨大な式典の会場らしい。中央の台を無数の人が取り囲み、青い紋章が掲げられている。 ダニエルス※14:「これはとても重要な日だ。」 アーチャー:「今こんな暇はない。」 「すぐに済むさ。…左はじの方にいる、青いジャケットの男。あれが君だ。7年※15ほど先のことだよ。歴史的瞬間が訪れる。」 |
※6: Xindi-Humanoid (タッカー・スモールウッド Tucker Smallwood) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:竹田雅則 ※7: Jannar クレジットでは毛長ズィンディ Xindi-Arboreal (リック・ワーシー Rick Worthy) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:遠藤純一 ※8: Sphere-Builder Presage (メアリー・マーラ Mary Mara) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:森夏姫か加藤悦子のどちらか? ※9: 球体創造者・女性 Sphere-Builder Woman (Josette DiCarlo) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:斎藤恵理 ※10: Sphere-Builder Primary (Ruth Williamson) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:森夏姫か加藤悦子のどちらか? ※11: 吹き替えでは「兵器を破壊する」と誤訳 ※12: 吹き替えでは「一切映るはずのない遮蔽フィールドが、映っています」。空間のひずみが映っているわけで… ※13: 「これまでとは…」の部分から、原語では「異次元生命体を発見した変動と似ています。明らかに我々が来ることをわかっていますね」 ※14: Daniels (マット・ウィンストン Matt Winston) ENT第70話 "Azati Prime" 「爬虫類族の攻撃」以来の登場。声:津田英三 ※15: 2161年ということになり、従来の設定と合致します |
ダニエルスは尋ねた。「連邦の話は覚えてるな。」 アーチャー:「それが?」 「こんなことを話したら仲間たちに怒られてしまうが、連邦設立にはどうしても君の存在が必要だ。君は今からあそこで、ヴァルカンやアンドリアやテラライト人※16と憲章にサインする。同盟の輪は拡大し、やがては数百の種族が加盟して惑星連邦※17が成立するんだ。」 「私は兵器を破壊しにゆく。ほかのことを考えてる暇はない。」 「プラットフォームにはほかのクルーを送り込め。」 「いきなり何だ!」 「もし君が死んだら、未来は消えてしまうんだ。…少なくともこの未来は。」 「未来はほかにもある! これよりもっと良くなるかもしれないだろ?」 「どうしても君が必要なんだ。」 「…ここは。どこの星だ。」 「地球だ。」 「その地球が破壊されれば、こんな未来はなくなるぞ?」 「リードとサトウに任せろ。」 下で拍手が響いた。「彼らが死んでも未来は成立するが、君は違う。」 「私が救うのは地球だ。君たちの、連邦じゃない。」 「自分の立場を理解しろ。」 「…私は、プラットフォームへ行く。今すぐデグラの船に戻せ。」 エンタープライズ。 フロックス:「それからお手数ですが、私の 1番目の妻の 3番目の夫のグロズニク※18にも、ヘ、伝言を一つ。…ああ、あのアルデバランのドラムセット※19は差し上げます、と。おー、そうだ。彼らには子供がいるんだ。インドゥーラ※20という可愛い子で、今 8歳か 9歳ですが…あの子に植物の本を、全てあげて下さい。」 トゥポルが医療室に入った。 フロックス:「植物が大好きな子で…録音中断。…準備は万端です。」 咳をする。 トゥポル:「タッカー少佐から、ディフレクターの調整が済んだと。」 筒を受け取る。