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映画ガイド
第8作「ファースト・コンタクト」(2)
Star Trek: First Contact

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[その1 | その2 | その3]

・12. 原始的文化
地上でそれぞれ活動する人々。
酒場では、大音量でロック音楽「ウービィ・ドゥービィ」※1が鳴り響く。酒とグラスが置いてあり、トロイが肘をついている。
ライカーが来た。「ディアナ。…ディアナ! ディアナ!」
気づくトロイ。「待って、抜いたりしちゃダメ!」
ライカーが音楽を止めるためにコードを取った直後、瓶が飛んできた。
リリーと一緒にいた男だ。「誰だこの野郎は。」
コードを離すライカー。
男:「俺が聴いてる曲を止めやがって。」
トロイ:「ウィル・ライカーよ。ゼフレム・コクレイン※2博士。」
コクレイン:「…あんたの友達か?」
「そうよ?」
「亭主か。」
「いいえ!」
「よかった。…これはな、ディーナ…」
「ディアナよ。」
コクレインはコルクを歯で抜いた。「これは…いい酒だぞう?」
ライカー:「コクレイン博士。」
黙るように口を鳴らし※3、トロイと乾杯するコクレイン。「フェニックスよ、安らかに眠れ。」
とても強い酒らしく、2人とも大きな反応を見せる。咳き込むトロイ。
コクレイン:「そんなに、いい酒じゃねえや。」 後ろに投げ捨て、瓶が割れた。歩いていく。
トロイ:「ウィル、ほんとのこと話すべきよ。」
ライカー:「しかし時間がないことはわかってる…」
「時間が何さ! 今は時間について議論してる時じゃないでしょう? 第一もう時間がないんだから! ……私何て言った?」
「酔ってるな?」
「酔ってません。」
「いいや酔ってる。」
「あのねえ…彼は口も聞かなかったのよ、私が一杯飲むまで。それでこの…『テキーラ※4』とかいうのを 3杯飲んだら、彼が探してたコクレインだってわかったわけ。ここ 20分は触ってくる彼の手を払いのけるので大変だった! なのに私のカウンセリング技術にあれこれケチをつけないでよね!」 ライカーをつつくトロイ。
笑うライカー。「悪かった。」
トロイ:「…ほんと原始的な文化。」 別の席に連れて行こうとするライカーから、無理矢理離れるトロイ。「私はただ溶け込もうと努力してるのよ!」
「十分溶け込んでるよ。」
「一応それらしい話をしたけどコクレインは信じてくれなかったわ。」
「もう時間がないんだ。ほんとのことを言っても彼に理解できるか?」
コクレインが戻ってきた※5
トロイ:「船のカウンセラーとしてプロフェッショナルな意見を言わせていただきますとね、彼は変人よ。」
ライカー:「それは僕の日誌に書き留めておこう。」
コクレインはコードをつなぎ直し、ジュークボックスを叩いた。また音楽が始まる。
寝ていた客が顔を起こした。踊り始めるコクレイン。
トロイはテーブルに顔を突っ伏した。あきれるライカー。
コクレインは笑いながら踊る。


※1: "Ooby Dooby"

※2: Zefram Cochrane
(ジェイムズ・クロムウェル James Cromwell TNG第59話 "The Hunted" 「恐怖の人間兵器」のネイロック (Nayrok)、第142・143話 "Birthright, Part I and II" 「バースライト(前)(後)」のジャグロム・シュレク (Jaglom Shrek)、DS9第80話 "Starship Down" 「ディファイアントの危機」のハノック長官 (Minister Hanok) 役。映画「ベイブ」(1992) でアカデミー助演男優賞にノミネート。その他「L.A.コンフィデンシャル」(97)、「将軍の娘/エリザベス・キャンベル」「ザ・ディレクター [市民ケーン] の真実」(99)、「RFK/もうひとりのケネディ」(02)、「アイ, ロボット」(04)、「大草原の小さな家」、「ダラス」、「ER 緊急救命室」、「シックス・フィート・アンダー」、「ザ・ホワイトハウス」などに出演。今作にはオーディションで選ばれました) TOS "Metamorphosis" 以来の登場、俳優はグレン・コーベット (既に 1993年1月に死去) から変更。その際に設定された 2030年生まれ (つまり現在 33歳) にしては年取っており、見た目も全く異なるのは、放射能汚染のため、または TOS ではコンパニオンが若くした、もしくは自分好みの姿にしたからという説 (?) があります。ENT第1話 "Broken Bow, Part I" 「夢への旅立ち(前編)」にも登場。映画のエンドクレジットでは "Zefram Cochran" になっています。当初はトム・ハンクスもコクレイン役に挙がっていましたが、「すべてをあなたに」(96) での監督と重なったために候補から外れたという話もあります。声:坂口芳貞

※3: 吹き替えでは、この「チッ」という音が入っていないようです

※4: tequila

※5: このシーンで、酒場に飾られている NASA のミッションエンブレムが見えます。左側は宇宙ステーション・スカイラブ、右はディスカヴァリー (STS-33)。ほかにもコロンビア (STS-52) のもあるそうです。このバーの名前は "Crash-n-Burn" という設定で、外にはモンタナ空軍基地の標識があり、アメリカ空軍宇宙司令部のロゴ、52個の星がついた星条旗 (TNG第38話 "The Royale" 「ホテル・ロイヤルの謎」) が含まれるそうです

