エンタープライズ エピソードガイド
第83話「狙われた地球大使館」
The Forge
イントロダクション
巨大な石像が建ち並ぶ、赤茶けた大地。 ヴァルカン星、17年前。 ライトを持ち、洞窟を進む一人の人物がいる。慎重に奥へ進む。 ライトを置いた。そばには、ヴァルカン人の胸像がついた箱が置いてある。 それを手に取り、箱についた砂をハケで払う。文字が現れた。 男は言った。「スラク※1。」 |
※1: Surak TOS第77話 "The Savage Curtain" 「未確認惑星の岩石人間」に登場 |
本編
地球連合の大使館※2。 フォレスト※3:『マクスウェル・フォレスト※4提督、個人日誌。ヴァルカンと宇宙艦隊の共同任務計画を実現するべく、ヴァルカン星を訪れた。』 ソヴァル※5:「計画の実行は恐らく、時期を見てということになります。」 笑うフォレスト。「時期を見てって、今ほどいい時期はないでしょう。」 ソヴァル:「私は最高司令部の会議に、出席していませんので。」 「自国の地球大使に方針を隠してるんですか。ハ、蚊帳の外同士だ。」 「提督もお気づきでしょうが、我々は地球人との協力にあまり前向きではない。」 広間に入る 2人。 「それは随分と控えめな言葉ですね。」 「正直困惑しているのです。…ほかの多くの種族と違い、地球人は全く捉えどころがない。…アンドリア人の傲慢さに、テラライト人のような頑固さ、クリンゴンのように感情を剥き出しにしたかと思えば、突然論理を持ち出してきたりもする。」 宇宙艦隊士官がいるゲートを通るソヴァル。両目を備え付けの装置に当てる。 フォレスト:「どんな種族にも多用な面もあります。」 同じようにスキャンされる。 ソヴァル:「それにしても、地球人は極端だ。」 士官:「次の方、スキャンしてください。」 フォレスト:「大使。…我々地球人を脅威だと。…なぜです。」 ソヴァル:「あなた方を見ると、ある種族を思い出すのです。」 「…ヴァルカン人。」 わずかに微笑んだように見えるソヴァル。「我々の星はかつて地球と同じような戦争で、文明崩壊の危機に直面しました。それを、論理が救った。…文明を立て直し宇宙へ出るまでには 1,500年※6かかりましたが、地球人は同じことを数十年で果たした。…この先 100年で地球人がどこまで進歩するか、最高司令部の中にはその答えに…脅威を感じる者も多い。」 フォレスト:「我々はクリンゴンとは違う。パートナーになりたいだけです。これまで学んできた知識を生かして、お互いのために力を合わせたい。」 「残念なことですが、それを決める権限は私にはありません。」 突然大きな音が響いた。叫び声。 気づいたフォレストはソヴァルを押しやった。すぐ背後に爆発が迫る。 倒れる柱。崩れ落ちる天井。 爆発は続き、大使館の外側にも広がった。 運動着姿のリード。「船長!」 ジム※7でバスケットボールを楽しむアーチャーたち。 サトウ:「こっち!」 シュートしたが、タッカーが遮った。 サトウ:「あー!」 離れて立っているフロックスがボールを受け取り、投げた。笑うタッカーとメイウェザー。 点が入る。 手を挙げるメイウェザー。「おーし!」 タッカー:「またいただき。21 対 2。」 サトウの肩をつかむ。 サトウ:「ほらドクター、もう一回勝負よ?」 フロックス:「いいですよ? …実に面白い競技だ。オクトラン※8の繁殖コンテストに似ています。」 「次は勝つ。」 タッカー:「どうかな。」 笑う。 トゥポルがやってきた。「船長。…艦隊から、緊急連絡です。」 フロックス:「向こうは、服を着ませんが。着てやった方が楽しい。」 トゥポルの様子に、無言でジムを出るアーチャー。 ヴァルカン軌道上のエンタープライズ。 『航星日誌、補足。艦隊の指示を受けてヴァルカンに到着。3日前に起きた地球大使館爆破事件の犠牲者は、43名に上った。その中には、私の親友フォレスト提督も。未だ犯人は見つかっていない。』 廊下を歩くアーチャー。「悪いが、このままフルタイムで調査に加わってくれ。」 トゥポル:「私もそのつもりです。」 「大丈夫か? お母さんと御主人には。」 「…母とはまだ連絡がついていないんです。…仕事が立て込んでいると、よくあることですから。それに、主人とは…これまでの関係と、変わりありません。」 エアロックを開けるアーチャー。入ってくるヴァルカン人を見て、トゥポルは驚く。 ヴァルカン人:「ジョナサン・アーチャー船長。こんな状況でお会いすることになり、残念です。」 トゥポル:「ご紹介します、こちらはヴラス※9長官です。」 アーチャー:「…ようこそ。最高司令部の長官がいらっしゃるとは。」 ソヴァル:「船長、心からお悔やみ申し上げます。」 怪我をしており、緑の血の跡が見える。 「…ヴァルカン人も 12名亡くなっています。」 ヴラス:「ですから、防衛庁のステル※10主任捜査官が直々に調査を。」 