「お邪魔してしまって、すみません。」 「ああいやいやとんでもない、ヘ。ドクター・ルーカス※21に、メッセージを録音していただけです。…後のことを、いろいろ引き受けていただけるというので。…まあ一応。」 フロックスは笑った。 「死を考えるのは嫌なものです。こういった危険な状況では特に。」 「うーん、最善を祈り最悪に備える。ヘ、デノビュラ人は遠い親戚に至るまでたくさんの人に遺言を残すんです。」 「まだ死んではいません。」 メイウェザーの通信が入る。『副司令官。』 トゥポル:「どうぞ。」 『目標地点に着きます。』 「ワープ解除。」 筒を見せるトゥポル。「最善を祈りましょう。」 エンタープライズはワープを停止した。その先には空間のひずみが広がっている。 部品に向かって作業するタッカー。 メイウェザー:「拡大してます。最初に発見したときより、10万キロ深くなってる。」 フロックスもブリッジに来ている。「安定剤の効力を引き上げましたが、ひずみの中にいられるのはせいぜい 15分が限界ですよ。」 その言葉を聞き、クルーがフロックスを見た。 トゥポル:「安定剤の放射準備は?」 フロックスはうなずく。 トゥポル:「…始めて下さい。」 タッカーに命じる。「…ディフレクタースタンバイ。コースをセット。」 デグラの船。 アーチャー:『航星日誌、補足。ホシが暗号の解読を進めてくれたおかげで、具体的な計画が見え始めた。』 サトウの部屋に入るアーチャー。 サトウ:「そちらはどうですか。」 パッドを並べるアーチャー。「極性反転シークエンスの途中でリアクターを停止させるのはわかったが、そのシークエンスがわからない。一歩手順を間違えれば、防衛装置が働いてオーバーロードは不可能になってしまう。」 サトウ:「データはこれです。でも…複雑な暗号でなかなか解読できなくて。」 「時間をやれればいいんだが。」 「…初めてブラジル※22でお会いしたとき…」 「雨が降り続けてたな?」 「私熱帯のウイルスに、やられてたんです。…爬虫類のパラサイトではないですけど。…体調は最悪で、でもいい印象を与えたくて。」 「地球に帰ったら、どこかでゆっくり休暇を取ってこい。ノルウェーでもカナダでも。…熱帯のウイルスのいないところへ行くといい。」 「爬虫類も。」 「そうだな? …続けてくれ。これは、持っていく。」 ブリッジに戻ったアーチャー。 ジャナー:「この距離ならワープサインを識別できる。」 人間ズィンディ:「昆虫族の船は渦の中にはいない。」 アーチャー:「渦を出て、どこへ行った。」 ジャナー:「それはわからんが、とにかく護衛は爬虫類族の船一隻だ。恐らく、ドラムだろう。」 リード:「その一隻を潰せばいいわけですね?」 エンタープライズは、空間変動に突入した。 メイウェザー:「入りました。」 揺れるブリッジ。 トゥポル:「ドクター。」 フロックス:「今から 15分です。」 船内が赤黒く変色する。 「…球体の反応は。」 メイウェザー:「まだありません。」 「…コース維持。」 報告する爬虫ズィンディ※23。「デグラの船は 20分で追いついてきます。」 ドラム:「大尉。もう間もなく渦を出るぞ。起動シークエンスの準備をしておけ。」 爬虫ズィンディ大尉:「スタンバイ!」 ドラム:「座標付近に地球人の船はいるか。」 爬虫ズィンディ:「いません。しかし、宇宙ステーションがあります。…武器はありません。」 爬虫ズィンディ船に続いて、兵器が通常空間に出てきた。 ドラム:「地球の映像を出せ。」 スクリーンに映る地球。 ドラム:「拡大しろ。……実に惜しいな。水が満ちている。…水棲族には最高の星だろうに。」 報告するメイウェザー。「球体です。」 トゥポル:「距離は。」 「ここから 2万キロです。」 フロックス:「残り 13分。」 「映像が入り次第、スラスターに切り替え。新たにコースをセット、北緯 15度の位置に。ディフレクターは。」 タッカー:「準備できてます。」 手の皮膚がひび割れていることに気づいた。 デグラの船も亜空間の渦を抜けた。 ジャナー:「兵器は 80万キロ前方にある。」 