・13. 第16デッキ“やられるな!”
エンタープライズ。
廊下を進むピカードたち※6

ウォーフも別の道を先導する。

それぞれ保安部員を引き連れている。

データは床のハッチを開けた。

ウォーフも下をフェイザーのライトで確認する。降りた。

下に降り、フェイザーライフルを受け取るピカード。保安部員が続く。

立ち止まるデータ。廊下の壁がボーグ艦のように改造されている。
合図するデータ。「…艦長。今のこの感じが、不安ですね。急き立てられるような感覚で、とても胸が騒ぐ…」
ピカード:「データそれは素晴らしい体験だろうが、今はエモーションチップ※7のスイッチを切っといた方がいいんじゃないか。」
「…それは名案ですね。」 データはわずかに首を傾けた。「完了。」
「データ、時々君がうらやましくなる。」

進むウォーフたち。
突然脇のハッチが開いた。一斉にフェイザーが向けられる。
クラッシャー:「やめて、私よ!」
ウォーフ:「ドクター、無事でしたか。」
「ええ。でも怪我人がいるの。」
「ロペス※8、みんなを第14デッキへ。」
「一人はぐれたの。21世紀の女性で一般市民なのよ。」
「探しておきます。」
「お願い、彼女には何が何だかわからないはずよ。」

ピカードは気づいた。廊下の端に人影が見える。
そしてボーグが、クルーを引き連れ歩いていく。クルーはこちらに気づくが、特に逃げるような素振りは見せない。
こちらを見るボーグ。その目にピカードたちが映る。
ピカード:「武器を降ろすんだ。危険と思わなければ攻撃してこない。」
2体のボーグは、そのまま歩いていく。後を追うピカード。
ボーグはそれぞれアルコーヴに入った。あちこちにボーグの姿がある。
どれも再生中だ。

ウォーフもボーグたちの中を進む。
合流した。
ドアを見るピカード。「マニュアルリリースだ。」 「機関部」と書かれている。
ピカード:「ウォーフは、ここを頼む。」
脇のロックを解除するデータ。
コンピューター※9:『マニュアルリリースを作動します。』
保安部員にも合図するピカード。うなずいた。
データはレバーに触れるが、そのまま抜き取ってしまった。
ピカード:「仕方ない、ノックするか。」
ボーグが起動を始めた。アルコーヴを降りる。
ピカード:「データ。」
腕を動かし、こちらを見るボーグ。
上からも飛び降りてくる。
ウォーフのすぐ後ろのボーグも動き出した。「フェイザー用意!」 殴り倒し、撃ち始める。
保安部員やデータも撃っていく。
ピカード:「データ、援護しろ。」
ピカードは床の近くのパネルを開け、操作する。
ウォーフのフェイザーが効かなくなった。「艦長、もう適応されてしまいました。」 銃で殴る。
回路に火花が飛び、機関部のドアが開いた。ボーグが待っている。
ピカードを殴ろうとし、つかみかかってくる。後ろからデータが引き離し、ボーグの首を折った。
身体を震わせ、倒れるボーグ。
倒される保安部員も出始めた。
ピカードに近づくボーグを、その力で離すデータ。
上ろうとした保安部員が、ボーグに落とされた。代わりに上っていく。
データはボーグの身体を投げ、他のドローンとぶつからせる。
ピカード:「第15デッキに撤退。みんな気をつけて行け!」
まだドアのそばにいたデータは、脚をつかまれた。倒される。「艦長!」
保安部員が上っていくのを見ていたピカード。「データ!」
引きずり込まれるデータ。ハッチが閉まった。
上の階へ上っていく一同。ピカードもボーグから逃げる。

ハッチを開けたクルーが、後ろからボーグにつかまれた。
全く抵抗できず、ボーグの指から伸びた 2本のチューブが首元に突き刺さる。
倒れるクルー。次々とボーグが来る。
ピカード:「こっちだ!」 道を作り、ピカードも入ろうとする。
声が聞こえた。「艦長。…助けて。」 チューブを刺された保安部員※10だ。「お願いです、助けて…。」
顔が黒く変色していく。
ピカードはフェイザーを向け、撃った。絶命するクルー。
ピカードは中に入り、ハッチを閉めた。すぐにボーグが腕についた回転ノコギリで切り始める。
ジェフリーズ・チューブを進むピカード。道が分かれている。
その時、後ろから羽交い締めにされた。フェイザーを落とす。
リリーが拾った。
ピカード:「君、何でこんなところへ。」
リリー:「近づくな!」
「落ち着くんだ。」
「黙んな! …あんた誰よ。」
「私はジャン・リュック・ピカードだ…」
「名前より、あんたどこの手先。派閥はどこよ。」
「私は ECON※11 の手先ではない。いいか、今は…」
「黙れって言ってんでしょ! 誰でもいいから私をここから出して。今すぐ!」
「…そいつは難しいな。」
「難しくても何でもやってもらわないと、こいつのボタンを押してやるからね!」
「わかった! …ついてこい。」
「ゆっくりよ!」


※6: この辺りのシーンでは、武器庫で手にしたもの (先端が円錐状) とは違う種類のフェイザーライフルになっています (先端が平たい)。ただしボーグと遭遇するシーンで、元に戻ります。今作ではもう一種類のタイプが使われており、それはディフレクター盤のシーンで使われているものと思われます