隣にいるヴァルカン人。「実は、容疑者が挙がっています。」 会議室のアーチャー。「アンドリア人? 何のために地球大使館を。」 ステル:「地球とヴァルカンの関係を壊すためでしょう。」 ソヴァル:「アンドリア人は、我々を敵と見なしています。」 アーチャー:「ヴァルカンとアンドリアの関係について我々は、中立を守っています。襲っても何の得にもならない。」 トゥポル:「…ほかに疑わしいのは。」 ステル:「シラナイト※11です。」 アーチャー:「初めて聞く種族だ。」 トゥポル:「シラナイトは、ヴァルカンの一派です。スラクの教えを、ねじ曲げた形で解釈しています。」 「スラクは確か、ヴァルカン論理主義の創始者。」 ヴラス:「1,800年※12経った今も、最重要人物として崇められています。」 「そのシラナイトがなぜ大使館を攻撃するんです。とても論理的とは思えない。」 ソヴァル:「反政府的な主張を掲げてはいたが、穏健派だったはず。」 ステル:「最近リーダーのシラン※13という男が、突如過激な行動に出始めたのです。」 ヴラス:「船長、このことはくれぐれも内密に御願いしたいのですが。近頃ヴァルカン人の間で、異種族に対する暴力行為が目立ってきています。確固たる証拠はないが、どうやらそこにシラナイトが関わっているようなのです。」 アーチャー:「シラナイトと今回の事件を結びつける証拠は?」 ソヴァル:「…地球大使館はヴァルカン星にありますが、地球の所有物です。現場はそちらで、調査してください。」 ヴラス:「何らかの証拠があれば、あなた方が見逃すはずはないでしょう。」 アーチャー:「もちろんです。」 大きな被害を受けた地球大使館。 メイウェザー:「大尉、ジャンクションルームです。」 ライトを持ち、崩れた部屋に入る。 リードが続く。 メイウェザー:「設計図だと、補助セキュリティバンクがあるはず。」 リード:「ああ。無事みたいだな…。」 「下に、弱いエネルギー反応があります。」 「緊急用のライトだろ。バッテリー式の。…何かあるぞ。館内の、監視カメラみたいだ。」 メイウェザーは落ちた梁を持ち上げた。動きを止める。 そこには何かの装置があった。 メイウェザー:「大尉?」 リード:「タイマーが壊れたのか。…爆弾は生きてる! 動くな、振動で爆発するかもしれん。」 コミュニケーターを取り出す。「エンタープライズ、ただちに緊急転送の準備をしてくれ。合図で、2名転送だ。」 必死に梁を支えるメイウェザー。 サトウ:『了解。』 メイウェザー:「爆弾を転送しては。」 リード:「重力スイッチがあったら、転送中に爆発する。」 サトウ:『リード大尉、信号をロックしました。援助はいりますか。』 「大丈夫だ、何とかする。待機しててくれ。…一か八か、スキャンしよう。」 メイウェザー:「一か八か?」 「ああ、もし私が設計者ならセンサービームを感知した瞬間爆発するように造る。…いい方に考えろ。爆発しても、一瞬で気づかない。…支えてろ。」 リードはスキャナーを取り出し、ボタンを押した。爆弾に変化はない。 ため息をつくリード。うなずく。「ヴァルカン人の DNA 反応がある。」 メイウェザー:「…アンドリア人のせいにしといて。」 「解像度を上げてみよう。」 その時、爆弾から音が響いた。 メイウェザー:「ヤバそうですね!」 リード:「まずい! エンタープライズ、転送だ!」 爆弾の点滅が速くなる。 リード:「早くしろ!」 転送される 2人。梁が落ち、それと同時に爆発した。 診察を行うフロックス。アーチャーたちがやってくる。 フロックス:「遺伝子情報管理局※14によれば、DNA はこの女性のものです。名前はトゥパウ※15。」 若い女性が映る。 アーチャー:「記録があるということは、何か前科があるのか。」 トゥポル:「…ヴァルカンでは、出生後に DNA 情報を記録します。」 「彼女の情報は?」 ステル:「トゥパウは有名なシラナイトです。」 「…なるほど。やるべきことはわかった。彼女を捜そう!」 「船長。トゥパウはヴァルカン人です。調査は我々防衛庁に任せていただきます。」 「もちろん、そちら主導で構いません。リードとトゥポルには、補佐を務めさせます。」 「そちらの助けは必要ありません。」 「主任捜査官。43名の犠牲者のうち、31名は地球人なんです。我々も犯人を捜す!」 「これはもはや我々ヴァルカンの問題です。知らせるべき情報があればソヴァル大使に伝えましょう。」 ステルは医療室を出ていった。 並んだ多数の棺。かけられた布には、地球のマークが入っている。 貨物室に入ったアーチャーは、一つの棺に近づいた。両手を置く。 ドアが開く音。 ソヴァル:「提督の死は、大きな損失でした。」 アーチャー:「迷われたならシャトルまで御案内しましょうか。」 近づくソヴァル。「あの時彼は、私を守ってくれた。自らを犠牲にして。」 アーチャー:「…提督はいつでも、任務を優先しました。」 