アーチャー:「…チームを待機させろ。」 リード:「了解。」 人間ズィンディ:「ドラムがコースを変えた。宇宙ステーションへ向かっている。」 アーチャー:「映像を出せるか。」 地球軌道上にあるステーションが映し出された。 アーチャー:「ヨセミテ3※24 だ。」 ジャナー:「軍事ステーションか?」 「調査施設だ。3、40人が駐在している。」 コンソールを操作するアーチャー。「この周波数で、通信を。」 人間ズィンディ:「兵器が干渉波を出しているようだ。全く通信できない。」 球体が見えてきた。 メイウェザー:「北緯 15度です。」 トゥポル:「高度 2,000メートルに下降。…針路は右舷側 82、マーク 0。」 顔の皮膚も影響を受けている。 タッカー:「ドクター。皮膚に異常が現れてる。」 メイウェザー:「僕もです。」 フロックス:「予測はしてましたが、掻かないように。残り 11分。」 ドラム:「守護者は地球だけでなく、地球人の施設全てを破壊しろと言っていたな。まずはこのステーションを吹き飛ばしてやろう。ロックしろ。準備でき次第撃て。」 ヨセミテ3 を攻撃する爬虫ズィンディ船。ステーションは爆発していく。 スクリーンに近づくアーチャー。 ヨセミテ3 は木っ端微塵になった。 ジャナー:「…兵器の護衛に戻るようだ。」 トゥポル:「左舷 10度の方向へ。時速 30キロに減速。目標の座標を、ディフレクターアレイに送ります。」 タッカー:「…来た。」 「発射。」 音が響く。ライトが明滅する。 タッカー:「いけそうだぞ。」 フロックス:「…残り 10分を切りました。」 船長席に戻るトゥポル。 エンタープライズのディフレクターから、パルスが球体に注がれる。 機関室のクルー※25も、皮膚に影響を受けている。「安定しない…」「16パーセント…」「一体どうなってるんだ…」 そこに、球体創造者が現れた。気づいたクルーに向かって、腕からエネルギーを放つ。 吹き飛ばされる士官。壁に当たり、そこが爆発した。 |
※16: Tellarites TOS第44話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」など ※17: United Federation of Planets という正式名称が言及されるのは、ENT では初めて ※18: Groznick ※19: Aldebaran drum set アルデバランは、おうし座アルファ星。TOS第2話 "Where No Man Has Gone Before" 「光るめだま」など ※20: Indaura ※21: Dr. Lucas ENT第68話 "Doctor's Orders" 「フロックス船長の孤独」など ※22: ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」より ※23: 爬虫類兵士 Reptilian Soldier (Bruce Thomas) 前話 "Countdown" に引き続き登場。声:大久保利洋、高階俊嗣、武虎のいずれか? ※24: Yosemite 3 VOY第130話 "Pathfinder" 「遥か彼方からの声」などに登場した、ミダス・アレイの使い回し ※25: ここで大写しになるエキストラの女性は、Amy Ulen。UPN 系列のラジオ局 KZOK-FM の企画で選ばれたもので、その直前に映る白髪のクルーは同局 DJ の Bob Rivers です |