※7: emotion chip
TNG第77話 "Brothers" 「永遠の絆」など。前作 "Star Trek: Generations" 「ジェネレーションズ」で装着して戸惑っていましたが、この時点で制御できるようになっているようです

※8: Lopez
エキストラ

※9: 声はアイガー役の沢海さんが兼任

※10: Security Officer
(スコッティ・ストロジアー Scott Strozier) 一部資料では脚注※38 のリンチ少尉と同一視していますが、顔が違います (そもそもボーグになっていたら、ここで殺した意味がありません)

※11: 原語では略さない形の「東部連合 (Eastern Coalition)」

・14. 不完全生命体
データは目を開いた。床しか見えない。
拘束されている。その台が回転し、ボーグがそばにいた。
ワープコアが見える。たくさんのボーグも。
180度回転した。ボーグがコンソールを操作しているのが見える。
だが「アクセス拒否」と表示されていた。
データ:「その暗号を破ろうとしても、無駄な労力を費やすだけだ。私を集合体に改造しようとするのもね。」
女性の声が響いた。『勇敢な言葉だ。そのような言葉は何千もの世界の何千もの種族から、お前が創られる以前から聞かされてきた。だが今は、みなボーグになった。』
データ:「私のような生命体に遭遇したことはないはずだ。私の神経網にある暗号は、強制的には動かせないよ。」
『お前は不完全な存在に創られた不完全な存在だ。弱点を見つけることなぞ単に、時間の問題に過ぎない。』
機械の音が聞こえた。データの頭の右側に、2本のドリルが迫る。
穴を開け始めた※12


※12: この穴は、後のシーンでは見当たりません。埋めたのでしょうか?

・15. 未来を覗く
笑うコクレイン。「つまりあんたの言ってるのはこういうことなんだな? 中佐。未来の人工生命体が人類をだ、滅ぼすために過去へ来た。であんたたちはそれを、止めに来たってんだな?」
ライカー:「その通りだ。」
「よく言うよなあ。カッコつけちゃって…。」
「ちゃんとその証拠もある。…ジョーディ。」
トリコーダーを使いながら、望遠鏡を覗いているラフォージ。「見つけましたよ。いやあ綺麗だ! どうぞ。見て下さい。」
コクレイン:「そりゃそりゃそりゃ…何が見えるんだ、ヘヘ…。おりゃ、覗きは大好きでね。」
エンタープライズが軌道を周回しているのが、小さく見えた。
目を離すコクレイン。顔を見合わせるトロイたち。
コクレイン:「ヘヘ…すげえトリックだ…。…どうやったんだよ。」
ラフォージ:「あなたの望遠鏡でしょ?」
トロイ:「あれが私達のエンタープライズよ?」
もう一度見るコクレイン。「…で何だ、リリーはあそこにいるってか。」
トロイ:「そういうこと。」
「リリーと話せるか。」
ライカー:「いや、なぜかわからないが連絡が途絶えてね。」
「…それで、俺に何をしろってんだ。」
「簡単だ。計画通り、明日の朝ワープ船を打ち上げてくれ。」
「何で明日の朝なんだ。」
「……なぜなら、明日午前11時に異星人の船が太陽系を通るからだ。」
「異星人ってそりゃ、宇宙人のことか。悪い奴らか。」
トロイ:「いい奴らよ。ただの調査隊で地球には何の興味もないの。原始的すぎるから。」
「ああ。」
ライカー:「博士。明日あなたの船のワープサインに気づいた彼らは、人類がついに光速より速い推進法を発見したのを知って、コースを変えて地球に向かい人類とファースト・コンタクトをするんです。」
「ここで?」
ラフォージ:「正確に言うと、あそこですけど。」
ライカー:「人類の歴史に残る重大な瞬間なんです! どうしても彼らとファースト・コンタクトしてくれないと、コンタクトの後は…全てが変わっていくんです。」
「あなたのワープ理論に基づいて宇宙艦隊が設立され、人類は銀河探索に旅立つんですよ。」
トロイ:「宇宙にほかの生命体がいることを知った人類は争いをやめ、人類としての一体感をもつようになったの。貧困や疫病や戦争は、次の 50年間で消えてしまうのよ。」
ライカー:「しかし明日の朝 11時15分までに船を打ち上げなければ、全てが起こらない。」
コクレイン:「…じゃあんたたちは全員、宇宙飛行士。ああ…星々を探検 (star trek) する※13。」
ラフォージ:「ねえ博士、なかなか飲み込めないのはわかりますけど、もう時間がないんですよ。あなたの力がいるんだ。」
ライカー:「…やってくれますか。」
コクレインは立ち上がり、空を見た。「やってやるさ。」
微笑むライカー。

ボーグが突き進む。フェイザーを調整しようとする保安部員※14
発射されず、後ろからボーグにつかまれる。

ほかの保安部員が撃ったフェイザーも、すぐに適応される。

無抵抗で連れて行かれるクルー※15。保安部員※16のほか、既にボーグの一員となったクルーが何人もいる。
台の上で、光を当てられる士官。腕の先が切り取られており、そこに機械の腕がつけられる。
機械の瞳の上に、さらに部品が取り付けられる。