「最期に彼と話したのは、ヴァルカンと宇宙艦隊の共同任務の件でした。」 ソヴァルを見るアーチャー。 ソヴァル:「双方の協力を、強く望んでいた。」 アーチャー:「必ず実現させます。上※16が何と言おうとも。」 「…今回の爆破事件がシラナイトの仕業だという考えは、ナンセンスです。」 「DNA が見つかった。」 「あらゆる事柄を徹底して確かめねば。船にいては、解決できません。全ての答えはヴァルカンにある。…この先どれだけ大がかりな調査が必要になっても、私がサポートします。」 自室のトゥポル。ドアチャイムが鳴る。「……どうぞ。」 クルーに付き添われたコス※17が、部屋に入った。2本の指をトゥポルと互いに合わせる※18。「会えて嬉しいよ。」 トゥポル:「用件は何ですか。」 「用件がいるのか? 君は僕の…妻だろ。」 トゥポルの首に指を触れるコス。 「メッセージが曖昧でした。」 「わけがあってね。対シラナイトの、新たな保安対策が講じられた。プライベート通信も安全とは言えない。」 「政府に知られてはまずいような話ですか?」 「これを渡そうと。」 小さな箱を取り出すコス。「君のお母さんから言づかった。」 トゥポルが中を開けると、円と三角を組み合わせたようなシンボルの物が入っていた。 コス:「君の家系に代々伝わるもので、今度は君が持つ番だと。」 トゥポル:「…なぜ母は自分で来ないんです。」 「保安態勢が強化されて、逮捕を免れるため身を隠している。」 「…母が?」 「彼女は、シラナイトだ。」 |
※2: United Earth Embassy セリフにはなく建物に表記されているだけですが、地球の国家名として「地球連合」が設定されるのは初めて。公式サイトによると場所はシカー (TAS第2話 "Yesteryear" 「タイムトラベルの驚異」で、スポックの故郷として登場) にあるそうですが、言及されていません ※3: フォレスト提督 Admiral Forrest (ヴォーン・アームストロング Vaughn Armstrong) ENT第79話 "Home" 「ヒーローたちの帰還」以来の登場。声:白熊寛嗣 ※4: Maxwell Forrest ファーストネームはシリーズ当初から設定はされていましたが、言及されるのは初めて ※5: Soval (ゲイリー・グラハム Gary Graham) ENT "Home" 以来の登場。声:青山穣 ※6: 吹き替えでは「150年」と、一桁誤訳しています。fifteen hundred なんですが… ※7: 発着ベイのセットを流用。俳優は実際に練習したそうです ※8: Octran ※9: V'Las (ロバート・フォックスワース Robert Foxworth DS9第83・84話 "Homefront" & "Paradise Lost" 「地球戒厳令(前)(後)」のレイトン提督 (Admiral Leyton) 役。ジーン・ロッデンベリーが手がけたテレビ映画「人造人間 (アンドロイド) クエスター」(1974、製作されなかったシリーズのパイロット版) では、クエスターを演じました) 長官= Administrator ※10: Stel (Larc Spies) ※11: Syrrannites ※12: 24世紀では目覚めの時代は 2,000年前とされていたため (TNG第157話 "Gambit, Part II" 「謎のエイリアン部隊(後編)」)、合致します。それから宇宙に出るのに 1,500年かかったということは (脚注※6)、現在から 300年前ということですね ※13: Syrran Syrran がリーダーだから Syrrannites。「シラン派」という感じでしょうか ※14: ヴァルカン遺伝子情報管理局 Vulcan Genome Registry ※15: T'Pau TOS第34話 "Amok Time" 「バルカン星人の秘密」に登場、当時の吹き替えでは「パオ」。VOY第60話 "Darkling" 「ドクターの内なる闇」でもエキストラが演じ、当時の吹き替えでは「タパウ」。TNG第108話 "Unification, Part II" 「潜入! ロミュラン帝国(後編)」では、同名のヴァルカン船が登場 ※16: もちろん宇宙艦隊司令部のことではなく、原語では「(ヴァルカン) 最高司令部」と言っています ※17: Koss (マイケル・ライリー・バーク Michael Reilly Burke) ENT "Home" 以来の登場。声:桐井大介 ※18: TOS第44話 "Journey to Babel" 「惑星オリオンの侵略」で、サレックとアマンダがやっていた仕草 |