コンソールで手を動かす球体創造者たち。辺りから火花が飛ぶ。 タッカー:「どうなってるんだ。パワーが 10%落ちた。」 メイウェザー:「Eデッキで爆発が起きてます。」 トゥポル:「ブリッジより機関室、報告を。」 タッカー:「…ビームが切れた!」 フロックス:「9人の異星人が侵入しています。異次元の種族です。」 メイウェザー:「…平気なんですか?」 「彼らが、十分生きられる環境なのでしょう。」 ドラム:「デグラの船に乗っているのは。」 爬虫ズィンディ:「ヒト族 8人、毛長族 3人、地球人が 7人です。」 「武器は改良されているか。」 「いいえ。」 「何と哀れな。このまま迎え撃つぞ。」 ジャナー:「魚雷を装填している。」 リード:「船長。」 アーチャー:「ホシはどうだ。」 銃を抱えるリード。「何とかもってます。軍事部隊も、転送準備 OK です。」 アーチャーはズィンディたちに言った。「…いいか。絶対に死ぬな。…転送したらすぐに敵から離れろ。」 ジャナー:「…別の船がワープで向かってくる。君に通信だ。」 スクリーンに映ったのは、シュラン※26司令官だった。『もっと頭を使え、ピンクスキン。その船では、爬虫類族には勝てない。』 アーチャー:「いま忙しいんだ、何しに来た!」 『わざわざお前たちを探してきてやったんだぞ? …助けが必要になると思ってな。』 エンタープライズのディフレクターパルスは、不安定になっている。 廊下を歩く球体創造者。MACO の武器も歯が立たない。 球体創造者が発したエネルギーによって、MACO は吹き飛ばされ壁が爆発した。 ブリッジに通信が入る。『ケリー※27よりブリッジ!』 トゥポル:「どうぞ。」 『武器が全く効きません!』 タッカー:「何とかしてくれ! フルパワーに戻さないと、予定より 3、4分長引く。」 フロックス:「そんなには延ばせません。ケリー伍長、銃を今から言う循環周波数に合わせて下さい。…32.6テラサイクルです。」 トゥポル:「ドクター?」 「ポッドの異星人を収容したとき…彼の生体を分析したんです。記憶が正しいといいが。」 アンドリア船クマリのシュラン。「我々が前で援護する。目立たないようにしろ。」 人間ズィンディ:「速度を合わせる。」 ドラム:「地球人の船は一隻もいないと言っただろ。」 爬虫ズィンディ:「別の種族です。」 「2隻とも破壊しろ。」 兵器を離れ、クマリを攻撃する爬虫ズィンディ船。クマリの後にデグラの船が続く。 シュラン:「気をつけろ。一発当たるところだぞ。船を左舷側につけろ! 下に入り込め!」 人間ズィンディ:「兵器から 1キロ以内の距離に近づきたい。」 シュラン:『とにかく下に入れ!』 シュランは立ち上がった。「よーし、そろそろ反撃してやるとしよう。船首砲を、オンラインにしろ。」 ブームを発射するするクマリ。撃ち合いが続く。 シュラン:『行け! アーチャーに伝えろ、これで我々は奴に…貸しを作ったとな!』 デグラの船はクマリから離れ、兵器へ向かう。 兵器の爬虫ズィンディは気づいた。アーチャーと、寄り添うようにして立つサトウが見える。 武器を取ろうとしたが、全員撃たれた。リードと MACO だ。 サトウを引いて歩くアーチャー。倒れた爬虫ズィンディをどかせる。 エンタープライズ。 タッカー:「パワーが戻った。そのまま続けさせてくれ。」 後ずさりする球体創造者たちに向かって、銃を撃ち続ける MACO。 武器は通過しているが、球体創造者は廊下の壁の中へと逃げた。 通信が入る。『ウォーカー※28よりブリッジ。』 トゥポル:「どうぞ。」 『機関室は無事ですが、敵はまだいます。』 フロックス:「魔法でも使わない限り、無事でいられるのは後 5分ですよ。」 タッカー:「プレッシャーだな。」 コンソールに潜り込むアーチャー。「よし。シークエンスを教えてくれ。」 サトウ:「まずは、左から 3番目を。」 光る筒を手に取り、それを上下逆に取り付けるアーチャー。筒の色が変わる。 アーチャー:「よし。」 サトウ:「右から 2番目です。」 作業を続けるアーチャー。 突然サトウのそばを武器がかすめた。 「ホシ?」 隠れるサトウ。「大丈夫です。…その次は…一番左側です。」 クマリを攻撃する爬虫ズィンディ船。 爬虫ズィンディ:「デグラの船には、もう地球人はいないようです!」 ドラム:「兵器から引き離すのが狙いだったのか。ただちに戻れ!」 壁を突き抜けてきた球体創造者。顔を見合わせ、手元の部品に手を突っ込んだ。 揺れるブリッジ。 タッカー:「何だ!」 フロックス:「無視して下さい、あと 2分しかない。」 スコープを使うタッカー。 