まとまって行動する保安部員。一人が持ってきた装置をドアにつける。
中に突入する。暗闇の中で、ボーグが発する赤い光線が何本も見える。
近づいてきた。

ブリッジで報告する、保安部員のダニエルズ※17。「ひどい状況です。奴らは第11デッキまで※18侵出しました。でも第11デッキで、ピタッと止まってます…。」
ウォーフ:「ボーグはわずか数時間で船の半分を同化してしまった。なぜ止まるんだ。第11デッキにあるのは。」
ホーク:「野菜の水栽培※19に天体観測室に、ディフレクター制御ですが。」
「しかし、利点がなければわざわざ止まったりしないだろ。…部署に戻れ。10分ごとに報告せよ。」
ダニエルズ:「了解!」


※13: 史上初めて (そして現時点で唯一)「スタートレック」という言葉がセリフ中に登場しました。TNG第177話 "All Good Things..., Part I" 「永遠への旅(前編)」では、Q が「トレック」とは言っています

※14: Guard
(ヴィクター・ベヴィン Victor Bevine DS9第106話 "Things Past" 「秘められた過去」の Belar、VOY第130話 "Pathfinder" 「遥か彼方からの声」の保安部員 (Security Guard)、ENT第50話 "First Flight" 「運命の飛行」の管制官 (Flight Controller) 役。ゲーム "Hidden Evil" でも声の出演) セリフなし

※15: クレジットでは保安部員 Guard (アネット・ヘルド Annette Helde DS9第63話 "Visionary" 「DS9破壊工作」のカレナ (Karina)、第158話 "The Siege of AR-558" 「戦争の影−AR558攻防戦−」のナディア・ラーキン (Nadia Larkin)、VOY第75話 "Scientific Method" 「DNAに刻まれた悪夢」の Takar 役。ゲーム "Klingon" でも声の出演) ですが、制服の色分けは赤色。セリフなし

※16: Guard
(デイヴィッド・コウギル David Cowgill VOY第43話 "Basics, Part II" 「ケイゾン総攻撃(後編)」の異星人その2 (Alien #2) 役) そのほか保安部員役としてはスコット・ヘイヴン (Scott Haven、DS9第95話 "To the Death" 「戦士の宿命」のヴィラカラ (Virak'kara)、VOY第42・43話 "Basics, Part I and II" 「ケイゾン総攻撃(前)(後)」のケイゾン人エンジニア (Kazon Engineer) 役) 共にセリフなし。この辺りのボーグとの攻防シーンは、後から撮影されました

※17: Daniels クレジットでは保安部員 Security Officer
(マイケル・ホートン Michael Horton VOY第85話 "Retrospect" 「呼び起こされた記憶の悲劇」のコーヴィン (Kovin) 役) 初登場。映画第9作 "Star Trek: Insurrection" 「スター・トレック 叛乱」でダニエルズという名前をもらっており、明らかに同一人物であるためそのように扱っています。この時期のエンタープライズ-E の保安部長とも考えられます。「若い艦隊士官」役で横尾博之さんの名前がありますが、ダニエルズかは不明

※18: 原語では「第26デッキから第11デッキまで」と言っています。後のピカードのセリフにもあるように、エンタープライズ-E は全24デッキです

※19: hydroponics
水耕栽培室 (hydroponics bay)。ヴォイジャーにもあります (VOY第3話 "Parallax" 「ブラックホールからの脱出」など)

・16. リリー
ジェフリーズ・チューブを這って進むピカード。「医療室で何かあったんだな? ドクター・クラッシャーはどうしたんだ?」
リリー:「何で攻撃してきたのさ※20。」
「あれは我々じゃない。」
「じゃ誰よ!」
ピカードはハッチを開け、少し広い部屋に出てきた。「それは、新しい勢力だ。彼らは明日のワープ船打ち上げを阻止する気だ。だが我々は味方だ。…すぐには信じがたいだろうが今君がいるここはモンタナ州じゃない、宇宙船の中だ。ああ…この船は、地球の周りを軌道に乗って航行してる…」
リリー:「味方ならすぐここから出して。」
「…わかった。…外に出たいなら、これを御覧?」 ピカードは素早くコンソールを操作した。
そばのハッチが開いていく。下に地球が見えた。
リリー:「何よこれ。」 手を奮わせる。
指さすピカード。「オーストラリア※21、ニューギニア、ソロモン諸島。モンタナも、もうすぐ見えてくる。そんなに息を止めてると身体に毒だぞ。…聞いてくれ。私は君の味方だし必ず君を帰してあげる。だがまずは武器を降ろして私を信頼して欲しい。」
地球を見つめるリリー。
ピカード:「ジャン・リュック・ピカード。…これが、私の名前だ。君の名は?」
リリー:「…あ…リリー。」
「船へようこそ、リリー。」 ピカードは手を差し出す。
リリーはフェイザーを渡した。
ピカード:「…ありがとう。」 フェイザーを設定する。「目盛りが最大になってた。これで撃ったら私は蒸発してたとこだ。」
リリー:「…そんなこと知らなかったんだもの※22。」
手をつなぐピカード。ハッチに近づく。
リリー:「…ガラスがはまってない。」
ピカードが触れると、エネルギーが反応した。驚くリリー。
ピカード:「フォースフィールドだ。」
リリー:「こんなテクノロジー見たことないわ。」
「この時代ではまだ発明されてない。」
「何ですって。」
「…全部説明するよ、さあ。」