作戦室。 アーチャー:「お母さんから、聞いたことはなかったのか。」 トゥポル:「重要なのは、不当な逮捕を免れるため身を隠しているということです。」 「トゥパウのように?」 「彼女とは違います。母は居場所を伝えてきました。」 トゥポルはコスから受け取った物を箱から出し、デスクに置いた。「IDIC※19 と呼ばれる物です。」 アーチャー:「だいぶ古いな。」 「仕掛けがあります。」 三角の部分を押すとスイッチが入り、空中に立体映像が映し出された。地図だ。 トゥポル:「フォージ※20と呼ばれる砂漠です。この道を、スラクが旅したと言われています。」 アーチャー:「1,800年前にか?」 「シラナイトたちは悟りを開くべく、同じ道を旅します。」 「お母さんはその旅の途中だと?」 「コスは家宝と言いつかったようですが、私は見たことがありません。」 ため息をつき、地図を間近で見るアーチャー。「コスに知られたくなかったんだろうな? …ここへ行けば、お母さんが見つかるかもしれん。トゥパウも。」 廊下を歩くタッカー。「どんなとこか聞きましたか? 地獄ですよ?」 着替えているアーチャー。「ヴァルカンの砂漠じゃかなり暑いな。」 タッカー:「電気砂嵐は起きるし、磁場が不安定で装置の類は一切使えない。通信機も、スキャナーもフェイズ銃もなしだ。転送もできないから、歩いて行くことになる。」 「気をつけるよ。船は任せた。マルコムと、調査を進めててくれ。ヴァルカンに何か言われたら、その反対を信じろ。大使の言葉は別だが? …どうも。」 転送台の前にいたソヴァル。「待っていましたよ。…これで、衛星モニターの隙間を探知できます。上陸を気づかれぬように。」 小さな装置をタッカーに渡す。 タッカー:「こんな物、お借りしていいんですか?」 「こんな物とは? 何も、渡した覚えはありませんが※21。」 「…どうも。」 セットするタッカー。「もし、地上で何か起きたら。」 アーチャー:「すでに起きてる。…転送しろ。」 隣にはトゥポル。 操作するタッカー。 砂漠※22の端に立つアーチャーとトゥポル。風が吹きすさぶ。 トゥポル:「『ゲートウェイ』と呼ばれる地点です。スラクは、ここから旅を始めたと言われています。」 眼下には岩場が広がっている。 アーチャー:「いつも『言われている』だな。スラクの旅のことを、信じてないのか?」 トゥポル:「彼は目覚めの時代※23に、ヴァルカンに論理をもたらしました。…しかし直筆の文書はもう存在しない。」 「記録ぐらいあるだろ。」 「信者が数世紀に渡り、文書を書き写してきました。」 「なるほどな。…オリジナルがなくなった以上、正しい解釈はわからないと?」 「…おかしいですか?」 「いや、よくわかるよ? 先を急ごう。」 歩き出す 2人。 夜のフォージ。空中に白い軌跡が見え、音が響く。 アーチャー:「飛行機は飛べるのか。」 トゥポル:「干渉フィールドがあるのは、地上 2、300メートルまでです。…パトロール機が飛べても、センサーで探知はされません※24。」 「格好の隠れ場所だな?」 水を飲むアーチャー。 トゥポルは一点を見つめた。「…何かいます。」 獣の鳴き声。 アーチャー:「何の声だ。」 トゥポル:「セーラット※25です、走って!」 トゥポルを追うアーチャー。 その背後に、巨大な動物が近づいてくる。 トゥポル:「上に登って!」 山を登る。「高いところなら安全です!」 トゥポルを手助けするアーチャー。 セーラットはこちらをうかがうが、登ってくる気配はない。 アーチャー:「ずーっとあそこで待ち構えてる気か。」 トゥポル:「少なくとも、数日は。…かなりしつこい動物です。私も小さい頃飼っていました。」 「ペットになるのか。」 「しつけるんです。これよりは少し、小さかった。」 「『少し』って?」 「…ポートスぐらいです。」 「ポートスは餌が遅れても私を食べはしないぞ。」 「餌の時間が遅れるということはありません。」 「…だろうな。」 モニターを見るフロックス。「船長に DNA の再検査を命じられました。真相を確かめたいと。」 タッカー:「おかしいところがあるのか。」 「フーン、見て下さいこの染色体。…こっちもだ。」 リード:「どうおかしいんです?」 「これはテロメアといって、細胞の年齢がわかる。分裂する度に短くなるんです。」 タッカー:「そうか、長さで年を判断できるわけだ。」 「フーン、トゥパウの標準年齢は 32歳※26ですがこの DNA は生後 2、3ヶ月のものです。」 「…生まれたときに、記録として取ったものを使ったのか。」 「その通りです。真犯人はトゥパウではありません。」 「船長は彼女を捜してるぞ。」 リード:「でも知らせる術はありません。」 「…ちょっと見てくれ。」 医療室のコンピューターを操作するタッカー。「大使館の防犯カメラの映像だ。」 ゲート部分の映像が映っている。 リード:「保安日誌を見ましたが、トゥパウの網膜スキャンの記録がありました。」 フロックス:「それも犯人の偽造ですね。」 タッカー:「ここだ。」 フードを被った人物が入っていくが、後ろ姿だ。