アーチャー:「いいぞ、あと 2本だ。」 爬虫ズィンディたちが銃を撃ちながら近づいてきた。だが背後から撃たれる。 上にいた MACO だ。足を踏み外したズィンディは、奈落の底へ落ちていった。 しかし、その MACO の頭に銃が突きつけられる。武器を置いて両手を挙げる MACO。 MACO は隙を突いて爬虫ズィンディを殴った。取っ組み合いになり、2人とも下の階へ落下する。 ズィンディはナイフで MACO を刺した。突き落とされる MACO。 銃を拾った爬虫ズィンディ。 攻撃され、パッドを落としてしまうサトウ。パッドは闇に消えていった。 アーチャー:「ホシ?」 フェイズ銃を手にし、出てくる。 爬虫ズィンディは撃ちながら近づいてくる。だが上から蹴りが放たれた。 リードだ。もう一度キックを浴び、ズィンディも落ちていった。 コミュニケーターを取り出すリード。「リードより船長。」 アーチャー:『どうぞ。』 「これで全員倒しました。」 『よーし、こっちへ来い。』 パルスを発射し続けるエンタープライズ。 フロックス:「副司令官! …時間がない!」 トゥポル:「わかっています!」 皮膚の異常は全身に広がっている。「…フルインパルスに。…脱出します。」 タッカー:「待ってくれ、あと少しだ!」 フロックス:「もう時間切れです!」 「10秒でいい、あと一息なんだ。」 球体創造者は手を入れ続けている。爆発するコンソール。 フロックス:「駄目だ、これまでです。」 タッカー:「そのようだな。」 ボタンを押した。 だがその瞬間、パルスによって球体の外壁がゆがみ出した。全体が潰れていく。 トゥポル:「メイウェザー少尉!」 パルスを止め、球体から離れるエンタープライズ。 球体はみるみる小さくなり、強大なエネルギーを発射した。 その波は宇宙空間を伝わり、別の球体を直撃した。同じように潰れ、またエネルギーを発する。 エンタープライズに残る球体創造者は、苦悶の表情を浮かべる。声にならない声を上げながら、消滅した。 ブリッジのライトが復旧した。 トゥポル:「…ネットワークは崩壊しました。」 メイウェザー:「思ったより、早く脱出できましたね。」 フロックスには皮膚の異常は見られない。「球体が破壊されたおかげで、ひずみも消えたんでしょう。」 再びコンソールの下に入るアーチャー。「どっちだ。」 目をつぶるサトウ。「次は左から 4番目です。」 リード:「確かか。」 「確かです、5番目は…リアクターを停止させた後ですから。」 作業するアーチャー。 リード:「リアクターを止めれば十分では。」 アーチャーは出てきた。「兵器を停止しに来たんじゃない。…破壊しに来たんだ。起爆装置を。」 リード:「私がやります。」 「お前たちは、転送地点へ行くんだ。デグラの船に戻れ。」 「しかし、主任戦術士官として…」 「命令だ、議論の余地はない。」 リードはポケットに入れていた爆弾と、起爆装置を渡した。 歩いていくサトウは、立ち止まった。 アーチャー:「私もすぐに追いかける。」 うなずくリード。 地球へ向かう兵器。爬虫ズィンディ船、さらにクマリとデグラの船も続く。 コアの周りに爆弾をつけるアーチャー。隠れ、起爆させた。 コアの動きが停止する。アーチャーはコンソールの最後の筒を手に取り、セットした。 すぐに警報が鳴り始める。足音を聞き、アーチャーはフェイズ銃を手にして出てきた。 後ろに気配を感じ武器を向けたが、腕を取られるアーチャー。 ドラム:「大事な兵器に何をした。」 フェイズ銃を落とすアーチャー。ドラムはその力で、アーチャーを引きずり出した。 投げ飛ばされるアーチャー。通路の端に手をかけ、ぶら下がる。 その遥か下から、爆音が響いてきた。姿勢を崩すドラム。 ドラムはコンソールに潜ろうとするが、戻ってきたアーチャーが飛びかかった。何度もドラムの顔を蹴ろうとする。 ドラムはアーチャーの足を手に取り、押しやった。勢いで回転するアーチャー。 アーチャーはその場に倒れていた爬虫ズィンディの銃を手にするが、ドラムに弾き飛ばされた。 ドラムの鋭い爪が襲い、アーチャーの顔に傷が残る。