※20: 原語では「何で停戦を破ったのさ」

※21: なぜかニュージーランドは全く見えません。また、そもそもこの部屋が何なのかということについては、ドッキングポートと書いてある資料もあります

※22: 原語では「光線銃を扱ったことなかったんだもの」

・17. ボーグ・クイーン
ボーグに取り囲まれているデータ。
女性の声。『覚悟はいい?』
データ:「…君は誰だ。」
『私はボーグ。』
「それは矛盾している。ボーグは集合意識をもっているんだ。個人は存在しない。」
音が聞こえた。ケーブルにつながれた上半身が、上から降りてくる。
そのまましゃべっている。『私は始まり。そして終わり。多くの者である一人。』
見つめるデータ。
その上半身からは機械的な脊髄のような部分が見える。下にあった腕や下半身の部分に収まった。
身体と密着し、ケーブルが自動的に外れる。
歩いてくる、ボーグ・クイーン※23。「私こそがボーグ。」
データ:「こんにちは。…聞きたいんだけど、君がボーグ集合体を操ってるのか。」
「操るという言葉はふさわしくない。私は集合体だ。」
「それじゃ、質問をこう言い換えよう。ボーグの組織の中の人間関係を知りたいんだけど。君がリーダーか。」
「…私は混乱に秩序をもたらす。」
「面白い答えだ、でも謎めいてる。」
「あなたも混乱の中にある。矛盾しているのはあなただ、人間になりたいと願う機械。」
「私のことをよく知っているようだな。私は進化するようにプログラムされているんだ、よりよい自分へと。」
「我々もよりよい自分たちを求めている。完全な状態へと進化しながら。」
「失礼だけど、ボーグは進化するんじゃない。征服するだけだ。」
「ほかの存在を我々に同化吸収し、彼らをも完全な状態へと近づける。」
「そう言われても、額面通りには受け取れない。」
「それはあなたが適切な方法で…刺激されていないから。」
データは息を呑んだ。「……君は今、エモーションチップを作動させたな。…何でだ?」
クイーン:「恐れることはない。」
「…私は恐れてなんか。」 顔を引きつらせるデータ。
データの右腕を固定していた部分が外れた。見ると、剥き出しになった機械部分の上に、薄いものがつけられている。
クイーン:「…これからどうするかわかる?」
データ:「どうやら私の内骨格構造に、有機皮膚を移植しようとしているようですね?」
「何て味も素っ気もない言い方。こんな美しい贈り物に。」
ボーグ・クイーンはその皮膚に口を近づけると、息を吹きかけた。鳥肌が立つ。
声を上げるデータ。
クイーン:「…気持ちよかったでしょ?」
データ:「おお…。」
微笑むボーグ・クイーン。


※23: Borg Queen
(アリス・クリーガ Alice Krige 南アフリカ生まれ。映画「炎のランナー」、「ゴースト・ストーリー」(1981)、「サラマンダー」(04)、"Dynasty: The Making of a Guilty Pleasure" (05)、ドラマ "Dream West" (86)、「デューン 砂の惑星 II」(03) などに出演) 初登場。今回劇中では一度も「ボーグ・クイーン」や「クイーン」とは呼ばれません。クリーガは 10日間の撮影中、長い髪を隠して 4時間のメイクをし、目が痛む銀色のコンタクトレンズを着用しました。最長でも 4分間しか続けて撮れなかったそうです。上から降りてくる合体シーンでは、胸から上は実際の俳優です。本来はカットを挟まない、一続きの映像として完成しました。皮膚の下にもライトが仕込まれています。VOY ではスザンナ・トンプソンが演じますが、最終話 "Endgame" 「道は星雲の彼方に」のみ再びクリーガが担当しました。ジ・エクスペリエンスのアトラクション "Borg Invasion 4D"、ゲーム "Armada II" (声) にも登場。声:野沢由香里

・18. ホロデッキ“大いなる別れ”
廊下を歩くリリー。「連邦に加盟してる惑星はいくつ?」
ピカード:「150 以上だよ。8,000光年の距離に渡っている※24。」
「滅多にうちには帰れないわね。」
「船が我が家と思うようにしてるんだ。だが地球には機会があれば、必ず帰るようにしてるよ?」 コンソールを操作するピカード。「よーし、暗号はまだ奴らに破られてない。」
「そのバイオニックゾンビみたいな奴ら、えっと…」
「ボーグだ。」
「ボーグ。スウェーデン人みたい※25。」