「守衛がこいつの顔を見てる。この守衛は、ここのベッドだ。」 「…アスクイズ伍長※27?」 「爆弾犯を知ってる唯一の証人なんだ。」 「重体ですよ、頭部に大きな損傷を負って昏睡状態です。」 ため息をつくタッカー。 リード:「何か薬で刺激を与えれば、起こせるでしょう。ほんの 2、3分でいい。」 フロックス:「無理です、人間の身体には到底耐えられない。」 タッカー:「身体は起こさなくていいんだ。心の中を知りたい。」 まだセーラットが鳴いている。 アーチャー:「…いつかホシに聞かされた、クリンゴンのオペラを思い出す。」 別の方からセーラットらしき声が聞こえた。髪が伸びたヴァルカン人が、口に手を当てて出している。 セーラットは走り去っていった。 ヴァルカン人:「もう大丈夫だ。」 アーチャー:「見事だな。」 「地球人か。」 「ジョナサン・アーチャー。」 「相棒はヴァルカン人か?」 トゥポル:「トゥポルです。」 「面白い。」 山を下りるアーチャー。「あなたの名前は?」 ヴァルカン人:「アレヴ※28。」 トゥポル:「『砂漠の風』ですか。」 アレヴ:「…そうかな。…ここで何してる。」 アーチャー:「そちらこそ何を。」 「私は悟りを開くための旅をしている。君たちは。」 「スラクの論理を知るために巡礼の旅をね。彼女は師匠だ。」 「…彼女が一緒に来るのは構わない。だが地球人には危険すぎる。帰ることだ。」 「そうはいかない。…私もついていく。」 「『フォージ』とは鉄を鍛える場所。君を試し、君を滅ぼす。」 ついていくアーチャーとトゥポル。 昼になり、高台から下の地形を見下ろすアレヴ。「血の平原※29だ。…かつては戦争で緑の血に染まっていたというが、スラクがその争いを…論理で鎮めた。」 歩いていく。 トゥポル:「船長、照り返しが辛いのでは?」 帽子を被り、サングラスをつけているアーチャー。「辛かろうが何だろうが、行くしかない。」 水筒を差し出す。 トゥポル:「水なしでも数日もちます。」 アーチャー:「この日差しじゃあ目をやられるぞ。」 サングラスを渡そうとする。 「…目は内まぶた※30で守られています。…ここで進化した種ですから。」 ため息をつき、再びサングラスをかけるアーチャー。 歩き続ける。 アレヴとトゥポルについていくアーチャー。 アレヴ:「いつからヴァルカンの論理を学んでる。」 アーチャー:「トゥポルに出会ってからだ。」 「…そうか、では聞こう。『論理は我々を混乱から文明へと導いたガイドである』、と説いた人物は?」 「初心者だ、教えてくれ。」 「では簡単なの。…キリ・キン・タの形而上学の第一法則※31は。」 「…ニュートンの、運動の第一法則※32ならわかる。きっと似たようなもんだろ。」 「ここへ来た理由を偽っているな。」 「……そっちは?」 「ヴァルカン人は嘘をつかん。」 「…最高司令部に行った※33が、ヴァルカンはかなり巧妙に嘘をつくぞ?」 「最高司令部はスラクの教えを信奉していない。だから地球人と手を組もうとする。」 歩いていくアレヴ。 トゥポル:「…特徴的な質問です。彼もシラナイトでしょう。…信用を得なければ、仲間に会わせてはもらえません。」 アーチャー:「じゃ方法は一つだ。」 また水を飲んだ。「知りたがっていることを教えてやる。…真実をな。」 「手遅れかもしれません。砂嵐です!」 音が響いてきた。背後に巨大な砂嵐が迫ってきている。 トゥポルに続き、走り出すアーチャー。 |
※19: IDIC 「イディック」と発音。TOS第62話 "Is There in Truth No Beauty?" 「美と真実」など ※20: The Forge 直訳すると「溶鉱炉、鍛冶屋」という意味。DS9第140話 "Change of Heart" 「至高の絆」で Vulcan's Forge として言及、当時の吹き替えでは「フォージの山」。また、初めて登場したのは TAS "Yesteryear" で、当時の吹き替えでは「砂漠 (実質的に訳出なし)」。Josepha Sherman と Susan Schwartz 作の "Vulcan's Forge" という小説もあります。原題 ※21: 原語では「ただの宇宙艦隊のデータモジュールですが」 ※22: ロサンゼルス北西のヴェントゥーラ郡にある、シミ渓谷北部の工業用地でロケ撮影 ※23: Time of Awakening TNG "Gambit, Part II" など ※24: 吹き替えでは「たとえセンサーを抜けられても、探知はされません」 ※25: sehlat TOS "Journey to Babel" より。当時の吹き替えでは「セレット」。TAS "Yesteryear" では登場していますが、正史で登場するのは初めて。