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ヴォイジャー 簡易エピソードガイド
第129話「果てしなき疑惑」
The Voyager Conspiracy

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・イントロダクション
第2貨物室のボーグ・アルコーヴ。その中にナオミ※1が立ち、目をつぶっている。
貨物室にセブンが戻ってきた。「ナオミ・ワイルドマン。貨物室で何をしている。」
「セブンを待ってたの。カディス・コット※2の時間よ。週に一度の。」
「忙しいので、明日に変更する。」
「お部屋を直してるの?」
「見た目は関係ない。アルコーヴを皮質処理サブユニット※3として機能するようにしている。」
「そうだろうと思ってた。」
「ではこれ以上説明する必要はないな。」
「OK。私の負け。それで何するの、その皮質処理…うーん。」
「サブユニットだ。ボーグ船には各ユニマトリックスにあって、新しい同化データをドローンにダウンロードする。」
「でもヴォイジャーはボーグ船じゃないし、セブンはもうドローンじゃない。」
「ヴォイジャーは膨大な情報を収集している。センサースキャン、航行画像情報、技術的情報、船外活動報告、科学分析情報。」 持ってきた部品をアルコーヴの隣にある機械に付けるセブン。続けて反対側のコンソールを操作する。
「カディス・コット・ゲームの勝敗も?」
「それもだ。クルーたちはこの情報を読み取り調査する。非効率的な作業だ。これらのデータノードが、アルコーヴに情報をダウンロードしている。」
「そしてセブンにダウンロードされるのね。」
「その通りだ。私はわずかな時間で、数ヶ月分のデータを同化できる。」
「いつか私も試したい。」
「おまえの生理機能は、私のものとは異なる。」
「ちゃんと勉強して、ニーリックスのお話をよく聞くって約束する。」
「もう自分の部屋に戻れ。」
「見てちゃだめ?」
何も言わないセブン。
「わかった。明日ね。」 ナオミは出ていった。
セブンはコンピューターを操作し、サブユニットを起動させた。アルコーヴに入る。データが処理されていく。

※1: ナオミ・ワイルドマン
Naomi Wildman

(スカーレット・ポマーズ Scarlett Pomers) VOY第127話 "Dragon's Teeth" 「亜空間制圧戦争」以来の登場。声: 永迫舞

※2: Kadis-Kot
盤上ゲーム。VOY第101話 "Infinite Regress" 「遥かなるボーグの記憶」に登場

※3: cortical processing subunit

・あらすじ
朝になり情報処理を終えたセブンは、2ヶ月前の情報から、船のエネルギーを巣食う虫が住み着いていることを発見し、確かにその通りだった。一方ヴォイジャーは、カタパルトと呼ばれる超ワープ航行が可能な巨大な装置と、それを発明した異星人に遭遇する。軽く 1,000光年はジャンプできるカタパルトを、共に修理することにした。カタパルトの情報をアルコーヴで得たセブンは、それが罠だとジェインウェイに訴えた。
セブンによれば、カタパルトは 5年前にヴォイジャーをデルタ宇宙域へ連れてきた、管理者による技術と同じテトリオンリアクターが使われているという。更にリアクターは、破壊したはずの管理者のアレイ型ステーションのものかもしれないというセブン。当時のステーションの爆発状況を調べたセブンは、リアクターへ向けてトラクタービームらしきものが照射されていることを発見した。交戦していたヴォイジャーとケイゾン船以外の、第3の船があったとセブンは推測する。データの同化を続ける。修理の終わったカタパルトを使い、異星人は旅立った。セブンはチャコティを一人だけ呼び出し、ヴォイジャーはデルタ宇宙域に故意に連れてこられたという驚くべき話をする。それも、ジェインウェイによって。
惑星連邦、管理者、カーデシアが結託し、デルタ宇宙域を侵略しようとしているというセブン。カタパルトはアルファ宇宙域からの船を引き入れるためのものだという。次々と証拠を挙げるが、それは偶然でこじつけに過ぎないというチャコティ。だがセブンはあくまで持論を主張する。異星人のカタパルトによるジャンプは成功した。次はヴォイジャーの番だが、チャコティはトレスに作業を遅らせるように密かに命じた。
セブンの話は信じないトレスだが、とりあえずチャコティに従う。またデータを分析したセブンは、今度はジェインウェイだけを呼び出した。チャコティがマキによる反乱を企て、カタパルトを使って連邦とカーデシアを攻撃しようとしているという。ジェインウェイは空想に過ぎないというが、セブンの証拠の列挙はとどまるところを知らない。
セブンのせいで、ジェインウェイとチャコティは対立しそうになるが、同じ証拠に二つの説があることに過ぎないと気づく。セブンはデルタ・フライヤーで無断で発進し、カタパルトへ向かった。アルコーヴを調べたドクターによれば、セブンは情報を詰め込みすぎ、無理に解釈しようとしていたことがわかった。ジェインウェイは転送でフライヤーに乗り込み、セブンを説得する。自分が故意にボーグに同化され、連邦へのボーグに関する情報提供のために利用されているのだと言い出すセブン。これまで一度もだましたことはない、信じて欲しいとジェインウェイは言う。人間に戻ろうとし、成長してきたこれまでのセブンについて語った。セブンは説得を受け入れ、カタパルトによってヴォイジャーは 3年の旅を短縮できたのだった。