投げられたアーチャーは柱で頭を打った。 さらに大きな揺れが襲う。 炎が上がるクマリのブリッジ。 アンドリア人※29:「爬虫類族が一人兵器へ。」 シュラン:「…ならば戻る場所をなくしてやろう。右舷エンジンにはシールドもない。そこを、集中攻撃しろ。」 爬虫ズィンディ船を攻撃するクマリ。ズィンディ船は爆発した。 デグラの船のブリッジに戻るリード。「船長にロックは。」 人間ズィンディ:「まだできん。」 ジャナー:「もっと外側に来ないと無理だ。」 アーチャーは通路の端に押しやられていた。覆い被さるドラムは、アーチャーの頭をつかむ。 下では兵器が爆発していくのが見える。手すりでドラムの頭を苦しめたアーチャーは、通路に戻った。 だが再びドラムの手がなぎ払われ、背中に傷を負う。銃を向けるドラム。 アーチャーは足をかけてドラムを倒し、その背中に手を伸ばした。 向き合う 2人。アーチャーは手にした起爆装置を起動させた。 音がした個所に手を伸ばすドラム。爆弾がドラムの服の内側につけられており、取ることはできない。 ドラムはアーチャーを見た。隠れるアーチャー。 声を上げる間もなく、ドラムの身体は爆発・飛散した。 柱につく大量の血。 辺りで爆発が続く中、アーチャーは走っていく。広範囲で炎が広がる。 兵器は地球軌道上に達するが、内部からあちこちで光っている。 そして爆発した。 |
※26: Shran (ジェフリー・コムズ Jeffrey Combs) ENT第65話 "Proving Ground" 「アンドリア人の協力」以来の登場。声:中村秀利 ※27: ケリー伍長 Corporal Kelly 前話 "Countdown" より。階級は初言及 ※28: Walker ※29: アンドリア人 N.D. Andorian N.D. (Zachary Krebs) 声:大久保利洋、高階俊嗣、武虎のいずれか? |
トゥポル:『代理航星日誌、2154年※302月14日。デグラの船との合流ポイントで待機しているが、今のところ連絡はない。』 エンタープライズは停止している。 トゥポル:「長距離センサーにも、球体の反応は全くありません。」 タッカー:「一つも?」 「ええ。…探知可能な範囲内には、空間のひずみも見られません。」 「高熱圧の雲のバリアーは。」 星図を見るトゥポル。「付近にごく小さいものは残っているようですが、それも徐々に拡散しています。」 タッカー:「…約束は果たせたな。」 「デルフィック領域は、通常の空間に戻りつつあります。」 「…連絡あってもいい頃だな。もし失敗して…地球が…」 トゥポルはタッカーの肩をつかんだ。「待ちましょう。」 その手を見るタッカー。「俺の方が回復が早いな。」 自分の手で触れた。「ヴァルカン人も、タフじゃなかったか。」 トゥポルは手を離した。「ドクターの話では、2、3日で回復するそうです。」 タッカー:「冗談だって。」 もう一度手に取る。「結構似合うよ。…古い油絵みたいで。」 モニターを操作する。 「…失礼ですね。…私はまだ今年で 66※31 ですよ。」 「…年を言うとは思わなかった。」 「古い油絵だと言うからです。」 「そうじゃなくて、前からずっと年を聞き出そうと思ってたんだ。…何で隠してた。」 「個人的な情報は、親しい相手にしか話さないんです。」 「…親しい? うーん。」 司令センターにメイウェザーの通信が入る。『副司令官。』 トゥポル:「どうぞ。」 『渦が開きました。デグラの船です。」 乱れた通信がブリッジに流れるが、内容は聞き取れない。 トゥポル:「もう一度繰り返してください。」 タッカー:「…兵器は破壊しましたか? 船長。」 通信は途切れた。 トゥポル:「インターセプトコースに。」 エンタープライズとドッキングするデグラの船。 エアロックのドアを開けると、リードが MACO と出てきた。「終わりました。」 トゥポル:「終わった?」 「兵器は破壊したんです。」 タッカー:「…船長はどこだ。」 サトウはリードを見た。 リード:「船長は脱出できなかった。」 