もちろん CG ですが ※26: 2122年生まれということになり、TOS に登場した際は 145歳 ※27: Corporal Askwith ※28: Arev (マイケル・ヌーリー Michael Nouri) ※29: Plain of Blood ※30: inner eyelid TOS第29話 "Operation - Annihilate!" 「デネバ星の怪奇生物」より。当時の吹き替えでは「まぶたの内側」 ※31: Kiri-kin-tha's First Law of Metaphysics 答えは「実体のないものは存在しない」。前の質問 (答えは「ヴァルカンの女性哲学者ティプラナ・ハス」) と共に、映画 ST4 "The Voyage Home" 「故郷への長い道」の冒頭で、スポックの記憶テストに出てきたもの。当時の吹き替えでは「キリ・キン・タの形而上学の第一原則」 ※32: 慣性の法則。「物体は外部から力が加わらない限り、静止または等速度運動を続ける」 ※33: 原語では「最高司令部に対処した」。少なくとも劇中で描かれている限り、これまで実際に最高司令部を訪れたことはないはず |
エンタープライズ。 ベッドのそばに立つタッカー。「彼が唯一の証人です。」 ソヴァル:「昏睡状態にある上に地球人です。…精神融合は、健康な状態でも危険を伴う。今はとても。」 「精神融合のできるヴァルカン人は少ないそうですが、あなたなら誰か心当たりがあるでしょう。」 「たとえ技術をもつ者がいたとしても、そんな名誉を汚すような真似をするわけがない。」 フロックス:「精神融合はあまり、良く思われていないんです※34。」 タッカー:「こんな状況ですよ?」 ソヴァル:「…心を読んでも、犯人を示す証拠になどなりません。」 歩いていく。 「証拠ったって、DNA も結局偽物だった。」 「…確かな根拠が。」 フロックス:「あります。」 タッカー:「大使。…誰が遺伝子情報にアクセスできるのか知りませんが、何者かが真実を隠そうとしているんです。」 ソヴァル:「政府内に陰謀があると。」 フロックス:「43名を犠牲にするほどのね。」 タッカー:「試す価値はある。」 ソヴァル:「…わかりました※35。…私が精神融合しましょう。」 うなずくフロックス。 走るトゥポル。砂嵐からの電撃が付近を襲う。 アーチャーも遅れて続くが、転びそうになる。 トゥポル:「船長!」 アレヴが先で待っていた。「こっちだ!」 3人は岩の隙間に入る。 中は洞窟になっていた。 アレヴ:「手伝ってくれ。中まで入ってくる。」 岩を運ぶ。 入口を埋めていく。完全にふさがった。 アレヴはトゥポルが首からかけている IDIC に触れた。「これは。…どこで手に入れた。」 トゥポル:「母からです。」 「トゥレス※36か。」 「…シラナイトですね。」 「娘が地球の船にいるとは聞いた。」 「いつ話したんです。…無事なんですか。」 アレヴはアーチャーを見た。「プジェムの修道院の破壊に関わった地球人というのは君か※37。」 アーチャー:「だったらまずいか。」 「最高司令部は聖地でアンドリアを監視していた。君が暴露したわけか。」 「いろいろ知ってるようだな。じゃここへ来たわけもわかってるだろ。」 入口の向こうを砂嵐が通過していく。 アレヴ:「お母さんは仲間と、トゥカラス・サンクチュアリ※38にいる。…遠くはない。この嵐が収まったら案内しよう。」 エンタープライズ。 ソヴァル:「地球人と融合したという前例は、聞いたことがないが。」 医療室のベッドで眠ったままのアスクイズの顔に、手を置く。 すぐ後ろに立っているタッカーを見るソヴァル。タッカーは離れる。 ソヴァル:「…我の精神は、汝の精神に。互いの精神は解け合い、一つになる。…いいぞ。」 アスクイズの記憶に飛んだ。 ソヴァル:「伝わってきた。大使館だ。」 手元のコンソール。 ソヴァル:「私はそこで、君は入口に。」 ゲートを通っていく人々。 ソヴァル:「サミットで人々が集まった。大勢いる。全員はわからないが…」 アスクイズに挨拶する人。 ソヴァル:「中には、知る顔も。」 宇宙艦隊の士官。 箱を持った人物。 ソヴァル:「…この箱か。」 その人物は近づいてくる。 ソヴァル:「そこに、見なくてもわかる。その先へ。」 ゲートを抜けるフードの者。 ソヴァル:「お前は。何者だ。」 相手はこちらの方を向いた。 急にアスクイズから手を離すソヴァル。息をつく。 タッカー:「大使。」 ソヴァルは声を上げる。 タッカー:「犯人は。」 器を受け取るトゥポル。 アーチャー:「この嵐は、あとどのくらい続くんだ。」 焚き火のそばにいる。 アレヴ:「…明日か、もしくは明後日まで続くかもしれん。…心配はない。急ぐわけでもなし。」 「ところが急ぐ。」 トゥポル:「…最高司令部は、爆弾犯がシラナイトだと考えています。」 アレヴ:「ポリシーに反する。」 アーチャー:「そうは思われてない。…スラクの教えをねじ曲げた形で解釈していると。」 アレヴは笑った。