・用語解説など
タッシュの船の中で、後ろの方に頭脳集団の一員の人工知能らしき置物が… (VOY第114話 "Think Tank" 「頭脳集団クロスの陰謀」に登場)。恐らく単なる使い回しでしょうが…

珍しく過去のエピソードの映像や言及が大量にあります
「…ヴォイジャーは干渉性テトリオンビームにロックされ…」 他多数
第1・2話 "Caretaker, Part I and II" 「遥かなる地球へ(前後編)」 (映像あり)
「(管理者に会った) 2度目は殺されかけたわ」
第26話 "Cold Fire" 「管理者サスピリア」
「宇宙暦 51008: 艦長はケスにヴォイジャーを去る許可を出す」
「宇宙暦 51030: 艦長は私の身体からインプラントを抜き取り…」
第70話 "The Gift" 「ケスとの別れ」 (後者は映像あり)
「宇宙暦 51462: ドクターのプログラムがアルファ宇宙域周辺にある宇宙艦隊の船に送信」
第82話 "Message in a Bottle" 「プロメテウスの灯を求めて」
「宇宙暦 50984: ジェインウェイはボーグとの同盟を捏造」
「ボーグ・スペースに到達した時、艦長はボーグ集合体と協定を結ぶ」
第68話 "Scorpion, Part I" 「生命体8472(前編)」 (後者は映像あり)
「宇宙暦 50762 (※原語では 51762 だが明らかに誤り): ヒロージェンと停戦合意」
第87話 "The Killing Game, Part II" 「史上最大の殺戮ゲーム(後編)」
「宇宙暦 48658: セスカ司令官 (※:中尉と誤訳) はカーデシアのスパイと判明する」
第11話 "State of Flux" 「裏切り者」
「(セスカは) 自分でチャコティの DNA を注入した」
第27話 "Maneuvers" 「ケイゾンの謀略」
「宇宙暦 32611: 惑星連邦はボーグ研究のために私の両親を送った」
第109話 "Dark Frontier, Part I" 「ボーグ暗黒フロンティア計画(前編)」 (映像あり)
「宇宙暦 51652: 艦長はセブンに社会性を身につけるように促す」
第84話 "Prey" 「超獣生命体VS狩猟星人」
以下は以前のエピソードでは言及されていません

「宇宙暦 52861: ターケリアとの不可侵条約締結」
「宇宙暦 49522: チャコティはコハリとの貿易関係を築くよう奨励する」
「宇宙暦 52840: 艦長はセブンに両親の日誌を読むことを命じる」
(第109話 "Dark Frontier, Part I" 「ボーグ暗黒フロンティア計画(前編)」に似たようなシーンがありますが、宇宙暦が違う?)
「宇宙暦 52841 (52842 の間違い): 艦長は初めて、セブンに感謝される」


最後にカタパルトを使って進んだ距離が、「30セクター (1セクターは約20光年なので約600光年)」で、かつ「3年分 (これまでの計算では約3,000光年)」と明らかに矛盾しています。Star Trek: The Magazine 第14号の記事中では、何らかの原因でヴォイジャーの進行速度が遅くなったと考え、600光年の方を採用しています

タッシュ
Tash
(アルビー・セルズニック Albie Selznick TNG第120話 "Cost of Living" 「ラクサナの結婚」のジャグラー、VOY第54話 "Macrocosm" 「巨大ウィルス」のタクタク長官 (Tak Tak consul) 役) カタパルトを造った異星人。種族名不明。声: 宗矢樹頼

Kクラスの星雲
class K nebula
コウシノミ
光子蚤 photonic flea
セクター492
Sector 492
カーテラン貨物船
Kartelan freighter
アンバー・スパイス
amber spice
カタパルト
catapult
Star Trek: The Magazine 第14号の「推進システム」特集の中で、「亜空間カタパルト (subspace catapult)」として取り上げられています
イプシロン放射
epsilon radiation
テトリオンリアクター
tetryon reactor
ジャンカタ協定
Jankata Accord
"No species shall enter another quadrant for the purpose of territorial expansion." 「どの種も領域拡大の目的で他の宇宙域に侵入してはならない」
ターケリア
Terkellians
コハリ
Kolhari

・感想
スタートレックのファンは、よく細かいところをチェックしていろいろな解釈をしたりしますが、それを逆にストーリーとして作り上げた感じですね。最初からヴォイジャーを観ているファンへのサービスとも言えると思います。データを無理に詰め込もうとしても、初めからアンドロイドであるデータとは違い、結局はセブンも人間だったということになるでしょうか。
ですがあまりにも突拍子のないセブンの推測はちょっと…。悪徳検事みたいです。ブラックコメディとして落とすのでもなく、かといってクルー間の深い不信感を生み出すというまでにも至らず、という半端なままで終わってしまいました。
「今週の(?) CGI」のカタパルトですが、肝心なヴォイジャーの飛行を観られなかったのは残念。ところで…カーデシア戦艦が消えたのはなぜ? トラクタービームは一体? これもセブンの機能不全のせいにされるんでしょうか…。


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