別の廊下に出てくる。暗いが、ボーグの姿はない。
リリー:「この船の大きさは?」
ピカード:「24階建てになってる。長さは 700メートルだ。」
「4メートルのコックピットを造るため必要なチタニウムをくすねるのに、私は半年もかかったのに。…製造費用はどれくらいなの。」
「未来の経済は現在のとはかなり違う。実はね、24世紀には金は存在しないんだ。」
「お金がない? じゃただ働き?」
「未来では富を得るために働くのが、人生の目的ではなくなってるんだ。よりよい自分になるために、人類のために働く※26。…君やコクレイン博士だってそうしてるじゃないか。」 音が響いてきた。
笑うリリー。だが叫んだ。
ピカード:「止まって! 大丈夫だ。」
先に何体ものボーグがいた。
ピカード:「おいで。」
リリー:「…ほかの、道はないわけ。」
「…大丈夫だ、任せておけ。」
ボーグの中を進む 2人。
リリー:「スウェーデン人とは大違いだわ。」 すぐそばをボーグが通り、また叫ぶ。
ボーグはピカードたちを見ているが、襲おうとはしない。
つい声を上げてしまうリリー。
進んだピカードは、ドアのラベル※27を見た。振り返り、ボーグのそばをフェイザーで撃つ。
向かってくるボーグ。
リリー:「ちょっと何すんのよ!」
部屋に入る 2人。ピカードはコンソールを操作する。
ドアを叩く音が響く。
「ホログラム小説」と表示された※28
リリーを見るピカード。「…サテンのドレスがいいかな?」
とりあえずうなずくリリー。

ボーグはドアをこじ開ける。中には、地球のバー※29が広がっていた。
※30が近づく。「悪いんだけどね、もう閉店だよ。それにそんな格好でうちの店に来てもらっちゃ困るね。さ、お引き取り願おうか?」
支配人をつかむボーグ。2体とも、目の横からビームを発する。
ホログラムである支配人の映像が揺らぐ。

帽子を被ったピカード。「鼻のニッキーを探してるんだが。」 リリーはドレス姿だ。
バーテンダー※31:「ニッキーかい、しばらく見てないな。」
ピカードは考え、指を鳴らした。「選ぶ章を間違えた。」
投げ飛ばされた支配人が、ウェイターとぶつかった。
帽子とコートを取るピカード。白いスーツ姿だ。「コンピューター、第13章に…してくれ。」
店内の様子が一変し、たくさんの踊る客であふれた。突然現れた近くの男性に触れてみるリリー。
リリーと踊るピカード。「楽しそうな顔をするんだ。」
金髪の女性が歩いてくる。歌手※32が歌を披露している。
ボーグがやってきた。
ピカード:「ダメダメ、私を見て。自然に振る舞うんだ。」 踊り続ける。「あそこにいる。」
テーブルに座っている男は、鼻に金属をつけている。
踊りながら近づくピカード。だが後ろから来た金髪の女性に、いきなりキスされた。「…ルビー※33。今ちょっとまずいよ。」
ルビー:「またいつもの言い訳なの、ディックス※34。仕事だの何だのって、すぐ逃げてっちゃうんだから。」
「ニッキーに話があるんだ。後で付き合う。」
「あーわかった。でも後ろに気をつけて? 商売女は危険よ?」 ルビーは歩いていった。
不満そうなリリー。
ニッキーは鼻を使ってマッチに火をつけた。ボーグが向かってくる。
ニッキー※35:「こりゃこりゃこりゃ、誰が来たかと思ったら。今日は何だ、ディックス。」
ピカード:「いつものを頼むよ、マティーニと女の子だ。ちょっと失礼。」 ニッキーの隣にいる男を立たせる。
ボーグはウェイターを突き飛ばした。
子分※36:「何だよ、俺に因縁つける気かよ。」
ピカード:「怒るなって。」 ふいに床に置いてあったケースを手にした。
「おい!」
リリーは器を手に取り、子分を殴った。倒れる男。
人々をはねのけながら向かってくるボーグ。
ピカードはケースの中から、マシンガンを取りだした。撃ち始める。
騒ぎ、逃げ出す客。グラスが撃たれて割れていく。
ボーグは倒れた。2体ともだ。
叫ぶピカード。倒れたボーグに向かって、銃を振り上げる。
遮るリリー。「やめて! ボーグはもう死んでるわ。……でも何でなの、ホログラムでは実際に人を殺すなんてことは不可能でしょう?」
ピカードはボーグの身体を調べ始める。「安全プロトコルを解除しておいたんだ。」 身体の中を探る。「そうすればホログラムの銃でも人を殺せる。」
リリー:「…何してんの。」
「ニューロプロセッサー※37を探してるんだ。ボーグには必ずある。…例えて言えば、メモリーチップだ。…このボーグが今までに、集合体から受けていた指示が逐一記録されてるんだよ。」
「何てこと。ジャン・リュック。あなたと同じ制服じゃない。」 コミュニケーターが見える。
「ああ。部下のリンチ少尉※38だ。」 ピカードはチップをトリコーダーに取り付けた。
「…辛い仕事ね。」
「…急いでブリッジへ行かなくては。」
もう一度リンチの死体を見た後、ついていくリリー。


※24: 具体的に言及されるのは初めて。150 という数字は、国連加盟国の数にちなんだそうです

※25: スウェーデン人テニスプレイヤー、ビヨン・ボルグより

※26: ジーン・ロッデンベリーの言葉だそうです

※27: ここでのドアの表示は「ホロスイート」になっていますが、ボーグがこじ開ける時は「ホロデッキ」になっています。船の設備なので後者が正しいですね

※28: ここでリスト表示されるプログラム名は、いずれも過去に触れられたものです。上から順に "Cafe Des Artistes" 「カフェ・デ・ザルティスト」(TNG第24話 "We'll Always Have Paris" 「時のはざまに」)、"Champs-Elysees" 「シャンゼリゼ」(TNG第122話 "Imaginary Friend" 「イマジナリィ・フレンド」)、"Charnock's Comedy Cabaret" 「チャーノックのコメディキャバレー」(TNG第30話 "The Outrageous Okona" 「無法者オコーナ」)、"The Big Goodbye" 「大いなる別れ」(TNG第12話 "The Big Goodbye" 「宇宙空間の名探偵」)、"Emerald Wading Pool" 「エメラルド・プール」(TNG第114話 "Conundrum" 「謎めいた記憶喪失」)、"Equestrian Adventure" 「乗馬の冒険」(TNG第41話 "Pen Pals" 「未知なるメッセージ)