「お母さんから説明は?」 トゥポル:「…IDIC の?」 「『無限の組み合わせでの無限の多様性※39』の象徴。だが真の意味はもっと深い。」 IDIC を受け取るアレヴ。「教えでは IDIC のストーリーに終わりはないが、起源はこのセレヤ山※40にある。」 メダルを指差す。 「スラクはセレヤ山で亡くなったと。」 「肉体はな。…だがカトラ※41は別の場所へと召された。…猛鳥の翼をくぐり、粗暴の道を帰ろうとした…暴君たちとの決戦を前にな※42。」 アーチャー:「『カトラ』というのは。」 アレヴはトゥポルを見る。 トゥポル:「シラナイトたちの言う、ヴァルカン人の精神の『核』です。死を前に、カトラは肉体を離れ別の形で存在し続けると。」 アレヴ:「スラクのカトラはシラナイトと、共にあると考える者も。…融合すれば、スラクの心に触れられる。」 アーチャー:「…シラナイトは精神融合を?」 「スラクの教えだ。ヴァルカン人の財産だよ。」 トゥポルを見るアレヴ。「価値を認めない者にとってもな。」 会議室のステル。「証人がいたと?」 タッカー:「守衛が爆弾を持ち込んだ犯人の顔を見ていたんです。」 「犯人はシラナイトのトゥパウだ。」 ソヴァル:「違う。」 フードの人物の記憶。 ソヴァル:「犯人はあなただ。」 ステル:「…私がその『証人』と直接話をしましょう。」 タッカー:「彼には近づかせません。」 ヴラス:「それでは、私が話を聞こう。」 フロックス:「話せる状態ではありません。…昏睡状態だ。」 「まさか…犯人を見たと証言したのではないのかな。」 タッカー:「…記憶を直接覗いたんです。精神融合で。」 すぐ後ろを向くヴラス。 ステル:「テレパシーでは根拠が不十分だ。」 ヴラス:「到底証拠になどならん! …君がついていながら、そんな下らんことをさせたのか。」 ソヴァル:「私がやりました。」 「…ソヴァル。君はヴァルカンの恥だ。何たることを。覚悟しておくことだな。最高司令部へ出頭し、しかるべき措置を受けてもらう。…それでは、失礼。」 水を飲むアーチャー。 アレヴ:「最高司令部は宇宙探索にのみ責任を負う機関だったが、過去の話だ。」 アーチャー:「ヴァルカン人は探索はしないと聞いたが?」 「間違ったことを教えられているようだ。」 音が響き、入口の岩が吹き飛んだ。離れる 3人。 アレヴ:「穴をふさぐんだ。」 アーチャーも岩を運ぶ。 だがトゥポルが電流で吹き飛ばされた。 アーチャー:「トゥポル!」 |
※34: ENT第40話 "Stigma" 「消せない汚名」より ※35: 原語では "The needs of the many." 「多数の要求ですね」。「多数の要求は少数の要求に優先する」というヴァルカンの格言より (映画 ST2 "The Wrath of Khan" 「カーンの逆襲」、ENT第74話 "The Council" 「評議会の分裂」) ※36: T'Les ENT "Home" では名前は設定にあるだけで、言及されていませんでした ※37: ENT第7話 "The Andorian Incident" 「汚された聖地」、第15話 "Shadows of P'Jem" 「恩讐を越えて」より。吹き替えでは「プジェムの修道院を破壊した地球人というのは君か」、その後のセリフでも「君が爆破したわけか」と訳されています。エンタープライズは秘密を暴いただけで、直接破壊したのはアンドリア人です ※38: T'Karath Sanctuary TNG "Gambit, Part II" より。そのエピソードで「最後の内戦の時にある派閥が地下の要塞として使っていた、何百年も放置されたまま」と言及されています。当時の吹き替えでは「タカラス神殿」 ※39: "Infinite Diversity in Infinite Combination" 略して IDIC ※40: Mount Seleya 映画 ST3 "The Search for Spock" 「ミスター・スポックを探せ!」より。ENT第57話 "Impulse" 「幽霊船」でヴァルカン船セレヤが登場 ※41: katra 映画 ST3 "The Search for Spock" 「ミスター・スポックを探せ!」など ※42: 吹き替えでは「粗暴の道を帰ろうとした」でセリフが区切られているために、その部分はスラクのカトラについて言っているようにも聞こえますが、実際は「暴君」にかかります。「猛鳥」「粗暴」と来て、ヴァルカンと決戦する者と言えば… |