タッカー:「…それはどういう意味だ。」 「逃げ出す前に、兵器が爆発してしまったんです。」 サトウはタッカーと抱き合った。視線を落とすトゥポル。 水棲ズィンディ船に収容されるエンタープライズ。 窓から船内が見えている。 ドアチャイムに応えるトゥポル。「どうぞ。」 作戦室に人間ズィンディが入った。 保安部員に話すトゥポル。「ご苦労様。」 人間ズィンディ:「水棲族が一日で地球へ送り届けてくれる。」 「評議会が復活して、嬉しく思います。」 「昆虫族も今回の件を無視することはできなかったようだ。」 「爬虫類族は。」 「…そのうち戻ってくるだろう。…守護者たちの言葉が上辺だけだったという事実は、受け入れる以外にない。…君たちの船長の犠牲は決して忘れないよ。…では無事で。」 「…ありがとう。」 医療室の動物が声を上げている。 フロックス:「大丈夫だよ? ほんの少しの辛抱だから。そう騒ぐな。」 ため息をつき、カゴに餌を振り入れていく。 トゥポルが来た。「どうしたんですか?」 フロックス:「ああどうやら、いつもと雰囲気が違うのを感じ取ったようなんです。獣の腹の中にいるようなものだ。」 「なぜ水棲族の船の中だと、わかったんでしょう。」 「ああ、全く見当もつきません。ですが、ここから出られるまでの間は少し手がかかりそうですよ? フフン。」 「あと数時間のことです。」 「うん。…ところで、何か御用ですか?」 「皮膚が、完治していないんです。」 袖をまくるトゥポル。 「ああ、順調な方ですよ。ハ。ヴァルカン人は領域の現象に、より敏感だったようですから。」 「タフではなかったわけですね。」 「何です?」 「…何か、有効な薬は?」 「時のみです。…クルーの様子は?」 「…船長を失うのは辛いものです。」 「…それにもやはり、時間が必要ですね。」 「…ポートスは。」 かたわらに座っていた。 「元気はありません。…親友を失ったんだ。…だが時が経てばまた、元気になります。」 ポートスに話すトゥポル。「聞きましたか? …元気になるそうですよ。…時が経てば。」 頭をなでた。 亜空間の渦を抜ける水棲ズィンディ船。エンタープライズを残し、反転していった。 トゥポル:「距離は。」 メイウェザー:「80万キロです。」 「コースセット。」 ブリッジにサトウが入った。 トゥポル:「部屋で休んでいないと。」 サトウ:「ドクターにも言われましたが、この瞬間を逃したくないんです。」 タッカー:「…見てもいいかな。」 トゥポルはうなずいた。操作するサトウ。 スクリーンに映った惑星が拡大された。地球だ。 ブリッジのクルーは誰もが見つめる。 タッカー:「…人生最高の眺めだ。綺麗な形をしてる。」 リード:「船長もきっと誇りに。」 トゥポル:「艦隊司令部と通信します。」 サトウ:「……おかしいわ。」 タッカー:「何だ。」 「応答がないんです。」 リード:「…待ちわびてるかと思ったのに。」 トゥポル:「ほかの周波数は?」 メイウェザー:「…軌道上のステーションが見つかりません。」 リード:「ヨセミテは、爬虫類族に破壊された。」 「ヨセミテだけじゃなく、ほかの基地も見当たらないんです。」 サトウ:「全周波数を試しました。」 トゥポル:「…ルナ1 コロニー※32に連絡を。」 「駄目でした。」 「…メイウェザー少尉と、シャトルでサンフランシスコへ降りてください。状況の調査を。」 メイウェザーとターボリフトに入るタッカー。 雲を抜けるシャトルポッド。ゴールデンゲート・ブリッジが見える。 メイウェザー:「一見、普通ですけどね。」 タッカー:「それなら何で誰も応答しない。…司令センターの、裏に降りよう。」 「いました! 3機向かってきます。」 「…出迎えか。…エンタープライズ※33のチャールズ・タッカー少佐だ。応答がないから…」 外壁に音が響いた。 タッカー:「何事だ。」 また連続的に聞こえる。 メイウェザー:「少佐。」 窓を見るタッカー。 前から向かってきた飛行機が、武器を撃っていた。 攻撃を続ける米軍のプロペラ機。 負傷者の手当をする看護婦。みな使っているのは英語ではなく、そこは野戦病院らしい。 タイプライターを使っていた医師※34に、看護婦が耳打ちした。 そのカギ十字のマークがついたテントに、軍人※35が入った。「(どこだ)」 医師:「(こっちです。昨日運び込まれた。…ひどい火傷です)」 ランプで灯された場所に寝ていたのは、顔を火傷したアーチャーだった。死んではいない。 医師:「(この制服に見覚えは?)」 何も言わないドイツ人軍人たち。 最後に入ってきたナチスの士官。その姿は異星人だった。 |