※29: ロサンゼルス市ダウンタウンの、ユニオン駅にあるレストランでロケ撮影 (その他「ハスラー」(1961)、「スティング」(73)、「ブレードランナー」(82) でも使用)。10種類の楽器、15人のスタント、120人のエキストラが使われました。ボーグがホロデッキに入った直後、右側に座っているのはブラノン・ブラガです。ムーアも出演しているとの情報もありますが、特別版DVD の本人による音声解説では、妻と一緒に準備はしていたものの結局お流れになったと述べています

※30: 支配人 Maitre d'
(イーサン・フィリップス Ethan Phillips VOY レギュラーのニーリックス (Neelix)、TNG第72話 "Menage a Troi" 「愛なき関係」のドクター・ファレク (Dr. Farek)、ENT第19話 "Acquisition" 「獲物たちの罠」のユリス (Ulis) 役) ノンクレジット

※31: Bartender
(C・J・ボー C.J. Bau) 一部資料では名前がエディとなっていますが、それはモンタナの酒場のバーテンダーです (脚注※1-43)。声は EMH 役の中さんが兼任している模様

※32: ナイトクラブの歌手 Singer in Nightclub
(ジュリー・モーガン Julie Morgan) 歌は "Moonlight Becomes You"。声優なし

※33: Ruby
(ヒラリー・ヘイズ Hillary Hayes) 共同脚本ロナルド・D・ムーアの妻、ルビー・ムーアにちなんで。当初はリリーに相当する役がルビーでした。声はアイガー役の沢海さんが兼任

※34: Dix
ディクソン・ヒル (Dixon Hill)。TNG "The Big Goodbye" など

※35: 鼻のニッキー Nicky the Nose
(ドン・スターク Don Stark DS9第26話 "Melora" 「エレージアン星人」のアシュロック (Ashrok) 役) 声:天田益男

※36: Henchman
(ロナルド・R・ロンデル Ronald R. Rondell) スタント調整が兼任

※37: neuroprocessor
チップはライターを改造したもの

※38: Ensign Lynch
一説には、ST のネット批評家 Timothy W. Lynch が由来だそうです。確か劇場公開時の字幕では、誤って「E・リンチ」となっていたと思います

・19. 英雄崇拝
明るくなったモンタナで、建物の修理が行われている。「どうだ、そっちは。」
山腹でコクレインに挨拶する者。「おはようございます。」
後ろから近づくレジナルド・バークレイ中尉※39。「ああ、あの…。あ…あ。」
追い払う仕草をするコクレイン。独りになったところで周りをうかがい、酒を飲み出す。
ラフォージ:「博士。」
瓶を隠すコクレイン。「何だ。」
ラフォージ:「ちょっと、これ見て下さい。」 パッドを持っている。
「ああ…わかったい…。」
「学校で習ったことを思い出して、混合室を修理しようとしてるんです。これで合ってますか。」
「…学校で、これを勉強したのか。」
「そうですよ? ベーシック・ワープデザイン※40は、アカデミーの必修コースです。最初の章の題名、知ってます? 『ゼフレム・コクレイン』。」
バークレイが後ろから様子をうかがっている。
コクレイン:「…ああ、計算はそれで合ってる。」
バークレイ:「少佐、ああ…壊れたワーププラズマ・コンジットの代わりに、これを使おうと思うんですけど。」 大きなバネのような部品を渡す。
コクレインに向かって微笑むバークレイ。
サングラスを取ったラフォージは、部品を見つめる。
その瞳にある視覚インプラント※41が動く。「ああリッジ、これなら使える。でも、ナノポリマー※42で補強しとかなきゃ駄目だぞ。」
バークレイ:「…コクレイン博士、もしよろしければ握手していただけませんか…。」
コクレインは仕方なく、手を握った。
笑うバークレイ。「ありがとうございます、今回一緒に仕事させていただけて名誉に思っております。」
ラフォージ:「リッジ…」
「まさかワープ航行を発明した御本人に会えるなんて…」
「リッジ!」
「え? ああ、すいません。どうも。おっと。」 バークレイは離れていった。
ため息をつくコクレイン。「…全くどいつもこいつも。」
ラフォージは笑った。「そりゃあ、あなたは英雄ですからねえ。みんなの気持ち、僕もわかりますよ。僕らは、あなたのしたことを聞いて育った。いやあ、これからすることをね。」
その間も、コクレインを見ながら歩いていくクルーがいる。
ラフォージ:「実を言うと、これ言わない方がいいかなあ。僕の卒業したの、コクレイン高校※43って言うんです。」
コクレイン:「ほんとかよ。…ほう。」
「…そうだ、写真を持ってきて見せてあげたかったなあ。」
「…何の。」
「未来じゃですねえ、この辺りは史跡として保存されているんです。歴史的な記念碑ってわけで。あなたが今立ってるところに、あなたの銅像※44が建てられてるんですよ。」
「銅像?」
「ええ! 立派なのがね。高さは、20メートル。あなたは顔を空に向けて、手を何と言うか未来に向けて差し伸べている※45。」 右手を掲げるラフォージ。
「ヘ、ちょっと漏らしてくるわ。」
「…漏らす? …何の漏れもないけどなあ。」
「24世紀の人間はションベンはしないのか。」
「ああ。漏れるね。ハ、わかりました。…面白いジョークだ。」
「ヘ。じゃ失礼。」 歩いていくコクレイン。
クルー:「少佐。」 パッドを渡す。