うめくトゥポルに近づくアーチャー。「大丈夫か、しっかりしろ。」 アレヴ:「まずい、嵐が強まってきた。」 外をうかがう。 その時、アレヴも電撃を浴びてしまった。倒れる。 アーチャーが近づく。「アレヴ。」 アレヴの顔に緑の血が見える。「君が、サンクチュアリへ届けてくれ。」 アーチャー:「何をだ。」 アレヴは手をアーチャーの顔に伸ばした。声を上げ、白目を剥くアーチャー。 アレヴ:「トゥルク、トゥー。…ヴォカウ。」 叫ぶアーチャー。 廊下を歩くタッカー。「いいんですか?」 ソヴァル:「考えはあります。ヴラスが関与していたことは読めました。彼がシラナイトを、犯人に仕立てた。」 「じゃなぜ抵抗しないんです。」 「最高司令部へ、直々に掛け合うにはこうするしかない。」 「全員グルだったら?」 無言でエアロックに入るソヴァル。 タッカー:「地球とヴァルカンの協力を本当に望むなら、まずは私達を信じて下さい。」 ソヴァルはため息をつき、ヴァルカン・サインをした。「では、平和と長寿を※43。」 ドアが閉まる。 タッカー:「そうかい。」 アーチャーは目を覚ました。汗をぬぐっていたトゥポル。 アーチャー:「アレヴは。」 トゥポルの視線の先には、倒れたままの遺体。 アーチャーはそれを見て、起き上がった。 トゥポル:「お怪我は。」 アーチャー:「大丈夫だ。…アレヴが、ヴァルカン語で何か言ってた。…『ヴォカウ※44。』」 「『忘れるな※45。』 何をです。」 「その時、顔をつかまれた。…嵐はやんだか。」 外は静かになっているが、音が聞こえる。 トゥポル:「パトロール機が飛んでいます。どうやら、こちらへ向かってくるようです。」 アーチャー:「…トゥカラス・サンクチュアリはここから、遠くないと言ってたな。先へ進もう…。」 「彼を埋葬してから。」 「うん。」 夜のフォージを進む 2人。 音が聞こえてきて、空に航跡が見えた。 アーチャー:「網目状にパトロールしてるな。センサーは使えなくても、目視はできるだろ。日の出前に隠れ場所を探そう。……あっちだ。」 トゥポル:「…何もありません。」 「シラナイトたちがいる。」 歩き出すアーチャー。 「なぜわかるんです。」 山を下るアーチャーとトゥポル。トゥポルは水筒を差し出した。 アーチャー:「あと 2、3日はもつ。」 トゥポル:「船長、ヴァルカン人ではないんです。」 「…そうか。」 アーチャーは水を飲んだ。 「日が昇ります。…隠れる場所を見つけないと。」 「待て。そこだ。」 アーチャーはそばの岩に近づいた。 トゥポル:「そんな岩では。」 アーチャーはそのまま進んだ。岩を突き抜け、中に消える。 トゥポルも映像の壁を通り抜けた。 洞窟の中には人工的な柱が見える。 アーチャー:「抵抗するな。」 トゥポル:「…何にです?」 すると、何人もの人物が現れた。2人を拘束する。※46 |
※43: "Live long and Prosper." 「長寿と繁栄を」の誤訳ではなく、原語でも "Peace and long life." と言っています。「長寿と繁栄を」と対になって、2人の片方が使う場合があります (TNG第107話 "Unification, Part I" 「潜入! ロミュラン帝国(前編)」) ※44: "Vokau." ※45: "Remember." 映画 ST2 "The Wrath of Khan" のラストで、スポックがマッコイの顔に手を触れて言ったセリフと同じ (ただし当時の吹き替えでは「お別れです」) ※46: その他の声優は植倉大、高階俊嗣、武虎 |
To Be Continued... 次回へつづく
感想など
4話前に続いてヴァルカンが出てきましたが、今回は新たなストーリーの第一話として、見事に引き込ませてくれました。それもそのはず、ウィリアム・シャトナーとの共作やノンフィクション本を含め、作家として活躍するジュディス&ガーフィールド・リーヴス・スティーヴンスによる脚本です。この夫妻はスタッフとしても今シーズンから加わっています。 小説家を脚本家として取り込むのはある意味禁じ手、最後の手段とも言えますが、これまで描き尽くされたであろうヴァルカンという素材を昇華させているのはまさにお見事。以前のシリーズのネタもこれまでになく多量にありますが、足かせになるどころか上手に取り入れています。結局過去だろうが未来だろうが、脚本家の腕次第ってことなんでしょう。 パイロット版から登場し、単なる上司像から脱却していたマクスウェル・フォレスト提督があっさり死んでしまうのは残念でした。日本語版に関しては、吹き替え音声と周りの音楽・効果音のバランスが取れてなかったようです。今までの第4シーズンになかった「次回へつづく」というテロップがあったり、まるで製作会社が違うような印象さえ受けます。また今回に限らず、以前のエピソードとは固有名詞の訳が異なるケースが多いですね。原音とかけ離れた訳 (「パオ」など) は別にしても、ある程度は統一してもらわないと視聴者がつながりに気づかなかったり、資料作りに関しても面倒なことになったりしますので。今は DVD もあることですし…。 |
第82話 "The Augments" 「野望の果て」 | 第84話 "Awakening" 「陰謀の嵐」 |