※30: 原語では「2152年」と言っていますが、明らかにミス ※31: 2088年生まれということが初判明。原語では「次の誕生日で」と言っているので、現時点では 65歳 ※32: Lunar 1 colony 月にあるんでしょうね ※33: 吹き替えでは「エンタープライズ号」 ※34: Doctor (Gunter Ziegler) 声優なし ※35: 士官 Officer (J・ポール・ボエマー J. Paul Boehmer DS9第172話 "Tacking into the Wind" 「嵐に立つ者たち」の Vornar、VOY第86・87話 "The Killing Game, Part I and II" 「史上最大の殺戮ゲーム(前)(後)」のナチ大尉 (Nazi Kapitan)、第96話 "Drone" 「新生ボーグの悲劇」のワン (One)、ENT第28話 "Carbon Creek" 「スプートニクの飛んだ夜に」のメストラル (Mestral) 役。ゲーム "Klingon Academy"、"Bridge Commander" でも声の出演) 声優なし |
感想
ズィンディ編となった第3シーズンも、ついに最終話を迎えました。どうも結論を描くことに徹しすぎていて、最近の「結末 (後編) にありがちな傾向」から抜け出せていない感じがします。シュランの登場がサプライズぐらいなものでしょう (逆に宇宙艦隊の無防備さを際立たせることに)。デグラの船=アーチャーたち、兵器=爬虫類族、エンタープライズ=トゥポルたちと頻繁に切り替えて盛り上げるのは結構なことですが、よく考えると球体ネットワークの破壊は兵器とは無関係であり、別に同時じゃなくてもいいわけですよね。直後に水棲族に援助してもらうことで、何とか理由づけしているんでしょうが。この辺はやっぱり、バーマン&ブラガ脚本の限界かという気がしてきます。連鎖反応で何もかも終わり、というのはお手軽ですねえ。 そして…最後の時間ネタ。またまたナチスですか (TOS "Patterns of Force" 「エコス・ナチスの恐怖」、VOY "The Killing Game" 「史上最大の殺戮ゲーム」)。最初に海外サイトでこの事実を知ったとき、思わず苦笑した記憶があります。アメリカ人にとって "North Star" 「ウエスタン」の西部が古き良き時代の象徴ならば、ナチは悪夢なんでしょうか。そこまでして無理にクリフハンガーにする必要もない気もしますが…。実際に過去に飛んだのか、22世紀なのに 20世紀に見える歴史なのか、いずれにせよどのポイントで切り替わったのか (特にエンタープライズ側)、第4シーズンで説明されることを期待します。 第3シーズンは途中ダラダラしたせいで長いように感じましたが、終わってみればあっという間でしたね。実際に 2話少ないですけど。もっと質が良ければ、私がエピソードガイドを手がけるのもここまで遅れることはなかったでしょう。シーズンまるごと特定の展開に費やすというのは、DS9 でもなかった新しい試みではあったんですけどね。ともあれ "Azati Prime" 「爬虫類族の攻撃」以降は盛り返したと思います。次はいよいよ最終シーズン。でも最初から終了前提で製作されたわけではないので、とりあえず打ち切りの件は忘れて楽しみたいと思います。 |
第75話 "Countdown" 「地球攻撃10時間前」 | 第77話 "Storm Front, Part I" 「時間冷戦(前編)」 |