※39: Lt. Reginald Barclay
(ドワイト・シュルツ Dwight Schultz) VOY第19話 "Projections" 「ホログラム」以来の登場。VOY第130話 "Pathfinder" 「遥か彼方からの声」では大尉に昇進していますが、今回は制服を着ていないせいもあって確認できません。愛称は TNG では「レッジ」と訳されていました。バークレイが持ってきたバネ状の道具は、映画「禁断の惑星」(1956) で使われたのと同じ小道具という説があります。声:荒川太郎。以前の TNG では田中秀幸、VOY では堀内賢雄 (日本公開は後。"Pathfinder" 以降は岩崎ひろし)

※40: Basic Warp Design

※41: ocular implant
シャワーの取っ手がマット合成されています

※42: nanopolymer

※43: ゼフレム・コクレイン高校 Zefram Cochrane High School

※44: 原語では「像」としか言っておらず、「立派なのがね」は「大理石のがね」

※45: エンサイクロペディアには像の写真が掲載されています。その際に使われた人形は、ENT ではアーチャー船長の私室に飾られています

・20. 無重力
床のハッチが開く。そこへフェイザーライフルが向けられる。
ピカードが上がってきた。
クラッシャーやホークと共にフェイザーを持っていたウォーフ。「艦長!」
クラッシャー:「ジャン・リュック。てっきり…」
ピカード:「ボーグに同化吸収されてしまったと思ってたのか? なくしものを見つけたぞ。」
リリーの手を取るクラッシャー。
ウォーフを見て驚くリリー。
ウォーフ:「私はクリンゴン人だ。」
ピカード:「ウォーフ、報告を。」
「…ボーグは船の半分を支配。何とかブリッジへのパワーと武器システムを回復させようとしましたが駄目でした。」
「ほかにも問題ができた。ボーグのニューロプロセッサーを調べて奴らの狙いを突き止めた。奴らはディフレクター盤を、インタープレクシング・ビーコン※46に変える気だ。」
ホーク:「インタープレクシング?」
「言うなれば亜空間発信機だ。奴らはビーコンを作動させ、この 21世紀に生きているボーグと連絡を取るつもりだ。」
クラッシャー:「でもこの世紀では、ボーグはまだデルタ宇宙域にいるはず。」
「今ボーグの新手が来れば、人類は格好の餌食になってしまう。地球を攻撃し、未来を支配する気だ。」
ウォーフ:「ではビーコンに使われる前に、ディフレクター盤を壊さなければ。」
「だがディフレクター制御※47にもシャトルにも近づけん。…ウォーフ少佐、無重力状態での戦闘訓練※48を覚えてるか?」
「ええ、腹の底まで気持ち悪くなったもんです。…何を考えてるんです。」
「ちょっと、宇宙散歩でもしてみようと思ってね。」
ため息をつくウォーフ。

トリコーダーを使いながら走るラフォージ。「待って。人の生命反応がある。511メートル先だ。」
目の視覚インプラントが作動する。
色分けされた映像が拡大されていき、木の中にいる人影がわかった。
ライカー:「コクレインか。」
ラフォージには、また酒を飲んでいるのが見える。「うーん、間違いないです。」

手袋などの装備がつけられていく。ブーツもだ。
ヘルメットを被ったウォーフ。「フェイザーのパルスを変調しておきましたが、1、2発撃てばすぐにボーグは適応してしまうと思います。」 声は通信を介して聞こえている。
ピカード:「では必ず当てないといかんな。」
ホークも含め環境服※49を着た 3人は、隣の区画へ移った。
ピカード:「よし、磁化しろ。」
足のスイッチを押すと、床に張り付いた。
見守っているリリー。「気をつけてね※50、ディックス。」
ピカード:「そのつもりだよ。」
ドアが閉まった。

エンタープライズの円盤部で、逆さまになって歩いている 3人が見える。
ピカード:「気分はどうだ、ウォーフ。」
ウォーフ:「良くありませんね。」
「星を見ないようにするんだ。船体だけを見て。」
目の前には、エンタープライズの船体下部が広がる。
ピカード:「さあ行こう。」
一歩ずつ歩いていく。3人にとってみれば、エンタープライズは広大だ。


※46: interplexing beacon

※47: 吹き替えでは「ディフレクター」。この後で近づいていますから…

※48: zero-G combat training

※49: いわゆる宇宙服。映画 TMP "The Motion Picture" 以来。俳優が呼吸困難になる場合もあったそうです。後に DS9・VOY で使用されます。エアロックはブリッジと直結しています

※50: 原語では「後ろに気をつけてね」。ホロデッキでルビーが言ったセリフ


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